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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第81巻(申の巻)
総説
第1篇 伊佐子の島
第1章 イドム戦
第2章 月光山
第3章 月見の池
第4章 遷座式
第5章 心の禊
第6章 月見の宴
第2篇 イドムの嵐
第7章 月音し
第8章 人魚の勝利
第9章 維新の叫び
第10章 復古運動
第3篇 木田山城
第11章 五月闇
第12章 木田山颪
第13章 思ひの掛川
第14章 鷺と烏
第15章 厚顔無恥
第4篇 猛獣思想
第16章 亀神の救ひ
第17章 再生再会
第18章 蠑螈の精
第19章 悪魔の滅亡
第20章 悔悟の花
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第81巻(申の巻)
> 第1篇 伊佐子の島 > 第2章 月光山
<<< イドム戦
(B)
(N)
月見の池 >>>
第二章
月光山
(
つきみつやま
)
〔二〇二九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻
篇:
第1篇 伊佐子の島
よみ(新仮名遣い):
いさごのしま
章:
第2章 月光山
よみ(新仮名遣い):
つきみつやま
通し章番号:
2029
口述日:
1934(昭和9)年08月04日(旧06月24日)
口述場所:
伊豆別院
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
イドム王は王妃、左守、右守、軍師らとともに月光山に逃れ、再挙を図ることとなった。また、王女チンリウ、侍女アララギをはじめ多くの勇士が捕虜となり、サール国城中の牢獄につながれてしまった。
イドム王と王妃は、娘の消息がわからなくなってしまったことを歎いていた。一同は再起の時を誓いつつ、チンリウ王女の消息を探るために、三人の武士をひそかに敵国に遣わすことにした。
左守、右守、軍師は敗戦の責任に遺憾の意を歌に歌ったが、アヅミ王はこれまで、主の神から恵みを受けながら務めを怠っていたことに気づいた。そして、月光山のいただきに大神の宮居を造営し、朝夕の祈りを捧げるよう大臣たちに命じた。
大宮居造営に際して左守、右守は国津神たちを召集した。そして無事に地鎮祭を終えると、国津神たちは祝宴を開いた。アヅミ王はこの様を見て、国の礎が固まったことを感じ、喜びの歌を歌った。
そして、一同は改めて再起の意を固めることとなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8102
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 429頁
修補版:
校定版:
28頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
イドム
城
(
じやう
)
は
敵
(
てき
)
の
襲来
(
しふらい
)
に
破
(
やぶ
)
れて、
002
敗走
(
はいそう
)
したるアヅミ
王
(
わう
)
初
(
はじ
)
め
妃
(
きさき
)
ムラジ、
003
左守
(
さもり
)
ナーマン、
004
右守
(
うもり
)
ターマン
及
(
およ
)
び
軍師
(
ぐんし
)
シウラン
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
討
(
う
)
ち
洩
(
も
)
らされし
軍人
(
いくさびと
)
等
(
ら
)
は
遠
(
とほ
)
く
南
(
みなみ
)
に
逃
(
のが
)
れ、
005
月光山
(
つきみつやま
)
の
嶮所
(
けんしよ
)
を
扼
(
やく
)
し、
006
ここに
城壁
(
じやうへき
)
を
造
(
つく
)
り、
007
南端
(
なんたん
)
の
国原
(
くにはら
)
を
治
(
をさ
)
めつつ
再挙
(
さいきよ
)
の
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とせり。
008
王
(
わう
)
の
一人
(
ひとり
)
娘
(
むすめ
)
チンリウ
及
(
およ
)
び
侍女
(
じぢよ
)
のアララギの
両人
(
りやうにん
)
を
初
(
はじ
)
め
数多
(
あまた
)
の
勇士
(
ゆうし
)
は、
009
敵
(
てき
)
の
捕虜
(
ほりよ
)
となりて
遠
(
とほ
)
く
大栄山
(
おほさかやま
)
を
北
(
きた
)
に
越
(
こ
)
え、
010
サールの
都
(
みやこ
)
の
城中
(
じやうちう
)
の
牢獄
(
らうごく
)
に
繋
(
つな
)
がれ、
011
悲
(
かな
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
る
事
(
こと
)
とはなりぬ。
012
アヅミ
王
(
わう
)
は
最愛
(
さいあい
)
の
娘
(
むすめ
)
チンリウの
姿
(
すがた
)
なきに
歎
(
なげ
)
きの
余
(
あま
)
り
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
013
『
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より
014
平和
(
へいわ
)
の
風
(
かぜ
)
に
包
(
つつ
)
まれて
015
安
(
やす
)
く
楽
(
たの
)
しく
暮
(
くら
)
したる
016
イドムの
