霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一五章 紺霊(こんれい)〔一八〇四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第71巻 山河草木 戌の巻 篇:第2篇 迷想痴色 よみ(新仮名遣い):めいそうちしき
章:第15章 紺霊 よみ(新仮名遣い):こんれい 通し章番号:1804
口述日:1926(大正15)年01月31日(旧12月18日) 口述場所:月光閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年2月1日
概要: 舞台:中有界、タラハン河の河下 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玄真坊がぶちあたった立石は老婆の姿に変じ、玄真坊の元女房、小夜具染のお紺と名乗る。生前の恨みにより、玄真坊を食らうために待ち伏せていたのだと言う。
玄真坊は助けを求め、シャカンナが天の数歌を唱えると、お紺は消えうせてしまった。
一同は再び行進をはじめる。玄真坊の前に再び立石が立ちふさがるが、天の数歌によって消えうせる。
一同はようやく冥府の赤門にたどり着く。玄真坊、コブライ、コオロの3人は、赤門の守衛からまだ現界に命数が残っていると告げられ、門を締め出される。
やむを得ずとぼとぼと引き返し始めたところ、耳元で女の声が聞こえたかと思うと、3人はタラハン河の河下に救い上げられていた。
3人を介抱していたのは、千草の高姫であった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7115
愛善世界社版:196頁 八幡書店版:第12輯 572頁 修補版: 校定版:204頁 普及版:96頁 初版: ページ備考:
001 シヤカンナ、002コブライ、003コオロの(さん)(にん)004玄真坊(げんしんばう)姿(すがた)見失(みうしな)はじと行進歌(かうしんか)(うた)(なが)(すす)んで()る。005コブライは甲声(かんごゑ)(しぼ)(なが)ら、
006玄真坊(げんしんばう)(あわ)(もの)
007大野(おほの)(はら)()(かぜ)
008(おどろ)きをつたか魂消(たまげ)たか
009(あたま)(さき)(しり)(あと)
010突出(つきだ)(なが)不細工(ぶさいく)
011スタイルさらして()きよつた
012彼奴(あいつ)のやうな(あわ)(もの)
013()みよつた(おや)(つら)()たい
014(かはづ)のやうな(つら)をして
015トンビのやうな(とが)(ぐち)
016(もの)()(たび)()(はな)
017(くち)とを(ひと)つによせる(やつ)
018もしも地獄(ぢごく)があつたなら
019地獄(ぢごく)(まち)見世物(みせもの)
020()したらよつくはやるだろ
021あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
022オーラの(やま)立籠(たてこも)
023ドエライ山子(やまこ)(たく)みよつて
024目算(もくさん)ガラリと相外(あひはづ)
025ダリヤの(ひめ)には目尻(めじり)()
026(つら)草紙(さうし)使(つか)はれて
027(おほ)きな(はぢ)をかき(なが)
028(かへる)(つら)(みづ)かけた
029やうな彼奴(あいつ)無神経(むしんけい)
030(あき)れて(もの)()はれない
031(また)もや(ひと)つの大望(たいまう)
032(たく)むは(たく)んでみたものの
033これ(また)ドエライ失敗(しつぱい)
034火事場(くわじば)泥棒(どろぼう)のやり(そこ)
035左守(さもり)(やかた)(とら)へられ
036(つめた)牢屋(らうや)へブチ()まれ
037右守(うもり)(つかさ)訊問(じんもん)
038シヤーツクシヤーの呑気相(のんきそ)
039(けむり)にまいて答弁(たふべん)
040左守(さもり)(やかた)()()され
041(また)業託(ごふたく)(あひ)(なら)
042(くら)(かね)()()して
043(おの)がポツポへ(たく)()
044夜昼(よるひる)なしに山路(やまみち)
