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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第72巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 水波洋妖
第1章 老の高砂
第2章 時化の湖
第3章 厳の欵乃
第4章 銀杏姫
第5章 蛸船
第6章 夜鷹姫
第7章 鰹の網引
第2篇 杢迂拙婦
第8章 街宣
第9章 欠恋坊
第10章 清の歌
第11章 問答所
第12章 懺悔の生活
第13章 捨台演
第14章 新宅入
第15章 災会
第16章 東西奔走
第3篇 転化退閉
第17章 六樫問答
第18章 法城渡
第19章 旧場皈
第20章 九官鳥
第21章 大会合
第22章 妖魅帰
筑紫潟
余白歌
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>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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第72巻(亥の巻)
> 第3篇 転化退閉 > 第18章 法城渡
<<< 六樫問答
(B)
(N)
旧場皈 >>>
第一八章
法城渡
(
はふじやうわたし
)
〔一八二七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻
篇:
第3篇 転化退閉
よみ(新仮名遣い):
てんかたいへい
章:
第18章 法城渡
よみ(新仮名遣い):
ほうじょうわたし
通し章番号:
1827
口述日:
1926(大正15)年07月01日(旧05月22日)
口述場所:
天之橋立なかや別館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1929(昭和4)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ヨリコ姫は白づくめの衣装で登場し、まずは高姫を歌合戦で互いを批評しあう。
そして、まずは高姫から、「天地の元を創った根本の生き神の名」を問う。
ヨリコ姫は無終無始、無限絶対、永劫に静まりいます国常立の神様、と答える。
高姫は、それは底津岩根の大弥勒であると言い、その生き宮は誰か、とさらに問い掛ける。
ヨリコは高姫の答えを否定し、神書を調べればやはり国常立の大神がこの世の初めの神であり、その他の神は皆エンゼルであると答え返す。
高姫は、生きた肉体を持って働く神でなければ、空想理想に過ぎないと反論する。
ヨリコは、肉体を持った神は、産土山の聖場におはす、神素盞鳴の大御神であると答え、逆に高姫の神の名を問う。
高姫は、清浄潔白な神が、盗賊の親分となって多くの人を殺してきた、ヨリコのような人間を使うはずがない、ヨリコがいることで、神素盞鳴の大御神の聖場が汚されている、と逆に問い詰める。
それを聞いてヨリコはすごすごと場を引き下がる。問答に勝った高姫は一人、大声を張り上げて喜んでいる。
玄関口では、エル、アス、キューバーが口論を始めていたが、その間に奥の間では、早くもスガの宮の明渡しについて、話し合いが始まっていた。
ヨリコは、自分の犯してきた罪を高姫に指摘され、その罪深い身をもって神の前に仕えることが恐ろしくなってきたと告白する。
高姫・キューバーはスガの宮が自分たちのものになり、得意になって威張り散らしている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-19 15:04:54
OBC :
rm7218
愛善世界社版:
221頁
八幡書店版:
第12輯 681頁
修補版:
校定版:
230頁
普及版:
86頁
初版:
ページ備考:
001
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
は
訪
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
し
高姫
(
たかひめ
)
の、
002
酢
(
す
)
でも
蒟蒻
(
こんにやく
)
でも、
003
一条縄
(
ひとすぢなは
)
ではいけぬ
やんちや
牛
(
うし
)
たる
事
(
こと
)
を
看破
(
かんぱ
)
し、
004
下
(
した
)
から
上
(
うへ
)
まで
白綸子
(
しろりんず
)
づくめの
衣装
(
いしやう
)
を
着
(
き
)
、
005
髪
(
かみ
)
を
長
(
なが
)
う
後
(
うしろ
)
に
垂
(
た
)
れ、
006
中啓
(
ちうけい
)
を
手
(
て
)
に
持
(
も
)
ち、
007
絹摺
(
きぬず
)
れの
音
(
おと
)
サラサラと、
008
廊下
(
らうか
)
を
寛歩
(
くわんぽ
)
しながら
悠々然
(
いういうぜん
)
と
問答
(
もんだふ
)
椅子
(
いす
)
に
寄
(
よ
)
りかかり、
009
ヨリ『
何神
(
なにがみ
)
の
化身
(
けしん
)
にますか
白梅
(
しらうめ
)
の
010
花
(
はな
)
の
薫
(
かをり
)
も
高姫
(
たかひめ
)
の
君
(
きみ
)
。
011
久方
(
ひさかた
)
の
天
(
てん
)
より
高
(
たか
)
く
咲
(
さ
)
く
花
(
はな
)
も
012
君
(
きみ
)
の
装
(
よそひ
)
に
及
(
およ
)
ばざるらむ。
013
君
(
きみ
)
こそはウラナイ
教
(
けう
)
の
神柱
(
かむばしら
)
014
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
と
聞
(
き
)
くぞ
尊
(
たふと
)
き』
015
高
(
たか
)
『お
世辞
(
せじ
)
をばならべて
稜威
(
みいづ
)
高姫
(
たかひめ
)
を
016
揶揄
(
からか
)
ひたまふ
面
(
つら
)
の
憎
(
にく
)
さよ。
017
追従
