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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第18巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 弥仙の神山
第1章 春野の旅
第2章 厳の花
第3章 神命
第2篇 再探再険
第4章 四尾山
第5章 赤鳥居
第6章 真か偽か
第3篇 反間苦肉
第7章 神か魔か
第8章 蛙の口
第9章 朝の一驚
第10章 赤面黒面
第4篇 舎身活躍
第11章 相身互
第12章 大当違
第13章 救の神
第5篇 五月五日祝
第14章 蛸の揚壺
第15章 遠来の客
第16章 返り討
第17章 玉照姫
霊の礎(四)
余白歌
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第18巻(巳の巻)
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(B)
(N)
四尾山 >>>
第三章
神命
(
しんめい
)
〔六三一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻
篇:
第1篇 弥仙の神山
よみ(新仮名遣い):
みせんのみやま
章:
第3章 神命
よみ(新仮名遣い):
しんめい
通し章番号:
631
口述日:
1922(大正11)年04月24日(旧03月28日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年2月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
豊彦・豊姫らの家を出て、山を半分ほど登ったところで日が暮れて暗闇となってきた。一行は枯れ草の混じった禿げた芝生の上に横になって寝についた。
猿の声、大蛇の這うような音、虎狼が唸るような怪声が聞こえてくる。大木が折れるような岩石が崩壊するような凄まじい物音で加米彦は目を覚ました。
加米彦は恐ろしさに夏彦を起こそうとするが、夏彦はこんなことは山の中ではよくあることだと、取り合わない。夏彦はまたいびきをかいて寝てしまったので、加米彦は三人の間に寝て、夜が明けるのを待っていた。
春の夜は早く明けて、一行は朝の禊と拝を行った。そして朝食の後に山を登ると、ほどなくして頂上に達した。
加米彦は絶景を嘆賞していたが、悦子姫は山頂のご神前に暗祈黙祷していた。しばらくして、悦子姫は神勅が下ったので先に行く、と言い残してさっさと山を下ってしまった。
加米彦は慌てて後を追っていく。音彦と夏彦はゆうゆうとご神前に祝詞を上げてからくだり、山の五合目ほどで加米彦に追いついた。
一行は綾の聖地を指して宣伝歌を歌いながら進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-03-07 02:22:14
OBC :
rm1803
愛善世界社版:
45頁
八幡書店版:
第3輯 653頁
修補版:
校定版:
46頁
普及版:
21頁
初版:
ページ備考:
001
賤
(
しづ
)
が
伏家
(
ふせや
)
を
後
(
あと
)
にして、
002
悦子姫
(
よしこひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
は、
003
胸突坂
(
むなつきざか
)
をテクテクと、
004
梯子
(
はしご
)
登
(
のぼ
)
りに
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
005
日
(
ひ
)
は
西山
(
せいざん
)
に
傾
(
かたむ
)
きて、
006
昼
(
ひる
)
さへ
暗
(
くら
)
き
深山
(
しんざん
)
を、
007
黒
(
くろ
)
く
色彩
(
いろど
)
る
群烏
(
むらがらす
)
、
008
塒
(
ねぐら
)
尋
(
たづ
)
ねて
右左
(
みぎひだり
)
、
009
ガアガアガアと
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ふ、
010
見上
(
みあ
)
ぐる
空
(
そら
)
に
鷹
(
たか
)
鳶
(
とんび
)
、
011
羽
(
はね
)
一文字
(
いちもんじ
)
に
展開
(
てんかい
)
し、
012
悠々
(
いういう
)
迫
(
せま
)
らず
空中
(
くうちう
)
を
征服
(
せいふく
)
せる
態度
(
たいど
)
を
示
(
しめ
)
し
居
(
ゐ
)
る。
013
加米彦
(
かめひこ
)
『ヤアこれは
大変
(
たいへん
)
、
014
大切
(
たいせつ
)
な
一張羅
(
いつちやうら
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
服
(
ふく
)
に
鳶
(
とび
)
の
奴
(
やつ
)
、
015
糞
(
くそ
)
をかけよつた。
016
実
(
じつ
)
に
糞懣
(
ふんまん
)
の
至
(
いた
)
りだ。
017
オイ
鳶
(
とび
)
の
奴
(
やつ
)
、
018
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