045(はし)つた揚句(あげく)(なさけ)なや
046捕手(とりて)(やつ)()つけられ
047千尋(ちひろ)谷間(たにま)にザンブリと
048(おい)()(とも)()()んで
049(いのち)()せしと(おも)ひきや
050こんな(ところ)へやつて()
051不思議(ふしぎ)不思議(ふしぎ)こんな(また)
052不思議(ふしぎ)世界(せかい)にあるものか
053玄真坊(げんしんばう)(あわ)(もの)
054アレアレあこに(たふ)れてる
055野壺(のつぼ)のはたのクソ(がへる)
056(つか)んで大地(だいち)にぶちつけた
057やうなザマしてフン()びて
058ビリビリ(ふる)ふてけつからア
059(なん)因果(いんぐわ)(やつ)だなア
060(この)有様(ありさま)(なが)むれば
061()(どく)でもあるやうだ
062又々(またまた)小気味(こきみ)がよいやうだ
063こんな(やつ)()(ただ)一人(ひとり)
064(たす)けてみた(とこ)()よがない
065とは()ふものの(おれ)たちも
066こんな(さび)しい街道(かいだう)
067()くのにや人数(にんず)(おほ)(ほど)
068(こころ)丈夫(ぢやうぶ)になるやうだ
069(いや)でも(おう)でも(たす)けよか
070コラ コラ コラ コラ玄真坊(げんしんばう)
071(はや)くしつかりせぬかい』と
072(むね)(あたま)(きら)ひなく
073グチヤ グチヤ グチヤと()()めば
074ウンと(ばか)りに(うめ)きつつ
075(いき)ふき(かへ)玄真坊(げんしんばう)
076『アイタタタツタ アイタタタ
077(おれ)(あたま)()みやがつた
078(あばら)(ほね)二三本(にさんぼん)
079どうやらコブライが(をり)よつた
080(もと)(とほ)りにして(かへ)
081(おや)から(もら)ふた大切(たいせつ)
082一生(いつしやう)使(つか)(たから)だぞ
083アイタタタツタ アイタツタ
084コレコレシヤカンナ左守(さもり)さま
085(わたし)(かたき)()つとおくれ
086どしても(むし)がいえぬ(ほど)
087あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
088目玉(めだま)()()(さう)だわい』
089などと090(からだ)(うご)かぬ(くせ)(あごた)(ばか)りを(たた)いてゐる。
091コブ『ハヽヽヽ、092オイ玄真(げんしん)さま、093()きたらどうだい。094(からだ)(うご)かぬくせに(どく)つきやがつて(なん)のザマだ。095サア()きたり()きたり、096()きな()きぬで()いワ、097吾々(われわれ)(さん)(にん)()つといて()くからのう。098(かたき)()つてくれの(なん)のつて、099馬鹿(ばか)にするない』
100(げん)『オイ、101コブライ、102さう(おこ)るものぢやないワイ、103とつくりと(はなし)()いてくれ。104(かたき)()つてくれといふのは、105(この)途端(みちばた)立石(たていし)(たた)(こは)してくれと()ふのだ。106此奴(こいつ)があつた(ばか)りに、107(おれ)がこんな()()ふたのだもの』
108コ『ナール(ほど)109此奴(こいつ)怪体(けたい)(いし)だな。110ヨーヨー ヨーヨー ヨーヨー、111()()()たぞ。112それ(はな)だ、113(くち)だ、114(みみ)(まで)()えて()たぞ。115此奴(こいつ)116化立石(ばけたていし)だな』
117 立石(たていし)(にはか)白髪(しらが)姿(すがた)(へん)じ、
118『ギヤアハヽヽヽ、119コラ耄碌(もうろく)(ども)120(おれ)(たれ)だと心得(こころえ)()るか、121(おれ)(つき)(くに)でも名高(なだか)小夜具(さよぐ)(ぞめ)のお(こん)()鬼婆(おにばば)だぞ』
122コブ『ナニ、123小夜具(さよぐ)(ぞめ)のお(こん)?、124まるで(きつね)みたいな(やつ)だな。125小夜具(さよぐ)(ぞめ)でも椿染(つばきぞめ)でも(かま)ふものかい。126そんなヒヨロヒヨロした(ばば)アの(ざま)をしやがつて、127(えら)(さう)(くち)(たた)くない。128(おれ)何方(どなた)心得(こころえ)てけつかるのかい』