(
つゐしよう
)
を
喰
(
く
)
ふよな
神
(
かみ
)
で
御座
(
ござ
)
らぬぞ
018
ヨリコの
姫
(
ひめ
)
よその
顔
(
かほ
)
洗
(
あら
)
へ。
019
今日
(
けふ
)
こそは
汝
(
なれ
)
が
生死
(
せいし
)
のさかひ
目
(
め
)
ぞ
020
善悪
(
ぜんあく
)
別
(
わ
)
ける
神
(
かみ
)
のおでまし』
021
ヨリ『これはしたり
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
言葉
(
ことば
)
022
ヨリコの
姫
(
ひめ
)
もあきれかへりぬ。
023
妾
(
わらは
)
こそ
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
にヨリコ
姫
(
ひめ
)
024
醜
(
しこ
)
の
荒風
(
あらかぜ
)
如何
(
いか
)
で
恐
(
おそ
)
れむ。
025
恐
(
おそ
)
ろしき
其
(
その
)
顔
(
かんばせ
)
は
奥山
(
おくやま
)
の
026
岩窟
(
いはや
)
に
住
(
す
)
める
鬼
(
おに
)
かとぞ
思
(
おも
)
ふ』
027
高
(
たか
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだ
028
泥棒上
(
どろぼうあが
)
りの
山子
(
やまこ
)
女
(
をんな
)
奴
(
め
)
。
029
みやびなる
歌
(
うた
)
よみかけて
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
030
汚
(
けが
)
さむとするずるさに
呆
(
あき
)
れし。
031
これからは
誠
(
まこと
)
の
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
が
現
(
あら
)
はれて
032
汝
(
なれ
)
が
心
(
こころ
)
の
闇
(
やみ
)
を
照
(
て
)
らさむ』
033
ヨリ『
吾
(
わが
)
霊
(
たま
)
は
昼夜
(
ひるよる
)
さへも
白雲
(
しらくも
)
の
034
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
月日
(
つきひ
)
なりけり。
035
久方
(
ひさかた
)
の
天
(
あめ
)
より
下
(
くだ
)
るエンゼルの
036
内流
(
ないりう
)
受
(
う
)
けし
吾
(
われ
)
ぞ
生神
(
いきがみ
)
』
037
高
(
たか
)
『
猪口才
(
ちよこざい
)
な
泥棒上
(
どろぼうあが
)
りの
分際
(
ぶんざい
)
で
038
生神
(
いきがみ
)
などとは
尻
(
けつ
)
が
呆
(
あき
)
れる。
039
尻喰
(
けつくら
)
へ
観音
(
くわんのん
)
様
(
さま
)
の
真似
(
まね
)
をして
040
装
(
よそほ
)
ひばかり
胸
(
むね
)
の
狼
(
おほかみ
)
』
041
ヨリ『
狼
(
おほかみ
)
か
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
か
知
(
し
)
らねども
042
吾
(
われ
)
の
霊
(
みたま
)
はいつも
輝
(
かがや
)
く。
043
吾
(
わが
)
霊
(
たま
)
は
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
日月
(
じつげつ
)
の
044
光
(
ひかり
)
にまして
四方
(
よも
)
を
照
(
て
)
らさむ』
045
高
(
たか
)
『ぬかしたり
曲津
(
まがつ
)
の
巣
(
すぐ
)
ふ
霊
(
たましひ
)
で
046
尻餅
(
しりもち
)
月日
(
つきひ
)
の
螢
(
ほたる
)
の
光
(
ひか
)
り
奴
(
め
)
』
047
ヨリ『
五月雨
(
さみだれ
)
の
闇
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
螢火
(
ほたるび
)
も
048
夜
(
よる
)
往
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
のしるべとぞなる。
049
螢火
(
ほたるび
)
を
数多
(
あまた
)
集
(
あつ
)
めて
文
(
ふみ
)
をよみ
050
国
(
くに
)
の
柱
(
はしら
)
となりし
人
(
ひと
)
あり』
051
高
(
たか
)
『
偉
(
えら
)
さうに
理窟
(
りくつ
)
ばかりを
夕月夜
(
ゆふづくよ
)
052
山
(
やま
)
にかくれてすぐ
闇
(
やみ
)
とならむ。
053
大空
(
おほぞら
)
に
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
も
高姫
(
たかひめ
)
の
054
光
(
ひかり
)
を
見
(
み
)
れば
目
(
め
)
も
眩
(
くら
)
むらむ』
055
ヨリ『
君
(
きみ
)
こそは
大高山
(
たいかうざん
)
の
山伏
(
やまぶし
)
か
056
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
大法螺
(
おほぼら
)
吹
(
ふ
)
くなり』
057
高
(
たか
)
『
法螺貝
(
ほらがひ
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
邪気
(
じやき
)
を
払
(
はら
)
ふてふ
058
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
神器
(
しんき
)
なりけり。
059
法螺
(
ほら
)
一
(
ひと
)
つ
吹
(
ふ
)
けないやうな
弱虫
(
よわむし
)
は
060
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
生
(
い
)
きて
甲斐
(
かひ
)
なし』
061
ヨリ『
魂
(
たましひ
)
はよしや
死
(
し
)
すとも
法螺
(
ほら
)
の
貝
(
かひ
)
062
音
(
おと
)
高姫
(
たかひめ
)
になりわたるかな』
063
高
(
たか
)
『
玄真坊
(
げんしんばう
)
法螺貝
(
ほらがひ
)
吹
(
ふ
)
きの
妻
(
つま
)
となり
064
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
したる
汝
(
なれ
)
ぞ
悪神
(
あくがみ
)
。
065
法螺
(
ほら
)
吹
(
ふ
)
いて
錫杖
(
しやくぢやう
)
をふり
村々
(
むらむら
)
を
066
かたつて
廻
(
まは
)
る
乞食
(
こじき
)
祭文
(
さいもん
)
。
067
オーラ
山
(
さん
)
大
(
おほ
)
法螺
(
ぼら
)
吹
(
ふき
)
の
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
068
スガの
宮
(
みや
)
にて
又
(
また
)
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
く』
069
ヨリ『
何
(
なん
)
なりと
勝手
(
かつて
)
な
熱
(
ねつ
)
を
吹
(
ふ
)
きたまへ
070
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
伊吹
(
いぶき
)
払
(
はら
)
へば』
071
高
(
たか
)
『
伊吹山
(
いぶきやま
)
鬼
(
おに
)
の
再来
(
さいらい
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
072
汝
(
なれ
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
なる』
073
ヨリ『
汝
(
なれ
)
こそはミロクミロクと
大法螺
(
おほぼら
)
を
074
吹
(
ふ
)
きまくるなる
醜
(
しこ
)
の
曲神
(
まがかみ
)
』
075
高
(
たか
)
『こりやヨリコ
口
(
くち
)
に
番所
(
ばんしよ
)
がないかとて
076
此
(
この
)
生神
(
いきがみ
)
に
楯
(
たて
)
をつくのか』
077
ヨリ『たてつくか
嘘
(
うそ
)
をつくかは
知
(
し
)
らねども
078
汝
(
なれ
)
がほこには
手答
(
てごたへ
)
もなし』
079
高
(
たか
)
『
手答
(
てごたへ
)
のなき
歌垣
(
うたがき
)
に
立
(
た
)
つよりも
080
言霊車
(
ことたまぐるま
)
めぐらして
見
(
み
)
む。
081
いざさらば
吾
(
わが
)
訊問
(
じんもん
)
に
答
(
こた
)
へかし
082
汝
(
なれ
)
が
生死
(
せいし
)
の
別
(
わか
)
るる
所
(
ところ
)
ぞ』
083
ヨリ『
如何
(
いか
)
ならむ
問
(
とひ
)
にも
答
(
こた
)
へまつるべし
084
早河
(
はやかは
)
の
瀬
(
せ
)
の
流
(
なが
)
るる
如
(
ごと
)
くに』
085
高姫
(
たかひめ
)
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
りつつ
086
雄猛
(
をたけ
)
びなして
立
(
たち
)
上
(
あが
)
り
087
ヨリコの
姫
(
ひめ
)
を
睨
(
ねめ
)
つけて
088
声
(
こゑ
)
の
調子
(
てうし
)
もいと
荒
(
あら
)
く
089
面上
(
めんじやう
)
朱
(
しゆ
)
をば
注
(
そそ
)
ぎつつ
090
扇
(
あふぎ
)
パチパチ
卓
(
たく
)
を
打
(
う
)
ち
091
『これこれヨリコの
女帝
(
によてい
)
さま
092
これから
直接
(
ちよくせつ
)
問答
(
もんだふ
)
だ
093
天地
(
てんち
)
の
元
(
もと
)
を
創
(
つく
)
りたる
094
大根本
(
だいこんぽん
)
の
根本
(
こんぽん
)
の
095
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
の
名
(
な
)
は
如何
(
いか
)
に』
096
云
(
い
)
へばヨリコは
笑
(
ゑみ
)
湛
(
たた
)
へ
097
『
如何
(
いか
)
なる
難題
(
なんだい
)
ならむかと
098
思
(
おも
)
へばそんな
事
(
こと
)
ですか
099
天地
(
てんち
)
の
元
(
もと
)
は
無終
(
むしう
)
無始
(
むし
)
100
無限
(
むげん
)
絶対
(
ぜつたい
)
永劫
(
えいごふ
)
に
101
静
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ます
国
(
くに
)
の
祖
(
おや
)
102
国常立
(
くにとこたち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
103
此
(
この
)
一柱
(
ひとはしら
)
の
神
(
かみ
)
おきて
104
外
(
ほか
)
に
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
はない
105
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
る
高姫
(
たかひめ
)
』と
106
顔
(
かほ
)
さしのぞけば
高姫
(
たかひめ
)
は
107
フフンと
笑
(
わら
)
ふ
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
108
高
(
たか
)
『
何
(
なん
)
と
分
(
わか
)
らぬ
神司
(
かむつかさ
)
109
あきれて
物
(
もの
)
が
云
(
い
)
へませぬ
110
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
111
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
悉
(
ことごと
)
く
112
安養
(
あんやう
)
浄土
(
じやうど
)
に
救
(
すく
)
はむと
113
心
(
こころ
)
をくばりたまひつつ
114
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
に
身
(
み
)
をかくし
115
時節
(
じせつ
)
を
待
(
ま
)
つて
種々
(
いろいろ
)
の
116
艱難
(
かんなん
)
苦労
(
くらう
)
のそのあげく
117
いよいよミロクの
大神
(
おほかみ
)
と
118
ここに
現
(
あら
)
はれましますぞ
119
その
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
は
120
どこに
御座
(
ござ
)
るかヨリコさま
121
すつかり
当
(
あ
)
てて
下
(
くだ
)
さんせ
122
もしも
妾
(
わたし
)
が
負
(
ま
)
けたなら
123
現在
(
げんざい
)
お
前
(
まへ
)
さまの
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
で
124
生
(
いき
)
たり
死
(
し
)
んだりして
見
(
み
)
せる』
125
云
(
い
)
へばヨリコは
嘲笑
(
あざわら
)
ひ
126
ヨリ『
貴女
(
あなた
)
の
仰
(
おほ
)
せは
違
(
ちが
)
ひます
127
神
(
かみ
)
の
御書
(
みふみ
)
を
調
(
しら
)
ぶれば
128
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
初
(
はじ
)
めと
在
(
ま
)
す
神
(
かみ
)
は
129
国常立
(
くにとこたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
ぞ
130
其
(
その
)
他
(
た
)
の
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
は
131
皆
(
みな
)
エンゼルの
又
(
また
)
の
御名
(
みな
)
132
これより
外
(
ほか
)
にありませぬ』
133
云
(
い
)
へば
高姫
(
たかひめ
)
グツと
反
(
そ
)
り
134
高
(
たか
)
『ホヽヽヽヽヽホヽヽヽヽ
135
これや
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
136
三五教
(
あななひけう
)
の
盲神
(
めくらがみ
)
137
こんな
事
(
こと
)
をば
偉
(
えら
)
さうに
138
世
(
よ
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
139
誠
(
まこと
)
しやかに
教
(
をし
)
へるのか
140
国常立
(
くにとこたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
が
141
もしも
此
(
この
)
国
(
くに
)
に
御座
(
ござ
)
るなら
142
妾
(
わたし
)
の
前
(
まへ
)
に
連
(
つ
)
れ
参
(
まゐ
)
れ
143
それが
出来
(
でき
)
ない
事
(
こと
)
なれば
144
空想
(
くうさう
)
理想
(
りさう
)
の
神
(
かみ
)
でせう
145
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
問
(
と
)
ふ
神
(
かみ
)
は
146
生
(
い
)
きた
肉体
(
にくたい
)
持
(
も
)
ちながら
147
生
(
い
)
きて
働
(
はたら
)
き
生
(
いき
)
ながら
148
人
(
ひと
)
を
救
(
たす
)
くる
神
(
かみ
)
ですよ
149
その
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はどこにある
150
それを
知
(
し
)
らして
貰
(
もら
)
ひたい』
151
云
(
い
)
へばヨリコは
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ひ
152
ヨリ『
肉体
(
にくたい
)
もつてます
神
(
かみ
)
は
153
産土山
(
うぶすなやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
154
千木
(
ちぎ
)
高
(
たか
)
知
(
し
)
りてはおはします
155
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
156
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
157
これより
外
(
ほか
)
にはありませぬ
158
貴女
(
あなた
)
の
守
(
まも
)
るウラナイの
159
お
道
(
みち
)
の
神
(
かみ
)
は
何神
(
なにがみ
)
か
160
確
(
しつか
)
り
妾
(
わたし
)
は
知
(
し
)
らねども
161
大
(
たい
)
した
神
(
かみ
)
では
御座
(
ござ
)
るまい』
162
云
(
い
)
へば
高姫
(
たかひめ
)
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て
163
高
(
たか
)
『
神
(
かみ
)
は
清浄
(
せいじやう
)
潔白
(
けつぱく
)
で
164
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
に
在
(
ま
)
しませば
165
兎
(
う
)
の
毛
(
け
)
の
露
(
つゆ
)
の
悪
(
あく
)
もない
166
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
して
金
(
かね
)
を
奪
(
と
)
り
167
数多
(
あまた
)
の
男女
(
だんぢよ
)
を
誑
(
たぶ
)
らかし
168
泥棒稼
(
どろぼうかせ
)
ぎをするやうな
169
輩
(
やから
)
を
使
(
つか
)
ふ
神
(
かみ
)
ならば
170
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
では
御座
(
ござ
)
るまい
171
お
前
(
まへ
)
の
素性
(
すじやう
)
を
調
(
しら
)
ぶれば
172
オーラの
山
(
やま
)
の
山賊
(
さんぞく
)
の
173
親分
(
おやぶん
)
して
居
(
ゐ
)
た
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
174
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
175
正
(
ただ
)
しく
清
(
きよ
)
く
鎮座
(
ちんざ
)
ます
176
此
(
この
)
聖場
(
せいぢやう
)
に
腰
(
こし
)
据
(
す
)
ゑて
177
神
(
かみ
)
をば
汚
(
けが
)
す
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
178
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
した
上
(
うへ
)
で
179
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
席
(
せき
)
を
180
退
(
しりぞ
)
きなされヨリコさま
181
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
改心
(
かいしん
)
したとても
182
白布
(
はくふ
)
に
墨
(
すみ
)
がついたなら
183
洗
(
あら
)
うても
洗
(
あら
)
うても
洗
(
あら
)
うても
184
墨
(
すみ
)
のおちない
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
185
どうせ
貴女
(
あなた
)
は
創者
(
きずもの
)
よ
186
創
(
きず
)
ある
身霊
(
みたま
)
が
神業
(
しんげふ
)
に
187
奉仕
(
ほうし
)
するとは
理
(
り
)
に
合
(
あ
)
はぬ
188
これでも
返答
(
へんたふ
)
御座
(
ござ
)
るかな
189
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
済
(
す
)
まないが
190
泥棒
(
どろばう
)
などはやりませぬ
191
大根本
(
だいこんぽん
)
の
根本
(
こんぽん
)
の
192
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
193
妾
(
わたし
)
に
創
(
きず
)
が
若
(
も
)
しあれば
194
どうぞ
探
(
さが
)
して
下
(
くだ
)
さんせ
195
抑々
(
そもそも
)
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
196
身霊
(
みたま
)
相応
(
さうおう
)
の
理
(
り
)
によつて
197
善
(
ぜん
)
には
善
(
ぜん
)
の
神
(
かみ
)
守
(
まも
)
り
198
悪
(
あく
)
には
悪
(
あく
)
の
神
(
かみ
)
がつく
199
創
(
きず
)
ある
身霊
(
みたま
)
にや
傷
(
きず
)
の
神
(
かみ
)
200
清
(
きよ
)
い
身霊
(
みたま
)
にや
清
(
きよ
)
い
神
(
かみ
)
201
これが
天地
(
てんち
)
の
相応
(
さうおう
)
だ』
202
云
(
い
)
へばヨリコは
俯
(
うつ
)
むいて
203
高姫
(
たかひめ
)
一人
(
ひとり
)
残
(
のこ
)
しおき
204
すごすご
一室
(
ひとま
)
に
入
(
い
)
りにける
205
高姫
(
たかひめ
)
後
(
あと
)
を
見送
(
みおく
)
つて
206
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
高笑
(
たかわら
)
ひ
207
高
(
たか
)
『オホヽヽヽオホヽヽヽ
208
狐
(
きつね
)
や
狸
(
たぬき
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
209
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
210
包
(
つつ
)
むよしなく
現
(
あら
)
はして
211
尻尾
(
しつぽ
)
を
股
(
また
)
に
挟
(
はさ
)
みつつ
212
すごすご
奥
(
おく
)
へ
逃
(
に
)
げ
込
(
こ
)
んだ
213
ほんに
小気味
(
こぎみ
)
のよい
事
(
こと
)
よ
214
もう
此
(
この
)
上
(
うへ
)
はヨリコとて
215
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
216
楯
(
たて
)
つく
勇気
(
ゆうき
)
は
御座
(
ござ
)
るまい
217
誤
(
あやま
)
り
証文
(
じようもん
)
認
(
したた
)
めて
218
今日
(
けふ
)
から
貴女
(
あなた
)
に
此
(
この
)
館
(
やかた
)
219
お
任
(
ま
)
かせ
申
(
まうし
)
奉
(
たてまつ
)
る
220
罪
(
つみ
)
ある
妾
(
わたし
)
の
身
(
み
)
の
素性
(
すじやう
)
221
何卒
(
なにとぞ
)
隠
(
かく
)
して
下
(
くだ
)
されと
222
哀訴
(
あいそ
)
歎願
(
たんぐわん
)
と
来
(
きた
)
るだろう
223
あゝ
面白
(
おもしろ
)
や
心地
(
ここち
)
よや
224
今日
(
けふ
)
からこれの
神館
(
かむやかた
)
225
棚
(
たな
)
の
上
(
うへ
)
から
牡丹餅
(
ぼたもち
)
が
226
落
(
お
)
ちて
来
(
き
)
たよな
塩梅
(
あんばい
)
に
227
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
入
(
い
)
るは
知
(
し
)
れたこと
228
もしも
問答
(
もんだふ
)
に
負
(
ま
)
けたなら
229
妾
(
わたし
)
の
役目
(
やくめ
)
を
渡
(
わた
)
すぞと
230
書
(
か
)
いた
看板
(
かんばん
)
が
証拠
(
しようこ
)
ぞよ
231
待
(
ま
)
てば
海路
(
かいろ
)
の
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
く
232
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
233
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
を
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
ける
234
此
(
この
)
御教
(
みをしへ
)
は
三五
(
あななひ
)
の
235
決
(
けつ
)
して
神
(
かみ
)
の
教
(
のり
)
でない
236
今
(
いま
)
目
(
ま
)
の
当
(
あた
)
り
高姫
(
たかひめ
)
が
237
実行
(
じつかう
)
なしたる
生言葉
(
いくことば
)
238
生証文
(
いきじようもん
)
のウラナイ
教
(
けう
)
239
千秋
(
せんしう
)
万歳
(
ばんざい
)
万々歳
(
ばんばんざい
)
240
ウラナイ
教
(
けう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
241
御前
(
みまへ
)
に
謹
(
つつし
)
み
畏
(
かしこ
)
みて
242
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
の
足
(
た
)
る
時
(
とき
)
の
243
成功
(
せいこう
)
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
ひたる
244
恵
(
めぐみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
245
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
246
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませ』と
247
四辺
(
あたり
)
かまはず
大声
(
おほごゑ
)
を
248
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げながら
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
249
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
は
250
よその
見
(
み
)
る
目
(
め
)
も
憎
(
にく
)
らしき。
251
話
(
はなし
)
変
(
かは
)
つて
玄関口
(
げんくわんぐち
)
には、
252
アル、
253
エス、
254
キユーバーの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
頻
(
しきり
)
に
口論
(
こうろん
)
を
始
(
はじ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
255
アル『こりや、
256
便所
(
はばかり
)
掃除
(
さうぢ
)
の
糞坊主
(
くそばうず
)
奴
(
め
)
、
257
バラモン
署
(
しよ
)
へ
訴
(
うつた
)
へるなんて
脅喝
(
けふかつ
)
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
258
犬
(
いぬ
)
の
遠吠
(
とほぼえ
)
的
(
てき
)
に
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せながら
259
づうづうしくも
何
(
なに
)
しにやつて
来
(
き
)
やがつたのだ。
260
エヽ
汚
(
きた
)
ない
汚
(
きた
)
ない
臭
(
くさ
)
い、
261
糞
(
くそ
)
の
臭気
(
しうき
)
が
鼻
(
はな
)
をついて
耐
(
たま
)
らないワ、
262
サア
去
(
い
)
んだり
去
(
い
)
んだり』
263
キユ『ハヽヽヽヽ、
264
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな、
265
此処
(
ここ
)
は
今日
(
けふ
)
から
俺
(
おれ
)
の
領分
(
りやうぶん
)
だ。
266
貴様
(
きさま
)
こそ
何処
(
どこ
)
かへ
出
(
で
)
て
往
(
ゆ
)
け、
267
今
(
いま
)
奥
(
おく
)
で
高姫
(
たかひめ
)
さまと
女帝
(
によてい
)
との
大問答
(
だいもんだう
)
が
始
(
はじ
)
まつて
居
(
ゐ
)
るやうだが、
268
きつと
高姫
(
たかひめ
)
さまの
勝
(
かち
)
だ。
269
これや
此
(
この
)
看板
(
かんばん
)
を
見
(
み
)
い、
270
今
(
いま
)
にこの
看板通
(
かんばんどほ
)
り
励行
(
れいかう
)
するのだ』
271
エス『ハヽヽヽヽこの
糞坊主
(
くそばうず
)
奴
(
め
)
。
272
高姫
(
たかひめ
)
とか
云
(
い
)
ふ
婆
(
ばば
)
に
泣
(
な
)
きついて
応援
(
おうゑん
)
を
頼
(
たの
)
んで
来
(
き
)
よつたのだな、
273
何
(
なん
)
と
見下
(
みさ
)
げ
果
(
は
)
てた
腰抜
(
こしぬ
)
け
野郎
(
やらう
)
だな。
274
八尺
(
やさか
)
の
褌
(
まはし
)
をかいた
男
(
をとこ
)
が
何
(
なん
)
だい、
275
女
(
をんな
)
の
加勢
(
かせい
)
を
頼
(
たの
)
んで
来
(
く
)
るとは
卑怯
(
ひけふ
)
にも
程
(
ほど
)
があるではないか、
276
糞垂
(
くそた
)
れ
坊主
(
ばうず
)
奴
(
め
)
。
277
まごまごして
居
(
ゐ
)
ると
笠
(
かさ
)
の
台
(
だい
)
が
無
(
な
)
くなるぞ、
278
サアサア
足許
(
あしもと
)
の
明
(
あかる
)
い
中
(
うち
)
股
(
また
)
に
尾
(
を
)
を
挟
(
はさ
)
んで
帰
(
かへ
)
つたり
帰
(
かへ
)
つたり』
279
キユ『ハヽヽヽヽ
馬鹿
(
ばか
)
だのう。
280
足許
(
あしもと
)
に
火
(
ひ
)
がついて、
281
尻
(
しり
)
が
熱
(
あつ
)
うなつて
居
(
ゐ
)
るのにまだ
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
気
(
き
)
がつかぬのか。
282
まあ
見
(
み
)
て
居
(
を
)
れ、
283
今
(
いま
)
に
法城
(
ほふじやう
)
の
開
(
あ
)
け
渡
(
わた
)
しと
来
(
く
)
るから、
284
その
時
(
とき
)
は
吠面
(
ほえづら
)
かわくな。
285
又
(
また
)
薬屋
(
くすりや
)
の
門番
(
もんばん
)
に
逆転
(
ぎやくてん
)
して
番犬
(
ばんけん
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
に
甘
(
あまん
)
じ
286
ワンワン
吠
(
ほえ
)
ながら
勤
(
つと
)
めるのが
関
(
せき
)
の
山
(
やま
)
だ。
287
何
(
なん
)
とあはれな
代物
(
しろもの
)
だな、
288
ウフヽヽヽ』
289
問答席
(
もんだふせき
)
にはヨリコ、
290
花香
(
はなか
)
、
291
ダリヤ
姫
(
ひめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
高姫
(
たかひめ
)
とさし
向
(
むか
)
ひになり、
292
法城
(
ほふじやう
)
開
(
あ
)
け
渡
(
わた
)
しの
掛合中
(
かけあひちう
)
である。
293
ヨリ『
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
294
すつぱりと
法城
(
ほふじやう
)
を
開
(
あ
)
け
渡
(
わた
)
しますから
受
(
う
)
け
取
(
と
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
295
貴女
(
あなた
)
の
問答
(
もんだふ
)
には
決
(
けつ
)
して
負
(
まけ
)
るやうな
女
(
をんな
)
ぢやありませぬが、
296
妾
(
わらは
)
も
一
(
ひと
)
つ
感
(
かん
)
じた
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
います。
297
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
立派
(
りつぱ
)
な
器
(
うつは
)
でも
焼
(
やき
)
つぎにした
器
(
うつは
)
はやつぱり
創物
(
きずもの
)
です。
298
貴女
(
あなた
)
の
最前
(
さいぜん
)
仰有
(
おつしや
)
つた
通
(
とほ
)
り
299
如何
(
いか
)
にもオーラ
山
(
さん
)
の
山賊
(
さんぞく
)
の
女頭目
(
をんなとうもく
)
として
世人
(
よびと
)
を
苦
(
くる
)
しめ、
300
所在
(
あらゆる
)
罪悪
(
ざいあく
)
を
犯
(
をか
)
して
来
(
き
)
ました。
301
かやうな
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
い
身霊
(
みたま
)
をもつて
302
至粋
(
しすゐ
)
至純
(
しじゆん
)
なる
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
に
仕
(
つか
)
へまつるのは
冥加
(
みやうが
)
の
程
(
ほど
)
が
恐
(
おそ
)
ろしう
御座
(
ござ
)
います。
303
到底
(
たうてい
)
妾
(
わらは
)
は
汚
(
けが
)
れた
罪
(
つみ
)
の
重
(
おも
)
い
体
(
からだ
)
、
304
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
る
資格
(
しかく
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
305
貴女
(
あなた
)
は
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
どんな
事
(
こと
)
を
遊
(
あそ
)
ばしたか
神
(
かみ
)
ならぬ
身
(
み
)
の
妾
(
わらは
)
、
306
些
(
すこ
)
しも
存
(
ぞん
)
じませぬが、
307
妾
(
わらは
)
に
比
(
くら
)
べては
余
(
よ
)
程
(
ほど
)
清
(
きよ
)
らかなお
身霊
(
みたま
)
と
拝察
(
はいさつ
)
致
(
いた
)
します、
308
是
(
これ
)
から
一
(
ひと
)
先
(
ま
)
づスガの
薬屋
(
くすりや
)
に
引
(
ひ
)
き
取
(
と
)
りますから、
309
後
(
あと
)
は
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
になさいませ』
310
高姫
(
たかひめ
)
『ホヽヽヽヽ、
311
成程
(
なるほど
)
312
お
前
(
まへ
)
さまも
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
よく
物
(
もの
)
の
分
(
わか
)
る
人
(
ひと
)
だ。
313
最前
(
さいぜん
)
生宮
(
いきみや
)
の
云
(
い
)
うた
言葉
(
ことば
)
に
感激
(
かんげき
)
して
身
(
み
)
の
罪
(
つみ
)
を
恥
(
は
)
ぢ、
314
法城
(
ほふじやう
)
を
開
(
あ
)
け
渡
(
わた
)
す、
315
その
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
、
316
実
(
じつ
)
に
見上
(
みあ
)
げたものですよ、
317
併
(
しか
)
し
創物
(
きずもの
)
はどこ
迄
(
まで
)
も
創物
(
きずもの
)
ですから
318
足許
(
あしもと
)
の
明
(
あかる
)
い
中
(
うち
)
、
319
トツトとお
帰
(
かへ
)
りなさるがよからう』
320
ヨリ『
妾
(
わらは
)
の
妹
(
いもうと
)
の
花香
(
はなか
)
、
321
ダリヤも
妾
(
わらは
)
に
殉
(
じゆん
)
じて
退席
(
たいせき
)
すると
云
(
い
)
ひますから、
322
どうかこれも
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
を
願
(
ねが
)
ひたう
御座
(
ござ
)
います』
323
高
(
たか
)
『
何程
(
なにほど
)
上面
(
うはつら
)
は
綺麗
(
きれい
)
でも
創物
(
きずもの
)
のお
前
(
まへ
)
さまに
使
(
つか
)
はれて
居
(
を
)
つた
代物
(
しろもの
)
だから、
324
どうせ
完全
(
くわんぜん
)
な
器
(
うつは
)
ぢやあるまい。
325
自発
(
じはつ
)
的
(
てき
)
に
退
(
しりぞ
)
かうと
云
(
い
)
ふのはこれも
感心
(
かんしん
)
の
至
(
いた
)
りだ。
326
何
(
なん
)
とまあ
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
と
云
(
い
)
ふものは
偉
(
えら
)
いものだな、
327
ホヽヽヽヽ』
328
と
笑壺
(
ゑつぼ
)
に
入
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
329
そこへキユーバーが
得意面
(
とくいづら
)
を
晒
(
さら
)
し
肩肱
(
かたひぢ
)
を
怒
(
いか
)
らし
330
大手
(
おほて
)
を
振
(
ふ
)
つて
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
331
『
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
どの
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
、
332
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
お
祝
(
いは
)
ひ
申
(
まをし
)
ます。
333
ヤイ、
334
ヨリコ、
335
花香
(
はなか
)
、
336
ダリヤの
阿魔女
(
あまつちよ
)
態
(
ざま
)
ア
見
(
み
)
やがれ。
337
俺
(
おれ
)
の
権勢
(
けんせい
)
はこの
通
(
とほ
)
りだ。
338
サアこれから
玉清別
(
たまきよわけ
)
の
野郎
(
やらう
)
も
339
アルもエスも
叩
(
たた
)
き
払
(
ばら
)
ひだ。
340
エヽ、
341
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い、
342
鼻
(
はな
)
が
汚
(
けが
)
れるワ、
343
腐
(
くさ
)
り
女
(
をんな
)
、
344
腐
(
くさ
)
り
野郎
(
やらう
)
奴
(
め
)
345
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
出
(
で
)
て
失
(
う
)
せろ』
346
と
仁王立
(
にわうだち
)
になり
347
蜥蜴
(
とかげ
)
が
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
つた
様
(
やう
)
なスタイルで
四辺
(
あたり
)
キヨロキヨロ
睨
(
ね
)
め
廻
(
まは
)
して
居
(
ゐ
)
る。
348
(
大正一五・七・一
旧五・二二
於天之橋立なかや別館
加藤明子
録)
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(B)
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