霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第81巻(申の巻)
総説
第1篇 伊佐子の島
第1章 イドム戦
第2章 月光山
第3章 月見の池
第4章 遷座式
第5章 心の禊
第6章 月見の宴
第2篇 イドムの嵐
第7章 月音し
第8章 人魚の勝利
第9章 維新の叫び
第10章 復古運動
第3篇 木田山城
第11章 五月闇
第12章 木田山颪
第13章 思ひの掛川
第14章 鷺と烏
第15章 厚顔無恥
第4篇 猛獣思想
第16章 亀神の救ひ
第17章 再生再会
第18章 蠑螈の精
第19章 悪魔の滅亡
第20章 悔悟の花
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第81巻(申の巻)
> 第4篇 猛獣思想 > 第19章 悪魔の滅亡
<<< 蠑螈の精
(B)
(N)
悔悟の花 >>>
第一九章
悪魔
(
あくま
)
の
滅亡
(
めつばう
)
〔二〇四六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻
篇:
第4篇 猛獣思想
よみ(新仮名遣い):
もうじゅうしそう
章:
第19章 悪魔の滅亡
よみ(新仮名遣い):
あくまのめつぼう
通し章番号:
2046
口述日:
1934(昭和9)年08月15日(旧07月6日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
先に、戦勝によってイドム国を手に入れたサール国王エールスは、宴の席で諫言をした右守ナーリスを、故国の守り固めさせるために、木田山城に帰城させていた。
ナーリスは数百のナイトを従えて、大栄山を越え、ようやく木田山城に帰還した。ナーリスは、遠征の間にエームス太子が妃を娶っていたことを知らず、まずは軍の様子を報告しようと御前にまかり出た。
ナーリスは、父母王がイドム城を居城と定めたことを報告し、エームス太子はサール国を治めるようにとの父王の意向を伝言した。
エームス太子は戦中にやむを得ず、父母に諮らずに妃を娶ったことをナーリスに伝えた。妃センリウは、自分はイドム国王女・チンリウであると自己紹介した。
ナーリスが祝いの辞を述べていると、アララギが現れて、太子の意向により、政治のことは必ず自分に諮るように、と横柄に言い渡した。ナーリスは、妃の乳母ごときが政治に口を出すのはおかしい、と反論するが、太子と妃はアララギの肩を持って、アララギに従うようナーリスを説き諭す。
ナーリスは潔しとせず、憤然として引退を宣言し太子の前を引き下がると、いずことも知れず身を隠してしまった。
かくする折りしも、城下にどっとときの声が起こり、暴徒の大群が木田山城めがけて襲い掛かってきた。反乱軍の勢いはすさまじく、落城をさとった偽エームス太子の蠑螈の精・セームスは、偽チンリウ姫のセンリウを小脇にかかえると、菖蒲池にざんぶと飛び込んだ。そして二人の姿は水泡の中に見えなくなってしまった。
反乱軍の中心人物は、かつての侍従・夕月であった。夕月は太子夫妻の姿を探して城内に乱入したが、二人の姿を見つけることはできなかった。するとそこへアララギが髪を振り乱して近づき、夕月の反乱を非難した。
夕月は弓に矢をつがえると、アララギ・センリウの替え玉の悪行を暴き立て、また国民を暴政によって塗炭の苦しみに陥れた罪を数え上げた。そして、逃げるアララギの背後から、弓を引き絞って矢を放ち、アララギを射殺してしまった。
木田山城は一時、暴徒の群れによって混乱の極みに陥った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8119
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 532頁
修補版:
校定版:
408頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
サールの
国王
(
こくわう
)
エールスは
大軍
(
たいぐん
)
率
(
ひき
)
ゐて、
002
大栄山
(
おほさかやま
)
の
嶮
(
けん
)
を
越
(
こ
)
え、
003
イドムの
城
(
しろ
)
に
一挙
(
いつきよ
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せて、
004
アヅミ
王
(
わう
)
、
005
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
の
重臣共
(
ぢうしんども
)
を
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし、
006
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
としてイドムの
城
(
しろ
)
の
主
(
あるじ
)
となり、
007
軍師
(
ぐんし
)
、
008
左守
(
さもり
)
を
残
(
のこ
)
し、
009
サールの
国
(
くに
)
を
監督
(
かんとく
)
せしめむと
右守
(
うもり
)
のナーリスに
数多
(
あまた
)
のナイトを
従
(
したが
)
へさせ
帰国
(
きこく
)
を
命
(
めい
)
じけり。
010
ナーリスは
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
