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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第47巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 浮木の盲亀
第1章 アーク燈
第2章 黒士会
第3章 寒迎
第4章 乱痴将軍
第5章 逆襲
第6章 美人草
第2篇 中有見聞
第7章 酔の八衢
第8章 中有
第9章 愛と信
第10章 震士震商
第11章 手苦駄女
第3篇 天国巡覧
第12章 天界行
第13章 下層天国
第14章 天開の花
第15章 公義正道
第16章 霊丹
第17章 天人歓迎
第18章 一心同体
第19章 化相神
第20章 間接内流
第21章 跋文
余白歌
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霊界物語
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舎身活躍(第37~48巻)
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第47巻(戌の巻)
> 第1篇 浮木の盲亀 > 第4章 乱痴将軍
<<< 寒迎
(B)
(N)
逆襲 >>>
第四章
乱痴
(
らんち
)
将軍
(
しやうぐん
)
〔一二三七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻
篇:
第1篇 浮木の盲亀
よみ(新仮名遣い):
うききのもうき
章:
第4章 乱痴将軍
よみ(新仮名遣い):
らんちしょうぐん
通し章番号:
1237
口述日:
1923(大正12)年01月08日(旧11月22日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月6日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ランチ将軍は、治国別を陣中に迎え入れてこの強敵を滅ぼそうと煩悶苦悩している最中であった。宣伝使の危難にも、部下たちはお祭り気分で喜楽に相撲を取ってさざめきあっていた。
陣屋の奥でランチ将軍、片彦将軍、治国別が酒を酌み交わして宴の最中、あわただしくエキスがやってきた。そして、竜公が三五教に寝返ったことを奏上し、彼を捕えたいと願い出た。
ランチ将軍は、すでに三五教とは和睦がなったと言って治国別を紹介し、竜公にも酒をふるまったらよいと鷹揚なところを見せた。竜公の様子を尋ねられたエキスは、相撲を取って実は竜公に負けたことを遠回しに白状した。そこへ竜公がやってきた。
ランチ将軍と片彦将軍は、竜公を宴に招き入れた。酒に酔った治国別と竜公は、奥の間で休むようにとランチ将軍と片彦将軍に誘われ、奥座敷に案内された。しかしこの居間は罠であり、二人は地下の水牢に落ち込んでしまった。
二人は岩窟に頭を打って気絶してしまう。ランチ将軍、片彦将軍、エキスは手を打って愉快気に笑い散らした。ランチ将軍、片彦将軍はエキスに命じて怪しの森に張り込ませ、ひとつには三五教の宣伝使の通過を見張り、ひとつには美人を捕えて陣中に連れてくるように言いつけた。
ランチ将軍と片彦将軍は、宿敵治国別を捕えることができたのもアークとタールの功績だと、奨励のために二人を昇進させ、一切万事の相談をする幹部に抜擢した。しかしこのとき、二人はすでに心機一転して内心三五教の信者となっていたのであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-04-12 17:18:01
OBC :
rm4704
愛善世界社版:
60頁
八幡書店版:
第8輯 493頁
修補版:
校定版:
62頁
普及版:
28頁
初版:
ページ備考:
001
馬
(
うま
)
は
君
(
きみ
)
の
危急
(
ききふ
)
を
知
(
し
)
らず、
002
鷹
(
たか
)
は
悪人
(
あくにん
)
の
頭上
(
づじやう
)
を
飛
(
と
)
ぶとかや、
003
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
004
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は、
005
イソ
館
(
やかた
)
の
攻撃戦
(
こうげきせん
)
の
容易
(
ようい
)
ならざるに
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
まし、
006
反間
(
はんかん
)
苦肉
(
くにく
)
の
策
(
さく
)
を
弄
(
ろう
)
して
漸
(
やうや
)
く
治国別
(
はるくにわけ
)
を
陣中
(
ぢんちう
)
に
迎
(
むか
)
へ
入
(
い
)
れ、
007
如何
(
いか
)
にもして
此
(
この
)
強敵
(
きやうてき
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼさむかと
煩悶
(
はんもん
)
苦悩
(
くなう
)
の
最中
(
さいちう
)
にも
拘
(
かか
)
はらず、
008
部下
(
ぶか
)
の
木端
(
こつぱ
)
武者
(
むしや
)
共
(
ども
)
は、
009
お
祭
(
まつ
)
り
気分
(
きぶん
)
になつて
気楽
(
きらく
)
相
(
さう
)
に
相撲
(
すまふ
)
をとり、
010
さざめき
合
(
あ
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
011
陣屋
(
ぢんや
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
にはランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
012
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
を
始
(
はじ
)
め
治国別
(
はるくにわけ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
013
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
として
酒
(
さけ
)
酌
(
く
)
み
交
(
かは
)
し、
014
和睦
(
わぼく
)
の
宴
(
えん
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
015
そこへ
慌
(
あわただ
)
しくやつて
来
(
き
)
たのは
力強
(
ちからづよ
)
の
相撲
(
すもう
)
好
(
ず
)
きのエキスであつた。
016
エキス
『エー、
017
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
に
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます。
018
只今
(
ただいま
)
竜公
(
たつこう
)
が
三五教
(
あななひけう
)
へ
寝返
(
ねがへ
)
りを
打
(
う
)
ち、
019
其
(
その
)
スパイとなつて、
020
吾
(
わが
)
陣中
(
ぢんちう
)
へ
舞
(
ま
)
ひ
込
(
こ
)
んで
参
(
まゐ
)
りました。
021
彼奴
(
あいつ
)
は
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り
中々
(
なかなか
)
の
力強
(
ちからづよ
)
で
厶
(
ござ
)
りますれば、
022
到底
(
たうてい
)
一通
(
ひととほ
)
りではとつ
捉
(
つか
)
まへる
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りますまいから、
023
何卒
(
どうぞ
)
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
秘蔵
(
ひざう
)
の
曲輪
(
まがわ
)
を
暫
(
しばら
)
くお
貸
(
か
)
し
下
(
くだ
)
さいますまいか。
024
其
(
その
)
曲輪
(
まがわ
)
によつて
彼
(
かれ
)
をフン
縛
(
じば
)
り、
025
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
白状
(
はくじやう
)
させねば、
026
駄目
(
だめ
)
ですからな』
027
ランチ『
何
(
なに
)
、
028
竜公
(
たつこう
)
が……
三五教
(
あななひけう
)
のスパイになつたとな。
029
アハヽヽヽ、
030
決
(
けつ
)
して
案
(
あん
)
ずるには
及
(
およ
)
ばぬ。
031
現
(
げん
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
、
032
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
吾々
(
われわれ
)
と
和睦
(
わぼく
)
を
遊
(
あそ
)
ばし、
033
主客
(
しゆきやく
)
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて
酒宴
(
しゆえん
)
の
最中
(
さいちう
)
だ。
034
それよりも
竜公
(
たつこう
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
致
(
いた
)
して、
035
酒
(
さけ
)
でもふれまつたら
宜
(
よ
)
からう』
036
エキス
『ヤー、
037
之
(
これ
)
は
失礼
(
しつれい
)
致
(
いた
)
しました。
038
そこに
厶
(
ござ
)
るのは、
039
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
き
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
りましたか。
040
これはこれは
存
(
ぞん
)
ぜぬ
事
(
こと
)
とて
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
を
申
(
まを
)
しました』
041
治国別
『アー、
042
竜公
(
たつこう
)
さまは
如何
(
どう
)
してゐられますかな』
043
エキス
『ハイ、
044
大変
(
たいへん
)
な
元気
(
げんき
)
で
相撲
(
すもう
)
をとつてゐられます。
045
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は、
046
私
(
わたし
)
も
今
(
いま
)
一勝負
(
ひとしようぶ
)
して
来
(
き
)
たところです』
047
治国別
『
貴方
(
あなた
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
立派
(
りつぱ
)
な
体格
(
たいかく
)
だが
強
(
つよ
)
いでせうな。
048
竜公
(
たつこう
)
さまとの
勝負
(
しようぶ
)
は、
049
如何
(
どう
)
なりましたか』
050
エキス
『ハイ、
051
い……いや……もう、
052
とんと……
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
ります』
053
治国別
『ハヽア、
