霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第八章 (かはづ)(くち)〔六三六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻 篇:第3篇 反間苦肉 よみ(新仮名遣い):はんかんくにく
章:第8章 蛙の口 よみ(新仮名遣い):かわずのくち 通し章番号:636
口述日:1922(大正11)年04月26日(旧03月30日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年2月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
綾彦とは、行方不明になっていた豊彦・豊姫の長男であった。豊彦は夢のお告げで、腹が膨れるお玉の祈願のために彦・お民夫婦を真名井の豊国姫命へ参拝させよ、と神命を受けた。さっそく二人を真名井に参詣させたところ、黒姫の部下たちに捕まってしまったのだった。
魔窟ケ原に帰ってきた浅公は、黒姫に報告をし、さも自分たちが神力でバラモン教徒から綾彦・お民を助け出したかのように語った。
黒姫は、綾彦に自分の身の回りで御用をするように申し付け、お民はウラナイ教の支所・高城山で、松姫の用を足すようにと命じた。
浅公以下は、黒姫から、綾彦夫婦を連れて来た手柄の褒美として、酒を飲むことを許可され、宴会を開いている。一同は酔いに乗じて、今日の策略を大声で話していた。
綾彦とお民は、廊下からふと酒酔いの笑い声を耳にして、聞き耳を立てると、浅公らの企みをすべて聞いてしまった。二人は顔を見合わせ、ひそひそと何事かを囁きながら一睡もせずに夜を明かした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-03-16 17:34:12 OBC :rm1808
愛善世界社版:126頁 八幡書店版:第3輯 684頁 修補版: 校定版:130頁 普及版:57頁 初版: ページ備考:
001黄金(こがね)(みね)(きこ)えたる
002弥仙(みせん)(やま)麓辺(ふもとべ)
003(この)()(しの)豊彦(とよひこ)
004(むすめ)(たま)(いぶ)かしや
005去年(こぞ)(あき)よりブクブクと
006(いき)(くる)しく()(つき)
007むかつき()した布袋腹(ほていばら)
008豊彦(とよひこ)夫婦(ふうふ)()(よる)
009(こころ)(いた)()(はな)
010(かみ)(ねがひ)掛巻(かけま)くも
011(かしこ)(かみ)(ゆめ)()
012真名井(まなゐ)(はら)()れませる
013豊国姫(とよくにひめ)大神(おほかみ)
014御許(みもと)綾彦(あやひこ)(たみ)をば
015一日(ひとひ)(はや)(まゐ)らせよ
016天地(あめつち)かぬる大神(おほかみ)
017(うづ)御霊(みたま)御心(みこころ)
018(さと)(たま)ふと()るうちに
019(たちま)(ゆめ)(やぶ)られて
020雨戸(あまど)(たた)(あめ)(おと)
021(あき)()()(こがらし)
022()かれて()つる(さわ)がしさ
023()(やうや)くに()けぬれば
024(あに)綾彦(あやひこ)(つま)(たみ)
025二人(ふたり)(めい)じて逸早(いちはや)
026(とき)(うつ)さず豊国姫(とよくにひめ)
027(うづ)(みこと)(おん)(まへ)
028参向(さんかう)せよと(めい)ずれば
029正直(しやうぢき)一途(いちづ)孝行者(かうかうもの)
030(おや)言葉(ことば)大地(だいち)より
031(おも)しと(あふ)夫婦(ふうふ)()
032草蛙(わらぢ)脚絆(きやはん)扮装(いでたち)
033若草山(わかくさやま)()()えて
034(そら)真倉(まくら)谷径(たにみち)
035(すす)(すす)みて一本木(いつぽんぎ)
036田辺(たなべ)丸八江(まるやえ)由良(ゆら)(かは)
037(いき)切戸(きれど)文珠堂(もんじゆだう)
038(あま)橋立(はしだて)(みぎ)()
039(おや)言葉(ことば)一言(ひとこと)
040小言(こごと)(たがひ)岩淵(いはふち)
041広野(ひろの)()ぎて五箇(ごか)(しやう)
042比治山(ひぢやま)(たうげ)(みね)(つづ)
043比沼(ひぬ)真名井(まなゐ)神霊地(しんれいち)
044(みづ)宝座(ほうざ)参拝(さんぱい)
045(くさ)(まくら)(かず)(かさ)
046普甲峠(ふかふたふげ)(ふもと)まで
