霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第63巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 妙法山月
第1章 玉の露
第2章 妙法山
第3章 伊猛彦
第4章 山上訓
第5章 宿縁
第6章 テルの里
第2篇 日天子山
第7章 湖上の影
第8章 怪物
第9章 超死線
第3篇 幽迷怪道
第10章 鷺と鴉
第11章 怪道
第12章 五託宣
第13章 蚊燻
第14章 嬉し涙
第4篇 四鳥の別
第15章 波の上
第16章 諒解
第17章 峠の涙
第18章 夜の旅
第5篇 神検霊査
第19章 仕込杖
第20章 道の苦
第21章 神判
第22章 蚯蚓の声
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第63巻(寅の巻)
> 第5篇 神検霊査 > 第20章 道の苦
<<< 仕込杖
(B)
(N)
神判 >>>
第二〇章
道
(
みち
)
の
苦
(
く
)
〔一六二七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻
篇:
第5篇 神検霊査
よみ(新仮名遣い):
しんけんれいさ
章:
第20章 道の苦
よみ(新仮名遣い):
みちのく
通し章番号:
1627
口述日:
1923(大正12)年05月29日(旧04月14日)
口述場所:
天声社
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年2月3日
概要:
舞台:
ハルセイ山
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6320
愛善世界社版:
271頁
八幡書店版:
第11輯 360頁
修補版:
校定版:
282頁
普及版:
64頁
初版:
ページ備考:
001
ブラヷーダ『
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
昔
(
むかし
)
より
002
遠津
(
とほつ
)
御祖
(
みおや
)
の
仕
(
つか
)
へてし
003
三五教
(
あななひけう
)
の
信徒
(
まめひと
)
と
004
テルの
里庄
(
りしやう
)
のルーブヤが
005
家
(
いへ
)
に
生
(
うま
)
れしブラヷーダ
006
バラモン
教
(
けう
)
の
醜神
(
しこがみ
)
の
007
教
(
をしへ
)
のために
朝夕
(
あさゆふ
)
に
008
虐
(
しひた
)
げられて
表面
(
おもてむき
)
009
三五教
(
あななひけう
)
を
打
(
う
)
ち
捨
(
すて
)
て
010
バラモン
教
(
けう
)
を
奉
(
ほう
)
じつつ
011
家
(
いへ
)
の
柱
(
はしら
)
に
穴
(
あな
)
うがち
012
神
(
かみ
)
の
御名
(
みな
)
をば
刻
(
きざ
)
みこみ
013
密
(
ひそ
)
かに
拝
(
をが
)
みまつりつつ
014
時
(
とき
)
まつ
程
(
ほど
)
に
三五
(
あななひ
)
の
015
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
伊太彦
(
いたひこ
)
が
016
鳩
(
はと
)
の
如
(
ごと
)
くに
下
(
くだ
)
りまし
017
父
(
ちち
)
と
母
(
はは
)
との
許
(
ゆる
)
し
得
(
え
)
て
018
妹背
(
いもせ
)
の
縁
(
えにし
)
を
結
(
むす
)
ばせつ
019
兄
(
あに
)
の
命
(
みこと
)
も
嬉
(
うれ
)
しみて
020
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
の
神業
(
しんげふ
)
を
021
助
(
たす
)
けむためとてスーラヤの
022
湖水
(
こすい
)
の
波
(
なみ
)
を
打
(
う
)
ち
越
(
こ
)
えて
023
海抜
(
かいばつ
)
三千
(
さんぜん
)
有余
(
いうよ
)
尺
(
しやく
)
024
竜王
(
りうわう
)
の
潜
(
ひそ
)
む
岩窟
(
がんくつ
)
に
025
進
(
すす
)
みて
諸
(
もも
)
の
苦
(
くる
)
しみを
026
味
(
あぢ
)
はひ
遂
(
つひ
)
に
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
の
027
入口
(
いりぐち
)
迄
(
まで
)
も
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
き
028
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
029
いと
懇
(
ねもごろ
)
にさとされつ
030
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
救
(
すく
)
はれて
031
岩窟
(
いはや
)
の
隙
(
すき
)
よりぬけ
出
(
いだ
)
し
032
姫
(
ひめ
)
の
御船
(
みふね
)
に
助
(
たす
)
けられ
033
漸
(
やうや
)
くエルの
港
(
みなと
)
まで
034
安着
(
あんちやく
)
したる
折
(
をり
)
もあれ
035
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
ひて
036
いとしき
夫
(
をつと
)
に
生
(
いき
)
別
(
わか
)
れ
037
踏
(
ふ
)
みも
習
(
なら
)
はぬ
一人旅
(
ひとりたび
)
038
草鞋
(
わらぢ
)
に
足
(
あし
)
を
食
(
く
)
はれつつ
039
道
(
みち
)
の
小草
(
をぐさ
)
をあけに
染
(
そ
)
め
040
杖
(
つゑ
)
を
力
(
ちから
)
にハルセイ
山
(
ざん
)
の
041
今
(
いま
)
や
麓
(
ふもと
)
につきにけり
042
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
043
大高山
(
だいかうざん
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
044
此
(
この
)
山
(
やま
)
越
(
こ
)
えてエルサレム
045
聖地
(
せいち
)
に
渡
(
わた
)
る
吾
(
われ
)
なれど
046
如何
(
いかが
)
はしけむ
身
