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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第47巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 浮木の盲亀
第1章 アーク燈
第2章 黒士会
第3章 寒迎
第4章 乱痴将軍
第5章 逆襲
第6章 美人草
第2篇 中有見聞
第7章 酔の八衢
第8章 中有
第9章 愛と信
第10章 震士震商
第11章 手苦駄女
第3篇 天国巡覧
第12章 天界行
第13章 下層天国
第14章 天開の花
第15章 公義正道
第16章 霊丹
第17章 天人歓迎
第18章 一心同体
第19章 化相神
第20章 間接内流
第21章 跋文
余白歌
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第47巻(戌の巻)
> 第1篇 浮木の盲亀 > 第6章 美人草
<<< 逆襲
(B)
(N)
酔の八衢 >>>
第六章
美人草
(
びじんさう
)
〔一二三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻
篇:
第1篇 浮木の盲亀
よみ(新仮名遣い):
うききのもうき
章:
第6章 美人草
よみ(新仮名遣い):
びじんそう
通し章番号:
1239
口述日:
1923(大正12)年01月08日(旧11月22日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月6日
概要:
舞台:
怪志の森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
雪が降りしきる中、怪しの森ではコー、ワク、エムが火を焚いて車座になり、雑談にふけっている。三人は、ランチ将軍は浮木の森にしっかりとした陣営を立てていて一年くらいはイソ館に向かって進軍する気遣いはないと話している。
三人は蠑螈別の連れていたお民の話から、男女論に発展する。ワクは女性を擁護し、エムは男性の立場からそれぞれ議論を戦わせる。かく三人が笑い興じているところへ、白い顔をした妙齢の美人が現れた。
女は三人に、ランチ将軍・片彦将軍の陣営の場所に案内してほしいと願い出た。三人が何者か尋ねると、女は自分は三五教の宣伝使・清照姫であり、もう一人は妹分の初稚姫であると答えた。
三人は、有名な三五教の女宣伝使たちだと知って早くもおじけづいた。清照姫と初稚姫は三人の煮え切らない態度に、通り過ぎて自力で陣営に行こうとする。三人は、それでは自分たちの面目が立たないと清照姫と初稚姫に懇願して、二人を陣営まで案内することになった。(この二人は実は白狐だった。第48巻第6章を見よ)
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
エタアナル(エターナル)
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-04-18 17:41:08
OBC :
rm4706
愛善世界社版:
89頁
八幡書店版:
第8輯 503頁
修補版:
校定版:
93頁
普及版:
41頁
初版:
ページ備考:
001
翩翻
(
へんぽん
)
として
降
(
ふ
)
り
頻
(
しき
)
る
柔
(
やはら
)
かき
雪
(
ゆき
)
を
被
(
かぶ
)
つてコー、
002
ワク、
003
エムの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
怪
(
あや
)
しの
森影
(
もりかげ
)
にチヨロチヨロと
火
(
ひ
)
を
焚
(
た
)
き、
004
車座
(
くるまざ
)
になつて
無聊
(
むれう
)
を
慰
(
なぐさ
)
むべく
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
005
コー『
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
で
将軍
(
しやうぐん
)
が
半永久
(
はんえいきう
)
的
(
てき
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
を
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る
以上
(
いじやう
)
は、
006
茲
(
ここ
)
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
やそこらは、
007
どうせイソ
館
(
やかた
)
に
向
(
むか
)
つて
進軍
(
しんぐん
)
する
気遣
(
きづか
)
ひもあるまい。
008
陣中
(
ぢんちう
)
に
女
(
をんな
)
がなくちや
淋
(
さび
)
しくて
仕方
(
しかた
)
がないと
云
(
い
)
つて、
009
浮木
(
うきき
)
の
里
(
さと
)
の
女狩
(
をんなが
)
りを
将軍
(
しやうぐん
)
の
命令
(
めいれい
)
でやつて
見
(
み
)
たところ、
010
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
もお
化
(
ば
)
けのやうな
代物
(
しろもの
)
ばかりで、
011
二目
(
ふため
)
と
見
(
み
)
られぬドテカボチヤばかりだ。
012
そこで
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
がエキスの
大目付
(
おほめつけ
)
に
内命
(
ないめい
)
を
下
(
くだ
)
し、
013
立派
(
りつぱ
)
な
女
(
をんな
)
が
見
(
み
)
つかつたら、
014
献上
(
けんじやう
)
せい。
015
さうしたら
重要
(
ぢゆうえう
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
使
(
つか
)
つてやらうと、
016
仰有
(
おつしや
)
つたさうぢやが、
017
何
(
なん
)
とかして
一
(
ひと
)
つ
美人
(
びじん
)
を
とつ
捕
(
つかま
)
へたいものだなア』
018
ワク『だつてかう
物騒
(
ぶつそう
)
な
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
019
女
(
をんな
)
なんかは
土竜
(
もぐら
)
のやうに
皆
(
みな
)
深山
(
しんざん
)
の
土窟
(
どくつ
)
に
隠
(
かく
)
れて
仕舞
(
しま
)
ひ、
020
容易
(
ようい
)
に
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
気遣
(
きづか
)
ひはないわ。
021
それでも
此処
(
ここ
)
にかうして
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
れば、
022
やつて
来
(
こ
)
ないものでもないなア』
023
コー『
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
追
(
お
)
つかけて
来
(
き
)
たお
民
(
たみ
)
とかいふ
女
(
をんな
)
は
中々
(
なかなか
)
のナイスだつたネー。
024
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