054
何
(
いづ
)
れ
劣
(
おと
)
らぬ
竜虎
(
りうこ
)
の
争
(
あらそ
)
ひ、
055
要
(
えう
)
するに
行司
(
ぎやうじ
)
の
預
(
あづか
)
りと
云
(
い
)
ふ
処
(
ところ
)
ですかな。
056
まアまア
分
(
わ
)
けをとつておけば
互
(
たがひ
)
に
恨
(
うら
)
みが
残
(
のこ
)
らいで
結構
(
けつこう
)
ですよ。
057
アハヽヽヽ』
058
エキス
『ヘー、
059
その、
060
……エー、
061
……
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
062
つひ、
063
馬
(
うま
)
に
蹴
(
け
)
られまして、
064
マーケタと
云
(
い
)
ふのですな』
065
治国別
『
うま
く
云
(
い
)
ひますね。
066
二番
(
にばん
)
勝負
(
しようぶ
)
でしたか、
067
一番
(
いちばん
)
勝負
(
しようぶ
)
でしたか』
068
エキス
『ハイ、
069
一番
(
いちばん
)
と
云
(
い
)
へば
一番
(
いちばん
)
、
070
二番
(
にばん
)
と
云
(
い
)
へば
二番
(
にばん
)
ですな。
071
真中
(
まんなか
)
で
水
(
みづ
)
を
入
(
い
)
れたものですから、
072
先
(
さき
)
の
一番
(
いちばん
)
は
拙者
(
せつしや
)
が
負
(
ま
)
けました。
073
後
(
あと
)
の
一番
(
いちばん
)
は
先方
(
むかふ
)
が
勝
(
か
)
ちましたよ』
074
ランチ
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
は、
075
ランチ他二人
『アハヽヽヽ』
076
と
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
笑
(
わら
)
ふ。
077
ランチ『おい、
078
エキス、
079
まア
一杯
(
いつぱい
)
やつたら
如何
(
どう
)
だ』
080
エキス
『(
都々逸
(
どどいつ
)
)
相撲
(
すまふ
)
にや
負
(
ま
)
けても
怪我
(
けが
)
さへなけりや
081
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
酒
(
さけ
)
飲
(
の
)
ます
082
アハヽヽヽいや
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります。
083
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
政府
(
せいふ
)
が
物価
(
ぶつか
)
調節
(
てうせつ
)
、
084
下落
(
げらく
)
の
方針
(
はうしん
)
を
採
(
と
)
つてゐるのですから、
085
まけ
さへすればいいのです。
086
負
(
ま
)
けて
勝取
(
かちと
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がありますからな。
087
吾々
(
われわれ
)
共
(
ども
)
から
範
(
はん
)
を
示
(
しめ
)
さなくちや、
088
如何
(
どう
)
しても
不良
(
ふりやう
)
商人
(
せうにん
)
が
暴利
(
ばうり
)
を
貪
(
むさぼ
)
つて
仕方
(
しかた
)
がありませぬからな』
089
片彦
(
かたひこ
)
『アハヽヽヽ、
090
負惜
(
まけをし
)
みの……
何処
(
どこ
)
までも
強
(
つよ
)
い
男
(
をとこ
)
だな』
091
エキス
『
将軍
(
しやうぐん
)
さま、
092
貴方
(
あなた
)
だつて
負
(
ま
)
けるのは
上手
(
じやうづ
)
でせう。
093
治国別
(
はるくにわけ
)
さまの
言霊戦
(
ことたません
)
に
向
(
むか
)
つた
時
(
とき
)
は
何
(
ど
)
うでしたな。
094
エヘヽヽヽ』
095
片彦
『
和睦
(
わぼく
)
の
済
(
す
)
んだ
上
(
うへ
)
は
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はない
様
(
やう
)
にして
呉
(
く
)
れ。
096
勝敗
(
しようはい
)
は
時
(
とき
)
の
運
(
うん
)
だからな』
097
かかる
所
(
ところ
)
へ
竜公
(
たつこう
)
とタールは
軍扇
(
ぐんせん
)
を
持
(
も
)
つたまま
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
り、
098
竜公
(
たつこう
)
『
一寸
(
ちよつと
)
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
に
伺
(
うかが
)
ひますが、
099
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
はお
見
(
み
)
えになつて
居
(
を
)
りますか』
100
と
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
から
尋
(
たづ
)
ねて
居
(
ゐ
)
る。
101
片彦
(
かたひこ
)
『さう
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
は
竜公
(
たつこう
)
ぢやないか。
102
何処
(
どこ
)
をうろついてゐたのだ。
103
まア
這入
(
はい
)
れ』
104
竜公
『はい、
105
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