数百
(
すうひやく
)
のナイトを
従
(
したが
)
へながら、
011
馬上
(
ばじやう
)
豊
(
ゆた
)
かに
歌
(
うた
)
ふ。
012
『サールの
国
(
くに
)
の
御
(
おん
)
主
(
あるじ
)
013
エールス
王
(
わう
)
に
従
(
したが
)
ひて
014
数多
(
あまた
)
のナイトを
引率
(
いんそつ
)
し
015
大栄山
(
おほさかやま
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
016
人魚
(
にんぎよ
)
の
里
(
さと
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せつ
017
難
(
なん
)
なくここを
占領
(
せんりやう
)
し
018
勢
(
いきほ
)
ひあまつてイドム
城
(
じやう
)
019
数多
(
あまた
)
軍
(
いくさ
)
の
守
(
まも
)
りたる
020
要害
(
えうがい
)
堅固
(
けんご
)
の
鉄城
(
てつじやう
)
を
021
何
(
なん
)
の
苦
(
く
)
もなく
占領
(
せんりやう
)
し
022
アヅミの
王
(
きみ
)
を
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
023
風塵
(
ふうぢん
)
全
(
まつた
)
く
治
(
をさ
)
まりて
024
馬
(
うま
)
の
嘶
(
いなな
)
き
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
025
松
(
まつ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
となりにけり
026
エールス
王
(
わう
)
は
欣然
(
きんぜん
)
と
027
イドムの
城
(
しろ
)
におはしまし
028
山河
(
さんが
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めつつ
029
御代
(
みよ
)
太平
(
たいへい
)
を
謳
(
うた
)
ひまし
030
汝
(
なんぢ
)
右守
(
うもり
)
のナーリスよ
031
イドムの
国
(
くに
)
は
治
(
をさ
)
まりぬ
032
汝
(
なれ
)
はこれより
数百
(
すうひやく
)
の
033
ナイトを
従
(
したが
)
へ
堂々
(
だうだう
)
と
034
大栄山
(
おほさかやま
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
035
サールの
国
(
くに
)
にかへれよと
036
よさし
給
(
たま
)
ひし
畏
(
かしこ
)
さよ
037
王
(
きみ
)
の
軍
(
いくさ
)
の
勝鬨
(
かちどき
)
を
038
みとめて
吾
(
われ
)
はかへりゆく
039
駒
(
こま
)
の
嘶
(
いなな
)
き
勇
(
いさ
)
ましく
040
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
もかつかつと
041
山路
(
やまぢ
)
を
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
むなり
042
イドムの
国
(
くに
)
は
漸
(
やうや
)
くに
043
平定
(
へいてい
)
したれど
村肝
(
むらきも
)
の
044
心
(
こころ
)
にかかるはサールなり
045
サールの
国
(
くに
)
に
残
(
のこ
)
したる
046
エームス
太子
(
たいし
)
は
只一人
(
ただひとり
)
047
国
(
くに
)
の
政治
(
せいぢ
)
を
握
(
にぎ
)
りつつ
048
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ませ
給
(
たま
)
ふらむ
049
数多
(
あまた
)
の
捕虜
(
ほりよ
)
は
木田山
(
きたやま
)
の
050
城
(
しろ
)
の
牢獄
(
ひとや
)
に
満
(
み
)
ちぬらむ
051
この
制裁
(
せいさい
)
もなかなかに
052
容易
(
ようい
)
のことにあらざらむ
053
急
(
いそ
)
げよ
進
(
すす
)
めよナイト
等
(
たち
)
054
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
木田山
(
きたやま
)
の
055
お
城
(
しろ
)
の
馬場
(
ばば
)
に
到
(
いた
)
るまで』
056
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひながら、
057
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで
漸
(
やうや
)
く
木田川
(
きたがは
)
を
打渡
(
うちわた
)
り、
058
城内
(
じやうない
)
に
旗鼓
(
きこ
)
堂々
(
だうだう
)
とかへり
来
(
きた
)
りしさま
威風
(
ゐふう
)
凛々
(
りんりん
)
と
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はら
)
ひ、