129(こん)『ギユーフツフヽヽ』
130コ『コラ、131(こん)132ソーラ(なに)(ぬか)してけつかるのだい。133ギユフヽヽヽとは(なん)だい。134それ(ほど)牛糞(ぎうふん)()しけら、135そこらの街道(かいだう)(ある)いて()い、136馬糞(ばふん)牛糞(ぎうふん)沢山(たくさん)()ちてるワイ。137大方(おほかた)(きさま)(ぎつね)(ばけ)そこねだろ』
138(こん)『グツグツ(ぬか)すと、139わいら一緒(いつしよ)()つてやろか。140折角(せつかく)玄真(げんしん)野郎(やらう)()つてやらうと(おも)へば141(きさま)(たち)()()やがつて邪魔(じやま)をさらすものだから、142(いささ)(こま)つてゐるのだ。143エ、144グヅグヅさらさずに(はや)何処(どつか)()け。145サアこれから(きさま)()(とほ)つた(あと)は、146(この)(こん)玄真坊(げんしんばう)(からだ)(たた)きにして団子(だんご)(まる)めて()つてやるのだ、147ギヨーホツホヽヽヽ、148(なん)とはなしに(うま)(さう)(にほひ)がするワイ………のう』
149(げん)『オイ、150コブライ、151シヤカンナの兄貴(あにき)152コオロの乾児(こぶん)153メツタに(おれ)見捨(みす)てやせうまいの、154(この)(ばば)アを(たひ)らげてくれないか』
155シヤ『ウーム、156どしたら()かろかの。157コブライ、158(まへ)如何(どう)する(かんが)へだ?』
159コブ『……………』
160(こん)(やか)ましいワイ、161泥棒(どろばう)(ばか)りがよりやがつて、162(なに)をゴテゴテ()ふのだ。163(きさま)成敗(せいばい)さるる(ところ)(この)(さき)にある、164(たのし)んで()つたが()からうぞ。165(この)玄真坊(げんしんばう)()(やつ)166(この)(こん)()女房(にようばう)があるにも(かかは)らず、167梅香(うめか)()ふスベタ女郎(ぢよらう)(うつつ)をぬかし、168(おれ)空閨(くうけい)(まも)らせた無情(むじやう)冷酷(れいこく)なクソ(おやぢ)だ。169(その)(うらみ)(かさ)なつて道端(みちばた)立石(たていし)となり、170玄真坊(げんしんばう)売僧(まいす)が、171(とほ)りやあがつたら(とほ)りやあがつたらと、172(さむ)(かぜ)()かれ(なが)ら、173此所(ここ)()つてをつたのだ。174サ、175モウ()うなりや最早(もはや)百年目(ひやくねんめ)176ジタバタしても(かな)ふまい。177小夜具(さよぐ)(ぞめ)のお(こん)(つら)見覚(みおぼ)えて()るだろな』
178()(なが)ら、179カツカツと(のど)()らした途端(とたん)に、180パツパツと()()()し、181玄真坊(げんしんばう)禿頭(はげあたま)を、182紅蓮(ぐれん)(した)()(つく)す。183(その)(あつ)(くるし)さに、184玄真坊(げんしんばう)手足(てあし)をジタバタさせ(なが)ら、185()()くやうな(こゑ)()して、
186『オーイ、187シヤカンナ、188(たす)けてくれ(たす)けてくれ』
189といふ(こゑ)さへも次第(しだい)々々(しだい)(ほそ)つてゆく。190シヤカンナは()るに()かねて、191一生(いつしやう)懸命(けんめい)に「(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)」と天数歌(あまのかずうた)(うた)(をは)るや、192小夜具(さよぐ)(ぞめ)のお(こん)姿(すがた)煙草(たばこ)(けむり)(ごと)くに193フワリフワリと空中(くうちう)()(なが)()えて(しま)つた。
194 不思議(ふしぎ)にも玄真坊(げんしんばう)(からだ)自由(じいう)()()し、195(また)もや一行(いつかう)(さき)()ち、196(しやう)こりもなく、197(あたま)(さき)(しり)(うしろ)にポイポイと(いなご)()(あし)(よろ)しく198(ほそ)(すね)をふん()(なが)(すす)()く。199(さん)(にん)(また)もや玄真坊(げんしんばう)(またた)(うち)二三町(にさんちやう)(ばか)(おく)れて(しま)つた。