と
生
(
うま
)
れた
甲斐
(
かひ
)
には
是非
(
ぜひ
)
一度
(
いちど
)
はアンナ
女
(
をんな
)
と
添
(
そ
)
うて
見
(
み
)
たいものだ。
025
女
(
をんな
)
の
癖
(
くせ
)
に
力
(
ちから
)
もあり
胆力
(
たんりよく
)
も
据
(
す
)
わつてゐるなり、
026
丸
(
まる
)
きり
天女
(
てんによ
)
の
降臨
(
かうりん
)
のやうだつたネー。
027
俺
(
おれ
)
はアノお
民
(
たみ
)
の
態度
(
たいど
)
には
全然
(
すつかり
)
参
(
まゐ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
028
ハヽヽヽヽ』
029
ワク『
昔
(
むかし
)
から
男
(
をとこ
)
として
女
(
をんな
)
の
心
(
こころ
)
と
身体
(
からだ
)
の
美
(
うつく
)
しさを
賞
(
ほ
)
め
称
(
たた
)
へるに
就
(
つい
)
ては、
030
どんな
偉大
(
ゐだい
)
な
美術家
(
びじゆつか
)
だつて
詩人
(
しじん
)
だつて
未
(
ま
)
だ
十分
(
じふぶん
)
に
成功
(
せいこう
)
したものは
無
(
な
)
い。
031
粘土
(
ねんど
)
を
捻
(
ひね
)
つて
人間
(
にんげん
)
を
拵
(
こしら
)
へたといふ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
や
猿
(
さる
)
や
犬
(
いぬ
)
などには
夫
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
に
感
(
かん
)
じないだらうが、
032
少
(
すくな
)
くも
吾々
(
われわれ
)
の
目
(
め
)
に
映
(
うつ
)
る
女
(
をんな
)
の
魅力
(
みりよく
)
は
大
(
たい
)
したものだ。
033
しなやかに
長
(
なが
)
い
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
、
034
それを
色々
(
いろいろ
)
の
形
(
かたち
)
に
整理
(
せいり
)
して
面白
(
おもしろ
)
く
美
(
うつく
)
しく
飾
(
かざ
)
り
立
(
た
)
てた
頭
(
あたま
)
、
035
皮下
(
ひか
)
の
脂肪分
(
しばうぶん
)
のために
骨
(
ほね
)
ばらず
筋張
(
すぢば
)
らない
肉体
(
にくたい
)
、
036
トルソだけでもいやモツト
小部分
(
せうぶぶん
)
だけでも、
037
吾々
(
われわれ
)
の
礼拝
(
らいはい
)
すべき
価値
(
かち
)
が
充分
(
じうぶん
)
にあるやうだ。
038
アノ
髯
(
ひげ
)
の
生
(
は
)
えぬ
滑々
(
すべすべ
)
した
頬
(
ほほ
)
だけでも
結構
(
けつこう
)
だ。
039
むつちりと
張
(
は
)
つた
乳房
(
ちぶさ
)
だけでもよい。
040
握
(
にぎ
)
れば
銀杏
(
ぎんなん
)
になり
開
(
ひら
)
けば
梅干
(
うめぼし
)
になる
指
(
ゆび
)
のつけ
根
(
ね
)
の
関節
(
くわんせつ
)
に、
041
可愛
(
かあい
)
らしい
靨
(
ゑくぼ
)
のやうなクボミの
這入
(
はい
)
る
手頸
(
てくび
)
だけでも
結構
(
けつこう
)
だ。
042
足
(
あし
)
だつて
柔
(
やはら
)
かくて
気持
(
きもち
)
がよい。
043
そこへ
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て、
044
女
(
をんな
)
は
身
(
み
)
を
粧
(
よそほ
)
ふことに
時間
(
じかん
)
と
精魂
(
せいこん
)
とを
尽
(
つく
)
して
省
(
かへり
)
みない
美
(
うつく
)
しい
優
(
やさ
)
しい
本能
(
ほんのう
)
をもつてゐるから、
045
玉
(
たま
)
は
益々
(
ますます
)
その
光
(
ひかり
)
を
増
(
ま
)
すばかりだ。
046
声帯
(
せいたい
)
が
高調
(
かうてう
)
に
張
(
は
)
られてゐることも
男
(
をとこ
)
の
耳
(
みみ
)
には
嬉
(
うれ
)
しい
清
(
きよ
)
い
響
(
ひび
)
きを
伝達
(
でんたつ
)
する。
047
一体
(
いつたい
)
に
受動
(
じゆどう
)
的
(
てき
)
な
性情
(
せいじやう
)
から
挙措
(
きよそ
)
物静
(
ものしづ
)
かに、
048
しとやかに、
049
言葉
(
ことば
)
にも
稜
(
かど
)
が
無
(
な
)
く
控
(
ひか
)
へ
目
(
め
)
なのも
女
(
をんな
)
の
美点
(
びてん
)
だ。
050
女
(
をんな
)
といふものは
何処
(
どこ
)
に
一
(
ひと
)
つ
点
(
てん
)
の
打
(
う
)
ち
処
(
どころ
)
がないやうだ。
051
天地
(
てんち
)
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
、
052
如何
(
いか
)
なる
天才
(
てんさい
)
が
現
(
あら
)
はれても、
053
遂
(
つひ
)
に
賞
(
ほ
)
め
切
(
き
)
れず
称
(
たた
)
へ
尽
(
つく
)
されなかつた
女
(
をんな
)
の
心
(
こころ
)
と
身体
(
からだ
)
との
優美
(
いうび
)
を、
054
何程
(
なにほど
)
俺
(
おれ
)
たちが
躍起
(
やくき
)
となつて
述
(
の
)
べた
所
(
ところ
)
で
詮
(
せん
)
なき
次第
(
しだい
)
だ。
055
只々
(
ただただ
)
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ、
056
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
の
平和
(
へいわ
)
の
守神
(
まもりがみ
)
と
崇
(
あが
)
め
奉
(
まつ
)
るより
外
(
ほか
)
はない。
057
アヽ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
だ。
058
アハヽヽヽ』
059
エム『おいワク、
060
お
前
(
まへ
)
は
女権
(
ぢよけん
)
拡張会
(
くわくちやうくわい
)
の
顧問
(
こもん
)
にでも
選
(
えら
)
まれて
居
(
ゐ
)
るのか。
061
大変
(
たいへん
)
に
女権
(
ぢよけん
)
擁護
(
ようご
)
の
弁論
(
べんろん
)
をまくし
立
(
た
)
てやがるぢやないか。
062
俺
(
おれ
)
の
見
(
み
)
る
所
(
ところ
)
では
女
(
をんな
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
な
程
(
ほど
)
見掛
(
みかけ
)
け
倒
(
だふ
)
しで
不器用
(
ぶきよう
)
な
始末
(
しまつ
)
の
悪
(
わる
)
いものはないやうだ。
063
一寸
(
ちよつと
)
賞
(
ほ
)
めりや、
064
のし
上
(
あが
)
る、
065
叱
(
しか
)
れば
泣
(
な
)
きよる、
066
殺