国
(
くに
)
は
果敢
(
はか
)
なくも
017
サールの
国
(
くに
)
のエールスが
018
軍
(
いくさ
)
のために
奪
(
うば
)
はれて
019
今
(
いま
)
ははかなき
南方
(
なんぱう
)
の
020
月光山
(
つきみつやま
)
に
退
(
しりぞ
)
きて
021
再挙
(
さいきよ
)
を
計
(
はか
)
るくるしさよ
022
数多
(
あまた
)
の
味方
(
みかた
)
は
敵軍
(
てきぐん
)
に
023
討
(
う
)
ち
滅
(
ほろぼ
)
されわが
軍
(
ぐん
)
は
024
もろくも
敗
(
やぶ
)
れを
取
(
と
)
りにけり
025
かかる
歎
(
なげ
)
きのその
中
(
なか
)
に
026
我世
(
わがよ
)
を
継
(
つ
)
ぐべき
愛娘
(
まなむすめ
)
027
チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
姿
(
すがた
)
なく
028
たづぬる
由
(
よし
)
も
泣
(
な
)
くばかり
029
或
(
あるひ
)
は
敵
(
てき
)
に
討
(
う
)
たれしか
030
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しもよ
031
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
032
姫
(
ひめ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
夢
(
ゆめ
)
になと
033
知
(
し
)
らせ
給
(
たま
)
へと
祈
(
いの
)
れども
034
何
(
なん
)
のしるしも
荒風
(
あらかぜ
)
の
035
山野
(
やまの
)
を
吹
(
ふ
)
きゆく
音
(
おと
)
ばかり
036
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
037
再
(
ふたた
)
び
軍
(
いくさ
)
を
調
(
ととの
)
へて
038
祖先
(
そせん
)
の
賜
(
たま
)
ひしイドム
城
(
じやう
)
039
再
(
ふたた
)
びわが
手
(
て
)
に
取
(
と
)
りもどし
040
姫
(
ひめ
)
の
在処
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
041
千々
(
ちぢ
)
に
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
くなり
042
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
味気
(
あぢき
)
なや
043
月光山
(
つきみつやま
)
は
清
(
きよ
)
くとも
044
川
(
かは
)
の
流
(
なが
)
れは
清
(
すが
)
しとも
045
何
(
なん
)
の
楽
(
たの
)
しみなきままに
046
月日
(
つきひ
)
を
暮
(
くら
)
す
果敢
(
はか
)
なさよ
047
月
(
つき
)
は
御空
(
みそら
)
に
輝
(
かがや
)
けど
048
星
(
ほし
)
は
黄金
(
こがね
)
とまたたけど
049
吾目
(
わがめ
)
はくもりて
涙
(
なみだ
)
のみ
050
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
051
国津
(
くにつ
)
御神
(
みかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
052
はかなき
我世
(
わがよ
)
に
再生
(
さいせい
)
を
053
偏
(
ひとへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る。
054
月光
(
つきみつ
)
の
山
(
やま
)
に
漸
(
やうや
)
く
逃
(
のが
)
れ
来
(
き
)
て
055
再挙
(
さいきよ
)
を
計
(
はか
)
る
吾
(
われ
)
は
苦
(
くる
)
しも
056
いとこやのチンリウ
姫
(
ひめ
)
は
今
(
いま
)
いづこ
057
生命
(
いのち
)
失
(
う
)
せしか
心
(
こころ
)
もとなや
058
時
(
とき
)
を
得
(
え
)
てイドムの
城
(
しろ
)
を
取
(
と
)
り
返
(
かへ
)
し
059
祖先
(
そせん
)
の
功
(
いさを
)
を
輝
(
かがや
)
かしみむ
060
エールスの
猛
(
たけ
)
き
軍
(
いくさ
)
に
破
(
やぶ
)
られて
061
もろくも
吾
(
われ
)
は
逃
(
に
)
げ
来
(
き
)
つるかも
062
わが
軍
(
いくさ
)
そなへ
破
(
やぶ
)
れて
敵軍
(
てきぐん
)
に
063
イドムの
城
(
しろ
)
は
奪
(
うば
)
はれにける
064
如何
(
いか
)
にしてもイドムの
城
(
しろ
)
を
取
(
と
)
り
返
(
かへ
)
し
065
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
ら
)
を
安
(
やす
)
く
住
(
す
)
ませむ
066
エールスの
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
に
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
