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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第47巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 浮木の盲亀
第1章 アーク燈
第2章 黒士会
第3章 寒迎
第4章 乱痴将軍
第5章 逆襲
第6章 美人草
第2篇 中有見聞
第7章 酔の八衢
第8章 中有
第9章 愛と信
第10章 震士震商
第11章 手苦駄女
第3篇 天国巡覧
第12章 天界行
第13章 下層天国
第14章 天開の花
第15章 公義正道
第16章 霊丹
第17章 天人歓迎
第18章 一心同体
第19章 化相神
第20章 間接内流
第21章 跋文
余白歌
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舎身活躍(第37~48巻)
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第47巻(戌の巻)
> 第1篇 浮木の盲亀 > 第1章 アーク燈
<<< 総説
(B)
(N)
黒士会 >>>
第一章 アーク
灯
(
とう
)
〔一二三四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻
篇:
第1篇 浮木の盲亀
よみ(新仮名遣い):
うききのもうき
章:
第1章 アーク燈
よみ(新仮名遣い):
あーくとう
通し章番号:
1234
口述日:
1923(大正12)年01月08日(旧11月22日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月6日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
治国別は、松彦、五三公、万公を野中の森に残して(第44巻第16章を見よ)、竜公一人を伴い、神の命を奉じて浮木の森のバラモンの陣中に進もうと道を急いだ。怪しの森の守衛たちは、酒に酩酊して二人が通るのを少しも気が付かなかった。
浮木の村の入り口に進んだ折り、タールとアークの両人は大きな眼を開けて不寝番として控えている。夜が明けてきて、二人は四方山話を始めた。
タールは三五教の悪神・素盞嗚尊が聖地を蹂躙することをなんとしても防がねばならない、というが、アークはバラモン教が悪だと知ったから気に入っているのだ、そのバラモン教を邪魔する素盞嗚尊は善だろうが悪だろうが滅ぼすのだと気炎を上げている。
アークとタールは、もし河鹿峠の勝ちに乗じて三五教がやってきたら、落とし穴に落とし込んでやろうと企んでいる。そこへ治国別と竜公がやってきた。
二人は治国別の姿を見て、腰を抜かしておののいてしまった。治国別は、ランチ将軍、片彦将軍のところへ案内してほしいと二人に頼むが、二人は動けない。
タールは、わざわざ敵の陣中に乗り込んできてひと悶着あるよりも、ここはお互いに身を引いた方がよいと治国別と竜公に提案するが、治国別はランチ将軍と片彦将軍に善言を与えて高天原に救い上げようと、元バラモン軍の竜公を案内者としてやってきたのだ、と譲らない。
治国別がアークとタールに案内いたせ、と命じると、いつの間にか抜けていた腰は回復し、陣幕の南の方を指して案内に歩き出した。
治国別と竜公が後に従って歩いていくと、にわかに足元が転落して深い落とし穴に落ち込んでしまった。落とし穴の底には、林のように鋭利な槍が空地なしに立ててあったが、両人は神のお守りの厚いためか、都合よく槍と槍の間に落ち込み、少しも傷は負わなかった。
アークとタールは三五教の宣伝使を仕留めたと喜んだ。アークは得意顔でランチ将軍に報告に向かった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
アインスタイン(アインシュタイン)
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-04-10 14:42:08
OBC :
rm4701
愛善世界社版:
13頁
八幡書店版:
第8輯 475頁
修補版:
校定版:
13頁
普及版:
6頁
初版:
ページ備考:
001
至喜
(
しき
)
と
至楽
(
しらく
)
と
荘厳
(
さうごん
)
を
002
全
(
まつた
)
く
地上
(
ちじやう
)
に
現
(
うつ
)
し
世
(
よ
)
の
003
高天原
(
たかあまはら
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
004
ウブスナ
山
(
やま
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に
005
天降
(
あも
)
りましたる
素盞嗚
(
すさのを
)
の
006
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
はイソ
館
(
やかた
)
007
最第一
(
さいだいいち
)
の
天国
(
てんごく
)
を
008
開
(
ひら
)
き
給
(
たま
)
ひて
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
009
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
百人
(
ももびと
)
を
010
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
に
救
(
すく
)
はむと
011
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
012
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
より
呼
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
め
013
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
014
開
(
ひら
)
かせ
給
(
たま
)
ふ
尊
(
たふと
)
さよ
015
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
016
治国別
(
はるくにわけ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
017
万公
(
まんこう
)
、
晴公
(
はるこう
)
、
五三公
(
いそこう
)
を
018
伴
(
ともな
)
ひ
館
(
やかた
)
を
立出
(
たちい
)
でて
019
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
打
(
う
)
ちわたり
020
百
(
もも
)
の
悩
(
なや
)
みに
遭
(
あ
)
ひながら
021
撓
(
たゆ
)
まず
屈
(
くつ
)
せず
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
022
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
023
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
に
万公
(
まんこう
)
や
024
五三公
(
いそこう
)
、
松彦
(
まつひこ
)
振
(
ふ
)
り
残
(
のこ
)
し
025
竜公
(
たつこう
)
伴
(
ともな
)
ひ
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
を
026
縫
(
ぬ
)
うてスタスタ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
027
怪
(
あや
)
しの
森
(
もり
)
も
何時
(
いつ
)
しかに
028
無事
(
ぶじ
)
によぎりてバラモンの
029
軍
(
いくさ
)
の
数多
(
あまた
)
屯
(
たむろ
)
せる
030
浮木
(
うきき
)
ケ
原
(
はら
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
031
治国別
(
はるくにわけ
)
は
松彦
(
まつひこ
)
、
032
五三公
(
いそこう
)
、
033
万公
(
まんこう
)
を
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
に
置去
(
おきざ
)
りにして、
[
※
第44巻第16章を見よ
]
034
竜公
(
たつこう
)
一人
(
ひとり
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
035
神
(
かみ
)
の
命
(
めい
)
を
奉
(
ほう
)
じて
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
のバラモンの
陣中
(
ぢんちう
)
に、
036
私
(
ひそ
)
かに
進
(
すす
)
まむと、
037
道
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
いだ。
038
怪
(
あや
)
しの
森
(
もり
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
等
(
ら
)
は
酒
(
さけ
)
に
酩酊
(
めいてい
)
して、
039
二人
(
ふたり
)
の
通
(
とほ
)
るのを
少
(
すこ
)
しも
気
(
き
)
がつかなかつた。
040
第二
(
だいに
)
の
関所
(
せきしよ
)
たる
浮木
(
うきき
)
の
村
(
むら
)
の
入口
(
いりぐち
)
に
進
(
すす
)
んだ
折
(
をり
)
、
041
タール、
042
アークの
両人
(
りやうにん
)
は
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
の
瞳孔
(
どうこう
)
をあけつ
放
(
ぱな
)
しにして、
043
いらひさがした
[
※
「いらひ」=えらい(とんでもない)の訛り、「さがした」=嶮した(あぶない)か?
