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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第63巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 妙法山月
第1章 玉の露
第2章 妙法山
第3章 伊猛彦
第4章 山上訓
第5章 宿縁
第6章 テルの里
第2篇 日天子山
第7章 湖上の影
第8章 怪物
第9章 超死線
第3篇 幽迷怪道
第10章 鷺と鴉
第11章 怪道
第12章 五託宣
第13章 蚊燻
第14章 嬉し涙
第4篇 四鳥の別
第15章 波の上
第16章 諒解
第17章 峠の涙
第18章 夜の旅
第5篇 神検霊査
第19章 仕込杖
第20章 道の苦
第21章 神判
第22章 蚯蚓の声
余白歌
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
>
第63巻(寅の巻)
> 第4篇 四鳥の別 > 第18章 夜の旅
<<< 峠の涙
(B)
(N)
仕込杖 >>>
第一八章
夜
(
よる
)
の
旅
(
たび
)
〔一六二五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻
篇:
第4篇 四鳥の別
よみ(新仮名遣い):
しちょうのわかれ
章:
第18章 夜の旅
よみ(新仮名遣い):
よるのたび
通し章番号:
1625
口述日:
1923(大正12)年05月29日(旧04月14日)
口述場所:
天声社
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年2月3日
概要:
舞台:
ハルセイ山
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-07-15 10:27:46
OBC :
rm6318
愛善世界社版:
243頁
八幡書店版:
第11輯 350頁
修補版:
校定版:
252頁
普及版:
64頁
初版:
ページ備考:
001
伊太彦
(
いたひこ
)
は、
002
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
最愛
(
さいあい
)
のブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
が
悩
(
なや
)
み
苦
(
くる
)
しみ、
003
最後
(
さいご
)
の
握手
(
あくしゆ
)
を
求
(
もと
)
むるその
心根
(
こころね
)
の
不愍
(
ふびん
)
さ、
0031
胸
(
むね
)
迫
(
せま
)
り
嗚咽
(
をえつ
)
涕泣
(
ていきふ
)
稍
(
やや
)
久
(
ひさ
)
しうし、
004
又
(
また
)
もや
首
(
かうべ
)
をあげ
涙
(
なみだ
)
を
払
(
はら
)
ひながら、
005
伊太
(
いた
)
『ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
よ、
006
お
前
(
まへ
)
がこの
様
(
やう
)
に
苦
(
くる
)
しむのも
私
(
わたし
)
の
意志
(
いし
)
が
弱
(
よわ
)
かつた
為
(
ため
)
だ。
007
テルの
里
(
さと
)
にて
体
(
てい
)
よく
断
(
ことわ
)
れば、
008
お
前
(
まへ
)
の
迷
(
まよ
)
ひもさめ、
009
私
(
わたし
)
も
斯様
(
かやう
)
な
神
(
かみ
)
の
誡
(
いまし
)
めに
遇
(
あ
)
ふのではなかつたのに、
010
どうぞ
許
(
ゆる
)
して
呉
(
く
)
れ。
011
生死
(
せいし
)
を
共
(
とも
)
にすると
誓
(
ちか
)
つた
女房
(
にようばう
)
の
其女
(
そなた
)
に、
012
唯
(
ただ
)
一度
(
いちど
)
の
握手
(
あくしゆ
)
も
許
(
ゆる
)
さぬと
云
(
い
)
ふ
程
(
ほど
)
伊太彦
(
いたひこ
)
も
無情漢
(
むじやうかん
)
ではなけれども、
013
使命
(
しめい
)
を
受
(
う
)
けた
此
(
こ
)
の
体
(
からだ
)
、
014
仮令
(
たとへ
)
肉体
(
にくたい
)
は
朽
(
くち
)
果
(
は
)
つるとも、
015
何
(
ど
)
うして
此
(
この
)
誓
(
ちか
)
ひを
破
(
やぶ
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
よう。
016
本当
(
ほんたう
)
に
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
其女
(
そなた
)
を
愛
(
あい
)
するために、
017
かかる
無残
(
むご
)
い
所置
(
しうち
)
をするのだ、
018
決
(
けつ
)
して
無情
(
むじやう
)
な
男
(
をとこ
)
とせめて
呉
(
く
)
れるな。
019
伊太彦
(
いたひこ
)
の
思
(
おも
)
ひは
千万
(
せんまん
)
無量
(
むりやう
)
。
020
如何
(
いか
)
なる
罪
(
つみ
)
の
報
(
むく
)
ひにや
初
(
はじ
)
めて
知
(
し
)
つた
恋
(
こひ
)
の
苦
(
くる
)
しみ、
021
其女
(
そなた
)
もルーブヤの
娘
(
むすめ
)
、
022
ブラヷーダと
云
(
い
)
はるる
女
(
をんな
)
、
023
よもや
伊太彦
(
いたひこ
)
の
言葉
(
ことば
)
が
分
(
わか
)
らぬ
道理
(
だうり
)
はあるまい』
024
ブラヷーダ『
伊太彦
(
いたひこ
)
さま、
025
左様
(
さやう
)
ならばこれにてお
暇
(
いとま
)
を
致
(
いた
)
します。
026
隠世
(
かくりよ
)
の
大神
(
おほかみ
)
守
(
まも
)
りたまへ
幸倍
(
さきはへ
)
たまへ』
027
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
懐剣
(
くわいけん
)
をすらりと
抜
(
ぬ
)
き
放
(
はな
)
ち、
028
吾
(
わが
)
喉
(
のど
)
に
突
(
つ
)
き
立
(
た
)
てむとす。
029
伊太彦
(
いたひこ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
其
(
その
)
手
(
て
)
を
押
(
おさ
)
へむとすれども、
030