ります』
106
と
云
(
い
)
ひながら
戸
(
と
)
をガラリと
開
(
あ
)
けて、
107
タールと
共
(
とも
)
につかつかと
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
108
竜公
(
たつこう
)
『まだ
新年
(
しんねん
)
に
早
(
はや
)
う
厶
(
ござ
)
りますが、
109
皆
(
みな
)
さま、
110
まけましてお
目出度
(
めでた
)
う
厶
(
ござ
)
ります』
111
片彦
(
かたひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
!』
112
竜公
『いえいえ、
113
エー……
誤解
(
ごかい
)
して
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
ります。
114
実
(
じつ
)
は
只今
(
ただいま
)
馬場
(
ばんば
)
に
於
(
おい
)
て
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
ます
此
(
この
)
エキスの
関取
(
せきとり
)
と
格闘
(
かくとう
)
をやりました
処
(
ところ
)
、
115
脆
(
もろ
)
くもエキスが
負
(
ま
)
けましたので、
116
エキス
君
(
くん
)
に
対
(
たい
)
して
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げたので
厶
(
ござ
)
ります』
117
ランチ『アハヽヽヽ、
118
片彦
(
かたひこ
)
さま、
119
何事
(
なにごと
)
も、
120
もう
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
水
(
みづ
)
に
流
(
なが
)
すのだな』
121
片彦
『
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
122
常
(
つね
)
ならば
許
(
ゆる
)
し
難
(
がた
)
き
代物
(
しろもの
)
ですが、
123
今日
(
けふ
)
は
和睦
(
わぼく
)
の
祝
(
いはひ
)
に
忘
(
わす
)
れてやりませう。
124
おい
竜公
(
たつこう
)
、
125
貴様
(
きさま
)
は
余程
(
よほど
)
幸福者
(
しあはせもの
)
だ』
126
竜公
『
本当
(
ほんたう
)
にお
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り
私
(
わたし
)
は
幸福者
(
しあはせもの
)
ですよ。
127
到頭
(
たうとう
)
三五教
(
あななひけう
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
覚
(
おぼ
)
えちまつたものですから、
128
最早
(
もはや
)
今日
(
けふ
)
となつてはバラモン
教
(
けう
)
の
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
や
千
(
せん
)
人
(
にん
)
位
(
くらゐ
)
は、
129
とつて
放
(
ほ
)
る
位
(
くらゐ
)
は
何
(
なん
)
でもありませぬからな。
130
エツヘヽヽヽ』
131
ランチ『
竜公
(
たつこう
)
、
132
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りだ。
133
一杯
(
いつぱい
)
やらうかい』
134
竜公
『ハイ、
135
有難
(
ありがた
)
う。
136
例
(
れい
)
の○○
酒
(
さけ
)
ぢやありませぬかな』
137
ランチ
『
決
(
けつ
)
して
鴆毒
(
ちんどく
)
は
這入
(
はい
)
つて
居
(
ゐ
)
ないよ。
138
これ
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
俺
(
おれ
)
が
飲
(
の
)
んでゐるのだから』
139
竜公
『
成程
(
なるほど
)
、
140
それなら
恐
(
おそ
)
れながら、
141
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
のお
飲
(
あが
)
りになつたのを
頂
(
いただ
)
きませう。
142
余程
(
よほど
)
剣呑
(
けんのん
)
ですからな』
143
ランチ
『
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
が
身
(
み
)
を
責
(
せ
)
めるのだ。
144
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
余程
(
よほど
)
悪
(
わる
)
いことを
企
(
たく
)
んでると
見
(
み
)
えるな。
145
心
(
こころ
)
に
悪
(
あく
)
あれば
人
(
ひと
)
を
恐
(
おそ
)
るるとか、
146
又
(
また
)
心
(
こころ
)
に
企
(
たく
)
みあれば
人
(
ひと
)
を
疑
(
うたが
)
ふと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるぢやないか。
147
何
(
なに
)
か
貴様
(
きさま
)
は
野心
(
やしん
)
を
包蔵
(
はうざう
)
してゐるのだらう』
148
竜公
『
野心
(
やしん
)
は
貴方
(
あなた
)
の
方
(
はう
)
にあるのでせう。
149
かうして
治国別
(
はるくにわけ
)
を
此処
(
ここ
)