(
ころ
)
せば
化
(
ば
)
けて
出
(
で
)
るといふ
厄介
(
やくかい
)
至極
(
しごく
)
な
代物
(
しろもの
)
ぢやないか。
067
何
(
なに
)
をさせても
到底
(
たうてい
)
男
(
をとこ
)
には
叶
(
かな
)
はない。
068
チツト
男子
(
だんし
)
の
擁護
(
ようご
)
をしても
余
(
あま
)
り
罰
(
ばち
)
は
当
(
あた
)
るまいぞ』
069
ワク
『ヘン、
070
男
(
をとこ
)
に
昔
(
むかし
)
から
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
があるかい。
071
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
姉妹
(
きやうだい
)
だつて
出雲姫
(
いづもひめ
)
だつて
祝姫
(
はふりひめ
)
だつて、
072
天教山
(
てんけうざん
)
の
木花姫
(
このはなひめ
)
だつて
偉大
(
ゐだい
)
な
仕事
(
しごと
)
を
為
(
な
)
し
遂
(
と
)
げた
女
(
をんな
)
は
沢山
(
たくさん
)
にあるぢやないか。
073
寡聞
(
くわぶん
)
ながらも
俺
(
おれ
)
はまだまだ
沢山
(
たくさん
)
に
女丈夫
(
ぢよぢやうぶ
)
の
出現
(
しゆつげん
)
した
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのだ。
074
常世姫
(
とこよひめ
)
だつてウラナイ
教
(
けう
)
の
今
(
いま
)
通
(
とほ
)
つたお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまだつて、
075
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
より
見
(
み
)
れば
偉
(
えら
)
いものぢやないか、
076
エーン。
077
俺
(
おれ
)
よりも
俺
(
おれ
)
の
嬶
(
かか
)
の
方
(
はう
)
が
遥
(
はるか
)
に
器用
(
きよう
)
に
針
(
はり
)
を
運
(
はこ
)
ぶことを
承認
(
しようにん
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
078
児
(
こ
)
だつて
男
(
をとこ
)
では
産
(
う
)
むことは
出来
(
でき
)
ないからな。
079
何
(
ど
)
うしても
女
(
をんな
)
は
社交界
(
しやかうかい
)
の
花
(
はな
)
だよ。
080
それどころか
男
(
をとこ
)
の
為
(
な
)
すべきことの
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれて
来
(
き
)
た
仕事
(
しごと
)
にかけても、
081
どしどしと
行
(
や
)
つて
退
(
の
)
けるのだ。
082
例
(
たと
)
へば
議会
(
ぎくわい
)
に
代議士
(
だいぎし
)
を
訪問
(
はうもん
)
して
何事
(
なにごと
)
かベラベラと
仰有
(
おつしや
)
ると、
083
大抵
(
たいてい
)
の
事件
(
じけん
)
は
無事
(
ぶじ
)
通過
(
つうくわ
)
する
様
(
やう
)
になる
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば、
084
俺
(
おれ
)
なんかよりも
女房
(
にようばう
)
の
方
(
はう
)
が
遥
(
はるか
)
に
政治
(
せいぢ
)
的
(
てき
)
の
頭脳
(
づなう
)
が
発達
(
はつたつ
)
して
居
(
ゐ
)
るものだと
真
(
しん
)
に
敬服
(
けいふく
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
085
そんな
次第
(
しだい
)
だから
女
(
をんな
)
は
一口
(
ひとくち
)
に
不器用
(
ぶきよう
)
だと
言
(
い
)
つて
葬
(
はうむ
)
つて
了
(
しま
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かないよ』
086
エム
『
実際
(
じつさい
)
何
(
なん
)
でも
一寸
(
ちよつと
)
器用
(
きよう
)
にやつてのける
点
(
てん
)
は
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
が
偉
(
えら
)
いかも
知
(
し
)
れぬ。
087
併
(
しか
)
し
不思議
(
ふしぎ
)
なことには
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
未
(
ま
)
だ
一人
(
ひとり
)
として
男
(
をとこ
)
が
逆鉾立
(
さかほこだち
)
をしても
叶
(
かな
)
はぬやうな
図抜
(
づぬ
)
けた
女
(
をんな
)
は
出
(
で
)
たことはないぢやないか。
088
音楽
(
おんがく
)
などでは
随分
(
ずゐぶん
)
一流
(
いちりう
)
までは
行
(
ゆ
)
くものもある、
089
然
(
しか
)
しながら
一流
(
いちりう
)
の
一流
(
いちりう
)
といふ
点
(
てん
)
までは
決
(
けつ
)
して
頭
(
あたま
)
が
届
(
とど
)
いた
例
(
れい
)
がない。
090
ジヤンダークだつて
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
傍
(
そば
)
へ
持
(
も
)
つて
云
(
い
)
つたら
二流
(
にりう
)
か
三流
(
さんりう
)
だ。
091
紫式部
(
むらさきしきぶ
)
やサラベルナアルが
偉
(
えら
)
いと
言
(
い
)
つたつて、
092
一流
(
いちりう
)
の
一流
(
いちりう
)
といふ
程
(
ほど
)
のものではない。
093
方面
(
はうめん
)
を
変
(
か
)
へて
女
(
をんな
)
の
為
(
な
)
すべき
事
(
こと
)
のやうに
思
(
おも
)
はれて
来
(
き
)
た
仕事
(
しごと
)
でも
一流
(
いちりう
)
の
一流
(
いちりう
)
といふべき
位置
(
ゐち
)
は
残
(
のこ
)
らず
男子
(
だんし
)
に
占
(
し
)
められて
居
(
ゐ
)
るのだ。
094
料理
(
れうり
)
や
針仕事
(
はりしごと
)
でも
一流
(
いちりう
)
の
職人
(
しよくにん
)
は
矢張
(
やは
)
り
男子
(
だんし
)
だ。
095
少
(
すこ
)
し
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
たら
女
(
をんな
)
は
不器用
(
ぶきよう
)
なものだと
言
(
い
)
はれても
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
からうよ。
096
又
(
また
)
恋愛
(
れんあい
)
なんぞは
女
(
をんな
)
が
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
097
頭
(
あたま
)
からのめり
込
(
こ
)
むやうに
深
(
ふか
)
く
這入
(
はい
)
つて
行
(
い
)
つたらと
思
(
おも
)
ふのだが、
098
俺
(
おれ
)
に
言
(
い
)
はしたら
是
(
これ
)
とて
一流
(
いちりう
)
の
一流
(
いちりう
)
たる
恋愛
(
れんあい
)
になると、
099
女
(
をんな
)
は
何時
(
いつ
)
でも
男子
(
だんし
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
かれて
一足
(
ひとあし
)
づつ
跡
(
あと
)
からついて
行
(
ゆ
)
く。
100
恋
(
こひ
)
の
炎
(
ほのほ
)
さへプロミセウスに
取
(
と
)
つて
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
ふとは、
101
女
(
をんな
)
は
実
(
じつ
)
にエタアナルのアイドルだと
云
(
い
)
はなければならぬぢやないか』
102
ワク
『サウ
女
(
をんな
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
するものでないよ。
103
女房
(
にようばう
)
に
死
(
し
)
なれた
男子
(
だんし
)
が
一流
(
いちりう
)
の
母
(
はは
)
たることは
出来
(
でき
)
やうが、
104
決
(
けつ
)
して
一流
(
いちりう
)
の
一流
(
いちりう
)
といはるべき
母
(
はは
)
たることは
出来
(
でき
)
ない。
105
ここが
如何
(
いか
)
に
男子
(
だんし
)
が
逆鉾立
(
さかほこだち
)
になつて
気張
(
きば
)
つて
見
(
み
)
ても
叶
(
かな
)
はない
点
(
てん
)
だ。
106
このことのみは
争
(
あらそ
)
ふべくもない
事実
(
じじつ
)
だよ』
107
エム
『
元始
(
げんし
)
女性
(
ぢよせい
)
が
太陽
(
たいやう
)
だらうと
雌猿
(
めすざる
)
だらうと
構
(
かま
)
はないが、
108
人間
(
にんげん
)
が
胎生
(
たいせい
)
動物
(
どうぶつ
)
であつて
女
(
をんな
)
が
子宮
(
しきう
)
といふ
立派
(
りつぱ
)
な
製人器
(
せいじんき
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ることは
間違
(
まちが
)
ひない。
109
いやなら
児
(
こ
)
は
産
(
う
)
まないでも
夫
(
そ
)
れは
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
だが、
110
する
仕事
(
しごと
)
は
不器用
(
ぶきよう
)
だし、
111
恋
(
こひ
)
をしても
浅薄
(
せんぱく
)
だとなると、
112
女
(
をんな
)
の
生
(
い
)
きてゐる
甲斐
(
かひ
)
は
何処
(
どこ
)
にも
無
(
な
)
いぢやないか。
113
所詮
(
しよせん
)
女
(
をんな
)
は
男
(
をとこ
)
に
隷属
(
れいぞく
)
すべきものだからなア』
114
ワク
『
俺
(
おれ
)
は、
115
女
(
をんな
)
は
男
(
をとこ
)
に
隷属
(
れいぞく
)
したものだとは
考
(
かんが
)
へられないと
同時
(
どうじ
)
に、
116
独立
(
どくりつ
)
したものだとも
思
(
おも
)
はない。
117
それは
丁度
(
ちやうど
)
男
(
をとこ
)
が
女
(
をんな
)
に
隷属
(
れいぞく
)
したものでも
独立
(
どくりつ
)
したものでもないのと
同
(
おな
)
じことだ。
118
然
(
しか
)
し
俺
(
おれ
)
は
決
(
けつ
)
して
女
(
をんな
)
の
自由
(
じいう
)
を
男
(
をとこ
)
の
手
(
て
)
の
内
(
うち
)
に
握
(
にぎ
)
らうとは
言
(
い
)
はない。
119
モツト
女
(
をんな
)
が
自由
(
じいう
)
であることを
祈
(
いの
)
るものだ』
120
エム
『
女
(
をんな
)
の
自由
(
じいう
)
――ヘン
猪口才
(
ちよこざい
)
な、
121
女
(
をんな
)
の
癖
(
くせ
)
に
自由
(
じいう
)
を
叫
(
さけ
)
ぶのは
怪
(
け
)
しからぬぢやないか。
122
思想
(
しさう
)
、
123
感情
(
かんじやう
)
、
124
習俗
(
しふぞく
)
、
125
生活
(
せいくわつ
)
などを
自分
(
じぶん
)
のものにしようとする
謀叛
(
むほん
)
だ、
126
男
(
をとこ
)
のおせつかいから
引
(
ひ
)
き
離
(
はな
)
さうとするのだ。
127
一切
(
いつさい
)
の
権利
(
けんり
)
を
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
へ
引
(
ひ
)
つたくらうとする
野望
(
やばう
)
なのだ。
128
女
(
をんな
)
らしくなるのを
嫌
(
きら
)
つてゐるのだ』
129
ワク
『
女
(
をんな
)
自身
(
じしん
)
の
思想
(
しさう
)
、
130
感情
(
かんじやう
)
、
131
習俗
(
しふぞく
)
、
132
生活
(
せいくわつ
)
、
133
さう
言
(
い
)
ふものを
確立
(
かくりつ
)
しようとする
現代
(
げんだい
)
婦人
(
ふじん
)
の
気持
(
きもち
)
は、
134
女
(
をんな
)
が
時代
(
じだい
)
に
醒
(
さ
)
めたことを
現
(
あら
)
はして
居
(
ゐ
)
るのだから、
135
現代
(
げんだい
)
の
婦人
(
ふじん
)
は
甚
(
はなは
)
だ
頼
(
たの
)
もしいぢやないか』
136
エム
『けれども、
137
それを
男子
(
だんし
)
から
取戻
(
とりもど
)
さうとして、
138
女
(
をんな
)
のチヤンピオンが
男子
(
だんし
)
の
中
(
なか
)
に
荒
(
あば
)
れ
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
て
益々
(
ますます
)
男子
(
だんし
)
の
中
(
なか
)
にズルズルと
没入
(
ぼつにふ
)
して
行
(
い
)
く
様
(
さま
)
は
見
(
み
)
るも
痛
(
いた
)
ましい。
139
男子
(
だんし
)
が
女
(
をんな
)
から
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げたものを
議場
(
ぎぢやう
)
や
慈善
(
じぜん
)
愛国
(
あいこく
)
の
念
(
ねん
)
や
飛行機
(
ひかうき
)
の
上
(
うへ
)
や
大学
(
だいがく
)
や
家長
(
かちやう
)
の
名
(
な
)
や
乗合
(
のりあひ
)
自動車
(
じどうしや
)
の
中
(
なか
)
に
隠匿
(
いんとく
)
して、
140
私
(
わたくし
)
して
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
つてるのは、
141
少々
(
せうせう
)
見当違
(
けんたうちが
)
ひの
詮索
(
せんさく
)
だと
云
(
い
)
はなければならない。
142
そんな
所
(
ところ
)
から、
143
本当
(
ほんたう
)
の
女
(
をんな
)
の
自由
(
じいう
)
が
取戻
(
とりもど
)
されるか
何
