霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 遷座式(せんざしき)〔二〇三一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻 篇:第1篇 伊佐子の島 よみ(新仮名遣い):いさごのしま
章:第4章 遷座式 よみ(新仮名遣い):せんざしき 通し章番号:2031
口述日:1934(昭和9)年08月04日(旧06月24日) 口述場所:伊豆別院 筆録者:白石恵子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
荘厳な宮居が完成し、修祓を終わったアヅミ王は恭しく神殿に登って祓いの儀式を行った。そして、遷宮式の祝詞を奏上した。
主の大御神、高鉾の神、神鉾の神の前に畏まり奏上するに、敵に攻められイドム城を失ったのは、先祖の志を軽んじ、大神の御恵みを忘れてほしいままな政を行ってきた罪であると悟りました。。
ここに心を改めて、月光山のいただきに大宮柱太敷き立てて主の大神の大御霊をお迎えすることにいたしました。
ついては、月光山を益々栄えしめたまいて、イドムの城を奪還せしめ給うよう願い、そのあかつきには、上下ともに心の驕りを戒めて、大神の大御心にかなうよう誓い奉ります。
この神殿に天降りまして、イドムの国とともに、サールの国までもことごとく、大御神の御恵みに潤いますよう、直く正しき心を持ちますよう、お願い申し上げます。
そして伊左子島の安泰を祈願する歌を歌った。王妃、大臣たちもそれぞれ前非を悔い、心を新たにする決意を神前に歌った。
すると突然殿内が鳴動し、地鳴り、振動が激しく起こった。アヅミ王は畏れかしこみ、罪を悔いる歌を歌った。
すると、神前に三柱の天津神が現れた。一柱は主の大神と見えて、お姿は光に包まれてわずかに御影を拝することができるばかりであった。白衣をまとい、右手におのおの鉾を持った神は、まぎれもなく高鉾の神・神鉾の神であった。
一同は神々の降臨にひれ伏し、感謝と喜びにただうずくまっていた。アヅミ王はおそるおそる奏上し、イドム城を奪ったサール国の国津神を「醜神(しこがみ)、鬼」と呼び、彼らをイドム城から追い払って下さるよう、神々にお願いした。
高鉾の神・神鉾の神は、醜神はアヅミ王をはじめとするイドム国の国津神たちの心の中に潜んでいるのであり、鬼は自らの心が生んだものであると託宣した。そして、誠の力は「真言」であると諭した。
そして三柱の神々は御姿を隠してしまった。再び天地が振動すると大空の雲が左右に分かれ、虹のような天の浮橋がかかると、三柱の神々の荘厳な姿をほのかに仰ぎ見ることができるのみであった。
アヅミ王は謹みの色をあらわにし、サール国のエールス王に国を奪われたのも、すべてイドム国の国津神の御魂の罪であることを粛然として悟った。一同は、イドムの国津神の罪が深いために、神殿に大御神が鎮まることかなわないことを悟り、百日の禊を決意した。
そしておのおの述懐の歌を歌いながら神前に感謝の祝詞を捧げ、神殿を後にして月光山城内に帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:3909 OBC :rm8104
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 442頁 修補版: 校定版:78頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 アヅミ王(わう)が発起(ほつき)のもとに、002軍神(ぐんしん)等(ら)が百(ひやく)日(にち)百夜(ひやくや)丹精(たんせい)を凝(こ)らしたる結果(けつくわ)、003月光山(つきみつやま)の頂上(ちやうじやう)にさも荘厳(さうごん)なる瑞(みづ)の御舎(みあらか)は建(た)てられにけり。
