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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第81巻(申の巻)
総説
第1篇 伊佐子の島
第1章 イドム戦
第2章 月光山
第3章 月見の池
第4章 遷座式
第5章 心の禊
第6章 月見の宴
第2篇 イドムの嵐
第7章 月音し
第8章 人魚の勝利
第9章 維新の叫び
第10章 復古運動
第3篇 木田山城
第11章 五月闇
第12章 木田山颪
第13章 思ひの掛川
第14章 鷺と烏
第15章 厚顔無恥
第4篇 猛獣思想
第16章 亀神の救ひ
第17章 再生再会
第18章 蠑螈の精
第19章 悪魔の滅亡
第20章 悔悟の花
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霊界物語
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天祥地瑞(第73~81巻)
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第81巻(申の巻)
> 第4篇 猛獣思想 > 第18章 蠑螈の精
<<< 再生再会
(B)
(N)
悪魔の滅亡 >>>
第一八章
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
〔二〇四五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻
篇:
第4篇 猛獣思想
よみ(新仮名遣い):
もうじゅうしそう
章:
第18章 蠑螈の精
よみ(新仮名遣い):
いもりのせい
通し章番号:
2045
口述日:
1934(昭和9)年08月15日(旧07月6日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
チンリウ姫になりすましたセンリウは、母のアララギとともに並ぶもの無き権勢を木田山城に奮っていた。
あるときセンリウは、木田山城内の森林を逍遥しつつ咲き乱れる花を愛でていた。すると、後ろから突然容姿端麗な美男子が現れ、自分はエームス王子の従兄弟・セームスであると名乗った。
この美男子セームスを一目見たセンリウはすっかり心を奪われてしまった。セームスがセンリウを誘惑すると、センリウは気のある心をほのめかす歌を返した。すると不思議にも、セームスの姿は煙のように消えてしまった。
あくる日、センリウは提言して城内の菖蒲池に舟を浮かべ、半日の清遊を試みた。舟にはエームス王子、センリウ、アララギのほかは二人の侍女が乗っているのみであった。
一同が歌を歌いつつ日を過ごしていると、突然池の水が煮えくり返り、水柱がいくつも立ち昇った。舟は転倒し、エームス王子は水中に落ちたままついに姿を現すことはなかった。
先日、センリウの前に姿を現したセームスという美男子は、実はこの池の主の巨大な蠑螈の精であった。蠑螈の精はエームスを亡き者にして、センリウの夫となって城を乗っ取ろうとしていたのである。
この騒ぎの中、一同はエームス王子が水死したことに気づかず、蠑螈の精セームスはまんまとエームス王子になりすましてしまった。
センリウはこの事件以来、エームス王子の様子が何とはなしにおかしなことに気づき、そのことを問い詰めた。蠑螈の精は、自分は先日会った従兄弟のセームスであり、エームスを亡き者にして王子になりすましたのは自分の計略だと明かした。そして、センリウがチンリウ姫になりすましていることに気づいているが、お互いに偽者として夫婦となり、国を乗っ取ろうとセンリウに持ちかけた。
センリウはエームスに同意し、二人は木田山城奥深くに身を置いて、快楽にふけることとなった。国政は日に日に乱れ、ついには収集できないほどに混乱が深まって行くことになる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8118
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 527頁
修補版:
校定版:
387頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
主人
(
しゆじん
)
のチンリウ
姫
(
ひめ
)
を
計略
(
けいりやく
)
を
以
(
もつ
)
て
退
(
しりぞ
)
け、
002
自
(
みづか
)
らチンリウ
姫
(
ひめ
)
と
名告
(
なの
)
りてエームス
王
(
わう
)
の
妃
(
きさき
)
となり、
003
母
(
はは
)
のアララギと
共
(
とも
)
に
権勢
(
けんせい
)
並
(
なら
)
ぶものなく、
004
数多
(
あまた
)
の
群臣
(
ぐんしん
)
の
上
(
うへ
)
に
君臨
(
くんりん
)
して、
005
