霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 惟神(かむながら)(みち)〔一二二七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第3篇 神明照赫 よみ(新仮名遣い):しんめいしょうかく
章:第17章 惟神の道 よみ(新仮名遣い):かんながらのみち 通し章番号:1227
口述日:1922(大正11)年12月16日(旧10月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
お寅と魔我彦は、友が一刻も早く善道を悟り忠実な神の僕になるようにと親切にほだされて互いに顔を見合わせていた。
しかしお寅は昨日までくだらない情欲に捕われて黄金に目をくらましていたが、神の仁慈に照らされて霊肉ともに向上していた。一方魔我彦は悲嘆の淵に沈み、不安と不平の妖雲に包まれて震えおののいていた。
お寅は恵の雨は天から降るものだということを自覚した。魔我彦は自分の知恵や力や考察力の苦労の結果で、自分の身体から自由自在に雨を降らし得るものと考えていた。ここに神ながらと人ながらの区別がつくのである。
いかなる聖人君子、智者勇者といえども、天の御恵なくしては到底救われることはできない。頭に生えた髪の毛一筋も黒くし白くし得る力はない。この真理を理解して初めて宇宙の真相が悟り得られるのである。これが惟神であり、魔我彦が最善と思って採ったやり方は人ながらであって、神の目から見給うときは慢心とうことになるのである。
真の惟神的精神を理解ともいい、また改心ともいう。神は謙譲の徳を以て第一の道徳律と定め給う。
人間がこの世に生まれ来たり、美醜、強弱、貧富、貴賤の区別がつくのも決して人間業ではない。いずれも惟神のよさしのままに、それ相応の霊徳ともって地上に蒔き付けられたものである。
みな宿世の自ら生み出した因果律によってくるものなれば、各自はめいめいにその最善を尽くし、賤民は賤民として、貴人は貴人として、富者は富者として、貧者は貧者として本分を守るのが天地惟神の大道である。
このように上下が一致的にその本分を守るにおいては、神示にいわゆる升掛引きならして運否のない五六七の世が現出したのである。
瑞月がかくの如き説をなすときは、頑迷固陋の倫理学者、道徳学者は必ず異端邪説として排斥するであろう。しかしながら天地の真理の惟神の大道である以上は、如何ともすることができない。五六七仁慈の大神の心のままに説示しておく次第である。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:惟人(人ながら) データ凡例: データ最終更新日:2023-03-16 19:19:52 OBC :rm4617
愛善世界社版:214頁 八幡書店版:第8輯 435頁 修補版: 校定版:225頁 普及版:87頁 初版: ページ備考:
001 お(とら)()アさまと魔我彦(まがひこ)(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、002(とも)一刻(いつこく)(はや)善道(ぜんだう)(さと)り、003忠実(ちうじつ)なる(かみ)下僕(しもべ)となり、004()(かみ)代表者(だいへうしや)005生宮(いきみや)たる(じつ)()げしめむと、006(たがひ)親切(しんせつ)にほだされて(しば)しが(あひだ)黙然(もくねん)として顔色(かほいろ)ばかりを()つめてゐる。007一方(いつぱう)老人(らうじん)にも似合(にあ)はず十七八(じふしちはち)(むすめ)のやうな(いろ)つやを(うか)べ、008ぽつてりと(ふと)り、009活々(いきいき)としてゐるに引替(ひきか)へ、010一方(いつぱう)(ふゆ)()()(こがらし)(たた)(おと)され、011(ゆき)(ふる)へて、012えもいはれぬ(さび)しみを(かん)じた(やう)悄然(せうぜん)たる(おもて)()けてゐる。