004 茲(ここ)にアヅミ王(わう)は、005七日(なぬか)七夜(ななよ)の修祓(しうばつ)を終(をは)り、006恭(うやうや)しく神殿(しんでん)に昇(のぼ)り祓(はら)ひの式(しき)を修(しう)し、007且(か)つ遷宮式(せんぐうしき)の祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)しける。
008 神々(かみがみ)等(たち)は此(こ)の聖場(せいぢやう)に襟(えり)を正(ただ)し、009恐懼(きようく)して控(ひか)へ居(ゐ)る。010禊祓(はらひ)の祝詞(のりと)の文(ぶん)に曰(い)ふ。
 
011『掛巻(かけま)くも畏(かしこ)き、012紫微(しび)天界(てんかい)の真秀良場(まほらば)高日(たかひ)の宮(みや)に、013大宮(おほみや)柱(はしら)太敷(ふとし)きたて、014高天原(たかあまはら)に千木高(ちぎたか)知(し)りて、015永久(とこしへ)に鎮(しづ)まりいまし、016大宇宙(だいうちう)を領有(うしは)ぎ給(たま)ふ主(ス)の大御神(おほみかみ)、017高鉾(たかほこ)の神(かみ)、018神鉾(かみほこ)の神(かみ)の貴(うづ)の大前(おほまへ)に斎主(いはひぬし)元(もと)イドム城(じやう)の主(あるじ)アヅミ王(わう)、019謹(つつし)み敬(ゐやま)ひ畏(かしこ)み畏(かしこ)みも白(まを)さく。
020アヅミの国は大御神(おほみかみ)の恵(めぐみ)弥深(いやふか)く、021田畑(たはた)繁(しげ)り木(こ)の実(み)豊(ゆた)かに、022国津(くにつ)神(かみ)は朝(あさ)な夕(ゆふ)なの厚(あつ)き恵(めぐみ)に、023楽(たの)しく世(よ)を送(おく)りける折(をり)もあれ、024サールの国(くに)の国司(くにつかさ)エールスは、025数多(あまた)の兵士(つはもの)を率(ひき)ゐて大栄山(おほさかやま)の峰(みね)を渡(わた)り、026真珠(しんじゆ)の湖(うみ)を占領(せんりやう)し、027進(すす)んで平和(へいわ)の楽土(らくど)と聞(きこ)えたる、028吾(わが)祖先(そせん)より弥次々(いやつぎつぎ)に守(まも)りたる、029イドム城(じやう)を取(と)り囲(かこ)み、030弓矢(ゆみや)をもちて攻(せ)め寄(よ)せ来(きた)りけるにぞ、031吾(われ)も此(この)猛(たけ)き仇(あだ)を防(ふせ)がむとして射向(いむか)ひたりけるに、032果敢(はか)なくも味方(みかた)の大方(おほかた)は敵(てき)に滅(ほろ)ぼされ、033吾(わが)娘(むすめ)は行方(ゆくへ)分(わ)かずなりにける。034かかる禍(わざはひ)の吾(われ)に迫(せま)り来(きた)るは、035全(まつた)く祖々(おやおや)の志(こころざし)を軽(かろ)んずるの余(あま)り、036主(ス)の大神(おほかみ)の御恵(みめぐみ)を忘(わす)れ、037恣(ほしいまま)なる政治(まつりごと)を為(な)せし罪(つみ)故(ゆゑ)と、038ここに前非(ぜんぴ)を悔(く)い真心(まごころ)より改(あらた)めて、039大神(おほかみ)の御子(みこ)たる事(こと)を悟(さと)らひにける。