]
蜂
(
はち
)
の
巣
(
す
)
の
外側
(
そとがは
)
を
守
(
まも
)
つてゐる
雀蜂
(
すずめばち
)
宜
(
よろ
)
しくの
体裁
(
ていさい
)
で
控
(
ひか
)
へてゐる。
044
タール
『オイ、
045
アーク、
046
どうやら
東
(
ひがし
)
が
白
(
しら
)
んだやうぢやないか。
047
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
もかうして
不寝番
(
ふしんばん
)
をやらされて
居
(
ゐ
)
るが、
048
最早
(
もはや
)
夜
(
よ
)
も
明
(
あ
)
け
方
(
がた
)
に
近
(
ちか
)
くなつたのだから、
049
夜警
(
やけい
)
の
必要
(
ひつえう
)
もあるまい、
050
一
(
ひと
)
つ
瞳孔
(
どうこう
)
に
休養
(
きうやう
)
を
命
(
めい
)
じたら
何
(
ど
)
うだらう』
051
アーク
『
瞳孔
(
どうこう
)
も
彼処
(
かしこ
)
も
明
(
あか
)
くなりかけたのは、
052
此
(
この
)
アーク
灯
(
とう
)
さまの
光
(
ひかり
)
だよ。
053
貴様
(
きさま
)
、
054
いつも
俺
(
おれ
)
をアークぢやない
悪党
(
あくたう
)
ぢや
悪党
(
あくたう
)
ぢやと
吐
(
ぬか
)
しよるが、
055
何程
(
なんぼ
)
暗
(
やみ
)
の
晩
(
ばん
)
だつて、
056
明
(
あか
)
くするのはアーク
灯
(
とう
)
だ。
057
それだから、
058
善
(
ぜん
)
が
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふとも、
059
悪党
(
あくたう
)
が
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふとも
分
(
わか
)
るまいがな。
060
エエー、
061
善悪
(
ぜんあく
)
混淆
(
こんかう
)
、
062
美醜
(
びしう
)
相交
(
あひまじ
)
はつて、
063
現実
(
げんじつ
)
世界
(
せかい
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
してゐるのだ。
064
貴様
(
きさま
)
のやうに
悪
(
あく
)
が
夫
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
怖
(
こは
)
ければ、
065
元
(
もと
)
からこんな
所
(
ところ
)
へ
首
(
くび
)
をつつ
込
(
こ
)
まない
方
(
はう
)
が
気
(
き
)
が
利
(
き
)
いてゐるぢやないか。
066
バラモン
教
(
けう
)
と
言
(
い
)
へば、
067
元
(
もと
)
より
悪
(
あく
)
に
極
(
き
)
まつてゐる。
068
其
(
その
)
悪
(
あく
)
の
教
(
をしへ
)
にアークさまだから、
069
大変
(
たいへん
)
に
誂
(
あつら
)
へ
向
(
むき
)
だ』
070
タール
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな。
071
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
悪
(
あく
)
があつてたまらうかい。
072
大自在天
(
だいじざいてん
)
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は、
073
世界
(
せかい
)
の
造主
(
つくりぬし
)
だ。
074
悪
(
あく
)
を
以
(
もつ
)
て
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
何
(
ど
)
うして
完全
(
くわんぜん
)
に
創造
(
さうざう
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ようか、
075
俺
(
おれ
)
は
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
思
(
おも
)
へばこそ、
076
斯
(
か
)
うして
辛
(
つら
)
い
御用
(
ごよう
)
をしてゐるのだ。
077
元
(
もと
)
から
軍人
(
ぐんじん
)
に
生
(
うま
)
れたのでもなし、
078
軍人
(
ぐんじん
)
を
志願
(
しぐわん
)
したのでもないが、
079
お
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
に
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
に
引
(
ひ
)
きずられて、
080
心
(
こころ
)
にもない
戦陣
(
せんぢん
)
に
加
(
くは
)
はつたのだ。
081
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると
三五教
(
あななひけう
)
の
悪神
(
あくがみ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
が、
082
畏
(
おそれおほ
)
くも
大雲山
(
だいうんざん
)
の
聖地
(
せいち
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
するかも
知
(
し
)
れないといふ
形勢
(
けいせい
)
ぢやないか。
083
吾々
(
われわれ
)
信徒
(
しんと
)
としては
血
(
ち
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
を
守
(
まも
)
らねばならないのだ』
084
アーク
『
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
085
悪
(
あく
)
でなければ
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
かない。
086
俺
(
おれ
)
は、
087
バラモン
教
(
けう
)
は
悪
(
あく
)
だと
知
(
し
)
つたから
気
(
き
)
に
入
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ。
088
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
は
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
だと
吐
(
ぬか
)
して
居
(
ゐ
)
るが、
089
此
(
この
)
現実
(
げんじつ
)
世界
(
せかい
)
は
物質
(
ぶつしつ
)
を
以
(
もつ
)
て
固
(
かた
)
められてゐる。
090
吾々
(
われわれ
)
の
肉体
(
にくたい
)
だつて
皆
(
みな
)
物質
(
ぶつしつ
)
だ。
091
天
(
てん
)
に
輝
(
かがや
)
く
太陽
(
たいやう
)
