霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第九章 超死線(てうしせん)〔一六一六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻 篇:第2篇 日天子山 よみ(新仮名遣い):すーらやさん
章:第9章 超死線 よみ(新仮名遣い):ちょうしせん 通し章番号:1616
口述日:1923(大正12)年05月24日(旧04月9日) 口述場所:教主殿 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年2月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
一行五人はスーラヤ山の中腹まで登ってきた。夜前妖怪が言っていた死線地帯にたどり着いた。
死線を突破するために伊太彦を導師として天津祝詞を奏上し、天の数歌を歌いながら勢いにおまかせて駆け上った。一行は死線を乗り越えられたことにそれぞれ感謝の歌を歌った。
伊太彦は一行を励ましながら岩窟の側近くにやってきた。深い井戸のように縦穴があいており、底には夜光の玉がいくつともなく光っているのが見えた。
伊太彦は藤蔓を切って太い縄にない、岩窟の一端にくくりつけて底深く降りて行った。一行も勇気を鼓して伊太彦に続いた。
岩窟の底からまた横穴がい開いていて無数の玉が光っている。奥を見ると、ウバナンダ竜王がたくさんの眷属をつれて蜿蜒とわだかまっていた。
伊太彦はもろ手を合わせて柏手を打ち、天津祝詞を奏上しようとした。しかしどうしたものかにわかに舌はこわばり、一言も発することができなくなってその場に昏倒してしまった。
一行五人も同様にその場に枕を並べて昏倒してしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-04-23 16:13:54 文字数:3451 OBC :rm6309
愛善世界社版:122頁 八幡書店版:第11輯 305頁 修補版: 校定版:124頁 普及版:64頁 初版: ページ備考:
001 水面(すいめん)を抜(ぬ)く事(こと)、002七千(しちせん)三百(さんびやく)尺(しやく)のスーラヤ山(さん)の中腹(ちうふく)迄(まで)一行(いつかう)五(ご)人(にん)は漸(やうや)く登(のぼ)りつめた。003これより上(うへ)は夜前(やぜん)妖怪(えうくわい)の云(い)つた死線(しせん)地帯(ちたい)である。004山(やま)の中腹(ちうふく)に邪気帯(じやきたい)があつて四方(しはう)を取囲(とりかこ)み、005何(いづ)れもこの死線(しせん)を突破(とつぱ)せむとして、006邪気(じやき)にうたれ、007身体(しんたい)水症病(すいしやうびやう)を起(おこ)し、008ここにパタリパタリと倒(たふ)れて一人(ひとり)もこれより上(うへ)に登(のぼ)つたものはない。009何程(なにほど)夜光(やくわう)の玉(たま)が燦爛(さんらん)と輝(かがや)き渡(わた)り高価(かうか)な宝(たから)が目(め)の前(まへ)にブラ下(さが)つて居(を)つても010此(この)死線(しせん)を越(こ)へる事(こと)は到底(たうてい)人間業(にんげんわざ)では出来(でき)ぬ事(こと)であつた。011此(この)地帯(ちたい)は殆(ほと)んど七八十(しちはちじつ)間(けん)ばかりの幅(はば)であつた。012死線(しせん)の近辺(きんぺん)迄(まで)来(き)て見(み)ると白骨(はくこつ)累々(るゐるゐ)として横(よこ)たはつて居(ゐ)る。013伊太彦(いたひこ)は此(この)光景(くわうけい)を見(み)て、014これは到底(たうてい)一通(ひととほ)りでは突破(とつぱ)する事(こと)は出来(でき)ない。015神力(しんりき)を得(え)て登(のぼ)るに如(し)かずと、016ここに伊太彦(いたひこ)を導師(だうし)として天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、017天(あま)の数歌(かずうた)を歌(うた)ひ終(を)へ乍(なが)ら勢(いきほひ)に任(まか)せて駆(か)け上(のぼ)つた。018漸(やうや)くにして一行(いつかう)五(ご)人(にん)は死線(しせん)を突破(とつぱ)する事(こと)を得(え)た。