067
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なを
歎
(
なげ
)
くなるべし
068
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
親
(
おや
)
を
奪
(
うば
)
はれ
子
(
こ
)
をとられ
069
珍
(
うづ
)
の
宝
(
たから
)
も
奪
(
うば
)
はれにけむ
070
諸
(
もろもろ
)
の
果実
(
このみ
)
ゆたかに
実
(
みの
)
るなる
071
イドムの
国
(
くに
)
はあらされにける
072
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
祖
(
おや
)
と
生
(
あ
)
れにし
吾
(
われ
)
にして
073
朝夕
(
あさゆふ
)
歎
(
なげ
)
く
浅
(
あさ
)
ましさかな』
074
ムラジ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
075
『
安
(
やす
)
らけきイドムの
国
(
くに
)
は
上
(
うへ
)
も
下
(
した
)
も
076
驕
(
おご
)
りし
罪
(
つみ
)
に
斯
(
か
)
くは
滅
(
ほろ
)
びしか
077
天地
(
あめつち
)
の
恵
(
めぐみ
)
になれて
昼夜
(
ひるよる
)
の
078
恵
(
めぐ
)
み
忘
(
わす
)
れし
報
(
むく
)
いなるらむ
079
今日
(
けふ
)
よりは
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
をおそれみて
080
厚
(
あつ
)
く
敬
(
うやま
)
ひ
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らな
081
神々
(
かみがみ
)
の
厚
(
あつ
)
き
恵
(
めぐみ
)
を
忘
(
わす
)
れたる
082
イドムの
国
(
くに
)
は
斯
(
か
)
くも
滅
(
ほろ
)
びぬ
083
月光
(
つきみつ
)
の
山
(
やま
)
に
天地
(
てんち
)
の
神々
(
かみがみ
)
を
084
斎
(
いつ
)
き
奉
(
まつ
)
りて
世
(
よ
)
を
開
(
ひら
)
くべし
085
上
(
うへ
)
も
下
(
した
)
も
曇
(
くも
)
り
果
(
は
)
てたる
国
(
くに
)
故
(
ゆゑ
)
に
086
神
(
かみ
)
の
譴責
(
きため
)
に
滅
(
ほろ
)
びしならむ
087
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りなければ
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
088
力
(
ちから
)
に
国
(
くに
)
の
治
(
をさ
)
まるべしやは
089
上
(
うへ
)
も
下
(
した
)
も
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
悟
(
さと
)
りつつ
090
心
(
こころ
)
清
(
きよ
)
めて
務
(
つと
)
めはげまな
091
シウランの
軍
(
いくさ
)
のきみも
心
(
こころ
)
せよ
092
人
(
ひと
)
の
力
(
ちから
)
に
戦
(
いくさ
)
は
勝
(
か
)
てず
093
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
名
(
な
)
は
称
(
たた
)
ふれど
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
よ
094
人
(
ひと
)
の
力
(
ちから
)
は
限
(
かぎ
)
りあるなり
095
限
(
かぎ
)
りなき
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けて
096
のぞまむ
道
(
みち
)
に
仇神
(
あだがみ
)
はなし
097
仇神
(
あだがみ
)
は
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかが
)
ひ
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
り
098
イドムの
国
(
くに
)
を
乱
(
みだ
)
しけるかな』
099
シウランは
歌
(
うた
)
ふ。
100
『
畏
(
かしこ
)
しやムラジの
姫
(
ひめ
)
の
御言宣
(
みことの
)
り
101
吾
(
われ
)
は
宜
(
うべ
)
よとをののくのみなる
102
今
(
いま
)
となりて
王
(
きみ
)
の
御国
(
みくに
)
をあやまりし
103
吾
(
われ
)
は
世
(
よ
)
に
立
(
た
)
つ
顔
(
かむばせ
)
もなし
104
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
に
不明
(
ふめい
)
の
罪
(
つみ
)
を
詫
(
わ
)
び
奉
(
まつ
)
り
105
軍師
(
ぐんし
)
の
司
(
つかさ
)
を
返
(
かへ
)
し
申
(
まう
)
さむ
106
今日
(
けふ
)
よりは
凡人
(
ただびと
)
となりて
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