刻々
(
こくこく
)
と
重
(
おも
)
る
病
(
やまひ
)
の
為
(
ため
)
手足
(
てあし
)
も
叶
(
かな
)
はず、
031
如何
(
いかが
)
はせむと
気
(
き
)
を
焦心
(
あせ
)
り、
032
あはや
一大事
(
いちだいじ
)
と
思
(
おも
)
ふ
刹那
(
せつな
)
、
033
杣人
(
そまびと
)
は
飛
(
と
)
びかかつてブラヷーダの
懐剣
(
くわいけん
)
を
捥
(
もぎ
)
取
(
と
)
り、
034
傍
(
かたはら
)
の
密林
(
みつりん
)
へ
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んで
仕舞
(
しま
)
つた。
035
杣人
(
そまびと
)
は
忽
(
たちま
)
ち
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
なる
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
と
化
(
くわ
)
した。
036
伊太彦
(
いたひこ
)
はハツと
驚
(
おどろ
)
き
差
(
さし
)
俯向
(
うつむ
)
く。
037
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
も
忽
(
たちま
)
ち、
038
以前
(
いぜん
)
の
化身
(
けしん
)
に
弥益
(
いやます
)
高尚
(
かうしやう
)
優美
(
いうび
)
なる
女神
(
めがみ
)
と
化
(
くわ
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
039
伊太彦
(
いたひこ
)
は
漸
(
やうや
)
うにして
頭
(
あたま
)
を
擡
(
もた
)
げ
見
(
み
)
れば
摩訶
(
まか
)
不思議
(
ふしぎ
)
、
040
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
も
杣人
(
そまびと
)
の
影
(
かげ
)
もなく、
041
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女神
(
めがみ
)
が
儼然
(
げんぜん
)
として
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
042
扨
(
さ
)
てはブラヷーダと
見
(
み
)
せかけ
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
の
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれたまひしか、
043
あら
有難
(
ありがた
)
や
辱
(
かたじけ
)
なやと
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
合掌
(
がつしやう
)
した。
044
俄
(
にはか
)
に
伊太彦
(
いたひこ
)
の
病
(
やまひ
)
は
拭
(
ぬぐ
)
ふが
如
(
ごと
)
く、
045
忘
(
わす
)
れたるが
如
(
ごと
)
く、
0451
どこへか
散
(
ち
)
り
失
(
う
)
せて、
046
さも
爽快
(
さうくわい
)
な
気分
(
きぶん
)
に
充
(
み
)
たされ、
047
坐
(
すわ
)
り
直
(
なほ
)
つて
両手
(
りやうて
)
を
仕
(
つか
)
へ、
048
伊太
(
いた
)
『ハハー、
049
有難
(
ありがた
)
や
尊
(
たふと
)
や
木花姫
(
このはなひめ
)
の
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
050
どこ
迄
(
まで
)
もお
心
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
められたる
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
051
実
(
じつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
至
(
いた
)
りに
堪
(
た
)
へませぬ。
052
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
此
(
この
)
伊太彦
(
いたひこ
)
が
053
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て
悪魔
(
あくま
)
の
誘惑
(
いうわく
)
に
陥
(
おちい
)
らざる
様
(
やう
)
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
054
又
(
また
)
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
も
繊弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
の
一人旅
(
ひとりたび
)
、
055
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
を
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
ります』
056
木花姫
(
このはなひめ
)
『
汝
(
なんぢ
)
の
願
(
ねが
)
ひ
確
(
たしか
)
に
承知
(
しようち
)
した。
057
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
058
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
は
何
(
なん
)
と
致
(
いた
)
すのだ』
059
伊太
(
いた
)
『
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
060
これだけのお
試練
(
ためし
)
に
会
(
あ
)
ひながら、
061
自分
(
じぶん
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
や
妻
(
つま
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