019伊太(いた)『あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。020開闢(かいびやく)以来(いらい)竜王(りうわう)と雖(いへど)も此(この)死線(しせん)を突破(とつぱ)して下(くだ)る事(こと)を得(え)ない危険帯(きけんたい)を無事(ぶじ)に越(こ)へられたのも021全(まつた)く神(かみ)様(さま)の御(ご)神徳(しんとく)だ。
022皇神(すめかみ)の恵(めぐ)みの衣(きぬ)に包(つつ)まれて
023危(あやふ)き死線(しせん)を渡(わた)りけるかな。
024惟神(かむながら)神(かみ)に任(まか)せば世(よ)の中(なか)に
025恐(おそ)るべきものはあらじとぞ思(おも)ふ』
026ブラヷーダ『千早(ちはや)振(ふ)る神世(かみよ)も聞(き)かぬ死(し)の関(せき)を
027無事(ぶじ)に越(こ)へたる人(ひと)ぞ尊(たふと)き。
028霊(たま)幸(ち)はふ神(かみ)の守(まも)りのなかりせば
029如何(いか)で渡(わた)れむ醜(しこ)の死線(しせん)を』
030アスマガルダ『伊太彦(いたひこ)の神(かみ)の司(つかさ)の功績(いさをし)は
031神代(かみよ)にも聞(き)かぬためしなりけり。
032ウバナンダ・ナーガラシャーも伊太彦(いたひこ)の
033武者(むしや)振(ぶ)り見(み)れば驚(おどろ)くなるらむ。
034スーラヤの海(うみ)に浮(うか)びし此(この)山(やま)に
035初(はじ)めて登(のぼ)る今日(けふ)の嬉(うれ)しさ』
036カークス『恐(おそ)ろしき醜(しこ)の死線(しせん)を突破(とつぱ)して
037登(のぼ)り来(きた)りぬ山(やま)の尾(を)の上(へ)に。
038ウラル彦(ひこ)神(かみ)に仕(つか)ふる信徒(まめひと)が
039屍(かばね)さらせしスーラヤの山(やま)』
040ベース『三五(あななひ)の神(かみ)の力(ちから)に守(まも)られて
041安(やす)く登(のぼ)りぬ宝(たから)の山(やま)に。
042さり乍(なが)ら胸(むね)苦(くる)しくもなりにけり
043醜(しこ)の死線(しせん)に触(ふ)れたる為(ため)か』
044カークス『吾(われ)も亦(また)胸(むね)騒(さわ)がしくなりにけり
045守(まも)らせ玉(たま)へ三五(あななひ)の神(かみ)』
046ブラヷーダ『肉体(からたま)は俄(にはか)に重(おも)くなり行(ゆ)きて
047行(ゆ)きなやみけり此(この)山道(やまみち)を』
048伊太彦(いたひこ)『村肝(むらきも)の心(こころ)ひきたて神(かみ)に拠(よ)り
049登(のぼ)れば登(のぼ)る道(みち)もありけり』
050アスマガルダ『何(なん)となく胸(むね)は騒(さわ)ぎぬ手(て)も足(あし)も
051心(こころ)の儘(まま)に動(うご)かずなりぬ』
052伊太彦(いたひこ)『名(な)にし負(お)ふ死線(しせん)を突破(とつぱ)したる身(み)は
053少(すこ)しの悩(なや)みは免(まぬ)かれざらまし。
054いざさらば心(こころ)の駒(こま)に鞭(むちう)ちて
055進(すす)み行(ゆ)かなむ竜王(りうわう)の岩窟(いはや)に』