(
み
)
は
疲
(
つか
)
れ
047
息
(
いき
)
も
苦
(
くる
)
しくなりにけり
048
死線
(
しせん
)
を
越
(
こ
)
えし
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
049
妖邪
(
えうじや
)
の
空気
(
くうき
)
の
体
(
からたま
)
に
050
未
(
いま
)
だ
潜
(
ひそ
)
むと
覚
(
おぼ
)
えたり
051
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
や
052
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
053
様子
(
やうす
)
聞
(
き
)
かまく
思
(
おも
)
へども
054
神
(
かみ
)
の
戒
(
いまし
)
め
強
(
つよ
)
くして
055
遇
(
あ
)
はむよしなき
旅
(
たび
)
の
空
(
そら
)
056
国
(
くに
)
に
残
(
のこ
)
せし
父母
(
ちちはは
)
や
057
兄
(
あに
)
の
命
(
みこと
)
は
嘸
(
さぞ
)
やさぞ
058
昼
(
ひる
)
はひねもす
終夜
(
よもすがら
)
059
二人
(
ふたり
)
の
身
(
み
)
をば
案
(
あん
)
じつつ
060
神
(
かみ
)
に
願
(
ねが
)
ひをかけまくも
061
畏
(
かしこ
)
き
厳
(
いづ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
を
062
二人
(
ふたり
)
の
上
(
うへ
)
に
与
(
あた
)
へよと
063
祈
(
いの
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
ならむ
064
雲路
(
くもぢ
)
遥
(
はるか
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
065
吾
(
われ
)
は
孱弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
066
後
(
あと
)
ふり
返
(
かへ
)
り
眺
(
なが
)
むれば
067
限
(
かぎ
)
りも
知
(
し
)
らぬ
大野原
(
おほのはら
)
068
蓮華
(
はちす
)
の
花
(
はな
)
は
遠近
(
をちこち
)
に
069
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
へども
百鳥
(
ももどり
)
は
070
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
謡
(
うた
)
へども
071
言問
(
ことと
)
ふよしも
泣
(
な
)
き
逆吃
(
じやくり
)
072
此
(
この
)
山口
(
やまぐち
)
にたち
並
(
なら
)
ぶ
073
沙羅
(
さら
)
の
古木
(
こぼく
)
に
霊
(
れい
)
あらば
074
吾
(
わ
)
が
垂乳根
(
たらちね
)
や
兄君
(
あにぎみ
)
や
075
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
の
消息
(
せうそく
)
を
076
完全
(
うまら
)
に
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れるだらう
077
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
078
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
此
(
この
)
身体
(
からだ
)
079
取
(
と
)
り
越
(
こ
)
し
苦労
(
くらう
)
は
禁物
(
きんもつ
)
と
080
教
(
をしへ
)
の
言葉
(
ことば
)
を
身
(
み
)
に
刻
(
きざ
)
み
081
心
(
こころ
)
に
銘
(
しる
)
して
忘
(
わす
)
れねど
082
又
(
また
)
もや
起
(
おこ
)
る
慕郷心
(
ぼきやうしん
)
083
拭
(
ぬぐ
)
はせたまへ
惟神
(
かむながら
)
084
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
085
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
086
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
087
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
088
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
は
089
此
(
この
)
現世
(
うつしよ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
090
吾
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
の
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
091
つづく
限
(
かぎ
)
りは
捨
(
す
)
てはせぬ
092
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
大道
(
おほみち
)
を
093
進
(
すす
)
む
吾
(
わが
)
身
(
み
)
は
曲神
(
まがかみ
)
の
094
さやらむ
恐
(
おそ
)
れはなけれども
095
心
(
こころ
)
にひそむ
曲者
(
くせもの
)
が
096
又
(
また
)
もや
頭
(
かしら
)
擡
(
もた
)
げつつ
097
清
(
きよ
)
き
乙女
(
をとめ
)
の
魂
(
たましひ
)
を
098
恋
(
こひ
)
の
暗路
(
やみぢ
)
にさそひ
往
(
ゆ
)
く
099
晴
(
は
)
れぬ
思
(
おも
)
ひの
吾
(
わが
)
体
(
からだ
)
100
救
(
すく
)
はせたまへ
惟神
(
かむながら
)
101
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
102
斯
(
か
)
く
謡
(
うた
)
ひながら、
103