のみをお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
し、
062
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
後
(
あと
)
に
致
(
いた
)
しました。
063
どうぞお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
064
木花姫
(
このはなひめ
)
『
其方
(
そなた
)
は、
065
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
066
真純彦
(
ますみひこ
)
、
067
三千彦
(
みちひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
神徳
(
しんとく
)
備
(
そな
)
はり、
068
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
加護
(
かご
)
も
厚
(
あつ
)
ければと、
069
安心
(
あんしん
)
の
上
(
うへ
)
願
(
ねが
)
はなかつたのだらう』
070
と
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
したまふ
情
(
なさけ
)
の
言葉
(
ことば
)
に、
071
伊太彦
(
いたひこ
)
は
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
り、
072
両掌
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くに
流
(
なが
)
して
居
(
ゐ
)
る。
073
忽
(
たちま
)
ち
虚空
(
こくう
)
に
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え、
074
芳香
(
はうかう
)
薫
(
くん
)
じ、
075
カラビンガの
祥鳥
(
しやうてう
)
に
取
(
とり
)
まかれて
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
御姿
(
みすがた
)
をかくしたまふた。
076
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
りかへり、
077
伊太彦
(
いたひこ
)
は
幾度
(
いくど
)
となく
御空
(
みそら
)
を
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
て、
078
『
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
の
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
伊太彦
(
いたひこ
)
が
079
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りけり。
080
天教
(
てんけう
)
の
山
(
やま
)
より
天降
(
あも
)
りたまひたる
081
木花姫
(
このはなひめ
)
の
恵
(
めぐみ
)
尊
(
たふと
)
し。
082
いたづきの
身
(
み
)
も
健
(
すこや
)
かになりにけり
083
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
深
(
ふか
)
きをぞ
知
(
し
)
る。
084
玉国別
(
たまくにわけ
)
司
(
つかさ
)
の
君
(
きみ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
085
守
(
まも
)
らせたまへ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
。
086
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
る
真純
(
ますみ
)
の
空
(
そら
)
は
吾
(
わが
)
友
(
とも
)
の
087
心
(
こころ
)
の
色
(
いろ
)
の
現
(
あら
)
はれとぞ
知
(
し
)
る。
088
神徳
(
しんとく
)
を
清
(
きよ
)
き
御霊
(
みたま
)
に
三千彦
(
みちひこ
)
の
089
吾
(
わが
)
友垣
(
ともがき
)
を
偲
(
しの
)
びてぞ
泣
(
な
)
く。
090
三千彦
(
みちひこ
)
も
嘸
(
さぞ
)
今
(
いま
)
頃
(
ごろ
)
はデビス
姫
(
ひめ
)
に
091
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
らせたまふなるらむ。
092
デビス
姫
(
ひめ
)
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
も
御教
(
みをしへ
)
に
093
倣
(
なら
)
ひて
山路
(
やまぢ
)
一人
(
ひとり
)
往
(
ゆ
)
くらむ。
094
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶなる
095
野路
(
のぢ
)
往
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
ぞ
危
(
あやぶ
)
まれける。
096
さりながら
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
のましまさば
097
やすく
進
(
すす
)
まむ
女
(
をんな
)
の
旅
(
たび
)
も。
098
いざ
立
(
た
)
ちて
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かむ
099
国治立
(
くにはるたち
)
の
御
(
み
)
あとたづねて』
100
と
口吟
(
くちずさ
)
みながら、
101
元気
(
げんき
)
回復
(
くわいふく
)
した
伊太彦
(
いたひこ
)
は、
102
ハルセイの
峠
(
たうげ
)
を
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひながら
下
(
くだ
)
り
往
(
ゆ
)
く。
103
伊太彦
(
いたひこ
)
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
104
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
105
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
生神
(
いきがみ
)
は
106
天教山
(
てんけうざん
)
に
神集
(
かむつど
)
ふ
107
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
やエルサレム
108
コーカサス
山
(
さん
)
や
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
109
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
110
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
を
配
(
くば
)
りまし
111
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
国中
(
くになか
)
に
112
潜
(
ひそ
)
みて
世人
(
よびと
)
を
悩
(
なや
)
ませる
113
醜
(
しこ
)
の
大蛇
(
をろち
)
や
鬼神
(
おにがみ
)
を
114
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し
天国
(
てんごく
)
を
115
地上
(
ちじやう
)
に
建設
(
けんせつ
)
せむために
116
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
117
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
御言
(
みこと
)
もて
118
神
(
かみ
)
の
柱
(
はしら
)
を
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
119
使
(
つか
)
はしたまふぞ
尊
(
たふと
)
けれ
120
吾
(
われ
)
は
小
(
ちひ
)
さき
身
(
み
)
なれども
121
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
蒙
(
かかぶ
)
りて
122
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
123
魔神
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
る
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
124
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
征討
(
せいたう
)
に
125
登
(
のぼ
)
る
尊
(
たふと
)
き
神司
(
かむつかさ
)
126
任
(
ま
)
けられたるぞ
有難
(
ありがた
)
き
127
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
128
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
129
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
130
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
131
スダルマ
山
(
さん
)
の
麓
(
ふもと
)
にて
132
カークス、ベースに
廻
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ
133
スーラヤ
山
(
さん
)
に
玉
(
たま
)
ありと
134
聞
(
き
)
くより
心機
(
しんき
)
一変
(
いつぺん
)
し
135
矢猛心
(
やたけごころ
)
の
伊太彦
(
いたひこ
)
は
136
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
許
(
ゆる
)
しを
強請
(
がうせい
)
し
137
間道
(
かんだう
)
潜
(
くぐ
)
りて
三人
(
みたり
)
連
(
づ
)
れ
138
テルの
磯辺
(
いそべ
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
139
思
(
おも
)
はぬ
女
(
をんな
)
に
廻
(
めぐ
)
り
遇
(
あ
)
ひ
140
妹背
(
いもせ
)
の
約
(
やく
)
を
固
(
かた
)
めつつ
141
八大
(
はちだい
)
竜王
(
りうわう
)
の
随一
(
ずいいち
)
と
142
世
(
よ
)
に
聞
(
きこ
)
へたるウバナンダ
143
ナーガラシャーの
岩窟
(
がんくつ
)
へ
144
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
145
幽世
(
あのよ
)
現世
(
このよ
)
の
境
(
さかひ
)
まで
146
進
(
すす
)
みし
時
(
とき
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさ
147
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
148
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
149
見直
(
みなほ
)
しまして
現世
(
うつしよ
)
に
150
甦
(
よみがへ
)
りたる
尊
(
たふと
)
さよ
151
折
(
をり
)
から
来
(
きた
)
る
宣伝使
(
せんでんし
)
152
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
助
(
たす
)
けられ
153
岩
(
いは
)
の
隙間
(
すきま
)
の
明
(
あかり
)
をば
154
目当
(
めあて
)
に
潜
(
くぐ
)
り
出
(
い
)
で
見
(
み
)
れば
155
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
が
156
磐樟船
(
いはくすぶね
)
を
横
(
よこ
)
たへて
157
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