200コ『モシ、201シヤカンナさま、202余程(よほど)玄真坊(げんしんばう)(つみ)(をとこ)()えますな。203あのお(こん)といふ(やつ)204一遍(いつぺん)玄真坊(げんしんばう)結婚(けつこん)したに(ちがひ)ありませぬナ、205玄真坊(げんしんばう)ぢやなくつても、206あの(つら)では(わたし)だつて(いや)になりますワ』
207シヤ『サア結婚(けつこん)か、208(こん)か、209(こん)()らぬが随分(ずいぶん)(むつ)かしい()面相(めんさう)だつた。210斯様(かやう)妖怪(えうくわい)出没(しゆつぼつ)する以上(いじやう)は、211ヤハリ地獄(ぢごく)八丁目(はつちやうめ)(ちがひ)なからうよ。212マアボツボツ前進(ぜんしん)することにせうかい』
213コ『(なん)だかそこら(ぢう)(さび)しくなつたぢやありませぬか、214丸切(まるきり)(つぼ)(かぶ)つてるやうな気分(きぶん)になりました。215コオロ、216(まへ)如何(どう)だ』
217コオ『(おれ)だつて、218矢張(やつぱり)(さび)しいワイ。219(しか)(なが)らお(こん)でもお(はん)でもよいから、220チヨイチヨイ()てくれると退屈(たいくつ)ざましになつて()いぢやないか。221玄真坊(げんしんばう)にやチツと(ばか)()(どく)だけれどのう』
222コ『サ、223()両人(りやうにん)224(まゐ)りませう』
225()(なが)(さき)()ち、
226コ『(おも)へば(おも)へば不思議(ふしぎ)なる
227妖怪(えうくわい)変化(へんげ)(あら)はれて
228怪態(けたい)(つら)()せよつた
229玄真坊(げんしんばう)(あわ)(もの)
230こんな街道(かいだう)真中(まんなか)
231よい(はぢ)さらしをやりよつた
232彼奴(あいつ)もチツとは良心(りやうしん)
233かがやき(わた)ると相見(あひみ)えて
234(おい)()三人(みたり)(あと)()
235(にげ)るが(ごと)くに()きよつた
236(おも)へば(おも)へば可哀相(かあいさう)ぢやな
237サアサア(これ)から()をつけて
238()かねばどんな妖怪(えうくわい)
239出現(しゆつげん)するかも()れないぞ
240()をつけめされよ()両人(りやうにん)
241八衢(やちまた)街道(かいだう)不思議(ふしぎ)さは
242到底(たうてい)現界(げんかい)ぢや()られない
243あゝ面白(おもしろ)(おそ)ろしい
244(こは)(かな)しいジレツたい
245(おも)へば(おも)へば(なさけ)ない
246あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
247目玉(めだま)()()(さう)だワイ』
248 玄真坊(げんしんばう)一生(いつしやう)懸命(けんめい)進行歌(しんかうか)(うた)つてゐる。
249『あゝ(はづか)しや(はづか)しや
250(むかし)(おれ)女房(にようばう)
251執念深(しふねんぶか)くも道端(みちばた)
252(いし)(はしら)()けよつて
253(おれ)(とほ)るを待伏(まちぶ)せて
254どぎつい憂目(うきめ)(あは)せよつた
255ホンに(をんな)といふ(やつ)
256仕末(しまつ)()へぬ代物(しろもの)
257(やさ)しく()へばのし(あが)
258きつく(しか)れば()えくさる
259(ころ)してやつたら()けて()
260(これ)天下(てんか)通弊(つうへい)
261(こん)(やつ)(おれ)()
262(ころ)した(おぼえ)はなけれ(ども)
263悋気(りんき)(ふか)(やつ)()
264執念深(しふねんぶか)くも()けて()
265(おれ)()はふと()ひよつた
266ても(おそ)ろしい(ばば)アだな
267あんな(をんな)にかかつたら
268黐桶(とりもちをけ)両足(りやうあし)
269突込(つつこ)んだよりもまだ(つら)
270(くる)しい(おも)ひをせにやならぬ
271(かね)(をんな)()(やつ)
272(わが)()(ほろ)ぼす仇敵(きうてき)
273(いま)(やうや)(さと)りけり
