霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 黎明(れいめい)〔一二二五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第3篇 神明照赫 よみ(新仮名遣い):しんめいしょうかく
章:第15章 黎明 よみ(新仮名遣い):れいめい 通し章番号:1225
口述日:1922(大正11)年12月16日(旧10月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
お寅は静かな夜、これまでの来し方を思い返していた。蠑螈別に恋を破られ、また自分が教団のために貯めた金もとられ、その無念と悔しさが骨の節々にしみこみ、悲しさが一時に飛び出してたちまち信仰と覚悟を打ち破ろうとする。
お寅はこれまで神を信じ舎身的活動をやってきたのにどうしてこんな目に会うのだろうと鏡台の前に老躯を投げ出し愚痴っている。ふと人の持っている三つの物質的でない宝、愛、信仰、希望に思い至った。
この三つの歓喜を離れては一日だって暗黒の世の中に立ってゆくことはできないと悟り、これまでの自分の過ちを悔い、神素盞嗚大神へのお詫びを述べ、合掌し悔悟の涙にくれながら沈黙のふちに沈んでいた。
しばらくするとどこともなく燦然たる光明が輝き来たり、お寅の全身を押し包むような気分がした。お寅は夢路をたどっていた。眠っている眼の底には美しい天国の花園が開けてきた。
お寅はふと目をさまし、転迷悔悟の花が胸中に開いたことを五六七大神に感謝した。これまで人を救いたいという念は沸騰していたが、自分一人を救うこともできない自分であることを徹底的に悟った。
そして自分ひとりの徹底した救いはやがて万人の救いであり、万人の救いは、自分ひとりの自覚すなわち神を信じ神を理解し、神に神を愛し、自分はその中に含まれる以外にないものだということを悟った。
悲哀の涙はたちまち歓喜の涙と変わり、心天高いところに真如の日月が輝きわたり、幾十万の星が燦然としてお寅の身を包んでいるような、高尚な優美な清浄な崇大な気分に活かされてきた。
お寅はにわかに法悦の涙にむせ返り、起き上がると口をすすぎ手を洗い、他人の目をさまさないように静かに神殿に進んで感謝祈願の祝詞を、初めて心の底からうれしく奏上することを得た。
理解と悔悟の力くらい結構なものはない。その神霊を永遠に生かし、肉体を精力旺盛ならしむるものは、真の愛を悟り、真の信仰に進み、真に神を理解し、己を理解するよりほかに道はないのである。
お寅は悔悟と新しい悟りを表明する歌を歌い、入信以来初めて愉快な爽快な気分に酔い感謝祈願の祝詞を三五教の大神の前に奏上し、欣然として居間に帰ってきた。このとき夜は開け放れ、山の尾の上を飛びかう鳥の声がいつもより爽やかに頼もしく聞こえてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-03-16 19:21:53 文字数:3559 OBC :rm4615
愛善世界社版:191頁 八幡書店版:第8輯 427頁 修補版: 校定版:201頁 普及版:76頁 初版: ページ備考:
001 一(いち)日(にち)の太陽(たいやう)が神(かみ)の御守(みまも)りの下(もと)に静(しづか)に暮(く)れ行(ゆ)きて、002頓(やが)て平和(へいわ)な閑寂(かんじやく)な夜(よ)が地(ち)の上(うへ)に訪(おとづ)れ、003遠寺(とほでら)の鐘(かね)の音(ね)、004塒(ねぐら)求(もと)むる鳥(とり)の声(こゑ)など漸(やうや)くをさまり、005四辺(あたり)は死(し)んだ様(やう)に静(しづ)かになつて来(き)た。006鉄瓶(てつびん)の蓋(ふた)が湯気(ゆげ)に煽(あふ)られて鳴(な)る声(こゑ)が、007何(なん)となくお寅(とら)婆(ば)アさまの胸(むね)に響(ひび)いて、008浮木(うきき)の村(むら)の侠客(けふかく)時代(じだい)を偲(しの)ばせる様(やう)であつた。009蠑螈別(いもりわけ)に命(いのち)の綱(つな)の恋(こひ)と金(かね)とを奪(うば)はれて、010眠(ねむ)りもやらず、011胸(むね)に轟(とどろ)く狂瀾(きやうらん)怒濤(どたう)を抑(おさ)へることにのみ疲(つか)れはて、012次(つぎ)の間(ま)の鏡台(きやうだい)の前(まへ)に向(むか)つて、013マジマジと自分(じぶん)の姿(すがた)を見(み)れば、014両頬(りやうほほ)の痩(や)せこけたのを見(み)るにつけても、015吾(わが)身(み)の老(お)い行(ゆ)きしこと、016蠑螈別(いもりわけ)の逃去(にげさ)りしもさこそ無理(むり)ならじと思(おも)ふにつけ、017其(その)両眼(りやうがん)がスグツと涙(なみだ)になる。
