一、教役者に告ぐ。汝ら布教の為めに、役員または信者の家に至りて宿するときは、宜しく心を配りて遠く慮かるべし。
二、人は食ふが為めに生くるにあらず、生くるが為めに食ふなり。ゆゑに飽くまで食らひ飽くまで飲むものは、不道徳の至りにして神の御旨に叶はざるなり。
三、神の御旨に叶はざるものは、自から亡びを招くべし。
四、あまり大食するものは、人に賤しまるるのみならず、神の御名までも悪くするの虞あり。
五、曲津神に襲はれしものは総て大食するものなり、大飲するものなり。
六、飯は一度に三椀を定とすべし。あまり空腹のときは四椀食するも可なり。これより超ゆるものは不道徳の至りなり。
七、汁は二椀を越ゆべからず。これより多く吸ふものは恥を曝らすものなり。
八、止むを得ざる時の外は、必ずや正午前、または夕飯前には、役員信徒の家に至る事なかれ。されど先方より招かれしときはこの限りにあらず。
九、また正午前と夕飯まへには決して信徒の家に止まるなかれ。己が定まりたる住家に帰るべし。
一〇、教役者よ汝ら役員信徒の家に宿りたるとき、家人の朝起き出るまで起きる事なかれ。また家人の起き出でたりと知らば、直ちに起き出でて自ら寝床を片付け、決して家人を労する事なかれ。
一一、又かりそめにも、食ふもの飲むものの話など為すを慎しむべし。
一二、あまり大食するものはその家の内儀に第一に忌み嫌はるべし。
一三、富める家には長く止まりて良し。貧しき家にはあまり長居すべからず。
一四、三度の食事よりほかに漫りに食らふを慎しむべし。
一五、あまり茶をがぶがぶ飲むな、茶菓子をあらすな、恥を思へ。
一六、家人の忙しき事に掛り居るを見れば、勉めてその業を手伝ふべし。
一七、本章は殊更に王仁が本教の教役者に忠告する所なり、朝な夕なに省みよ。