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
たりしチンリウ
姫
(
ひめ
)
は、
006
木田山
(
きたやま
)
城内
(
じやうない
)
の
森林
(
しんりん
)
を
徒然
(
つれづれ
)
のまま、
007
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
に
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
花
(
はな
)
を
賞
(
ほ
)
めつつ
逍遥
(
せうえう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
008
『
前
(
さき
)
や
後
(
あと
)
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
芳
(
かんば
)
しき
009
花
(
はな
)
に
包
(
つつ
)
まれ
吾
(
われ
)
は
遊
(
あそ
)
ぶも
010
回天
(
くわいてん
)
の
望
(
のぞ
)
みを
遂
(
と
)
げて
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
011
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
の
花
(
はな
)
と
匂
(
にほ
)
ふも
012
百千花
(
ももちばな
)
咲
(
さ
)
けど
匂
(
にほ
)
へど
如何
(
いか
)
にして
013
わが
花
(
はな
)
の
香
(
か
)
に
及
(
およ
)
ぶべきかは
014
燕子花
(
かきつばた
)
花
(
はな
)
の
紫
(
むらさき
)
水
(
みづ
)
の
面
(
も
)
に
015
写
(
うつ
)
るを
見
(
み
)
れば
夏
(
なつ
)
さりにけり
016
木田山
(
きたやま
)
の
城
(
しろ
)
は
広
(
ひろ
)
けし
山水
(
さんすゐ
)
の
017
景色
(
けしき
)
あつめて
清
(
きよ
)
き
真秀良場
(
まほらば
)
018
此
(
こ
)
の
城
(
しろ
)
の
花
(
はな
)
と
世人
(
よびと
)
に
讃
(
たた
)
へられ
019
吾
(
われ
)
は
楽
(
たの
)
しく
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
くるかも
020
天地
(
あめつち
)
は
残
(
のこ
)
らず
吾手
(
わがて
)
に
入
(
い
)
りしかと
021
思
(
おも
)
へば
楽
(
たの
)
しき
吾
(
わが
)
身
(
み
)
なるかも
022
エールスの
王
(
きみ
)
はイドムの
国
(
くに
)
にあり
023
われ
若王
(
わかぎみ
)
の
妃
(
きさき
)
となりぬ
024
何
(
なに
)
ものの
制縛
(
せいばく
)
もなく
此
(
こ
)
の
城
(
しろ
)
に
025
時
(
とき
)
じくかをると
思
(
おも
)
へば
楽
(
たの
)
し
026
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
のあらむ
限
(
かぎ
)
りを
統
(
す
)
べ
治
(
をさ
)
め
027
王
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
御代
(
みよ
)
を
照
(
て
)
らさむ
028
わが
母
(
はは
)
は
賢
(
さか
)
しくませばチンリウ
姫
(
ひめ
)
を
029
わが
身
(
み
)
となして
退
(
やら
)
ひましけり
030
心地
(
ここち
)
よやチンリウ
姫
(
ひめ
)
は
魔
(
ま
)
の
島
(
しま
)
に
031
漂
(
ただよ
)
ひながら
亡
(
ほろ
)
び
失
(
う
)
せけむ
032
かくならば
世
(
よ
)
に
恐
(
おそ
)
るべきものはなし
033
エームス
王
(
わう
)
を
力
(
ちから
)
とたのめば
034
エームス
王
(
わう
)
われに
恋
(
こ
)
ふるを
幸
(
さいは
)
ひに
035
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
も
遂
(
と
)
げざるはなし
036
朝風
(
あさかぜ
)
にゆらるる
百合
(
ゆり
)
の
花
(
はな
)
見
(
み
)
れば
037
清
(
すが
)
しきわれの
姿
(
すがた
)
なるかな
038
赤
(
あか
)
に
白
(
しろ
)
に
匂
(
にほ
)
へる
花
(
はな
)
も
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
は
039
あふひの
花
(
はな
)
と
称
(
たた
)
へ
来
(
き