でさへヤツパリ
物質
(
ぶつしつ
)
だ。
092
物質界
(
ぶつしつかい
)
に
生
(
い
)
きて
行
(
ゆ
)
かうとすれば、
093
何
(
ど
)
うしても
物質界
(
ぶつしつかい
)
の
法則
(
はふそく
)
に
従
(
したが
)
はねばならぬ、
094
凡
(
すべ
)
て
現実界
(
げんじつかい
)
の
太陽
(
たいやう
)
よりする
自愛
(
じあい
)
や
世間愛
(
せけんあい
)
は
要
(
えう
)
するに
悪
(
あく
)
だ。
095
優勝
(
いうしよう
)
劣敗
(
れつぱい
)
弱肉
(
じやくにく
)
強食
(
きやうしよく
)
は
現界
(
げんかい
)
の
動
(
うご
)
かす
可
(
べか
)
らざる
真理
(
しんり
)
だ。
096
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ。
097
強
(
つよ
)
い
獣
(
けだもの
)
は
弱
(
よわ
)
い
獣
(
けだもの
)
を
捕
(
と
)
つて
食
(
く
)
ひ、
098
大魚
(
おほうを
)
は
小魚
(
こうを
)
を
呑
(
の
)
み、
099
鷹
(
たか
)
は
鵙
(
もず
)
をとり、
100
鵙
(
もず
)
は
雀
(
すずめ
)
を
捕
(
と
)
つて
食
(
く
)
ふぢやないか。
101
人間
(
にんげん
)
だつて
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
をたたいては
喰
(
く
)
ひ、
102
気楽
(
きらく
)
相
(
さう
)
に
海川
(
うみかは
)
を
游泳
(
いうえい
)
してゐる
魚族
(
ぎよぞく
)
を
捕獲
(
ほくわく
)
し、
103
天然
(
てんねん
)
を
楽
(
たのし
)
んでゐる
植物
(
しよくぶつ
)
の
実
(
み
)
を
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
いたり、
104
こすつたり、
105
水
(
みづ
)
につけたり、
106
重
(
おも
)
しをかけたり、
107
熱湯
(
ねつたう
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れたり、
108
火
(
ひ
)
あぶりにあはしたり、
109
実
(
じつ
)
に
残忍
(
ざんにん
)
極
(
きは
)
まる
事
(
こと
)
をやつて
口腹
(
こうふく
)
を
充
(
みた
)
し、
110
それで
生活
(
せいくわつ
)
を
続
(
つづ
)
けてゐるのだ。
111
要
(
えう
)
するに
人間
(
にんげん
)
は
悪
(
あく
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
だ。
112
こんな
事
(
こと
)
が
悪
(
あく
)
だと
云
(
い
)
つてやらずに
居
(
を
)
つて
見
(
み
)
よ、
113
一
(
いち
)
日
(
にち
)
だつて
生命
(
いのち
)
を
保
(
たも
)
つ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬぢやないか。
114
それだから
仮令
(
たとへ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
が
善
(
ぜん
)
であらうが
悪
(
あく
)
であらうが、
115
吾々
(
われわれ
)
の
社会
(
しやくわい
)
を
建設
(
けんせつ
)
するに
就
(
つ
)
いて
邪魔
(
じやま
)
になる
奴
(
やつ
)
ア、
116
仮令
(
たとへ
)
善
(
ぜん
)
でも
悪
(
あく
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
をつけて
亡
(
ほろ
)
ぼして
了
(
しま
)
はなくちや
自分
(
じぶん
)
達
(
たち
)
が
亡
(
ほろ
)
ぼされて
了
(
しま
)
ふのだ』
117
タール
『さうすると、
118
人間
(
にんげん
)
が
死
(
し
)
んだら、
119
皆
(
みな
)
地獄
(
ぢごく
)
に
行
(
ゆ
)
かねばならぬぢやないか』
120
アーク
『ヘン、
121
地獄
(
ぢごく
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れるワイ。
122
地獄
(
ぢごく
)
と
云
(
い
)
へば、
123
目
(
ま
)
のあたり
現界
(
げんかい
)
に
現
(
あら
)
はれてゐるのだ。
124
他人
(
たにん
)
の
国土
(
こくど
)
を
占領
(
せんりやう
)
したり、
125
或
(
あるひ
)
は
大
(
だい
)
資本家
(
しほんか
)
が
小
(
せう
)
資本家
(
しほんか
)
を
押倒
(
おしたふ
)
したり、
126
大地主
(
おほぢぬし
)
が
小地主
(
こぢぬし
)
を
併呑
(
へいどん
)
したり、
127
沢山
(
たくさん
)
の
軍人
(
ぐんじん
)
を
抱
(
かか
)
へて、
128
武装
(
ぶさう
)
的
(
てき
)
平和
(
へいわ
)
を
高唱
(
かうしやう
)
したりしてゐるのは、
129
皆
(
みな
)
地獄
(
ぢごく
)
の
行方
(
やりかた
)
だ。
130
極楽
(
ごくらく
)
なんて
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
があつてたまらうかい。
131
勝
(
か
)
てば
官軍
(
くわんぐん
)
、
132
敗
(
ま
)
くれば
賊
(
ぞく
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるぢやないか。
133
最凶悪
(
さいきようあく
)
のすぐれた
者
(
もの
)
が
地獄界
(
ぢごくかい
)
の
覇権者
(
はけんしや
)
だ。
134
死後
(
しご
)
の
世界
(
せかい
)
なんか、
135
心配
(
しんぱい
)
するにや
及
(
およ
)
ばぬ。
136
呑
(
の
)
めよ
騒
(
さわ
)
げよ
一寸先
(
いつすんさき
)
や
暗
(
やみ
)
だ、
137
暗
(
やみ
)
の
後
(
あと
)
には
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
る、
138
月
(
つき
)
は
月
(
つき
)
ぢやが
嘘
(
うそ
)
ツキぢや、
139
と
云
(
い
)
ふぢやないか。
140
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
との
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
141
誠
(
まこと
)
ぢや、
142
善
(
ぜん
)
ぢやと、
143
そんな
体
(
てい
)
のよい
辞令
(
じれい
)
を
振
(
ふ
)
りまはして、
144
コツソリと
偽善
(
ぎぜん
)
をやつてゐるやうな
奴
(
やつ
)
こそ、
145
真
(
しん
)
の
悪党者
(
あくたうもの
)