、
019
一先
(
ひとま
)
づ
此方
(
こつち
)
へ
引
(
ひ
)
き
戻
(
もど
)
せ、
020
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
を
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
して
呉
(
く
)
れうぞ』
021
夏彦
(
なつひこ
)
『アハヽヽヽ、
022
ウフヽヽヽ』
023
音彦
(
おとひこ
)
『
何
(
なん
)
とか
言
(
い
)
はねば
虫
(
むし
)
の
納
(
をさ
)
まらぬ
男
(
をとこ
)
だなア、
024
何程
(
なにほど
)
人間
(
にんげん
)
が
偉
(
えら
)
いと
云
(
い
)
うても、
025
空中
(
くうちう
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
翺翔
(
かうしよう
)
するだけの
神力
(
しんりき
)
は
無
(
な
)
いから、
026
黙
(
だま
)
つて
泣
(
な
)
き
寝入
(
ねい
)
るが
利巧
(
りかう
)
だなア』
027
加米彦
(
かめひこ
)
『エヽ
忌々
(
いまいま
)
しい、
028
音彦
(
おとひこ
)
さま
迄
(
まで
)
が
鳶
(
とび
)
の
応援
(
おうゑん
)
をしたり、
029
水臭
(
みづくさ
)
い
人
(
ひと
)
だ。
030
糞
(
くそ
)
忌々
(
いまいま
)
しい、
031
アヽ
臭
(
くさ
)
い
九
(
く
)
歳
(
さい
)
の
十八
(
じふはち
)
歳
(
さい
)
だ』
032
音彦
(
おとひこ
)
『
大変
(
たいへん
)
其辺
(
そこら
)
が
暗
(
くら
)
くなつて
来
(
き
)
たぢやないか、
033
道
(
みち
)
で
紛失
(
ふんしつ
)
しないやうに、
034
二
(
に
)
尺
(
しやく
)
位
(
くらゐ
)
距離
(
きより
)
を
保
(
たも
)
つて
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
にしよう』
035
加米彦
(
かめひこ
)
『
何程
(
なにほど
)
暗
(
くら
)
くつても、
036
苦楽
(
くらく
)
を
共
(
とも
)
にする
吾々
(
われわれ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
だ、
037
かういふ
時
(
とき
)
には
加米彦
(
かめひこ
)
には
大変
(
たいへん
)
都合
(
つがふ
)
がよい
哩
(
わい
)
、
038
無形
(
むけい
)
に
見
(
み
)
ると
云
(
い
)
ふ
天眼通
(
てんがんつう
)
が
開
(
ひら
)
けて
御座
(
ござ
)
らぬノダ。
039
オイ
夏彦
(
なつひこ
)
、
040
俺
(
おれ
)
の
腰
(
こし
)
を
捉
(
つか
)
まへて
来
(
く
)
るのだぞ、
041
貴様
(
きさま
)
は
体
(
からだ
)
が
小
(
ちひ
)
さいから、
042
ひよつとすると
蕗
(
ふき
)
の
葉
(
は
)
の
下
(
した
)
にでもなると、
043
分
(
わか
)
らぬやうになるからなア』
044
夏彦
(
なつひこ
)
『お
前
(
まへ
)
、
045
それでもエロー
体
(
からだ
)
が
動揺
(
どうえう
)
して
居
(
を
)
るぢやないか、
046
何
(
いづ
)
れ
歩行
(
ほかう
)
すれば
全身
(
ぜんしん
)
は
動揺
(
どうえう
)
するものだが、
047
お
前
(
まへ
)
の
動揺振
(
どうえうぶり
)
はチト
変
(
へん
)
だぞ、
048
慄
(
ふる
)
うとるのぢやないかな』
049
加米彦
(
かめひこ
)
『
何
(
ど
)
うでもよいワ、
050
確
(
しつか
)
りと
俺
(
おれ
)
の
腰
(
こし
)
を
捉
(
つか
)
まへて
居
(
を
)
るのだ、
051
放
(
はな
)
しちやならぬぞ』
052
夏彦
(
なつひこ
)
『ハヽヽヽヽ、
053
随分
(
ずゐぶん
)
負
(
ま
)
けぬ
気
(
き
)
な
男
(
をとこ
)
だなア、
054
怖
(
こわ
)
いのだらう』
055
加米彦
(
かめひこ
)
『こわいともこわいとも、
056
踵
(
きびす
)
の
皮
(
かは
)
が
大変
(
たいへん
)
硬
(
こわ
)
い
哩
(
わい
)
』
057
音彦
(
おとひこ
)
『
悦子姫
(
よしこひめ
)
さま、
058
かう
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
がピタリと
降
(
お
)
りては
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか、
059
夜
(
よる
)
になると
目
(
め
)
の
見
(
み
)
えない
人間
(
にんげん
)
は
不自由
(
ふじゆう
)
ですなア』
060
悦子姫
(
よしこひめ
)
『
何処
(
どこ
)
か
適当
(
てきたう
)
な
場所
(
ばしよ
)
で
