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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第81巻(申の巻)
総説
第1篇 伊佐子の島
第1章 イドム戦
第2章 月光山
第3章 月見の池
第4章 遷座式
第5章 心の禊
第6章 月見の宴
第2篇 イドムの嵐
第7章 月音し
第8章 人魚の勝利
第9章 維新の叫び
第10章 復古運動
第3篇 木田山城
第11章 五月闇
第12章 木田山颪
第13章 思ひの掛川
第14章 鷺と烏
第15章 厚顔無恥
第4篇 猛獣思想
第16章 亀神の救ひ
第17章 再生再会
第18章 蠑螈の精
第19章 悪魔の滅亡
第20章 悔悟の花
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第81巻(申の巻)
> 第3篇 木田山城 > 第12章 木田山颪
<<< 五月闇
(B)
(N)
思ひの掛川 >>>
第一二章
木田山
(
きたやま
)
颪
(
おろし
)
〔二〇三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻
篇:
第3篇 木田山城
よみ(新仮名遣い):
きたやまじょう
章:
第12章 木田山颪
よみ(新仮名遣い):
きたやまおろし
通し章番号:
2039
口述日:
1934(昭和9)年08月14日(旧07月5日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
チンリウ姫、乳母のアララギ、アララギの娘センリウの三人は敵城に囚われ、牢獄に入れられて互いに述懐の歌を歌って身の不孝を歎いていた。
三人はイドム国を忍び、王と王妃の行方を案じ、またサール国への恨みを歌っていた。
そこへ、エームス太子の侍従・朝月、夕月の両人が足音を忍ばせてやってきた。そして、エームス太子のチンリウ姫への思いを告げ、牢獄から出ようと思ったら、太子の思いを受け入れるよう説得をはじめた。
チンリウ姫は敵国の太子の情けを受けるくらいなら、生命を捨てた方がましだ、と憤慨した。
朝月、夕月は、姫と太子の結婚が成れば、イドム国も再興されて平和が訪れるだろう、と姫を口説くが、チンリウ姫は頑として二人の説得を拒みつづけた。
朝月、夕月はすごすごと立ち去り、こうなったら力づくで姫を従わせようか、と相談をめぐらしている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8112
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 490頁
修補版:
校定版:
254頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
アヅミ
王
(
わう
)
の
娘
(
むすめ
)
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は、
002
乳母
(
うば
)
のアララギ
及
(
およ
)
びアララギの
娘
(
むすめ
)
センリウ
女
(
ぢよ
)
とともに
敵城
(
てきじやう
)
に
虜
(
とら
)
はれ、
003
第一
(
だいいち
)
の
牢獄
(
らうごく
)
に
縄目
(
なはめ
)
の
恥
(
はぢ
)
を
忍
(
しの
)
びながら、
004
世
(
よ
)
をはかなみつつ
互
(
たがひ
)
に
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
005
チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
歌
(
うた
)
。
006
『あぢきなき
浮世
(
うきよ
)
なるかなわれは
今
(
いま
)
007
縄目
(
なはめ
)
の
恥
(
はぢ
)
にあひて
苦
(
くる
)
しむ
008
垂乳根
(
たらちね
)
は
如何
(
いかが
)
なりけむイドム
城
(
じやう
)
は
009
いづらに
行
(
ゆ
)
きしか
心許
(
こころもと
)
なや
010
思
(
おも
)
はざる
敵
(
てき
)
の
軍
(
いくさ
)
に
攻
(
せ
)
められて
011
わが
垂乳根
(
たらちね
)
は
露
(
つゆ
)
と
消
(
き
)
えしか
012
諸々
(
もろもろ
)
の
家臣
(
いへのこ
)
軍人
(
いくさびと
)
あれど
013
いひ
甲斐
(
がひ
)
もなく
滅
(
ほろ
)
び
失
(
う
)
せけむ
014
祖々
(
おやおや
)
の
賜
(
たま
)
ひし
国
(
くに
)
はエールスの
015
暴虐
(
ぼうぎやく
)
の
手
(
て
)
に
奪
(
うば
)
はれにけむ
016
わが
力
(
ちから
)
尽
(
つ
)
きて
敵
(
かたき
)
にとらへられ
017
今
(
いま
)
は
涙
(
なみだ
)
の
淵
(
ふち
)
にただよふ
018