へ
導
(
みちび
)
いて
来
(
き
)
たのは、
150
うまく
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
はし、
151
隙
(
すき
)
を
狙
(
ねら
)
つて○○しようと
云
(
い
)
ふ
考
(
かんが
)
へだと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はチヤーンと
此
(
この
)
天眼通
(
てんがんつう
)
で
調
(
しら
)
べてあるのですよ。
152
此
(
この
)
竜公
(
たつこう
)
だつて、
153
最早
(
もはや
)
今日
(
けふ
)
となつては
神
(
かみ
)
の
神力
(
しんりき
)
と
智慧
(
ちゑ
)
に
充
(
み
)
たされ、
154
今迄
(
いままで
)
のヒヨツトコ
野郎
(
やらう
)
とは
聊
(
いささ
)
か
訳
(
わけ
)
が
違
(
ちが
)
ふのですから、
155
斯様
(
かやう
)
な
大胆
(
だいたん
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてゐられるのですよ。
156
一
(
ひと
)
つ
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
して
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れませうかな。
157
エヘヽヽヽ』
158
ランチ
『しようもない
事
(
こと
)
を
覚
(
おぼ
)
えて
来
(
き
)
たものだな』
159
片彦
(
かたひこ
)
『
何程
(
なにほど
)
、
160
威張
(
ゐば
)
つた
所
(
ところ
)
で
駄目
(
だめ
)
だらうよ。
161
そりや
大方
(
おほかた
)
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてゐるのだらう。
162
虎
(
とら
)
の
威
(
ゐ
)
をかる
狐
(
きつね
)
とは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だらうよ。
163
オホヽヽヽ』
164
と
心中
(
しんちう
)
にやや
恐
(
おそ
)
れながら
豪傑
(
がうけつ
)
笑
(
わら
)
ひに
紛
(
まぎ
)
らしてゐる。
165
治国
(
はるくに
)
『いや
大変
(
たいへん
)
に
頂戴
(
ちやうだい
)
を
致
(
いた
)
し
酩酊
(
めいてい
)
しました。
166
エー
何処
(
どつ
)
かで
休息
(
きうそく
)
さして
貰
(
もら
)
ひたいものですな』
167
ランチ『アー、
168
大変
(
たいへん
)
にお
疲
(
くたぶ
)
れでせう。
169
では
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
にユルリと
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
なさいませ。
170
やア
竜公
(
たつこう
)
、
171
貴様
(
きさま
)
も
一緒
(
いつしよ
)
にお
供
(
とも
)
して
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
で
休
(
やす
)
んだら
如何
(
どう
)
だ』
172
竜公
『ハイ、
173
有難
(
ありがた
)
う、
174
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
にグツスリと
寝
(
やす
)
んで
頂
(
いただ
)
きまして、
175
此
(
この
)
竜公
(
たつこう
)
は
万一
(
まんいち
)
に
備
(
そな
)
ふるため、
176
不寝番
(
ねずばん
)
を
致
(
いた
)
しませう』
177
ランチ
『おい
竜公
(
たつこう
)
、
178
まだ
疑
(
うたが
)
つてゐるのかな』
179
竜公
『
平生
(
ふだん
)
のやり
方
(
かた
)
が、
180
やり
方
(
かた
)
ですから、
181
何程
(
なんぼ
)
和睦
(
わぼく
)
をなさつたと
云
(
い
)
つても、
182
何
(
ど
)
うして
油断
(
ゆだん
)
が
出来
(
でき
)
ませうか。
183
おい、
184
タール、
185
貴様
(
きさま
)
も
俺
(
おれ
)
について
来
(
こ
)
い』
186
片彦
(
かたひこ
)
『いや、
187
タールには
至急
(
しきふ
)
甲付
(
まをしつ
)
け
度
(
た
)
い
事
(
こと
)
があるから、
188
竜公
(
たつこう
)
一人
(
ひとり
)
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
へ
宿直
(
とのゐ
)
を
致
(
いた
)
したがよからう。
189
さア
治国別
(
はるくにわけ
)
さま、
190
案内
(
あんない
)
を
致
(
いた
)
しませう』
191
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
立派
(
りつぱ
)
な
一段
(
いちだん
)
高
(
たか
)
い
俄造
(
にはかづく
)
りの
奥座敷
(
おくざしき
)
に
案内
(
あんない
)
した。
192
此
(
この
)
居間
(
ゐま
)
は
燕返
(
つばめがへ
)
しになつて
居
(
ゐ
)
て、
193
一
(
ひと
)
つ
針金
(
はりがね
)
を
引張
(
ひつぱ
)
ると
真暗
(
まつくら
)
な
深
(
ふか
)
い
穴
(
あな
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