274とは()ふものの何処(どこ)(まで)
275(かね)(をんな)()てられぬ
276(ひと)(うま)れた(うへ)からは
277どしても(をんな)黄金(わうごん)
278()ければ(この)()(わた)れない
279善悪(ぜんあく)(たがひ)相混(あひこん)
280美醜(びしう)(たがひ)(まじ)はつて
281(この)()(すべて)出来(でき)るのだ
282(これ)(おも)へば地獄(ぢごく)だと
283()つた(ところ)(なに)(こは)
284地獄(ぢごく)(なか)にも極楽(ごくらく)
285キツと(まう)けてあるだらう
286それを(おも)へば幽冥(いうめい)
287旅路(たびぢ)結局(けつきよく)面白(おもしろ)
288ドツコイドツコイ ドツコイシヨ
289アイタヽヽヽタツタ アイタタツタ
290(なん)だか()らぬが足許(あしもと)
291(くひ)つきよつたに(ちがひ)ない
292(みんな)(やつ)(なに)してる
293さつてもさてもコンパスの
294(よわ)(やつ)()仕様(しやう)がない
295(おれ)はテクシーの自動車(じどうしや)
296一瀉(いつしや)千里(せんり)(いきほひ)
297こんな(とこ)(まで)やつて()
298彼奴(あいつ)()三人(みたり)姿(すがた)さへ
299(わが)()()らぬ遅緩(もどか)しさ
300一筋道(ひとすぢみち)(この)街道(かいだう)
301(ほか)へは(まよ)(はず)がない
302あゝ(まち)どうや じれつたや
303アイタヽヽヽ アイタタツタ
304(また)もやこんな街道(かいだう)
305どう真中(まんなか)立石(たていし)
306()しやばりやがつて(おれ)(たち)
307(あたま)をコンとやりよつた
308今度(こんど)はさうは()かないぞ
309(ひと)(ふた)()()(いつ)()
310(なな)()(ここの)(たり)(もも)()
311(とな)へてやつたら滅茶(めちや)々々(めちや)
312(けむり)となつて()えるだろ
313(ひと)(ふた)()()(いつ)()
314(なな)()(ここの)(たり)(もも)()
315(よろづ)(かみ)()降臨(かうりん)
316(ひとへ)(あふ)(たてまつ)
317あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
318恩頼(みたまのふゆ)()(たま)へ』
319 不思議(ふしぎ)立石(たていし)(けむり)(ごと)中空(ちうくう)()()せて(しま)つた。320玄真坊(げんしんばう)(なん)だか前進(ぜんしん)するのが(にはか)(おそ)ろしいやうな()がし()したので、321少時(しばらく)路傍(みちばた)(たたず)んで(さん)(にん)落伍組(らくごぐみ)()つてゐると、322一行(いつかう)はヤツとの(こと)(この)()()()(きた)り、
323シヤ『ヤ、324(とて)(はや)いコンパスだのう、325(また)(こん)出会(であ)つたのだろ』
326(げん)『お(さつ)しの(とほ)り、327(こん)(なに)()らぬが、328(また)もや石柱(いしばしら)()()しやがつて、329(あたま)をおコンと()たしやがつた。330けれ(ども)な、331(まへ)数歌(かずうた)受売(うけうり)をやつた(ところ)332(けむり)となつて、333コツクリコと()えて(しま)つたのだ。334ても(さて)数歌(かずうた)威力(ゐりよく)といふものは(えら)いものだワイ………と335(この)(やう)(いま)(かん)じた(ところ)だ』
336シヤ『オイ玄真(げんしん)337向方(むかふ)(いかめ)しい赤門(あかもん)()えるぢやないか』
338(げん)『ウンさうだ、339いよいよ赤門(あかもん)だ。340(なん)だか小気味(こぎみ)(わる)いので、341(じつ)アお(まへ)追付(おひつ)くのを()つてゐたのだ』
342シヤ『ハヽヽヽ、343ヤツパリ(えら)(さう)()つても、344(こころ)大根(おほね)(よわ)(ところ)があると()えるワイ。345サ、346(おれ)先頭(せんとう)()つから、347(まへ)(たち)()いて()い』