013(あだか)枯木(こぼく)寒岩(かんがん)()三冬(さんとう)暖気(だんき)なしといつたやうな、014(ねつ)のあせた(ひや)やかい気分(きぶん)(つつ)まれてゐる。015昨日(きのふ)まで煩悶(はんもん)苦悩(くなう)(ふち)(しづ)み、016(くだ)らぬ情欲(じやうよく)(とら)はれ、017(かつ)黄金(わうごん)(まなこ)をくらましてゐたお(とら)()アさまは、018(かみ)仁慈(じんじ)(てら)されて、019(あだか)無碍光(むげくわう)如来(によらい)(やう)霊肉(れいにく)(へん)じ、020(いな)向上(かうじやう)し、021一方(いつぱう)魔我彦(まがひこ)悲歎(ひたん)(ふち)(しづ)み、022万劫(まんごふ)末代(まつだい)(うか)()のない八寒(はちかん)地獄(ぢごく)(うゑ)(さむ)さに()亡者(まうじや)(やう)容貌(ようばう)をさらし、023不安(ふあん)不平(ふへい)妖雲(えううん)(つつ)まれ、024(ほほ)()せこけ、025(しわ)(あみ)()(ごと)く、026顔色(がんしよく)青白(あをじろ)く、027(くちびる)紫色(むらさきいろ)(へん)じ、028言葉(ことば)さへもどことなく(ちから)()せピリピリと(ふる)(をのの)いてゐる。029(じつ)信仰(しんかう)(ひかり)といふものは(おそろ)しいものである。030(おな)(やま)(いただき)()(あめ)も、031両半滴(りやうはんてき)()場所(ばしよ)()つて、032(あるひ)(ひがし)()(あるひ)西(にし)()ち、033(みなみ)(きた)(わか)れて()(なが)るる(ごと)く、034()()(はし)(ほど)(ちが)つても大変(たいへん)距離(きより)出来(でき)るものである。035(この)両人(りやうにん)(あだか)(たうげ)(うへ)()つた(あめ)であつた。036如何(どう)してもお(とら)()アさまの(あめ)(あさひ)(むか)つて(なが)れねばならなくなつてゐた。037魔我彦(まがひこ)(あめ)はどうしても夕日(ゆふひ)(はう)(むか)つて(なが)()ちねばならない境遇(きやうぐう)になつてゐた。038善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)分水嶺(ぶんすゐれい)(じやう)()(あめ)は、039如何(どう)しても(てん)から()らねばならぬ、040(けつ)して人間(にんげん)身体(からだ)から(あめ)()るものでない。041(ここ)(さと)ると(さと)らざるとの区別(くべつ)がついて()るのである。042(とら)()アさまは(めぐみ)(あめ)(てん)より()るものだといふことを自覚(じかく)した。043そして魔我彦(まがひこ)は、044自分(じぶん)知慧(ちゑ)(ちから)考察力(かうさつりよく)苦労(くらう)結果(けつくわ)で、045自分(じぶん)身体(からだ)から自由(じいう)自在(じざい)(あめ)()らし()るものと(かんが)へてゐた。046ここに惟神(かむながら)(ひと)ながらの区別(くべつ)のつく所以(ゆゑん)である。047如何(いか)なる聖人(せいじん)君子(くんし)智者(ちしや)勇者(ゆうしや)(いへど)も、048(てん)御恵(みめぐみ)なくしては、049到底(たうてい)(すく)はるることは出来(でき)ない。050広大(くわうだい)無辺(むへん)天然力(てんねんりよく)(すなは)(かみ)()威光(ゐくわう)によらなくては、051地上(ちじやう)一切(いつさい)(こと)何一(なにひと)(おも)ひの(まま)出来(でき)るものでない。052(わが)(あたま)()えた(かみ)()一筋(ひとすぢ)だも、053(あるひ)(くろ)くし、054(あるひ)(しろ)くし()(ちから)のない人間(にんげん)だ。055(この)真理(しんり)理解(りかい)して(はじ)めて宇宙(うちう)真相(しんさう)(さと)()るのである。056これが所謂(いはゆる)惟神(かむながら)であり、057魔我彦(まがひこ)最善(さいぜん)思惟(しゐ)して()つたやり(かた)(すなは)(ひと)ながらであつて、058(かみ)(おん)()より見給(みたま)(とき)慢心(まんしん)といふことになるのである。