漸
(
やうや
)
くにしてハルセイ
山
(
ざん
)
の
峠
(
たうげ
)
を
中程
(
なかほど
)
迄
(
まで
)
登
(
のぼ
)
りつき、
104
茲
(
ここ
)
に
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
来方
(
こしかた
)
行末
(
ゆくすゑ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
案
(
あん
)
じ、
105
一人旅
(
ひとりたび
)
の
淋
(
さび
)
しさに
袖
(
そで
)
を
霑
(
うるほ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
106
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
西山
(
せいざん
)
に
没
(
ぼつ
)
し、
107
四辺
(
あたり
)
は
薄墨
(
うすずみ
)
の
幕
(
まく
)
を
卸
(
おろ
)
したやうになつて
来
(
き
)
た。
108
花
(
はな
)
は
扉
(
とびら
)
をとぢて
眠
(
ねむ
)
りにつき
109
鳥
(
とり
)
は
塒
(
ねぐら
)
をもとめて
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
の
森林
(
しんりん
)
目蒐
(
めが
)
けて
忙
(
いそが
)
しげに
翅
(
つばさ
)
を
早
(
はや
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
110
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
は
独言
(
ひとりごと
)
、
111
『あゝ
味気
(
あぢき
)
なき
浮世
(
うきよ
)
ぢやなア、
112
テルの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
の
娘
(
むすめ
)
と
生
(
うま
)
れ、
113
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
心
(
こころ
)
私
(
ひそ
)
かに
念
(
ねん
)
じつつ、
114
幾度
(
いくど
)
となくバラモンの
司
(
つかさ
)
に
虐
(
しひた
)
げられ、
115
心
(
こころ
)
にもなきバラモンの
信者
(
しんじや
)
となり
済
(
す
)
まし、
116
吾
(
わが
)
一家
(
いつか
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
、
117
村人
(
むらびと
)
迄
(
まで
)
が
心
(
こころ
)
にも
無
(
な
)
き
信仰
(
しんかう
)
を
強
(
しひ
)
られ、
118
月
(
つき
)
に
三度
(
さんど
)
の
火渡
(
ひわた
)
り
水底
(
みなそこ
)
潜
(
くぐ
)
り、
119
裸体
(
らたい
)
の
修業
(
しふげふ
)
、
120
荊蕀
(
いばら
)
の
室
(
むろ
)
にと
投
(
とう
)
ぜられ、
121
是
(
これ
)
が
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
を
安
(
やす
)
める
第一
(
だいいち
)
の
勤
(
つと
)
めと、
122
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
苦
(
くるし
)
みを
忍
(
しの
)
びて
漸
(
やうや
)
く
孱弱
(
かよわ
)
き
此
(
この
)
身
(
み
)
も
十六
(
じふろく
)
の
春
(
はる
)
を
迎
(
むか
)
へ、
123
天運
(
てんうん
)
茲
(
ここ
)
に
循環
(
じゆんくわん
)
して、
124
尊
(
たふと
)
き
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
と
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ、
125
親子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
納得
(
なつとく
)
の
上
(
うへ
)
、
126
夫婦
(
ふうふ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
び
127
如何
(
いか
)
なる
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
も
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
と
一
(
ひと
)
つにせばやと
父母
(
ふぼ
)
や
兄
(
あに
)
に
別
(
わか
)
れ、
128
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
ぼつぼつ
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ふて
来
(
き
)
たものの、
129
もはや
一歩
(
いつぽ
)
も
進
(
すす
)
めなくなつて
来
(
き
)
た。
130
あゝ
如何
(
いか
)
にせば、
131
此
(
この
)
苦
(
くる
)
しみが
免
(
のが
)
れるだらう。
132
是
(
これ
)
も
矢張
(
やつぱり
)
表面
(
うはべ
)
を
偽
(
いつは
)
り、
133
バラモンの
神
(
かみ
)
を
祭
(
まつ
)
り
134
勿体
(
もつたい
)
なや
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
をせま
苦
(
くる
)
しい
柱
(
はしら
)
の
穴
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
つて
祭
(
まつ
)
り
込
(
こ
)
んだ
其
(
その
)
天罰
(
てんばつ
)
が
報
(
むく
)
ひ
来
(
き
)
たのであらうか。
135
「
燈火
(
とうくわ
)
をともして
床
(
ゆか
)
の
下
(
した
)
に
置
(
お
)
くものはない」とは
聖者
(
せいじや
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
136