018お寅『あゝこんな事(こと)ではいけない。019モウ少(すこ)し確(しつか)りして、020神(かみ)様(さま)のお道(みち)を歩(あゆ)み直(なほ)さねばなるまい』
021と吾(われ)と吾(わが)手(て)に心(こころ)を引立(ひきた)てようとしてみたが、022夜前(やぜん)の無念(むねん)さ口惜(くちを)しさが骨(ほね)の節々(ふしぶし)にまでしみ込(こ)んでゐる悲(かな)しさが一(いち)時(じ)に飛(と)び出(だ)して、023忽(たちま)ち金剛(こんがう)不壊(ふゑ)的(てき)の信仰(しんかう)と覚悟(かくご)を打破(うちやぶ)らうとする。
024お寅『あゝあ、025わしの今宵(こよひ)の苦(くる)しさと云(い)つたら、026石(いし)を抱(だ)かされ、027算盤(そろばん)の上(うへ)へすわらされて、028無実(むじつ)の拷問(がうもん)をうけてゐるやうな苦(くる)しさだ。029人(ひと)と人(ひと)とを繋(つな)いでゐた糸(いと)が切(き)れて、030行方(ゆくへ)も知(し)らぬ荒野(あらの)を独(ひと)り寂(さび)しげに逍遥(さまよ)ふ心地(ここち)がし出(だ)した。031あゝどうしたらよからうかな。032安心(あんしん)立命(りつめい)を得(え)むとして神(かみ)を信(しん)じ神(かみ)を愛(あい)し、033舎身(しやしん)的(てき)活動(くわつどう)をやつて来(き)たのだ。034それに又(また)何(なん)として斯様(かやう)なみじめな目(め)に会(あ)つたのだろ。035世(よ)の中(なか)に不幸(ふかう)な人(ひと)は此(この)お寅(とら)ばかりではあるまい。036さりながら又(また)妾(わし)の様(やう)な悲痛(ひつう)な残酷(ざんこく)な憂目(うきめ)に会(あ)つた者(もの)も又(また)とあるまい。037馬鹿(ばか)らしさ、038恥(はづか)しさ、039腹立(はらだ)たしさ、040モウ立(た)つてもゐても居(ゐ)られない様(やう)になつて来(き)た。041あゝどうしようぞいなア』
042と鏡台(きやうだい)の前(まへ)に、043老躯(らうく)を投(な)げつけるやうにして愚痴(ぐち)つてゐる。
044お寅『あゝさうださうだ、045人(ひと)には三(みつ)つの宝(たから)がある。046其(その)宝(たから)は決(けつ)して物質(ぶつしつ)的(てき)の宝(たから)でも、047変則(へんそく)的(てき)情欲(じやうよく)でもない、048神(かみ)様(さま)に対(たい)する恋愛(れんあい)だ。049第一(だいいち)に愛(あい)、050第二(だいに)に信仰(しんかう)、051第三(だいさん)に希望(きばう)だ。052此(この)三(みつ)つの歓喜(くわんき)を離(はな)れては、053一(いち)日(にち)だつて暗黒(あんこく)の世(よ)の中(なか)に立(た)つてゆく事(こと)は出来(でき)ない。054あゝ誤(あやま)れり誤(あやま)れり、055誠(まこと)の神(かみ)様(さま)、056三五教(あななひけう)を守(まも)り給(たま)ふ太柱(ふとばしら)神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)様(さま)、057今日(けふ)まで仁慈(じんじ)無限(むげん)のあなたの御恵(みめぐみ)を蒙(かうむ)りながら、058少(すこ)しも弁(わきま)へず、059蠑螈別(いもりわけ)の邪説(じやせつ)に従(したが)ひ、060御(ご)無礼(ぶれい)ばかりを申(まを)しました。061其(その)心(こころ)の罪(つみ)が鬼(おに)となつて、062今(いま)私(わたくし)を責(せ)めて居(ゐ)るので厶(ござ)いませう。063あゝ吾(わが)敵(てき)は吾(わが)身体(からだ)の中(なか)にひそんで居(を)りました。064払(はら)ひ給(たま)へ清(きよ)め給(たま)へ神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)………』
