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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第63巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 妙法山月
第1章 玉の露
第2章 妙法山
第3章 伊猛彦
第4章 山上訓
第5章 宿縁
第6章 テルの里
第2篇 日天子山
第7章 湖上の影
第8章 怪物
第9章 超死線
第3篇 幽迷怪道
第10章 鷺と鴉
第11章 怪道
第12章 五託宣
第13章 蚊燻
第14章 嬉し涙
第4篇 四鳥の別
第15章 波の上
第16章 諒解
第17章 峠の涙
第18章 夜の旅
第5篇 神検霊査
第19章 仕込杖
第20章 道の苦
第21章 神判
第22章 蚯蚓の声
余白歌
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霊界物語
>
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第63巻(寅の巻)
> 第1篇 妙法山月 > 第5章 宿縁
<<< 山上訓
(B)
(N)
テルの里 >>>
第五章
宿縁
(
しゆくえん
)
〔一六一二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻
篇:
第1篇 妙法山月
よみ(新仮名遣い):
すだるまさんげつ
章:
第5章 宿縁
よみ(新仮名遣い):
しゅくえん
通し章番号:
1612
口述日:
1923(大正12)年05月18日(旧04月3日)
口述場所:
教主殿
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年2月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
伊太彦、カークス、ベースの三人はスーラヤ湖の湖辺の漁村に出た。竜王がいるスーラヤ島に渡る舟を探して訪ね歩いた。船頭はみな出払っており、老夫婦の親切によって宿泊して舟を待つことになった。
伊太彦はスダルマ山の麓で神懸状態になってからにわかに若々しく美しくなっていた。これは木花姫命の御魂が伊太彦に大事業を果たさせるべく、御守護になっていたからであった。しかし伊太彦当人はまったくそのことに気づいていなかった。
老夫婦もカークス、ベースも、伊太彦がなんとなく威厳が備わっているので下にもおかず親切にする。伊太彦は別亭に案内されてそこで休むことになった。
老夫婦には年若い兄妹があった。兄のアスマガルダは船に乗って漁に出ており、家には妹のブラヷーダがいた。
深夜に老夫婦の娘ブラヷーダが伊太彦の寝所にやってきた。ブラヷーダは三五教の神のお告げがあり、伊太彦が夫になる男だと告げたという。伊太彦は返事に困り、ブラヷーダと問答しながら夜を明かした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6305
愛善世界社版:
66頁
八幡書店版:
第11輯 286頁
修補版:
校定版:
68頁
普及版:
64頁
初版:
ページ備考:
001
伊太彦
(
いたひこ
)
、
002
カークス、
003
ベースの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
004
スダルマ
山
(
さん
)
の
麓
(
ふもと
)
より
間道
(
かんだう
)
を
通
(
とほ
)
り
抜
(
ぬ
)
け、
005
スーラヤの
湖辺
(
こへん
)
に
出
(
で
)
た。
006
ここには
此
(
この
)
湖
(
みづうみ
)
を
渡海
(
とかい
)
する
船頭
(
せんどう
)
の
家
(
いへ
)
が
十四五
(
じふしご
)
軒
(
けん
)
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
007
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
一々
(
いちいち
)
船頭
(
せんどう
)
の
家
(
いへ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて、
008
湖中
(
こちう
)
に
浮
(
うか
)
べるスーラヤ
島
(
たう
)
に
渡
(
わた
)
るべく
探
(
さが
)
して
見
(
み
)
たが、
009
何
(
いづ
)
れも
漁
(
すなどり
)
に
出
(
で
)
た
留守
(
るす
)
と
見
(
み
)
えて
一人
(
ひとり
)
も
船頭
(
せんどう
)
は
居
(
ゐ
)
なかつた。
010
家
(
いへ
)
に
残
(
のこ
)
つたものは
爺婆
(
ぢぢばば
)
か、
011
嬶
(
かかあ
)
子供
(
こども
)
ばかりである。
012
一軒
(
いつけん
)
も
残
(
のこ
)
らず
尋
(
たづ
)
ねて
最後
(
さいご
)
の
家
(
いへ
)
に
至
(
いた
)
り、
013
最早
(
もはや
)
船
(
ふね
)
がなければ
仕方
(
しかた
)
がない、
014
船頭衆
(
せんどうしう
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