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
に
背
(
そむ
)
き、
137
バラモンの
悪神
(
あくがみ
)
を
尊敬
(
そんけい
)
して
来
(
き
)
た
重々
(
ぢうぢう
)
の
罪業
(
ざいごふ
)
廻
(
めぐ
)
り
来
(
き
)
て、
138
吾
(
わが
)
身
(
み
)
は
如何
(
いか
)
なる
苦
(
くる
)
しみを
受
(
う
)
けやうとも、
139
最早
(
もはや
)
因縁
(
いんねん
)
づくと
諦
(
あきら
)
めて
決
(
けつ
)
して
恨
(
うら
)
みは
致
(
いた
)
しませぬ。
140
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
何卒
(
どうぞ
)
、
141
垂乳根
(
たらちね
)
の
父母
(
ちちはは
)
や
兄
(
あに
)
や、
142
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
や
村人
(
むらびと
)
の
罪
(
つみ
)
をお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
143
天晴
(
あつぱれ
)
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
にお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さるやう、
144
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
ります。
145
あゝ
斯
(
か
)
うなつては
最
(
も
)
はや
諦
(
あきら
)
めねばなるまい。
146
あゝ
俄
(
にはか
)
に
胸
(
むね
)
が
痛
(
いた
)
くなつて
来
(
き
)
た。
147
薬
(
くすり
)
の
持
(
も
)
ち
合
(
あは
)
せもない。
148
もはや
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
罪
(
つみ
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
許
(
ゆる
)
し
願
(
ねが
)
ふ
訳
(
わけ
)
にもゆくまい。
149
吾
(
わが
)
罪
(
つみ
)
が
許
(
ゆる
)
されて、
150
父母
(
ふぼ
)
や
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
に
戒
(
いまし
)
めが
往
(
ゆ
)
くやうであつてはならない。
151
どうぞ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
152
妾
(
わらは
)
の
身
(
み
)
をお
召
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さつて、
153
一同
(
いちどう
)
の
罪
(
つみ
)
を
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
154
それに
付
(
つ
)
いても、
155
恋
(
こひ
)
しい
伊太彦
(
いたひこ
)
様
(
さま
)
に
臨終
(
いまは
)
の
際
(
きは
)
に
一目
(
ひとめ
)
お
目
(
め
)
にかかりたいものだ。
156
あゝどうしたらこの
煩悶
(
はんもん
)
を
消
(
け
)
す
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
やうぞ』
157
と
一人
(
ひとり
)
道傍
(
みちばた
)
の
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
を
卸
(
おろ
)
し、
1571
悲歎
(
ひたん
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
158
猛獣
(
まうじう
)
の
声
(
こゑ
)
は
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
山岳
(
さんがく
)
も
揺
(
ゆ
)
るぐ
許
(
ばか
)
り
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
159
遉
(
さすが
)
気丈
(
きぢやう
)
のブラヷーダも
160
此
(
この
)
恐
(
おそ
)
ろしき
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
には
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
も
弥立
(
よだ
)
ち、
161
死
(
し
)
を
決
(
けつ
)
した
身
(
み
)
にも
恐怖
(
きようふ
)
の
波
(
なみ
)
の
打
(
う
)
ち
寄
(
よ
)
する
憐
(
あは
)
れさ。
162
ブラヷーダは
絶
(
た
)
え
入
(
い
)
る
許
(
ばか
)
り
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
びながら、
163
路傍
(
ろばう
)
の
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
身
(
み
)
をなげ
伏
(
ふ
)
せてひしひしと
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
164
三千彦
(
みちひこ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
165
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
166
山野
(
さんや
)
を
渡
(
わた
)
り
河
(
かは
)
を
越
(
こ
)
へ
167
テルモン
館
(
やかた
)
に
立
(
た
)
ちよりて
168
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
村肝
(
むらきも
)
の
169
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
き
身
(
み
)
を
砕
(
くだ
)
き