056 伊太彦(いたひこ)は先(さき)に立(た)つて一行(いつかう)の心(こころ)を励(はげ)ませ乍(なが)ら057自分(じぶん)も重(おも)たい足(あし)を引摺(ひきず)りつつ峰(みね)の尾(を)の上(へ)の風(かぜ)に吹(ふ)かれ、058歌(うた)を謡(うた)つて元気(げんき)よく進(すす)み行(ゆ)く。059四(よ)人(にん)は後(あと)に牛(うし)の歩(あゆ)みの捗々(はかばか)しからず、060汗(あせ)をタラタラ流(なが)し乍(なが)ら喘(あへ)ぎ喘(あへ)ぎ従(したが)ひ行(ゆ)く。
061伊太彦(いたひこ)『神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
062善(ぜん)と悪(あく)とを立別(たてわ)ける
063三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
064伊太彦(いたひこ)司(つかさ)が今(いま)ここに
065神(かみ)の御言(みこと)を蒙(かうむ)りて
066ナーガラシャーの永久(とこしへ)に
067守(まも)らせ玉(たま)ふ瑞(みづ)の玉(たま)
068神政(しんせい)成就(じやうじゆ)のその為(ため)に
069吾(わが)手(て)に受(う)けてエルサレム
070貴(うづ)の都(みやこ)の大前(おほまへ)に
071献(たてまつ)らむと登(のぼ)り来(き)ぬ
072此(この)山(やま)守(まも)るウバナンダ
073ナーガラシャーに物(もの)申(まを)す
074汝(なれ)が命(みこと)は千早(ちはや)振(ふ)る
075神代(かみよ)の遠(とほ)き昔(むかし)より
076神(かみ)の怒(いか)りを蒙(かうむ)りて
077スーラヤ山(さん)の岩窟(がんくつ)に
078閉(と)ぢ込(こ)められて千万(ちよろづ)の
079悩(なや)みを受(う)けしいたはしさ
080三千(さんぜん)世界(せかい)の梅(うめ)の花(はな)
081一度(いちど)に開(ひら)く時(とき)は充(み)ち
082八大(はちだい)竜王(りうわう)悉(ことごと)く
083神(かみ)の恵(めぐみ)の御許(みゆる)しに
084天津(あまつ)御国(みくに)に救(すく)はれて
085尊(たふと)き神(かみ)の御柱(みはしら)と
086仕(つか)へまつらむ世(よ)となりぬ
087喜(よろこ)び給(たま)へウバナンダ
088竜王(りうわう)の前(まへ)に告(つ)げまつる
089朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
090月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
091仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
092誠(まこと)一(ひと)つの三五(あななひ)の
093神(かみ)の言葉(ことば)に二言(にごん)ない
094心(こころ)を平(たひら)に安(やす)らかに
095此(この)伊太彦(いたひこ)が使命(しめい)をば
096諾(うべな)ひまして逸早(いちはや)く
097夜光(やくわう)の玉(たま)を渡(わた)せかし
098汝(なれ)の身霊(みたま)を之(これ)よりは
099広(ひろ)き世界(せかい)に現(あら)はして
100五六七(みろく)神政(しんせい)の柱(はしら)とし
101天地(てんち)日月(じつげつ)相並(あひなら)び
102神(かみ)と人(ひと)との隔(へだ)てなく
103いと安(やす)らかに世(よ)を照(て)らし
104醜(しこ)の曲霊(まがひ)を悉(ことごと)く
105言向和(ことむけやは)し神国(しんこく)の
106常世(とこよ)の春(はる)の花(はな)匂(にほ)ふ
107目出度(めでた)き御代(みよ)と開(ひら)き行(ゆ)く
108此(この)神業(しんげふ)を諾(うべな)ひて
109一日(ひとひ)も早(はや)く帰順(きじゆん)せよ
110あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
111神(かみ)に従(したが)ふ武士(つはもの)よ
112少(すこ)しの悩(なや)みに撓(たゆ)まずに
113心(こころ)を引立(ひきた)て進(すす)めかし
114神(かみ)は汝(なんぢ)と倶(とも)にあり
115人(ひと)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
116如何(いか)に死線(しせん)を越(こ)ゆるとも
117障害(さはり)のあるべき道理(だうり)なし
118心(こころ)一(ひと)つの持(も)ちやうぞ
119来(きた)れよ来(きた)れ早(は)や来(きた)れ
120竜王(りうわう)の岩窟(いはや)近(ちか)づきて
121御空(みそら)を照(てら)す光明(くわうみやう)は
122昼(ひる)とは云(い)へど明(あきら)かに
123吾(わが)目(め)に映(うつ)り来(きた)りけり
124勝利(しようり)の都(みやこ)は近(ちか)づきぬ
125勇(いさ)めよ勇(いさ)め言霊(ことたま)の
126神(かみ)の使(つかひ)の御軍(みいくさ)よ』
127 カークスは一丁(いつちやう)ばかり遅(おく)れ乍(なが)ら128足(あし)を引摺(ひきず)りもつて謡(うた)ひ初(はじ)めた。
129『あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
130神(かみ)の守(まも)りに吾々(われわれ)は
131さも恐(おそ)ろしきスーラヤの
132死線(しせん)を越(こ)へて登(のぼ)りけり
133さはさり乍(なが)ら何(なん)となく
134足許(あしもと)重(おも)く胸(むね)騒(さわ)ぎ
135歩(あゆ)み倦(あぐ)みし苦(くる)しさよ
136伊太彦(いたひこ)司(つかさ)待(ま)ち玉(たま)へ
137如何(いか)に心(こころ)を焦(いら)つとも
138自由(じいう)にならぬ吾(わが)体(からだ)
139憐(あは)れみ玉(たま)へ今(いま)一度(いちど)
140伊吹(いぶき)の狭霧(さぎり)に曲津身(まがつみ)を
141祓(はら)はせ玉(たま)へ惟神(かむながら)
142神(かみ)かけ念(ねん)じ奉(たてまつ)る』
143ブラヷーダ『吾(わが)背(せ)の君(きみ)よ待(ま)ち玉(たま)へ
144踏(ふ)みも習(なら)はぬ高山(たかやま)を
145一瀉(いつしや)千里(せんり)に登(のぼ)りつめ
146吾(わが)肉体(からたま)も疲(つか)れ果(は)て
147手足(てあし)も重(おも)くなりにけり
148汝(なれ)が命(みこと)は宣伝使(せんでんし)
149如何(いか)なる枉(まが)の棲処(すみか)をも
150恐(おそ)れ玉(たま)はずさり乍(なが)ら
151兄(あに)の命(みこと)のアスマガルダ
152その外(ほか)二人(ふたり)の伴人(ともびと)が
153死線(しせん)の邪気(じやき)に襲(おそ)はれて
154手足(てあし)も心(こころ)もままならぬ
155悲(かな)しき身(み)とはなりましぬ
156ナーガラシャーの岩窟(がんくつ)は
157吾(わが)目(め)の前(まへ)に横(よこた)はり
158夜光(やくわう)の玉(たま)の御光(みひかり)は
159四辺(あたり)に輝(かがや)き玉(たま)へども
160吾(われ)等(ら)の心(こころ)は何(なん)となく
161曇(くも)りて黄泉(よみ)の道芝(みちしば)を
162辿(たど)るが如(ごと)く覚(おぼ)ゆなり
163休(やす)ませ玉(たま)へ背(せ)の君(きみ)よ
164偏(ひとへ)に願(ねが)ひ奉(たてまつ)る』
165 伊太彦(いたひこ)はブラヷーダの此(この)歌(うた)を聞(き)いて166四(よ)人(にん)の者(もの)の行歩(かうほ)に悩(なや)んで居(ゐ)る事(こと)を憐(あは)れみ、167山頂(さんちやう)に碁布(ごふ)せる岩石(がんせき)に腰(こし)かけて、168暫(しば)らく落伍者(らくごしや)の追(おひ)付(つ)くを待(ま)つ事(こと)とした。
169 カークスは気息(きそく)奄々(えんえん)として息(いき)も絶(た)え絶(だ)えに這(は)ふやうにして追(おひ)付(つ)き来(きた)り、
170カークス『もし先生(せんせい)、171神(かみ)様(さま)の御用(ごよう)とは申(まを)し乍(なが)ら172どうにも斯(か)うにも苦(くる)しくて堪(たま)りませぬわ、173一(ひと)つ神(かみ)様(さま)に願(ねが)つて下(くだ)さいな』
174伊太(いた)『神(かみ)様(さま)に願(ねが)ふのは、175お前(まへ)の心(こころ)で念(ねん)じた方(はう)が宜(よ)い。176俺(わし)だとて全責任(ぜんせきにん)を負(お)ふてゐるのだから177足(あし)の痛(いた)いのも、1771体(からだ)の苦(くる)しいのも辛抱(しんばう)してここ迄(まで)やつて来(き)たのだよ。178何(いづ)れ神界(しんかい)の御用(ごよう)をするのだから、179さう楽々(らくらく)に勤(つと)まるものではない。180神徳(しんとく)さへあれば何(なん)でもないのだが181ナーガラシャーでさへも死線(しせん)を越(こ)へて逃(に)げ出(だ)す訳(わけ)にもゆかず、182神代(かみよ)から此処(ここ)に蟄伏(ちつぷく)して居(ゐ)る様(やう)な険難(けんのん)千万(せんばん)の処(ところ)を越(こ)へて来(き)たのだから、183少(すこ)し位(ぐらゐ)苦(くる)しいのは当然(あたりまへ)だよ。184暫(しば)らくここの山風(やまかぜ)に当(あた)つて休(やす)んで居(を)つたら又(また)元気(げんき)恢復(くわいふく)するだらうよ』
185カークス『はい、186有難(ありがた)う厶(ござ)います。187何事(なにごと)も神業(しんげふ)だと思(おも)へば、188仮令(たとへ)死(し)んでも怨(うら)みとは思(おも)ひませぬ』
189伊太(いた)『そんな気(き)の弱(よわ)い事(こと)を云(い)ふものぢやない。190永遠(えいゑん)の命(いのち)の源泉(げんせん)たる瑞(みづ)の御魂(みたま)さまがお守(まも)り下(くだ)さる以上(いじやう)は大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。191兎(と)に角(かく)神(かみ)を信(しん)じ神(かみ)に祈(いの)るより外(ほか)にないのだ。192あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』
193ベース『先生(せんせい)、194私(わたし)も何(なん)だか弱音(よわね)を吹(ふ)くやうですが、195息(いき)がきれさうになつて来(き)ました』
196伊太(いた)『エー、197気(き)の弱(よわ)い事(こと)を云(い)ふ男(をとこ)だな。198もう一息(ひといき)だ。199神(かみ)様(さま)の御(ご)神力(しんりき)に頼(たよ)つて目的(もくてき)を達(たつ)せねばなるまい。200九分(くぶ)九厘(くりん)行(い)つた処(ところ)で成就(じやうじゆ)せない事(こと)があるとどうするか。201そんな弱虫(よわむし)では現幽(げんいう)一致(いつち)を守(まも)らせ玉(たま)ふ神(かみ)様(さま)の御(おん)前(まへ)に、202復命(ふくめい)する事(こと)が出来(でき)ぬぢやないか』
203ベース『ハイ、204お言葉(ことば)の通(とほ)りで厶(ござ)いますが、205どうも苦(くる)しくて欲(よく)にも徳(とく)にも換(かへ)られなくなりました』
206伊太(いた)『困(こま)つたな。207兎(と)も角(かく)祈祷(いのり)が肝腎(かんじん)だ』
208アスマガルダ『スーラヤの湖水(こすい)の彼方(あなた)を眺(なが)むれば
209父(ちち)と母(はは)との恋(こひ)しくなりぬ』
210伊太彦(いたひこ)『千早(ちはや)振(ふ)る神(かみ)の大道(おほぢ)に進(すす)む身(み)は
211此(この)世(よ)のものを忘(わす)るるに如(し)かず。
212父母(ちちはは)の恵(めぐみ)は如何(いか)に高(たか)くとも
213神(かみ)の恵(めぐみ)に比(くら)ぶべきやは』
214ブラヷーダ『天地(あめつち)の誠(まこと)の親(おや)に抱(いだ)かれて
215神国(みくに)に登(のぼ)る心地(ここち)しにけり』
216ベース『何事(なにごと)も皇(すめ)大神(おほかみ)の御心(みこころ)の
217ままと思(おも)へば何(なに)をか怨(うら)みむ。
218苦(くる)しさの後(のち)に楽(たの)しみ来(きた)るてふ
219厳(いづ)の教(をしへ)を思(おも)ひて微笑(ほほゑ)む』
220伊太彦(いたひこ)『いざさらば夜光(やくわう)の玉(たま)の所在(ありか)へと
221進(すす)み行(ゆ)かなむ諸人(もろびと)立(た)てよ』
222 斯(か)く互(たがひ)に述懐(じゆつくわい)をのべ終(をは)り223伊太彦(いたひこ)は又(また)先頭(せんとう)に立(た)ち竜王(りうわう)の潜(ひそ)むてふ岩窟(がんくつ)の側(そば)近(ちか)く立(たち)寄(よ)つた。
224 此(この)岩窟(がんくつ)は深(ふか)き井戸(ゐど)の如(ごと)く縦穴(たてあな)が開(あ)いてゐる、225そして幾丈(いくぢやう)とも知(し)れぬ岩窟(がんくつ)の底(そこ)には226夜光(やくわう)の玉(たま)が目(め)も眩(まばゆ)きばかり幾(いく)つともなく光(ひか)つて居(ゐ)る。227伊太彦(いたひこ)は山(やま)の尾(を)の上(へ)を捜(あさ)つて藤蔓(ふぢつる)を切(き)り之(これ)にて太(ふと)き縄(なは)を綯(な)ひ、228入口(いりぐち)の岩窟(がんくつ)に一端(いつたん)を括(くく)りつけ229綱(つな)を伝(つた)ふてスルスルスルと底(そこ)深(ふか)く下(くだ)り着(つ)いた。230一同(いちどう)も勇気(ゆうき)を鼓(こ)して伊太彦(いたひこ)の後(あと)に従(したが)ひ231藤(ふぢ)の縄梯子(なははしご)を足(あし)にて刻(きざ)み乍(なが)ら、232漸(やうや)くに岩窟(がんくつ)の底(そこ)に安着(あんちやく)した。233見(み)れば其処(そこ)から又(また)横穴(よこあな)が開(あ)いてゐて234無数(むすう)の玉(たま)が光(ひか)つて居(ゐ)る。235奥(おく)の方(はう)にはウバナンダ竜王(りうわう)が沢山(たくさん)な眷族(けんぞく)をつれて蜒々(えんえん)と蟠(わだか)まつて居(ゐ)るその恐(おそ)ろしさ、236伊太彦(いたひこ)は双手(もろて)を合(あは)せ拍手(かしはで)をうち、237天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)せむとしたが、238どうしたものか俄(にはか)に舌(した)硬(こは)ばり一言(いちごん)も発(はつ)し得(え)なくなつて239其(その)場(ば)に昏倒(こんたう)して了(しま)つた。240アスマガルダを初(はじ)め外(ほか)一同(いちどう)も枕(まくら)を並(なら)べて其(その)場(ば)に昏倒(こんたう)した。241あゝ五(ご)人(にん)の運命(うんめい)は如何(いか)になり行(ゆ)くであらうか。
242(大正一二・五・二四 旧四・九 於教主殿 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→