迄
(
まで
)
ここに
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にしようと、
015
爺
(
ぢい
)
さま、
016
婆
(
ば
)
アさまに
渋茶
(
しぶちや
)
を
汲
(
く
)
んで
貰
(
もら
)
ひ、
017
遂
(
つひ
)
に
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
老人
(
らうじん
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
親切
(
しんせつ
)
によつて
宿泊
(
しゆくはく
)
する
事
(
こと
)
となつた。
018
庭先
(
にはさき
)
には
栴檀
(
ちやんだな
)
の
木
(
き
)
が
香
(
かん
)
ばしく
薫
(
かを
)
つて
019
小
(
ちひ
)
さき
賤ケ屋
(
しづがや
)
の
中
(
なか
)
を
包
(
つつ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
020
爺
(
ぢい
)
さま
021
婆
(
ば
)
アさまの
子
(
こ
)
には
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
があつた。
022
兄
(
あに
)
をアスマガルダと
云
(
い
)
ひ
妹
(
いもうと
)
をブラヷーダと
云
(
い
)
つた。
023
兄妹
(
きやうだい
)
共
(
とも
)
に
天稟
(
てんぴん
)
の
美貌
(
びばう
)
でキメも
細
(
こま
)
かく
024
兄
(
あに
)
の
方
(
はう
)
は
瑪瑙
(
めなう
)
の
様
(
やう
)
な
美
(
うつく
)
しい
肌
(
はだ
)
をしてゐるのでそれを
名
(
な
)
としたのである。
025
アスマガルダと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
瑪瑙
(
めなう
)
の
梵語
(
ぼんご
)
であり、
026
ブラヷーダと
云
(
い
)
ふのは
梵語
(
ぼんご
)
の
珊瑚
(
さんご
)
である。
027
伊太彦
(
いたひこ
)
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
は
先
(
ま
)
づ
夕餉
(
ゆふげ
)
を
饗応
(
きやうおう
)
され
028
庭先
(
にはさき
)
に
向
(
むか
)
つて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
029
再
(
ふたた
)
び
家
(
いへ
)
に
帰
(
かへ
)
つていろいろの
話
(
はなし
)
をしたり、
030
「
是非
(
ぜひ
)
とも
明日
(
あす
)
はスーラヤ
山
(
さん
)
に
登
(
のぼ
)
り
夜光
(
やくわう
)
の
球
(
たま
)
をとつて
来
(
こ
)
ねばならぬ」と
希望
(
きばう
)
を
抱
(
いだ
)
いて
勇
(
いさ
)
ましく
嬉
(
うれ
)
しげに
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
031
伊太彦
(
いたひこ
)
はスダルマ
山
(
さん
)
の
麓
(
ふもと
)
に
於
(
おい
)
て
暫
(
しば
)
らく
神懸
(
かむがかり
)
状態
(
じやうたい
)
となつてより
俄
(
にはか
)
に
若々
(
わかわか
)
しくなり、
032
体
(
からだ
)
の
相好
(
さうがう
)
から
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
迄
(
まで
)
玉
(
たま
)
の
如
(
ごと
)
く
美
(
うつく
)
しくなつて
了
(
しま
)
つた。
033
これは
木花姫
(
このはなひめの
)
命
(
みこと
)
の
御霊
(
みたま
)
が
伊太彦
(
いたひこ
)
に
一
(
ひと
)
つの
使命
(
しめい
)
を
果
(
はた
)
さすべく、
034
それに
就
(
つ
)
いては
大変
(
たいへん
)
な
大事業
(
だいじげふ
)
であるから
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
になつたからである。
035
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
伊太彦
(
いたひこ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
顔
(
かほ
)
や
姿
(
すがた
)
の
優美
(
いうび
)
高尚
(
かうしやう
)
になつた
事
(
こと
)
は
気
(
き
)
がつかず、
036
依然
(
いぜん
)
として
元
(
もと
)
の
蜴蜥面
(
とかげづら
)
であると
自
(
みづか
)
ら
信
(
しん
)
じてゐた。
037
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
話
(
はなし
)
をして
居
(
ゐ
)
ると
038
土間
(
どま
)
の
襖
(
ふすま
)
をソツと
開
(