)
にけり
040
チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
贋
(
にせ
)
にはあれど
吾
(
われ
)
もまた
041
あふひに
匂
(
にほ
)
ふ
花
(
はな
)
にあらずや
042
雪
(
ゆき
)
といふ
字
(
じ
)
も
黒々
(
くろぐろ
)
と
墨
(
すみ
)
で
書
(
か
)
く
043
例
(
ためし
)
ある
世
(
よ
)
ぞ
何
(
なに
)
を
恐
(
おそ
)
れむ
044
贋物
(
にせもの
)
と
看破
(
みやぶ
)
りたりし
朝月
(
あさづき
)
は
045
王
(
きみ
)
の
威勢
(
ゐせい
)
に
退
(
やら
)
はれにけり
046
朝月
(
あさづき
)
は
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
海
(
うみ
)
の
島ケ根
(
しまがね
)
に
047
流
(
なが
)
され
生命
(
いのち
)
亡
(
う
)
せにけむかも
048
妨
(
さまた
)
ぐる
何
(
なに
)
ものもなき
吾
(
われ
)
なれば
049
心
(
こころ
)
のままに
世
(
よ
)
にふれまはむ
050
水
(
みづ
)
濁
(
にご
)
る
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
は
051
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
苦
(
く
)
もなくまつろふ
052
吾
(
わが
)
威勢
(
ゐせい
)
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
高
(
たか
)
まりゆく
見
(
み
)
れば
053
智慧
(
ちゑ
)
の
力
(
ちから
)
の
現
(
あら
)
はれなるべし
054
イドム
城
(
じやう
)
に
長
(
なが
)
く
仕
(
つか
)
へしわが
王
(
きみ
)
の
055
行方
(
ゆくへ
)
はいづく
最早
(
もはや
)
影
(
かげ
)
なし
056
わが
王
(
きみ
)
の
滅
(
ほろ
)
びによりて
今
(
いま
)
ここに
057
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
の
花
(
はな
)
と
匂
(
にほ
)
ふも
058
よき
事
(
こと
)
に
曲事
(
まがこと
)
いつき
曲事
(
まがこと
)
に
059
よき
事
(
こと
)
いつくは
吾
(
われ
)
の
身
(
み
)
にしる
060
かくならば
世
(
よ
)
に
恐
(
おそ
)
るべきものはなし
061
エームス
王
(
わう
)
を
操
(
あやつ
)
りゆきなば』
062
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひながら、
063
人
(
ひと
)
もなげに
逍遥
(
せうえう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
064
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
より
容姿
(
ようし
)
端麗
(
たんれい
)
なる
美男子
(
びだんし
)
、
065
すつくと
現
(
あら
)
はれ、
066
『
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のみあと
慕
(
した
)
ひて
来
(
きた
)
りけり
067
エームス
王
(
わう
)
の
吾
(
われ
)
は
従弟
(
いとこ
)
よ
068
御姿
(
みすがた
)
の
気高
(
けだか
)
さ
美々
(
びび
)
しさに
見惚
(
みと
)
れつつ
069
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
に
引
(
ひ
)
かれ
来
(
こ
)
しはや
070
汝
(
な
)
が
姿
(
すがた
)
ふと
見初
(
みそ
)
めてゆ
朝夕
(
あさゆふ
)
を
071
うつつともなく
過
(
す
)
ぎにけらしな
072
傍
(
かたはら
)
に
人影
(
ひとかげ
)
なければわが
思
(
おも
)
ひ
073
君
(
きみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
匂
(
にほ
)
はせ
奉
(
まつ
)
らむ』
074
此
(
こ
)
の
声
(
こゑ
)
に
贋
(
にせ
)
のチンリウ
姫
(
ひめ
)
は
驚
(
おどろ
)
き
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
れば、
075
エームス
王
(
わう
)
に
