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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第18巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 弥仙の神山
第1章 春野の旅
第2章 厳の花
第3章 神命
第2篇 再探再険
第4章 四尾山
第5章 赤鳥居
第6章 真か偽か
第3篇 反間苦肉
第7章 神か魔か
第8章 蛙の口
第9章 朝の一驚
第10章 赤面黒面
第4篇 舎身活躍
第11章 相身互
第12章 大当違
第13章 救の神
第5篇 五月五日祝
第14章 蛸の揚壺
第15章 遠来の客
第16章 返り討
第17章 玉照姫
霊の礎(四)
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第18巻(巳の巻)
> 第2篇 再探再険 > 第6章 真か偽か
<<< 赤鳥居
(B)
(N)
神か魔か >>>
第六章
真
(
しん
)
か
偽
(
ぎ
)
か〔六三四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻
篇:
第2篇 再探再険
よみ(新仮名遣い):
さいたんさいけん
章:
第6章 真か偽か
よみ(新仮名遣い):
しんかぎか
通し章番号:
634
口述日:
1922(大正11)年04月25日(旧03月29日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年2月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一行が真夜中に着いたところは、剣尖山ふもとの聖地であった。紫姫は、ここで神勅を得なければならない、という。その間、お供の一同は産釜、産盥で禊をし、神言を奏上して待つように命じた。
若彦、お節、馬公、鹿公の四人が、紫姫指定の場所で禊をしようとすると、そこにはウラナイ教の宣伝歌を一生懸命となえる婆が、二人の従者を従えて水垢離を取っている。
馬公が咎めると、婆は自分は世界の為に結構な神業をしているのだ、と馬公を非難する。鹿公は、悪魔が悪魔の仲間を集めているのだから、邪魔をするな、と茶々を入れる。
婆はしきりにウラナイ教の功徳を並べ立てて、入信を促している。真名井山には、変性女子の瑞の御霊の悪神が居る、と悪口を言う。
お節は黒姫とわかって、声をかける。黒姫は、青彦(若彦)、お節だと気づくと、またもやウラナイ教への改心を迫る。
どうしたことか、若彦は黒姫に元のとおりウラナイ教で使ってください、と申し出る。また、紫姫をウラナイ教に連れてくることも承諾する。
そこへ、紫姫がやってきて、黒姫に挨拶すると、紫姫は黒姫の神格を褒め称えて、自分からウラナイ教の教え乞う。
黒姫は得意げになって一行を引き連れて、魔窟ケ原に引き上げてくる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-09-09 05:26:48
OBC :
rm1806
愛善世界社版:
96頁
八幡書店版:
第3輯 672頁
修補版:
校定版:
100頁
普及版:
43頁
初版:
ページ備考:
001
紫姫
(
むらさきひめ
)
は
紫
(
むらさき
)
の
002
姿
(
すがた
)
を
装
(
よそほ
)
ふ
弥仙山
(
みせんざん
)
003
四尾
(
よつを
)
の
山
(
やま
)
や
桶伏
(
をけふせ
)
の
004
珍
(
うづ
)
の
聖地
(
せいち
)
を
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
み
005
西坂峠
(
にしさかたうげ
)
を
後
(
あと
)
に
見
(
み
)
て
006
若葉
(
わかば
)
もそよぐ
若彦
(
わかひこ
)
や
007
心
(
こころ
)
の
馬公
(
うまこう
)
鹿公
(
しかこう
)
を
008
伴
(
ともな
)
ひ
進
(
すす
)
む
春
(
はる
)
の
道
(
みち
)
009
山
(
やま
)
追々
(
おひおひ
)
と
迫
(
せま
)
り
来
(
く
)
る
010
心
(
こころ
)
も
細
(
ほそ
)
き
谷道
(
たにみち
)
を
011
伝
(
つた
)
ひ
伝
(
つた
)
ひて
河守
(
かうもり
)
の
012
里
(
さと
)
を
左手
(
ゆんで
)
に
打
(
う
)
ち
眺
(
なが
)
め
013
船岡山
(
ふなをかやま
)
を
右
(
みぎ
)
に
見
(
み
)
て
014
日
(
ひ
)
もやうやうに
酉
(
とり
)
の
刻
(
こく
)
015
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
はおろされて
016
一行
(
いつかう
)
ゆくてに
迷
(
まよ
)
ひつつ
017
道
(
みち
)
のかたへの
小
(
ささ
)
やけき
018
神
(
かみ
)
の
祠
(
ほこら
)
に
立寄
(
たちよ
)
りて
019
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
むる
折柄
(
をりから
)
に
020
俄
(
にはか
)
に
女
(
をんな
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
021
紫姫
(
むらさきひめ
)
は
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
022
耳
(
みみ
)
を
傾
(
かたむ
)
け
聞
(
き
)
き
終
(
をは
)