あ
)
けて
珊瑚樹
(
さんごじゆ
)
の
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
をした
女
(
をんな
)
がチヨイチヨイ
偸
(
ぬす
)
む
様
(
やう
)
な
目
(
め
)
をして
覗
(
のぞ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
039
伊太彦
(
いたひこ
)
は「
娘
(
むすめ
)
が
何
(
なん
)
の
意
(
い
)
で
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
を
覗
(
のぞ
)
くであらうか、
040
余
(
あま
)
り
珍妙
(
ちんめう
)
な
顔
(
かほ
)
をして
居
(
ゐ
)
るので
面白
(
おもしろ
)
がつて、
041
チヨコチヨコと
化物
(
ばけもの
)
の
無料
(
むれう
)
見物
(
けんぶつ
)
をやつて
居
(
ゐ
)
るのだらう。
042
アヽ
斯
(
か
)
うなつて
来
(
く
)
ると
人間
(
にんげん
)
も
美
(
うつく
)
しう
生
(
うま
)
れたいものだ。
043
何故
(
なぜ
)
俺
(
おれ
)
はこんなヒヨツトコに
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
たのだらう」と
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
で
呟
(
つぶ
)
やいて
居
(
ゐ
)
た。
044
爺
(
ぢい
)
さまも
婆
(
ば
)
アさまもカークスもベースも
045
何
(
なん
)
となく
伊太彦
(
いたひこ
)
の
威厳
(
ゐげん
)
の
備
(
そな
)
はりたるに
畏敬
(
ゐけい
)
尊信
(
そんしん
)
の
念
(
ねん
)
を
起
(
おこ
)
し
046
恰
(
あたか
)
も
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
降臨
(
かうりん
)
の
様
(
やう
)
にあらゆる
美
(
うつく
)
しい
言葉
(
ことば
)
を
並
(
なら
)
べて、
047
何
(
なに
)
呉
(
く
)
れとなく
世話
(
せわ
)
をする。
048
伊太彦
(
いたひこ
)
は、
049
『
何
(
なん
)
とまア
親切
(
しんせつ
)
な
人
(
ひと
)
もあるものだな。
050
こんな
僻地
(
へきち
)
だから
人間
(
にんげん
)
が
純朴
(
じゆんぼく
)
で
親切
(
しんせつ
)
なのであらう。
051
まるで
神代
(
かみよ
)
の
様
(
やう
)
だなア』
052
と
今度
(
こんど
)
は
感謝
(
かんしや
)
の
意味
(
いみ
)
に
於
(
おい
)
て
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
で
囁
(
ささや
)
いた。
053
此
(
この
)
老夫婦
(
らうふうふ
)
の
名
(
な
)
は、
054
爺
(
ぢい
)
さまをルーブヤ(
銀
(
ぎん
)
)と
云
(
い
)
ひ
055
婆
(
ば
)
アさまをバヅマラーカ(
真珠
(
しんじゆ
)
)と
云
(
い
)
つた。
056
年
(
とし
)
はとつて
居
(
ゐ
)
るものの、
057
何処
(
どこ
)
ともなしにブラヷーダの
様
(
やう
)
に
美
(
うつく
)
しい
面影
(
おもかげ
)
が
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
058
爺
(
ぢい
)
さまのルーブヤは
嬉
(
うれ
)
しさうに
伊太彦
(
いたひこ
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すす
)
みよつて
両手
(
りやうて
)
を
支
(
つか
)
へ、
059
『これはこれは
何処
(
どこ
)
のお
客
(
きやく
)
さまか
存
(
ぞん
)
じませぬが、
060
よくもこんな
山間
(
さんかん
)
僻地
(
へきち
)
を
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
061
承
(
うけたま
)
はりますればスーラヤの
島
(
しま
)
に
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
をおとりの
為
(
ため
)
お
渡
(
わた
)
りとの
事
(
こと
)
ですが、
062
昔
(
むかし
)
からあの
島
(
しま
)
へ
渡
(
わた
)
つて
玉
(
たま
)
を
取
(
と
)
りに
行
(
い
)
つたものは
063
一人
(
ひとり
)
も
生
(
い
)
きて
帰
(
かへ
)
つたものは
厶
(
ござ
)
りませぬ。
064
夜分
(
やぶん
)
になると、
065
それはそれは
立派
(
りつぱ
)
な
光
(
ひかり
)
が
出
(
で
)
ますので
066
欲
(
よく
)
に
目
(
め
)
のない
人間
(
にんげん
)
はソツと
渡
(
わた
)
つて
命
(
いのち
)
をとられるのです。
067
併
(
しか
)
し