だ。
146
そんな
奴
(
やつ
)
こそ
八衢
(
やちまた
)
代物
(
しろもの
)
といふのだ。
147
或
(
あるひ
)
はこれを
称
(
しよう
)
して
二股
(
ふたまた
)
膏薬
(
かうやく
)
といふ。
148
ヤツパリ
人間
(
にんげん
)
は
男
(
をとこ
)
らしう、
149
悪
(
あく
)
なら
悪
(
あく
)
、
150
善
(
ぜん
)
なら
善
(
ぜん
)
と、
151
輪廓
(
りんくわく
)
を
明瞭
(
めいれう
)
にせなくちや、
152
人
(
ひと
)
が
信用
(
しんよう
)
して
呉
(
く
)
れないぞ。
153
悪
(
あく
)
の
強
(
つよ
)
い
者
(
もの
)
程
(
ほど
)
紳士
(
しんし
)
紳商
(
しんしやう
)
、
154
英雄
(
えいゆう
)
名士
(
めいし
)
と
持
(
も
)
てはやされるのだ。
155
善人
(
ぜんにん
)
と
云
(
い
)
へば
馬鹿
(
ばか
)
の
代名詞
(
だいめいし
)
だ、
156
それだから
俺
(
おれ
)
はアークといふ
名
(
な
)
をつけて、
157
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
毒瓦斯
(
どくがす
)
で
酔
(
よ
)
はしてやる
積
(
つも
)
りで、
158
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
頭
(
あたま
)
までテカテカに
光
(
ひか
)
らしてゐるのだ。
159
たつた
今
(
いま
)
俺
(
おれ
)
の
親分
(
おやぶん
)
即
(
すなは
)
ち
自然界
(
しぜんかい
)
の
太陽
(
たいやう
)
がお
上
(
あが
)
り
遊
(
あそ
)
ばすのだ。
160
すべて
自然界
(
しぜんかい
)
の
太陽
(
たいやう
)
より
来
(
きた
)
る
光熱
(
くわうねつ
)
は、
161
自愛
(
じあい
)
の
源泉
(
げんせん
)
だ、
162
利己
(
りこ
)
主義
(
しゆぎ
)
の
標本
(
へうほん
)
だ。
163
利己
(
りこ
)
主義
(
しゆぎ
)
を
極端
(
きよくたん
)
に
発揮
(
はつき
)
する
人間
(
にんげん
)
を
利己
(
りこ
)
(
利巧
(
りかう
)
)な
奴
(
やつ
)
と
云
(
い
)
ふのだ。
164
エエーン』
165
タール
『オイ、
166
アーク、
167
貴様
(
きさま
)
は
大変
(
たいへん
)
な
物質
(
ぶつしつ
)
主義
(
しゆぎ
)
にかぶれたものだなア、
168
他人
(
たにん
)
の
為
(
ため
)
には
一毛
(
いちまう
)
も
損
(
そん
)
せずといふニーチエ
主義
(
しゆぎ
)
だな』
169
アーク
『きまつた
事
(
こと
)
だ。
170
ニーチエ
主義
(
しゆぎ
)
だよ。
171
日英
(
にちえい
)
同盟
(
どうめい
)
だつて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りぢやないか、
172
自分
(
じぶん
)
とこの
国
(
くに
)
が、
173
日
(
にち
)
も
三進
(
さつち
)
も
行
(
ゆ
)
かぬ
様
(
やう
)
になつた
時
(
とき
)
に
英考
(
えこ
)
を
起
(
おこ
)
して、
174
一寸
(
ちよつと
)
強
(
つよ
)
相
(
さう
)
な
国
(
くに
)
を
番犬
(
ばんけん
)
に
使
(
つか
)
ひ、
175
東洋
(
とうやう
)
はまだおろか、
176
西洋
(
せいやう
)
迄
(
まで
)
警護
(
けいご
)
の
役
(
やく
)
を
命
(
めい
)
じ、
177
オツシ オツシとケシをかけて
日々
(
にちにち
)
喜
(
よろこ
)
ばせ、
178
モウ
英
(
えい
)
といふ
時分
(
じぶん
)
になると、
179
今度
(
こんど
)
は
尻
(
しり
)
をクレツと
向
(
む
)
け、
180
赤米
(
あかべい
)
と
云
(
い
)
つて、
181
米
(
べい
)
の
方
(
はう
)
へ
握手
(
あくしゆ
)
をし、
182
日
(
にち
)
の
方
(
はう
)
へ
尻
(
けつ
)
を
向
(
む
)
ける、
183
ケツは
即
(
すなは
)
ち
月
(
げつ
)
だ、
184
それでツキ
倒
(
たふ
)
しといふのだよ。
185
さうだから、
186
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
何
(
ど
)
うしても
利己
(
りこ
)
な
行方
(
やりかた
)
をせなくちや、
187
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だ。
188
人
(
ひと
)
の
褌
(
ふんどし
)
で
相撲
(
すまふ
)
とるのが
所謂
(
いはゆる
)
外交家
(
ぐわいかうか
)
の
手腕
(
しゆわん
)
だ。
189
アフンどし
であいた
口
(
くち
)
がすぼまらぬ、
190
尻糞
(
しりくそ
)
が
天下
(
てんか
)
を
取
(
と
)
るといふのが、
191
混同
(
こんどう
)
した
世界
(
せかい
)
の
比喩
(
たとへ
)
だ、
192
今
(
いま
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の……モシヤ
宣伝使
(
せんでんし
)
でもやつて
来
(
き
)
よつたら、
193
うまくそこは
日英
(
にちえい
)
同盟
(
どうめい
)
式
(
しき
)
を
発揮
(
はつき
)
して、
194
深
(
ふか
)
い
陥穽
(
おとしあな
)
へでも
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
むのだな』
195
タール
『ヘン、
196
偉相
(
えらさう
)
に
云
(
い
)
ふものぢやないワ。
197
貴様
(
きさま
)
は
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
で
何
(
ど
)
うだつたい、
198
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
一行
(
いつかう
)
に、
199
言霊戦
(
ことたません
)
とやらを
打
(
う
)
ちかけられ、
200
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
に
居
(
ゐ
)
乍
(
なが
)
ら
馬
(
うま
)
も
何
(
なに
)
も
打
(
う
)
ちやつて
命
(
いのち
)
カラガラ
遁走
(
とんそう
)
した
張本人
(
ちやうほんにん
)
ぢやないか、
201
余
(
あま
)
り
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
をあけて
言
(
い
)
ふものぢやないぞ。
202
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
にも
程
(
ほど
)
があるワイ』
203