047すたすた(かへ)二人(ふたり)()
048(たちま)()るる(あき)(そら)
049黒雲(くろくも)(ひく)(ふさ)がりて
050(こころ)(やみ)怖々(おぢおぢ)
051(かへ)(きた)れる(みち)(うへ)
052(おも)はず(つまづ)(ひと)(かげ)
053(たちま)()(にん)荒男(あらをとこ)
054前後(ぜんご)左右(さいう)()(あが)
055(ころ)して()れむと呶鳴(どな)りつつ
056()つやら()るやら(なぐ)るやら
057綾彦(あやひこ)(たみ)(こゑ)(かぎ)
058(たす)けて()れえと(さけ)(こゑ)
059()くより(たちま)(くら)がりに
060(あら)はれ()でた大男(おほをとこ)
061ウラナイ(けう)言霊(ことたま)
062悪者(わるもの)(ども)()()らし
063綾彦(あやひこ)(たみ)(ともな)ひて
064魔窟(まくつ)(はら)岩窟(いはやど)
065意気(いき)揚々(やうやう)(かへ)()
066(みち)出会(であ)うた五人(ごにん)()
067手柄話(てがらばなし)(はな)()かし
068土産(みやげ)沢山(たつぷり)黒姫(くろひめ)
069隠家(かくれが)()して(かへ)()く。
070 (あさ)071(いく)両人(りやうにん)(れい)岩蓋(いはぶた)(めく)つて一行(いつかう)(じふ)(にん)(とも)(すべ)()る。
072浅公(あさこう)高山彦(たかやまひこ)(さま)073黒姫(くろひめ)(さま)074只今(ただいま)(かへ)りました』
075黒姫(くろひめ)『ヤア、076(まへ)浅公(あさこう)か、077ヤ、078幾公(いくこう)079梅公(うめこう)080えらう(おそ)いぢやないか、081(なに)をして()つたのだい、082何時(いつ)までも()()れてから其処(そこ)らをブラブラ(ある)いて()ると、083大江山(おほえやま)(おに)眷族(けんぞく)間違(まちが)へられるから、084()()れたら(すぐ)(かへ)つて()るのだよ、085今日(けふ)(また)えらい(おそ)(こと)ぢやないか、086ヤ、087今日(けふ)見馴(みなれ)(かた)がお二人(ふたり)088これや(また)如何(どう)ぢや、089えらう(あたま)(かみ)(みだ)れて()る、090(なに)かこれには様子(やうす)でもあるのかな』
091幾公(いくこう)『これに()いて色々(いろいろ)苦心話(くしんばなし)御座(ござ)います、092それが(ため)今日(けふ)吾々(われわれ)一同(いちどう)(もの)(おそ)くなりました、093三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)数多(あまた)人民(じんみん)(まよ)はすに()つて、094吾々(われわれ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()つけ()し、095天地(てんち)道理(だうり)()()かせ帰順(きじゆん)させむものと普甲峠(ふかふたふげ)(くだ)つて()ました。096(くら)さは(くら)し、097(かぜ)はピユーピユーと()いて()る、098(なみ)()(さわ)海原(うなばら)太鼓(たいこ)(やう)(おと)をたててイヤもう(すさま)じい光景(くわうけい)099(たちま)(さわ)がしい物音(ものおと)100何事(なにごと)ならむと吾々(われわれ)一同(いちどう)(みみ)をすまして()()れば「人殺(ひとごろ)人殺(ひとごろ)し、101(たす)けて()れえ」との(いや)らしい(こゑ)(きこ)えて()る、102ア、103これや大変(たいへん)だ、104(ひと)(たす)けるのがウラナイ(けう)(かみ)(をしへ)105(わが)()如何(どう)なつても(かま)はぬ、106仮令(たとへ)大江山(おほえやま)(おに)餌食(ゑじき)にならうとも(かみ)(つか)ふる吾々(われわれ)107(この)悲鳴(ひめい)()いて如何(どう)して()てて(かへ)れようか、108(ひと)(たす)くるは宣伝使(せんでんし)(やく)と、109生命(いのち)(まと)(こゑ)する(はう)(うかが)()()れば、110(あん)(たが)はぬ(ひやく)(にん)(ちか)くの鬼雲彦(おにくもひこ)眷族(けんぞく)者共(ものども)111覆面(ふくめん)頭巾(づきん)扮装(いでたち)112(やり)113薙刀(なぎなた)棍棒(こんぼう)114刺股(さすまた)(こほり)(やいば)115(やみ)(ひらめ)かし十重(とへ)二十重(はたへ)()(