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
もいつか
量
(
はか
)
られずと
019
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しき
吾
(
わが
)
身
(
み
)
なりけり
020
如何
(
いか
)
にしてこの
苦
(
くる
)
しみを
逃
(
のが
)
れむと
021
神
(
かみ
)
を
力
(
ちから
)
に
時
(
とき
)
の
間
(
ま
)
を
生
(
い
)
くる
022
望
(
のぞ
)
みなき
吾
(
わが
)
身
(
み
)
となりぬ
水乃川
(
みなのがは
)
の
023
月
(
つき
)
に
親
(
した
)
しむ
術
(
すべ
)
もなければ
024
罪
(
つみ
)
もなき
人魚
(
にんぎよ
)
を
捕
(
と
)
りし
酬
(
むく
)
いにて
025
わが
垂乳根
(
たらちね
)
の
国亡
(
くにほろ
)
びしか
026
数百
(
すひやく
)
里
(
り
)
の
道
(
みち
)
をナイトに
送
(
おく
)
られて
027
寒
(
さむ
)
き
牢獄
(
ひとや
)
に
世
(
よ
)
を
歎
(
なげ
)
くなり
028
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
此
(
この
)
世
(
よ
)
にいますならば
029
再
(
ふたた
)
び
見
(
み
)
せよ
水乃川
(
みなのがは
)
の
月
(
つき
)
を
030
垂乳根
(
たらちね
)
の
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生命
(
いのち
)
在
(
おは
)
すならば
031
夢
(
ゆめ
)
になりとも
通
(
かよ
)
はせ
給
(
たま
)
へ
032
望
(
のぞ
)
みなきわが
身
(
み
)
と
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しけれ
033
朝夕
(
あさゆふ
)
われは
淋
(
さび
)
しさに
泣
(
な
)
く』
034
アララギは
歌
(
うた
)
ふ。
035
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
歎
(
なげ
)
き
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
くにつけ
036
わが
身
(
み
)
の
置場
(
おきば
)
無
(
な
)
きが
悲
(
かな
)
しき
037
姫君
(
ひめぎみ
)
の
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
へて
二十
(
にじふ
)
年
(
ねん
)
038
われは
御側
(
みそば
)
を
離
(
はな
)
れざりける
039
はるばると
敵
(
てき
)
の
国
(
くに
)
まで
送
(
おく
)
られて
040
姫
(
ひめ
)
の
憂目
(
うきめ
)
を
見
(
み
)
るが
悲
(
かな
)
しき
041
情
(
なさけ
)
深
(
ふか
)
きイドムの
王
(
わう
)
に
生
(
い
)
き
別
(
わか
)
れ
042
苦
(
くる
)
しき
憂目
(
うきめ
)
を
敵城
(
てきじやう
)
に
見
(
み
)
るも
043
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
を
祈
(
いの
)
りて
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
の
044
わが
姫君
(
ひめぎみ
)
のなやみを
晴
(
は
)
らさむ
045
姫君
(
ひめぎみ
)
を
守
(
まも
)
る
身
(
み
)
ながらかくの
如
(
ごと
)
046
憂目
(
うきめ
)
を
見
(
み
)
せしわが
愚
(
おろか
)
さよ
047
姫君
(
ひめぎみ
)
よ
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
何事
(
なにごと
)
も
048
時
(
とき
)
の
力
(
ちから
)
に
刃向
(
はむか
)
ふ
術
(
すべ
)
無
(
な
)
き
049
さりながら
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けくおはしませ
050
われには
一
(
ひと
)
つの
計略
(
たくらみ
)
持
(
も
)
ちぬ
051
吾
(
わが
)
娘
(
むすめ
)
センリウも
亦
(
また
)
虜
(
とら
)
はれの
052
苦
(
くる
)
しき
身
(
み
)
ぞと
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しも
053
如何
(
いか
)
にしてアヅミの
王
(
きみ
)
に
詫
(
わ
)
びむかと
054
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