り
023
若彦
(
わかひこ
)
、
馬
(
うま
)
、
鹿
(
しか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
024
声
(
こゑ
)
する
方
(
かた
)
に
遣
(
つか
)
はして
025
様子
(
やうす
)
探
(
さぐ
)
らせ
調
(
しら
)
ぶれば
026
思
(
おも
)
ひがけなき
愛娘
(
まなむすめ
)
027
闇
(
やみ
)
の
林
(
はやし
)
に
縛
(
しば
)
られて
028
息
(
いき
)
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
えと
苦
(
くる
)
しみの
029
中
(
なか
)
を
助
(
たす
)
けて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
030
忽
(
たちま
)
ち
登
(
のぼ
)
る
月影
(
つきかげ
)
に
031
心
(
こころ
)
照
(
て
)
らして
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
032
何処
(
いづこ
)
の
方
(
かた
)
と
訪
(
おとな
)
へば
033
若
(
わか
)
き
女
(
をんな
)
の
物語
(
ものがたり
)
034
驚
(
おどろ
)
く
若彦
(
わかひこ
)
一同
(
いちどう
)
は
035
互
(
たがひ
)
に
労
(
いたは
)
りかばいつつ
036
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
力
(
ちから
)
とし
037
四辺
(
あたり
)
に
注意
(
ちうい
)
を
為
(
な
)
し
乍
(
なが
)
ら
038
剣尖山
(
けんさきやま
)
の
麓
(
ふもと
)
なる
039
珍
(
うづ
)
の
聖地
(
せいち
)
に
立向
(
たちむか
)
ふ。
040
三男
(
さんなん
)
二女
(
にぢよ
)
の
一隊
(
いつたい
)
は、
041
月
(
つき
)
もる
山道
(
やまみち
)
を
漸
(
やうや
)
くにして
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
斎
(
いつ
)
き
祀
(
まつ
)
れる
大宮
(
おほみや
)
の
前
(
まへ
)
に
無事
(
ぶじ
)
参向
(
さんかう
)
する
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
たり。
042
水
(
みづ
)
も
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
と
夜
(
よ
)
は
段々
(
だんだん
)
と
更
(
ふ
)
け
渡
(
わた
)
り、
043
淙々
(
そうそう
)
たる
谷川
(
たにがは
)
の
水
(
みづ
)
の
音
(
おと
)
を
圧
(
あつ
)
して
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
祈
(
いの
)
りの
声
(
こゑ
)
、
044
凄味
(
すごみ
)
を
帯
(
お
)
びて
許々多久
(
ここたく
)
の、
045
鬼
(
おに
)
や
大蛇
(
をろち
)
や
曲津見
(
まがつみ
)
の、
046
霊
(
みたま
)
寄
(
よ
)
り
来
(
こ
)
む
言霊
(
ことたま
)
の
濁
(
にご
)
り、
047
清
(
きよ
)
き
流
(
なが
)
れの
谷川
(
たにがは
)
にふさはしからぬ
配合
(
はいがふ
)
なり。
048
紫姫
(
むらさきひめ
)
『
皆様
(
みなさま
)
、
049
妾
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
告
(
つげ
)
により、
050
半日
(
はんにち
)
許
(
ばか
)
り
此
(
この
)
お
宮
(
みや
)
の
中
(
なか
)
で
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
を
承
(
うけたま
)
はらねばなりませぬ、
051
何卒
(
どうぞ
)
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
、
052
産釜
(
うぶがま
)
、
053
産盥
(
うぶだらひ
)
の
河原
(
かはら
)
の
谷水
(
たにみづ
)
に
御禊
(
みそぎ
)
をなし、
054
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいませ』
055
若彦
(
わかひこ
)
『
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました。
056
サアサア
馬公
(
うまこう
)
、
057
鹿公
(
しかこう
)
、
058
お
節殿
(
せつどの
)
、
059
参
(
まゐ
)
りませう』
060
と
神前
(
しんぜん
)
の
礼拝
(
れいはい
)
を
終
(
をは
)
り
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
の
下方
(
しもて
)
、
061
紫姫
(
むらさきひめ
)
が
指定
(
してい
)
の
場所
(
ばしよ
)
に
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く。
062
夜
(
よ
)
はほのぼのと
明
(
あ
)
けかかる。
063
谷