む
様
(
やう
)
になつてゐる。
194
さうして
此処
(
ここ
)
は
水牢
(
みづらう
)
になつてゐる。
195
治国別
(
はるくにわけ
)
、
196
竜公
(
たつこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
此
(
この
)
間
(
ま
)
へ
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
むや
否
(
いな
)
や、
197
忽
(
たちま
)
ち
座敷
(
ざしき
)
はクレリと
燕返
(
つばめがへ
)
しの
芸当
(
げいたう
)
を
演
(
えん
)
じ、
198
真暗
(
まつくら
)
な
谷底
(
たにそこ
)
へ
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
199
水
(
みづ
)
は
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
ばかりより
溜
(
たま
)
つてゐないが、
200
両人
(
りやうにん
)
は
岩窟
(
がんくつ
)
にいささか
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
ち、
201
憐
(
あは
)
れや
忽
(
たちま
)
ち
気絶
(
きぜつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
202
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
203
片彦
(
かたひこ
)
、
204
エキスは
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
205
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
笑
(
わら
)
ひ
散
(
ち
)
らした。
206
片彦
(
かたひこ
)
『ヤア、
207
ランチ
殿
(
どの
)
、
208
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
大物
(
おほもの
)
を
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
く
計略
(
けいりやく
)
にかけて
岩窟内
(
がんくつない
)
へ
落
(
おと
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
209
最早
(
もはや
)
天下
(
てんか
)
に
恐
(
おそ
)
るべきものはありますまい。
210
サア
之
(
これ
)
から
一杯
(
いつぱい
)
やりませう』
211
と
又
(
また
)
もとの
座
(
ざ
)
へ
引返
(
ひつかへ
)
し
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
大
(
だい
)
乱痴気
(
らんちき
)
騒
(
さわ
)
ぎを
始
(
はじ
)
め
出
(
だ
)
した。
212
ランチ『どうも
陣中
(
ぢんちう
)
の
事
(
こと
)
と
云
(
い
)
ひ、
213
男
(
をとこ
)
ばかりが
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
んで
居
(
を
)
つてもはづまぬぢやないか。
214
片彦
(
かたひこ
)
殿
(
どの
)
、
215
部下
(
ぶか
)
の
奴
(
やつ
)
共
(
ども
)
に
少
(
すこ
)
し
渋皮
(
しぶかは
)
の
剥
(
む
)
けた
女
(
をんな
)
を
探
(
さが
)
さして
此処
(
ここ
)
へ
貢
(
みつ
)
がしたら
如何
(
どう
)
でせう。
216
もはや
治国別
(
はるくにわけ
)
を
殺
(
ころ
)
した
以上
(
いじやう
)
は
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
へ
対
(
たい
)
しても
云
(
い
)
ひ
訳
(
わけ
)
の
立
(
た
)
つと
云
(
い
)
ふもの、
217
余
(
あま
)
り
急
(
いそ
)
ぐにも
及
(
およ
)
びますまい。
218
まづ
此処
(
ここ
)
で
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
ばかり
野営
(
やえい
)
をして
英気
(
えいき
)
を
養
(
やしな
)
ひ、
219
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えてイソ
館
(
やかた
)
へ
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
む
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう。
220
何
(
ど
)
うせ
三五教
(
あななひけう
)
は
此処
(
ここ
)
を
通
(
とほ
)
らなくちや、
221
ハルナの
都
(
みやこ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬから、
222
一
(
いち
)
年間
(
ねんかん
)
も
女
(
をんな
)
なくてはやりきれないでせう』
223
片彦
『
成程
(
なるほど
)
、
224
然
(
しか
)
らばエキス、
225
其
(
その
)
方
(
はう
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ながら