065と合掌(がつしやう)し、066悔悟(くわいご)の涙(なみだ)にくれ、067稍(やや)しばし沈黙(ちんもく)の淵(ふち)に沈(しづ)みつつあつた。068暫(しばら)くすると、069何処(どこ)ともなく燦然(さんぜん)たる光明(くわうみやう)が輝(かがや)き来(きた)り、070お寅(とら)の全身(ぜんしん)を押(お)し包(つつ)むやうな気分(きぶん)がした。071お寅(とら)は何時(いつ)とはなしに夢路(ゆめぢ)を辿(たど)つてゐた。072ヂツと眠(ねむ)つてゐる目(め)の底(そこ)には美(うる)はしき天国(てんごく)の花園(はなぞの)が開(ひら)けて来(き)た。073牡丹(ぼたん)や芍薬(しやくやく)やダリヤの花(はな)が錦(にしき)の様(やう)に咲(さ)き盛(さか)つてゐる中(なか)を、074紅白(こうはく)種々(しゆじゆ)の胡蝶(こてふ)と共(とも)に遊(あそ)び歩(ある)いてゐるやうな、075えも言(い)はれぬ気持(きもち)になつて来(き)た。076お寅(とら)はフと目(め)をさまして独言(ひとりごと)、
077お寅『あゝ仁慈(じんじ)深(ふか)き五六七(みろく)大神(おほかみ)様(さま)の光明(くわうみやう)に照(て)らされて、078転迷(てんめい)開悟(かいご)の花(はな)が吾(わが)胸中(きようちう)に開(ひら)きました。079薫(かむば)しき風(かぜ)が胸(むね)を洗(あら)つて通(とほ)るやうになりました。080今(いま)まで人(ひと)を救(すく)ひたい救(すく)ひたいとの念(ねん)は時々(じじ)刻々(こくこく)に沸騰(ふつとう)して、081胸(むね)に火(ひ)を焚(た)いた事(こと)は幾度(いくたび)か知(し)れませぬ、082併(しか)しながら万民(ばんみん)所(どころ)か、083自分(じぶん)一人(ひとり)を救(すく)ふ事(こと)も出来(でき)なかつた、084かよわい私(わたし)たる事(こと)を徹底(てつてい)的(てき)に悟(さと)らして頂(いただ)きました。085自分(じぶん)一人(ひとり)の徹底(てつてい)した救(すく)ひは、086やがて万人(ばんにん)の救(すく)ひであり、087万人(ばんにん)の救(すく)ひは自分(じぶん)一人(ひとり)の自覚(じかく)即(すなは)ち神(かみ)を信(しん)じ神(かみ)を理解(りかい)し、088真(しん)に神(かみ)を愛(あい)し、089自分(じぶん)は其(その)中(うち)に含蓄(がんちく)される以外(いぐわい)にないものだと云(い)ふことを、090御(ご)神徳(しんとく)に依(よ)つて深(ふか)く深(ふか)く悟(さと)らして頂(いただ)いた事(こと)を有難(ありがた)く感謝(かんしや)致(いた)します』
091と悲哀(ひあい)にくれた涙(なみだ)は忽(たちま)ち歓喜(くわんき)の涙(なみだ)と変(かは)り、092心天(しんてん)高(たか)き所(ところ)に真如(しんによ)の日月(じつげつ)輝(かがや)き渡(わた)り、093幾十万(いくじふまん)の星(ほし)は燦然(さんぜん)としてお寅(とら)の身(み)を包(つつ)むが如(ごと)き高尚(かうしやう)な優美(いうび)な清浄(せいじやう)な崇大(すうだい)な気分(きぶん)に活(い)かされて来(き)た。094お寅(とら)は俄(にはか)に法悦(ほふえつ)の涙(なみだ)にむせ返(かへ)り、095褥(しとね)をけつて起上(おきあが)り、096口(くち)を滌(すす)ぎ手(て)を洗(あら)ひ、097人(ひと)の目(め)をさまさないやうと、098差足(さしあし)抜足(ぬきあし)神殿(しんでん)に進(すす)んで感謝(かんしや)祈願(きぐわん)の祝詞(のりと)を、099始(はじ)めて心(こころ)の底(そこ)より嬉(うれ)しく奏上(そうじやう)する事(こと)を得(え)た。100実(じつ)に理解(りかい)と悔悟(くわいご)の力(ちから)位(くらゐ)結構(けつこう)なものはない。101其(その)心霊(しんれい)を永遠(ゑいゑん)に生(い)かし、102其(その)肉体(にくたい)をして精力(せいりよく)旺盛(わうせい)ならしむるものは、103実(じつ)に真(しん)の愛(あい)を悟(さと)り、104真(しん)の信仰(しんかう)に進(すす)み、105そして真(しん)に神(かみ)を理解(りかい)し、106己(おの)れを理解(りかい)するより外(ほか)に途(みち)はないものである。