040吾(われ)ここをもて悔(く)い改(あらた)めの心(こころ)の千重(ちへ)の一重(ひとへ)のしるしにもと、041月光山(つきみつやま)の頂(いただき)の最(いと)も清(きよ)く最(いと)も涼(すず)しき、042常磐木(ときはぎ)茂(しげ)る上津(うはつ)岩根(いはね)に、043大宮(おほみや)柱(はしら)太敷(ふとし)きたてて、044主(ス)の大神(おほかみ)の大御霊(おほみたま)を招(お)ぎ奉(まつ)るとして、045海川(うみかは)山野(やまぬ)の種々(くさぐさ)の美味物(うましもの)を、046八足(やたり)の机代(つくゑしろ)に置(お)き足(たら)はし、047御酒(みき)御饌(みけ)御水(みもひ)献(たてまつ)りて願(ね)ぎ奉(まつ)るさまを、048安(やす)らけく平(たひ)らけく聞食(きこしめ)し、049相諾(あひうづな)ひ給(たま)ひて、050月光山(つきみつやま)のこれの聖所(すがど)は、051弥益々(いやますます)も常夏(とこなつ)の国(くに)と栄(さか)え、052神(かみ)の恵(めぐみ)を戴(いただ)きて再(ふたた)びイドムの城(しろ)を奪(うば)ひ返(かへ)さしめ給(たま)へ。053イドムの城(しろ)の再(ふたた)び吾手(わがて)に返(かへ)りし上(うへ)は、054上下(しやうか)共(とも)に驕(おご)りの心(こころ)を戒(いまし)め、055火(ひ)、056水(みづ)、057土(つち)の恵(めぐみ)を悟(さと)らしめ、058大御神(おほみかみ)の大御心(おほみこころ)に叶(かな)ひ奉(まつ)るべく教(をし)へ諭(さと)すべきを誓(ちか)ひ奉(たてまつ)る。059仰(あふ)ぎ願(ねが)はくは主(ス)の大御神(おほみかみ)、060これの大殿(おほとの)に天降(あも)りましまして、061貴(うづ)の御霊(みたま)を永久(とこしへ)に止(とど)めさせ給(たま)ひ、062イドムの国(くに)は言(い)ふも更(さら)なり、063サールの国(くに)も悉(ことごと)く、064大御神(おほみかみ)の恵(めぐみ)の露(つゆ)に潤(うるほ)はしめ、065直(なほ)く正(ただ)しき心(こころ)を持(も)たしめ給(たま)へと、066畏(かしこ)み畏(かしこ)みも祈願(こひのみ)奉(まつ)らくと白(まを)す。
 
067 一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)九(ここの)十(たり)百(もも)千(ち)万(よろづ)
068 千万(ちよろづ)の栄(さか)えあれ
069 八千万(やちよろづ)の恵(めぐみ)あれ』
 
070 かく歌(うた)ひ終(をは)り、071再(ふたた)び神前(しんぜん)に敬礼(けいれい)しながら、
072『久方(ひさかた)の天津(あまつ)御神(みかみ)の大御(おほみ)かげを
073吾(われ)はたしかに拝(をが)みまつりぬ
074ありがたき神(かみ)の天降(あも)りに我国(わがくに)は
075弥(いや)ますますも栄(さか)え行(ゆ)くらむ
076主(ス)の神(かみ)の御霊(みたま)天降(あも)らす今日(けふ)よりは
077我(わが)国原(くにはら)は安(やす)けかるべし
078天(てん)を仰(あふ)ぎ地(つち)に額(ぬか)づき朝夕(あさゆふ)を
079主(ス)の大神(おほかみ)に仕(つか)へ奉(まつ)らむ
080月光(つきみつ)の山(やま)は清(すが)しも主(ス)の神(かみ)の
081御霊(みたま)の永久(とは)に止(とど)まり給(たま)へば
082草(くさ)も木(き)も色(いろ)艶(つや)やかになりにけり
083神(かみ)の天降(あも)りし此(こ)のたまゆらに
084過(あやま)ちし心(こころ)をとみに清(きよ)めたる
085吾(われ)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)なり
086永久(とこしへ)にこれの宮居(みやゐ)に止(とど)まりて
087伊佐子(いさご)の島根(しまね)を照(て)らさせ給(たま)へ』
088と拍手(はくしゆ)して元(もと)の座(ざ)に直(なほ)りける。
089 ムラジ姫(ひめ)は神前(しんぜん)に拝礼(はいれい)し静(しづ)かに歌(うた)ふ。
090『八十日(やそか)日(ひ)はあれども今日(けふ)の吉(よ)き日(ひ)こそ
091わがたましひの蘇(よみがへ)り知(し)る
092主(ス)の神(かみ)はこれの聖所(すがど)に天降(あも)りまして
093わがたましひの勇(いさ)みやまずも
094嘆(なげ)かひの日数(ひかず)重(かさ)ねて嬉(うれ)しくも
095今日(けふ)の吉(よ)き日(ひ)にあひにけらしな
096愛娘(まなむすめ)チンリウ姫(ひめ)の行(ゆ)く先(さき)を
097守(まも)らせ給(たま)へ主(ス)の大御神(おほみかみ)
098わが娘(むすめ)齢(よはひ)しあれば一日(ひとひ)だも
099早(はや)く吾目(わがめ)にうつさせ給(たま)へ
100何(なん)となく心(こころ)嬉(うれ)しく勇(いさ)みたちて
101吾手(わがて)吾足(わがあし)舞(ま)ひ狂(くる)ふなり
102祖々(おやおや)の守(まも)りし城(しろ)に立(た)ち帰(かへ)り
103神(かみ)のまつりを行(おこな)はせませ』
104 シウランは歌(うた)ふ。
105『久方(ひさかた)の主(ス)の大神(おほかみ)の御(おん)霊(たま)を
106斎(いつ)きし今日(けふ)は喜(よろこ)びあふる
107厳(おごそ)かな王(きみ)の祝詞(のりと)の言霊(ことたま)に
108主(ス)の大御神(おほみかみ)天降(あも)りましけむ
109言霊(ことたま)の助(たす)くる国(くに)と知(し)りながら
110行(おこな)ひ得(え)ざりし事(こと)を悔(く)ゆるも
111言霊(ことたま)を朝夕(あさゆふ)宣(の)りつつありしならば
112イドムの城(しろ)は滅(ほろ)びざりけむ
113言霊(ことたま)の厳(いづ)の力(ちから)を忘(わす)れたる
114報(むく)いは滅(ほろ)びの他(ほか)なかりけり
115武士(もののふ)を数多(あまた)引(ひ)き連(つ)れ敗(やぶ)れたる
116われも言霊(ことたま)忘(わす)れ居(ゐ)たりき』
117 斯(か)く歌(うた)ふ折(をり)しも、118殿内(でんない)忽(たちま)ち鳴動(めいどう)して地鳴(ぢなり)震動(しんどう)烈(はげ)しく、119新築(しんちく)の社殿(しやでん)も殆(ほとん)ど覆(くつが)へらむばかり思(おも)はれにける。
120 アヅミ王(わう)は恐(おそ)れ畏(かしこ)み、121再(ふたた)び神前(しんぜん)にひれ伏(ふ)して静(しづ)かに歌(うた)ふ。
122『大神(おほかみ)の御旨(みむね)にそむきし為(ため)なるか
123天地(あめつち)一度(いちど)に揺(ゆる)ぎそめたる
124罪(つみ)あれば吾(われ)を譴責(きた)めよ天津(あまつ)神(かみ)
125われに倣(なら)ひしものにありせば
126わが教(をしへ)曇(くも)りたるより国津(くにつ)神(かみ)
127神(かみ)を忘(わす)れて乱(みだ)れたりける
128吾(わが)生命(いのち)召(め)すも厭(いと)はじ国津(くにつ)神(かみ)の
129罪(つみ)を偏(ひとへ)に許(ゆる)させ給(たま)へ』
130 かく歌(うた)ふ折(をり)もあれ、131突然(とつぜん)として神前(しんぜん)に現(あら)はれ給(たま)ひし三柱(みはしら)の大神(おほかみ)あり。
132 一柱(ひとはしら)の神(かみ)は主(ス)の大神(おほかみ)と見(み)えて御(おん)姿(すがた)いたく光(ひか)らせ給(たま)へば、133拝(をが)み奉(まつ)るよしもなく、134わづかにその御(おん)影(かげ)を想像(さうざう)するばかりなりけるが、135白衣(びやくえ)を纒(まと)ひ右手(めて)に各自(おのもおのも)鉾(ほこ)を持(も)たして立(た)ち給(たま)ふ神(かみ)は、136正(まさ)しく高鉾(たかほこ)の神(かみ)、137神鉾(かみほこ)の神(かみ)にましましける。
138 高鉾(たかほこ)の神(かみ)は厳(おごそ)かに宣(の)らせ給(たま)ふ。
139『吾(われ)こそは高日(たかひ)の宮(みや)ゆ天降(あも)りてし
140高鉾(たかほこ)の神(かみ)ぞ心(こころ)安(やす)かれ
141この国(くに)は生言霊(いくことたま)の死(し)せる国(くに)
142神(かみ)の助(たす)けのあらぬ国(くに)ぞや
143アヅミ王(わう)元津心(もとつこころ)に立(た)ちかへり
144宮居(みやゐ)造(つく)りしわざを嘉(よみ)すも
145天地(あめつち)の一度(いちど)に揺(ゆ)りしは主(ス)の神(かみ)の
146天降(あも)り給(たま)ひししるしなるぞや
147アヅミ王(わう)よ恐(おそ)るるなかれ主(ス)の神(かみ)の
148御国(みくに)助(たす)くと天降(あも)りませしぞや』
149 神鉾(かみほこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
150『主(ス)の神(かみ)の御供(みとも)に仕(つか)へ八重雲(やへくも)を
151かき分(わ)け此処(ここ)に天降(あも)りし神(かみ)ぞや
152神鉾(かみほこ)の神(かみ)はわれぞや村肝(むらきも)の
153心(こころ)清(きよ)めてわが面(おも)を見(み)よ』
154 この降臨(かうりん)にアヅミ王(わう)をはじめ左守(さもり)、155右守(うもり)、156軍師(ぐんし)其(その)他(た)の神々(かみがみ)は広庭(ひろには)にひれ伏(ふ)し、157感謝(かんしや)と喜(よろこ)びに身(み)をふるはして蹲(うづくま)り居(ゐ)る。
158 アヅミ王(わう)は恐(おそ)る恐(おそ)る謹(つつし)み歌(うた)ふ。
159『罪(つみ)深(ふか)き吾(わが)身(み)の願(ねが)ひ聞召(きこしめ)し
160天降(あも)り給(たま)ひし神(かみ)ぞ畏(かしこ)し
161今日(けふ)よりは心(こころ)を清(きよ)め身(み)を浄(きよ)め
162神(かみ)の御旨(みむね)に叶(かな)ひ奉(まつ)らむ
163力(ちから)弱(よわ)き吾(われ)に力(ちから)を添(そ)へ給(たま)へ
164イドムの国(くに)は醜(しこ)はびこれば』
165 高鉾(たかほこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
166『醜神(しこがみ)は汝(なれ)が心(こころ)に潜(ひそ)むなり
167みたま清(きよ)めて追(お)ひ出(いだ)すべし
168刈菰(かりごも)と乱(みだ)れはてたる此(こ)の国(くに)も
169汝(なれ)が心(こころ)の汚(けが)れし故(ゆゑ)ぞや
170今日(けふ)よりは元津心(もとつこころ)にたちかへり
171誠(まこと)の上(うへ)にも誠(まこと)を尽(つく)せよ』
172 アヅミ王(わう)は歌(うた)ふ。
173『ありがたき仰(おほ)せなるかも知(し)らず知(し)らず
174わが魂(たましひ)に曲津(まが)の潜(ひそ)めるか
175主(ス)の神(かみ)の厳(いづ)の力(ちから)にわが魂(たま)の
176醜(しこ)の鬼神(おにがみ)退(やら)ひ給(たま)はれ』
177 神鉾(かみほこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
178『ゐやなきは汝(なれ)が言葉(ことば)よ魂(たましひ)の
179鬼(おに)は自(みづか)らつくりしものを
180肝(きも)向(むか)ふ心(こころ)の鬼(おに)を退(やら)ふべき
181誠(まこと)の力(ちから)は真言(まこと)なるぞや』
182 斯(か)く歌(うた)ひ給(たま)ふや、183三柱(みはしら)の神(かみ)は消(き)ゆるが如(ごと)く御姿(みすがた)を隠(かく)させ給(たま)ひける。184再(ふたた)び天地(てんち)震動(しんどう)して大空(おほぞら)の雲(くも)は左右(さいう)に分(わか)れ、185虹(にじ)の如(ごと)き天(あめ)の浮橋(うきはし)かかるよと見(み)る間(ま)に、186三柱(みはしら)の神(かみ)は荘厳(さうごん)なる雄姿(ゆうし)を現(あら)はし給(たま)ふ御姿(みすがた)、187ほのかに下界(げかい)より拝(をが)むを得(え)たりける。