アーク
『
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
にとは
傍
(
かたはら
)
に
人
(
ひと
)
無
(
な
)
きが
如
(
ごと
)
しといふのだ。
204
貴様
(
きさま
)
は
俺
(
おれ
)
の
傍
(
そば
)
に
居
(
を
)
つても、
205
人間
(
にんげん
)
ぢやないからな。
206
ウツフツフ』
207
タール
『
俺
(
おれ
)
だつて
堂々
(
だうだう
)
たる
人間
(
にんげん
)
様
(
さま
)
だ。
208
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にすな』
209
アーク
『
俺
(
おれ
)
や
又
(
また
)
貴様
(
きさま
)
は
小使
(
こづかひ
)
のタールかと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたのだ。
210
マアマアお
手際
(
てぎは
)
を
見
(
み
)
て
居
(
を
)
れ、
211
たつた
今
(
いま
)
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
が
勝
(
かち
)
に
乗
(
じやう
)
じて、
212
悠々
(
いういう
)
とここへやつて
来
(
く
)
るに
違
(
ちがひ
)
ない。
213
さうすりやうまく
国際
(
こくさい
)
聯盟
(
れんめい
)
条約
(
でうやく
)
でも
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
して、
214
武備
(
ぶび
)
制限
(
せいげん
)
を
実行
(
じつかう
)
し、
215
首尾
(
しゆび
)
よく
大勝利
(
だいしようり
)
を
得
(
う
)
る
積
(
つも
)
りぢや、
216
貴様
(
きさま
)
はジーツとして
一言
(
ひとこと
)
も
言
(
い
)
はぬ
様
(
やう
)
にしてくれ。
217
なまじひ、
218
善心
(
ぜんしん
)
を
出
(
だ
)
しよると、
219
条約
(
でうやく
)
締結
(
ていけつ
)
の
邪魔
(
じやま
)
になるからな』
220
タール
『アーク、
221
一寸
(
ちよつと
)
北
(
きた
)
の
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
い、
222
来
(
き
)
たぞ
来
(
き
)
たぞ』
223
アーク
『ヤア
彼奴
(
あいつ
)
ア、
224
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ、
225
ハヽヽヽヽ
治国別
(
はるくにわけ
)
ぢや、
226
コヽ
此奴
(
こいつ
)
ア、
227
タヽ
大変
(
たいへん
)
だ』
228
タール
『イヒヽヽヽ、
229
あのあわて
様
(
やう
)
わいのう。
230
何
(
なん
)
だ、
231
今迄
(
いままで
)
法螺
(
ほら
)
ばかり
吹
(
ふ
)
きやがつて、
232
そんな
弱腰
(
よわごし
)
で
何
(
ど
)
うして、
233
全権
(
ぜんけん
)
大使
(
たいし
)
が
勤
(
つと
)
まるか』
234
アーク
『
全権
(
ぜんけん
)
大使
(
たいし
)
ぢやない、
235
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
で
条約
(
でうやく
)
締結
(
ていけつ
)
する
積
(
つも
)
りぢや。
236
オイ
貴様
(
きさま
)
、
237
チツと
確
(
しつか
)
りしてくれぬと
困
(
こま
)
るよ』
238
タール
『
俺
(
おれ
)
は
何
(
なん
)
にも
言
(
い
)
はぬ
筈
(
はず
)
だつたねえ』
239
アーク
『エヽ、
240
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
奴
(
やつ
)
だな。
241
臨機
(
りんき
)
応変
(
おうへん
)
といふ
事
(
こと
)
を、
242
コヽ
心得
(
こころえ
)
てゐるか。
243
アヽヽモウそこらがビリビリして、
244
体
(
からだ
)
の
繊維
(
せんゐ
)
細胞
(
さいばう
)
迄
(
まで
)
が
躍動
(
やくどう
)
し
出
(
だ
)
した、
245
何
(
なん
)
でも
俺
(
おれ
)
の
体内
(
たいない
)
にや
民衆
(
みんしう
)
運動
(
うんどう
)
が
勃発
(
ぼつぱつ
)
し
出
(
だ
)
したとみえるワイ』
246
タール
『エツヘツヘ、
247
どうやら
俺
(
おれ
)
も
体内国
(
たいないこく
)
の
暴動
(
ばうどう
)
が
鎮定
(
ちんてい
)
したと
見
(
み
)
えて、
248
凡
(
すべ
)
ての
諸官能
(
しよくわんのう
)
が
活動
(
くわつどう
)
中止
(
ちゆうし
)
と……
見
(
み
)
えるワイ。
249
シヽ
舌
(
した
)
迄
(
まで
)
引
(
ひ
)
きつつて
来
(
き
)
さうだ。
250
キヨキヨ
恐怖心
(
きようふしん
)
が
大変
(
たいへん
)
に
巾
(
はば
)
を
利
(
き
)
かしよつた……やうだ』
251
アーク
『アヽ
苦
(
くる
)
しい、
252
ドヽ
何
(
ど
)
うしたら、
253
此
(
この
)
談判
(
だんぱん
)
はカヽ
解決
(
かいけつ
)
がつくだらうかな』
254
タール
『アインスタインの
相対性
(
さうたいせい
)
原理説
(
げんりせつ
)
でも
応用
(
おうよう
)
して、
255
うまく
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
切
(
き
)
りぬけ……るのだな』
256
かく
二人
(
ふたり
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
257
ビツクリ
腰
(
ごし
)
をぬかし、
258
舌
(
した
)
の
根
(
ね
)
も
合
(
あ
)
はず、
259
大
(
おほ
)
きな
目玉
(
めだま
)
の
瞳孔
(
どうこう
)
を、
260
いやが
上
(
うへ
)
にも
開
(
あ
)
けつ
放
(
ぱな
)
しにして、
261
尖
(
とが
)
つた
腮
(
あご
)
をホウヅもなく
延長
(
えんちやう
)
し、
262
口
(
くち
)
を
立方形
(
りつぱうけい
)
に
開
(
あ
)
け
乍
(
なが
)
ら、
263
舌
(
した
)
を
喉
(
のど
)
の
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
へちぢ
込
(
こ
)
めて、
264
戦
(
をのの
)
いてゐる。
265
治国別
(
はるくにわけ
)
、
266
竜公
(
たつこう
)
はツカツカと
進
(
すす
)
みより、
267
治国
(
はるくに
)
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
はバラモン
軍
(
ぐん
)
の
関所守
(