(
たに
)
の
向岸
(
むかうぎし
)
を
見
(
み
)
れば
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
、
064
二人
(
ふたり
)
の
従者
(
じゆうしや
)
らしき
者
(
もの
)
と
共
(
とも
)
に
産釜
(
うぶがま
)
、
065
産盥
(
うぶだらひ
)
の
水
(
みづ
)
を
杓
(
しやく
)
にて
汲
(
く
)
み
上
(
あ
)
げ、
066
頭上
(
づじやう
)
より
浴
(
あ
)
び、
067
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
皺枯
(
しわが
)
れた
声
(
こゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
つてウラナイ
教
(
けう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
唱
(
とな
)
へ
居
(
ゐ
)
る。
068
四
(
よ
)
人
(
にん
)
はつかつかと
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
るを、
069
婆
(
ばば
)
アは
頻
(
しき
)
りに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
来
(
き
)
たのも
知
(
し
)
らずに
水垢離
(
みづごり
)
を
取
(
と
)
り
居
(
ゐ
)
たり。
070
馬公
(
うまこう
)
『モシモシ
何処
(
どこ
)
の
婆
(
ば
)
アさまか
知
(
し
)
らぬが、
071
この
聖地
(
せいち
)
へやつて
来
(
き
)
て、
072
勿体
(
もつたい
)
ない
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御手洗
(
みたらし
)
を
無雑作
(
むざふさ
)
に
頭
(
あたま
)
から
被
(
かぶ
)
り、
073
怪体
(
けたい
)
な
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
うて
何
(
なに
)
をして
居
(
ゐ
)
るのだ、
074
些
(
ちつ
)
と
心得
(
こころえ
)
なさい』
075
婆
(
ばば
)
、
076
水
(
みづ
)
を
被
(
かぶ
)
りながら、
077
婆(黒姫)
『
何処
(
どこ
)
の
方
(
かた
)
か
知
(
し
)
らぬが、
078
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のため
世界
(
せかい
)
のために
誠
(
まこと
)
一心
(
いつしん
)
を
立
(
た
)
てぬく、
079
日本
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
真正
(
せうまつ
)
の
水晶魂
(
すゐしやうだま
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
さまの
命令
(
めいれい
)
によつて、
080
この
結構
(
けつこう
)
なお
水
(
みづ
)
で
身魂
(
みたま
)
を
清
(
きよ
)
め、
081
結構
(
けつこう
)
な
歌
(
うた
)
を
宇宙
(
うちう
)
の
神々
(
かみがみ
)
に
宣
(
の
)
べて
居
(
を
)
るのに、
082
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだい、
083
結構
(
けつこう
)
な
言霊
(
ことたま
)
がお
前
(
まへ
)
には
聞
(
きこ
)
えぬのかい』
084
馬公
(
うまこう
)
『
一向
(
いつかう
)
トンと
聞
(
きこ
)
えませぬ
哩
(
わい
)
、
085
何
(
なん
)
だか
其
(
その
)
言霊
(
ことたま
)
を
聞
(
き
)
くと
悪魔
(
あくま
)
が
寄
(
よ
)
つて
来
(
く
)
るやうだ』
086
鹿公
(
しかこう
)
『オイ
馬公
(
うまこう
)
、
087
野暮
(
やぼ
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふない、
088
牛
(
うし
)
の
爪
(
つめ
)
ぢやないが
先
(
さき
)
から
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
089
悪魔
(
あくま
)
の
大将
(
たいしやう
)
が、
090
悪魔
(
あくま
)
の
乾児
(
こぶん
)
を
集
(
あつ
)
めやうと
思
(
おも
)
つて
全力
(
ぜんりよく
)
を
尽
(
つく
)
し、
091
車輪
(
しやりん
)
の
活動
(
くわつどう
)
をやつて
御座
(
ござ
)
るのだ、
092
人
(
ひと
)
の
商売
(
しやうばい
)
を
妨害
(
ばうがい
)
するものでないぞ』
093
馬公
(
うまこう
)
『
別
(
べつ
)
に
妨害
(
ばうがい
)
はしようとは
思
(
おも
)
はぬが、
094
アンナ
声
(
こゑ
)
出
(
だ
)
しやがると
何
(
なん
)
だか
癪
(
しやく
)
に
触
(
さは
)
つて、
095
反吐
(
へど
)
が
出
(
で
)
さうになつて
来
(
き
)
た。
096
オイ
婆
(
ば
)
アさま、
097
もう
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
