霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
ただいまメンテナンス中のため表示がおかしくなる場合があります

第一八章 法城渡(はふじやうわたし)〔一八二七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻 篇:第3篇 転化退閉 よみ(新仮名遣い):てんかたいへい
章:第18章 法城渡 よみ(新仮名遣い):ほうじょうわたし 通し章番号:1827
口述日:1926(大正15)年07月01日(旧05月22日) 口述場所:天之橋立なかや別館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
ヨリコ姫は白づくめの衣装で登場し、まずは高姫を歌合戦で互いを批評しあう。
そして、まずは高姫から、「天地の元を創った根本の生き神の名」を問う。
ヨリコ姫は無終無始、無限絶対、永劫に静まりいます国常立の神様、と答える。
高姫は、それは底津岩根の大弥勒であると言い、その生き宮は誰か、とさらに問い掛ける。
ヨリコは高姫の答えを否定し、神書を調べればやはり国常立の大神がこの世の初めの神であり、その他の神は皆エンゼルであると答え返す。
高姫は、生きた肉体を持って働く神でなければ、空想理想に過ぎないと反論する。
ヨリコは、肉体を持った神は、産土山の聖場におはす、神素盞鳴の大御神であると答え、逆に高姫の神の名を問う。
高姫は、清浄潔白な神が、盗賊の親分となって多くの人を殺してきた、ヨリコのような人間を使うはずがない、ヨリコがいることで、神素盞鳴の大御神の聖場が汚されている、と逆に問い詰める。
それを聞いてヨリコはすごすごと場を引き下がる。問答に勝った高姫は一人、大声を張り上げて喜んでいる。
玄関口では、エル、アス、キューバーが口論を始めていたが、その間に奥の間では、早くもスガの宮の明渡しについて、話し合いが始まっていた。
ヨリコは、自分の犯してきた罪を高姫に指摘され、その罪深い身をもって神の前に仕えることが恐ろしくなってきたと告白する。
高姫・キューバーはスガの宮が自分たちのものになり、得意になって威張り散らしている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-19 15:04:54 文字数:4388 OBC :rm7218
愛善世界社版:221頁 八幡書店版:第12輯 681頁 修補版: 校定版:230頁 普及版:86頁 初版: ページ備考:
001 ヨリコ姫(ひめ)は訪(たづ)ね来(き)し高姫(たかひめ)の、002酢(す)でも蒟蒻(こんにやく)でも、003一条縄(ひとすぢなは)ではいけぬやんちや牛(うし)たる事(こと)を看破(かんぱ)し、004下(した)から上(うへ)まで白綸子(しろりんず)づくめの衣装(いしやう)を着(き)、005髪(かみ)を長(なが)う後(うしろ)に垂(た)れ、006中啓(ちうけい)を手(て)に持(も)ち、007絹摺(きぬず)れの音(おと)サラサラと、008廊下(らうか)を寛歩(くわんぽ)しながら悠々然(いういうぜん)と問答(もんだふ)椅子(いす)に寄(よ)りかかり、
009ヨリ『何神(なにがみ)の化身(けしん)にますか白梅(しらうめ)の
010花(はな)の薫(かをり)も高姫(たかひめ)の君(きみ)。
011久方(ひさかた)の天(てん)より高(たか)く咲(さ)く花(はな)も
012君(きみ)の装(よそひ)に及(およ)ばざるらむ。
013君(きみ)こそはウラナイ教(けう)の神柱(かむばしら)
014日(ひ)の出(で)の神(かみ)と聞(き)くぞ尊(たふと)き』
015高(たか)『お世辞(せじ)をばならべて稜威(みいづ)高姫(たかひめ)を
016揶揄(からか)ひたまふ面(つら)の憎(にく)さよ。
017追従(つゐしよう)を喰(く)ふよな神(かみ)で御座(ござ)らぬぞ
018ヨリコの姫(ひめ)よその顔(かほ)洗(あら)へ。
019今日(けふ)こそは汝(なれ)が生死(せいし)のさかひ目(め)ぞ
020善悪(ぜんあく)別(わ)ける神(かみ)のおでまし』
021ヨリ『これはしたり高姫(たかひめ)様(さま)の御(おん)言葉(ことば)
022ヨリコの姫(ひめ)もあきれかへりぬ。
023妾(わらは)こそ誠(まこと)の神(かみ)にヨリコ姫(ひめ)
024醜(しこ)の荒風(あらかぜ)如何(いか)で恐(おそ)れむ。
025恐(おそ)ろしき其(その)顔(かんばせ)は奥山(おくやま)の
026岩窟(いはや)に住(す)める鬼(おに)かとぞ思(おも)ふ』
027高(たか)『何(なん)と云(い)ふ失礼(しつれい)な事(こと)を吐(ぬか)すのだ
028泥棒上(どろぼうあが)りの山子(やまこ)女(をんな)奴(め)。
029みやびなる歌(うた)よみかけて神(かみ)の宮(みや)
030汚(けが)さむとするずるさに呆(あき)れし。
031これからは誠(まこと)の日(ひ)の出(で)が現(あら)はれて
032汝(なれ)が心(こころ)の闇(やみ)を照(て)らさむ』
033ヨリ『吾(わが)霊(たま)は昼夜(ひるよる)さへも白雲(しらくも)の
034空(そら)に輝(かがや)く月日(つきひ)なりけり。
035久方(ひさかた)の天(あめ)より下(くだ)るエンゼルの
036内流(ないりう)受(う)けし吾(われ)ぞ生神(いきがみ)』
037高(たか)『猪口才(ちよこざい)な泥棒上(どろぼうあが)りの分際(ぶんざい)で
038生神(いきがみ)などとは尻(けつ)が呆(あき)れる。
039尻喰(けつくら)へ観音(くわんのん)様(さま)の真似(まね)をして
040装(よそほ)ひばかり胸(むね)の狼(おほかみ)』
041ヨリ『狼(おほかみ)か大神(おほかみ)様(さま)か知(し)らねども
042吾(われ)の霊(みたま)はいつも輝(かがや)く。
043吾(わが)霊(たま)は空(そら)に輝(かがや)く日月(じつげつ)の
044光(ひかり)にまして四方(よも)を照(て)らさむ』
045高(たか)『ぬかしたり曲津(まがつ)の巣(すぐ)ふ霊(たましひ)で
046尻餅(しりもち)月日(つきひ)の螢(ほたる)の光(ひか)り奴(め)』
047ヨリ『五月雨(さみだれ)の闇(やみ)を縫(ぬ)ひ行(ゆ)く螢火(ほたるび)も
048夜(よる)往(ゆ)く人(ひと)のしるべとぞなる。
049螢火(ほたるび)を数多(あまた)集(あつ)めて文(ふみ)をよみ
050国(くに)の柱(はしら)となりし人(ひと)あり』
051高(たか)『偉(えら)さうに理窟(りくつ)ばかりを夕月夜(ゆふづくよ)
052山(やま)にかくれてすぐ闇(やみ)とならむ。
053大空(おほぞら)に神(かみ)の御稜威(みいづ)も高姫(たかひめ)の
054光(ひかり)を見(み)れば目(め)も眩(くら)むらむ』
055ヨリ『君(きみ)こそは大高山(たいかうざん)の山伏(やまぶし)か
056朝(あさ)な夕(ゆふ)なに大法螺(おほぼら)吹(ふ)くなり』
057高(たか)『法螺貝(ほらがひ)は此(この)世(よ)の邪気(じやき)を払(はら)ふてふ
058誠(まこと)の神(かみ)の神器(しんき)なりけり。
059法螺(ほら)一(ひと)つ吹(ふ)けないやうな弱虫(よわむし)は
060此(この)世(よ)の中(なか)に生(い)きて甲斐(かひ)なし』
061ヨリ『魂(たましひ)はよしや死(し)すとも法螺(ほら)の貝(かひ)
062音(おと)高姫(たかひめ)になりわたるかな』
063高(たか)『玄真坊(げんしんばう)法螺貝(ほらがひ)吹(ふ)きの妻(つま)となり
064世(よ)を乱(みだ)したる汝(なれ)ぞ悪神(あくがみ)。
065法螺(ほら)吹(ふ)いて錫杖(しやくぢやう)をふり村々(むらむら)を
066かたつて廻(まは)る乞食(こじき)祭文(さいもん)。
067オーラ山(さん)大(おほ)法螺(ぼら)吹(ふき)の山(やま)の神(かみ)
068スガの宮(みや)にて又(また)法螺(ほら)を吹(ふ)く』