せきしよもり
)
と
見
(
み
)
えるが、
268
之
(
これ
)
よりランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
へ、
269
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
案内
(
あんない
)
してくれまいか』
270
アーク『メヽヽ
滅相
(
めつさう
)
な、
271
コヽこんな
所
(
ところ
)
を
通過
(
つうくわ
)
して
貰
(
もら
)
つちや
堪
(
たま
)
りませぬワ、
272
……ヤアお
前
(
まへ
)
は
竜公
(
たつこう
)
ぢやないか。
273
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
三五教
(
あななひけう
)
へ
沈没
(
ちんぼつ
)
したのだ。
274
貴様
(
きさま
)
こそ
勝手
(
かつて
)
を
知
(
し
)
つてゐるだらうから、
275
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
所
(
ところ
)
へ
案内
(
あんない
)
せい、
276
オヽ
俺
(
おれ
)
は
此
(
この
)
関所
(
せきしよ
)
の
常置品
(
じやうちひん
)
だ』
277
竜公
『アツハヽヽ、
278
貴様
(
きさま
)
はアークにタールの
両人
(
りやうにん
)
ぢやないか、
279
何
(
なん
)
だ、
280
みつともない
其
(
その
)
ザマは、
281
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かしやがつたのだな。
282
モシ
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
、
283
此奴
(
こいつ
)
ア
駄目
(
だめ
)
ですよ。
284
こんな
者
(
もの
)
にかまはずドンドンと
奥
(
おく
)
へ
進
(
すす
)
みませう。
285
幸
(
さいは
)
ひ
私
(
わたし
)
は
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
つたのですから、
286
貴方
(
あなた
)
の
案内役
(
あんないやく
)
には
大変
(
たいへん
)
都合
(
つがふ
)
が
宜
(
よろ
)
しい。
287
そして
又
(
また
)
あの
通
(
とほ
)
りの
乱軍
(
らんぐん
)
でしたから、
288
此
(
この
)
竜公
(
たつこう
)
が
貴方
(
あなた
)
の
弟子
(
でし
)
になつたといふ
事
(
こと
)
は、
289
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
もランチもまだ
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
りますまい。
290
大変
(
たいへん
)
に
好都合
(
かうつがふ
)
ですよ』
291
アーク
『コリヤ
竜公
(
たつこう
)
、
292
其
(
その
)
秘密
(
ひみつ
)
を
聞
(
き
)
くからは、
293
最早
(
もはや
)
此
(
この
)
方
(
はう
)
は
許
(
ゆる
)
しは
致
(
いた
)
さぬぞ。
294
見事
(
みごと
)
陣中
(
ぢんちう
)
へ
這入
(
はい
)
るなら
這入
(
はい
)
つてみよ。
295
飛
(
と
)
んで
火
(
ひ
)
に
入
(
い
)
る
夏
(
なつ
)
の
虫
(
むし
)
だ、
296
のうタール、
297
可哀相
(
かあいさう
)
ぢやないか』
298
タール
『オイ
竜公
(
たつこう
)
、
299
貴様
(
きさま
)
も
謀叛人
(
むほんにん
)
なら
謀叛人
(
むほんにん
)
でよいから、
300
その
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
伴
(
とも
)
をして
元
(
もと
)
へ
引返
(
ひつかへ
)
したらよからうぞ。
301
こんな
宣伝使
(
せんでんし
)
にやつて
来
(
こ
)
られると、
302
又
(
また
)
一悶錯
(
ひともんさく
)
が
始
(
はじ
)
まつちや
大変
(
たいへん
)
だ。
303
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
も
困
(
こま
)
るだらうし、
304
又
(
また
)
宣伝使
(
せんでんし
)
も
一骨
(
ひとほね
)
折
(
を
)
らねばなるまい。
305
これ
程
(
ほど
)
物騒
(
ぶつそう
)
な
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
306
好
(
す
)
き
好
(
この
)
んで
平地
(
へいち
)
へ
波
(
なみ
)
を
起
(
おこ
)
すやうな
事
(
こと
)
はするに
及
(
およ
)
ばぬぢやないか。
307
なア
治国別
(
はるくにわけ
)
さま、
308
貴方
(
あなた
)
は
何
(
ど
)
う
考
(
かんが
)
へますか』
309
治国別
『ウーン、
310
吾々
(
われわれ
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
311
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
に
対
(
たい
)
し、
312
善言
(
ぜんげん
)
を
与
(
あた
)
へて、
313
彼
(
かれ
)
が
霊肉
(
れいにく
)
をして
高天原
(
たかあまはら
)
へ
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ、
314
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
、
315
其
(
その
)
歓
(
よろこ
)
びを
分
(
わ
)
け
与
(
あた
)
へむ
為
(
ため
)
に、
316
此
(
この
)
竜公
(
たつこう
)
を
案内者
(
あんないしや
)
として
将軍
(
しやうぐん
)
の
面前
(
めんぜん
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
積
(
つも
)
りだ。
317
其
(
その
)
方
(
はう
)
も
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り
心
(
こころ
)
を
入
(
い
)
れ
替
(
か
)
へて、
318
善道
(
ぜんだう
)
に
立返
(
たちかへ
)
り、
319
地獄道
(
ぢごくだう
)
の
苦
(
くるし
)
みを
免
(
まぬが
)
れる
気
(
き
)
はないか。
320
何程
(
なにほど
)
強
(
つよ
)
い
者勝
(
ものがち
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だと
云
(
い
)
つても、
321
悪
(
あく
)
では
何時迄
(
いつまで
)
も