059 (えう)するに(しん)惟神(かむながら)(てき)精神(せいしん)理解(りかい)とも()(また)改心(かいしん)とも()ふ。060仮令(たとへ)(ひと)(まへ)にて(わが)力量(りきりやう)(ほこ)り、061(わが)知識(ちしき)(かがや)かし、062(わが)()(あら)はすとも、063偉大(ゐだい)なる(かみ)(おん)()より見給(みたま)(とき)(じつ)馬鹿(ばか)らしく()えるものである。064(いな)(かへつ)(くら)(けが)らはしく、065悪臭(あくしう)紛々(ふんぷん)として清浄(せいじやう)無垢(むく)天地(てんち)(つつ)むものである。066(ゆゑ)(かみ)謙譲(けんじやう)(とく)(もつ)て、067第一(だいいち)道徳律(だうとくりつ)(さだ)(たま)ふ。068人間(にんげん)謙譲(けんじやう)(しよう)するものは(その)(じつ)表面(へうめん)のみの虚飾(きよしよく)であつて、069所謂(いはゆる)偽善(ぎぜん)骨頂(こつちやう)である。070虚礼(きよれい)虚儀(きよぎ)生活(せいくわつ)(おく)(もの)(しよう)して、071人間(にんげん)社会(しやくわい)にては聖人(せいじん)君子(くんし)()(はや)されるのだからたまらない。072かかる聖人(せいじん)君子(くんし)()くべき永住所(えいぢうしよ)は、073(がい)して(あめ)八衢(やちまた)であることは(まを)すまでもない。
074 人間(にんげん)(この)()(うま)(きた)り、075美醜(びしう)076強弱(きやうじやく)077貧富(ひんぷ)078貴賤(きせん)区別(くべつ)がつくのも(けつ)して人間業(にんげんわざ)でない。079(いづ)れも(みな)惟神(かむながら)()さしの(まま)に、080それ相応(さうおう)霊徳(れいとく)をもつて地上(ちじやう)()きつけられたものである。081()める(もの)何処(どこ)までも()み、082(まづ)しき(もの)何処(どこ)までも(まづ)しいのは(その)(れい)内分(ないぶん)(てき)関係(くわんけい)から()るものであつて、083(けつ)して外分(ぐわいぶん)(てき)関係(くわんけい)より(つく)(いだ)されるものでない。084(まづ)しき(みたま)人間(にんげん)現界(げんかい)活動(くわつどう)し、085巨万(きよまん)(とみ)()み、086金殿(きんでん)玉楼(ぎよくろう)安臥(あんぐわ)し、087富貴(ふうき)一世(いつせい)(ほこ)ると(いへど)も、088依然(いぜん)として(その)(れい)(にく)とは(まづ)しき境遇(きやうぐう)(だつ)する(こと)出来(でき)ない。089丁度(ちやうど)如何(いか)醜婦(しうふ)絶世(ぜつせい)美人(びじん)容貌(ようばう)にならむと、090紅白粉(べにおしろい)(ほどこ)し、091(うる)はしき衣服(いふく)(よそほ)ひ、092あらむ(かぎ)りの人力(じんりよく)(つく)すと(いへど)も、093醜女(しうじよ)依然(いぜん)として醜女(しうぢよ)たるの(ゐき)(だつ)せざると同一(どういつ)である。094(はな)(ひく)(もの)如何(いか)隆鼻術(りうびじゆつ)(ほどこ)すとも、095美顔術(びがんじゆつ)(ほどこ)すとも、096到底(たうてい)駄目(だめ)(をは)(ごと)く、097貧者(ひんじや)何処(どこ)までも貧者(ひんじや)である。098(すべ)貧富(ひんぷ)二者(にしや)物質(ぶつしつ)(てき)のみに局限(きよくげん)されたものでない。099(しん)()める(ひと)一箪(いつたん)(しよく)100一瓢(いつぺう)(いん)(もつ)て、101天地(てんち)(めぐみ)(たのし)み、102綽々(しやくしやく)として余裕(よゆう)(ぞん)し、103天空(てんくう)海濶(かいくわつ)たる気分(きぶん)(ただよ)ふ。