待
(
ま
)
たせたまひけり
158
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
159
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
のはかりなき
160
千尋
(
ちひろ
)
の
海
(
うみ
)
も
何
(
なん
)
のその
161
御稜威
(
みいづ
)
は
高
(
たか
)
くスメールの
162
山
(
やま
)
も
物
(
もの
)
かは
伊太彦
(
いたひこ
)
は
163
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
164
御船
(
みふね
)
に
乗
(
の
)
りてエル
港
(
みなと
)
165
順風
(
じゆんぷう
)
に
真帆
(
まほ
)
をかかげつつ
166
事
(
こと
)
なく
上
(
のぼ
)
ればこは
如何
(
いか
)
に
167
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
168
埠頭
(
ふとう
)
に
立
(
た
)
たせ
給
(
たま
)
ひつつ
169
いと
懇
(
ねもごろ
)
に
待
(
ま
)
ちたまふ
170
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
171
無事
(
ぶじ
)
の
再会
(
さいくわい
)
喜
(
よろこ
)
びつ
172
前途
(
ぜんと
)
を
祝
(
しゆく
)
する
折
(
をり
)
もあれ
173
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
174
畏
(
かしこ
)
みまつり
最愛
(
さいあい
)
の
175
妻
(
つま
)
に
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ちつつ
176
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
を
捧持
(
ほうぢ
)
して
177
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
に
上
(
のぼ
)
り
往
(
ゆ
)
く
178
一人
(
ひとり
)
旅路
(
たびぢ
)
となりにける
179
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についでハルセイ
山
(
ざん
)
の
180
峠
(
たうげ
)
の
上
(
うへ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
181
頭
(
あたま
)
は
痛
(
いた
)
み
胸
(
むね
)
つかへ
182
手足
(
てあし
)
も
自由
(
じいう
)
にならぬ
身
(
み
)
の
183
其
(
その
)
苦
(
くる
)
しさに
山頂
(
さんちやう
)
の
184
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
めて
185
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らしつつ
186
懺悔
(
ざんげ
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
るる
折
(
をり
)
187
二人
(
ふたり
)
の
杣
(
そま
)
にたすけられ
188
命
(
いのち
)
辛々
(
からがら
)
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
189
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
は
誰人
(
たれびと
)
と
190
窺
(
うかが
)
ひ
見
(
み
)
ればこは
如何
(
いか
)
に
191
夢
(
ゆめ
)
にも
忘
(
わす
)
れぬブラヷーダ
192
妹
(
いも
)
の
命
(
みこと
)
と
知
(
し
)
りしより
193
心
(
こころ
)
を
鬼
(
おに
)
に
持
(
も
)
ち
直
(
なほ
)
し
194
神
(
かみ
)
の
使命
(
しめい
)
を
守
(
まも
)
らむと
195
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
の
曲者
(
くせもの
)
と
196
力戦
(
りきせん
)
苦闘
(
くとう
)
の
其
(
その
)
結果
(
けつくわ
)
197
漸
(
やうや
)
く
晴
(
は
)
れし
胸
(
むね
)
の
暗
(
やみ
)
198
ブラヷーダ
姫
(
ひめ
)
と
見
(
み
)
えたるは
199
いとも
畏
(
かしこ
)
き
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
200
珍
(
うづ
)
の
化身
(
けしん
)
にましましぬ
201
二人
(
ふたり
)
の
杣
(
そま
)
と
見
(
み
)
えたるも
202
木花姫
(
このはなひめ
)
のお
脇立
(
わきだち
)
203
かくまでいやしき
伊太彦
(
いたひこ
)
を
204
誠
(
まこと
)
の
司
(
つかさ
)
に
造
(
つく
)
らむと
205
千々
(
ちぢ
)
に
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
きます
206
三十三
(
さんじふさん
)
相
(
さう
)
の
観自在
(
くわんじざい
)
207
天尊
(
てんそん
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
情
(
なさけ
)
208
仰
(
あふ
)
ぐも
畏
(
かしこ
)
き
次第
(
しだい
)
なり
209
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
210
身
(
み
)
も
健
(
すこや
)
かになりぬれば
211
これより
進
(
すす
)
んでエルサレム
212
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
213
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
一筋
(
ひとすぢ
)
に
214
脇目
(
わきめ
)
もふらず
進
(