107 あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
108お寅『暴風(ばうふう)一過(いつくわ)忽(たちま)ちに
109吾(わが)身(み)を包(つつ)みし黒雲(くろくも)は
110拭(ぬぐ)ふが如(ごと)く晴(は)れ渡(わた)り
111五六七(みろく)の神(かみ)の御(ご)慈光(じくわう)に
112迷(まよ)ひ切(き)つたる魂(たましひ)も
113瑠璃光(るりくわう)の如(ごと)く照(て)らされて
114やつれ果(は)てたる身(み)も魂(たま)も
115俄(にはか)に無限(むげん)の神力(しんりき)を
116与(あた)へられたる思(おも)ひなり
117真如(しんによ)の月(つき)は村肝(むらきも)の
118心(こころ)の空(そら)に輝(かがや)きて
119清光(せいくわう)燦爛(さんらん)身(み)を包(つつ)む
120銀河(ぎんが)は長(なが)く横(よこ)たはり
121東(ひがし)や西(にし)や北(きた)南(みなみ)
122天津(あまつ)御空(みそら)も地(ち)の底(そこ)も
123只(ただ)一点(いつてん)の疑雲(ぎうん)なく
124地獄(ぢごく)は化(くわ)して天国(てんごく)の
125至喜(しき)と至楽(しらく)の境域(きやうゐき)に
126楽(たの)しく遊(あそ)ぶ身(み)となりぬ
127あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
128人(ひと)の身魂(みたま)は皇神(すめかみ)の
129広大(くわうだい)無辺(むへん)至聖(しせい)至貴(しき)
130清(きよ)きが上(うへ)にも清(きよ)らけき
131大神霊(だいしんれい)の分霊(わけみたま)
132吾(わが)身一(みひと)つの魂(たましひ)の
133持(も)ちよに依(よ)りて世(よ)の中(なか)は
134天国(てんごく)浄土(じやうど)となるもあり
135地獄(ぢごく)修羅道(しゆらだう)と変(かは)るあり
136地上(ちじやう)の小(ちひ)さき欲望(よくばう)に
137魂(たま)を汚(けが)され心(こころ)をば
138紊(みだ)しゐたりし浅(あさ)ましさ
139天国(てんごく)浄土(じやうど)は目(ま)のあたり
140而(しか)も吾(わが)身(み)の胸(むね)の内(うち)
141開(ひら)けありとは知(し)らずして
142私利(しり)と私欲(しよく)の欲界(よくかい)に
143漂(ただよ)ひ苦(くる)しむ世(よ)の人(ひと)よ
144其(その)境遇(きやうぐう)を窺(うかが)へば
145げに浅(あさ)ましの至(いた)りなり
146われ先(ま)づ神(かみ)に救(すく)はれぬ
147神(かみ)に救(すく)はれ天国(てんごく)の
148至喜(しき)と至楽(しらく)を味(あぢ)はひぬ
149あゝこれからはこれからは
150尊(たふと)き神(かみ)の仁徳(じんとく)に
151報(むく)ゆる為(ため)に身(み)を砕(くだ)き
152魂(みたま)を捧(ささ)げて道(みち)の為(ため)
153世人(よびと)の為(ため)に何処(どこ)までも
154尽(つく)しまつらでおくべきか
155情(なさけ)は人(ひと)の為(ため)ならず
156吾(わが)身(み)を救(すく)ふ宝(たから)ぞと
157悟(さと)りし今日(けふ)の嬉(うれ)しさよ
158仁慈(じんじ)無限(むげん)の大神(おほかみ)の
159恩頼(みたまのふゆ)をかかぶりて
160地獄(ぢごく)と修羅(しゆら)に迷(まよ)ひたる
161われは全(まつた)く救(すく)はれぬ