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
部下
(
ぶか
)
を
引率
(
ひきつ
)
れ
怪
(
あや
)
しの
森
(
もり
)
に
陣取
(
ぢんど
)
り、
226
一
(
いつ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
通過
(
つうくわ
)
を
取調
(
とりしら
)
べ、
227
一
(
いつ
)
は
美人
(
びじん
)
の
通過
(
つうくわ
)
するあらば
有無
(
うむ
)
を
云
(
い
)
はせず、
228
ひつ
捕
(
と
)
らへて
陣中
(
ぢんちう
)
へ
連
(
つ
)
れ
来
(
く
)
る
様
(
やう
)
取計
(
とりはか
)
らへよ』
229
エキス
『ハイ、
230
委細
(
いさい
)
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました』
231
と
此処
(
ここ
)
にエキスはコー、
232
ワク、
233
エム
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
を
率
(
ひき
)
ゐ、
234
怪
(
あや
)
しの
森
(
もり
)
に
守衛
(
しゆゑい
)
を
命
(
めい
)
じおき、
235
自分
(
じぶん
)
は
陣中
(
ぢんちう
)
を
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
と
看守
(
みまも
)
りする
事
(
こと
)
となつた。
236
後
(
あと
)
にランチ、
237
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
はクビリクビリと
酒
(
さけ
)
を
傾
(
かたむ
)
けながら
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
238
ランチ『アー、
239
都合
(
つがふ
)
よくいつたものだな。
240
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
、
241
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
が
今日
(
けふ
)
の
吉報
(
きつぱう
)
を
聞
(
き
)
いたら
嘸
(
さぞ
)
喜
(
よろこ
)
ばれるだらう。
242
然
(
しか
)
し
吾々
(
われわれ
)
は
居
(
ゐ
)
ながらにして
功名
(
こうみやう
)
を
樹
(
た
)
てたのだから
実
(
じつ
)
に
幸福
(
しあはせ
)
だ。
243
之
(
これ
)
と
云
(
い
)
ふのも、
244
全
(
まつた
)
く
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
だ』
245
片彦
『
成程
(
なるほど
)
、
246
全
(
まつた
)
く
大自在天
(
だいじざいてん
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
に
間違
(
まちが
)
ひはありますまい。
247
之
(
これ
)
についてアーク、
248
タールの
両人
(
りやうにん
)
も
之
(
これ
)
から
抜擢
(
ばつてき
)
してやらねばなりますまい。
249
一
(
ひと
)
つ
将軍
(
しやうぐん
)
から
直接
(
ちよくせつ
)
にお
盃
(
さかづき
)
を
与
(
あた
)
へておやりなされば、
250
将来
(
しやうらい
)
のため
奨励
(
しやうれい
)
となつて
宜
(
い
)
いでせう』
251
ランチ
『
成程
(
なるほど
)
、
252
貴将軍
(
あなた
)
の
云
(
い
)
はるる
通
(
とほ
)
りアーク、
253
タールの
両人
(
りやうにん
)
を
此処
(
ここ
)
へ
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
しませう』
254
ランチは
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
従卒
(
じゆうそつ
)
を
招
(
まね
)
いた。
255
従卒
(
じゆうそつ
)
ビルは
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
進
(
すす
)
み
出
(
い
)
で、
256
ビル
『お
呼
(
よ
)
びになりましたのは
私
(
わたし
)
で
厶
(
ござ
)
りますか』
257
ランチ
『ウン、
258
只今
(
ただいま
)
アーク、
259
タールの
両人
(
りやうにん
)
を
之
(
これ
)
へ
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
して
来
(
こ
)
い、
260
否
(
いな
)
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れて
参
(
まゐ
)
れ』
261
ビル
『ハイ、
262
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
263
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立出
(
たちい
)
で、
264
肩肱
(
かたひぢ
)
怒
(
いか
)
らし
屋外
(
をくぐわい
)
に
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
265
アーク、
266
タールの
両人
(
りやうにん
)
は
真裸体
(
まつぱだか
)
となつて
治国別