にやめたらどうだい。
098
この
産盥
(
うぶだらひ
)
はお
前
(
まへ
)
一人
(
ひとり
)
の
専有物
(
せんいうぶつ
)
ぢやないぞ、
099
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
退却
(
たいきやく
)
したらどうだ』
100
婆
(
ばば
)
(黒姫)
『
何処
(
どこ
)
の
若
(
わか
)
い
衆
(
しう
)
か
知
(
し
)
らぬが
老人
(
としより
)
が
世界
(
せかい
)
のため
道
(
みち
)
のため、
101
命
(
いのち
)
がけで
修業
(
しうげふ
)
をして
居
(
ゐ
)
るのだ。
102
私
(
わし
)
の
言霊
(
ことたま
)
が
偉
(
えら
)
いお
気
(
き
)
に
触
(
さは
)
ると
見
(
み
)
えるが、
103
それは
無理
(
むり
)
もない、
104
お
前
(
まへ
)
に
憑
(
つ
)
いて
居
(
を
)
る
悪魔
(
あくま
)
が
恐
(
おそ
)
れて
居
(
を
)
るのだ、
105
其処
(
そこ
)
を
辛抱
(
しんばう
)
して
暫
(
しばら
)
く
私
(
わし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
謹聴
(
きんちやう
)
しなされ、
106
さうして
修業
(
しうげふ
)
の
仕方
(
しかた
)
も
私
(
わし
)
のやり
方
(
かた
)
を
手本
(
てほん
)
として
頭
(
あたま
)
の
先
(
さき
)
から
足
(
あし
)
の
裏
(
うら
)
まで、
107
一分
(
いちぶ
)
一厘
(
いちりん
)
の
垢
(
あか
)
もない
処
(
ところ
)
まで
落
(
おと
)
しなされ、
108
さうしたら
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
なウラナイ
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
へ
入信
(
にふしん
)
を
許
(
ゆる
)
して
上
(
あ
)
げる。
109
今時
(
いまどき
)
の
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
は
何
(
なん
)
でも
彼
(
か
)
でも
新
(
あたら
)
しがつて
昔
(
むかし
)
の
元
(
もと
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
因縁
(
いんねん
)
や
性来
(
しやうらい
)
を
知
(
し
)
らず、
110
誠
(
まこと
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うてやれば
馬鹿
(
ばか
)
にしてホクソ
笑
(
わら
)
ひをする
者
(
もの
)
許
(
ばか
)
りぢや、
111
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
の
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
、
112
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へと
落
(
おと
)
されて、
113
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
上
(
あが
)
られぬやうな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
ふもの
許
(
ばか
)
りぢやから、
114
それが
可憐相
(
かあいさう
)
で
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
けて
見
(
み
)
て
居
(
を
)
れぬから、
115
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
の
身魂
(
みたま
)
を
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
し、
116
大先祖
(
おほせんぞ
)
の
因縁
(
いんねん
)
から
身魂
(
みたま
)
の
罪障
(
めぐり
)
の
事
(
こと
)
から、
117
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かして
助
(
たす
)
けてやる
結構
(
けつこう
)
のお
道
(
みち
)
ぢやぞよ。
118
お
前
(
まへ
)
も
縁
(
えん
)
があればこそ、
119
コンナ
結構
(
けつこう
)
な
私
(
わし
)
の
行
(
ぎやう
)
を
見
(
み
)
せて
貰
(
もら
)
うたのぢや。
120
ちと
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
うても
辛抱
(
しんばう
)
して
聞
(
き
)
きなされ』
121
馬公
(
うまこう
)
『それは
大
(
おほ
)
きに
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
有難
(
ありがた
)
う、
122
私
(
わたし
)
も
元
(
もと
)
は
都
(
みやこ
)
で
生
(
うま
)
れたものだが、
123
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
の
娘