く
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
悲
(
かな
)
しさ
055
水乃川
(
みなのがは
)
の
水
(
みづ
)
は
無心
(
むしん
)
の
月光
(
つきかげ
)
を
056
浮
(
うか
)
べて
清
(
きよ
)
く
流
(
なが
)
れゆくらむ
057
エールスはイドムの
城
(
しろ
)
の
高殿
(
たかどの
)
に
058
月
(
つき
)
を
賞
(
ほ
)
めつつ
酒
(
さけ
)
を
酌
(
く
)
むらむ
059
エールスのふるまひ
思
(
おも
)
へば
憎
(
にく
)
らしし
060
イドムの
国
(
くに
)
を
手
(
て
)
もなく
奪
(
うば
)
ひて
061
エールスは
勝
(
か
)
ち
誇
(
ほこ
)
りたる
面
(
おも
)
もちに
062
イドムの
城
(
しろ
)
に
横暴
(
はば
)
り
居
(
を
)
るらむ
063
邪
(
よこしま
)
は
正
(
ただ
)
しきに
勝
(
か
)
つ
道
(
みち
)
はなし
064
必
(
かなら
)
ず
滅
(
ほろ
)
びむ
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りに
065
今
(
いま
)
しばし
縄目
(
なはめ
)
の
恥
(
はぢ
)
を
忍
(
しの
)
びつつ
066
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
を
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
はれ
067
必
(
かなら
)
ずやエールス
王
(
わう
)
は
滅
(
ほろ
)
ぶべし
068
道
(
みち
)
に
反
(
そむ
)
ける
曲業
(
まがわざ
)
なれば
069
姫君
(
ひめぎみ
)
とともに
牢獄
(
ひとや
)
に
繋
(
つな
)
がれて
070
朝夕
(
あさゆふ
)
怨
(
うら
)
むはエールス
王
(
わう
)
なり
071
わが
王
(
きみ
)
はいづらなるらむ
妃
(
ひ
)
の
君
(
きみ
)
は
072
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
にますか
便
(
たよ
)
り
聞
(
き
)
きたし
073
雁
(
かりがね
)
の
便
(
たよ
)
りもがもと
願
(
ねが
)
へども
074
今
(
いま
)
は
詮
(
せん
)
なし
時鳥
(
ほととぎす
)
鳴
(
な
)
く
075
しとしとと
五月雨
(
さみだ
)
るる
空
(
そら
)
に
時鳥
(
ほととぎす
)
076
鳴
(
な
)
き
渡
(
わた
)
るなり
一声
(
ひとこゑ
)
落
(
おと
)
して
077
時鳥
(
ほととぎす
)
鳴
(
な
)
きつる
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
むれば
078
あやめもわかぬ
五月闇
(
さつきやみ
)
なり
079
姫君
(
ひめぎみ
)
はいふも
更
(
さら
)
なりわが
娘
(
むすめ
)
も
080
われも
闇夜
(
やみよ
)
の
時鳥
(
ほととぎす
)
なり
081
力
(
ちから
)
あらばこれの
牢獄
(
ひとや
)
を
破
(
やぶ
)
らむと
082
思
(
おも
)
へば
詮
(
せん
)
なし
女
(
をみな
)
の
腕
(
うで
)
には
083
罪
(
つみ
)
も
無
(
な
)
きわが
姫君
(
ひめぎみ
)
をかくの
如
(
ごと
)
き
084
牢獄
(
ひとや
)
に
繋
(
つな
)
ぐは
鬼
(
おに
)
か
大蛇
(
をろち
)
か
085
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
086
神
(
かみ
)
ぞ
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
なりける
087
木田川
(
きたがは
)
を
隔
(
へだ
)
てしこれの
牢獄
(
らうごく
)
に
088
繋
(
つな
)
がれし
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねずみ
)
よ
089
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
は
敵
(
てき
)
に
握
(
にぎ
)
られて
090
淋
(
さび
)
しき
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
雨
(
あめ
)
の
音
(
おと
)
聞
(
き
)
く』
091
センリウは
歌
(
うた
)
ふ。
092
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
歎
(
なげ
)
き
宜
(
うべ
)