続
(
つづ
)
きは
致
(
いた
)
さぬぞ。
322
どうぢや、
323
治国別
(
はるくにわけ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ふ
気
(
き
)
はないか』
324
タール
『ハイ、
325
私
(
わたし
)
は
従
(
したが
)
はぬことはない
事
(
こと
)
はありませぬが、
326
此
(
この
)
アークといふ
奴
(
やつ
)
、
327
実
(
じつ
)
に
悪党
(
あくたう
)
な
代物
(
しろもの
)
で、
328
ニーチエ
主義
(
しゆぎ
)
ですから、
329
此奴
(
こいつ
)
ア
駄目
(
だめ
)
でせうよ』
330
アーク
『モシ
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
331
アークに
見
(
み
)
えても、
332
善
(
ぜん
)
に
見
(
み
)
えてもアークといふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ですから、
333
私
(
わたし
)
こそ、
334
真
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
目
(
め
)
から
見
(
み
)
れば、
335
善人
(
ぜんにん
)
かも
知
(
し
)
れますまい。
336
どうぞお
助
(
たす
)
けを
願
(
ねが
)
ひます』
337
竜公
『
此奴
(
こいつ
)
は
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
部下
(
ぶか
)
に
於
(
おい
)
ても、
338
最
(
もつと
)
も
悪名
(
あくめい
)
高
(
たか
)
き
危険
(
きけん
)
人物
(
じんぶつ
)
、
339
併
(
しか
)
しながら
悪
(
あく
)
に
強
(
つよ
)
い
者
(
もの
)
は
善
(
ぜん
)
にも
強
(
つよ
)
いといふ
事
(
こと
)
だから、
340
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
、
341
一
(
ひと
)
つ
此奴
(
こいつ
)
を
許
(
ゆる
)
して
案内
(
あんない
)
させたら
何
(
ど
)
うでせうか』
342
治国別
『そりや
丁度
(
ちやうど
)
都合
(
つがふ
)
が
好
(
よ
)
からう、
343
……アーク、
344
タールの
両人
(
りやうにん
)
、
345
吾々
(
われわれ
)
の
為
(
ため
)
にランチ、
346
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
の
前
(
まへ
)
に
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
せ』
347
アーク『ハイ、
348
畏
(
かしこ
)
まりました』
349
と、
350
今迄
(
いままで
)
抜
(
ぬ
)
かして
居
(
を
)
つた
腰
(
こし
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
回復
(
くわいふく
)
し、
351
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つてスタスタと
陣幕
(
ぢんまく
)
のはり
廻
(
まは
)
した
南
(
みなみ
)
の
方
(
かた
)
を
指
(
さ
)
して
歩行
(
ある
)
き
出
(
だ
)
した。
352
治国別
(
はるくにわけ
)
、
353
竜公
(
たつこう
)
両人
(
りやうにん
)
は
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
つて、
354
一二丁
(
いちにちやう
)
ばかりやつて
来
(
き
)
た。
355
俄
(
にはか
)
にガサリと
足許
(
あしもと
)
は
転落
(
てんらく
)
し、
356
四五間
(
しごけん
)
もある
深
(
ふか
)
い
陥穽
(
おとしあな
)
に
両人
(
りやうにん
)
は
無残
(
むざん
)
にも
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
357
陥穽
(
おとしあな
)
の
底
(
そこ
)
には
林
(
はやし
)
の
如
(
ごと
)
く
鋭利
(
えいり
)
な
鎗
(
やり
)
が
空地
(
あきち
)
なしに
立
(
た
)
ててあつた。
358
されど
両人
(
りやうにん
)
共
(
とも
)
神
(
かみ
)
のお
守
(
まも
)
りの
厚
(
あつ
)
き
為
(
ため
)
か、
359
都合
(
つがふ
)
よく
鎗
(
やり
)
と
鎗
(
やり
)
との
間
(
あひだ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み、
360
少
(
すこ
)
しの
疵
(
きず
)
も
負
(
お
)
はなかつた。
361
アークは
陥穽
(
おとしあな
)
の
上
(
うへ
)
から
底
(
そこ
)
を
覗
(
のぞ
)
きながら、
362
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
をペロツと
出
(
だ
)
し、
363
アーク
『イヒヽヽヽ、
364
いぢらしい
者
(
もの
)
だなア、
365
ウツフヽヽヽ、
366
うつけ
者
(
もの
)
奴
(
め
)
、
367
エツヘヽヽヽ、
368
えゝ
気味
(
きみ
)
だなア、
369
オツホヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
370
アツハヽヽヽ
安本丹
(
あんぽんたん
)
の
黒焼
(
くろやき
)
、
371
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
372
穴有教
(
あなありけう
)
の
制敗
(
せいばい
)
を
受
(
う
)
けて、
373
くたばつたがよからう。
374
アークさまの
計略
(
けいりやく
)
には、
375
アフンと
致
(
いた
)
しただらう。
376
イヒヽヽヽ、
377
オイ、
378
タール、
379
何
(
ど
)
うだ、
380
アークさまの
腕前
(
うでまへ
)
には
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つただらう』
381
タール
『アーク
魔
(
ま
)
の
業
(
わざ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだとは
此
(
この
)
事
(
こと
)
だな。
382
アークまでもアークを
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
すバラモン
教
(
けう
)
のやり
方
(
かた
)
には、
383
俺
(
おれ
)
も
唖然
(
あぜん
)
としたワイ。
384
モシモシ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