162吾(わが)身(み)を地獄(ぢごく)におきながら
163憂瀬(うきせ)におちて苦(くるし)める
164世人(よびと)を普(あまね)く救(すく)はむと
165思(おも)ひし事(こと)の愚(おろ)かさよ
166之(これ)を思(おも)へば蠑螈別(いもりわけ)
167お民(たみ)の君(きみ)は吾(わが)為(ため)に
168心(こころ)の門(もん)を開(ひら)きたる
169仁慈(じんじ)無限(むげん)の救主(すくひぬし)
170かく宣(の)り直(なほ)し見直(みなほ)せば
171天(あめ)が下(した)には敵(てき)もなく
172恨(うら)みもそねみも消(き)え失(う)せて
173さながら神(かみ)の心(こころ)しぬ
174思(おも)へば思(おも)へば有難(ありがた)き
175吾(わが)身(み)の垢(あか)を洗(あら)ひます
176瑞(みづ)の御霊(みたま)の御(おん)恵(めぐ)み
177神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)が
178仁慈(じんじ)の余光(よくわう)を地(ち)になげて
179暗(やみ)に苦(くるし)む人草(ひとぐさ)を
180救(すく)はせ給(たま)ふ御心(みこころ)を
181今(いま)や嬉(うれ)しく悟(さと)りけり
182高姫司(たかひめつかさ)が称(とな)へたる
183ウラナイ教(けう)は表向(おもてむ)き
184仁慈(じんじ)無限(むげん)の神(かみ)様(さま)の
185救(すく)ひの言葉(ことば)と聞(きこ)ゆれど
186表裏(へうり)反覆(はんぷく)常(つね)ならず
187忽(たちま)ち天候(てんこう)一変(いつぺん)し
188雷鳴(らいめい)ひらめき暴風雨(ばうふうう)
189吹(ふ)き来(く)る如(ごと)き恐怖心(きようふしん)
190起(おこ)させ霊(たま)をよわらせて
191むりに引込(ひきこ)む横(よこ)しまの
192曲津(まがつ)の教(をしへ)と悟(さと)りたり
193末代(まつだい)日(ひ)の王天(わうてん)の神(かみ)
194其(その)妻(つま)上義姫(じやうぎひめ)の神(かみ)
195リントウビテンや木曽(きそ)義姫(よしひめ)や
196生羽(いきば)神社(じんしや)や岩照姫(いはてるひめ)や
197五六七(みろく)成就(じやうじゆ)の肉(にく)の宮(みや)
198旭(あさひ)の豊栄昇(とよさかのぼ)り姫(ひめ)
199日(ひ)の出神(でのかみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)
200玉則姫(たまのりひめ)や地(ち)の世界(せかい)
201日(ひ)の丸姫(まるひめ)の大御神(おほみかみ)
202大将軍(だいしやうぐん)や常世姫(とこよひめ)
203ヘグレのヘグレのヘグレムシヤ
204ヘグレ神社(じんしや)の大御神(おほみかみ)
205種物(たねもの)神社(じんしや)の御(ご)夫婦神(ふうふしん)
206大根本(だいこつぽん)の神木(しんぼく)の
207十六柱(じふろくはしら)の霊(たま)の神(かみ)
208なぞと怪(あや)しき御教(みをしへ)を
209ひねり出(いだ)して愚(おろか)なる
210世人(よびと)を欺(あざむ)く曲言(まがこと)を
211此上(こよ)なきものと迷信(めいしん)し
212朝(あさ)な夕(ゆふ)なに村肝(むらきも)の
213心(こころ)を痛(いた)め身(み)を削(けづ)り
214心肉(しんにく)共(とも)に痩(や)せこけて
215苦(くるし)みゐたる地獄道(ぢごくだう)
216今(いま)から思(おも)ひめぐらせば
217さも恐(おそ)ろしくなりにけり
218天津(あまつ)御空(みそら)の日(ひ)は歩(あゆ)み
219月(つき)行(ゆ)き星(ほし)はうつろひて
220銀河(ぎんが)流(なが)るる地(ち)の上(うへ)の
221高天原(たかあまはら)に住(す)みながら
222知(し)らず知(し)らずに根(ね)の国(くに)や
223底(そこ)の国(くに)へと陥落(かんらく)し
224日(ひ)に夜(よ)に修羅(しゆら)をもやしつつ
225恋(こひ)と欲(よく)とに捉(とら)はれて