104如何(いか)巨万(きよまん)財宝(ざいほう)()むとも、105(かみ)より()(まづ)しき(もの)は、106その(こころ)(たひら)かならず(ゆたか)ならず、107(つね)窮乏(きうばふ)()げて(よく)(うへ)にも(よく)(かわ)き、108(いち)()たりとも安心(あんしん)立命(りつめい)することが出来(でき)ない。109(かね)番人(ばんにん)110守銭奴(しゆせんど)たるの(ゐき)齷齪(あくせく)として(まよ)ふのみである。111(また)天稟(てんぴん)美人(びじん)美人(びじん)としての惟神(かむながら)(てき)特性(とくせい)(そな)はつてゐるのである。112美人(びじん)として(つつし)むべき(とく)は、113(われ)以外(いぐわい)醜婦(しうふ)(たい)し、114なるべく()ならざるやう、115(えん)ならざるやう(つと)むるを(もつ)道徳(だうとく)(てき)根本律(こつぽんりつ)としてゐるのは、116惟神(かむながら)真理(しんり)(さと)らざる世迷言(よまひごと)である。117美人(びじん)益々(ますます)(よそほ)ひを(つく)せば、118ますます(その)()()し、119(かみ)(また)(ひと)をして喜悦(きえつ)渇仰(かつがう)(ねん)()かさしむるものである。120(これ)(すなは)美人(びじん)として(うま)(きた)りし自然(しぜん)特性(とくせい)である。121これを十二分(じふにぶん)発揮(はつき)するのが惟神(かむながら)真理(しんり)である。122(また)醜婦(しうふ)(けつ)して美人(びじん)(ねた)みそねまず、123自分(じぶん)(しう)をなるべく(よそほ)ひ、124(ひと)不快(ふくわい)(ねん)(おこ)さしめず、125(かつ)(また)美人(びじん)(たい)して尊敬(そんけい)(ねん)(はら)ふのが醜婦(しうふ)としての道徳(だうとく)である。
126 富者(ふうじや)となり貧者(ひんじや)となり、127貴人(きじん)となり賤民(せんみん)となり、128美人(びじん)となり醜婦(しうふ)となり、129智者(ちしや)となり愚者(ぐしや)(うま)(きた)るも、130(みな)宿世(すぐせ)(みづか)()(いだ)したる因果律(いんぐわりつ)()つて()るものなれば、131各自(めいめい)(その)最善(さいぜん)(つく)し、132賤民(せんみん)賤民(せんみん)としての本分(ほんぶん)(まも)り、133貴人(きじん)貴人(きじん)としての徳能(とくのう)発揮(はつき)し、134富者(ふうじや)富者(ふうじや)としての(とく)(あら)はし、135貧者(ひんじや)貧者(ひんじや)としての本分(ほんぶん)(まも)るのが天地(てんち)惟神(かむながら)大道(だいだう)である。136(かく)(ごと)上下(しやうか)万民(ばんみん)一致(いつち)(てき)(その)本分(ほんぶん)(まも)るに(おい)ては、137神示(しんじ)所謂(いはゆる)(ます)かけ()きならして、138運否(うんぷ)のなき五六七(みろく)()現出(げんしゆつ)したのである。139瑞月(ずゐげつ)(かく)(ごと)(せつ)をなす(とき)は、140頑迷(ぐわんめい)固陋(ころう)倫理(りんり)学者(がくしや)141道徳(だうとく)学者(がくしや)は、142(かなら)異端(いたん)邪説(じやせつ)として排斥(はいせき)するであらう。143(しか)(なが)天地(てんち)真理(しんり)惟神(かむながら)大道(だいだう)たる以上(いじやう)は、144如何(いかん)ともすることが出来(でき)ない。145五六七(みろく)仁慈(じんじ)大神(おほかみ)(こころ)(まま)説示(せつじ)しておく次第(しだい)である。
146 あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
147大正一一・一二・一六 旧一〇・二八 松村真澄録)
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