059
物々
(
ものもの
)
しさの
限
(
かぎ
)
りなりけり。
060
右守
(
うもり
)
のナーリスは、
061
わが
出征
(
しゆつせい
)
の
後
(
あと
)
にエームス
太子
(
たいし
)
に
妃
(
ひ
)
の
定
(
さだ
)
まりたる
事
(
こと
)
も
知
(
し
)
らず、
062
城門
(
じやうもん
)
を
潜
(
くぐ
)
り、
063
太子
(
たいし
)
の
君
(
きみ
)
の
御前
(
ごぜん
)
に
罷
(
まか
)
り
出
(
い
)
で、
064
軍状
(
ぐんじやう
)
を
委
(
つぶさ
)
に
奏上
(
そうじやう
)
せむとして
歌
(
うた
)
ふ。
065
エームス
王
(
わう
)
は
王座
(
わうざ
)
にあらはれ、
066
儼然
(
げんぜん
)
としてナーリスを
打見
(
うちみ
)
やりながら、
067
『
親王
(
おやぎみ
)
に
仕
(
つか
)
へてイドムに
向
(
むか
)
ひたる
068
汝
(
なれ
)
はナーリス
司
(
つかさ
)
ならずや』
069
この
歌
(
うた
)
にナーリスはハツと
頭
(
かうべ
)
を
下
(
さ
)
げながら、
070
歌
(
うた
)
もて
奏上
(
そうじやう
)
する。
071
『
親王
(
おやぎみ
)
の
功
(
いさを
)
尊
(
たふと
)
く
御軍
(
みいくさ
)
は
072
イドムの
国
(
くに
)
を
打
(
う
)
ち
亡
(
ほろ
)
ぼしぬ
073
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
数多
(
あまた
)
の
敵
(
てき
)
を
御軍
(
みいくさ
)
は
074
斬
(
き
)
り
払
(
はら
)
ひつつ
進
(
すす
)
みたりけり
075
石垣
(
いしがき
)
を
高
(
たか
)
く
廻
(
めぐ
)
らすイドム
城
(
じやう
)
は
076
攻
(
せ
)
むるに
難
(
かた
)
く
守
(
まも
)
るにやすし
077
さりながらわが
親王
(
おやぎみ
)
の
功績
(
いさをし
)
に
078
敵
(
てき
)
はもろくも
滅
(
ほろ
)
び
失
(
う
)
せたり
079
われこそは
右守
(
うもり
)
の
神
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へつつ
080
御
(
おん
)
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
くまもらひにけり
081
御
(
おん
)
父
(
ちち
)
の
功績
(
いさをし
)
高
(
たか
)
くイドム
城
(
じやう
)
は
082
平安
(
へいあん
)
無事
(
ぶじ
)
の
今日
(
けふ
)
となりけり
083
まつぶさにこのありさまを
若王
(
わかぎみ
)
に
084
伝
(
つた
)
へむとしてかへり
来
(
きた
)
りぬ
085
左守
(
さもり
)
、
軍師
(
ぐんし
)
その
他
(
た
)
の
兵士
(
つはもの
)
残
(
のこ
)
しおき
086
吾
(
われ
)
はナイトを
率
(
ひき
)
ゐてかへりし
087
若王
(
わかぎみ
)
のまめな
御
(
おん
)
顔
(
かほ
)
拝
(
はい
)
しつつ
088
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
吾
(
われ
)
くれにけり
089
名
(
な
)
にし
負
(
お
)
ふイドムの
国
(
くに
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
は
090
親王
(
おやぎみ
)
住
(
す
)
ますによろしき
国
(
くに
)
なり
091
若王
(
わかぎみ
)
はサールの
国
(
くに
)
に
留
(
とど
)
まりて
092
国
(
くに
)
につくせと
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ひし
093
親王
(
おやぎみ
)
の
仰
(
おほ
)
せなりせば
若王
(
わかぎみ
)
も
094
必
(
かなら
)
ずうけがひ
給
(
たま
)
ふなるべし』
095
エームス
王
(
わう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
096
『
待
(
ま
)
ちわびしわが
親王
(
おやぎみ
)
の
消息
(
せうそく
)
を
097
つぶさに
聞
(
き
)
ける
今日
(
けふ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ
098
親王
(
おやぎみ
)
のいまさぬうちに
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
099
吾
(
われ
)
は
妻
(
つま
)
をば
娶
(
めと
)
りたりけり
100
親王
(
おやぎみ
)
は
戦
(
いくさ
)
の
場
(
には
)
にましますと
101
思
(
おも
)
ひて
一人
(
ひとり
)
こととりにけり
102
親王
(
おやぎみ
)
の
御前
(
みまへ
)
よしなに
計
(
はか
)
らへよ
103
わが
新妻
(
にひづま
)
を
娶
(
めと
)
