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第五章

インフォメーション
題名:第5章 著者:出口瑞月
ページ:16
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B117100c05
明治三十八年の正月の九日
 出口の澄子、緑の黒髪ふつと切り神の御前に供へ(たてまつ)る。王仁(おに)怪しみてその故を問ふ。彼答へず。王仁(しき)りに問ふて惜かず。すなはち(おもむ)ろに答へて曰く、吾が髪を切りしは神の為め道の為めはたまた(すくひ)の為なり。ある人の深き迷ひを(さま)さんが為なり。その人の目覚めざるに於ては神の道は明かなること(あた)はじ。また迷へる羊を救ふ能はじ。またわが夫の踏み給へる道を立つる事能はず。これ(わらは)が心の誠を証して神に第一に、ある人の深き罪を謝し、道の栄えを祈りたるなりと。
祈病癒(やまひのなほるをいのる)祝詞
 掛巻くも(かしこ)(あが)皇神(すめかみ)大御前(おほみまへ)(かしこ)み恐みも(まを)さく、何国何郡何村何某(なにがし)(何々の)病ありて月日(つきひ)佐麻(さま)禰久(ねく)病臥(やみこ)せり。彼これをもつて(斎主名)に事計(ことはか)りて畏こけれども、(わが)皇神(すめかみ)の大前を(いつ)(まつ)りて、蒼生(あをひとぐさ)を恵み給ふ恩頼(みたまのふゆ)祈願(こひのみ)(まつ)らんとして、今日の吉日(よきひ)吉時(よきとき)に(名)に礼代(いやしろ)幣帛(みてくら)を捧げ持ちて恐み恐みも称辞(たたへごと)()(まつ)らしむ。掛巻くも畏き皇神この有様を(たひ)らけく安らけく聞食(きこしめ)して、(病人名)が悩む病を(すみやか)に直し給ひ癒し給ひて、堅磐(かきは)常磐(ときは)息内(いのち)長く()の守り日の守りに守り給へ(さきは)へ給へと畏み畏み(まを)す。
祈家内安全(かないあんぜんをいのる)祝詞
 掛巻くも畏き(あが)大神の大前に恐み恐みも(まを)さく。(何国何郡何村何某(なにがし)())、(あが)大神の恩頼(みたまのふゆ)に依りて、その家の(いや)益々に立栄(たちさか)えんことを祈願(こひのみ)(まを)さんとして、(斎主名)に礼代(いやしろ)幣帛(みてくら)を捧げ持ちて恐み恐みも称辞(たたへごと)()(まつ)らしむ。この(さま)(たひら)けく安らけく聞食(きこしめ)して、(何某(なにがし))が家内(やぬち)には八十(やそ)枉津霊(まがつひ)枉事(まがごと)あらしめず、家業(なりはい)(たゆ)むことなく怠る事なく(いそし)み勉めて、その家門(いへかど)(おこ)さしめ給ひ広めしめ給ひ、堅磐(かきは)に常磐に息内(いのち)長く子孫(うみのこ)八十連(やそつづき)に至るまで、五十橿(いかし)八桑枝(やくはえ)の如く立栄(たちさか)えしめ給ひ、(あやまち)犯す事のあらむをば見直し聞直し()して、()(まもり)()(まもり)に守り給へ(さちは)へ給へと恐み恐みも(まを)す。
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