385
決
(
けつ
)
してタールが
悪
(
わる
)
いのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬから、
386
どうぞ
国替
(
くにがへ
)
をなさつても、
387
私
(
わたし
)
には
化
(
ば
)
けて
出
(
で
)
ぬやうにして
下
(
くだ
)
さい、
388
此
(
この
)
タールの
生首
(
なまくび
)
を
引抜
(
ひきぬ
)
くならば、
389
此
(
この
)
アークの
首
(
くび
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
下
(
くだ
)
さい』
390
アーク
『ヘン、
391
俺
(
おれ
)
の
首
(
くび
)
は
鉄
(
てつ
)
で
拵
(
こしら
)
へてあるのだから、
392
仮令
(
たとへ
)
幾百万
(
いくひやくまん
)
の
亡者
(
まうじや
)
が、
393
一斉
(
いつせい
)
襲撃
(
しふげき
)
をしたつて
駄目
(
だめ
)
だ。
394
モウ
斯
(
か
)
うなればこつちの
物
(
もの
)
だ。
395
サアこれからランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
に
報告
(
はうこく
)
して
第一番
(
だいいちばん
)
の
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
を
現
(
あら
)
はしてくれる。
396
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
だつて、
397
数百
(
すうひやく
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
と
共
(
とも
)
に
脆
(
もろ
)
くも
敗走
(
はいそう
)
した
治国別
(
はるくにわけ
)
を、
398
此
(
この
)
アークさまの
計略
(
けいりやく
)
に
仍
(
よ
)
つて
巧
(
うま
)
く
片付
(
かたづ
)
けたのだから、
399
大
(
たい
)
したものだ。
400
ガーター
勲章
(
くんしやう
)
だ』
401
タール
『ガタガタ
慄
(
ぶる
)
ひのガーター
勲章
(
くんしやう
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れるワイ』
402
アーク
『エヽゴテゴテ
云
(
い
)
ふな、
403
今
(
いま
)
に
俺
(
おれ
)
がランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
片腕
(
かたうで
)
、
404
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
と
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べて、
405
全軍
(
ぜんぐん
)
の
指揮
(
しき
)
をする
様
(
やう
)
になるのだ。
406
貴様
(
きさま
)
ここに
穴
(
あな
)
の
番
(
ばん
)
をしてをれ、
407
俺
(
おれ
)
はこれからランチ
将軍
(
しやうぐん
)
に
報告
(
はうこく
)
に
行
(
ゆ
)
く。
408
俺
(
おれ
)
の
姿
(
すがた
)
も
今
(
いま
)
が
見納
(
みをさ
)
めだぞ。
409
今度目
(
こんどめ
)
に
貴様
(
きさま
)
に
会
(
あ
)
ふ
時
(
とき
)
には、
410
頭
(
あたま
)
の
先
(
さき
)
から
足
(
あし
)
の
先
(
さき
)
まで、
411
金筋
(
きんすぢ
)
だらけだ。
412
よく
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ておけ、
413
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
間違
(
まちが
)
つて
無礼
(
ぶれい
)
を
致
(
いた
)
さぬ
様
(
やう
)
に……』
414
タール
『ヘン、
415
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
手柄
(
てがら
)
をしようと
思
(
おも
)
つても、
416
其奴
(
そいつ
)
ア
駄目
(
だめ
)
だぞ。
417
そんな
偉相
(
えらさう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふと、
418
貴様
(
きさま
)
がビツクリして
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かした
事
(
こと
)
をランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
にスツパぬいてやらうか。
419
手柄
(
てがら
)
をしようには
俺
(
おれ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
でないと
駄目
(
だめ
)
だぞ。
420
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
の
手柄
(
てがら
)
にしようとは、
421
余
(
あま
)
り
虫
(
むし
)
がよすぎるぢやないか』
422
アーク
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
手柄
(
てがら
)
も
認
(
みと
)
めてやらぬ
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
くまい。
423
やがて
沙汰
(
さた
)
を
致
(
いた
)
すから、
424
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つてをれよ。
425
エヘン』
426
と
咳払
(
せきばら
)
ひをしながら、
427
早
(
はや
)
くも
将軍
(
しやうぐん
)
になつた
気分
(
きぶん
)
で、
428
言葉
(
ことば
)
付
(
つき
)
迄
(
まで
)
おごそかに、
429
反
(
そ
)
り
身
(
み
)
になつて
大股
(
おほまた
)
に
両手
(
りやうて
)
の
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
り、
430
大道
(
だいだう
)
狭
(
せま
)
しと
打振
(
うちふ
)
りながら、
431
えも
言
(
い
)
はれぬ
得意顔
(
とくいがほ
)
で、
432
長
(
なが
)
いコンパスを、
433
のそりのそりとふん
張
(
ば
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
434
(
大正一二・一・八
旧一一・一一・二二
松村真澄
録)
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