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かしませうか、
061
最早
(
もはや
)
山
(
やま
)
も
半分
(
はんぶん
)
ばかり
登
(
のぼ
)
つたやうですが、
062
どうせ
今日
(
けふ
)
参拝
(
さんぱい
)
を
済
(
す
)
まして
帰
(
かへ
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きますまいから』
063
加米彦
(
かめひこ
)
『アヽ
目
(
め
)
の
見
(
み
)
えぬ
人間
(
にんげん
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだ、
064
盲
(
めくら
)
千
(
せん
)
人
(
にん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
とはよくも
云
(
い
)
つたものだ。
065
目明
(
めあ
)
き
一人
(
ひとり
)
の
加米彦
(
かめひこ
)
も
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いワ、
066
交際
(
おつきあひ
)
に
此処
(
ここ
)
で
御輿
(
みこし
)
を
下
(
おろ
)
さうかい』
067
夏彦
(
なつひこ
)
『オイ
加米彦
(
かめひこ
)
、
068
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ、
069
実際
(
じつさい
)
目
(
め
)
が
見
(
み
)
えるのか』
070
加米彦
(
かめひこ
)
『
見
(
み
)
えるとも
見
(
み
)
えるとも、
071
目
(
め
)
の
見
(
み
)
えぬ
奴
(
やつ
)
は
盲
(
めくら
)
ぢやないか』
072
夏彦
(
なつひこ
)
『ハヽア
此奴
(
こいつ
)
は
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
身魂
(
みたま
)
だな、
073
暗
(
くら
)
がりで
目
(
め
)
の
見
(
み
)
える
奴
(
やつ
)
は
狐
(
きつね
)
、
074
狸
(
たぬき
)
、
075
鼬
(
いたち
)
か
猫
(
ねこ
)
か、
076
又
(
また
)
違
(
ちが
)
うたら
虎
(
とら
)
、
077
熊
(
くま
)
、
078
狼
(
おほかみ
)
と
云
(
い
)
ふ
代物
(
しろもの
)
だ。
079
オイ
四足
(
よつあし
)
先生
(
せんせい
)
、
080
今日
(
けふ
)
は
十分
(
じふぶん
)
威張
(
ゐば
)
るとよい
哩
(
わい
)
、
081
何処
(
どこ
)
ぞ
其辺
(
そこら
)
に
兎
(
うさぎ
)
でも
居
(
を
)
つたら
探
(
さが
)
して
丸喰
(
まるぐ
)
ひなとして
来
(
こ
)
い』
082
加米彦
(
かめひこ
)
『
誰
(
たれ
)
だつて
目
(
め
)
は
見
(
み
)
えるが、
083
それや
火
(
ひ
)
を
点
(
とも
)
すか、
084
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた
上
(
うへ
)
のこつた、
085
アハヽヽヽ』
086
夏彦
(
なつひこ
)
『
大分
(
だいぶん
)
四足
(
よつあし
)
が
徹
(
こた
)
へたと
見
(
み
)
える
哩
(
わい
)
、
087
ソンナラもう
四足
(
よつあし
)
の
称号
(
しやうがう
)
だけは
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り、
088
特別
(
とくべつ
)
の
仁慈
(
じんじ
)
をもつて
解除
(
かいぢよ
)
してやらうかい』
089
加米彦
(
かめひこ
)
『
大
(
おほ
)
きに
憚
(
はばか
)
りさま、
090
今
(
いま
)
は
他人
(
たにん
)
ぢや、
091
放
(
ほ
)
つて
置
(
お
)
いてくれ、
092
又
(
また
)
御
(
ご
)
親類
(
しんるゐ
)
になつたら
宜敷
(
よろし
)
うお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します、
093
オホヽヽヽ』
094
悦子姫
(
よしこひめ
)
『モシモシ
加米彦
(
かめひこ
)
さま、
095
夏彦
(
なつひこ
)
さま、
096
さう
喧
(
やかま
)
しう
仰有
(
おつしや
)
ると
此
(
この
)
お
山
(
やま
)
には
だいじや
が
沢山
(
たくさん
)
居
(
ゐ
)
ますから、
097
些
(
ちつ
)
と
おとな
しうなされませや』
098
加米彦
(
かめひこ
)
『ハイハイ、
099
何
(
なに
)
が
来
(
き
)
たつて
だいじや
御座
(
ござ
)
いませぬ、
100
元来
(
ぐわんらい
)
が
豪胆
(
がうたん
)
不敵
(
ふてき
)
な
性質
(
うまれつき
)
、
101
長
(
なが
)
の
先生
(
せんせい
)
、
102
千匹
(
せんびき
)
や
万匹
(
まんびき