226苦(くるし)みゐたるぞ果敢(はか)なけれ
227悔悟(くわいご)の涙(なみだ)はせきあへず
228滂沱(ばうだ)と腮辺(しへん)に流(なが)れおつ
229無明(むみやう)の暗(やみ)もあけ放(はな)れ
230今日(けふ)は歓喜(くわんき)の涙雨(なみだあめ)
231腮辺(しへん)に伝(つた)ふ尊(たふと)さよ
232あゝこの涙(なみだ)この涙(なみだ)
233世人(よびと)の魂(たま)を洗(あら)ひ行(ゆ)く
234瑞(みづ)の御霊(みたま)の露(つゆ)ならむ
235乾(かわ)かであれよ何時(いつ)までも
236流(なが)れ流(なが)れて河鹿川(かじかがは)
237清(きよ)き水瀬(みなせ)の何処(どこ)までも
238尽(つ)くることなく暗黒(あんこく)の
239海(うみ)に沈(しづ)める曲人(まがびと)の
240身魂(みたま)を洗(あら)はせ給(たま)へかし
241神(かみ)は汝(なんぢ)と倶(とも)にあり
242人(ひと)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
243神(かみ)に等(ひと)しきものなりと
244のらせ給(たま)ひし聖言(せいげん)は
245仁慈(じんじ)の光明(くわうみやう)に照(て)らされて
246悔悟(くわいご)の花(はな)の開(ひら)きたる
247吾(わが)身(み)に依(よ)りて実現(じつげん)し
248証明(しようめい)されしものぞかし
249曲(まが)に汚(けが)れし吾(わが)身(み)をば
250自(みづか)ら救(すく)ひよく生(い)かし
251栄(さか)えて後(のち)に世(よ)の人(ひと)の
252霊(みたま)を生(い)かし救(すく)ひ上(あ)げ
253荘厳(さうごん)無比(むひ)の天国(てんごく)を
254普(あまね)く地上(ちじやう)に建設(けんせつ)し
255国治立(くにはるたちの)大御神(おほみかみ)
256豊国主(とよくにぬしの)大御神(おほみかみ)
257神(かむ)素盞嗚(すさのをの)神柱(かむばしら)
258其(その)外(ほか)百(もも)の神(かみ)等(たち)の
259大御心(おほみこころ)を体得(たいとく)し
260いよいよ進(すす)んで宣伝(せんでん)し
261神(かみ)の氏子(うぢこ)を助(たす)け行(ゆ)く
262尊(たふと)き司(つかさ)となさしめよ
263今(いま)まで暗(やみ)に迷(まよ)ひたる
264お寅(とら)が御前(みまへ)に慎(つつし)みて
265懺悔(ざんげ)し感謝(かんしや)し畏(かしこ)みて
266恩頼(みたまのふゆ)を願(ね)ぎまつる
267あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
268御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
269 お寅(とら)は斯(か)くの如(ごと)く精神(せいしん)上(じやう)より生(い)き返(かへ)り、270天国(てんごく)に復活(ふくくわつ)したる心地(ここち)して、271入信(にふしん)以来(いらい)始(はじ)めて愉快(ゆくわい)な爽快(さうくわい)な気分(きぶん)に酔(よ)はされ、272感謝(かんしや)祈願(きぐわん)の祝詞(のりと)を三五教(あななひけう)を守(まも)り給(たま)ふ仁慈(じんじ)無限(むげん)の大神(おほかみ)の御前(みまへ)に奏上(そうじやう)し、273欣然(きんぜん)として吾(わが)居間(ゐま)に帰(かへ)つて来(き)た。274此(この)時(とき)夜(よ)はカラリと明(あ)け放(はな)れ、275山(やま)の尾(を)の上(へ)を飛(と)びかつて、276常世(とこよ)の春(はる)を祝(いは)ふ百鳥(ももどり)の声(こゑ)、277鵲(かささぎ)の声(こゑ)、278いつもよりはいと爽(さはや)かに頼(たの)もしく聞(きこ)え来(く)るのを沁々(しみじみ)と身(み)に覚(おぼ)ゆるに至(いた)つた。
279(大正一一・一二・一六 旧一〇・二八 松村真澄録)
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