107
王
(
きみ
)
の
御為
(
みため
)
に
誠
(
まこと
)
を
捧
(
ささ
)
げむ
108
大軍
(
たいぐん
)
を
抱
(
かか
)
へながらも
敵軍
(
てきぐん
)
に
109
敗
(
やぶ
)
れし
思
(
おも
)
へば
吾
(
わが
)
顔
(
かほ
)
立
(
た
)
たじ
110
願
(
ねが
)
はくば
軍師
(
ぐんし
)
の
司
(
つかさ
)
を
召
(
め
)
し
上
(
あ
)
げて
111
凡人
(
ただびと
)
の
群
(
むれ
)
におとさせ
給
(
たま
)
へ』
112
アヅミ
王
(
わう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
113
『
勝敗
(
しようはい
)
は
時
(
とき
)
の
運
(
うん
)
なり
汝
(
なれ
)
のみか
114
吾
(
われ
)
の
罪
(
つみ
)
なり
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
かれ
115
君
(
きみ
)
なくばこれの
御国
(
みくに
)
は
治
(
をさ
)
まらじ
116
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
すべし
117
エールスは
戦
(
いくさ
)
のそなへを
足
(
たら
)
はして
118
再
(
ふたた
)
びここに
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
するらむ
119
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
する
敵
(
てき
)
の
鉾先
(
ほこさき
)
くじきつつ
120
月光山
(
つきみつやま
)
を
永久
(
とは
)
にささへむ
121
歎
(
なげ
)
くとも
及
(
およ
)
ばざりけり
天地
(
あめつち
)
の
122
神
(
かみ
)
を
祈
(
いの
)
りて
敵
(
てき
)
に
備
(
そな
)
へむ』
123
シウランは
歌
(
うた
)
ふ。
124
『
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
御言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
吾
(
われ
)
は
只
(
ただ
)
125
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
にくるるのみなり
126
今日
(
けふ
)
よりは
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
力
(
ちから
)
とし
127
王
(
きみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
にむくい
奉
(
まつ
)
らむ
128
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
よ
御心
(
みこころ
)
安
(
やす
)
くおはしませ
129
敵
(
てき
)
を
千
(
せん
)
里
(
り
)
に
吾
(
われ
)
退
(
しりぞ
)
けむ
130
この
広
(
ひろ
)
き
伊佐子
(
いさご
)
の
島
(
しま
)
の
隅々
(
すみずみ
)
まで
131
王
(
きみ
)
の
領有
(
うしは
)
ぐ
御国
(
みくに
)
となさむ』
132
ムラジ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
133
『
蘇
(
よみがへ
)
る
心地
(
ここち
)
するかもシウランの
134
軍師
(
ぐんし
)
の
言葉
(
ことば
)
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
みて
135
千載
(
せんざい
)
の
恨
(
うら
)
みはらすとイドム
城
(
じやう
)
に
136
軍
(
いくさ
)
を
向
(
む
)
けて
奪
(
うば
)
ひ
返
(
かへ
)
さむ
137
さりながら
二年
(
ふたとせ
)
三年
(
みとせ
)
の
備
(
そな
)
へして
138
エールス
王
(
わう
)
を
征討
(
きた
)
め
奉
(
まつ
)
れよ』
139
シウランは
歌
(
うた
)
ふ。
140
『ありがたしムラジの
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
言葉
(
ことば
)
141
吾
(
われ
)
は
必
(
かなら
)
ず
報
(
むく
)
い
奉
(
まつ
)
らむ
142
さりながらチンリウ
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
行方
(
ゆくへ
)
143
ためらはずして
探
(
さが
)
し
求
(
もと
)
めむ
144
軍人
(
いくさびと
)
の
中
(
なか
)
にも
雄々
(
をを
)
しき
武士
(
もののふ
)
を
145
選
(
えら
)
びてサールに
遣
(
つか
)
はさむかな』
146
アヅミ
王
(
わう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
147
『チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
在処
(
ありか
)
を
吾
(
われ
)
はさぐりたし
148
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
軍
(
いくさ
)
を
遣
(
つか
)
はせ
149
三柱
(
みはしら
)
の
武士
(
ぶし
)
を
遣
(
つか
)
はしひそやかに
150
姫
(
ひめ
)
の
在処
(
ありか
)
を
求
(
もと
)
め
来
(
きた
)
れよ
151
チンリウの
姫
(
ひめ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
の
判
(
わか
)
るまで
152
吾
(
われ
)
戦
(
たたか
)
ひを
起
(
おこ
)
さじと
思
(
おも
)
ふ
153
チンリウの
侍女
(
じぢよ
)
のアララギ
諸共
(
もろとも
)
に
154
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
つか
心
(
こころ
)
もとなし
155
アララギは
賢女
(
さかしめ
)
なればチンリウ
姫
(
ひめ
)
を
156
かばひていづくにか
潜
(
ひそ
)
みゐるらむ
157
アララギの
誠
(
まこと
)
を
一
(
ひと
)
つのたよりとし
158
吾
(
われ
)
は
日夜
(
にちや
)
をなぐさめて
居
(
を
)
り』
159
左守
(
さもり
)
のナーマンは
歌
(
うた
)
ふ。
160
『
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
思
(
おも
)
へばかなしもよ
161
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
力
(
ちから
)
足
(
たら
)
はなくして
162
王
(
きみ
)
いますイドムの
城
(
しろ
)
を
奪
(
うば
)
はれて
163
吾
(
われ
)
は
生
(
い
)
きたる
心地
(
ここち
)
せざるも
164
歎
(
なげ
)
くともせむすべなければ
村肝
(
むらきも
)
の
165
心
(
こころ
)
を
堅
(
かた
)
めて
再挙
(
さいきよ
)
を
計
(
はか
)
らむ
166
月光
(
つきみつ
)
の
山
(
やま
)
に
仕
(
つか
)
へて
夜
(
よ
)
もすがら
167
涙
(
なみだ
)
にくるるは
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
事
(
こと
)
168
亡
(
ほろ
)
びたる
国
(
くに
)
を
再
(
ふたた
)
び
生
(
い
)
かさむと
169
心
(
こころ
)
は
闇
(
やみ
)
にさまよひにける』
170
右守
(
うもり
)
のターマンは
歌
(
うた
)
ふ。
171
『
恥
(
はづ
)
かしや
吾
(
われ
)
は
右守
(
うもり
)
を
務
(
つと
)
めつつ
172
イドムの
国
(
くに
)
を
奪
(
うば
)
はれしとは
173
如何
(
いか
)
にしても
元津
(
もとつ
)
御国
(
みくに
)
を
取
(
と
)
り
返
(
かへ
)
し
174
王
(
きみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
を
照
(
て
)
らさでおくべき
175
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
驕
(
おご
)
りの
罪
(
つみ
)
の
報
(
むく
)
い
来
(
き
)
て
176
斯
(
か
)
くもかなしき
憂目
(
うきめ
)
にあひしか
177
火
(
ひ
)
と
水
(
みづ
)
と
土
(
つち
)
を
尊
(
たふと
)
み
畏
(
かしこ
)
みて
178
神
(
かみ
)
を
敬
(
うやま
)
ひ
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
きむかも
179
火
(
ひ
)
と
水
(
みづ
)
をおろそかにせし
報
(
むく
)
いにて
180
吾
(
われ
)
住
(
す
)
む
地
(
つち
)
も
奪
(
うば
)
はれにけり
181
斯
(
か
)
くならばせむすべもなし
村肝
(
むらきも
)
の
182
心
(
こころ
)
堅
(
かた
)
めて
再挙
(
さいきよ
)
せむのみ』
183
アヅミ
王
(
わう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
184
『
今日
(
けふ
)
よりは
月光山
(
つきみつやま
)
の
頂
(
いただき
)
に
185
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
造
(
つく
)
らむ
186
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
になれて
今
(
いま
)
までは
187
朝
(
あした
)
夕
(
ゆふ
)
べを
務
(
つと
)
めせざりき
188
朝夕
(
あさゆふ
)
を
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
額
(
ぬか
)
づきて
189
国
(
くに
)
の
栄
(
さかえ
)
を
祈
(
いの
)
り
奉
(
まつ
)
らむ
190
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
を
呼
(
よ
)
び
集
(
つど
)
へ
来
(
こ
)
よ
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
191
御舎
(
みあらか
)
急
(
いそ
)
ぎ
造
(
つく
)
り
奉
(
まつ
)
ると』
192
左守
(
さもり
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
193
『
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
教
(
をしへ
)
畏
(
かしこ
)
み
今日
(
けふ
)
よりは
194
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御舎
(
みあらか
)
仕
(
つか
)
へむ』
195
これより
左守
(
さもり
)
の
神
(
かみ
)
は
附近
(
ふきん
)
の
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
に
命令
(
めいれい
)
を
降
(
くだ
)
しけるにぞ、
196
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
大
(
おほ
)
いに
喜
(
よろこ
)
び、
197
老
(
おい
)
も
若
(
わか
)
きも
男
(
をのこ
)
も
女
(
をみな
)
も
月光山
(
つきみつやま
)
に
集
(
あつま
)
り
来
(
きた
)
り、
198
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
をがひ
)
の
良材
(
りやうざい
)
を
本
(
もと
)
打
(
う
)
ち
伐
(
き
)
り
末
(
すゑ
)
打
(
う
)
ち
断
(
た
)
ちて
柱梁
(
はしらはり
)
等
(
など
)
集
(
あつ
)
め、
199
ここにいよいよ
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
宮殿
(
みやしろ
)
を
造営
(
ざうえい
)
の
運
(
はこ
)
びとはなりける。
200
左守
(
さもり
)
の
神
(
かみ
)
は
先
(
ま
)
づ
地鎮祭
(
ぢちんさい
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
201
石搗
(
いしつき
)
の
歌
(
うた
)
をうたふ。
202
『
月光山
(
つきみつやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
203
アヅミの
王
(
きみ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
204
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御舎
(
みあらか
)
を
205
大宮
(
おほみや
)
柱
(
はしら
)
太知
(
ふとし
)
りて
206
高天原
(
たかあまはら
)
に
千木
(
ちぎ
)
高
(
たか
)
く
207
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
ると
今
(
いま
)
ここに
208
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
集
(
あつま
)
りて
209
いと
勇
(
いさ
)
ましく
地
(
ぢ
)
かための
210
珍
(
うづ
)
の
祭
(
まつ
)
りを
務
(
つと
)
むなり
211
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
の
岩座
(
いはくら
)
を
212
この
聖場
(
せいぢやう
)
に
持
(
も
)
ち
運
(
はこ
)
び
213
槻
(
つき
)
の
大木
(
おほき
)
を
伐
(
き
)
り
採
(
と
)
りて
214
石搗柱
(
いしつきばしら
)
と
定
(
さだ
)
めつつ
215
大地
(
だいち
)
の
底
(
そこ
)
のわるるまで
216
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
めて
打
(
う
)
つ
石
(
いし
)
の
217
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
動
(
ゆる
)
ぎなく
218
イドムの
国
(
くに
)
の
礎
(
いしずゑ
)
と
219
御代
(
みよ
)
に
輝
(
かがや
)
けよこの
石
(
いし
)
は
220
月光山
(
つきみつやま
)
の
溪間
(
たにま
)
より
221
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
ら
)
の
誠
(
まこと
)
もて
222
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
りし
御魂石
(
みたまいし
)
223
ああ
面白
(
おもしろ
)
や
面白
(
おもしろ
)
や
224
打
(
う
)
てよ
打
(
う
)
て
打
(
う
)
て
石
(
いし
)
の
面
(
おも
)
225
大地
(
だいち
)
の
底
(
そこ
)
へととほるまで
226
打
(
う
)
てよ
打
(
う
)
て
打
(
う
)
て
天地
(
あめつち
)
の
227
一度
(
いちど
)
にどよむところまで