かこ)み、116(なか)二人(ふたり)男女(だんぢよ)(とら)へて四五(しご)(にん)(をとこ)117()()(なぐ)るの乱暴(らんばう)狼藉(ろうぜき)118大江山(おほえやま)(とりで)()(かへ)りバラモン(けう)(かみ)(いけにへ)にせむとの(たく)み、119(さと)つた吾々(われわれ)()(たて)(たま)らず、120一生(いつしやう)懸命(けんめい)熱湯(ねつたう)(あせ)(しぼ)り、121ウラナイ(けう)大神(おほかみ)(さま)122何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)この旅人(たびびと)生命(いのち)(すく)はせ(たま)へ、123吾々(われわれ)生命(いのち)はたとへ()くなつても、124幸魂(さちみたま)極端(きよくたん)発揮(はつき)暗祈(あんき)黙祷(もくたう)すれば、125アーラ不思議(ふしぎ)(わが)身体(しんたい)(たちま)(くだ)(たま)天津(あまつ)(かみ)国津(くにつ)(かみ)八百万(やほよろづ)(かみ)(たち)126()出神(でのかみ)先頭(せんとう)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)127吾々(われわれ)(さん)(にん)肉体(にくたい)(かか)らせ(たま)ひ、128天地(てんち)(とどろ)言霊(ことたま)(こゑ)129(ひと)(ふた)()()(みな)まで()はずに、130さしも強力(がうりき)無双(むさう)鬼雲彦(おにくもひこ)手下(てした)(ども)131朝日(あさひ)(つゆ)()ゆるが(ごと)く、132(たましひ)(うば)はれ(ほね)(くだ)けて生命(いのち)()しさに(なみだ)(とも)(たの)()る。133(おも)へば()つくき(やつ)なれど、134(かれ)()(いへど)(もと)(かみ)分霊(わけみたま)135(ぜん)(たす)(あく)(ゆる)すは大神(おほかみ)慈悲(じひ)136(こころ)(うち)見直(みなほ)()(なほ)せば、137(ひやく)(あま)豪傑(がうけつ)どもは、138チウの(こゑ)()()てず足音(あしおと)(しの)ばせ(なが)ら、139(かぜ)(ごと)()(ごと)水泡(みなわ)()えてやみの(なか)140そこで吾々(われわれ)(はち)(にん)(かね)ての計略(けいりやく)141オツト、142ドツコイ……計略(けいりやく)(もつ)旅人(たびびと)(くる)しめむと(いた)(おに)(ども)に、143言霊(ことたま)鉄鎚(てつつゐ)(くは)今後(こんご)(いまし)()二人(ふたり)のこれなる夫婦(ふうふ)(すく)花々(はなばな)しく()(かへ)つて(さふらふ)
144黒姫(くろひめ)『ヤア、145それは()苦労(くらう)であつた、146人間(にんげん)()ふものは目前(まさか)(とき)になれば(かみ)(さま)がお使(つか)(くだ)さるもの「(くさ)(なは)にも()りえ」と()(こと)がある、147(わし)もお(まへ)(やう)穀潰(ごくつぶ)しを沢山(たくさん)(やしな)つて()いてつまらぬ(もの)ぢや、148()かすにも()かされず、149大根(だいこん)()ねち()いた(やう)なものぢやと(おも)つて()つたが、150目前(まさか)(とき)にそれ(だけ)神力(しんりき)()れば万更(まんざら)()てたものぢや()い。151ヤ、152()苦労(くらう)だつた、153サアサア一服(いつぷく)して(くだ)され、154(しか)(なが)(うし)155(とら)156(たつ)(ほか)二人(ふたり)(をとこ)今迄(いままで)(なに)をして()つたのだ、157(あさ)158(いく)(やう)にお(まへ)もチツと活動(くわつどう)をせなくては(かみ)(さま)()むまいぞや』
159寅公(とらこう)吾々(われわれ)()神前(しんぜん)(おい)て……(いや)無形(むけい)神殿(しんでん)(むか)つて祈願(きぐわん)する(をり)しも、160(たちま)吾々(われわれ)天眼通(てんがんつう)(えい)じた普甲峠(ふかふたうげ)突発(とつぱつ)事件(じけん)161やれ可憐相(かはいさう)二人(ふたり)旅人(たびびと)162神力(しんりき)(もつ)(たす)けてやらむと(こころ)千々(ちぢ)焦慮(あせ)れども、163(なに)()つても遠隔(ゑんかく)()164アヽ仕方(しかた)()い、165遠隔(ゑんかく)神霊(しんれい)注射法(ちうしやはふ)実行(じつかう)せむかと(おも)(をり)166(また)もや吾々(われわれ)天眼(てんがん)(えい)じたのは(あさ)167(いく)168(うめ)(さん)(にん)169これや()霊代(みたましろ)だと()(にん)一度(いちど)(さん)(にん)身体(からだ)神懸(かむがか)りし、170(むら)がる魔軍(まぐん)(むか)つて、171言霊(ことたま)神力(しんりき)(まを)すに(およ)ばず、172あらゆる霊力(れいりよく)(つく)して(たたか)へば、173(てき)蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)く、174()()りパツと(はな)(あらし)(あた)りし(ごと)く、175(かすみ)となつて()()せたりツ』
176浅公(あさこう)『アハヽヽヽ』
177黒姫(くろひめ)(なに)()もあれ、178藪医者(やぶいしや)手柄(てがら)をした(やう)なものだ、179(へら)(おに)(くび)とつたも同然(どうぜん)180今日(けふ)(はな)れの()()神酒(みき)でも沢山(たくさん)(いただ)いてグツスリと()たが()い、181コレコレ(たび)(かた)182(かみ)(さま)(たふと)(こと)(わか)りましたかな』
183(あや)184(たみ)『ハイ、185(なん)とも有難(ありがた)うて(まを)(やう)御座(ござ)いませぬ、186(ただ)もう(この)(とほ)り……』
187夫婦(ふうふ)両手(りやうて)(あは)黒姫(くろひめ)(かほ)()(をが)み、188(あつ)(なみだ)をボロボロと(こぼ)すのみである。
189黒姫(くろひめ)『お(まへ)(ほん)幸福(しあはせ)()夫婦(ふうふ)ぢや、190結構(けつこう)()神徳(かげ)(いただ)きなさつた、191袖振(そでふ)()ふも多生(たしやう)(えん)192(つまづ)(いし)(えん)(はし)()うて、193コンナ結構(けつこう)(かみ)(さま)(をしへ)取次(とりつぎ)(たす)けて(もら)うとはよくよく(ふか)(むかし)からの果報(くわはう)(あら)はれたのぢやぞえ、194(わし)(なん)ぢやか(はじ)めて()うた(ひと)(やう)()がせぬ、195(これ)からは(すべ)ての娑婆心(しやばごころ)()てて神界(しんかい)(ため)千騎(せんき)一騎(いつき)活動(くわつどう)をしなされや、196()いては夫婦(ふうふ)ありては御用(ごよう)出来(でき)(かみ)のお(みち)ぢやから、197(まへ)明日(あす)から夫婦(ふうふ)(わか)れて御用(ごよう)をするのだ、198()ンで(わか)るるのは(つら)いけれど、199(この)()()きて()れば矢張(やつぱ)(おな)じウラナイの(みち)御用(ごよう)するのだから()機会(きくわい)(いく)らもある、200(まへ)(なん)()()だ』
201綾彦、お民『ハイ、202綾彦(あやひこ)(まを)します。203(わらは)はお(たみ)(まを)します』
204黒姫(くろひめ)『アヽさうか、205綾彦(あやひこ)(わし)(そば)御用(ごよう)をするなり、206(たみ)矢張(やつぱ)りウラナイ(けう)支所(でやしろ)高城山(たかしろやま)()(ところ)207そこには意地(いぢ)くねの………(わる)くない松姫(まつひめ)(ひか)へて()る、208(たみ)松姫(まつひめ)(そば)()つて御用(ごよう)をなさるのだ、209()承知(しようち)がゆけば明日(あす)から、210幾公(いくこう)(おく)らしてあげよう』
211(たみ)『ハイ、212如何(いか)なる(こと)でも(かみ)(さま)(おん)()めなれば(いや)とは(まを)しませぬ、213(しか)何卒(どうぞ)三四日(さんよつか)(ばか)一緒(いつしよ)()いて(くだ)さいますまいか、214とつくり夫婦(ふうふ)(もの)相談(さうだん)(いた)()御座(ござ)いますから……』
215黒姫(くろひめ)『アヽ(その)相談(さうだん)がいかぬのだ、216人間心(にんげんごころ)取越(とりこし)苦労(くらう)をしたつて(なに)になるものか、217何事(なにごと)(かみ)(さま)絶対(ぜつたい)にお(まか)せするのだ、218夫婦(ふうふ)(わか)るるのが(つら)いかな、219それはお(わか)()(うへ)だから無理(むり)()い、220年寄(としよ)りの(わし)でさへも夫婦(ふうふ)()ければならぬ(もの)ぢやと(おも)うて()(くらゐ)ぢや、221(しか)年寄(としよ)りは(また)例外(れいぐわい)ぢや、222(すゑ)(みじか)いから……、223(わか)(もの)何程(なんぼ)でも()機会(きくわい)が、224(なが)月日(つきひ)には()るものぢや。225あの木貂(きてん)()(やつ)は、226夫婦仲(ふうふなか)()いものぢやが(けつ)して夫婦(めをと)一緒(いつしよ)()まひはせぬ、227(をす)(はう)(ひがし)(やま)()(うろ)()みて()れば、228(めす)(はう)屹度(きつと)(たに)(へだ)てて、229西(にし)(やま)()(うろ)棲居(すまゐ)をし、230西(にし)からと(ひがし)からと(たがひ)見張(みはり)をして()るさうぢや、231()(めす)()みて()大木(たいぼく)(ふもと)猟師(れふし)でも()()たら、232灯台(とうだい)元暗(もとくら)がり、233(ちか)くに()(めす)()がつかいでも(とほ)くから()()(をす)がチヤンと(これ)(さと)つて、234電波(でんぱ)(おく)つて(めす)()らせ、235(をす)危険(きけん)(せま)つた(とき)(また)(とほ)くから()()(めす)電波(でんぱ)(もつ)(をす)()らせると()(こと)だ。236その(とほ)りお(まへ)両方(りやうはう)()かれて(たがひ)(つま)(をつと)(おも)ひ、237(をつと)(つま)(おも)ひ、238偶々(たまたま)()うた(とき)のその(うれ)しさは(なん)とも()へぬ(あぢ)()るぞえ、239(これ)だけ(わか)(もの)ばかり沢山(たくさん)()るのだからお(まへ)(やう)若夫婦(わかめをと)一緒(いつしよ)において()くと、240いろいろと(わか)(もの)修羅(しゆら)()やしてごてつき、241(まへ)(また)(つら)いであらうから、242明日(あす)(すぐ)にお(たみ)高城山(たかしろやま)()つて御用(ごよう)をして(くだ)さい』
243綾彦、お民何事(なにごと)(かみ)(さま)にお(まか)せした以上(いじやう)は、244何卒(どうぞ)貴女(あなた)思召(おぼしめし)(とほ)りお使(つか)(くだ)さいませ』
245黒姫(くろひめ)『ア、246さうかさうか、247結構(けつこう)結構(けつこう)248本当(ほんたう)聞訳(ききわけ)()(ひと)ぢや、249サアサ今晩(こんばん)(おく)()つて(やす)みなされ、250(わし)大変(たいへん)草臥(くたび)れたから今晩(こんばん)(これ)(やす)みませう、251(しか)しこれこれお(わか)いの、252(かみ)(さま)()(あは)せお(れい)(まを)して(やす)みなされや、253(かなら)(かなら)(かみ)(さま)(まつ)つてある(はう)(しり)()けたり(あし)()けてはなりませぬぞえ』
254夫婦(ふうふ)『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います、255(しか)らば(やす)まして(いただ)きます』
256(おく)目蒐(めが)けて両人(りやうにん)徐々(しづしづ)(すす)()く。
257黒姫(くろひめ)『アーア、258()(なか)(おも)(やう)にいかぬものだなア、259(いま)()()うて若夫婦(わかふうふ)生木(なまき)()(やう)命令(めいれい)をしたが、260(おも)へば(おも)へば可憐相(かはいさう)(もの)だ。261(わし)とても(その)(とほ)り、262高山彦(たかやまひこ)さまが二三(にさん)(にち)他所(よそ)()つてお(かほ)()ええでも(さび)しくて仕方(しかた)()いのに、263鴛鴦(をしどり)(やう)(なか)()若夫婦(わかふうふ)(わか)れて御用(ごよう)するのは、264(わし)(くら)ぶれば幾層倍(いくそうばい)(つら)いだらう。265ウラナイ(けう)双壁(そうへき)といはれた竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(この)生宮(いきみや)でさへも、266高山彦(たかやまひこ)さまを(をつと)()つたのが露見(あらは)れてより、267夏彦(なつひこ)常彦(つねひこ)(すぐ)()()し、268それから(のち)毎日(まいにち)日日(ひにち)(なん)とか、269かとか()つて、270岡餅(をかもち)()いて法界(はふかい)悋気(りんき)続出(ぞくしゆつ)271コンナ(こと)では折角(せつかく)(きづ)()げたウラナイ(けう)崩解(ほうかい)するかも()れない、272(なに)ほど一旦(いつたん)(つな)かけたらホーカイはやらぬと、273(いろ)(くろ)尉殿(じやうどの)(すず)()(やう)矢釜(やかま)しく()つても駄目(だめ)だ、274アヽいやいやいやオンハと、275三番叟(さんばさう)もどきに()げて()(やつ)(くびす)(せつ)するのだから、276法界(ほふかい)悋気(りんき)(ふか)連中(れんちう)(なか)へ、277(なに)ほど可憐相(かはいさう)でも若夫婦(わかふうふ)(まじ)へて()(こと)出来(でき)ぬ。278アーア若夫婦(わかめをと)279(かなら)(かなら)黒姫(くろひめ)邪慳(じやけん)(やつ)ぢやと(おも)うて()れな、280口先(くちさき)では(きつ)()うては()るものの、281(なみだ)もあれば()もある、282アヽ可憐相(かはいさう)だ、283青春(せいしゆん)()()ゆる二人(ふたり)(こころ)284(さつ)しのない(やう)黒姫(くろひめ)ぢや御座(ござ)いませぬ』
285独語(ひとりご)ちつつ同情(どうじやう)(なみだ)()れて()る。
286 かかる(ところ)高山彦(たかやまひこ)(あら)はれ(きた)り、
287高山彦『ヤア黒姫(くろひめ)か、288()大分(だいぶん)()けた(やう)だ、289もうお(やす)みになつたら如何(どう)です』
290黒姫『ハイ、291只今(ただいま)(やす)みます』
292高山彦『お(まへ)(ひと)相談(さうだん)がある、293()いて()れまいか』
294黒姫(これ)(また)(あらた)まつたお言葉(ことば)295相談(さうだん)とは何事(なにごと)御座(ござ)いますか』
296高山彦(ほか)でも()い、297(わし)(ひと)(おほい)()する(ところ)があるのだ、298(これ)からフサの(くに)一先(ひとま)()(かへ)り、299(おほい)高姫(たかひめ)さまの後援(こうゑん)をして大々(だいだい)(てき)活動(くわつどう)仕様(しやう)(おも)ふ、300(まへ)此処(ここ)()つて自転倒(おのころ)(じま)征服(せいふく)して(くだ)さい、301明日(あす)からすぐ出立(しゆつたつ)しようと(おも)ふから…』
302黒姫『エ、303(なん)(おつ)しやいます、304夫婦(ふうふ)(くるま)両輪(りやうりん)305唇歯(しんし)輔車(ほしや)関係(くわんけい)(たも)たねばなりませぬ、306(たと)へば(をとこ)(ひだり)手足(てあし)307(をんな)(みぎ)手足(てあし)同様(どうやう)308片手(かたて)片足(かたあし)では大切(たいせつ)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)する(こと)出来(でき)ますまい、309ちつとお(かんが)(なほ)しを(ねが)ひます』
310高山彦黄貂(きてん)一般的には「木貂」と書く。311一名(いちめい)雷獣(らいじう)()(けだもの)随分(ずゐぶん)(なか)()いものだが、312夫婦(ふうふ)(けつ)して一緒(いつしよ)()ないものだ』
313黒姫『エヽ()いて(くだ)され、314(わたし)模像(もざう)ばつかりやるのですな、315ソンナ玩弄物(おもちや)九寸(くすん)五分(ごぶ)()きつけた(やう)同情(どうじやう)ある恐喝(きようかつ)手段(しゆだん)にのる(やう)黒姫(くろひめ)とは(ちが)ひますわいな、316ヘン……いい加減(かげん)揶揄(からか)つて()きなさいよ、317ホヽヽヽ』
318高山彦『ヤア真剣(しんけん)だ、319()つてお(ひま)(ねが)()い』
320黒姫『まつたくですか、321ハヽア、322(よろ)しい、323()勝手(かつて)になさいませ、324(ほか)増花(ますはな)出来(でき)たと()えます、325もの()(はな)(この)黒姫(くろひめ)一人(ひとり)だと(わたし)(こころ)自惚(うぬぼれ)して()つたのは(わたし)不覚(ふかく)326(あざみ)(はな)接吻(キツス)をして()なさいよ』
327高山彦『そう(おこ)つて(もら)つては(こま)るぢやないか、328(ふた)()には(めう)(ところ)論鋒(ろんぽう)()けるのだな、329(ひる)演壇(えんだん)()つて滔々(たうたう)苦集(くしふ)滅道(めつだう)()くお(まへ)態度(たいど)(いま)態度(たいど)とは(まる)別人(べつじん)(やう)な、330(こゑ)(いろ)まで(かは)つて()るぢやないか』
331黒姫『ヘンきまつた(こと)ですよ』
332(かた)高山彦(たかやまひこ)(はう)へニユツと()()し、333(くび)(ななめ)にし()(ほそ)うし、
334黒姫野暮(やぼ)(こと)(おつ)しやるな、335こゑ思案(しあん)(ほか)ぢやないか、336ホヽヽヽ』
337鰐口(わにぐち)無理(むり)おちよぼ(ぐち)仕様(しやう)とつとめる。338巾着(きんちやく)()()めた(やう)(たて)(しわ)一所(ひとところ)集中(しふちう)し、339牛蒡(ごぼう)()(くち)(やう)(くち)(あた)りが()えて()る。
340 高山彦(たかやまひこ)は、
341高山彦『アヽもう(やす)まうか』
342黒姫(くろひめ)背中(せなか)をポンと(たた)く。
343黒姫勝手(かつて)一人(ひとり)()やしやンせいな』
344黒姫(くろひめ)は、345故意(わざ)とピーンとした(かほ)()せ、346向返(むきかへ)つて背中(せなか)()ける。
347高山彦『ハヽヽヽ、348非常(ひじやう)逆鱗(げきりん)だ、349どれどれ今晩(こんばん)(やま)(かみ)さまに巨弾(きよだん)()たれて、350(ただ)一人(ひとり)赤十字(せきじふじ)病院(びやうゐん)収容(しうよう)されるのかな、351アハヽヽヽ』
352寝室(ねま)(かへ)()く。353黒姫(くろひめ)水鏡(みづかがみ)灯火(あかり)(てら)(かほ)修繕(しうぜん)をなし、354()ばたきし(なが)四辺(あたり)()まはし()(ほそ)うし、
355黒姫『どれ(をつと)負傷(ふしやう)を、356女房(にようばう)としてお見舞(みまひ)(まを)さねばなるまい』
357(また)もや一室(ひとま)にいそいそ(はし)()く。
358
359 黒姫(くろひめ)許可(ゆるし)()浅公(あさこう)360幾公(いくこう)361梅公(うめこう)362その()十数(じふすう)(めい)老壮(らうさう)(れん)()神酒(みき)頂戴(ちやうだい)()(もと)に、363()うた(とき)(かさ)()げ」(しき)にガブリガブリと()いでは()()いでは()み、364(ゑい)(まは)るにつれ徳利(とくり)(くち)から「()()(だけ)()み」を(はじ)()しける。
365(かふ)『オイ、366(うめ)大将(たいしやう)367随分(ずゐぶん)よく()むぢやないか』
368梅公(うめこう)『きまつた(こと)だ、369大蛇(をろち)子孫(しそん)だもの、370()(こと)にかけたら天下(てんか)一品(いつぴん)だ、371親譲(おやゆづ)りの(やま)()()()(いへ)まで()みて、372(さけ)(さかな)(おや)(すね)(かじ)り、373此奴(こいつ)()()へぬ(やつ)ぢや、374七生(しちしやう)(しよう))までの(かん)(かん)(だう)ぢやと()つて()()されたと()阿哥兄(にい)さまだ。375親爺(おやぢ)七升(しちしよう)(かん)をせいと()つた(とき)流石(さすが)(おれ)一寸(ちよつと)(よわ)つたね、376(あさ)九一合(くいちがふ)377(ひる)九一合(くいちがふ)378(ばん)九一合(くいちがふ)379夜中(よなか)九一合(くいちがふ)380夜明(よあ)(まへ)九一合(くいちがふ)381マア一寸(ちよつと)ゴシヨゴシヨ(五升(ごしよう))とやつた(ところ)で、382それ以上(いじやう)(はら)(むし)が「梅公(うめこう)383あまりぢや、384もう(この)(うへ)六升(ろくしよう)だ、385七升(しちしよう)七生(しちしやう)(まで)(うら)(ます)」と副守(ふくしゆ)(やつ)でさへも弱音(よわね)()いたのだからな』
386(かふ)随分(ずゐぶん)酒豪(しゆがう)だな』
387梅公(うめこう)酒豪(しゆがう)守護神(しゆごじん)だ、388(しか)(これ)だけ、389(さけ)()みの梅公(うめこう)(この)(ごろ)はずつと改心(かいしん)して、390滅多(めつた)()みた(こと)はあるまいがな、391(えら)(もの)だらう』
392浅公(あさこう)『アハヽヽヽ、393()()いと()つたつて()ます(もの)がないものだから()(どく)なものだ』
394梅公(うめこう)(さけ)()本性(ほんしやう)(たが)はずだ、395何程(なにほど)()つた(ところ)(あし)ひよろつくの、396(あたま)(いた)いの、397眩暈(めまい)()るの、398八百屋(やほや)(みせ)開業(かいげふ)するのと()(やう)不始末(ふしまつ)(こと)は、399ちつとも、400()いのだからな、401それで今日(けふ)(やう)妙案(めうあん)奇策(きさく)(ひね)()すのだ、402今晩(こんばん)()うして貴様(きさま)(たち)(うま)(さけ)舌鼓(したつづみ)()(やう)にしてやつたのは(おれ)のお(かげ)ぢやないか、403随分(ずゐぶん)うまくいつたぢやないか』
404寅公(とらこう)『あの(くら)がりに()まぬ(さけ)()うた()になつて、405(つめた)(つち)(うへ)(よこた)はり、406(むか)うから一歩(ひとあし)々々(ひとあし)(ちか)づいて()足音(あしおと)407何処(どこ)()まれるか(わか)つたものぢやない、408(その)(とき)(こころ)のせつなさ、409(こし)をトウトウ土足(どそく)()まれ、410睾丸(きんたま)()まれた(とき)(いた)いの(いた)くないのつて一生(いつしやう)懸命(けんめい)(はな)(わざ)だ、411随分(ずゐぶん)(おれ)(ほね)()つた、412(なに)ほど梅公(うめこう)(かしこ)うても(おれ)(たち)実行(じつかう)せなくては今夜(こんや)芝居(しばゐ)()てやしない、413あまり威張(ゐば)つて(もら)うまいかい』
414辰公(たつこう)(おれ)だつて(へそ)(うへ)をギユツと()まれた(とき)(くる)しさ、415早速(さつそく)ベランメー口調(くてう)業託(ごうたく)()はうと(おも)つても満足(まんぞく)(こゑ)()やがらぬのだ、416(みな)(やつ)417()()かぬ(もの)だから(くら)がり(まぎ)れに旅人(たびびと)だと(おも)つて(おれ)(あたま)()はず背中(せなか)()はず、418(いく)(たた)きよつたか(わか)つたものぢやない、419コオこれを()い、420背中(せなか)(あを)くなつて()るワ』
421梅公(うめこう)『アハヽヽヽ、422(なに)ぬかしよるのだ、423(かはづ)ぢやあるまいし背中(せなか)(あを)くなつたのが如何(どう)して(わか)るかい、424兎角(とかく)芝居(しばゐ)幕開(まくあ)きはしたものの(うま)(あし)(しし)になる大根(だいこん)役者(やくしや)が、425うまくやつて()れるかと(おも)つて随分(ずゐぶん)()()みたよ、426マアマア木戸銭(きどせん)()らずの奉納(ほうなふ)芝居(しばゐ)だから、427あれ(くらゐ)観客(くわんきやく)(なん)とも()はぬが、428下足賃(げそくちん)でも()つて()よ、429それこそ一人(ひとり)這入(はい)(もの)はありやせないぞ、430(しか)寅公(とらこう)431辰公(たつこう)432鳶公(とびこう)433貴様(きさま)()()(にん)如何(どう)しやがつたかと(おも)つて心配(しんぱい)して()つたら、434何時(いつ)()にか(さき)()きよつて天眼通(てんがんつう)だの、435(なん)のと(うま)(こと)()ひよつたね』
436寅公(とらこう)当意(たうい)即妙(そくめう)437神謀(しんぼう)奇略(きりやく)智勇(ちゆう)兼備(けんび)大将(たいしやう)だ、438知識(ちしき)源泉(げんせん)たる吾々(われわれ)439何処(どこ)()()があるものかい、440サアサ()加減(かげん)(やす)まうぢやないか』
441浅公(あさこう)『オヽ、442(やす)みても()からう、443膝坊主(ひざばうず)でも()いて()エ、444アーア、445今晩(こんばん)(をんな)随分(ずゐぶん)素敵(すてき)(やつ)ぢやないか、446アンナ()女房(にようばう)()つたハズバンドは随分(ずゐぶん)幸福(かうふく)だらうな、447エー怪体(けつたい)(わる)い、448あれ(ほど)堅苦(かたぐる)しい(こと)()つて()黒姫(くろひめ)大将(たいしやう)婿(むこ)()つ、449やもめばつかりの(おれ)(たち)(ゆび)(くは)へて、450()()るより仕方(しかた)()い、451そこへ(また)うら(わか)綺麗(きれい)夫婦(ふうふ)がやつて()やがつて、452随分(ずゐぶん)貴様(きさま)(たち)()()める(こと)だらう、453アハヽヽヽ』
454()ひに(じやう)じて四辺(あたり)(かま)はず(ののし)つて()る。455綾彦(あやひこ)456(たみ)黒姫(くろひめ)(めい)()り、457一室(ひとま)()つて(しん)()かむと廊下(らうか)(とほ)(をり)458(おも)はぬ(さけ)()ひの(わら)(ごゑ)459()()きは不道徳(ふだうとく)とは()(なが)らも、460つひ()にかかりフツと(みみ)(かたむ)()いて()れば、461どうやら自分(じぶん)(こと)らしい、462二人(ふたり)(かほ)見合(みあは)何事(なにごと)かひそひそ(ささや)(なが)一睡(いつすゐ)もせず(その)()()かしける。
463大正一一・四・二六 旧三・三〇 北村隆光録)
464(昭和一〇・六・一 王仁校正)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki