霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第47巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 浮木の盲亀
第1章 アーク燈
第2章 黒士会
第3章 寒迎
第4章 乱痴将軍
第5章 逆襲
第6章 美人草
第2篇 中有見聞
第7章 酔の八衢
第8章 中有
第9章 愛と信
第10章 震士震商
第11章 手苦駄女
第3篇 天国巡覧
第12章 天界行
第13章 下層天国
第14章 天開の花
第15章 公義正道
第16章 霊丹
第17章 天人歓迎
第18章 一心同体
第19章 化相神
第20章 間接内流
第21章 跋文
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第47巻(戌の巻)
> 第1篇 浮木の盲亀 > 第3章 寒迎
<<< 黒士会
(B)
(N)
乱痴将軍 >>>
第三章
寒迎
(
かんげい
)
〔一二三六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻
篇:
第1篇 浮木の盲亀
よみ(新仮名遣い):
うききのもうき
章:
第3章 寒迎
よみ(新仮名遣い):
かんげい
通し章番号:
1236
口述日:
1923(大正12)年01月08日(旧11月22日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月6日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
治国別は竜公とタールを伴い、浮木の里のランチ将軍の陣営を指して進んで行く。竜公は意気揚々として先に立ち、四方の景色を眺めながら新派口調で歌いだした。
治国別は神の愛と信と智慧証覚にみたされ、強敵の陣営に武器も持たずに進んで行くについても、里帰りするような心持で歌を歌いながら進んでいった。その雄々しさ、悠揚たる態度に感化されて、竜公もタールもすっかり天国旅行の気分になってしまった。
タールは平等愛と差別愛の違いについて、治国別に問いかけた。治国別は、差別愛は偏狭な恋愛のようなもの、平等愛は普遍的の愛、いわゆる神的愛だと簡単に解説し、新派様で歌いだした。
治国別は歌に籠めて、生来の差別愛から神的な平等愛に進む道は、惨憺たる血涙の道をゆかなければならない、と戒めた。そしてもう一首、信仰と法悦の信楽について歌い、それは現代の冷たい哲学や科学の斧によって幻滅の非運にあうような空想的なものではなく、神の持ち給へる愛の善と真の信とによって、智慧と証覚の上に立脚した大磐石心であると諭した。
前方からはランチ将軍が数十人の騎馬隊を引き連れて猛烈にやってきた。先頭に立っていたのはさきほど治国別に膏を絞られて助けられたアークであった。
アークは治国別に丁寧にお辞儀をし、迎えに来たので馬に乗って一緒に来てほしいと懇願した。治国別がランチ将軍はどなたかと尋ねると、将軍は馬を飛び下りて揉み手をしながら現れた。
ランチ将軍は治国別の前に仕立てに出て陣営に迎えようとする。治国別はランチ将軍の言葉を額面通りには信じていなかったが、彼を正道に導く好機と心に定め、差し出された馬にまたがって陣営に入って行った。
竜公とタールは陣営で軍卒どもが取っている相撲に見とれて、治国別が奥へ進んで行ったのに気付かなかった。土俵ではエキスが何人もの軍卒を投げつけて腕を誇っている。竜公は思わず土俵に飛び出し、エキスに挑んだ。
かねて対戦したことのある両者はたがいににらみ合いひとしきり掛け合った後、四股を踏んで潮を投げつけ、四つに組んだ。半時ばかりも組み合う長丁場にさすがのエキスも力尽き、隙をついて竜公がまわしを三辻をたたくと、土俵の中を転がって西のたまりへ転げ落ちてしまった。
エキスは面目をつぶし、裸のまま陣中の奥へ姿を隠した。賞賛の声、拍手の音はあたりもゆるぐばかりであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-04-12 17:53:31
OBC :
rm4703
愛善世界社版:
43頁
八幡書店版:
第8輯 486頁
修補版:
校定版:
44頁
普及版:
21頁
初版:
ページ備考:
派生
[?]
この文献を底本として書かれたと思われる文献です。
[×閉じる]
:
出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 第六篇 宗教雑感 > 第二章 信仰
001
治国別
(
はるくにわけ
)
は
竜公
(
たつこう
)
、
002
タールを
伴
(
ともな
)
ひ、
003
枯野
(
かれの
)
の
露
(
つゆ
)
を
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
けて
浮木
(
うきき
)
の
里
(
さと
)
に
屯
(
たむろ
)
せるランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
さして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
004
竜公
(
たつこう
)
は
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
005
四方
(
よも
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めながら
呂律
(
ろれつ
)
も
合
(
あ
)
はぬ
新派
(
しんぱ
)
口調
(
くてう
)
で
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
006
竜公
『
月
(
つき
)
山
(
やま
)
に
入
(
い
)
らず
007
天
(
てん
)
は
暁
(
あ
)
けざれど
008
雲雀
(
ひばり
)
や
百鳥
(
ももどり
)
の
009
忙
(
せ
)
はしき
声
(
こゑ
)
に
励
(
はげ
)
まされ
010
眠
(
ねむ
)
たき
眼
(
まなこ
)
を
擦
(
こす
)
りながら
011
早
(
はや
)
くも
荒野
(
あらの
)
に
012
歩
(
あゆ
)
みを
起
(
おこ
)
しぬ
013
○
014
露
(
つゆ
)
持
(
も
)
つ
草葉
(
くさは
)
を
015
草鞋
(
わらぢ
)
に
踏
(
ふ
)
めば
016
袖
(
そで
)
吹
(
ふ
)
くあしたの
風
(
かぜ
)
は
017
美
(
うる
)
はしく
薫
(
かを
)
りて
018
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひ
胸
(
むね
)
を
洗
(
あら
)
ふ
019
旅路
(
たびぢ
)
の
愉快
(
ゆくわい
)
さよ
020
坂照山
(
さかてるやま
)
の
月
(
つき
)
清
(
きよ
)
くして
021
松風
(
まつかぜ
)
に
添
(
そ
)
ふ
022
笙
(
しやう
)
の
音
(
ね
)
も
023
いとど
床
(
ゆか
)
しく
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
りぬ』
024
タールは、
025
タール
『オイ
竜公
(
たつこう
)
さま、
026
笙
(
しやう
)
もない、
027
笙
(
しやう
)
の
音
(
ね
)
も
何
(
なに
)
も
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
ないぢやないか。
028
エー、
029
詩人
(
しじん
)
といふものはソンナ
嘘
(
うそ
)
を
言
(
い
)
つても
良
(
よ
)
いのか』
030
竜公
『そこが
詩人
(
しじん
)
だよ。
031
詩
(
し
)
といふ
字
(
じ
)
は
言偏
(
ごんべん
)
に
寺
(
てら
)
といふ
字
(
じ
)
を
書
(
か
)
くからなア。
032
寺
(
てら
)
は
死人
(
しにん
)
の
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
だ。
033
笙々
(
しやうしやう
)
違
(
ちが
)
つた
所
(
ところ
)
で
正味
(
しやうみ
)
が
面白
(
おもしろ
)
ければ
可
(
い
)
いぢやないか。
034
どうせ
生
(
い
)
きたる
人間
(
にんげん
)
の
作
(
つく
)
るものぢや
無
(
な
)
いからな、
035
半詩
(
はんし
)
半笙
(
はんしやう
)
の
人間
(
にんげん
)
か、
036
又
(
また
)
は
現世
(
げんせ
)
に
用
(
よう
)
のない
老爺
(
おやぢ
)
や
三文
(
さんもん
)
蚊士
(
ぶんし
)
の
言
(
い
)
ふことだ。
037
俺
(
おれ
)
も
一寸
(
ちよつと
)
詩人
(
しじん
)
の
真似
(
まね
)
をして
見
(
み
)
たのだ』
038
タール
『
正味
(
しやうみ
)
ぢやない、
039
趣味
(
しゆみ
)
のことだらう』
040
竜公
『
正笙
(
しやうしやう
)
ぐらゐ
違
(
ちが
)
つたつて
別
(
べつ
)
に
詩才
(
しさい
)
はないぢやないか。
041
アハヽヽヽ』
042
タール
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
043
アノ
月
(
つき
)
さまも
矢張
(
やは
)
り
詩人
(
しじん
)
ですか、
044
中空
(
ちうくう
)
にぶるぶると
慄
(
ふる
)
へて
居
(
ゐ
)
るぢやありませぬか。
045
太陽
(
たいやう
)
さへあれば、
046
月
(
つき
)
は
必要
(
ひつえう
)
のないものですなア。
047
太陽
(
たいやう
)
の
光
(
ひかり
)
に
圧倒
(
あつたふ
)
されて
追々
(
おひおひ
)
と
光
(
ひかり
)
が
弱
(
よわ
)
り、
048
殆
(
ほとん
)
ど
死
(
し
)
んだやうに
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
たぢやありませぬか』
049
治国別
『ウン、
050
さう
見
(
み
)
えるかな。
051
それでは
一
(
ひと
)
つ
竜公
(
たつこう
)
さまに
習
(
なら
)
つて、
052
治国別
(
はるくにわけ
)
が
詩
(
し
)
でも
詠
(
よ
)
んで
見
(
み
)
ようかなア。
053
数百万
(
すうひやくまん
)
年
(
ねん
)
の
太古
(
たいこ
)
から
054
冷
(
ひ
)
え
切
(
き
)
つた
死
(
し
)
んだ
様
(
やう
)
な
055
寂
(
しづ
)
かな
月
(
つき
)
が
056
大空
(
たいくう
)
に
独
(
ひと
)
り
輝
(
かがや
)
いてゐる
057
それは
058
地上
(
ちじやう
)
の
万有
(
ばんいう
)
に
059
瑞光
(
ずゐくわう
)
を
投
(
な
)
げて
060
仁慈
(
じんじ
)
の
露
(
つゆ
)
を
061
蒼生
(
さうせい
)
の
上
(
うへ
)
に
降
(
くだ
)
し
062
生命
(
いのち
)
の
清水
(
しみづ
)
を
063
与
(
あた
)
へむがために
064
和光
(
わくわう
)
同塵
(
どうぢん
)
の
065
温姿
(
をんし
)
を
現
(
げん
)
じ
給
(
たま
)
ふためだ
066
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
ち
或
(
あるひ
)
は
虧
(
か
)
け
067
或
(
あるひ
)
は
没
(
ぼつ
)
して
068
地上
(
ちじやう
)
の
世界
(
せかい
)
に
069
明暗
(
めいあん
)
の
神機
(
しんき
)
を
示
(
しめ
)
し
070
仁慈
(
みろく
)
の
神業
(
かむわざ
)
を
071
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
に
072
営
(
いとな
)
ませ
給
(
たま
)
ふからだ
073
人間
(
にんげん
)
の
眼
(
まなこ
)
より
074
冷然
(
れいぜん
)
たる
月
(
つき
)
と
見
(
み
)
ゆるは
075
温情
(
をんじやう
)
内包
(
ないはう
)
の
摂理
(
せつり
)
に
076
その
霊光
(
れいくわう
)
を
隠
(
かく
)
させ
給
(
たま
)
ふためだ。
077
序
(
ついで
)
に
今吹
(
いまふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
を
詠
(
よ
)
んで
見
(
み
)
よう。
078
そよそよと
吹
(
ふ
)
く
079
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
080
脚歩
(
きやくほ
)
の
響
(
ひびき
)
081
草葉
(
くさば
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
けば
082
万物
(
ばんぶつ
)
みな
083
こころ
有
(
あ
)
りて
084
何事
(
なにごと
)
か
神秘
(
しんぴ
)
を
085
心
(
こころ
)
暗
(
くら
)
き
吾
(
わが
)
耳
(
みみ
)
に
086
語
(
かた
)
るあるに
似
(
に
)
たり』
087
治国別
(
はるくにわけ
)
は
神
(
かみ
)
の
愛
(
あい
)
と
信
(
しん
)
と
智慧
(
ちゑ
)
証覚
(
しようかく
)
に
充
(
み
)
たされ、
088
さしもの
強敵
(
きやうてき
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
向
(
むか
)
つて
武器
(
ぶき
)
をも
持
(
も
)
たず
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くについても、
089
殆
(
ほとん
)
ど
下女
(
げぢよ
)
が
春秋
(
はるあき
)
の
籔入
(
やぶいり
)
に
親里
(
おやざと
)
に
帰
(
かへ
)
る
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
で
途々
(
みちみち
)
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
其
(
その
)
雄々
(
をを
)
しさ。
090
竜公
(
たつこう
)
もタールも
何時
(
いつ
)
とはなしに
治国別
(
はるくにわけ
)
の
悠揚
(
いうやう
)
迫
(
せま
)
らざる
態度
(
たいど
)
に
感化
(
かんくわ
)
されて、
091
すつかり
天国
(
てんごく
)
の
旅行
(
りよかう
)
気分
(
きぶん
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
092
タールは、
093
タール
『もし、
094
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
095
平等愛
(
びやうどうあい
)
と
差別愛
(
さべつあい
)
とは
何処
(
どこ
)
で
違
(
ちが
)
ふのでせうか。
096
差別愛
(
さべつあい
)
から
平等愛
(
びやうどうあい
)
に
進
(
すす
)
むか、
097
平等愛
(
びやうどうあい
)
から
差別愛
(
さべつあい
)
に
分離
(
ぶんり
)
するのでせうか。
098
私
(
わたくし
)
は
差別
(
さべつ
)
的
(
てき
)
平等愛
(
びやうどうあい
)
、
099
平等
(
べうどう
)
的
(
てき
)
差別愛
(
さべつあい
)
だと
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
りますが、
100
どちらから
出発点
(
しゆつぱつてん
)
を
見出
(
みい
)
だせば
宜
(
よ
)
いのでせう』
101
治国別
『
差別愛
(
さべつあい
)
とは
偏狭
(
へんけふ
)
な
恋愛
(
れんあい
)
の
様
(
やう
)
なものだ。
102
平等愛
(
びやうどうあい
)
とは
普遍
(
ふへん
)
的
(
てき
)
の
愛
(
あい
)
だ。
103
所謂
(
いはゆる
)
神的愛
(
しんてきあい
)
だ。
104
今一
(
いまひと
)
つ
駄句
(
だく
)
つて
見
(
み
)
よう』
105
と
治国別
(
はるくにわけ
)
は、
106
治国別
『
生来
(
せいらい
)
の
差別愛
(
さべつあい
)
より
107
神的
(
しんてき
)
なる
108
平等愛
(
びやうどうあい
)
に
進
(
すす
)
む
径路
(
けいろ
)
は
109
実
(
じつ
)
に
110
惨憺
(
さんたん
)
たる
血涙
(
けつるゐ
)
の
111
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
かねばならぬ
112
これが
113
不断
(
ふだん
)
煩悩得
(
ぼんなうとく
)
涅槃
(
ねはん
)
の
114
有難
(
ありがた
)
い
消息
(
せうそく
)
が
秘
(
ひ
)
められてあるのだ。
115
序
(
ついで
)
に、
116
も
一首
(
いつしゆ
)
信仰
(
しんかう
)
と
法悦
(
ほふえつ
)
の
信楽
(
しんらく
)
に
就
(
つ
)
いて
駄句
(
だく
)
つて
見
(
み
)
よう。
117
信仰
(
しんかう
)
によつて
118
不信
(
ふしん
)
なる
吾人
(
ごじん
)
の
頑壁
(
ぐわんぺき
)
が
119
身心
(
しんしん
)
脱落
(
だつらく
)
し
崩壊
(
ほうくわい
)
し
去
(
さ
)
る
時
(
とき
)
は
120
神
(
かみ
)
の
宝座
(
ほうざ
)
より
121
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
る
霊風
(
れいふう
)
の
鞴
(
ふいご
)
に
122
解脱
(
げだつ
)
新生
(
しんせい
)
の
歓喜
(
くわんき
)
を
為
(
な
)
し
123
猛火
(
まうくわ
)
も
焼
(
や
)
く
能
(
あた
)
はず
124
波浪
(
はらう
)
も
没
(
ぼつ
)
する
能
(
あた
)
はず
底
(
てい
)
の
125
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
法身
(
ほつしん
)
126
おのづから
127
吾
(
われ
)
に
本具
(
ほんぐ
)
現成
(
ごんじやう
)
するを
128
自覚
(
じかく
)
し
得
(
う
)
るに
至
(
いた
)
る
129
その
時
(
とき
)
こそは
130
百千
(
ひやくせん
)
の
夏日
(
かじつ
)
昇
(
のぼ
)
りて
131
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
灼鑠
(
しやくやく
)
たるも
132
ただ
是
(
これ
)
133
自性
(
じしやう
)
法界
(
ほふかい
)
を
荘厳
(
さうごん
)
するの
七宝
(
しつぱう
)
134
清浄
(
しやうじやう
)
妙心
(
めうしん
)
を
照映
(
せうえい
)
するの
135
摩尼
(
まに
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
なるべきのみだ。
136
○
137
吾人
(
ごじん
)
が
法悦
(
ほふえつ
)
の
信楽
(
しんらく
)
は
138
現代
(
げんだい
)
の
冷
(
つめ
)
たい
哲学
(
てつがく
)
の
鋸
(
のこぎり
)
や
139
慧
(
さか
)
しい
科学
(
くわがく
)
の
斧
(
をの
)
に
由
(
よ
)
つて
140
忽
(
たちま
)
ち
幻滅
(
げんめつ
)
の
悲運
(
ひうん
)
に
141
会
(
あ
)
ふやうな
142
ソンナ
空想
(
くうさう
)
的
(
てき
)
のものでは
無
(
な
)
い
143
主
(
す
)
の
神
(
かみ
)
の
持
(
ぢ
)
し
給
(
たま
)
へる
144
愛
(
あい
)
の
善
(
ぜん
)
と
信
(
しん
)
の
真
(
しん
)
とによつて
145
智慧
(
ちゑ
)
と
証覚
(
しようかく
)
の
上
(
うへ
)
に
146
立脚
(
りつきやく
)
したる
大
(
だい
)
磐石心
(
ばんじやくしん
)
だ』
147
タール
『
只今
(
ただいま
)
のお
歌
(
うた
)
によつて、
148
私
(
わたくし
)
も
大変
(
たいへん
)
に
法悦
(
ほふえつ
)
の
信楽
(
しんらく
)
を
味
(
あぢ
)
はひました。
149
漸
(
やうや
)
く
今日
(
けふ
)
の
日輪
(
にちりん
)
様
(
さま
)
もお
上
(
あが
)
りになつたと
見
(
み
)
え、
150
坂照山
(
さかてるやま
)
の
頂
(
いただき
)
は
大変
(
たいへん
)
に
明
(
あか
)
るく
輝
(
かがや
)
いて
来
(
き
)
ました。
151
一
(
ひと
)
つ
歌
(
うた
)
でも
詠
(
よ
)
んで
見
(
み
)
ませう』
152
とタールは
歌
(
うた
)
ふ。
153
タール
『
燃
(
も
)
えさかる
希望
(
きばう
)
に
充
(
み
)
ちし
心
(
こころ
)
もて
154
昇
(
のぼ
)
る
旭
(
あさひ
)
を
拝
(
をろが
)
みにけり。
155
遠山
(
とほやま
)
の
峰
(
みね
)
は
真白
(
ましろ
)
し
今
(
いま
)
はしも
156
昇
(
のぼ
)
らむとして
雲
(
くも
)
映
(
は
)
え
居
(
を
)
れり。
157
より
強
(
つよ
)
く
生
(
い
)
きむと
思
(
おも
)
ふ
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
158
昇
(
のぼ
)
る
旭
(
あさひ
)
の
大
(
おほ
)
いなるかな』
159
竜公
(
たつこう
)
『
山
(
やま
)
荒
(
あ
)
れて
風
(
かぜ
)
の
捲
(
ま
)
きくる
郊外
(
かうぐわい
)
は
160
あたりも
見
(
み
)
えず
雪
(
ゆき
)
に
暮
(
く
)
れけり』
161
タール
『アハヽヽヽ、
162
オイ
竜公
(
たつこう
)
、
163
寝愡
(
ねとぼ
)
けちやいかぬよ、
164
「
雪
(
ゆき
)
に
暮
(
く
)
れけり」とは
何
(
なん
)
だ。
165
なぜ「
雪
(
ゆき
)
に
明
(
あ
)
けけり」と
云
(
い
)
はぬのだ』
166
竜公
『これは
昨晩
(
ゆうべ
)
の
貯蔵品
(
ちよざうひん
)
だ。
167
あんまり
永
(
なが
)
く
貯蔵
(
ちよざう
)
しておくと
寝息物
(
ねいきもの
)
になるから、
168
先
(
ま
)
づ
古
(
ふる
)
い
粗製品
(
そせいひん
)
から
売
(
う
)
つて、
169
それから
又
(
また
)
新
(
あたら
)
しい
奴
(
やつ
)
を
売
(
う
)
り
出
(
だ
)
すのだ。
170
あたら
名句
(
めいく
)
を
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で
腐
(
くさ
)
らして
了
(
しま
)
つちや
経済
(
けいざい
)
がもてぬからな。
171
さあ
之
(
これ
)
からが
新規
(
しんき
)
蒔直
(
まきなほ
)
しだ。
172
山
(
やま
)
明
(
あ
)
けて
風
(
かぜ
)
そよそよと
吹
(
ふ
)
く
野路
(
のぢ
)
は
173
あたりも
清
(
きよ
)
く
胸
(
むね
)
も
静
(
しづ
)
けき。
174
と
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
すのだ。
175
エヘン』
176
タール
『
何
(
なん
)
と
立派
(
りつぱ
)
な
歌
(
うた
)
だなア』
177
竜公
『まだまだ
之
(
これ
)
から、
178
とつときを
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
すのだ、
179
エヘン。
180
厳
(
おごそ
)
かに
旭
(
あさひ
)
を
浴
(
あ
)
びて
坂照山
(
さかてるやま
)
の
181
高嶺
(
たかね
)
は
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
に
聳
(
そび
)
ゆる。
182
とは
如何
(
どう
)
だ』
183
タール『
厳
(
おごそ
)
かに
生
(
い
)
きむとするか
気高
(
けだか
)
くも
184
錦
(
にしき
)
の
山
(
やま
)
は
空
(
そら
)
に
聳
(
そび
)
ゆる』
185
治国別
『いや、
186
何
(
いづ
)
れも
秀逸
(
しういつ
)
だ。
187
こんな
立派
(
りつぱ
)
な
詩人
(
しじん
)
と
同道
(
どうだう
)
して
居
(
ゐ
)
ると
治国別
(
はるくにわけ
)
も
殆
(
ほとん
)
ど
顔色
(
がんしよく
)
なしだ。
188
さあボツボツと
行
(
ゆ
)
かうぢやないか』
189
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ひつつ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
朝露
(
あさつゆ
)
を
踏
(
ふ
)
んで
枯草
(
かれくさ
)
茂
(
しげ
)
る
野路
(
のぢ
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
190
前方
(
ぜんぱう
)
よりはランチ
将軍
(
しやうぐん
)
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
騎馬隊
(
きばたい
)
を
引
(
ひ
)
き
率
(
つ
)
れ、
191
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
る
其
(
その
)
勢
(
いきほ
)
ひ、
192
山岳
(
さんがく
)
も
蹴飛
(
けと
)
ばすばかりに
思
(
おも
)
はれた。
193
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
つたのは
最前
(
さいぜん
)
治国別
(
はるくにわけ
)
に
救
(
すく
)
はれて
逃
(
に
)
げたアークである。
194
アークは
馬
(
うま
)
を
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
り、
195
治国別
(
はるくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り、
196
叮嚀
(
ていねい
)
に
会釈
(
ゑしやく
)
しながら、
197
アーク
『
先刻
(
せんこく
)
はえらい
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
に
預
(
あづ
)
かりまして
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
198
就
(
つ
)
きましては、
199
直様
(
すぐさま
)
本陣
(
ほんぢん
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
200
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
に
貴方
(
あなた
)
の
事
(
こと
)
を
申上
(
まをしあ
)
げた
処
(
ところ
)
、
201
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
も
大変
(
たいへん
)
にお
喜
(
よろこ
)
び
遊
(
あそ
)
ばしお
迎
(
むか
)
へに
出
(
で
)
なくちやなるまいと
仰有
(
おつしや
)
いまして、
202
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
御
(
ご
)
出陣
(
しゆつぢん
)
なさいました。
203
さあ
私
(
わたくし
)
の
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
本陣
(
ほんぢん
)
迄
(
まで
)
お
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
に』
204
治国別
『やあ、
205
それは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だつた。
206
そしてランチ
将軍
(
しやうぐん
)
殿
(
どの
)
は
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
られるのかな』
207
アーク
『ハイ、
208
あの
金色
(
きんしよく
)
燦爛
(
さんらん
)
たる
軍帽
(
ぐんばう
)
を
冠
(
かぶ
)
つて
居
(
ゐ
)
られますのが
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
います』
209
治国別
『いや
何
(
なん
)
と
立派
(
りつぱ
)
な
服装
(
ふくさう
)
だな。
210
然
(
しか
)
らば
一
(
ひと
)
つ
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
致
(
いた
)
さねばなるまい』
211
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
212
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
は
馬
(
うま
)
をヒラリと
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
り、
213
治国別
(
はるくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
揉
(
も
)
み
手
(
て
)
をし
乍
(
なが
)
ら
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
214
ランチ
『
拙者
(
せつしや
)
は
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
神司
(
かむつかさ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るランチ
将軍
(
しやうぐん
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
、
215
此
(
この
)
度
(
たび
)
主君
(
しゆくん
)
の
命
(
めい
)
によつてイソの
館
(
やかた
)
へ
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せる
途中
(
とちう
)
、
216
吾
(
わが
)
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
の
言霊
(
ことたま
)
とやらに
散々
(
さんざん
)
に
打
(
う
)
ち
捲
(
まく
)
られ、
217
脆
(
もろ
)
くも
敗走
(
はいそう
)
致
(
いた
)
した
様子
(
やうす
)
、
218
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
対
(
たい
)
し
到底
(
たうてい
)
吾々
(
われわれ
)
如
(
ごと
)
き
非力
(
ひりき
)
無徳
(
むとく
)
の
者
(
もの
)
にては
敵対
(
てきた
)
ひまつる
事
(
こと
)
相叶
(
あひかな
)
はぬ
次第
(
しだい
)
なれば、
219
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
へ
陣営
(
ぢんえい
)
をはり
幕僚
(
ばくれう
)
と
協議
(
けふぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
220
全軍
(
ぜんぐん
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
貴方
(
あなた
)
の
膝下
(
しつか
)
に
帰順
(
きじゆん
)
するより
外
(
ほか
)
なしと
衆議
(
しうぎ
)
一決
(
いつけつ
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
221
もはや
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
に
対
(
たい
)
して
敵対
(
てきたい
)
行為
(
かうゐ
)
は
毛頭
(
まうとう
)
とりませぬ。
222
何卒
(
なにとぞ
)
吾
(
わが
)
陣営
(
ぢんえい
)
へおいで
下
(
くだ
)
さつて
尊
(
たふと
)
きお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
されば、
223
実
(
じつ
)
に
望外
(
ばうぐわい
)
の
幸福
(
しあはせ
)
で
厶
(
ござ
)
ります』
224
と
真
(
まこと
)
しやかに
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
つる。
225
治国別
(
はるくにわけ
)
は
一々
(
いちいち
)
ランチの
言葉
(
ことば
)
を
信
(
しん
)
ずるにはあらねども、
226
此
(
この
)
時
(
とき
)
こそは
彼
(
かれ
)
を
正道
(
せいだう
)
に
導
(
みちび
)
く
好機会
(
かうきくわい
)
なりと
心
(
こころ
)
に
定
(
さだ
)
め、
227
何
(
なに
)
喰
(
く
)
はぬ
顔
(
かほ
)
にて、
228
治国別
『
然
(
しか
)
らば
仰
(
あふ
)
せに
従
(
したが
)
ひ、
229
貴軍
(
きぐん
)
の
陣中
(
ぢんちう
)
へ
参
(
まゐ
)
りませう』
230
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
乗
(
の
)
り
来
(
き
)
し
名馬
(
めいば
)
に
治国別
(
はるくにわけ
)
を
乗
(
の
)
せ、
231
自分
(
じぶん
)
は
控
(
ひか
)
へ
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
232
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と
陣営
(
ぢんえい
)
さして
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
233
門
(
もん
)
の
前
(
まへ
)
に
立止
(
たちど
)
まり、
234
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
を
見返
(
みかへ
)
り、
235
ランチ
『
見
(
み
)
る
蔭
(
かげ
)
もなき
俄造
(
にはかづく
)
りの
陣営
(
ぢんえい
)
、
236
遠来
(
ゑんらい
)
の
客
(
きやく
)
を
遇
(
ぐう
)
するには
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
なれど、
237
何卒
(
なにとぞ
)
ゆるゆる
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
を
願
(
ねが
)
ひ
上
(
あ
)
げまする』
238
と
慇懃
(
いんぎん
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
をする。
239
治国別
(
はるくにわけ
)
は、
240
治国別
『ハイ、
241
有難
(
ありがた
)
う』
242
と
僅
(
わづ
)
かに
答礼
(
たふれい
)
しながら
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
243
数多
(
あまた
)
の
軍卒
(
ぐんそつ
)
共
(
ども
)
は
退屈
(
たいくつ
)
紛
(
まぎ
)
れに
土俵
(
どへう
)
を
築
(
きづ
)
き
素人
(
しろうと
)
相撲
(
ずまふ
)
をとつてゐる。
244
竜公
(
たつこう
)
、
245
タールの
両人
(
りやうにん
)
は
其
(
その
)
相撲
(
すもう
)
に
見惚
(
みと
)
れて
治国別
(
はるくにわけ
)
の
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つたのを
気
(
き
)
がつかず、
246
負投
(
おひな
)
げ、
247
腰投
(
こしな
)
げ、
248
突出
(
つきだ
)
し、
249
河津
(
かはづ
)
等
(
など
)
の
四十八
(
しじふはつ
)
手
(
て
)
の
使
(
つか
)
ひ
方
(
かた
)
を
批評
(
ひひやう
)
しながら、
250
竜公、タール
『アハヽヽヽ』
251
と
笑
(
わら
)
ひ、
252
遂
(
つひ
)
には
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
囃
(
はや
)
し
出
(
だ
)
した。
253
此
(
この
)
中
(
うち
)
で
一番
(
いちばん
)
の
力自慢
(
ちからじまん
)
のエキスは
四股踏
(
しこふ
)
み
鳴
(
な
)
らし、
254
土俵
(
どへう
)
の
真中
(
まんなか
)
に
仁王立
(
にわうだ
)
ちとなり、
255
エキス
『さア
誰
(
たれ
)
なつと
来
(
こ
)
い、
256
消
(
け
)
しかかりだ』
257
といきりきつて
居
(
ゐ
)
る。
258
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
投
(
な
)
げつける、
259
其
(
その
)
手際
(
てぎは
)
のよさ。
260
竜公
(
たつこう
)
はエキスの
態度
(
たいど
)
と
弱武者
(
よわむしや
)
の
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさに
憤慨
(
ふんがい
)
し、
261
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
両
(
りやう
)
の
手
(
て
)
が
腰
(
こし
)
へまはり、
262
帯
(
おび
)
をスルスルと
解
(
と
)
いて
了
(
しま
)
ひ、
263
真裸
(
まつぱだか
)
となつて
土俵
(
どへう
)
の
真中
(
まんなか
)
へ
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。
264
さうしてドンドンと
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
み
鳴
(
な
)
らしてゐる。
265
エキスは
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
て
癪
(
しやく
)
に
触
(
さは
)
つたと
見
(
み
)
え、
266
エキス
『おい、
267
貴公
(
きこう
)
は
竜公
(
たつこう
)
ぢやないか。
268
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
何処
(
どこ
)
へ
逃
(
に
)
げて
居
(
を
)
つたのだ。
269
そんな
弱虫
(
よわむし
)
の
出
(
で
)
る
所
(
ところ
)
ぢやない。
270
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
と
相撲
(
すまふ
)
をとるなんぞと
云
(
い
)
ふ
野心
(
やしん
)
を
起
(
おこ
)
すものぢやないぞ。
271
野見
(
のみ
)
の
宿弥
(
すくね
)
の
再来
(
さいらい
)
とも
云
(
い
)
ふべき
此
(
この
)
エキスさまに
相手
(
あひて
)
にならうと
思
(
おも
)
ふのか。
272
エー、
273
措
(
お
)
け
措
(
お
)
け、
274
恥
(
はぢ
)
をかく
様
(
やう
)
なものだから』
275
竜公
『ヘン、
276
馬鹿
(
ばか
)
にすない。
277
俺
(
おれ
)
でも
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
や
幕
(
まく
)
の
内
(
うち
)
まで
入
(
はい
)
つたものだ。
278
襦子
(
しゆす
)
の
締込
(
しめこ
)
み、
279
バレンツの
相撲束
(
すまふたば
)
ねの
櫓鬢
(
やぐらぴん
)
、
280
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
前
(
まへ
)
でも
大胡床
(
おほあぐら
)
をかき、
281
立
(
た
)
つて
水
(
みづ
)
のみ、
282
手鼻汁
(
てばな
)
をかむ、
283
十
(
じふ
)
と
六俵
(
ろくぺう
)
の
土俵
(
どへう
)
に
出
(
で
)
たら、
284
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
、
285
土
(
つち
)
つかずの
竜公
(
たつこう
)
さまだ。
286
いつも
土俵
(
どへう
)
の
上
(
うへ
)
で
横
(
よこ
)
になつた
事
(
こと
)
はない、
287
いつも
立
(
た
)
ちつづけだから
竜公
(
たつこう
)
さまだ。
288
又
(
また
)
の
名
(
な
)
を
勝公
(
かつこう
)
さまだ。
289
さあ
一
(
ひと
)
つ
揉
(
も
)
んでやらう』
290
エキス
『エー、
291
生命
(
いのち
)
知
(
し
)
らず
奴
(
め
)
、
292
土
(
つち
)
の
中
(
なか
)
へ
植
(
う
)
ゑてやらう。
293
吠
(
ほ
)
え
面
(
づら
)
かわくな』
294
竜公
『そりや
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
295
末期
(
まつご
)
の
水
(
みづ
)
でも
飲
(
の
)
んでしつかりせい』
296
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
四本柱
(
しほんばしら
)
に
括
(
くく
)
りつけた
塩
(
しほ
)
をポツポツと
左右
(
さいう
)
に
打振
(
うちふ
)
り、
297
水
(
みづ
)
をも
飲
(
の
)
まずに
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
み
出
(
だ
)
した。
298
エキスも
負
(
ま
)
けぬ
気
(
き
)
になり
塩
(
しほ
)
を
一掴
(
ひとつか
)
みグツと
握
(
にぎ
)
つて
竜公
(
たつこう
)
にぶちかけ、
299
水
(
みづ
)
をも
飲
(
の
)
まずドンドンと
地響
(
ぢひび
)
きさせながらペタペタと
四
(
よ
)
つに
組
(
く
)
んで
了
(
しま
)
つた。
300
半時
(
はんとき
)
ばかり
竜虎
(
りうこ
)
の
争
(
あらそ
)
ひ、
301
いつ
勝負
(
しようぶ
)
の
果
(
は
)
つべしとも
見
(
み
)
えない。
302
タールは
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になり、
303
軍扇
(
ぐんせん
)
を
握
(
にぎ
)
り
土俵
(
どへう
)
に
行司
(
ぎやうじ
)
気取
(
きど
)
りに
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
304
タール
『はつけよい はつけよい のこつた のこつた、
305
後
(
あと
)
がないぞ、
306
はつけよいや』
307
と
土俵
(
どへう
)
の
周囲
(
ぐるり
)
を
右左
(
みぎひだり
)
に
廻
(
まは
)
つてゐる。
308
大勢
(
おほぜい
)
は
固唾
(
かたづ
)
を
呑
(
の
)
んで
此
(
この
)
勝負
(
しようぶ
)
如何
(
いか
)
にと
見
(
み
)
つめて
居
(
ゐ
)
る。
309
流石
(
さすが
)
のエキスも
力
(
ちから
)
尽
(
つ
)
きハツと
吐
(
は
)
く
息
(
いき
)
の
気合
(
きあひ
)
を
窺
(
うかが
)
ひ、
310
ポンと
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
をぬいて
褌
(
まはし
)
の
三辻
(
みつ
)
を
竜公
(
たつこう
)
がたたくとコロコロコロと
土俵
(
どへう
)
の
中
(
うち
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
廻
(
まは
)
つて
西
(
にし
)
の
溜
(
たまり
)
へドスンと
雪崩
(
ゆきなだれ
)
が
落
(
お
)
ちた
様
(
やう
)
に
転
(
ころ
)
げ
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
311
エキスは
大
(
おほい
)
に
面目
(
めんぼく
)
を
失
(
しつ
)
し、
312
真裸
(
まつぱだか
)
の
儘
(
まま
)
スタスタと
陣中
(
ぢんちう
)
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
313
ワーイワーイと
称讃
(
しようさん
)
の
声
(
こゑ
)
、
314
拍手
(
はくしゆ
)
の
音
(
おと
)
、
315
四辺
(
あたり
)
も
揺
(
ゆる
)
ぐばかりであつた。
316
(
大正一二・一・八
旧一一・一一・二二
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 黒士会
(B)
(N)
乱痴将軍 >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第47巻(戌の巻)
> 第1篇 浮木の盲亀 > 第3章 寒迎
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第3章 寒迎|第47巻|舎身活躍|霊界物語|/rm4703】
合言葉「みろく」を入力して下さい→