なりわが
母
(
はは
)
の
093
怨
(
うら
)
みもうべよとわれも
泣
(
な
)
くなり
094
平安
(
へいあん
)
の
城
(
しろ
)
を
屠
(
ほふ
)
りてエールスは
095
悪魔
(
あくま
)
の
性
(
さが
)
を
現
(
あら
)
はしにけり
096
悪神
(
あくがみ
)
の
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
と
097
思
(
おも
)
へど
悲
(
かな
)
しき
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
ならずや
098
如何
(
いか
)
にして
今日
(
けふ
)
の
怨
(
うら
)
みを
晴
(
はら
)
さむと
099
思
(
おも
)
へど
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
るのみなる
100
肝
(
きも
)
向
(
むか
)
ふ
心
(
こころ
)
は
闇
(
やみ
)
にさまよひつ
101
朝夕
(
あさゆふ
)
悲
(
かな
)
しく
時鳥
(
ほととぎす
)
聞
(
き
)
く
102
姫君
(
ひめぎみ
)
の
生命
(
いのち
)
助
(
たす
)
くるよしあらば
103
われは
生命
(
いのち
)
を
惜
(
を
)
しまざるべし
104
姫君
(
ひめぎみ
)
と
母
(
はは
)
に
代
(
かは
)
りてわが
生命
(
いのち
)
105
捧
(
ささ
)
げむわれは
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りて
106
わが
生命
(
いのち
)
は
軽
(
かる
)
し
姫君
(
ひめぎみ
)
の
御
(
おん
)
生命
(
いのち
)
107
大山
(
たいざん
)
よりも
重
(
おも
)
くいませり
108
イドム
国
(
こく
)
の
世継
(
よつぎ
)
といます
姫君
(
ひめぎみ
)
の
109
今日
(
けふ
)
のなやみを
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しき
110
如何
(
いか
)
にして
吾
(
わが
)
姫君
(
ひめぎみ
)
を
救
(
すく
)
はむと
111
朝
(
あした
)
夕
(
ゆふ
)
べを
心
(
こころ
)
砕
(
くだ
)
きつ
112
五月闇
(
さつきやみ
)
この
牢獄
(
らうごく
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
き
)
て
113
黒白
(
あやめ
)
もわかず
心
(
こころ
)
狂
(
くる
)
ふも』
114
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
115
『
天地
(
あめつち
)
に
神
(
かみ
)
はまさずや
在
(
おは
)
さずや
116
かかる
歎
(
なげ
)
きをみそなはさずや
117
わが
父
(
ちち
)
は
雄々
(
をを
)
しくませば
必
(
かなら
)
ずや
118
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
ちて
再
(
ふたた
)
び
立
(
た
)
たさむ
119
わが
父
(
ちち
)
の
輝
(
かがや
)
きましてこの
国
(
くに
)
を
120
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
せ
給
(
たま
)
はむと
思
(
おも
)
ふ
121
わが
父
(
ちち
)
の
軍
(
いくさ
)
勝
(
か
)
ちなば
五月闇
(
さつきやみ
)
122
晴
(
は
)
れて
再
(
ふたた
)
び
月日
(
つきひ
)
を
拝
(
をが
)
まむ
123
あてもなき
望
(
のぞ
)
みながらも
何
(
なん
)
となく
124
わが
魂
(
たましひ
)
に
光
(
ひか
)
り
見
(
み
)
るなり
125
罪
(
つみ
)
も
無
(
な
)
き
父
(
ちち
)
の
国
(
くに
)
をば
亡
(
ほろ
)
ぼして
126
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
る
曲
(
まが
)
の
忌々
(
ゆゆ
)
しさ
127
エールスの
曲津
(
まがつ
)
の
王
(
わう
)
は
天地
(
あめつち
)
の
128
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
にふれて
滅
(
ほろ
)
びむ
129
天地
(
あめつち
)
に
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
のいますならば
130
必
(
かなら
)
ず
父
(
ちち
)
を
助
(
たす
)
け
給
(
たま
)
はむ
131
滅
(
ほろ
)
ぶべき
運命
(
うんめい
)