(
ど
)
うか、
144
マアマア
女権
(
ぢよけん
)
拡張会
(
くわくちやうくわい
)
のために
充分
(
じうぶん
)
活動
(
くわつどう
)
して
見
(
み
)
るがよからうよ。
145
若
(
も
)
しも
男子
(
だんし
)
が
女
(
をんな
)
から
何物
(
なにもの
)
かを
取
(
と
)
つて
来
(
き
)
てゐたとすれば、
146
それは
女
(
をんな
)
が
何
(
なに
)
をしても
不器用
(
ぶきよう
)
で、
147
とても
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
られないから
男子
(
だんし
)
が
代
(
かは
)
つてやつて
居
(
ゐ
)
る
迄
(
まで
)
の
事
(
こと
)
だ。
148
併
(
しか
)
し
俺
(
おれ
)
は
職業
(
しよくげう
)
の
話
(
はなし
)
をして
居
(
ゐ
)
るのぢやない。
149
思想
(
しさう
)
でも
感情
(
かんじやう
)
でも
習俗
(
しふぞく
)
でも
生活
(
せいくわつ
)
でも……さう
云
(
い
)
ふものを
立派
(
りつぱ
)
に
女
(
をんな
)
自身
(
じしん
)
の
手
(
て
)
で
処理
(
しより
)
して
呉
(
く
)
れたならば、
150
男子
(
だんし
)
はそれだけ
助
(
たす
)
かるのだ。
151
それだけの
手間
(
てま
)
や
労力
(
らうりよく
)
をモツト
男向
(
をとこむ
)
きの
方面
(
はうめん
)
へ
有利
(
いうり
)
に
使
(
つか
)
ふことが
出来
(
でき
)
るのだ。
152
決
(
けつ
)
して
男子
(
だんし
)
は
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
して
返
(
かへ
)
し
惜
(
をし
)
みはせないよ。
153
この
頃
(
ごろ
)
の
新
(
あたら
)
しい
女
(
をんな
)
だとか
目醒
(
めざ
)
めたとか
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
のして
居
(
ゐ
)
ることには
矛盾
(
むじゆん
)
ばかりだ。
154
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
には
勝手
(
かつて
)
の
知
(
し
)
れない
手間
(
てま
)
の
雇
(
やとひ
)
に
働
(
はたら
)
かせて
置
(
お
)
いて、
155
義理
(
ぎり
)
もヘチマも
無
(
な
)
い
隣
(
となり
)
の
家
(
いへ
)
の
大掃除
(
おほさうぢ
)
に、
156
役
(
やく
)
にも
立
(
た
)
たぬ
痩腕
(
やせうで
)
で
手伝
(
てつだひ
)
に
行
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうな
形
(
かたち
)
がある。
157
家内
(
うち
)
は
手廻
(
てまは
)
らず
隣家
(
りんか
)
は
邪魔
(
じやま
)
になるばかりの
有難
(
ありがた
)
迷惑
(
めいわく
)
と
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かない
所
(
ところ
)
が
実
(
じつ
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だ。
158
人
(
ひと
)
の
悪
(
わる
)
い
連中
(
れんちう
)
に
少
(
すこ
)
しばかり
煽動
(
おだて
)
られると、
159
何
(
なん
)
の
不自由
(
ふじゆう
)
もない
貴婦人
(
きふじん
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
四辻
(
よつつじ
)
に
立
(
た
)
ち、
160
造花
(
ざうくわ
)
の
押売
(
おしうり
)
までやるのだ。
161
斯
(
か
)
うなると
馬鹿
(
ばか
)
を
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
していつそ
洒落
(
しやれ
)
たものだ。
162
女
(
をんな
)
が
女
(
をんな
)
であることに
飽
(
あ
)
き
足
(
た
)
らなかつたり、
163
恥
(
はづか
)
しがつたりしても、
164
それは
焼直
(
やきなほ
)
さない
限
(
かぎ
)
り、
165
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だつて
人間
(
にんげん
)
だつて
誰
(
たれ
)
だつて、
166
何
(
ど
)
うしてやる
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かないわ』
167
ワク
『おい、
168
エム、
169
さう
言
(
い
)
つたものぢやないよ。
170
女
(
をんな
)
だつて
出来
(
でき
)
ないものはない。
171
総理
(
そうり
)
大臣
(
だいじん
)
ぐらゐは
勤
(
つと
)
まるよ』
172
エム
『
女
(
をんな
)
が
総理
(
そうり
)
大臣
(
だいじん
)
ぐらゐに
成
(
な
)
れない
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いのは
当然
(
たうぜん
)
だ。
173
現
(
げん
)
に
高
(
かう
)
はないが
加藤
(
かとう
)
明子
(
めいし
)
だつて
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るぢやないか
[
※
大正13年(1924年)6月から15年1月まで総理大臣を務めた加藤高明と、筆録者の加藤明子の名を引っかけている。ただし本章を口述したのは12年1月で、初版が発行されたのは13年10月なので、口述時にはなかったこの一文を発行時に追加した可能性がある。
]
。
174
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
総理
(
そうり
)
大臣
(
だいじん
)
ならデクの
坊
(
ばう
)
でも
立派
(
りつぱ
)
に
勤
(
つと
)
まるからなア。
175
併
(
しか
)
し
同
(
おな
)
じデクの
坊
(
ばう
)
でも
男子
(
だんし
)
の
方
(
はう
)
が
少
(
すこ
)
しばかりは
良
(
よ
)
くやる。
176
だからさう
云
(
い
)
ふことは
歯痒
(
はがゆ
)
からうが
暫
(
しばら
)
く
男子
(
だんし
)
に
任
(
まか
)
しておいて、
177
男子
(
だんし
)
には
逆鉾立
(
さかほこだ
)
ちをしても、
178
女
(
をんな
)
の
真似
(
まね
)
の
出来
(
でき
)
ない
方面
(
はうめん
)
のことに
身
(
み
)
を
入
(
い
)
れた
方
(
はう
)
が
良
(
よ
)
いわ。
179
それは
外
(
ほか
)
でもない
女
(
をんな
)
は
母
(
はは
)
たることだ。
180
それだけでは
生甲斐
(
いきがひ
)
が
無
(
な
)
いやうに
感
(
かん
)
ずる
程
(
ほど
)
、
181
精力
(
せいりよく
)
の
過剰
(
くわじよう
)
があつたら、
182
一流
(
いちりう
)
の
母
(
はは
)