228
よーいとなあ、よーいとなあ』
229
右守
(
うもり
)
のターマンは
歌
(
うた
)
ふ。
230
『ああ
有難
(
ありがた
)
や
有難
(
ありがた
)
や
231
今日
(
けふ
)
の
吉
(
よ
)
き
日
(
ひ
)
の
吉
(
よ
)
き
辰
(
とき
)
に
232
アヅミの
王
(
きみ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
233
月光山
(
つきみつやま
)
の
頂上
(
いただき
)
に
234
いと
美
(
うるは
)
しき
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
235
御舎
(
みあらか
)
建
(
た
)
つるいさましさ
236
この
大宮
(
おほみや
)
の
建
(
た
)
つ
上
(
うへ
)
は
237
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
謹
(
つつし
)
みて
238
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るべし
239
如何
(
いか
)
に
雄々
(
をを
)
しき
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
240
いますと
言
(
い
)
へど
神
(
かみ
)
なくば
241
永久
(
とは
)
の
御国
(
みくに
)
は
治
(
をさ
)
まらじ
242
イドムの
城
(
しろ
)
を
取
(
と
)
り
返
(
かへ
)
し
243
エールス
王
(
わう
)
を
平
(
たひら
)
げて
244
神代
(
かみよ
)
のままのイドム
城
(
じやう
)
245
王
(
きみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
は
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
246
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
らむ
礎
(
いしずゑ
)
と
247
思
(
おも
)
へば
今日
(
けふ
)
の
足
(
た
)
れる
日
(
ひ
)
の
248
この
石搗
(
いしつき
)
の
音
(
おと
)
のよき
249
御空
(
みそら
)
に
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
り
250
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
の
清
(
すが
)
しさに
251
汗
(
あせ
)
さへ
出
(
い
)
でぬ
石搗
(
いしつき
)
の
252
この
働
(
はたら
)
きの
勇
(
いさ
)
ましさ
253
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
254
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
ぞ
畏
(
かしこ
)
けれ』
255
漸
(
やうや
)
くに
石搗
(
いしつき
)
の
儀式
(
ぎしき
)
は
終了
(
しうれう
)
し、
256
一同
(
いちどう
)
は
月光山
(
つきみつやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
果実
(
このみ
)
の
酒
(
さけ
)
等
(
など
)
を
酌
(
く
)
み
交
(
かは
)
し、
257
あらゆる
馳走
(
ちそう
)
を
作
(
つく
)
りて、
258
祝宴
(
しゆくえん
)
は
小夜
(
さよ
)
更
(
ふ
)
くるまで
開
(
ひら
)
かれにける。
259
アヅミ
王
(
わう
)
はこの
場
(
ば
)
に
静々
(
しづしづ
)
と
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
260
この
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
めて
歌
(
うた
)
ふ。
261
『
月光
(
つきみつ
)
の
山
(
やま
)
は
八千代
(
やちよ
)
に
栄
(
さか
)
ゆべし
262
国
(
くに
)
の
礎
(
いしずゑ
)
固
(
かた
)
めし
今日
(
けふ
)
はも
263
天地
(
あめつち
)
をゆるがせ
歌
(
うた
)
ふ
神々
(
かみがみ
)
の
264
声
(
こゑ
)
いさましく
目出度
(
めでた
)
かりけり
265
左守
(
さもり
)
、
右守
(
うもり
)
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
の
司
(
つかさ
)
の
神々
(
かみがみ
)
も
266
今日
(
けふ
)
の
務
(
つと
)
めをよろしみ
思
(
おも
)
ふ
267
いと
早
(
はや
)
く
貴
(
うづ
)
の
御舎
(
みあらか
)
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
れ
268
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
斎
(
いつ
)
き
奉
(
まつ
)
ると』
269
ムラジ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
270
『よみがへりよみがへりたり
月光山
(
つきみつやま
)
271
今日
(
けふ
)
の
歓
(
よろこ
)
び
天
(
てん
)
に
響
(
ひび
)
きて
272
奪
(
うば
)
はれしイドムの
国
(
くに
)
の
礎
(
いしずゑ
)
を
273
月光山
(
つきみつやま
)
に
搗
(
つ
)
き
固
(
かた
)
めたり
274
かくならば
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
もて
275
イドムの
国
(
くに
)
を
再
(
ふたた
)
び
治
(
をさ
)
めむ
276
エールスの
悪魔
(
あくま
)
の
司
(
つかさ
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
277
サールの
国
(
くに
)
に
追
(
お
)
ひ
返
(
かへ
)
さなむ』
278
シウランは
歌
(
うた
)
ふ。
279
『ありがたし
今日
(
けふ
)
の
吉
(
よ
)
き
日
(
ひ
)
のよろこびは
280
神
(
かみ
)
もいさむか
天地
(
あめつち
)
晴
(
は
)
れたり
281
一片
(
いつぺん
)
の
雲
(
くも
)
さへもなき
大空
(
おほぞら
)
の
282
蒼
(
あを
)
きは
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
なるらむ
283
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
み
勇
(
いさ
)
みて
大空
(
おほぞら
)
の
284
雲井
(
くもゐ
)
の
蒼
(
あを
)
にとけ
入
(
い
)
りにけり
285
わが
国
(
くに
)
は
神
(
かみ
)
を
斎
(
いつ
)
きて
朝夕
(
あさゆふ
)
の
286
御祭
(
みまつ
)
りせずば
治
(
をさ
)
まらざるべし
287
兎
(
と
)
にもあれ
角
(
かく
)
にもあれや
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
288
神
(
かみ
)
を
祭
(
まつ
)
らす
御心
(
みこころ
)
嬉
(
うれ
)
しも』
289
左守
(
さもり
)
のナーマンは
歌
(
うた
)
ふ。
290
『
風
(
かぜ
)
清
(
きよ
)
く
空
(
そら
)
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
る
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
の
291
石搗祭
(
いしつきまつ
)
り
清
(
すが
)
しかりけり
292
月光
(
つきみつ
)
の
山
(
やま
)
は
今日
(
けふ
)
よりかがやかむ
293
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
光
(
ひか
)
り
添
(
そ
)
ふれば
294
常闇
(
とこやみ
)
の
世
(
よ
)
を
照
(
て
)
らさむと
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
295
御光
(
みひかり
)
仰
(
あふ
)
ぐ
月光
(
つきみつ
)
の山』
296
右守
(
うもり
)
のターマンは
歌
(
うた
)
ふ。
297
『うるはしき
月光山
(
つきみつやま
)
の
頂上
(
いただき
)
に
298
神
(
かみ
)
天降
(
あも
)
らすと
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
し
299
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
を
祭
(
まつ
)
りて
国
(
くに
)
の
政
(
のり
)
300
はげむは
王
(
きみ
)
の
務
(
つと
)
めなるらむ
301
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
は
真
(
まこと
)
の
務
(
つと
)
め
悟
(
さと
)
りましぬ
302
これの
御国
(
みくに
)
は
今日
(
けふ
)
より
栄
(
さか
)
えむ
303
南
(
みんなみ
)
のはてなる
月光山
(
つきみつやま
)
の
上
(
へ
)
に
304
神
(
かみ
)
を
祭
(
まつ
)
りて
再挙
(
さいきよ
)
計
(
はか
)
らすも
305
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
とみにいさめり
月光
(
つきみつ
)
の
306
山
(
やま
)
に
天降
(
あも
)
らす
神
(
かみ
)
を
思
(
おも
)
ひて』
307
その
他
(
た
)
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
の
祝歌
(
しゆくか
)
は
数多
(
あまた
)
あれども、
308
省略
(
しやうりやく
)
することとせり。
309
(
昭和九・八・四
旧六・二四
於伊豆別院
谷前清子
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
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