りたるよし』
104
ナーリスは
歌
(
うた
)
ふ。
105
『
若王
(
わかぎみ
)
の
妻
(
つま
)
を
娶
(
めと
)
らす
目出度
(
めでた
)
さを
106
如何
(
いか
)
で
親王
(
おやぎみ
)
さまたげ
給
(
たま
)
はむ
107
この
国
(
くに
)
も
若王
(
きみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
安々
(
やすやす
)
と
108
治
(
をさ
)
まる
思
(
おも
)
へば
楽
(
たの
)
しかりけり
109
今日
(
けふ
)
よりは
右守
(
うもり
)
の
吾
(
われ
)
はこの
国
(
くに
)
の
110
左守
(
さもり
)
となりて
仕
(
つか
)
へまつらむ
111
父王
(
ちちぎみ
)
の
依
(
よ
)
さし
言葉
(
ことば
)
にしたがひて
112
われは
左守
(
さもり
)
と
仕
(
つか
)
へまつるも』
113
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
始
(
はじ
)
めて
右守
(
うもり
)
のナーリスを
見
(
み
)
たるとて、
114
驚
(
おどろ
)
きの
色
(
いろ
)
を
見
(
み
)
せながら、
115
さすが
曲者
(
くせもの
)
、
116
平然
(
へいぜん
)
として、
117
そしらぬ
態
(
さま
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
118
『われこそはエームス
王
(
わう
)
の
妃
(
きさき
)
ぞや
119
汝
(
なれ
)
は
左守
(
さもり
)
かよくもかへりし
120
アヅミ、ムラジ
二人
(
ふたり
)
が
仲
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れたる
121
われはチンリウ
姫
(
ひめ
)
にぞありける』
122
ナーリスは、
123
『ありがたしサールの
国
(
くに
)
に
臨
(
のぞ
)
みます
124
妃
(
きさき
)
の
君
(
きみ
)
の
雄々
(
をを
)
しき
御心
(
みこころ
)
125
今日
(
けふ
)
よりは
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
を
捧
(
ささ
)
げつつ
126
若王
(
きみ
)
と
妃
(
きさき
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ』
127
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
128
『ナーリスの
左守
(
さもり
)
の
言葉
(
ことば
)
聞
(
き
)
くにつけ
129
わが
魂
(
たましひ
)
の
光
(
ひか
)
りかがよふ
130
わが
王
(
きみ
)
の
政治
(
せいぢ
)
をたすけ
今日
(
けふ
)
よりは
131
国
(
くに
)
のことごと
眼
(
まなこ
)
くばれよ
132
治
(
をさ
)
まれる
国
(
くに
)
にはあれど
彼方
(
あち
)
此方
(
こち
)
に
133
波風
(
なみかぜ
)
立
(
た
)
つと
聞
(
き
)
くが
忌々
(
ゆゆ
)
しき
134
汝
(
な
)
が
帰
(
かへ
)
り
久
(
ひさ
)
しく
待
(
ま
)
ちぬ
今日
(
けふ
)
こそは
135
盲亀
(
まうき
)
の
浮木
(
ふぼく
)
にあへるが
如
(
ごと
)
し』
136
斯
(
か
)
かるところへ
乳母
(
うば
)
のアララギは、
137
さも
横柄
(
わうへい
)
な
面
(
つら
)
がまへにて
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
138
『
吾
(
われ
)
こそはチンリウ
姫
(
ひめ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
139
乳母
(
うば
)
アララギよ、ナーリスの
君
(
きみ
)
140
陰
(
かげ
)
になり
日向
(
ひなた
)
になりて
若王
(
わかぎみ
)
の
141
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
るわが
身
(
み
)
なるぞや
142
若王
(
わかぎみ
)
の
心
(
こころ
)
をくみて
今日
(
けふ
)
よりは
143
われは
汝
(
なんぢ
)
にこと
計
(
はか
)
るべし』
144
左守
(
さもり
)
のナーリスは、
145
『
不思議
(
ふしぎ
)
なることを
聞
(
き
)
くかな
汝
(
なれ
)
こそは
146
チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
乳母
(
うば
)
にあらずや
147
汝
(
な
)
が
如
(
ごと
)
き
女
(
をみな
)
に
政治
(
せいぢ
)
かたらふも
148
何
(
なん
)
の
詮
(
せん
)
なし
退
(
しりぞ
)
きて
居
(
を
)
れ
149
いやしくも
左守司
(
さもりつかさ
)
の
吾
(
われ
)
なれば
150
汝
(
なんぢ
)
の
言葉
(
ことば
)
聞
(
き
)
くに
及
(
およ
)
ばじ』
151
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
152
『ナーリスの
言葉
(
ことば
)
もうべよさりながら
153
アララギの
言葉
(
ことば
)
なほざりにすな
154
アララギはサールの
国
(
くに
)
の
柱
(
はしら
)
ぞや
155
汝
(
なれ
)
も
共々
(
ともども
)
国
(
くに
)
に
尽
(
つく
)
せよ
156
アララギは
女
(
をみな
)
なれども
男
(
を
)
に
勝
(
まさ
)
り
157
さかしき
雄々
(
をを
)
しき
益良女
(
ますらめ
)
なるぞや』
158
ナーリスは
歌
(
うた
)
ふ。
159
『
妃
(
ひ
)
の
君
(
きみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
うべよと
思
(
おも
)
へども
160
女
(
をみな
)
ことさき
立
(
た
)
つは
悪
(
あ
)
しけむ』
161
アララギは
憤然
(
ふんぜん
)
として
歌
(
うた
)
ふ。
162
『
若王
(
わかぎみ
)
の
妃
(
きさき
)
をすすめしアララギを
163
さげすむ
左守
(
さもり
)
は
国
(
くに
)
の
仇
(
あだ
)
なり
164
何事
(
なにごと
)
もアララギ
吾
(
われ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
165
したがはずして
治
(
をさ
)
まるべきかは』
166
エームス
王
(
わう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
167
『アララギの
雄々
(
をを
)
しきさかしき
魂
(
たましひ
)
は
168
左守
(
さもり
)
といへども
及
(
およ
)
ばざるべし』
169
左守
(
さもり
)
は
憤然
(
ふんぜん
)
として、
170
『
左守
(
さもり
)
吾
(
あ
)
は
鄙
(
ひな
)
に
退
(
しりぞ
)
き
奉
(
まつ
)
るべし
171
いやしきアララギ
用
(
もち
)
ひ
給
(
たま
)
はば』
172
と
歌
(
うた
)
ひつつ
足早
(
あしばや
)
に
御前
(
みまへ
)
を
退出
(
たいしゆつ
)
し、
173
何処
(
いづく
)
ともなく
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
174
斯
(
か
)
かるところへ
山岳
(
さんがく
)
も
崩
(
くづ
)
るるばかりの
矢叫
(
やさけ
)
びの
声
(
こゑ
)
、
175
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
、
176
城下
(
じやうか
)
に
轟
(
とどろ
)
き
渡
(
わた
)
り、
177
数多
(
あまた
)
の
暴徒
(
ぼうと
)
は
手
(
て
)
に
手
(
て
)
に
得物
(
えもの
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
178
本城
(
ほんじやう
)
目
(
め
)
がけて
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
狂
(
くる
)
ひたる
如
(
ごと
)
く
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る。
179
その
勢
(
いきほ
)
ひに
城中
(
じやうちう
)
は
戦場
(
せんぢやう
)
の
如
(
ごと
)
く、
180
到底
(
たうてい
)
寡
(
くわ
)
を
以
(
もつ
)
て
衆
(
しう
)
に
敵
(
てき
)
し
難
(
がた
)
しと、
181
贋
(
にせ
)
のエームス
王
(
わう
)
はチンリウ
姫
(
ひめ
)
を
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へ、
182
菖蒲
(
あやめ
)
が
池
(
いけ
)
にざんぶとばかり
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み、
183
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
は
水泡
(
みなわ
)
となりて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
184
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ、
185
暴徒
(
ぼうと
)
の
中心
(
ちうしん
)
人物
(
じんぶつ
)
たる
夕月
(
ゆふづき
)
は
弓
(
ゆみ
)
に
矢
(
や
)
をつがへながら、
186
殿中
(
でんちう
)
深
(
ふか
)
く
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
187
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
みけるが、
188
二人
(
ふたり
)
の
影
(
かげ
)
の
見
(
み
)
えざるにぞ、
189
再
(
ふたた
)
び
引
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
し
玄関口
(
げんくわんぐち
)
に
来
(
きた
)
る
折
(
をり
)
しも、
190
髪
(
かみ
)
振
(
ふ
)
り
乱
(
みだ
)
し、
191
血相
(
けつさう
)
変
(
か
)
へてアララギは
馳
(
は
)
せ
来
(
きた
)
り、
192
大声
(
おほごゑ
)
にて、
193
『やあ、
194
その
方
(
はう
)
は
夕月
(
ゆふづき
)
にあらざるか、
195
不届
(
ふとどき
)
千万
(
せんばん
)
な、
196
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くもこの
城内
(
じやうない
)
に
群衆
(
ぐんしう
)
をおびき
寄
(
よ
)
せ、
197
クーデターを
謀
(
たく
)
らむとは
不届
(
ふとどき
)
千万
(
せんばん
)
なるやり
方
(
かた
)
、
198
罪
(
つみ
)
は
万死
(
ばんし
)
に
値
(
あたひ
)
すべし、
199
退
(
さが
)
れ
退
(
さが
)
れ』
200
と
呼
(
よ
)
ばはるにぞ、
201
夕月
(
ゆふづき
)
は
弓
(
ゆみ
)
に
矢
(
や
)
をつがへながら、
202
儼然
(
げんぜん
)
として
答
(
こた
)
ふ。
203
『
奸佞
(
かんねい
)
邪智
(
じやち
)
の
曲者
(
くせもの
)
、
204
若王
(
わかぎみ
)
の
心
(
こころ
)
にとり
入
(
い
)
り、
205
真正
(
まこと
)
のチンリウ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
吾子
(
わがこ
)
といたし、
206
大罪
(
だいざい
)
を
負
(
お
)
はせて
遠島
(
ゑんたう
)
の
刑
(
けい
)
に
処
(
しよ
)
し、
207
生
(
う
)
みの
吾子
(
わがこ
)
をチンリウ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
と
称
(
しよう
)
し、
208
若王
(
わかぎみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
目
(
め
)
をくらませ、
209
暴政
(
ばうせい
)
をふるひ、
210
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
を
塗炭
(
とたん
)
の
苦
(
くる
)
しみに
堕
(
おと
)
したるは
皆
(
みな
)
汝
(
なんぢ
)
がなす
業
(
わざ
)
、
211
最早
(
もはや
)
今日
(
こんにち
)
となりては
天命
(
てんめい
)
逃
(
のが
)
れぬところ、
212
覚悟
(
かくご
)
いたして
自害
(
じがい
)
いたすか、
213
さなくば
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
が
弓矢
(
ゆみや
)
の
錆
(
さび
)
となるか、
214
覚悟
(
かくご
)
はどうだ、
215
返答
(
へんたふ
)
を
聞
(
き
)
かむ』
216
と、
217
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せれば、
218
アララギは
慌
(
あわ
)
てふためき、
219
逃
(
に
)
げ
出
(
いだ
)
さむとするにぞ、
220
夕月
(
ゆふづき
)
は
弓
(
ゆみ
)
を
満月
(
まんげつ
)
にしぼり、
221
発止
(
はつし
)
と
放
(
はな
)
つ。
222
剛力
(
がうりき
)
の
征矢
(
そや
)
に
射抜
(
いぬ
)
かれて、
223
アララギはもろくも
身
(
み
)
失
(
う
)
せにける。
224
これより
城内
(
じやうない
)
は
統制
(
とうせい
)
機関
(
きくわん
)
なく、
225
左守
(
さもり
)
のナーリスも
何処
(
いづこ
)
へ
行
(
ゆ
)
きしか
皆目
(
かいもく
)
分
(
わか
)
らず、
226
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
はさながら
悪魔
(
あくま
)
の
跳梁
(
てうりやう
)
に
任
(
まか
)
せけるこそ
是非
(
ぜひ
)
なけれ。
227
(
昭和九・八・一五
旧七・六
於水明閣
内崎照代
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 蠑螈の精
(B)
(N)
悔悟の花 >>>
霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第81巻(申の巻)
> 第4篇 猛獣思想 > 第19章 悪魔の滅亡
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第19章 悪魔の滅亡|第81巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm8119】
合言葉「みろく」を入力して下さい→