幾倍
(
いくばい
)
とも
知
(
し
)
れぬ
美男子
(
びだんし
)
、
076
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
恋
(
こひ
)
の
悪魔
(
あくま
)
にとらはれ、
077
恍惚
(
くわうこつ
)
として
男
(
をとこ
)
の
側
(
そば
)
に
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り、
078
右手
(
みぎて
)
をしつかと
握
(
にぎ
)
りながら、
079
頬
(
ほほ
)
を
赤
(
あか
)
らめて
歌
(
うた
)
ふ。
080
『
思
(
おも
)
ひきやかく
麗
(
うる
)
はしき
艶人
(
あでびと
)
の
081
此
(
こ
)
の
国原
(
くにはら
)
におはしますとは
082
エームスの
王
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へし
吾
(
われ
)
なれば
083
汝
(
なれ
)
に
答
(
こた
)
ふる
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
もなし
084
さりながら
汝
(
なれ
)
が
愛
(
いと
)
しき
心根
(
こころね
)
を
085
われ
忝
(
かたじけ
)
なみて
胸
(
むね
)
にしるさむ
086
かかる
世
(
よ
)
に
此
(
こ
)
のうるはしき
大丈夫
(
ますらを
)
の
087
いますとは
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らざりにけり
088
ままならば
君
(
きみ
)
と
千歳
(
ちとせ
)
を
契
(
ちぎ
)
りつつ
089
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
に
住
(
す
)
みたく
思
(
おも
)
ふ』
090
美男
(
びなん
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
091
『
吾
(
われ
)
こそはエームス
王
(
わう
)
の
従弟
(
いとこ
)
にて
092
セームスといふ
軽
(
かる
)
きものなり
093
御心
(
みこころ
)
に
叶
(
かな
)
ひ
奉
(
まつ
)
らば
今日
(
けふ
)
よりは
094
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
びて
千代
(
ちよ
)
を
語
(
かた
)
らむ
095
われは
今
(
いま
)
エームス
王
(
わう
)
の
目
(
め
)
を
忍
(
しの
)
び
096
姫
(
ひめ
)
を
恋
(
こ
)
ひつつ
此処
(
ここ
)
に
来
(
きた
)
りし
097
名
(
な
)
も
位
(
くら
)
も
生命
(
いのち
)
も
吾
(
われ
)
は
惜
(
を
)
しからじ
098
君
(
きみ
)
と
会
(
あ
)
ふ
夜
(
よ
)
のありと
思
(
おも
)
へば』
099
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
100
『
懐
(
なつ
)
かしの
君
(
きみ
)
に
会
(
あ
)
ひてゆわが
胸
(
むね
)
は
101
高鳴
(
たかな
)
り
止
(
や
)
まず
面
(
おも
)
ほてりけり
102
明日
(
あす
)
さればこの
森林
(
しんりん
)
に
君
(
きみ
)
と
吾
(
われ
)
と
103
千代
(
ちよ
)
の
契
(
ちぎ
)
りを
語
(
かた
)
らはむかも』
104
セームスは
歌
(
うた
)
ふ。
105
『ありがたき
情
(
なさけ
)
の
言葉
(
ことば
)
聞
(
き
)
くにつけ
106
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
の
雄猛
(
をたけ
)
びやまずも』
107
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひつつ、
108
何処
(
いづこ
)
へか
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
109
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
茫然
(
ばうぜん
)
として
佇
(
たたず
)
みながら
歌
(
うた
)
ふ。
110
『いぶかしき
事
(
こと
)
の
限
(
かぎ
)
りよ
麗
(
うるは
)
しき
111
恋
(
こひ
)
のセームス
煙
(
けむり
)
と
消
(
き
)
えたり
112
エームスの
王
(
きみ
)
にいやまし
麗
(
うるは
)
しき
113
セームスこそはわが
生命
(
いのち
)
かも』
114
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひながら、
115
しづしづと
殿内
(
でんない
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
る。
116
アララギは
玄関
(
げんくわん
)
に
迎
(
むか
)
へながら、
117
『
汝
(
なれ
)
は
今
(
いま
)
いづらにありし
供人
(
ともびと
)
も
118
つれずひとり
身
(
み
)
危
(
あや
)
ふからずや
119
汝
(
な
)
が
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
えぬに
吾
(
われ
)
は
驚
(
おどろ
)
きて
120
千々
(
ちぢ
)
に
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
きたりしよ
121
明日
(
あす
)
よりは
御供
(
みとも
)
をつれて
出
(
い
)
でませよ
122
一人
(
ひとり
)
歩
(
あゆ
)
みは
危
(
あや
)
ふかるらむ』
123
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
124
『
百花
(
ももばな
)
の
清
(
きよ
)
きかをりに
誘
(
さそ
)
はれて
125
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
一人
(
ひとり
)
遊
(
あそ
)
びぬ
126
水
(
みづ
)
をもてめぐれる
木田山
(
きたやま
)
城内
(
じやうない
)
に
127
恐
(
おそ
)
るべきもの
如何
(
いか
)
であるべき
128
此
(
こ
)
の
城
(
しろ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
心
(
こころ
)
のままなれば
129
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
んじ
遊
(
あそ
)
ぶともよし』
130
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
へる
折
(
をり
)
しも、
131
エームス
王
(
わう
)
は
姫
(
ひめ
)
の
姿
(
すがた
)
なきに
稍
(
やや
)
待
(
ま
)
ちかまへ
気味
(
ぎみ
)
なりしが、
132
その
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りて、
133
『
汝
(
なれ
)
は
今
(
いま
)
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
るか
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
134
いたくさやぎてありけるものを
135
明日
(
あす
)
よりは
侍女
(
じぢよ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
遊
(
あそ
)
ぶべし
136
一人
(
ひとり
)
歩
(
あゆ
)
みは
吾意
(
わがい
)
に
叶
(
かな
)
はじ』
137
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
微笑
(
ほほゑ
)
みながら
歌
(
うた
)
ふ。
138
『
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
幸
(
さち
)
を
祈
(
いの
)
ると
裏庭
(
うらには
)
に
139
佇
(
たたず
)
み
神言
(
かみごと
)
白
(
まを
)
し
居
(
ゐ
)
たりき』
140
斯
(
か
)
くて
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
は
黄昏
(
たそがれ
)
の
闇
(
やみ
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
141
夫婦
(
ふうふ
)
睦
(
むつ
)
まじく
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
きけるが、
142
その
翌日
(
あくるひ
)
はチンリウ
姫
(
ひめ
)
の
提言
(
ていげん
)
として、
143
城内
(
じやうない
)
の
菖蒲池
(
あやめいけ
)
に
舟
(
ふね
)
を
浮
(
うか
)
べ、
144
半日
(
はんにち
)
の
清遊
(
せいいう
)
を
試
(
こころ
)
むる
事
(
こと
)
となりぬ。
145
菖蒲池
(
あやめいけ
)
に
舟遊
(
ふなあそ
)
びの
準備
(
じゆんび
)
は
整
(
ととの
)
ふた。
146
然
(
しか
)
しながら
舟
(
ふね
)
と
言
(
い
)
つても
大木
(
たいぼく
)
の
幹
(
みき
)
を
石鑿
(
いしのみ
)
を
以
(
もつ
)
てゑぐりたるものなりければ、
147
余
(
あま
)
り
多
(
おほ
)
くの
人
(
ひと
)
の
乗
(
の
)
るべき
余地
(
よち
)
なく、
148
エームス
王
(
わう
)
はじめ、
149
チンリウ
姫
(
ひめ
)
、
150
アララギ
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
のみなりける。
151
王
(
わう
)
は
菖蒲池
(
あやめいけ
)
の
汀
(
みぎは
)
に
匂
(
にほ
)
へる
紫
(
むらさき
)
の
花
(
はな
)
を
打
(
う
)
ち
見
(
み
)
やりつつ
愉快
(
ゆくわい
)
げに
歌
(
うた
)
ふ。
152
『
菖蒲
(
あやめ
)
咲
(
さ
)
く
此
(
こ
)
の
池水
(
いけみづ
)
に
棹
(
さを
)
さして
153
ものいふ
花
(
はな
)
と
遊
(
あそ
)
ぶ
楽
(
たの
)
しさ
154
水底
(
みなそこ
)
にうつろふ
花
(
はな
)
の
紫
(
むらさき
)
を
155
見
(
み
)
つつ
床
(
ゆか
)
しき
舟遊
(
ふなあそ
)
びかな
156
八千尋
(
やちひろ
)
の
深
(
ふか
)
き
池底
(
ちてい
)
にひそむなる
157
真鯉
(
まごひ
)
、
緋鯉
(
ひごひ
)
も
驚
(
おどろ
)
きにけむ
158
此
(
こ
)
の
池
(
いけ
)
に
初
(
はじ
)
めて
舟
(
ふね
)
を
浮
(
うか
)
べつつ
159
遊
(
あそ
)
ぶは
昔
(
むかし
)
ゆ
例
(
ためし
)
なきかな
160
此
(
こ
)
の
池
(
いけ
)
に
魔神
(
まがみ
)
の
棲
(
す
)
むと
昔
(
むかし
)
より
161
伝
(
つた
)
へ
来
(
きた
)
れど
今日
(
けふ
)
の
安
(
やす
)
けさ
162
アララギの
雄々
(
をを
)
しき
女
(
をみな
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
163
遊
(
あそ
)
ぶ
御舟
(
みふね
)
は
楽
(
たの
)
しかりけり』
164
アララギは
歌
(
うた
)
ふ。
165
『
吾
(
わが
)
王
(
きみ
)
の
言葉
(
ことば
)
の
巧
(
たく
)
みさあきれたり
166
アララギならでチンリウならずや
167
年
(
とし
)
老
(
お
)
いし
此
(
こ
)
のアララギは
花
(
はな
)
の
香
(
か
)
も
168
はや
失
(
う
)
せぬればかをらひもなし』
169
エームス
王
(
わう
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
170
『
春
(
はる
)
匂
(
にほ
)
ふ
花
(
はな
)
もよけれどまた
秋
(
あき
)
の
171
花
(
はな
)
のかをりも
捨
(
す
)
て
難
(
がた
)
く
思
(
おも
)
ふ
172
五月雨
(
さみだれ
)
の
空
(
そら
)
晴
(
は
)
れにつつ
燕子花
(
かきつばた
)
173
菖蒲
(
あやめ
)
匂
(
にほ
)
へる
清
(
すが
)
しき
今日
(
けふ
)
なり
174
チンリウの
姫
(
ひめ
)
の
装
(
よそほ
)
ひ
清
(
きよ
)
ければ
175
菖蒲
(
あやめ
)
もかきつも
恥
(
はぢ
)
らひ
顔
(
がほ
)
なる』
176
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
177
『わが
王
(
きみ
)
の
言葉
(
ことば
)
嬉
(
うれ
)
しやたのもしや
178
われは
生命
(
いのち
)
を
捧
(
ささ
)
げて
仕
(
つか
)
へむ
179
わが
王
(
きみ
)
の
手活
(
ていけ
)
の
花
(
はな
)
と
匂
(
にほ
)
ひつつ
180
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
の
要
(
かなめ
)
と
仕
(
つか
)
へむ』
181
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
182
不思議
(
ふしぎ
)
や
池水
(
いけみづ
)
は
俄
(
にはか
)
に
煮
(
に
)
えくり
返
(
かへ
)
り、
183
水柱
(
みづばしら
)
各所
(
かくしよ
)
に
立
(
た
)
ち
狂乱
(
きやうらん
)
怒濤
(
どたう
)
のために
独木舟
(
まるきぶね
)
は
忽
(
たちま
)
ち
顛覆
(
てんぷく
)
し、
184
エームス
王
(
わう
)
は
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
水中
(
すいちう
)
に
落
(
お
)
ちたるまま
遂
(
つひ
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はさざりける。
185
茲
(
ここ
)
に
生命
(
いのち
)
からがら、
186
アララギ、
187
チンリウ
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
の
侍女
(
じぢよ
)
は
汀辺
(
みぎはべ
)
に
這
(
は
)
い
上
(
あが
)
り、
188
玉
(
たま
)
の
生命
(
いのち
)
をつなぎける。
189
先
(
さき
)
の
日
(
ひ
)
チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれし、
190
セームスといふ
美男
(
びなん
)
は
此
(
こ
)
の
池
(
いけ
)
の
主
(
ぬし
)
にして、
191
巨大
(
きよだい
)
なる
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
なりけるが、
192
俄
(
にはか
)
に
池水
(
いけみづ
)
を
躍
(
をど
)
らせて
舟
(
ふね
)
を
顛覆
(
てんぷく
)
せしめ、
193
王
(
わう
)
の
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
ひとり、
194
チンリウ
姫
(
ひめ
)
の
夫
(
をつと
)
となりて
此
(
こ
)
の
城
(
しろ
)
にはばらむとする
計略
(
たくみ
)
なりける。
195
これより
不思議
(
ふしぎ
)
やアララギ
及
(
およ
)
び
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
は、
196
生命
(
いのち
)
は
助
(
たす
)
かりたれども、
197
眼
(
まなこ
)
眩
(
くら
)
み
喉
(
のど
)
塞
(
ふさ
)
がりて
何一
(
なにひと
)
つ
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
ず、
198
また
語
(
かた
)
らふ
事
(
こと
)
も
得
(
え
)
ずなりにける。
199
それ
故
(
ゆゑ
)
王
(
わう
)
の
水中
(
すいちう
)
に
陥
(
おちい
)
りて
溺死
(
できし
)
したる
事
(
こと
)
も
知
(
し
)
らずに
居
(
ゐ
)
たりしなり。
200
茲
(
ここ
)
に
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
は、
201
エームス
王
(
わう
)
となりて
奥殿
(
おくでん
)
に
端然
(
たんぜん
)
と
控
(
ひか
)
へ、
202
チンリウ
姫
(
ひめ
)
を
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
侍
(
はべ
)
らせ
不義
(
ふぎ
)
の
快楽
(
けらく
)
に
耽
(
ふけ
)
りつつ
国政
(
こくせい
)
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
乱
(
みだ
)
れゆくこそ
浅
(
あさ
)
ましかりける。
203
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は、
204
どこともなくエームス
王
(
わう
)
に
似
(
に
)
たれども、
205
稍
(
やや
)
様子
(
やうす
)
の
異
(
こと
)
なれるに
不審
(
ふしん
)
の
眉
(
まゆ
)
をひそめながら
歌
(
うた
)
ふ。
206
『エームスの
王
(
きみ
)
は
池中
(
ちちう
)
に
陥
(
おちい
)
りて
207
生命
(
いのち
)
死
(
し
)
せしと
思
(
おも
)
ひたりしを
208
エームスの
王
(
きみ
)
と
思
(
おも
)
へどどこやらに
209
わが
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちぬ
節
(
ふし
)
のあるかも
210
先
(
さき
)
の
日
(
ひ
)
に
吾
(
われ
)
と
語
(
かた
)
りし
艶人
(
あでびと
)
に
211
若
(
も
)
しあらずやと
疑
(
うたが
)
はれぬる』
212
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
213
『
愚
(
おろか
)
なりチンリウ
姫
(
ひめ
)
よ
吾
(
われ
)
こそは
214
先
(
さき
)
の
日
(
ひ
)
会
(
あ
)
ひしセームスなるぞや
215
幸
(
さいは
)
ひにエームス
王
(
わう
)
は
滅
(
ほろ
)
びたり
216
いざやこれより
汝
(
なれ
)
と
住
(
す
)
みなむ
217
歎
(
なげ
)
くとも
逝
(
ゆ
)
きたる
人
(
ひと
)
は
帰
(
かへ
)
らまじ
218
吾
(
われ
)
にいそひて
暮
(
くら
)
させ
給
(
たま
)
へ』
219
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
220
『
思
(
おも
)
ひきや
汝
(
なれ
)
はセームス
優男
(
やさをとこ
)
221
わがたましひを
蘇
(
よみがへ
)
らせり
222
われもまたエームス
王
(
わう
)
にあき
居
(
ゐ
)
たり
223
汝
(
なれ
)
が
姿
(
すがた
)
を
見初
(
みそ
)
めてしより
224
汝
(
なれ
)
こそは
常世
(
とこよ
)
の
夫
(
つま
)
よ
恋
(
こひ
)
の
夫
(
つま
)
よ
225
生命
(
いのち
)
捧
(
ささ
)
げて
吾
(
われ
)
は
仕
(
つか
)
へむ』
226
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
227
『
汝
(
なれ
)
とても
誠
(
まこと
)
のチンリウ
姫
(
ひめ
)
ならず
228
センリウ
姫
(
ひめ
)
の
贋玉
(
にせだま
)
なりけむ
229
吾
(
われ
)
もまた
誠
(
まこと
)
のエームス
王
(
わう
)
ならず
230
従弟
(
いとこ
)
のセームス
優男
(
やさをとこ
)
なり
231
贋物
(
にせもの
)
と
贋物
(
にせもの
)
二人
(
ふたり
)
が
此
(
こ
)
の
城
(
しろ
)
に
232
二世
(
にせ
)
を
契
(
ちぎ
)
るも
面白
(
おもしろ
)
からずや
233
アララギは
眼
(
まなこ
)
失
(
うしな
)
ひ
唖
(
おし
)
となり
234
わがたくらみを
悟
(
さと
)
らであるらし
235
今日
(
けふ
)
よりは
汝
(
なれ
)
に
免
(
めん
)
じてアララギの
236
病
(
やまひ
)
は
癒
(
いや
)
し
永久
(
とは
)
に
救
(
すく
)
はむ』
237
チンリウ
姫
(
ひめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
238
『
吾
(
わが
)
母
(
はは
)
を
救
(
すく
)
ひ
給
(
たま
)
ふかありがたし
239
さすがは
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
なりにけり
240
よき
事
(
こと
)
のいやつぎつぎに
重
(
かさ
)
なりて
241
恋
(
こひ
)
しき
汝
(
なれ
)
にいそひ
居
(
ゐ
)
るかも
242
どこまでもエームス
王
(
わう
)
となりすまし
243
木田山
(
きたやま
)
城
(
じやう
)
に
臨
(
のぞ
)
ませ
給
(
たま
)
へよ』
244
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
245
『
汝
(
な
)
が
言葉
(
ことば
)
宜
(
うべ
)
なり
吾
(
われ
)
はどこまでも
246
エームス
王
(
わう
)
となりて
臨
(
のぞ
)
まむ
247
面白
(
おもしろ
)
き
吾世
(
わがよ
)
なるかも
木田山
(
きたやま
)
の
248
城
(
しろ
)
の
主
(
あるじ
)
となれる
思
(
おも
)
へば』
249
斯
(
か
)
くして
贋
(
にせ
)
のチンリウ
姫
(
ひめ
)
と、
250
蠑螈
(
いもり
)
の
精
(
せい
)
の
化身
(
けしん
)
なる
贋
(
にせ
)
のエームス
王
(
わう
)
は、
251
木田山
(
きたやま
)
城内
(
じやうない
)
奥深
(
おくふか
)
く
住
(
す
)
み
込
(
こ
)
みて、
252
国政
(
こくせい
)
は
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
乱
(
みだ
)
れ
衰
(
おとろ
)
へ、
253
遂
(
つひ
)
には
収拾
(
しうしふ
)
すべからざるに
至
(
いた
)
りたるこそ
是非
(
ぜひ
)
なけれ。
254
(
昭和九・八・一五
旧七・六
於水明閣
白石恵子
謹録)
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