貴方
(
あなた
)
はかう
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
で
普通
(
あたりまへ
)
の
人間
(
にんげん
)
と
見
(
み
)
えませぬ。
068
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
化身
(
けしん
)
と
思
(
おも
)
はれます。
069
何卒
(
どうぞ
)
あの
玉
(
たま
)
をとつてお
帰
(
かへ
)
りになれば
070
此
(
この
)
村中
(
むらぢう
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
071
国人
(
くにびと
)
が
再
(
ふたた
)
び
生命
(
いのち
)
をとられる
事
(
こと
)
がなくなります。
072
貴方
(
あなた
)
なれば
屹度
(
きつと
)
玉
(
たま
)
をとつて
帰
(
かへ
)
れるでせう。
073
忰
(
せがれ
)
のアスマガルダが
明日
(
あす
)
は
帰
(
かへ
)
るでせうからお
伴
(
とも
)
を
致
(
いた
)
させます。
074
何卒
(
どうぞ
)
御
(
ご
)
成功
(
せいこう
)
をお
祈
(
いの
)
り
致
(
いた
)
します。
075
そして
私
(
わたし
)
の
家
(
うち
)
は
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り、
076
かう
云
(
い
)
ふむさくるしい
狭
(
せま
)
い
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
077
まさかの
時
(
とき
)
の
用意
(
ようい
)
に
裏
(
うら
)
の
林
(
はやし
)
に
狭
(
せま
)
い
乍
(
なが
)
らも
新
(
あたら
)
しい
亭
(
ちん
)
が
建
(
た
)
ててありますから
078
何卒
(
どうぞ
)
それへお
寐
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ』
079
伊太
(
いた
)
『これはこれはお
爺様
(
ぢいさま
)
、
080
俄
(
にはか
)
に
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になりまして、
081
さう
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んで
貰
(
もら
)
ひましては
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
みませぬ。
082
庭
(
には
)
の
隅
(
すみ
)
でも
結構
(
けつこう
)
です。
083
夜露
(
よつゆ
)
を
凌
(
しの
)
げたら
宜
(
よろ
)
しいのです。
084
私
(
わたし
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
として
085
山
(
やま
)
に
寝
(
ね
)
たり
野
(
の
)
に
寝
(
ね
)
たりして
修行
(
しうぎやう
)
に
廻
(
まは
)
るものですから、
086
そんな
処
(
ところ
)
に
寝
(
やす
)
まして
貰
(
もら
)
うと
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
う
厶
(
ござ
)
います』
087
ルーブヤ『さう
仰有
(
おつしや
)
らずに
何卒
(
どうぞ
)
老人
(
らうじん
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
願
(
ねが
)
ひで
厶
(
ござ
)
いますから
088
新建
(
しんだち
)
へ
行
(
い
)
つてお
寝
(
やす
)
みを
願
(
ねが
)
ひます』
089
伊太
(
いた
)
『そこ
迄
(
まで
)
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さるのにお
断
(
ことわ
)
りするのも
却
(
かへつ
)
て
失礼
(
しつれい
)
に
当
(
あた
)
りますから、
090
然
(
しか
)
らば
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になりませう』
091
バヅマラーカ『
何卒
(
どうぞ
)
そうなさつて
下
(
くだ
)
さいませ。
092
お
床
(
とこ
)
をチヤンとして
置
(
お
)
きましたから』
093
伊太
(
いた
)
『
然
(
しか
)
らば
寝
(
やす
)
まして
頂
(
いただ
)
きませう。
094
カークスさま、
095
ベースさま、
096
サア
御
(
ご
)
一緒
(
いつしよ
)
にお
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
しませう』
097
カークス、
098
ベースの
両人
(
りやうにん
)
はモヂモヂとして
居
(
ゐ
)
る。
099
ルーブヤ『いえいえ、
100
このお
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
は
私
(
わたし
)
の
宅
(
うち
)
に
寝
(
やす
)
んで
頂
(
いただ
)
きませう。
101
貴方
(
あなた
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ですから
102
何卒
(
どうぞ
)
新
(
あたら
)
しい
処
(
ところ
)
で
寝
(
やす
)
んで
下
(
くだ
)
さいませ』
103
伊太
(
いた
)
『
左様
(
さやう
)
ならば
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
に
従
(
したが
)
ひお
世話
(
せわ
)
になりませう』
104
と
婆
(
ば
)
アさまのバヅマラーカに
導
(
みちび
)
かれ
105
清洒
(
こんもり
)
とした
涼
(
すず
)
しい
新建
(
しんだち
)
に
案内
(
あんない
)
された。
106
このルーブヤの
家
(
いへ
)
は
此
(
この
)
近辺
(
きんぺん
)
の
里庄
(
りしやう
)
をつとめて
居
(
ゐ
)
るので、
107
見
(
み
)
た
割
(
わり
)
とは
富裕
(
ふゆう
)
であつた。
108
それ
故
(
ゆゑ
)
万事
(
ばんじ
)
万端
(
ばんたん
)
、
109
座敷
(
ざしき
)
の
道具
(
だうぐ
)
等
(
など
)
が
整頓
(
せいとん
)
して
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
気分
(
きぶん
)
のよい
住居
(
すまゐ
)
である。
110
伊太彦
(
いたひこ
)
は
婆
(
ば
)
アさまに
案内
(
あんない
)
され
111
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
美
(
うつく
)
しき
座敷
(
ざしき
)
に
泊
(
とま
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
て
非常
(
ひじやう
)
に
喜
(
よろこ
)
び、
112
且
(
か
)
つ
明日
(
あす
)
の
希望
(
きばう
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すと
何
(
なん
)
だか
気
(
き
)
が
勇
(
いさ
)
んで
寝
(
ね
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬので、
113
横
(
よこ
)
に
寝
(
ね
)
たまま
目
(
め
)
をパチつかせて
居
(
ゐ
)
た。
114
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
とも
思
(
おぼし
)
き
時
(
とき
)
、
115
ソツと
表戸
(
おもてど
)
を
開
(
あ
)
けて
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせ
乍
(
なが
)
ら
116
暗
(
やみ
)
に
浮
(
う
)
いた
様
(
やう
)
な
年若
(
としわか
)
い
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
が、
117
伊太彦
(
いたひこ
)
の
枕辺
(
まくらべ
)
に
近
(
ちか
)
くやつて
来
(
き
)
た。
118
伊太
(
いた
)
『ハテ
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
だなア。
119
夜
(
よさり
)
でしつかりは
分
(
わか
)
らぬが、
120
どうやら
素敵
(
すてき
)
な
美人
(
びじん
)
らしい。
121
此
(
この
)
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い
蜴蜥面
(
とかげづら
)
の、
122
自分
(
じぶん
)
でさへ
愛憎
(
あいそ
)
の
尽
(
つ
)
くる
様
(
やう
)
な
俺
(
おれ
)
に
女
(
をんな
)
が
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
つてやつて
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
もなし、
123
これは
屹度
(
きつと
)
此
(
この
)
林
(
はやし
)
に
居
(
ゐ
)
る
狐
(
きつね
)
が
化
(
ばけ
)
て
居
(
ゐ
)
るのかも
知
(
し
)
れない。
124
こりや、
125
しつかりせねばなるまい』
126
と
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
を
抑
(
おさ
)
へ、
127
稍
(
やや
)
慄
(
ふる
)
ひを
帯
(
おび
)
た
声
(
こゑ
)
で、
128
伊太
(
いた
)
『
誰
(
たれ
)
だ。
129
この
真夜中
(
まよなか
)
に
人
(
ひと
)
の
寝所
(
しんしよ
)
を
襲
(
おそ
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
妖怪
(
えうくわい
)
変化
(
へんげ
)
か、
130
但
(
ただ
)
しは
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
盗人
(
ぬすびと
)
か、
131
返答
(
へんたふ
)
を
致
(
いた
)
せ』
132
暗
(
やみ
)
の
影
(
かげ
)
は
幽
(
かす
)
かの
声
(
こゑ
)
で
恥
(
はづ
)
かしさうに、
133
『
妾
(
わたし
)
はブラヷーダで
厶
(
ござ
)
います』
134
伊太
(
いた
)
『ブラヷーダさまが
此
(
この
)
伊太彦
(
いたひこ
)
に
何用
(
なによう
)
あつて
今
(
いま
)
頃
(
ごろ
)
おいでになりましたか。
135
御用
(
ごよう
)
があらば
明日
(
あす
)
承
(
うけたま
)
はりませう。
136
男
(
をとこ
)
の
寝所
(
しんしよ
)
へ
夜中
(
よなか
)
に
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
がおいでになるとは、
137
チツと
可怪
(
をか
)
しいぢやありませぬか』
138
ブラヷーダはモヂモヂし
乍
(
なが
)
ら、
139
『ハイ、
140
妾
(
わたし
)
は
一寸
(
ちよつと
)
此
(
この
)
座敷
(
ざしき
)
に
忘
(
わす
)
れ
物
(
もの
)
を
致
(
いた
)
しましたので
尋
(
たづ
)
ねに
来
(
き
)
たので
厶
(
ござ
)
います。
141
夜中
(
やちう
)
にお
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まして
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まない
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いました』
142
伊太
(
いた
)
『ハテ、
143
合点
(
がつてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
います。
144
貴女
(
あなた
)
の
家
(
うち
)
に
貴女
(
あなた
)
の
物
(
もの
)
があるのをお
忘
(
わす
)
れになつたといふ
道理
(
だうり
)
はありますまい。
145
又
(
また
)
明日
(
あす
)
お
探
(
さが
)
しになつては
如何
(
いかが
)
ですか』
146
ブラヷーダ『いえいえ
是非
(
ぜひ
)
とも
今晩
(
こんばん
)
、
147
それを
捉
(
つか
)
まへなくてはならないのですもの』
148
伊太
(
いた
)
『その
又
(
また
)
捉
(
とら
)
へなくてはならぬと
仰有
(
おつしや
)
るのは
何
(
ど
)
んなもので
厶
(
ござ
)
いますか。
149
何
(
なん
)
なら
私
(
わたし
)
もお
手伝
(
てつだ
)
ひして
探
(
さが
)
しませうか』
150
ブラヷーダ『ハイ、
151
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
152
何卒
(
どうぞ
)
手伝
(
てつだひ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
153
伊太
(
いた
)
『
品物
(
しなもの
)
は
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
154
それを
聞
(
き
)
かなくちや
探
(
さが
)
す
見当
(
けんたう
)
がつきませぬがな。
155
簪
(
かんざし
)
ですか、
156
櫛
(
くし
)
ですか、
157
笄
(
かうがひ
)
ですか』
158
ブラヷーダ『いえいえ、
159
そんな
小
(
ちひ
)
さいものでは
厶
(
ござ
)
いませぬ。
160
妾
(
わたし
)
の
大切
(
たいせつ
)
の
大切
(
たいせつ
)
の
一生
(
いつしやう
)
の
宝
(
たから
)
のイタ……で
厶
(
ござ
)
います』
161
伊太
(
いた
)
『それは
又
(
また
)
不思議
(
ふしぎ
)
なものをお
尋
(
たづ
)
ねになるのですな。
162
洗
(
あら
)
ひ
張
(
は
)
りでもなさるのですか。
163
ゆつくり
明日
(
あす
)
になさつたらどうです』
164
ブラヷーダ『いいえ、
165
板
(
いた
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
166
あの……
彦
(
ひこ
)
さまで
厶
(
ござ
)
います』
167
伊太
(
いた
)
『ますます
分
(
わか
)
らぬぢやありませぬか。
168
板
(
いた
)
だとか
彦
(
ひこ
)
だとか、
169
まるで
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
の
様
(
やう
)
なものをお
探
(
さが
)
しになるのですな』
170
ブラヷーダ『その
伊太彦
(
いたひこ
)
さまを
探
(
さが
)
しに
来
(
き
)
たので
厶
(
ござ
)
いますよ』
171
伊太
(
いた
)
『ハヽア、
172
さうするとお
前
(
まへ
)
はここのお
嬢
(
ぢやう
)
さまに
化
(
ば
)
けて
来
(
き
)
てゐるが、
173
大方
(
おほかた
)
ナーガラシャーだらう。
174
此
(
この
)
伊太彦
(
いたひこ
)
が
明日
(
あす
)
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
を
取
(
と
)
りに
行
(
ゆ
)
くのを
前知
(
ぜんち
)
し、
175
害
(
がい
)
を
加
(
くは
)
へにやつて
来
(
き
)
たウバナンダ
竜王
(
りうわう
)
の
使
(
つかひ
)
だらうがな』
176
ブラヷーダ『いえいえ、
177
決
(
けつ
)
して
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
恐
(
おそ
)
ろしいものでは
厶
(
ござ
)
いませぬ。
178
妾
(
わたし
)
は
此
(
この
)
家
(
や
)
の
娘
(
むすめ
)
、
179
正真
(
しやうしん
)
正銘
(
しやうめい
)
のブラヷーダで
厶
(
ござ
)
います。
180
貴方
(
あなた
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
定
(
さだ
)
めになつた
妾
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
います』
181
伊太
(
いた
)
『もしお
嬢
(
ぢやう
)
さま、
182
冗談
(
じようだん
)
云
(
い
)
つちやいけませぬよ。
183
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い
菊目石
(
あばた
)
面
(
づら
)
の
蜴蜥面
(
とかげづら
)
に
揶揄
(
からか
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
るぢやありませぬか。
184
自分
(
じぶん
)
でさへも
愛憎
(
あいそ
)
のつきた
此
(
この
)
面付
(
つらつき
)
、
185
そんな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
つても
伊太彦
(
いたひこ
)
は
信
(
しん
)
ずる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ』
186
ブラヷーダ『
貴方
(
あなた
)
、
187
そんな
嘘
(
うそ
)
が
見
(
み
)
す
見
(
み
)
す
云
(
い
)
へますね。
188
三十二
(
さんじふに
)
相
(
さう
)
揃
(
そろ
)
ふた
女神
(
めがみ
)
の
様
(
やう
)
なお
姿
(
すがた
)
をして
厶
(
ござ
)
るぢやありませぬか。
189
妾
(
わたし
)
はここ
一
(
いつ
)
週間
(
しうかん
)
程
(
ほど
)
以前
(
いぜん
)
に
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
告
(
つ
)
げによつて
190
夫
(
をつと
)
を
授
(
さづ
)
けてやらうと
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
191
只今
(
ただいま
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
妾
(
わたし
)
の
耳
(
みみ
)
の
辺
(
はた
)
でお
囁
(
ささや
)
きになるのには、
192
お
前
(
まへ
)
の
夫
(
をつと
)
は、
193
今晩
(
こんばん
)
お
泊
(
とま
)
りになるあの
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
仰有
(
おつしや
)
いました。
194
是非
(
ぜひ
)
とも
妾
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
になつて
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
いもので
厶
(
ござ
)
います。
195
否々
(
いないな
)
196
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
からお
定
(
さだ
)
めになつた
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
います』
197
伊太
(
いた
)
『ハーテ、
198
ますます
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつて
来
(
き
)
たわい。
199
アヽ
如何
(
どう
)
したら
宜
(
よ
)
いかな。
200
嬉
(
うれ
)
しい
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
もするし、
201
何
(
なん
)
だか、
202
つままれて
居
(
を
)
るやうな
気
(
き
)
もするし、
203
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
済
(
す
)
まぬやうな
気
(
き
)
にもなつて
来
(
き
)
た。
204
ハハアこいつは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
試練
(
ためし
)
だらう。
205
ヤア
剣呑
(
けんのん
)
々々
(
けんのん
)
、
206
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
207
ブラヷーダ『マアお
情
(
なさけ
)
のない
貴方
(
あなた
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
208
さう
じらす
ものではありませぬよ』
209
伊太
(
いた
)
『それだと
云
(
い
)
つて
余
(
あま
)
り
思
(
おも
)
ひがけもないぢやありませぬか。
210
マア
明日
(
あす
)
迄
(
まで
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さいな。
211
ゆつくり
考
(
かんが
)
へさして
貰
(
もら
)
ひませうから』
212
ブラヷーダ『
明日
(
あす
)
迄
(
まで
)
待
(
ま
)
てる
位
(
くらゐ
)
なら
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
として
貴方
(
あなた
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
誰
(
たれ
)
が
出
(
で
)
て
参
(
まゐ
)
りませう。
213
決
(
けつ
)
して
不潔
(
ふけつ
)
な
心
(
こころ
)
で
来
(
き
)
たのではありませぬから
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ。
214
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
「ウン」と
仰有
(
おつしや
)
つて
頂
(
いただ
)
けばそれで
宜
(
よろ
)
しう
厶
(
ござ
)
います』
215
伊太
(
いた
)
『アヽ
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
216
私
(
わたし
)
にはお
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
も
厶
(
ござ
)
います。
217
又
(
また
)
貴女
(
あなた
)
にも
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
やお
兄様
(
あにさま
)
がありますから、
218
双方
(
さうはう
)
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
、
219
どんな
約束
(
やくそく
)
でも
致
(
いた
)
しませう』
220
ブラヷーダ『
仰
(
おほ
)
せ
御尤
(
ごもつと
)
もでは
御座
(
ござ
)
いますが、
221
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
告
(
つ
)
げは
一刻
(
いつこく
)
の
猶予
(
いうよ
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬ。
222
そんな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
らずに
何卒
(
どうぞ
)
よい
返事
(
へんじ
)
をして
下
(
くだ
)
さいませ』
223
伊太
(
いた
)
『ハテ、
224
どうしたらよからうかな。
225
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
226
ブラヷーダ『
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
227
かく
両人
(
りやうにん
)
はお
互
(
たがひ
)
に
問
(
と
)
ひつ
答
(
こた
)
へつ
暁
(
あかつき
)
の
鳥
(
とり
)
の
声
(
こゑ
)
する
迄
(
まで
)
夜
(
よ
)
を
更
(
ふ
)
かした。
228
果
(
はた
)
して、
229
如何
(
いかが
)
落着
(
らくちやく
)
をしたであらうか。
230
思
(
おも
)
はざる
家
(
いへ
)
に
泊
(
とま
)
りて
思
(
おも
)
はざる
231
時
(
とき
)
に
思
(
おも
)
はぬ
人
(
ひと
)
に
会
(
あ
)
ひける。
232
ブラヷーダ
明日
(
あす
)
をも
待
(
ま
)
たず
直
(
すぐ
)
ここで
233
返答
(
いらへ
)
せよやと
迫
(
せま
)
る
割
(
わり
)
なさ。
234
(
大正一二・五・一八
旧四・三
於教主殿
北村隆光
録)
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