を
持
(
も
)
つエールスの
132
行末
(
ゆくすゑ
)
思
(
おも
)
へば
憐
(
あは
)
れなりけり
133
今
(
いま
)
われは
縄目
(
なはめ
)
の
恥
(
はぢ
)
を
曝
(
さら
)
せども
134
やがて
光
(
ひかり
)
と
世
(
よ
)
に
現
(
あら
)
はれむ
135
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
の
奥
(
おく
)
に
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らず
136
われには
一
(
ひと
)
つの
光
(
ひかり
)
ありけり
137
来
(
きた
)
るべき
世
(
よ
)
を
楽
(
たの
)
しみて
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
の
138
恥
(
はぢ
)
となやみを
忍
(
しの
)
びまつべし』
139
アララギは
歌
(
うた
)
ふ。
140
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
雄々
(
をを
)
しき
御心
(
みこころ
)
聞
(
き
)
くにつけ
141
わが
魂
(
たましひ
)
は
輝
(
かがや
)
き
初
(
そ
)
めたり
142
朝夕
(
あさゆふ
)
をなやみもだえしわが
魂
(
たま
)
も
143
姫
(
ひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
勇
(
いさ
)
み
初
(
そ
)
めたり
144
闇
(
やみ
)
あれば
光
(
ひかり
)
ある
世
(
よ
)
と
知
(
し
)
りながら
145
愚心
(
おろかごころ
)
に
朝夕
(
あさゆふ
)
なやみし』
146
センリウは
歌
(
うた
)
ふ。
147
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
御心
(
みこころ
)
聞
(
き
)
きてわれも
亦
(
また
)
148
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
は
勇
(
いさ
)
みたちけり
149
われも
亦
(
また
)
月日
(
つきひ
)
の
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
りて
150
永久
(
とは
)
の
安所
(
やすど
)
に
進
(
すす
)
まむと
思
(
おも
)
ふ
151
虜
(
とら
)
はれの
悲
(
かな
)
しき
身
(
み
)
にも
天地
(
あめつち
)
の
152
便
(
たよ
)
り
聞
(
き
)
くかな
風
(
かぜ
)
のまにまに
153
身体
(
からたま
)
はよし
縛
(
しば
)
るとも
魂
(
たましひ
)
は
154
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
天地
(
てんち
)
を
駆
(
か
)
けるも
155
虜
(
とら
)
はれの
自由
(
じいう
)
無
(
な
)
き
身
(
み
)
も
魂
(
たましひ
)
は
156
自由
(
じいう
)
に
天地
(
てんち
)
を
駆
(
か
)
けめぐるなり』
157
かかるところへ、
158
朝月
(
あさづき
)
、
159
夕月
(
ゆふづき
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせながら
静
(
しづ
)
かに
寄
(
よ
)
り
来
(
きた
)
り、
160
朝月
(
あさづき
)
は
先
(
ま
)
づ
歌
(
うた
)
ふ。
161
『われこそはエームス
王
(
わう
)
の
御側
(
みそば
)
近
(
ちか
)
く
162
仕
(
つか
)
ふる
朝月
(
あさづき
)
、
夕月
(
ゆふづき
)
なるぞや
163
これの
家
(
や
)
に
忍
(
しの
)
ばせ
給
(
たま
)
ふ
姫君
(
ひめぎみ
)
は
164
チンリウ
姫
(
ひめ
)
におはしまさずや
165
品
(
しな
)
高
(
たか
)
く
装
(
よそほ
)
ひ
清
(
すが
)
しき
姫君
(
ひめぎみ
)
は
166
チンリウ
姫
(
ひめ
)
と
察
(
さつ
)
しまつりぬ
167
ほの
暗
(
ぐら
)
き
牢獄
(
ひとや
)
のうちになやみ
給
(
たま
)
ふ
168
姫
(
ひめ
)
をあはれみわれは
来
(
き
)
つるも
169
魚心
(
うをごころ
)
あれば
必
(
かなら
)
ず
水心
(
みづごころ
)
170
ありと
思
(
おぼ
)
せよわが
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
171
わが
宣
(
の
)
らむ
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ひ
給
(
たま
)
ひなば
172
今日
(
けふ
)
の
憂目
(
うきめ
)
はさせまじものを
173
果
(
はて
)
しなく
牢獄
(
ひとや
)
に
苦
(
くる
)
しみ
給
(
たま
)
ふよりも
174
早
(
はや
)
く
安所
(
やすど
)
を
望
(
のぞ
)
み
給
(
たま
)
はずや
175
若王
(
わかぎみ
)
は
姫
(
ひめ
)
に
心
(
こころ
)
を
寄
(
よ
)
せ
給
(
たま
)
ふ
176
なびかせ
給
(
たま
)
へチンリウ
姫
(
ひめ
)
の
君
(
きみ
)
』
177
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は、
178
朝月
(
あさづき
)
の
歌
(
うた
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
しながら、
179
儼然
(
げんぜん
)
として
歌
(
うた
)
ふ。
180
『
怨
(
うら
)
みなき
人
(
ひと
)
の
国
(
くに
)
をば
奪
(
うば
)
ひてし
181
曲
(
まが
)
の
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ふべしやは
182
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
のよしや
生命
(
いのち
)
はとらるとも
183
如何
(
いか
)
で
靡
(
なび
)
かむ
曲
(
まが
)
の
言葉
(
ことば
)
に
184
千秋
(
せんしう
)
の
恨
(
うらみ
)
重
(
かさ
)
なるエールスに
185
たとへ
死
(
し
)
すともまつろはざるべし
186
いらざらむ
繰
(
く
)
り
言
(
ごと
)
宣
(
の
)
るないやしくも
187
われはアヅミの
王
(
わう
)
の
御子
(
みこ
)
ぞや
188
汝
(
な
)
が
如
(
ごと
)
き
賤
(
いや
)
しき
司
(
つかさ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
は
189
耳
(
みみ
)
にするさへけがらはしと
思
(
おも
)
ふ
190
われは
今
(
いま
)
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
つる
覚悟
(
かくご
)
なり
191
仇
(
あだ
)
の
王
(
こきし
)
にまつろふべしやは』
192
夕月
(
ゆふづき
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
193
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
言葉
(
ことば
)
うべよと
思
(
おも
)
へども
194
此処
(
ここ
)
は
一先
(
ひとま
)
づ
見直
(
みなほ
)
し
給
(
たま
)
へ
195
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
死
(
し
)
すとも
及
(
およ
)
ぶまじ
196
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
と
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
しませ
197
アヅミ
王
(
わう
)
の
御子
(
みこ
)
とあれます
君
(
きみ
)
なれば
198
われは
真心
(
まごころ
)
捧
(
ささ
)
げて
仕
(
つか
)
へむ
199
わが
若王
(
きみ
)
の
妃
(
きさき
)
となりて
栄
(
さか
)
えませよ
200
今日
(
けふ
)
のなやみは
直
(
ただ
)
にとけなむ』
201
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
202
『
如何
(
いか
)
ほどに
言葉
(
ことば
)
尽
(
つく
)
して
誘
(
いざな
)
ふも
203
われ
承知
(
うけが
)
はじ
曲
(
まが
)
の
言葉
(
ことば
)
に
204
エームスの
王妃
(
わうひ
)
となりて
栄
(
さか
)
ゆより
205
われは
牢獄
(
ひとや
)
の
鬼
(
おに
)
となるべし
206
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てて
鬼
(
おに
)
となり
207
父
(
ちち
)
のうらみを
晴
(
は
)
らさむと
思
(
おも
)
ふ
208
わが
父
(
ちち
)
のなやみ
思
(
おも
)
へば
如何
(
いか
)
にして
209
敵
(
てき
)
の
王妃
(
わうひ
)
となるべきものかは
210
わが
父
(
ちち
)
にイドムの
国
(
くに
)
を
奉還
(
ほうくわん
)
し
211
而
(
しか
)
して
後
(
のち
)
にわれに