)
束
(
たば
)
になつてお
出
(
いで
)
になつても、
103
些
(
ちつ
)
とも
おろちい
事
(
こと
)
はありませぬ
哩
(
わい
)
』
104
音彦
(
おとひこ
)
『エヽ
喧
(
やかま
)
しい
哩
(
わい
)
、
105
沈黙
(
ちんもく
)
々々
(
ちんもく
)
』
106
茲
(
ここ
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
去年
(
こぞ
)
の
名残
(
なごり
)
の
枯草
(
かれくさ
)
の
交
(
まじ
)
つた、
107
中年増
(
ちうどしま
)
の
頭髪
(
とうはつ
)
のやうな
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に、
108
右腹
(
みぎはら
)
を
下
(
した
)
に
足
(
あし
)
を
曲
(
ま
)
げ
体
(
からだ
)
を
さ
の
字形
(
じがた
)
につがねて
静
(
しづ
)
かに
寝
(
しん
)
につきたり。
109
梢
(
こずゑ
)
を
伝
(
つた
)
ふ
猿
(
ましら
)
の
群
(
むれ
)
、
110
幾百
(
いくひやく
)
とも
知
(
し
)
らず、
111
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
にキヤツキヤツと
亡国
(
ばうこく
)
的
(
てき
)
の
啼声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
淋
(
さび
)
しさを
添
(
そ
)
へてゐる。
112
風
(
かぜ
)
も
吹
(
ふ
)
かぬにザアザアと
大蛇
(
をろち
)
の
草野
(
くさの
)
を
渡
(
わた
)
るやうな
声
(
こゑ
)
、
113
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
唸
(
うな
)
るやうな
怪声
(
くわいせい
)
、
114
遠近
(
をちこち
)
に
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たり、
115
大木
(
たいぼく
)
を
捻折
(
ねぢお
)
る
音
(
おと
)
、
116
大岩石
(
だいがんせき
)
の
一度
(
いちど
)
に
崩壊
(
ほうくわい
)
する
如
(
ごと
)
き
凄
(
すさま
)
じき
物音
(
ものおと
)
に
加米彦
(
かめひこ
)
は
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし、
117
小声
(
こごゑ
)
になつて
夏彦
(
なつひこ
)
の
耳
(
みみ
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ、
118
加米彦
『オイ、
119
なゝ
夏
(
なつ
)
、
120
夏
(
なつ
)
、
121
夏彦
(
なつひこ
)
ヤイ』
122
歯
(
は
)
、
123
カチカチカチ、
124
加米彦
『オヽ
起
(
お
)
きぬかい、
125
あの
音
(
おと
)
、
126
きゝ
聞
(
き
)
きよつたか』
127
夏彦
(
なつひこ
)
『
喧
(
やかま
)
しう
云
(
い
)
ふない、
128
悦子姫
(
よしこひめ
)
様
(
さま
)
の
安眠
(
あんみん
)
の
妨害
(
ばうがい
)
になるぞ、
129
貴様
(
きさま
)
コンナ
深山
(
しんざん
)
に
来
(
き
)
たら
是
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
の
事
(
こと
)
はありがちだよ、
130
キヤアキヤア
云
(
い
)
うて
女
(
をんな
)
でも
締
(
し
)
め
殺
(
ころ
)
すやうな
声
(
こゑ
)
のするのは、
131
あれや
猿
(
さる
)
の
群
(
むれ
)
だ、
132
ザアザアと
音
(
おと
)
のするのは
大蛇隊
(
だいじやたい
)
の
大活動
(
だいくわつどう
)
の
音
(
おと
)
だ、
133
オンオンオンと
唸
(
うな
)
つて
居
(
を
)
るのはあれや
狼
(
おほかみ
)
や
熊
(
くま
)
の
先生
(
せんせい
)
が
いきつ
て
居
(
を
)
るのだよ、
134
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
が
裂
(
さ
)
けるやうな
音
(
おと
)
がしたり、
135
岩石
(
がんせき
)
が
崩壊
(
ほうくわい
)
したりするやうな
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えるのは
鼻高
(
はなたか
)
の
悪戯
(
いたづら
)
だ、
136
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
を
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
で
唱
(
とな
)
へて
早
(
はや
)
く
寝
(
ね
)
ぬかい』
137
加米彦
(
かめひこ