170
館
(
やかた
)
の
難儀
(
なんぎ
)
を
救
(
すく
)
ひつつ
171
風塵
(
ふうぢん
)
茲
(
ここ
)
におさまりて
172
デビスの
姫
(
ひめ
)
を
妻
(
つま
)
となし
173
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
174
キヨメの
湖水
(
こすい
)
を
横断
(
わうだん
)
し
175
アヅモス
山
(
さん
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
176
広
(
ひろ
)
き
館
(
やかた
)
を
構
(
かま
)
へたる
177
バーチル
主従
(
しゆじゆう
)
の
命
(
いのち
)
をば
178
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ
179
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
180
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
や
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
181
授
(
さづ
)
かりながら
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
182
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
へ
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く
183
スーラヤ
湖水
(
こすい
)
を
乗
(
のり
)
越
(
こ
)
えて
184
エルの
港
(
みなと
)
につきし
折
(
をり
)
185
三五教
(
あななひけう
)
の
神柱
(
かむばしら
)
186
御稜威
(
みいづ
)
輝
(
かがや
)
く
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
187
迷
(
まよ
)
ひの
雲
(
くも
)
を
晴
(
は
)
らされて
188
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
袂
(
たもと
)
をば
189
いよいよ
別
(
わか
)
ちデビス
姫
(
ひめ
)
と
190
恋
(
こひ
)
しき
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ちつつ
191
踏
(
ふ
)
みもならはぬ
山野
(
やまの
)
をば
192
いと
雄々
(
をを
)
しくも
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く
193
此処
(
ここ
)
は
名
(
な
)
に
負
(
お
)
うハルセイ
山
(
ざん
)
の
194
嶮
(
けは
)
しき
峠
(
たうげ
)
の
登
(
のぼ
)
り
口
(
ぐち
)
195
俄
(
にはか
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
猛獣
(
まうじう
)
の
196
声
(
こゑ
)
は
地震
(
ぢしん
)
か
雷
(
かみなり
)
か
197
身
(
み
)
も
毛
(
け
)
も
弥立
(
よだ
)
つ
許
(
ばか
)
りなり
198
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
世
(
よ
)
に
伝
(
つた
)
ふ
199
吾
(
われ
)
は
男子
(
をのこ
)
の
身
(
み
)
なれども
200
かく
怖
(
おそ
)
ろしき
心地
(
ここち
)
する
201
此
(
この
)
山路
(
やまみち
)
を
何
(
なん
)
として
202
デビスの
姫
(
ひめ
)
やブラヷーダ
203
進
(
すす
)
まむよしもなかるべし
204
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
可憐
(
いぢら
)
しや
205
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
道
(
みち
)
のため
206
世人
(
よびと
)
の
為
(
た
)
めとは
云
(
い
)
ひながら
207
かくも
苦
(
くる
)
しき
草枕
(
くさまくら
)
208
旅
(
たび
)
に
出
(
い
)
で
立
(
た
)
つ
女子
(
をみなご
)
の
209
行末
(
ゆくすゑ
)
思
(
おも
)
ひ
廻
(
めぐ
)
らせば
210
いとど
憐
(
あは
)
れを
催
(
もよほ
)
して
211
涙
(
なみだ
)
の
袖
(
そで
)
はひたされぬ
212
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
213
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましまして
214
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
215
デビスの
姫
(
ひめ
)
やブラヷーダ
216
二人
(
ふたり
)
の
繊弱
(
かよわ
)
き
女子
(
をなご
)
をば
217
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
守
(
まも
)
らせて
218
いと
易々
(
やすやす
)
と
神業
(
しんげふ
)
を
219
果
(
は
)
たさせたまへ
惟神
(
かむながら
)
220
御前
(
みまへ
)
に
謹
(
つつし
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる
221
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
222
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
223
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
224
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
225
教
(
をしへ
)
を
進
(
すす
)
む
吾
(
われ
)