188 アヅミ王(わう)は天(てん)を仰(あふ)ぎ拍手(はくしゆ)しながら、189謹(つつし)みの色(いろ)を面(おもて)に漲(みなぎ)らして歌(うた)ふ。
190『主(ス)の神(かみ)は善言(ぜんげん)美詞(びし)の言霊(ことたま)を
191われに授(さづ)けて帰(かへ)りましけり
192御(おん)教(をしへ)委曲(つばら)に聞(き)きてわが魂(たま)の
193汚(けが)れはてたる事(こと)を悟(さと)りぬ
194大宮(おほみや)は新(あら)たに仕(つか)へ奉(まつ)れども
195鎮(しづ)まりまさずて帰(かへ)らせ給(たま)ひぬ
196真心(まごころ)のあらむ限(かぎ)りを尽(つく)しつつ
197われは誠(まこと)をもちて仕(つか)へむ
198主(ス)の神(かみ)の怒(いか)りに触(ふ)れしか吾(わが)魂(たま)は
199穏(おだや)かならず震(ふる)ひをののく
200エールスに城(しろ)奪(うば)はれしも吾(わが)魂(たま)に
201潜(ひそ)む曲津(まがつ)のわざなりしかな
202上下(うへした)の序(ついで)を乱(みだ)し誇(ほこ)りたる
203国津(くにつ)神(かみ)らの罪(つみ)また深(ふか)けむ
204さりながら吾(わが)魂(たましひ)の曇(くも)りゐて
205世(よ)の乱(みだ)れをば悟(さと)らず居(ゐ)たるよ
206乱(みだ)れしと悟(さと)りし頃(ころ)は早(は)や既(すで)に
207吾(わが)住(す)む城(しろ)は落(お)ちにけらしな
208掛(か)け巻(ま)くも綾(あや)に畏(かしこ)き大神(おほかみ)の
209恵(めぐみ)賜(たま)はれこれの御国(みくに)に』
210 ムラジの姫(ひめ)は歌(うた)ふ。
211『三柱(みはしら)の神(かみ)の御姿(みすがた)拝(をが)みてゆ
212われは頭(かしら)をもたげ得(え)ざりき
213頭上(づじやう)より押(お)しつぶさるる心地(ここち)して
214御稜威(みいづ)畏(かしこ)みふるへ居(ゐ)たるも
215天地(あめつち)にかかる尊(たふと)き神(かみ)坐(ま)すと
216知(し)らざる罪(つみ)の報(むく)い来(き)しよな
217エールスの襲(おそ)ひ来(きた)るも宜(うべ)ようべ
218神(かみ)に背(そむ)きしイドムの城(しろ)は
219天地(あめつち)は神(かみ)の住処(すみか)と知(し)らずして
220驕(おご)り暮(くら)せし罪(つみ)恐(おそ)ろしも
221七日(なぬか)七夜(ななよ)の禊(みそぎ)はおろか百日日(ももかひ)も
222身体(からたま)みたま清(きよ)め澄(す)まさむ
223主(ス)の神(かみ)の御霊(みたま)をこれの新殿(にひどの)に
224迎(むか)へむとせし罪(つみ)恐(おそ)ろしも
225吾々(われわれ)がみたまの曇(くも)り晴(は)れざれば
226如何(いか)で天降(あも)らむ三柱神(みはしらがみ)は
227恐(おそ)れ多(おほ)き事(こと)をなしけり曇(くも)りたる
228みたまかかへて神(かみ)祀(まつ)るとは
229新殿(にひどの)は厳(おごそ)かなれど主(ス)の神(かみ)は
230鎮(しづ)まりまさず心(こころ)もとなや
231磨(みが)きたる上(うへ)にもみたまみがきあげ
232神(かみ)の御前(みまへ)に仕(つか)へ奉(まつ)らな』
233 シウランは歌(うた)ふ。
234『恐(おそ)れ多(おほ)き事(こと)をなしけり汚(けが)れたる
235身(み)を省(かへり)みず神(かみ)を招(お)ぎしは
236神殿(しんでん)も毀(こは)れむばかり唸(うな)りつつ
237動(うご)き揺(ゆ)れしは神罰(しんばつ)なるべし
238今日(けふ)よりは弓矢(ゆみや)の道(みち)を改(あらた)めて
239言霊軍(ことたまいくさ)の司(つかさ)とならむ』
240 ナーマンは歌(うた)ふ。
241『年(とし)古(ふる)く左守(さもり)の神(かみ)と仕(つか)へつつ
242この過(あやま)ちを悟(さと)らざりしよ
243吾(わが)王(きみ)の輔弼(ほひつ)の役(やく)を勤(つと)めつつ
244王(きみ)を誤(あやま)らしめし吾(われ)なり
245主(ス)の神(かみ)よ許(ゆる)し給(たま)はれわが生命(いのち)
246よしや召(め)すとも厭(いと)はざりせば
247チンリウ姫(ひめ)敵(てき)に奪(うば)はれ給(たま)ひしも
248われらが罪(つみ)と思(おも)へば悲(かな)しき』
249 ターマンは歌(うた)ふ。
250『長(なが)からむ月日(つきひ)を王(きみ)に仕(つか)へつつ
251神(かみ)の恵(めぐみ)を悟(さと)らずに来(こ)し
252罪(つみ)といふ罪(つみ)のことごと集(あつ)まりて
253イドムの城(しろ)は滅(ほろ)びしなるらむ
254かくなるも吾(われ)等(ら)が神(かみ)を忘(わす)れたる
255罪(つみ)と思(おも)へば身(み)の置場(おきば)もなし』
256 アヅミ王(わう)は歌(うた)ふ。
257『汝(なれ)たちは嘆(なげ)かふなかれ皆(みな)われが
258神(かみ)をなみせし罪(つみ)なりにける
259今日(けふ)よりは心(こころ)あらため愛善(あいぜん)の
260神(かみ)の心(こころ)に抱(いだ)かれ進(すす)まむ
261如何(いか)ならむ罪科(つみとが)あるも愛善(あいぜん)の
262主(ス)の大神(おほかみ)は救(すく)ひ給(たま)はむ』
263 シウランは歌(うた)ふ。
264『吾(わが)王(きみ)の優(やさ)しき心(こころ)聞(き)くにつけ
265われ自(おのづか)ら涙(なみだ)こぼるる
266今(いま)となり歎(なげ)くも詮(せん)なし村肝(むらきも)の
267心(こころ)清(きよ)めて仕(つか)ふるのみなる
268地(ち)の上(うへ)の欲(よく)に離(はな)れて惟神(かむながら)
269神(かみ)の誠(まこと)に従(したが)はむかな』
270 ムラジ姫(ひめ)は歌(うた)ふ。
271『形(かたち)ある宝(たから)を捨(す)てて形(かたち)なき
272宝(たから)求(もと)むと心(こころ)を磨(みが)かむ
273吾(わが)魂(たま)は曇(くも)りて居(ゐ)たり主(ス)の神(かみ)の
274貴(うづ)の教(をしへ)を聞(き)くまで悟(さと)らず』
275 かく各自(おのもおのも)述懐(じゆつくわい)を歌(うた)ひ、276神前(しんぜん)に感謝(かんしや)の祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し後(あと)しざりしながら、277月光山(つきみつやま)の頂上(ちやうじやう)なる神殿(しんでん)を降(お)り、278俄造(にはかづく)りの城内(じやうない)に帰(かへ)り行(ゆ)く。
279 大空(おほぞら)の月(つき)は皎々(かうかう)として輝(かがや)き渡(わた)り、280時(とき)ならぬ百鳥(ももどり)の囀(さへづ)り百花(ももばな)の香(かを)り、281空中(くうちう)の音楽(おんがく)嚠喨(りうりやう)として響(ひび)き渡(わた)り、282短(みじか)き春(はる)の夜(よ)は遂(つひ)に明(あ)け放(はな)れたり。283ああ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
284(昭和九・八・四 旧六・二四 於伊豆別院 白石恵子謹録)
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