たることに
務
(
つと
)
めるべきだ。
183
それでも
未
(
ま
)
だ
飽
(
あ
)
き
足
(
た
)
りなかつたら
一流
(
いちりう
)
中
(
ちう
)
の
一流
(
いちりう
)
、
184
理想
(
りさう
)
の
母
(
はは
)
たることに
努
(
つと
)
めたら
良
(
い
)
いだらう。
185
たつた
一人
(
ひとり
)
の
子供
(
こども
)
でも
退屈
(
たいくつ
)
するほど
暇
(
ひま
)
な、
186
そして
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れない
仕事
(
しごと
)
ではなく、
187
またそれほど
働
(
はたら
)
き
甲斐
(
がひ
)
のない
仕事
(
しごと
)
でもない
天人
(
てんにん
)
の
養育
(
やういく
)
機関
(
きくわん
)
だからなア。
188
大道
(
だいだう
)
で
往来
(
わうらい
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
対
(
たい
)
してビラを
撒
(
ま
)
くほど
易
(
やす
)
い
仕事
(
しごと
)
ではないのだから』
189
ワク
『オイ
間違
(
まちが
)
つちや
可
(
い
)
けない、
190
俺
(
おれ
)
の
謂
(
い
)
つた
一流
(
いちりう
)
の
一流
(
いちりう
)
たる
母親
(
ははおや
)
と
云
(
い
)
ふのは、
191
世間
(
せけん
)
の
所謂
(
いはゆる
)
良妻
(
りやうさい
)
賢母
(
けんぼ
)
といふたぐひでは
無
(
な
)
い。
192
そんなことなら
男子
(
だんし
)
でも
相応
(
さうおう
)
にやれるわ』
193
エム
『では
何
(
ど
)
うすると
云
(
い
)
ふのだ』
194
ワク
『サアそこが
男子
(
だんし
)
には
逆鉾立
(
さかほこだち
)
になつても
追付
(
おつつ
)
かないところだ。
195
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
にお
任
(
まか
)
せするのだなア』
196
エム
『
俺
(
おれ
)
の
言
(
い
)
ひ
方
(
かた
)
に
大分
(
だいぶ
)
に
毒
(
どく
)
があつたから、
197
俺
(
おれ
)
が
女嫌
(
をんなぎら
)
ひだと
思
(
おも
)
つちや
困
(
こま
)
るよ。
198
俺
(
おれ
)
の
嫌
(
きら
)
ひなのは、
199
女
(
をんな
)
だか
男子
(
だんし
)
だか
判然
(
はんぜん
)
しないやうな
中性
(
ちうせい
)
の
女
(
をんな
)
だ。
200
普通
(
ふつう
)
の
女
(
をんな
)
らしい
女
(
をんな
)
は
大好
(
だいす
)
きなのだ。
201
ハヽヽヽヽ』
202
ワク
『アハヽヽヽ、
203
到頭
(
たうとう
)
本音
(
ほんね
)
を
吹
(
ふ
)
きよつたなア』
204
コー『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
女
(
をんな
)
の
心
(
こころ
)
と
肉体
(
にくたい
)
の
美
(
うつく
)
しさは
称
(
たた
)
へても
称
(
たた
)
へ
切
(
き
)
れないものだ。
205
優
(
やさ
)
しい
思
(
おも
)
ひやりの
深
(
ふか
)
い
控目
(
ひかへめ
)
な
心
(
こころ
)
、
206
むき
出
(
だ
)
しでも
綺麗
(
きれい
)
な
心
(
こころ
)
、
207
沢山
(
たくさん
)
の
悪心
(
あくしん
)
を
持
(
も
)
ちながら
之
(
これ
)
を
要
(
えう
)
するに
小
(
ちひ
)
さい
可愛
(
かあい
)
らしい
心
(
こころ
)
、
208
嘘吐
(
うそつ
)
きでそして
直
(
すぐ
)
に
後悔
(
こうくわい
)
する
心
(
こころ
)
、
209
どこから
考
(
かんが
)
へても
可
(
い
)
い。
210
俺
(
おれ
)
は
一切
(
いつさい
)
の
女
(
をんな
)
が
大好
(
だいす
)
きだ』
211
エム『
女
(
をんな
)
といふ
奴
(
やつ
)
性来
(
しやうらい
)
の
愚者
(
ぐしや
)
だから、
212
何
(
ど
)
うでもなるものだよ。
213
女
(
をんな
)
を
喜
(
よろこ
)
ばせようと
思
(
おも
)
つたら
百万言
(
ひやくまんげん
)
を
費
(
つひや
)
して
其
(
その
)
心
(
こころ
)
を
褒
(
ほ
)
めてやるよりも、
214
たつた
一言
(
ひとこと
)
、
215
髪
(
かみ
)
なり、
216
鼻
(
はな
)
つきなり、
217
眼元
(
めもと
)
なり、
218
爪
(
つめ
)
の
光沢
(
つや
)
なりを
褒
(
ほ
)
めてやつた
方
(
はう
)
が
効果
(
かうくわ
)
が
多
(
おほ
)
いものだ。
219
アハヽヽヽ』
220
コー『
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
俺
(
おれ
)
は
女
(
をんな
)
の
心
(
こころ
)
とその
肉体
(
にくたい
)
を
褒
(
ほ
)
め
称
(
たた
)
へ
礼拝
(
らいはい
)
して
平和
(
へいわ
)
の
女神
(
めがみ
)
と
崇
(
あが
)
めるのだ。
221
それが
男子
(
だんし
)
たるものの
道義心
(
だうぎしん
)
だ。
222
なんと
云
(
い
)
つても
女
(
をんな
)
はエターナル・アイドルだ』
223
ワク『アハヽヽヽ』
224
エム『エヘヽヽヽ』
225
かく
笑
(
わら
)
ひ
興
(
きよう
)
ずる
所
(
ところ
)
へ、
226
雪
(
ゆき
)
のやうな
白
(
しろ
)
い
顔
(
かほ
)
をした
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
が
二人
(
ふたり
)
、
227
涼
(
すず
)
しい
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
此方
(
こなた
)
の
森
(
もり
)
をさして
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る。
228
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
目敏
(
めざと
)
くも
是
(
これ
)
を
眺
(
なが
)
めて
目引
(
めひ
)
き
袖引
(
そでひ
)
きしながらコーは
小声
(
こごゑ
)
で、
229
コー
『おい、
230
ワク、
231
エム、
232
俺
(
おれ
)
の
言霊
(
ことたま
)
は
偉
(
えら
)
いものだらう。
233
女
(
をんな
)
を
賞
(
ほ
)
めて
居
(
ゐ
)
たら
忽
(
たちま
)
ち
艶麗
(
えんれい
)
な
美人
(
びじん
)
が
出現
(
しゆつげん
)
ましましたぢやないか。
234
噂
(
うはさ
)
をすれば
影
(
かげ
)
とやら、
235
実
(
じつ
)
に
尤物
(
いうぶつ
)
だぞ。
236
どうかしてあいつを
旨
(
うま
)
く
虜
(
とりこ
)
にし、
237
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
につき
出
(
いだ
)
し、
238
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
をしようぢやないか』
239
エム『
面白
(
おもしろ
)
いなア、
240
確
(
しつか
)
りしようぞなア。
241
ワク、
242
貴様
(
きさま
)
の
婦人
(
ふじん
)
反対
(
はんたい
)
論者
(
ろんしや
)
でも、
243
あの
美人
(
びじん
)
には
一言
(
いちごん
)
もあるまい。
244
エーン』
245
ワク
『
成程
(
なるほど
)
霊光
(
れいくわう
)
に
打
(
う
)
たれて
頭
(
あたま
)
がワクワクしさうだ。
246
素的
(
すてき
)
のものだな』
247
かく
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ
早
(
はや
)
くも
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
は
近
(
ちか
)
よつて
来
(
き
)
た。
248
甲女
(
かふぢよ
)
(清照姫)
『もしもし、
249
一寸
(
ちよつと
)
お
尋
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
しますが、
250
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
や
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
陣営
(
ぢんえい
)
は、
251
何方
(
どちら
)
に
参
(
まゐ
)
りますかな』
252
コー『ヤア、
253
貴女
(
あなた
)
方
(
がた
)
は
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
何
(
なん
)
となさる
御
(
ご
)
所存
(
しよぞん
)
ですか』
254
甲女(清照姫)
『
会
(
あ
)
ひさへすればよいのです。
255
私
(
わたし
)
が
会
(
あ
)
つた
上
(
うへ
)
で、
256
雨
(
あめ
)
になるか、
257
風
(
かぜ
)
になるか、
258
将
(
は
)
た
雷鳴
(
らいめい
)
か、
259
地震
(
ぢしん
)
か、
260
今
(
いま
)
の
所
(
ところ
)
では
見当
(
けんたう
)
がつきませぬ。
261
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
案内
(
あんない
)
をして
下
(
くだ
)
さいな』
262
コー
『
用向
(
ようむき
)
も
聞
(
き
)
かずに、
263
うつかり
案内
(
あんない
)
をしようものなら
大変
(
たいへん
)
だなア。
264
ワク、
265
エム、
266
どうしようかなア』
267
ワク『
態
(
ざま
)
あ
見
(
み
)
い、
268
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
女
(
をんな
)
を
賞
(
ほ
)
めて
居
(
ゐ
)
たが、
269
さらばとなればその
狼狽
(
うろたへ
)
方
(
かた
)
は
何
(
なん
)
だ。
270
それだから、
271
俺
(
おれ
)
が
女
(
をんな
)
は
駄目
(
だめ
)
と
云
(
い
)
つたのだ。
272
こんなものを
連
(
つ
)
れて
往
(
ゆ
)
かうものなら、
273
バラモン
軍
(
ぐん
)
の
爆裂弾
(
ばくれつだん
)
になるか
知
(
し
)
れやしないぞ』
274
乙女
(
おつぢよ
)
『ホヽヽヽヽ、
275
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
276
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
高
(
たか
)
が
女
(
をんな
)
です、
277
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
さまばかりの
中
(
なか
)
へ
女
(
をんな
)
が
二人
(
ふたり
)
位
(
くらゐ
)
往
(
ゆ
)
きましても
何
(
なに
)
が
出来
(
でき
)
ませう。
278
男
(
をとこ
)
に
対
(
たい
)
する
女
(
をんな
)
、
279
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
異性
(
いせい
)
が
加
(
くは
)
はらねば、
280
どうしても
本当
(
ほんたう
)
の
男
(
をとこ
)
の
威勢
(
ゐせい
)
は
出
(
で
)
ませぬぞ』
281
コー『さうだなア、
282
ヤ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
283
何
(
なん
)
とまア、
284
三日月
(
みかづき
)
眉
(
まゆ
)
で、
285
目
(
め
)
のパツチリとしたお
色
(
いろ
)
の
白
(
しろ
)
い
髪
(
かみ
)
の
艶
(
つや
)
と
云
(
い
)
ひ、
286
まるで
天人
(
てんにん
)
のやうですワイ』
287
乙女(初稚姫)
『ホヽヽヽヽ、
288
こんなお
多福
(
たふく
)
をそのやうに
嬲
(
なぶ
)
るものぢやありませぬ。
289
どうぞ
妾
(
わたし
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
を
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
案内
(
あんない
)
して
下
(
くだ
)
さいませいな』
290
コー
『ハイハイ
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませうとも。
291
併
(
しか
)
しながら
貴女
(
あなた
)
のネームを
聞
(
き
)
かぬ
事
(
こと
)
にや
案内
(
あんない
)
の
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
292
何卒
(
どうぞ
)
お
名乗
(
なの
)
りを
願
(
ねが
)
ひます』
293
甲女
(
かふぢよ
)
(清照姫)
『
私
(
わたし
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
294
も
一人
(
ひとり
)
は
妹分
(
いもうとぶん
)
の
初稚姫
(
はつわかひめ
)
で
厶
(
ござ
)
ります』
295
コー『
何
(
なに
)
、
296
清照姫
(
きよてるひめ
)
に
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
297
そいつは
大変
(
たいへん
)
だ。
298
ヤア
平
(
ひら
)
にお
断
(
ことわ
)
り
申
(
まを
)
します』
299
甲女(清照姫)
『
何
(
なん
)
とまあ、
300
弱
(
よわ
)
い
男
(
をとこ
)
だこと、
301
女
(
をんな
)
の
二人
(
ふたり
)
位
(
くらゐ
)
が
恐
(
おそ
)
ろしいのですか』
302
コー
『ヤア
別
(
べつ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしくもありませぬが、
303
お
前
(
まへ
)
さまは
三五教
(
あななひけう
)
の
女豪傑
(
をんながうけつ
)
だ。
304
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてバラモン
教
(
けう
)
を
潰
(
つぶ
)
して
仕舞
(
しま
)
ふ
考
(
かんが
)
へだらう。
305
おい、
306
ワク、
307
エム、
308
何
(
ど
)
うしようかなあ』
309
ワク『ウンさうだなあ』
310
エム『
何
(
ど
)
うしたものだらう、
311
困
(
こま
)
つた
問題
(
もんだい
)
が
起
(
おこ
)
つたものだ』
312
甲女
(
かふぢよ
)
(清照姫)
『あゝ
辛気
(
しんき
)
臭
(
くさ
)
い、
313
こんな
方
(
かた
)
に
相手
(
あひて
)
になつて
居
(
ゐ
)
ては
駄目
(
だめ
)
だ。
314
さあ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さま、
315
此方
(
こちら
)
から
進
(
すす
)
んで
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
を
訪問
(
はうもん
)
致
(
いた
)
しませう』
316
乙女(初稚姫)
『さうですなあ、
317
こんな
腰
(
こし
)
の
弱
(
よわ
)
い
番卒
(
ばんそつ
)
に
交渉
(
かけ
)
やつて
居
(
を
)
つたつて
駄目
(
だめ
)
ですわ、
318
それなら
姉
(
ねえ
)
さま、
319
参
(
まゐ
)
りませう』
320
と
早
(
はや
)
くも
二人
(
ふたり
)
は
手
(
て
)
を
引
(
ひき
)
、
321
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎようとする。
322
コーは
慌
(
あわ
)
てて
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ、
323
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
になつて
小道
(
こみち
)
を
踏
(
ふ
)
ん
張
(
ば
)
りながら、
324
コー
『まあまあ
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
325
さう
強硬
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
に
出
(
で
)
られちや、
326
八
(
はつ
)
尺
(
しやく
)
の
男子
(
だんし
)
も
顔色
(
がんしよく
)
無
(
な
)
しぢや、
327
エヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
328
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませう。
329
おいワク、
330
エム
両人
(
りやうにん
)
、
331
お
前
(
まへ
)
は
此所
(
ここ
)
に
確
(
しつか
)
りと
守衛
(
しゆゑい
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
を
)
つて
呉
(
く
)
れ。
332
俺
(
おれ
)
は
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
まで
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
を
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
して
来
(
く
)
るから』
333
エム『
手柄
(
てがら
)
を
独占
(
どくせん
)
しようとは、
334
ちと
虫
(
むし
)
がよ
過
(
す
)
ぎるぞ。
335
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
寄
(
よ
)
つて
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
する
事
(
こと
)
にしようかい。
336
後
(
あと
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
はテル、
337
ハルの
両人
(
りやうにん
)
にまかして
置
(
お
)
けばよいのだ。
338
おいテル、
339
ハルの
両人
(
りやうにん
)
、
340
確
(
しつか
)
り
守衛
(
しゆゑい
)
を
頼
(
たの
)
むぞ』
341
テル『
私
(
わたし
)
もお
供
(
とも
)
を
致
(
いた
)
しませう』
342
エム『
罷
(
まか
)
りならぬ。
343
上官
(
じやうくわん
)
の
命令
(
めいれい
)
だ、
344
怖
(
こは
)
けりや
木
(
き
)
の
蔭
(
かげ
)
になとすつ
込
(
こ
)
んで
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
れ。
345
ハルと
両人
(
りやうにん
)
抱
(
だ
)
き
合
(
あ
)
つて
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
るが
好
(
よ
)
からうぞ』
346
ハル『アヽ
仕方
(
しかた
)
がないなあ、
347
テル、
348
強
(
つよ
)
いものの
強
(
つよ
)
い、
349
弱
(
よわ
)
いものの
弱
(
よわ
)
い
時節
(
じせつ
)
だからなあ』
350
エム『こりや
両人
(
りやうにん
)
、
351
二百
(
にひやく
)
五十
(
ごじふ
)
両
(
りやう
)
儲
(
まう
)
けたぢやないか、
352
金
(
かね
)
の
冥加
(
みやうが
)
でも
二人
(
ふたり
)
神妙
(
しんめう
)
に
守衛
(
しゆゑい
)
をして
居
(
ゐ
)
るだけの
価値
(
かち
)
はあるぞ』
353
テル『ハーイ』
354
ハル『
仕方
(
しかた
)
がありませぬ』
355
コー『サア、
356
お
二方
(
ふたかた
)
、
357
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
を
致
(
いた
)
しませう』
358
甲乙
(
かふおつ
)
二女
(
にぢよ
)
は、
359
叮嚀
(
ていねい
)
に
会釈
(
ゑしやく
)
し、
360
ニコニコ
笑
(
わら
)
ひながら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
足跡
(
あしあと
)
を
踏
(
ふ
)
んで、
361
ランチの
陣営
(
ぢんえい
)
さして
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
にも
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
362
(
大正一二・一・八
旧一一・一一・二二
加藤明子
録)
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