)
『
寝
(
ねえ
)
と
云
(
い
)
つたつて、
138
コンナ
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
い
処
(
ところ
)
で
安眠
(
あんみん
)
も
出来
(
でき
)
ぬぢやないか』
139
夏彦
(
なつひこ
)
『お
前
(
まへ
)
は
罪障
(
ざいしやう
)
の
深
(
ふか
)
い
罪
(
つみ
)
の
重
(
おも
)
い
代物
(
しろもの
)
とみえる
哩
(
わい
)
、
140
梟鳥
(
ふくろどり
)
は
夜分
(
やぶん
)
になると
噪
(
はしや
)
いで
昼
(
ひる
)
はコンモリとした
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
小
(
ちい
)
さくなつて
大
(
おほ
)
きな
眼
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
るが、
141
お
前
(
まへ
)
はそれと
正反対
(
せいはんたい
)
な
昼
(
ひる
)
になると
滅多
(
めつた
)
矢鱈
(
やたら
)
に
噪
(
はしや
)
ぎ
廻
(
まは
)
し、
142
夜
(
よる
)
になると
蛭
(
ひる
)
に
塩
(
しほ
)
を
呑
(
の
)
ませたやうに、
143
百足
(
むかで
)
に
唾
(
つばき
)
を
吐
(
は
)
きかけたやうに
弱
(
よわ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふのだな、
144
強弱
(
きやうじやく
)
のハーモニイが
取
(
と
)
れぬ
男
(
をとこ
)
だ。
145
マアマア
俺
(
おれ
)
の
体
(
からだ
)
にでも
喰
(
くら
)
ひついて
慄
(
ふる
)
ひもつて
寝
(
ね
)
るがよい
哩
(
わい
)
』
146
加米彦
(
かめひこ
)
『
頼
(
たの
)
む
頼
(
たの
)
む、
147
併
(
しか
)
しながらコンナ
事
(
こと
)
を、
148
音彦
(
おとひこ
)
や
悦子姫
(
よしこひめ
)
さまに
云
(
い
)
うて
呉
(
く
)
れては
困
(
こま
)
るよ、
149
極秘
(
ごくひ
)
にしてお
前
(
まへ
)
の
腹
(
はら
)
へ
仕舞
(
しま
)
つて
置
(
お
)
いて
呉
(
く
)
れ』
150
夏彦
(
なつひこ
)
『ヨシヨシ、
151
承知
(
しようち
)
した、
152
その
代
(
かは
)
り
余
(
あま
)
り
昼
(
ひる
)
になつて
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
に
噪
(
はしや
)
ぐと
素破
(
すつぱ
)
抜
(
ぬ
)
くからさう
覚悟
(
かくご
)
して
居
(
を
)
れ、
153
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
鎌
(
かま
)
の
柄
(
え
)
を
俺
(
おれ
)
が
握
(
にぎ
)
つて、
154
切
(
き
)
れる
方
(
はう
)
をお
前
(
まへ
)
が
掴
(
つか
)
みて
居
(
ゐ
)
るやうなものだからなア、
155
アハヽヽヽ』
156
加米彦
(
かめひこ
)
『ソンナ
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
笑
(
わら
)
ふない、
157
安眠
(
あんみん
)
の
妨害
(
ばうがい
)
になるぞ、
158
サアサア
寝
(
ね
)
よう』
159
夏彦
(
なつひこ
)
は
早
(
はや
)
くも
高鼾
(
たかいびき
)
をかいてゐる。
160
加米彦
(
かめひこ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
中央
(
ちうあう
)
に
挟
(
はさ
)
まつて
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
くるのを
今
(
いま
)
や
遅
(
おそ
)
しと
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
161
怪
(
あや
)
しの
声
(
こゑ
)
は
間断
(
かんだん
)
なく、
162
且
(
か
)
つ
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
強烈
(
きやうれつ
)
に
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
163
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
は
明
(
あ
)
け
易
(
やす
)
く、
164
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
はいつしか
空
(
そら
)
に
捲
(
ま
)
くり
上
(
あ
)
げられた。
165
百鳥
(
ももどり
)
の
声
(
こゑ
)
は
噪
(
さは
)
がしく
囀
(
さへづ
)
り
初
(
はじ
)
めたり。
166
それと
同時
(
どうじ
)
に
今迄
(
いままで
)
の
巨声
(
きよせい
)
怪音
(
くわいおん
)
はピタリと
止
(
と
)
まりぬ。
167
加米彦
(
かめひこ
)
は
又
(
また
)
もや
元気
(
げんき
)
回復
(
くわいふく
)
し、
168
加米彦
『アヽ
春
(
はる
)
の
夜
(
よさ
)
と
云
(
い
)
ふものは
短
(
みじか
)
いものだな、
169
今
(
いま
)
其処
(
そこ
)
に
倒
(
こ
)
けたと
思
(
おも
)
へばもう
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けよつた。
170
サアサア
音彦
(
おとひこ
)
さま、
171
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
けて
手水
(
てうづ
)
でも
使
(
つか
)
つて
登山
(
とざん
)
しませうか、
172
もうこれだけ
ぐつすり
寝
(
ね
)
たら
昼
(
ひる
)
の
疲
(
つか
)
れもやすまつたでせう。
173
私
(
わたくし
)
も
潰
(
つぶ
)
れる
程
(
ほど
)
よく
寝
(
ね
)
て
仕舞
(
しま
)
ひました』
174
夏彦
(
なつひこ
)
『オヽ
本当
(
ほんたう
)
に
皆
(
みな
)
よく
寝
(
ね
)
ましたな、
175
併
(
しか
)
しこの
中
(
なか
)
に
〆
(
しめ
)
て
一人
(
ひとり
)
不寝番
(
ねずばん
)
を
務
(
つと
)
めて
呉
(
く
)
れた
忠実
(
ちうじつ
)
なお
方
(
かた
)
がありますよ、
176
悦子姫
(
よしこひめ
)
さま、
177
どうぞ
論功
(
ろんこう
)
行賞
(
かうしやう
)
に
漏
(
も
)
れないやうに
頼
(
たの
)
みますぜ』
178
加米彦
(
かめひこ
)
『ウンさうさう、
179
雀
(
すずめ
)
の
奴
(
やつ
)
に、
180
烏
(
からす
)
の
奴
(
やつ
)
、
181
寝
(
ね
)
る
時
(
とき
)
にチウチウガアガア
云
(
い
)
うて
居
(
を
)
つた。
182
矢張
(
やつぱり
)
吾々
(
われわれ
)
のために
不寝番
(
ねずばん
)
を
務
(
つと
)
めて
呉
(
く
)
れたと
見
(
み
)
え、
183
相変
(
あひかは
)
らずチウチウカアカアと
忠勤振
(
ちうきんぶり
)
を
発揮
(
はつき
)
して
御座
(
ござ
)
る。
184
ひとり
や
二
(
ふた
)
とり
や、
185
三羽
(
さんば
)
や
四羽
(
よは
)
の
鳥
(
とり
)
ぢやない、
186
何千
(
なんぜん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
程
(
ほど
)
の
鳥
(
とり
)
ぢや』
187
夏彦
(
なつひこ
)
『ヘン
誰
(
たれ
)
も
聞
(
き
)
くものがないのに
やもめ
の
行水
(
ぎやうずゐ
)
ぢやないが、
188
一人
(
ひとり
)
湯取
(
ゆうと
)
る
哩
(
わい
)
、
189
ハヽヽヽ』
190
悦子姫
(
よしこひめ
)
『
弥
(
いよいよ
)
、
191
新
(
あたら
)
しい
光明
(
ひかり
)
が
頂
(
いただ
)
けました。
192
サアサア
幸
(
さいは
)
ひ
此処
(
ここ
)
に
湧
(
わ
)
いて
居
(
を
)
る
清水
(
しみづ
)
で
手水
(
てみづ
)
を
使
(
つか
)
つて、
193
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
しませう』
194
と
傍
(
かたはら
)
の
清水
(
しみづ
)
に
口
(
くち
)
を
嗽
(
すす
)
ぎ
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
ふ。
195
三
(
さん
)
人
(
にん
)
も
影
(
かげ
)
の
形
(
かたち
)
に
従
(
したが
)
ふ
如
(
ごと
)
く
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
を
繰返
(
くりかへ
)
したり。
196
祝詞
(
のりと
)
の
奏上
(
そうじやう
)
も
無事
(
ぶじ
)
に
済
(
す
)
み、
197
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
腰
(
こし
)
の
皮包
(
かはづつみ
)
より
焼
(
や
)
き
飯
(
めし
)
を
出
(
だ
)
して
手軽
(
てがる
)
く
朝餉
(
あさげ
)
をすまし、
198
悦子姫
(
よしこひめ
)
の
先頭
(
せんとう
)
にて
頂上
(
ちやうじやう
)
目蒐
(
めが
)
けて
行進
(
かうしん
)
。
199
間
(
ま
)
もなく
頂上
(
ちやうじやう
)
に
達
(
たつ
)
したり。
200
年
(
とし
)
経
(
ふ
)
りたる
老樹
(
らうじゆ
)
の
茂
(
しげ
)
みを
透
(
す
)
かして
田辺
(
たなべ
)
の
海
(
うみ
)
はキラキラ
光
(
ひか
)
り、
201
船
(
ふね
)
の
白帆
(
しらほ
)
は
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
にまたたき
居
(
ゐ
)
たり。
202
加米彦
(
かめひこ
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
絶景
(
ぜつけい
)
でせう、
203
悦子姫
(
よしこひめ
)
さま、
204
音彦
(
おとひこ
)
さま、
205
暫
(
しばら
)
く
汗
(
あせ
)
が
乾
(
かわ
)
く
迄
(
まで
)
御輿
(
みこし
)
を
下
(
おろ
)
して
呼吸
(
いき
)
を
調
(
ととの
)
へ、
206
其
(
その
)
後
(
ご
)
に
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
にかかりませうか』
207
と
皆
(
みな
)
まで
云
(
い
)
はず、
208
どつかと
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
し
足
(
あし
)
を
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
し、
209
膝頭
(
ひざがしら
)
を
揉
(
も
)
み
居
(
ゐ
)
る。
210
悦子姫
(
よしこひめ
)
は
徐々
(
しづしづ
)
と
神前
(
しんぜん
)
に
進
(
すす
)
み、
211
何事
(
なにごと
)
か
頻
(
しき
)
りに
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
しつつありき。
212
加米彦
(
かめひこ
)
『
遠
(
とほ
)
く
瞳
(
ひとみ
)
を
放
(
はな
)
てば
千山
(
せんざん
)
万嶽
(
ばんがく
)
重畳
(
ちようでふ
)
として
際限
(
さいげん
)
無
(
な
)
く、
213
各自
(
かくじ
)
にその
容姿
(
ようし
)
を
誇
(
ほこ
)
り
顔
(
がほ
)
に、
214
特徴
(
とくちやう
)
を
発揮
(
はつき
)
して
居
(
を
)
る
哩
(
わい
)
。
215
近
(
ちか
)
きは
青
(
あを
)
く、
216
或
(
あるひ
)
はコバルト
色
(
いろ
)
に
山容
(
さんよう
)
を
飾
(
かざ
)
り、
217
紺碧
(
こんぺき
)
の
海
(
うみ
)
は
眼下
(
がんか
)
に
輝
(
かがや
)
き、
218
天
(
てん
)
は
薄雲
(
うすぐも
)
の
衣
(
ころも
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ、
219
奥
(
おく
)
の
奥
(
おく
)
の
其
(
その
)
奥
(
おく
)
迄
(
まで
)
地金
(
ぢがね
)
を
現
(
あら
)
はして
居
(
ゐ
)
る。
220
其
(
その
)
中心
(
ちうしん
)
に
名物
(
めいぶつ
)
男
(
をとこ
)
の
加米彦
(
かめひこ
)
が
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
になつて、
221
宇宙
(
うちう
)
の
森羅
(
しんら
)
万象
(
ばんしやう
)
を
睥睨
(
へいげい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
222
此
(
この
)
場
(
ば
)
の
光景
(
くわうけい
)
は
恰
(
あたか
)
も
一幅
(
いつぷく
)
の
宇宙
(
うちう
)
大活人
(
だいくわつじん
)
画
(
ぐわ
)
のやうだ。
223
天
(
てん
)
は
広々
(
くわうくわう
)
として
際限
(
さいげん
)
なく、
224
海
(
うみ
)
は
洋々
(
やうやう
)
として
極
(
きは
)
まりなし、
225
燕雀
(
えんじやく
)
何
(
なん
)
ぞ
大鵬
(
たいほう
)
の
志
(
こころざし
)
を
知
(
し
)
らむ。
226
エイ、
227
燕
(
つばめ
)
の
奴
(
やつ
)
、
228
小雀
(
こすずめ
)
の
餓鬼
(
がき
)
、
229
喧
(
やかま
)
しい
哩
(
わい
)
、
230
些
(
ちつ
)
と
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
らないか、
231
安眠
(
あんみん
)
の、
232
オツトドツコイ
悦子姫
(
よしこひめ
)
様
(
さま
)
が
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
の
妨害
(
ばうがい
)
になるぞ』
233
音彦
(
おとひこ
)
『コラコラ
加米彦
(
かめひこ
)
、
234
お
前
(
まへ
)
こそ
妨害
(
ばうがい
)
になる、
235
些
(
ちつ
)
と
言霊
(
ことたま
)
を
慎
(
つつし
)
まぬか』
236
加米彦
(
かめひこ
)
『ハイハイ
早速
(
さつそく
)
言霊
(
ことたま
)
の
停電
(
ていでん
)