(
はるくにわけ
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
知
(
し
)
らず
土俵
(
どへう
)
で
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
267
そこへビルは
鼻高々
(
はなたかだか
)
と
勅使
(
ちよくし
)
気取
(
きど
)
りになつて
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
268
ビル
『アイヤ、
269
そこに
居
(
ゐ
)
るアーク、
270
タールの
両人
(
りやうにん
)
、
271
申渡
(
まをしわた
)
す
仔細
(
しさい
)
がある。
272
某
(
それがし
)
についてランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
まで
罷
(
まか
)
りつん
出
(
で
)
よ』
273
と
下知
(
げち
)
した。
274
アーク、
275
タールの
両人
(
りやうにん
)
はビルの
怪
(
あや
)
しきスタイルに
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
276
アーク『アハヽヽヽ
将軍
(
しやうぐん
)
の
従卒
(
じゆうそつ
)
だと
思
(
おも
)
つていやに
鯱子張
(
しやちこば
)
つて
居
(
ゐ
)
やがるな。
277
何
(
なん
)
だ、
278
鉛
(
なまり
)
の
福助
(
ふくすけ
)
人形
(
にんぎやう
)
見
(
み
)
た
様
(
やう
)
なスタイルしやがつて「
罷
(
まか
)
りつん
出
(
で
)
よ」もあつたものかい。
279
貴様
(
きさま
)
のスタイルこそ
古物屋
(
こぶつや
)
の
店前
(
みせさき
)
へ
日
(
ひ
)
の
丸
(
まる
)
の
扇
(
あふぎ
)
を
持
(
も
)
つて
坐
(
すわ
)
つてゐる
大文字屋
(
だいもんじや
)
福助
(
ふくすけ
)
ソツクリだ、
280
アハヽヽヽ
笑
(
わら
)
はしやがるわい』
281
ビル
『こりやこりや
両人
(
りやうにん
)
、
282
ビルの
言葉
(
ことば
)
でないぞよ。
283
勿体
(
もつたい
)
なくもランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
仰
(
あふ
)
せだ。
284
ビルの
言葉
(
ことば
)
は
即
(
すなは
)
ちランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
だ。
285
さあさあキリキリお
立
(
た
)
ち
召
(
め
)
され』
286
タール
『エー、
287
仕方
(
しかた
)
がないなア。
288
自分
(
じぶん
)
より
五六段
(
ごろくだん
)
も
低
(
ひく
)
い
奴
(
やつ
)
に
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らされて、
289
堪
(
たま
)
つたものぢやない。
290
之
(
これ
)
だから
宮仕
(
みやづか
)
へは
嫌
(
いや
)
といふのだ。
291
本当
(
ほんたう
)
に
木
(
き
)
の
角杭
(
かくくひ
)
の
様
(
やう
)
な
代物
(
しろもの
)
に
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らされて
何処
(
どこ
)
に
男
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つものか。
292
なあアーク』
293
アーク
『ウン、
294
さうともさうとも、
295
然
(
しか
)
しながら
主命
(
しゆめい
)
はもだし
難
(
がた
)
しだ。
296
さア
行
(
ゆ
)
かう』
297
此処
(
ここ
)
に
二人
(
ふたり
)
はビルに
導
(
みちび
)
かれ、
298
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
んだ。
299
然
(
しか
)
しながら
此
(
この
)
両人
(
りやうにん
)
は
已
(
すで
)
に
已
(
すで
)
に
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
して、
300
内心
(
ないしん
)
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となつて
居
(
ゐ
)
た。
301
二人
(
ふたり
)
の
心
(
こころ
)
が
斯
(
か
)
くも
変
(
かは
)
つて
居
(
ゐ
)
るとは
神
(
かみ
)
ならぬ
身
(
み
)
の
知
(
し
)
る
由
(
よし
)
もなく、
302
ランチ、
303
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
は
二人
(
ふたり
)
を
此上
(
こよ
)
なきものと
愛
(
め
)
で
慈
(
いつく
)
しみ、
304
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
の
相談
(
さうだん
)
をなすべく
幹部
(
かんぶ
)
に
抜擢
(
ばつてき
)
して
了
(
しま
)
つたのである。
305
(
大正一二・一・八
旧一一・一一・二二
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
逆襲 >>>
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