すす
)
むべし
215
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
216
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
217
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
218
吾
(
わが
)
身体
(
からたま
)
は
朽
(
く
)
つるとも
219
神
(
かみ
)
に
受
(
う
)
けたる
此
(
この
)
魂
(
みたま
)
220
如何
(
いか
)
で
曲霊
(
まがひ
)
に
汚
(
けが
)
さむや
221
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
222
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しつつ
惟神
(
かむながら
)
223
教
(
をしへ
)
のままに
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く
224
四辺
(
あたり
)
の
景色
(
けしき
)
は
漸
(
やうや
)
くに
225
秋
(
あき
)
の
色
(
いろ
)
をば
湛
(
たた
)
へつつ
226
山野
(
さんや
)
の
木草
(
きぐさ
)
はさわさわと
227
空
(
そら
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
に
翻
(
ひるがへ
)
り
228
いとも
床
(
ゆか
)
しくなりにけり
229
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
230
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
くエルサレム
231
神
(
かみ
)
の
表
(
あら
)
はれましまして
232
黄金山
(
わうごんさん
)
下
(
か
)
の
神館
(
かむやかた
)
233
埴安彦
(
はにやすひこ
)
や
埴安
(
はにやす
)
の
234
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
永久
(
とこしへ
)
に
235
鎮
(
しづ
)
まりたまふ
大前
(
おほまへ
)
に
236
進
(
すす
)
ませたまへと
願
(
ね
)
ぎまつる』
237
と
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
238
緩勾配
(
くわんこうばい
)
の
山道
(
やまみち
)
をトントントンと
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
239
日
(
ひ
)
は
西山
(
せいざん
)
に
傾
(
かたむ
)
いて
殊更
(
ことさら
)
涼
(
すず
)
しき
夕
(
ゆふべ
)
の
風
(
かぜ
)
、
240
伊太彦
(
いたひこ
)
が
面
(
おもて
)
を
吹
(
ふ
)
く。
241
伊太彦
(
いたひこ
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
242
さしもに
高
(
たか
)
き
此
(
この
)
大峠
(
おほたうげ
)
の
中程
(
なかほど
)
迄
(
まで
)
下
(
お
)
りつき
傍
(
かたはら
)
の
巌
(
いはほ
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ちかけて、
243
ウトリウトリと
眠
(
ねむ
)
りについた。
244
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
峠
(
たうげ
)
の
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
から、
245
イク『バラモン
教
(
けう
)
に
仕
(
つか
)
へたる
246
醜
(
しこ
)
の
司
(
つかさ
)
のイク、サール
247
清春山
(
きよはるやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
で
248
松彦
(
まつひこ
)
司
(
つかさ
)
に
教
(
をし
)
へられ
249
三五教
(
あななひけう
)
の
正道
(
せいだう
)
に
250
帰順
(
きじゆん
)
しまつり
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
251
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
従
(
したが
)
ひて
252
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
253
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
宮普請
(
みやぶしん
)
254
仕
(
つか
)
へまつりて
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
に
255
惜
(
をし
)
き
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げながら
256
珍
(
うづ
)
の
館
(
やかた
)
の
受付
(
うけつけ
)
に
257
暫
(
しば
)
し
仕
(
つか
)
ふる
間
(
ま
)
もあらず
258
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
や
259
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
が
260
ブラリブラリとやつて
来
(
き
)
て
261
暴威
(
ばうゐ
)
を
振
(
ふ
)
るふ
憎
(
にく
)
らしさ
262
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
霊国
(
れいごく
)
の
263
天女
(
てんによ
)
と
現
(
あ
)
れし
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
264
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
りまして
妖邪
(
えうじや
)
をば
265
払
(
はら
)
はせたまひ
吾々
(
われわれ
)
に
266
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
へつつ
267
又
(
また
)
もや
聖場
(
せいぢやう
)
を
立
(
た
)
ちたまふ
268
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
姫君
(
ひめぎみ
)
の
269
其
(
その
)
神徳
(
しんとく
)
に
憧憬
(
どうけい
)
し
270
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
御伴
(
みとも
)
をば
271
仕
(
つか
)
へむものと
後
(
あと
)
や
先
(
さき
)
272
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
りつつ
273
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
照
(
て
)
らす
生神
(
いきがみ
)
の
274
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
に
瑞宝
(
ずゐはう
)
を
275
与
(
あた
)
へられたる
嬉
(
うれ
)
しさに
276
姫
(
ひめ
)
の
許
(
ゆる
)
しはなけねども
277
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
力
(
ちから
)
とし
278
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りけり
279
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづく
)
280
スマートさまの
声
(
こゑ
)
さへも
281
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
吾
(
わが
)
耳
(
みみ
)
に
282
聞
(
きこ
)
えず
遠
(
とほ
)
くなりにけり
283
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
284
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
はいて
285
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
姫君
(
ひめぎみ
)
に
286
遇
(
あ
)
はさせたまへスマートの
287
清
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
竜声
(
りうせい
)
を
288
聞
(
き
)
かさせたまへと
願
(
ね
)
ぎまつる
289
山野
(
さんや
)
河海
(
かかい
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
290
影
(
かげ
)
に
日向
(
ひなた
)
につき
添
(
そ
)
ひて
291
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
りつつ
292
水晶玉
(
すいしやうだま
)
を
捧持
(
ほうぢ
)
して
293
来
(
き
)
たりし
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
有難
(
ありがた
)
さ
294
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
295
清春山
(
きよはるやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
で
296
いと
懇切
(
ねもごろ
)
に
交
(
まじ
)
はりし
297
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
は
298
如何
(
いか
)
になり
行
(
ゆ
)
きたまひしか
299
聞
(
き
)
かまほしやと
思
(
おも
)
へども
300
神
(
かみ
)
ならぬ
身
(
み
)
の
吾々
(
われわれ
)
は
301
如何
(
いか
)
に
詮術
(
せんすべ
)
浪
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
302
踏
(
ふ
)
みも
習
(
なら
)
はぬ
山路
(
やまみち
)
を
303
登
(
のぼ
)
りつ
下
(
くだ
)
りつ
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
304
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
305
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せ
306
伊太彦
(
いたひこ
)
司
(
つかさ
)
に
今一度
(
いまいちど
)
307
遇
(
あ
)
はさせたまへと
願
(
ね
)
ぎまつる』
308
と
謡
(
うた
)
ひつつ
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
つて
来
(
く
)
るのはイクであつた。
309
伊太彦
(
いたひこ
)
は
疲
(
つか
)
れ
果
(
は
)
てて、
310
ウトリウトリと
眠
(
ねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
耳
(
みみ
)
に
幽
(
かす
)
かに
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
311
ふと
目覚
(
めざま
)
せば、
312
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
が
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
近
(
ちか
)
づいて
来
(
く
)
る
事
(
こと
)
に
気
(
き
)
がついた。
313
(
大正一二・五・二九
旧四・一四
於天声社楼上
加藤明子
録)
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