069ヨリ『何(なん)なりと勝手(かつて)な熱(ねつ)を吹(ふ)きたまへ
070科戸(しなど)の風(かぜ)に伊吹(いぶき)払(はら)へば』
071高(たか)『伊吹山(いぶきやま)鬼(おに)の再来(さいらい)と聞(きこ)えたる
072汝(なれ)は此(この)世(よ)の曲津(まがつ)神(かみ)なる』
073ヨリ『汝(なれ)こそはミロクミロクと大法螺(おほぼら)を
074吹(ふ)きまくるなる醜(しこ)の曲神(まがかみ)』
075高(たか)『こりやヨリコ口(くち)に番所(ばんしよ)がないかとて
076此(この)生神(いきがみ)に楯(たて)をつくのか』
077ヨリ『たてつくか嘘(うそ)をつくかは知(し)らねども
078汝(なれ)がほこには手答(てごたへ)もなし』
079高(たか)『手答(てごたへ)のなき歌垣(うたがき)に立(た)つよりも
080言霊車(ことたまぐるま)めぐらして見(み)む。
081いざさらば吾(わが)訊問(じんもん)に答(こた)へかし
082汝(なれ)が生死(せいし)の別(わか)るる所(ところ)ぞ』
083ヨリ『如何(いか)ならむ問(とひ)にも答(こた)へまつるべし
084早河(はやかは)の瀬(せ)の流(なが)るる如(ごと)くに』
085高姫(たかひめ)拳(こぶし)を握(にぎ)りつつ
086雄猛(をたけ)びなして立(たち)上(あが)り
087ヨリコの姫(ひめ)を睨(ねめ)つけて
088声(こゑ)の調子(てうし)もいと荒(あら)く
089面上(めんじやう)朱(しゆ)をば注(そそ)ぎつつ
090扇(あふぎ)パチパチ卓(たく)を打(う)ち
091『これこれヨリコの女帝(によてい)さま
092これから直接(ちよくせつ)問答(もんだふ)だ
093天地(てんち)の元(もと)を創(つく)りたる
094大根本(だいこんぽん)の根本(こんぽん)の
095生神(いきがみ)様(さま)の名(な)は如何(いか)に』
096云(い)へばヨリコは笑(ゑみ)湛(たた)へ
097『如何(いか)なる難題(なんだい)ならむかと
098思(おも)へばそんな事(こと)ですか
099天地(てんち)の元(もと)は無終(むしう)無始(むし)
100無限(むげん)絶対(ぜつたい)永劫(えいごふ)に
101静(しづ)まり居(ゐ)ます国(くに)の祖(おや)
102国常立(くにとこたち)の神(かみ)様(さま)よ
103此(この)一柱(ひとはしら)の神(かみ)おきて
104外(ほか)に誠(まこと)の神(かみ)はない
105如何(いかが)で御座(ござ)る高姫(たかひめ)』と
106顔(かほ)さしのぞけば高姫(たかひめ)は
107フフンと笑(わら)ふ鼻(はな)の先(さき)
108高(たか)『何(なん)と分(わか)らぬ神司(かむつかさ)
109あきれて物(もの)が云(い)へませぬ
110大慈(だいじ)大悲(だいひ)の神(かみ)様(さま)は
111天下(てんか)万民(ばんみん)悉(ことごと)く
112安養(あんやう)浄土(じやうど)に救(すく)はむと
113心(こころ)をくばりたまひつつ
114底津(そこつ)岩根(いはね)に身(み)をかくし
115時節(じせつ)を待(ま)つて種々(いろいろ)の
116艱難(かんなん)苦労(くらう)のそのあげく
117いよいよミロクの大神(おほかみ)と
118ここに現(あら)はれましますぞ
119その神(かみ)様(さま)の生宮(いきみや)は
120どこに御座(ござ)るかヨリコさま
121すつかり当(あ)てて下(くだ)さんせ
122もしも妾(わたし)が負(ま)けたなら
123現在(げんざい)お前(まへ)さまの目(め)の前(まへ)で
124生(いき)たり死(し)んだりして見(み)せる』
125云(い)へばヨリコは嘲笑(あざわら)ひ
126ヨリ『貴女(あなた)の仰(おほ)せは違(ちが)ひます
127神(かみ)の御書(みふみ)を調(しら)ぶれば
128此(この)世(よ)の初(はじ)めと在(ま)す神(かみ)は
129国常立(くにとこたち)の大神(おほかみ)ぞ
130其(その)他(た)の百(もも)の神々(かみがみ)は
131皆(みな)エンゼルの又(また)の御名(みな)
132これより外(ほか)にありませぬ』
133云(い)へば高姫(たかひめ)グツと反(そ)り
134高(たか)『ホヽヽヽヽヽホヽヽヽヽ
135これや面白(おもしろ)い面白(おもしろ)い
136三五教(あななひけう)の盲神(めくらがみ)
137こんな事(こと)をば偉(えら)さうに
138世(よ)の人々(ひとびと)に打(う)ち向(むか)ひ
139誠(まこと)しやかに教(をし)へるのか
140国常立(くにとこたち)の大神(おほかみ)が
141もしも此(この)国(くに)に御座(ござ)るなら
142妾(わたし)の前(まへ)に連(つ)れ参(まゐ)れ
143それが出来(でき)ない事(こと)なれば
144空想(くうさう)理想(りさう)の神(かみ)でせう
145此(この)高姫(たかひめ)の問(と)ふ神(かみ)は
146生(い)きた肉体(にくたい)持(も)ちながら
147生(い)きて働(はたら)き生(いき)ながら
148人(ひと)を救(たす)くる神(かみ)ですよ
149その神(かみ)様(さま)はどこにある
150それを知(し)らして貰(もら)ひたい』
151云(い)へばヨリコは打(う)ち笑(わら)ひ
152ヨリ『肉体(にくたい)もつてます神(かみ)は
153産土山(うぶすなやま)の聖場(せいぢやう)に
154千木(ちぎ)高(たか)知(し)りてはおはします
155神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大御神(おほみかみ)
156三千(さんぜん)世界(せかい)の太柱(ふとばしら)
157これより外(ほか)にはありませぬ
158貴女(あなた)の守(まも)るウラナイの
159お道(みち)の神(かみ)は何神(なにがみ)か
160確(しつか)り妾(わたし)は知(し)らねども
161大(たい)した神(かみ)では御座(ござ)るまい』
162云(い)へば高姫(たかひめ)腹(はら)を立(た)て
163高(たか)『神(かみ)は清浄(せいじやう)潔白(けつぱく)で
164仁慈(じんじ)無限(むげん)に在(ま)しませば
165兎(う)の毛(け)の露(つゆ)の悪(あく)もない
166人(ひと)を殺(ころ)して金(かね)を奪(と)り
167数多(あまた)の男女(だんぢよ)を誑(たぶ)らかし
168泥棒稼(どろぼうかせ)ぎをするやうな
169輩(やから)を使(つか)ふ神(かみ)ならば
170誠(まこと)の神(かみ)では御座(ござ)るまい
171お前(まへ)の素性(すじやう)を調(しら)ぶれば
172オーラの山(やま)の山賊(さんぞく)の
173親分(おやぶん)して居(ゐ)た曲津(まがつ)神(かみ)
174神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大神(おほかみ)の
175正(ただ)しく清(きよ)く鎮座(ちんざ)ます
176此(この)聖場(せいぢやう)に腰(こし)据(す)ゑて
177神(かみ)をば汚(けが)す曲津(まがつ)神(かみ)
178早(はや)く改心(かいしん)した上(うへ)で
179一(いち)時(じ)も早(はや)く此(この)席(せき)を
180退(しりぞ)きなされヨリコさま
181何(なに)程(ほど)改心(かいしん)したとても
182白布(はくふ)に墨(すみ)がついたなら
183洗(あら)うても洗(あら)うても洗(あら)うても
184墨(すみ)のおちない其(その)如(ごと)く
185どうせ貴女(あなた)は創者(きずもの)よ
186創(きず)ある身霊(みたま)が神業(しんげふ)に
187奉仕(ほうし)するとは理(り)に合(あ)はぬ
188これでも返答(へんたふ)御座(ござ)るかな
189此(この)高姫(たかひめ)は済(す)まないが
190泥棒(どろばう)などはやりませぬ
191大根本(だいこんぽん)の根本(こんぽん)の
192誠(まこと)の神(かみ)の太柱(ふとばしら)
193妾(わたし)に創(きず)が若(も)しあれば
194どうぞ探(さが)して下(くだ)さんせ
195抑々(そもそも)誠(まこと)の神(かみ)様(さま)は
196身霊(みたま)相応(さうおう)の理(り)によつて
197善(ぜん)には善(ぜん)の神(かみ)守(まも)り
198悪(あく)には悪(あく)の神(かみ)がつく
199創(きず)ある身霊(みたま)にや傷(きず)の神(かみ)
200清(きよ)い身霊(みたま)にや清(きよ)い神(かみ)
201これが天地(てんち)の相応(さうおう)だ』
202云(い)へばヨリコは俯(うつ)むいて
203高姫(たかひめ)一人(ひとり)残(のこ)しおき
204すごすご一室(ひとま)に入(い)りにける
205高姫(たかひめ)後(あと)を見送(みおく)つて
206大口(おほぐち)開(あ)けて高笑(たかわら)ひ
207高(たか)『オホヽヽヽオホヽヽヽ
208狐(きつね)や狸(たぬき)の正体(しやうたい)を
209日出(ひのでの)神(かみ)の御(おん)前(まへ)に
210包(つつ)むよしなく現(あら)はして
211尻尾(しつぽ)を股(また)に挟(はさ)みつつ
212すごすご奥(おく)へ逃(に)げ込(こ)んだ
213ほんに小気味(こぎみ)のよい事(こと)よ
214もう此(この)上(うへ)はヨリコとて
215此(この)高姫(たかひめ)に打(う)ち向(むか)ひ
216楯(たて)つく勇気(ゆうき)は御座(ござ)るまい
217誤(あやま)り証文(じようもん)認(したた)めて
218今日(けふ)から貴女(あなた)に此(この)館(やかた)
219お任(ま)かせ申(まうし)奉(たてまつ)る
220罪(つみ)ある妾(わたし)の身(み)の素性(すじやう)
221何卒(なにとぞ)隠(かく)して下(くだ)されと
222哀訴(あいそ)歎願(たんぐわん)と来(きた)るだろう
223あゝ面白(おもしろ)や心地(ここち)よや
224今日(けふ)からこれの神館(かむやかた)
225棚(たな)の上(うへ)から牡丹餅(ぼたもち)が
226落(お)ちて来(き)たよな塩梅(あんばい)に
227吾(わが)手(て)に入(い)るは知(し)れたこと
228もしも問答(もんだふ)に負(ま)けたなら
229妾(わたし)の役目(やくめ)を渡(わた)すぞと
230書(か)いた看板(かんばん)が証拠(しようこ)ぞよ
231待(ま)てば海路(かいろ)の風(かぜ)が吹(ふ)く
232神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
233善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)を立(た)て別(わ)ける
234此(この)御教(みをしへ)は三五(あななひ)の
235決(けつ)して神(かみ)の教(のり)でない
236今(いま)目(ま)の当(あた)り高姫(たかひめ)が
237実行(じつかう)なしたる生言葉(いくことば)
238生証文(いきじようもん)のウラナイ教(けう)
239千秋(せんしう)万歳(ばんざい)万々歳(ばんばんざい)
240ウラナイ教(けう)の大神(おほかみ)の
241御前(みまへ)に謹(つつし)み畏(かしこ)みて
242今日(けふ)の生日(いくひ)の足(た)る時(とき)の
243成功(せいこう)守(まも)り玉(たま)ひたる
244恵(めぐみ)に感謝(かんしや)し奉(たてまつ)る
245あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
246御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませ』と
247四辺(あたり)かまはず大声(おほごゑ)を
248張(は)り上(あ)げながら唯(ただ)一人(ひとり)
249傍若(ばうじやく)無人(ぶじん)の振舞(ふるまひ)は
250よその見(み)る目(め)も憎(にく)らしき。
251 話(はなし)変(かは)つて玄関口(げんくわんぐち)には、252アル、253エス、254キユーバーの三(さん)人(にん)が頻(しきり)に口論(こうろん)を始(はじ)めて居(ゐ)る。
255アル『こりや、256便所(はばかり)掃除(さうぢ)の糞坊主(くそばうず)奴(め)、257バラモン署(しよ)へ訴(うつた)へるなんて脅喝(けふかつ)文句(もんく)を並(なら)べ立(た)て、258犬(いぬ)の遠吠(とほぼえ)的(てき)に逃(に)げ失(う)せながら259づうづうしくも何(なに)しにやつて来(き)やがつたのだ。260エヽ汚(きた)ない汚(きた)ない臭(くさ)い、261糞(くそ)の臭気(しうき)が鼻(はな)をついて耐(たま)らないワ、262サア去(い)んだり去(い)んだり』
263キユ『ハヽヽヽヽ、264馬鹿(ばか)云(い)ふな、265此処(ここ)は今日(けふ)から俺(おれ)の領分(りやうぶん)だ。266貴様(きさま)こそ何処(どこ)かへ出(で)て往(ゆ)け、267今(いま)奥(おく)で高姫(たかひめ)さまと女帝(によてい)との大問答(だいもんだう)が始(はじ)まつて居(ゐ)るやうだが、268きつと高姫(たかひめ)さまの勝(かち)だ。269これや此(この)看板(かんばん)を見(み)い、270今(いま)にこの看板通(かんばんどほ)り励行(れいかう)するのだ』
271エス『ハヽヽヽヽこの糞坊主(くそばうず)奴(め)。272高姫(たかひめ)とか云(い)ふ婆(ばば)に泣(な)きついて応援(おうゑん)を頼(たの)んで来(き)よつたのだな、273何(なん)と見下(みさ)げ果(は)てた腰抜(こしぬ)け野郎(やらう)だな。274八尺(やさか)の褌(まはし)をかいた男(をとこ)が何(なん)だい、275女(をんな)の加勢(かせい)を頼(たの)んで来(く)るとは卑怯(ひけふ)にも程(ほど)があるではないか、276糞垂(くそた)れ坊主(ばうず)奴(め)。277まごまごして居(ゐ)ると笠(かさ)の台(だい)が無(な)くなるぞ、278サアサア足許(あしもと)の明(あかる)い中(うち)股(また)に尾(を)を挟(はさ)んで帰(かへ)つたり帰(かへ)つたり』
279キユ『ハヽヽヽヽ馬鹿(ばか)だのう。280足許(あしもと)に火(ひ)がついて、281尻(しり)が熱(あつ)うなつて居(ゐ)るのにまだ貴様(きさま)達(たち)は気(き)がつかぬのか。282まあ見(み)て居(を)れ、283今(いま)に法城(ほふじやう)の開(あ)け渡(わた)しと来(く)るから、284その時(とき)は吠面(ほえづら)かわくな。285又(また)薬屋(くすりや)の門番(もんばん)に逆転(ぎやくてん)して番犬(ばんけん)の境遇(きやうぐう)に甘(あまん)じ286ワンワン吠(ほえ)ながら勤(つと)めるのが関(せき)の山(やま)だ。287何(なん)とあはれな代物(しろもの)だな、288ウフヽヽヽ』
289 問答席(もんだふせき)にはヨリコ、290花香(はなか)、291ダリヤ姫(ひめ)の三(さん)人(にん)が高姫(たかひめ)とさし向(むか)ひになり、292法城(ほふじやう)開(あ)け渡(わた)しの掛合中(かけあひちう)である。
293ヨリ『千草(ちぐさ)の高姫(たかひめ)様(さま)、294すつぱりと法城(ほふじやう)を開(あ)け渡(わた)しますから受(う)け取(と)つて下(くだ)さい。295貴女(あなた)の問答(もんだふ)には決(けつ)して負(まけ)るやうな女(をんな)ぢやありませぬが、296妾(わらは)も一(ひと)つ感(かん)じた事(こと)が御座(ござ)います。297何(なに)程(ほど)立派(りつぱ)な器(うつは)でも焼(やき)つぎにした器(うつは)はやつぱり創物(きずもの)です。298貴女(あなた)の最前(さいぜん)仰有(おつしや)つた通(とほ)り299如何(いか)にもオーラ山(さん)の山賊(さんぞく)の女頭目(をんなとうもく)として世人(よびと)を苦(くる)しめ、300所在(あらゆる)罪悪(ざいあく)を犯(をか)して来(き)ました。301かやうな罪(つみ)深(ふか)い身霊(みたま)をもつて302至粋(しすゐ)至純(しじゆん)なる大神(おほかみ)様(さま)の前(まへ)に仕(つか)へまつるのは冥加(みやうが)の程(ほど)が恐(おそ)ろしう御座(ござ)います。303到底(たうてい)妾(わらは)は汚(けが)れた罪(つみ)の重(おも)い体(からだ)、304神(かみ)様(さま)の御(おん)前(まへ)に出(で)る資格(しかく)は御座(ござ)いませぬ。305貴女(あなた)は今日(けふ)迄(まで)どんな事(こと)を遊(あそ)ばしたか神(かみ)ならぬ身(み)の妾(わらは)、306些(すこ)しも存(ぞん)じませぬが、307妾(わらは)に比(くら)べては余(よ)程(ほど)清(きよ)らかなお身霊(みたま)と拝察(はいさつ)致(いた)します、308是(これ)から一(ひと)先(ま)づスガの薬屋(くすりや)に引(ひ)き取(と)りますから、309後(あと)は御(ご)勝手(かつて)になさいませ』
310高姫(たかひめ)『ホヽヽヽヽ、311成程(なるほど)312お前(まへ)さまも比較(ひかく)的(てき)よく物(もの)の分(わか)る人(ひと)だ。313最前(さいぜん)生宮(いきみや)の云(い)うた言葉(ことば)に感激(かんげき)して身(み)の罪(つみ)を恥(は)ぢ、314法城(ほふじやう)を開(あ)け渡(わた)す、315その御(ご)精神(せいしん)、316実(じつ)に見上(みあ)げたものですよ、317併(しか)し創物(きずもの)はどこ迄(まで)も創物(きずもの)ですから318足許(あしもと)の明(あかる)い中(うち)、319トツトとお帰(かへ)りなさるがよからう』
320ヨリ『妾(わらは)の妹(いもうと)の花香(はなか)、321ダリヤも妾(わらは)に殉(じゆん)じて退席(たいせき)すると云(い)ひますから、322どうかこれも御(ご)承知(しようち)を願(ねが)ひたう御座(ござ)います』
323高(たか)『何程(なにほど)上面(うはつら)は綺麗(きれい)でも創物(きずもの)のお前(まへ)さまに使(つか)はれて居(を)つた代物(しろもの)だから、324どうせ完全(くわんぜん)な器(うつは)ぢやあるまい。325自発(じはつ)的(てき)に退(しりぞ)かうと云(い)ふのはこれも感心(かんしん)の至(いた)りだ。326何(なん)とまあ神界(しんかい)の御(ご)経綸(けいりん)と云(い)ふものは偉(えら)いものだな、327ホヽヽヽヽ』
328と笑壺(ゑつぼ)に入(い)つて居(ゐ)る。329そこへキユーバーが得意面(とくいづら)を晒(さら)し肩肱(かたひぢ)を怒(いか)らし330大手(おほて)を振(ふ)つて四(よ)人(にん)の前(まへ)に入(い)り来(きた)り、
331『千草(ちぐさ)の高姫(たかひめ)どの天晴(あつぱれ)々々(あつぱれ)、332功名(こうみやう)手柄(てがら)お祝(いは)ひ申(まをし)ます。333ヤイ、334ヨリコ、335花香(はなか)、336ダリヤの阿魔女(あまつちよ)態(ざま)ア見(み)やがれ。337俺(おれ)の権勢(けんせい)はこの通(とほ)りだ。338サアこれから玉清別(たまきよわけ)の野郎(やらう)も339アルもエスも叩(たた)き払(ばら)ひだ。340エヽ、341臭(くさ)い臭(くさ)い、342鼻(はな)が汚(けが)れるワ、343腐(くさ)り女(をんな)、344腐(くさ)り野郎(やらう)奴(め)345一刻(いつこく)も早(はや)く出(で)て失(う)せろ』
346と仁王立(にわうだち)になり347蜥蜴(とかげ)が立(た)ち上(あが)つた様(やう)なスタイルで四辺(あたり)キヨロキヨロ睨(ね)め廻(まは)して居(ゐ)る。
348(大正一五・七・一 旧五・二二 於天之橋立なかや別館 加藤明子録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→