なれば
226
怖
(
おそ
)
るる
事
(
こと
)
はなけれども
227
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
も
悟
(
さと
)
り
得
(
え
)
ぬ
228
弱
(
よわ
)
き
女
(
をんな
)
の
如何
(
いか
)
にして
229
此
(
この
)
難関
(
なんくわん
)
を
越
(
こ
)
ゆるべき
230
守
(
まも
)
らせたまへ
天地
(
あめつち
)
の
231
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
232
謹
(
つつし
)
み
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る』
233
三千彦
(
みちひこ
)
はかく
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
234
厭
(
いや
)
らしい
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
のする
山路
(
やまぢ
)
をとぼとぼと
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
235
幽
(
かす
)
かに
聞
(
きこ
)
ゆる
悲
(
かな
)
しげなる
女
(
をんな
)
の
泣
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
、
236
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
るより
三千彦
(
みちひこ
)
は
気
(
き
)
を
取
(
と
)
り
直
(
なほ
)
し、
237
三千
(
みち
)
『さてあの
泣声
(
なきごゑ
)
は
正
(
まさ
)
しく
女
(
をんな
)
と
見
(
み
)
える。
238
此
(
この
)
夜
(
よる
)
の
山
(
やま
)
を
通
(
かよ
)
ふ
女
(
をんな
)
はよもや
他
(
た
)
にはあるまい。
239
正
(
まさ
)
しく、
240
デビス
姫
(
ひめ
)
かブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
に
間違
(
まちが
)
ひなからむ。
241
いで
一走
(
ひとはし
)
り
242
実否
(
じつぴ
)
を
探
(
さぐ
)
り
見
(
み
)
む』
243
と
俄
(
にはか
)
に
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
め、
244
爪先
(
つまさき
)
上
(
あが
)
りの
山路
(
やまみち
)
を
勢
(
いきほひ
)
込
(
こ
)
んで
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
245
見
(
み
)
れば
道
(
みち
)
の
傍
(
かたはら
)
の
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
246
悲
(
かな
)
しげな
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
横
(
よこ
)
たはつて
居
(
ゐ
)
る。
247
三千彦
(
みちひこ
)
は
驚
(
おどろ
)
き
乍
(
なが
)
らツト
傍
(
そば
)
により、
248
三千
(
みち
)
『もしもしお
女中
(
ぢよちう
)
様
(
さま
)
、
249
此
(
この
)
山路
(
やまみち
)
に
唯
(
ただ
)
お
一人
(
ひとり
)
倒
(
たふ
)
れて
厶
(
ござ
)
るのは
何処
(
どこ
)
の
人
(
ひと
)
か、
250
折
(
をり
)
悪
(
あし
)
く
月
(
つき
)
は
黒雲
(
こくうん
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
251
お
姿
(
すがた
)
はハツキリ
分
(
わか
)
らねど、
252
どうやらブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ひますが、
253
もし
間違
(
まちが
)
つたらお
許
(
ゆる
)
しを
願
(
ねが
)
ひます。
254
私
(
わたし
)
は
決
(
けつ
)
して
怪
(
あや
)
しい
者
(
もの
)
ではありませぬ。
255
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
三千彦
(
みちひこ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
、
256
サア
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つて
257
有
(
あり
)
し
次第
(
しだい
)
をお
話
(
はな
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
258
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
は
三千彦
(
みちひこ
)
の
情
(
なさけ
)
の
籠
(
こ
)
もつた
言葉
(
ことば
)
にノアの
方舟
(
はこぶね
)
に
出遇
(
であ
)
つたが
如
(
ごと
)
く
喜
(
よろこ
)
び、
259
重
(
おも
)
き
身
(
み
)
をやうやうに
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
260
ブラヷーダ『ハイ
261
妾
(
わらは
)
は
伊太彦
(
いたひこ
)
の
妻
(
つま
)
で
厶
(
ござ
)
います。
262
貴方
(
あなた
)
は
神徳
(
しんとく
)
高
(
たか
)
き
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
、
263
ようまア
尋
(
たづ
)
ねて
下
(
くだ
)
さいました。
264
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
罪
(
つみ
)
の
多
(
おほ
)
い
此
(
この
)
体
(
からだ
)
、
265
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
戒
(
いまし
)
めに
遇
(
あ
)
ひましたか、
266
モウ
一足
(
ひとあし
)
も
歩
(
ある
)
けなくなつて、
267
この
草路
(
くさみち
)
に
断末魔
(
だんまつま
)
の
声
(
こゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
恥
(
はづか
)
しながら
泣
(
な
)
いて
居
(
を
)
りました』
268
三千彦
(
みちひこ
)
は
此
(
この
)
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
るより
涙
(
なみだ
)
をハラハラと
流
(
なが
)
し
声
(
こゑ
)
迄
(
まで
)
曇
(
くも
)
らせ
乍
(
なが
)
ら、
269
三千
(
みち
)
『
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
270
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
屹度
(
きつと
)
貴女
(
あなた
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
をお
守
(
まも
)
り
下
(
くだ
)
さるでせう。
271
否
(
いな
)
魂
(
たましひ
)
迄
(
まで
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
下
(
くだ
)
さいます。
272
私
(
わたし
)
が
貴女
(
あなた
)
をお
連
(
つ
)
れ
申
(
まを
)
してエルサレムまでお
送
(
おく
)
り
致
(
いた
)
し
度
(
た
)
いは
山々
(
やまやま
)
ですが、
273
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
仰
(
おほ
)
せは、
274
貴女
(
あなた
)
もお
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
びの
通
(
とほ
)
り
大層
(
たいそう
)
厳
(
きび
)
しくなりまして、
275
御
(
ご
)
同行
(
どうかう
)
は
叶
(
かな
)
ひませぬ。
276
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
人
(
ひと
)
は
心
(
こころ
)
が
肝腎
(
かんじん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
277
心
(
こころ
)
さへ
生々
(
いきいき
)
して
居
(
を
)
れば、
278
肉体
(
にくたい
)
位
(
くらゐ
)
は
何
(
なん
)
の
雑作
(
ざふさ
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬ。
279
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
疲
(
つか
)
れたと
云
(
い
)
ふても
休
(
やす
)
めば
直
(
すぐ
)
に
回復
(
くわいふく
)
するもので
厶
(
ござ
)
います。
280
気
(
き
)
を
確
(
たしか
)
にお
持
(
も
)
ちなさいませ。
281
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
282
……あゝ
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
283
繊弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
のブラヷーダをお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さるやう
一重
(
ひとへ
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まをし
)
ます。
284
夫
(
そ
)
れについては、
285
デビス
姫
(
ひめ
)
も
繊弱
(
かよわ
)
い
女
(
をんな
)
の
一人旅
(
ひとりたび
)
、
286
何卒
(
なにとぞ
)
貴神
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
恩寵
(
おんちよう
)
をもつて
287
無事
(
ぶじ
)
に
聖地
(
せいち
)
に
御
(
ご
)
参詣
(
さんけい
)
の
叶
(
かな
)
ふやう、
288
お
取
(
と
)
り
計
(
はか
)
らひを
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
ります。
289
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
290
と
合掌
(
がつしやう
)
しながら
291
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あひだ
)
には
暫
(
しば
)
し
無言
(
むごん
)
の
幕
(
まく
)
が
卸
(
おろ
)
された。
292
猛獣
(
まうじう
)
の
声
(
こゑ
)
は
一層
(
いつそう
)
激
(
はげ
)
しく
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
の
谷々
(
たにだに
)
より
百雷
(
ひやくらい
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
落
(
お
)
つるが
如
(
ごと
)
く
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
る。
293
(
大正一二・五・二九
旧四・一四
於天声社
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 仕込杖
(B)
(N)
神判 >>>
霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第63巻(寅の巻)
> 第5篇 神検霊査 > 第20章 道の苦
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第20章 道の苦|第63巻|山河草木|霊界物語|/rm6320】
合言葉「みろく」を入力して下さい→