を
命
(
めい
)
じます』
237
悦子姫
(
よしこひめ
)
『サアサア
皆
(
みな
)
さま
下向
(
げかう
)
致
(
いた
)
しませう』
238
加米彦
(
かめひこ
)
『モシモシ、
239
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
240
折角
(
せつかく
)
苦労
(
くらう
)
艱難
(
かんなん
)
をして
頂上
(
ちやうじやう
)
を
突
(
つ
)
き
止
(
と
)
め、
241
祝詞
(
のりと
)
も
上
(
あ
)
げずお
祈
(
いの
)
りもせぬ
先
(
さき
)
に
下向
(
げかう
)
されては、
242
何
(
なに
)
しに
此処迄
(
ここまで
)
やつて
来
(
き
)
たのか
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
りませぬ、
243
どうぞ
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
244
悦子姫
(
よしこひめ
)
『
妾
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
重大
(
ぢうだい
)
なる
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
が
下
(
くだ
)
りました、
245
一刻
(
いつこく
)
も
猶予
(
いうよ
)
をする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませぬ、
246
一足
(
ひとあし
)
お
先
(
さき
)
に
女
(
をんな
)
の
足弱
(
あしよわ
)
、
247
下向
(
げかう
)
致
(
いた
)
します。
248
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
は
悠
(
ゆつ
)
くり
祝詞
(
のりと
)
を
上
(
あ
)
げ、
249
後
(
あと
)
から
追
(
お
)
ひついて
下
(
くだ
)
さい、
250
アリヨウス』
251
加米彦
(
かめひこ
)
『エヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
252
肝腎
(
かんじん
)
の
女王
(
ぢよわう
)
に
見限
(
みかぎ
)
られては
浮
(
う
)
かぶ
瀬
(
せ
)
がない。
253
何事
(
なにごと
)
も
簡単
(
かんたん
)
を
尊
(
たふと
)
ぶ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ぢや、
254
繁文
(
はんぶん
)
縟礼
(
じよくれい
)
的
(
てき
)
の
祝詞
(
のりと
)
は
略
(
りやく
)
しまして、
255
道々
(
みちみち
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
しながら
下向
(
げかう
)
致
(
いた
)
しませう、
256
時間
(
じかん
)
の
経済
(
けいざい
)
上
(
じやう
)
一挙
(
いつきよ
)
両得
(
りやうとく
)
だ』
257
と
周章
(
あわて
)
狼狽
(
ふため
)
き
悦子姫
(
よしこひめ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
うて、
258
口
(
くち
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
称
(
とな
)
へながら、
259
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
を
地響
(
ぢひび
)
きさせつつ
駈
(
か
)
け
下
(
くだ
)
る。
260
音彦
(
おとひこ
)
、
261
夏彦
(
なつひこ
)
は
悠々
(
いういう
)
と
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
神言
(
かみごと
)
を
上
(
あ
)
げ、
262
恭
(
うやうや
)
しく
再拝
(
さいはい
)
拍手
(
はくしゆ
)
の
式
(
しき
)
を
終
(
を
)
へ
下向
(
げかう
)
の
途
(
と
)
につく。
263
山
(
やま
)
の
五合目
(
ごがふめ
)
辺
(
あた
)
りにて
一行
(
いつかう
)
の
足
(
あし
)
は
揃
(
そろ
)
ひたり。
264
これより、
265
加米彦
(
かめひこ
)
は
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
を
指
(
さ
)
して
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひながら
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
266
(
大正一一・四・二四
旧三・二八
加藤明子
録)
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