348()(なが)ら、349シヤカンナは一行(いつかう)(まへ)()悠々(いういう)赤門(あかもん)(ちか)づいた。350冥府(めいふ)規則(きそく)として白赤(しろあか)守衛(しゆゑい)二人(ふたり)厳然(げんぜん)(ひか)へてゐる。
351(あか)『コリヤコリヤ352(その)(はう)何者(なにもの)だ』
353シヤ『ハイ、354(わたくし)はタラハン(じやう)左守(さもり)(つかさ)シヤカンナと(まを)(もの)御座(ござ)います』
355 (あか)(よこ)細長(ほそなが)帳面(ちやうめん)(くり)(なが)ら、
356(あか)成程(なるほど)357(まへ)さまの命数(めいすう)()きてゐる。358直様(すぐさま)天国(てんごく)へやつてやりたいは山々(やまやま)だが、359チツと(ばか)八衢(やちまた)修業(しうげふ)をして(もら)はねばならぬかも()れぬ、360何事(なにごと)伊吹戸主(いぶきどぬし)()裁断(さいだん)(あふ)いだ(うへ)のことだ。361サ、362(とほ)りなさい』
363とシヤカンナの(しり)(たた)けば、364シヤカンナは(かぜ)()()()(ごと)く、365フワフワフワと門内(もんない)()つやうにして這入(はい)つて(しま)つた。366(あか)玄真坊(げんしんばう)(むか)ひ、
367『オイ(きさま)玄真坊(げんしんばう)()悪僧(あくそう)だらうがな。368(きさま)はどうしても地獄(ぢごく)代物(しろもの)だ、369(しか)(なが)()命数(めいすう)(のこ)つてゐる。370現界(げんかい)()(せき)のある(やつ)ア、371此処(ここ)管轄(くわんかつ)区域(くゐき)ぢやない、372サ、373トツとと(かへ)れツ』
374(げん)成程(なるほど)375随分(ずいぶん)(わたくし)悪僧(あくそう)御座(ござ)います。376(しか)(なが)(ひと)つも成功(せいこう)した(こと)御座(ござ)いませぬ。377(いづ)れも未遂犯(みすゐはん)御座(ござ)いますから、378どうぞ大目(おほめ)()(くだ)さい』
379(あか)『エー、380ゴテゴテ()ふな、381(かへ)れといつたら(かへ)らぬか』
382二銭(にせん)胴貨(どうくわ)のやうな目玉(めだま)剥出(むきだ)せば、383玄真坊(げんしんばう)(ふる)(をのの)(ちぢ)こまつて(しま)ふ。
384(あか)『オイ、385そこなる両人(りやうにん)386(その)(はう)矢張(やつぱり)泥棒稼(どろぼうかせぎ)をやつてゐる(やつ)だろ、387コブライにコオロと()ふだろ』
388コ『お(さつ)しの(とほ)りで御座(ござ)います』
389コオ『(その)(とほ)りで御座(ござ)います』
390(あか)(きさま)仲々(なかなか)(つみ)(おも)(やつ)だが、391()現界(げんかい)(せき)(のこ)つてゐる。392サア、393(いち)()(はや)()(かへ)れツ』
394赤門(あかもん)をピシヤツと()め、395(しろ)守衛(しゆゑい)(とも)門内(もんない)姿(すがた)をかくした。396(さん)(にん)(やむ)()ずトボトボと元来(もとき)(みち)七八丁(しちはつちやう)(ばか)()(かへ)したと(おも)へば、397自分(じぶん)耳元(みみもと)にやさしい(をんな)(こゑ)が、398電話(でんわ)がかかつて()たやうな程度(ていど)(きこ)えて()る。399(さん)(にん)(そろ)ひも(そろ)ふて一度(いちど)にパツと()がつき四辺(あたり)()れば、400自分(じぶん)はタラハン(がは)河下(かはしも)何人(なにびと)かに(すく)()げられ、401沢山(たくさん)見物(けんぶつ)(とり)まかれ、402一人(ひとり)綺麗(きれい)(をんな)介抱(かいはう)されてゐた。403(この)(をんな)はトルマン(ごく)(ぬけ)()した妖婦(えうふ)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)であつた。
404 以上(いじやう)(よみがへ)つた玄真坊(げんしんばう)以下(いか)幽界(いうかい)想念(さうねん)(まく)である。
405大正一五・一・三一 旧一四・一二・一八 於月光閣 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki