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第三章 月見(つきみ)(いけ)〔二〇三〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻 篇:第1篇 伊佐子の島 よみ(新仮名遣い):いさごのしま
章:第3章 月見の池 よみ(新仮名遣い):つきみのいけ 通し章番号:2030
口述日:1934(昭和9)年08月04日(旧06月24日) 口述場所:伊豆別院 筆録者:林弥生 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
百日間の工程を経て、麗しい神殿は完成を見た。アヅミ王を始め重臣たちは斎殿に集まり、七日七夜の修祓(しゅうばつ)を終えると、遷座式を行う段取りとなった。
月光山の中腹には月見の池という清らかな泉が湧いていた。
アヅミ王いかの修祓行者たちはこの池に集まり、おのおの泉の水を頭上からかぶりながら禊を行い、イドム国の再興やチンリウ王女の無事を神に祈る歌を歌った。
アヅミ王はいままでの心のあり方におごりがあったことに気づき、今後は心を立て直して、神の御前に畏み仕える気持ちで国を治めなければならないことを悟った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm8103
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 436頁 修補版: 校定版:56頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 月光山(つきみつやま)聖場(せいぢやう)は、002アヅミ(わう)発起(ほつき)により、003(ひやく)(にち)工程(こうてい)(いそ)ぎ、004(やうや)(うつく)しき神殿(しんでん)建築(けんちく)(をは)りければ、005ここにアヅミ(わう)(はじ)左守(さもり)006右守(うもり)007軍師(ぐんし)(その)()(つかさ)(たち)は、008斎殿(いみどの)(あつま)り、009七日(なぬか)七夜(ななよ)修祓(しうばつ)(をは)り、010()大神(おほかみ)遷座式(せんざしき)(おこな)ふべき段取(だんど)りとなりにける。
011 月光山(つきみつやま)中腹(ちうふく)には月見(つきみ)(いけ)(しよう)する清泉(せいせん)涌出(ゆうしゆつ)して、012蒼空(さうくう)(つき)(そこ)(ふか)(うつ)せり。013(あだか)白銀(はくぎん)(たま)水底(みなそこ)(しづ)めし(ごと)()えて、014その(ゆか)しさ(かぎ)りなし。015アヅミ(わう)以下(いか)修祓(しうばつ)修行者(しゆぎやうしや)は、016七日目(なぬかめ)(ゆふべ)月見(つきみ)(いけ)(あつま)(きた)り、017各自(おのもおのも)清泉(せいせん)頭上(づじやう)より()きかぶりながら(うた)ふ。
018 アヅミ(わう)(うた)ふ。
019身体(からたま)霊魂(みたま)(すが)しくなりにけり
020七日(なぬか)七夜(ななよ)修祓(しうばつ)()
021月光山(つきみつやま)月見(つきみ)(いけ)(たたず)めば
022水底(みなそこ)(ふか)(つき)はかがよふ
023(あふ)()れば月読(つきよみ)(ふね)()して()れば
024水底(みそこ)(つき)(たま)とかがよふ
025(つき)(つき)(なか)(たたず)心地(ここち)して
026(みそぎ)をはりし(ゆふ)(すが)しき
027()(かみ)御霊(みたま)御殿(みとの)()(まつ)
028明日(あす)はいよいよ御祭(みまつり)(つか)へむ
029()てしなき御空(みそら)(あを)(うつ)したる
030月見(つきみ)(いけ)(そこ)にも(つき)あり
031(つき)(ほし)水底(みそこ)(きよ)(かがや)けり
032われは(そら)ゆく(とり)にあらずや
033(たたず)みて月見(つきみ)(いけ)(なが)めつつ
034雲井(くもゐ)伊行(いゆ)心地(ここち)するかな
035(はる)さりて紫躑躅(むらさきつつじ)紅躑躅(べにつつじ)
036月見(つきみ)(いけ)(みぎは)(にほ)へり
037(しろ)(てふ)(はな)にたはむるやさしかげ
038月見(つきみ)(いけ)(そこ)にも(あそ)べる
039常磐木(ときはぎ)(まつ)木蔭(こかげ)()(にほ)
040躑躅(つつじ)水底(みそこ)(あか)()えたり
041(てん)()()みきらひたる今日(けふ)()
042(みそぎ)(をは)りしわれは(うれ)しも
043天地(あめつち)(かみ)(みそぎ)しわが(たま)
044(うべな)ひまして天降(あも)りますらむ
045イドム(じやう)(てき)(うば)はれわれは(いま)
046月光山(つきみつやま)(みそぎ)するかも
047昼夜(ひるよる)(かみ)(いの)りて(たま)()
048(ちから)(つよ)めて(くに)(まも)らむ
049(あふ)()れば御空(みそら)月読(つきよみ)(かげ)(きよ)
050(ほし)真砂(まさご)のまたたけるかな
051月光山(つきみつやま)()春風(はるかぜ)(やはら)かく
052(ゆふ)べの(はやし)小鳥(ことり)なくなり』
053 ムラジ(ひめ)(うた)ふ。
054(なげ)かひの(かず)(かさ)ねて(いま)此処(ここ)
055水底(みそこ)にうつる(つき)()るかな
056水底(みなそこ)()みきらひたる(つき)()れば
057うべよ月見(つきみ)(いけ)(とな)ふも
058水底(みなそこ)にかげを(しづ)めて月読(つきよみ)
059(よる)(まも)りとかがやき(たま)へり
060(ひる)(まも)(よる)(まも)りを()けながら
061月光山(つきみつやま)(くに)(まも)らむ
062チンリウ(ひめ)行方(ゆくへ)(いま)にわからねど
063(つき)をし()れば(こころ)やはらぐ
064大空(おほぞら)()(わた)りたる(はる)()
065(つき)(おぼろ)なりわが()(おも)ふも
066大空(おほぞら)(にはか)(かすみ)(つつ)まひて
067水底(みそこ)(つき)(かげ)をぼかせり
068(はる)()(つき)(ちから)(にほ)ふらむ
069躑躅(つつじ)(つゆ)(たま)()りつつ
070(しづ)かなる(ゆふ)べなるかな()(かぜ)
071いとやはらかに山雀(やまがら)()
072(ゆふ)されど山雀(やまがら)()くこの(やま)
073(かみ)(めぐみ)(あら)はれなるかも
074水底(みなそこ)真砂(まさご)(かず)()ゆるまで
075(つき)()えたり(かすみ)()けて
076()(かぜ)御空(みそら)(おほ)ひし春霞(はるがすみ)
077(たちま)()れて(そら)(はだ)()
078()(かみ)御舎(みあらか)とならむ()(やま)
079御魂(みたま)(きよ)めて(すが)しきわれなり
080大空(おほぞら)(つき)流転(るてん)のかげなれば
081われは(なげ)かじ(うつ)りゆく()
082(ある)()(あるい)()つる月光(つきかげ)
083わが(たましひ)()かせ(たま)へり
084光闇(ひかりやみ)ゆき()()ぞと(おも)へども
085なほ(しの)ばるるイドムの(しろ)かな
086朝夕(あさゆふ)()ふる(むすめ)行先(ゆくさき)
087(たづ)ねまほしき(つき)にぞありける
088祖々(おやおや)(さづ)(たま)ひしイドム(じやう)
089()()(つき)()(よし)もなし
090わが(あふ)御空(みそら)(つき)はイドム(じやう)
091常磐木(ときはぎ)(まつ)()かりし(かげ)かも
092ここに()(こころ)(すが)しくなりにけり
093(あした)(ゆふ)べを(かぜ)(にほ)へば
094(つき)()ゆる樹下(こした)(かげ)丹躑躅(につつじ)
095無心(むしん)(いろ)(たた)へて(わら)へり』
096 シウランは(うた)ふ。
097『わが(きみ)(よろこ)(たま)へイドム(じやう)
098(なが)めし(つき)(かがや)(たま)へり
099故郷(ふるさと)(なが)むる(つき)月光(つきみつ)
100(やま)(あふ)ぐと(おも)へば(ゆか)しき
101何国(いづくに)()てにも月日(つきひ)()るものを
102如何(いか)(なげ)かむ()ぎにし(ゆめ)
103現世(うつしよ)(ゆめ)(おも)へど月読(つきよみ)
104かげをし()れば(うつつ)にかへる
105百余(ひやくよ)()(へだ)てて(あふ)月光(つきかげ)
106(かは)りなき()(おも)へば(たの)
107真珠湖(しんじゆこ)(うか)べる(つき)人魚(にんぎよ)()
108(えら)(よろこ)(あふ)ぎゐるらむ
109塩辛(しほから)人魚(にんぎよ)(うみ)(くら)ぶれば
110月見(つきみ)(いけ)一入(ひとしほ)(すが)しき
111わが(きみ)(なげ)(たま)ふな()(うへ)
112(かは)らぬ月日(つきひ)(かがや)(たま)へば
113かくの(ごと)(すが)しき(やま)(こも)らひて
114祭政(さいせい)一致(いつち)(たの)しかるべし
115()(かみ)(いつ)きまつりて(この)(くに)
116政治(まつりごと)せむ月日(つきひ)にならひて
117天津(あまつ)()(めぐ)(かしこ)月読(つきよみ)
118(つゆ)(ちから)()(をさ)めませ
119七日(なぬか)七夜(ななよ)霊魂(みたま)身体(からたま)(みそぎ)して
120月見(つきみ)(いけ)(つき)(した)しむ
121(こずゑ)()(かぜ)(おと)さへ(しづ)かなり
122(きみ)御心(みこころ)(あら)はれにつつ
123村肝(むらきも)(こころ)(しづ)かに(とき)()ちて
124イドムの(しろ)()(かへ)さばや
125エールスの(しこ)(つかさ)(つよ)くとも
126(まこと)(かみ)(ちから)(およ)ばじ
127わが(きみ)刃向(はむか)ひまつりしエールスの
128()ては(かなら)ずよろしからまじ
129エールスの(しこ)(みたま)(すく)ひやりて
130月光(つきかげ)(ごと)(きよ)めたきもの
131われとても(つき)(ひかり)(のり)として
132霊魂(みたま)身体(からたま)(きよ)(すす)まむ
133常闇(とこやみ)(ひかり)(ちから)()きさかれ
134(かがや)()なり(かみ)(まか)さむ
135わが(きみ)(いくさ)(つかさ)(まけ)られて
136もろくも(やぶ)れし(おも)へば(はづ)かし
137(つき)(おも)(あふ)ぐも(はづ)かしわが(きみ)
138(うへ)(まも)らで(やぶ)れし(おも)へば
139(はぢ)らひつ御空(みそら)(つき)(なが)むれば
140()みておはせり(おもて)(おだひ)に』
141 左守(さもり)のナーマンは(うた)ふ。
142(たたか)ひに(やぶ)れて(なげ)きのわれながら
143()えたる今宵(こよひ)(つき)()るかな
144(つき)()れば千々(ちぢ)(なげ)きも()れゆきて
145(よみがへ)りたる心地(ここち)こそすれ
146イドム(じやう)(うしな)ひたれどわが(きみ)
147まめやかにます(おも)へば(たの)しき
148姫君(ひめぎみ)行方(ゆくへ)はいづくか()らねども
149()きていまさむ(かみ)(まも)りに
150エールスの(しこ)(つかさ)征討(きた)めむと
151(おも)(こころ)永久(とは)()れずも
152左守(さもり)われ(くに)政治(まつり)(あやま)りて
153(きみ)(なげ)きを()せまつりける
154わが(きみ)(こころ)なやませ村肝(むらきも)
155(こころ)()つても()ても()られず
156寛大(くわんだい)なる(きみ)(こころ)にほだされて
157われは生命(いのち)今日(けふ)まで(たも)ちし
158わが(くに)(きみ)(たい)して申訳(まうしわけ)
159()たざるわれは()なむと(おも)ひし
160さりながら()するは(やす)(うま)るるは
161(かた)しと(おも)ひて(しの)()つるも
162(たま)()生命(いのち)(たも)ちて(きみ)のため
163わが(てき)(ほろ)ぼすとながらへ()るも
164(こころ)()(はな)(うるは)しく汀辺(みぎはべ)
165(はる)(にほ)へどわれは(さび)しき
166大空(おほぞら)(かがや)(つき)(かげ)()れば
167わが(おろか)しさに(はぢ)らひのわく
168(たま)()生命(いのち)(かぎ)(きみ)のため
169(うらみ)()らして(しろ)とりもどさむ』
170 アヅミ(わう)(うた)ふ。
171『ナーマンの(かな)しき(こころ)はわれ()れり
172(こころ)(やす)かれ(とき)()ちつつ
173ナーマンの(つみ)にはあらず天地(あめつち)
174(かみ)(はな)れしわれの(つみ)ぞや』
175 ナーマンは(うた)ふ。
176『わが(きみ)(やさ)しき言葉(ことば)()くにつけ
177わが()(なみだ)しとど()るなり
178わが(きみ)(おも)ひを何時(いつ)()らさむと
179(あした)(ゆふ)べを(かみ)(いの)りつ
180()(かみ)御舎(みあらか)(やうや)出来上(できあが)
181御霊遷(みたまうつ)しの()()()たるる』
182 右守(うもり)のターマンは(うた)ふ。
183『わが(きみ)御言(みこと)(かしこ)しナーマンの
184(こころ)いぢらしわれは()くなり
185(いま)までの(なげ)きを(つき)にまかせつつ
186御国(みくに)(おこ)すと御神(みかみ)(いの)らむ
187()(うへ)(わざ)はことごと()(かみ)
188(めぐ)みに(はな)れて()るものはなし
189()(かみ)(あつ)(まつ)りて言霊(ことたま)
190(きよ)御稜威(みいづ)()()けむかも
191言霊(ことたま)(いくさ)(もち)ゐず現世(うつしよ)
192弓矢(ゆみや)(いくさ)(ほろ)ぼされたり
193この(うへ)(ひと)(そこな)弓矢(ゆみや)()てて
194生言霊(いくことたま)(たたか)はむかな
195七日(なぬか)七夜(ななよ)修祓(しうばつ)(をは)村肝(むらきも)
196(こころ)(とみ)()(わた)りける
197(はる)されば(はな)自然(しぜん)()くものを
198(なに)(さわ)がむ今日(けふ)のわが()
199わが(きみ)(さかえ)(きみ)とあがめつつ
200月光山(つきみつやま)(とき)()つべし
201右守(うもり)われは(きみ)御国(みくに)をあやまりて
202(まが)(つかさ)(うば)はれにけり
203わが(つみ)万死(ばんし)(あた)(おも)けれど
204やがて(むく)いむ(とき)(ちから)
205しばらくを(こころ)(しづ)かに()(たま)
206エールス(わう)()ひそけて()
207エールスの(つかさ)征討(きた)(やぶ)らねば
208わが()(つみ)(ほろ)びざるべし
209久方(ひさかた)御空(みそら)伊行(いゆ)月光(つきかげ)
210()けてかくるる(ためし)ある()
211(やみ)()(ひさ)しからまじやがて(また)
212()えたる(つき)(かがや)(たま)はむ
213月光(つきかげ)次第(しだい)々々(しだい)(ふと)りつつ
214まだ()()ぎに(ほそ)りゆくなり
215(ほそ)りつつ御空(みそら)(やみ)となりぬれど
216また月光(つきかげ)()づる()なるよ』
217 アヅミ(わう)(ふたた)(うた)ふ。
218(つき)(きよ)きこの(いけ)()(みそぎ)して
219各自(おのもおのも)(こころ)()らしぬ
220われは(いま)(なれ)()(きよ)心根(こころね)
221(した)しく()きて(よみがへ)りたり
222大空(おほぞら)(つき)もかくるる()なりけり
223(なに)(なげ)かむ(なれ)()(ちから)
224われこそは独身(ひとりみ)ならずたくましき
225(なれ)()(ちから)(たの)()なれば
226()(かみ)(うづ)(めぐみ)をかがふりて
227(しづ)かに(おも)ひを()らさむと(おも)
228(いま)までの(こころ)(ふすま)()(なほ)
229(かみ)御前(みまへ)(かしこ)(つか)へむ
230()(かみ)をよそになしつつわが(くに)
231(をさ)まるべしやはと(さと)らひにけり』
232 右守(うもり)(うた)ふ。
233『わが(きみ)(かしこ)言霊(ことたま)()くにつけ
234(くに)(さかえ)(いま)より(おも)
235わが(きみ)御言(みこと)(うべ)なり()(かみ)
236功績(いさをし)なくて(をさ)まるべきかは
237エールスの(まが)隙間(すきま)をうかがひて
238イドムの(くに)(うば)ひたりけむ』
239 ムラジ(ひめ)(ふたた)(うた)ふ。
240何時(いつ)となく(こころ)(おご)りてわが(ちから)
241(たの)みし(こと)(わざはひ)なりしよ
242明日(あす)されば()大神(おほかみ)()ぎまつり
243いとうるはしく御祭(みまつり)(つか)へむ』
244昭和九・八・四 旧六・二四 於伊豆別院 林弥生謹録)
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