当
(
あた
)
れよ
212
イドム
城
(
じやう
)
父
(
ちち
)
の
御
(
おん
)
手
(
て
)
に
帰
(
かへ
)
るまでは
213
汝
(
なれ
)
が
言葉
(
ことば
)
をわれ
耳
(
みみ
)
にせじ
214
望
(
のぞ
)
みなきわれに
言葉
(
ことば
)
をかくる
前
(
まへ
)
に
215
父
(
ちち
)
に
御国
(
みくに
)
を
返
(
かへ
)
しまつれよ
216
わが
父
(
ちち
)
の
御許
(
みゆる
)
しあればわれとても
217
王妃
(
わうひ
)
となるを
拒
(
いな
)
まざるべし』
218
朝月
(
あさづき
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
219
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
御言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
しさりながら
220
今
(
いま
)
暫時
(
しばらく
)
を
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
はれ
221
姫君
(
ひめぎみ
)
はエームス
王
(
わう
)
の
妃
(
ひ
)
となりて
222
和睦
(
わぼく
)
の
道
(
みち
)
を
計
(
はか
)
らせ
給
(
たま
)
へ
223
姫君
(
ひめぎみ
)
が
王妃
(
わうひ
)
とならせ
給
(
たま
)
ひなば
224
両国
(
りやうこく
)
平和
(
へいわ
)
に
治
(
をさ
)
まるべきを』
225
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
226
『
偽
(
いつは
)
りの
多
(
おほ
)
き
世
(
よ
)
なれば
如何
(
いか
)
にしても
227
汝
(
なれ
)
が
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ふべしやは
228
わが
父
(
ちち
)
の
御許
(
みゆる
)
しあれば
何時
(
いつ
)
とても
229
汝
(
なれ
)
が
勧
(
すす
)
めに
応
(
こた
)
へまつらむ
230
わが
父
(
ちち
)
の
消息
(
せうそく
)
今
(
いま
)
にわからねば
231
エールス
王
(
わう
)
を
怨
(
うら
)
みこそすれ
232
エールス
王
(
わう
)
わが
前
(
まへ
)
に
来
(
き
)
て
詳細
(
まつぶさ
)
に
233
父
(
ちち
)
の
消息
(
せうそく
)
語
(
かた
)
れと
伝
(
つた
)
へよ
234
父母
(
ちちはは
)
の
仇
(
あだ
)
にわが
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
すべき
235
われは
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
獣
(
けもの
)
にあらず
236
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
惜
(
を
)
しまぬわれなれば
237
栄華
(
えいぐわ
)
の
夢
(
ゆめ
)
は
望
(
のぞ
)
まざるべし
238
ともかくもわが
垂乳根
(
たらちね
)
を
本城
(
ほんじやう
)
へ
239
返
(
かへ
)
しまつりし
其
(
そ
)
の
上
(
うへ
)
にせよ
240
われも
亦
(
また
)
サールの
国
(
くに
)
には
住
(
す
)
まはまじ
241
イドムの
国
(
くに
)
に
送
(
おく
)
りとどけよ
242
エームス
王
(
わう
)
われに
恋
(
こひ
)
すと
聞
(
き
)
きしより
243
わが
魂
(
たましひ
)
は
砕
(
くだ
)
けむとせり
244
万斛
(
ばんこく
)
の
涙
(
なみだ
)
をのみてわれは
今
(
いま
)
245
これの
牢獄
(
ひとや
)
に
父母
(
ふぼ
)
をしのぶも』
246
夕月
(
ゆふづき
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
247
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
堅
(
かた
)
き
心
(
こころ
)
を
聞
(
き
)
くにつけ
248
われは
涙
(
なみだ
)
のとめどなきかな
249
姫君
(
ひめぎみ
)
の
正
(
ただ
)
しき
言葉
(
ことば
)
聞
(
き
)
くよしも
250
なきわれこそは
悲
(
かな
)
しかりけり
251
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
惜
(
を
)
しまぬ
姫君
(
ひめぎみ
)
の
252
堅
(
かた
)
き
心
(
こころ
)
に
動
(
うご
)
かされたり
253
さりながらエームス
王
(
わう
)
の
御
(
おん
)
なやみ
254
晴
(
は
)
らさむとしてわれは
来
(
き
)
つるも
255
千秋
(
せんしう
)
の
恨
(
うらみ
)
しのびて
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
256
エームス
王
(
わう
)
になびかせ
給
(
たま
)
へ
257
姫君
(
ひめぎみ
)
の
御心
(
みこころ
)
知
(
し
)
らぬにあらねども
258
御国
(
みくに
)
を
思
(
おも
)
ひてわれは
勧
(
すす
)
むる
259
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
限
(
かぎ
)
りに
姫君
(
ひめぎみ
)
を
260
恋
(
こ
)
はすエームス
王
(
わう
)
の
憐
(
あは
)
れさ
261
情心
(
なさけごころ
)
あらねば
人
(
ひと
)
も
木石
(
ぼくせき
)
に
262
変
(
かは
)
らず
思
(
おも
)
ひて
靡
(
なび
)
かせ
給
(
たま
)
へ』
263
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
264
『
無理遣
(
むりやり
)
に
小暗
(
をぐら
)
き
牢獄
(
ひとや
)
に
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
めて
265
恋
(
こひ
)
を
語
(
かた
)
らふ
不甲斐
(
ふがひ
)
なき
若王
(
きみ
)
よ
266
エームスに
情心
(
なさけごころ
)
のあるならば
267
なぜに
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
牢獄
(
ひとや
)
に
苦
(
くる
)
しむる
268
第一
(
だいいち
)
にこの
解決
(
かいけつ
)
をつけざれば
269
われは
否
(
いな
)
やの
応
(
いら
)
へなすまじ
270
わが
耳
(
みみ
)
は
汚
(
けが
)
れ
果
(
は
)
てたりエームスの
271
敵
(
かたき
)
の
王
(
きみ
)
の
焦
(
こが
)
るると
聞
(
き
)
きて』
272
朝月
(
あさづき
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
273
『
姫君
(
ひめぎみ
)
の
心
(
こころ
)
の
誠
(
まこと
)
察
(
さつ
)
すれど
274
われは
進
(
すす
)
まむ
道
(
みち
)
さへもなし
275
姫君
(
ひめぎみ
)
のやさしき
言葉
(
ことば
)
聞
(
き
)
くまでは
276
われは
此
(
こ
)
の
場
(
ば
)
を
去
(
さ
)
らずと
思
(
おも
)
ふ
277
くやしさをしばし
忍
(
しの
)
びて
姫君
(
ひめぎみ
)
よ
278
末
(
すゑ
)
の
光
(
ひか
)
りと
諾
(
うべな
)
ひ
給
(
たま
)
はれ』
279
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
280
『
如何
(
いか
)
ならむ
甘
(
あま
)
き
言葉
(
ことば
)
も
承知
(
うけが
)
はじ
281
われは
死
(
し
)
すべき
生命
(
いのち
)
なりせば
282
エームスの
王
(
きみ
)
の
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
くにつけ
283
われは
一入
(
ひとしほ
)
死
(
し
)
にたくなりぬ』
284
朝月
(
あさづき
)
、
285
夕月
(
ゆふづき
)
は、
286
梃
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
かぬチンリウ
姫
(
ひめ
)
の
強
(
つよ
)
き
心
(
こころ
)
に
返
(
かへ
)
す
言葉
(
ことば
)
も
無
(
な
)
く、
287
すごすごとして
此
(
こ
)
の
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
り、
288
いろいろと
相談
(
さうだん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
289
水責
(
みづぜ
)
め、
290
食責
(
しよくぜ
)
め、
291
火責
(
ひぜ
)
めをもつて、
292
エームス
王
(
わう
)
の
恋心
(
こひごころ
)
に
靡
(
なび
)
かせむかと、
293
種々
(
しゆじゆ
)
浅
(
あさ
)
はかなる
計画
(
けいくわく
)
をめぐらしつつありける。
294
(
昭和九・八・一四
旧七・五
於水明閣
林弥生
謹録)
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