(
むすめ
)
さまと
比沼
(
ひぬ
)
の
真名井
(
まなゐ
)
山
(
さん
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
しようと
思
(
おも
)
うて
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちう
)
で、
124
大江山
(
おほえやま
)
の
鬼
(
おに
)
の
乾児
(
こぶん
)
に
欺
(
だま
)
され、
125
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
に
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれ、
126
エライ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
うた。
127
そこへ
偉
(
えら
)
い
人
(
ひと
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て
私
(
わし
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつたので、
128
何
(
なん
)
でも
此
(
この
)
辺
(
へん
)
に
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
御座
(
ござ
)
ると
聞
(
き
)
いてお
礼詣
(
れいまゐ
)
りに
来
(
き
)
たのだよ』
129
婆
(
ばば
)
は、
130
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
水
(
みづ
)
を
被
(
かぶ
)
りながら
此方
(
こちら
)
も
向
(
む
)
かず
声
(
こゑ
)
を
当
(
あて
)
に、
131
婆(黒姫)
『さうだらう、
132
さうだらう、
133
真名井
(
まなゐ
)
山
(
さん
)
に
詣
(
まゐ
)
つてお
蔭
(
かげ
)
どころか、
134
鬼
(
おに
)
の
岩窟
(
いはや
)
へ
釣
(
つ
)
り
込
(
こ
)
まれたのだな。
135
真名井
(
まなゐ
)
山
(
さん
)
と
云
(
い
)
ふのは、
136
それや
云
(
い
)
ひ
損
(
ぞこな
)
ひぢや、
137
あれは
魔
(
ま
)
が
井
(
ゐ
)
さまと
云
(
い
)
うて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
擬
(
まが
)
ひぢや、
138
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
三
(
み
)
つの
御霊
(
みたま
)
と
云
(
い
)
うて、
139
どてらい
悪神
(
あくがみ
)
が
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
日本
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
真似
(
まね
)
をしよつて、
140
善
(
ぜん
)
に
見
(
み
)
せて
悪
(
あく
)
を
働
(
はたら
)
いとるのぢや、
141
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
ちなさい、
142
私
(
わし
)
が
結構
(
けつこう
)
の
事
(
こと
)
を
教
(
をし
)
へて
上
(
あ
)
げる、
143
三五教
(
あななひけう
)
とやら
云
(
い
)
ふ
教
(
をしへ
)
は
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
ぢやと
云
(
い
)
うて
居
(
を
)
るが、
144
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
なら
満月
(
まんげつ
)
ぢや、
145
片割
(
かたわ
)
れ
月
(
づき
)
の
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
だけの
教
(
をしへ
)
が
何
(
なん
)
になるものか、
146
雲
(
くも
)
に
隠
(
かく
)
れて
此処
(
ここ
)
に
半分
(
はんぶん
)
、
147
誠
(
まこと
)
の
経綸
(
しぐみ
)
が
聞
(
き
)
きたければ
私
(
わし
)
について
御座
(
ござ
)
れ、
148
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
長
(
なが
)
い
苦労
(
くらう
)
艱難
(
かんなん
)
の
一厘
(
いちりん
)
の
経綸
(
しぐみ
)
を、
149
信仰
(
しんかう
)
次第
(
しだい
)
に
依
(
よ
)
つて
聞
(
き
)
かして
上
(
あ
)
げぬ
事
(
こと
)
もない、
150
マア
其辺
(
そこら
)
にヘタつて
此方
(
こちら
)
の
修業
(
しうげふ
)
がすむまで
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
なさい』
151
と
又
(
また
)
もや
婆
(
ばば
)
は
頻
(
しき
)
りに
水
(
みづ
)
を
被
(
かぶ
)
る。
152
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
も
影
(
かげ
)
の
形
(
かたち
)
に
従
(
したが
)
ふやうに、
153
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
み
上
(
あ
)
げてはザブザブと
黒
(
くろ
)
い
体
(
からだ
)
に
浴
(
あ
)
びせて
居
(
ゐ
)
る。
154
婆
(
ばば
)
は
漸
(
やうや
)
く
水行
(
すゐぎやう
)
を
終
(
をは
)
り、
155
頭
(
あたま
)
の
先
(
さき
)
から
足
(
あし
)
の
裏
(
うら
)
迄
(
まで
)
すつくり
水気
(
すゐき
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひ
取
(
と
)
り、
156
念入
(
ねんい
)
りにチヤンと
風
(
ふう
)
を
整
(
ととの
)
へ、
157
紋付
(
もんつき
)
羽織
(
はおり
)
を
着用
(
ちやくよう
)
に
及
(
およ
)
び、
158
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
159
谷川
(
たにがは
)
の
足
(
あし
)
のかかる
石
(
いし
)
を、
160
蛇
(
へび
)
が
蛙
(
かわづ
)
を
狙
(
ねら
)
ふやうな
眼
(
め
)
つきで、
161
ポイポイポイと
兎渡
(
うさぎわた
)
りに
渡
(
わた
)
りつき。
162
腰
(
こし
)
を
折
(
お
)
り
両手
(
りやうて
)
をもみながら、
163
お
節
(
せつ
)
『
黒姫
(
くろひめ
)
の
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
164
久
(
ひさ
)
しうお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
りませぬ、
165
お
健康
(
たつしや
)
でお
目出度
(
めでた
)
う』
166
黒姫
(
くろひめ
)
『ヤアお
前
(
まへ
)
はオヽお
節
(
せつ
)
ぢやつたか、
167
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもかと
云
(
い
)
うても、
168
ひつ
括
(
くく
)
つてでも
捉
(
つかま
)
へてでも、
169
聞
(
き
)
かさにや
置
(
お
)
かぬは
女
(
をんな
)
の
一心
(
いつしん
)
、
170
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
心
(
こころ
)
をもつて
助
(
たす
)
けてやらうと、
171
滝
(
たき
)
、
172
板
(
いた
)
の
二人
(
ふたり
)
に
跡
(
あと
)
を
追
(
お
)
はせたが、
173
何処
(
どこ
)
をお
前
(
まへ
)
は
迂路
(
うろ
)
ついとつたのだエ、
174
サアサア
私
(
わし
)
について
御座
(
ござ
)
れ。
175
ヤアお
前
(
まへ
)
は
青彦
(
あをひこ
)
ぢやないか、
176
三五教
(
あななひけう
)
に
呆
(
とぼ
)
けてまだ
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めぬか』
177
若彦
(
わかひこ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う、
178
お
蔭
(
かげ
)
ではつきり
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めました』
179
黒姫
(
くろひめ
)
『さうだらう、
180
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
は
能
(
よ
)
う
気
(
き
)
の
変
(
かは
)
るもので、
181
彼方
(
あちら
)
へ
迂路
(
うろ
)
々々
(
うろ
)
、
182
此方
(
こちら
)
へ
迂路
(
うろ
)
々々
(
うろ
)
して
仕方
(
しかた
)
の
無
(
な
)
いものぢや、
183
お
前
(
まへ
)
を
助
(
たす
)
けてやり
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
うて、
184
どれだけ
骨
(
ほね
)
を
折
(
お
)
つたか
知
(
し
)
れたものぢやない。
185
サア
悠
(
ゆつ
)
くりと
私
(
わし
)
の
所
(
ところ
)
までお
節
(
せつ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
出
(
で
)
て
来
(
き
)
なされ、
186
三五教
(
あななひけう
)
も、
187
一寸
(
ちよつと
)
尤
(
もつと
)
もらしい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひよるが、
188
終
(
しまひ
)
には
箔
(
はく
)
が
剥
(
は
)
げて
何程
(
なにほど
)
金太郎
(
きんたらう
)
のお
前
(
まへ
)
でも
愛想
(
あいさう
)
が
尽
(
つ
)
きたらう、
189
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
厳
(
いづ
)
の
霊
(
みたま
)
の
本家
(
ほんけ
)
を
蔑
(
ないがしろ
)
にして、
190
新米
(
しんまい
)
の
出来
(
でき
)
損
(
そこな
)
ひのやうな
三五教
(
あななひけう
)
に
呆
(
とぼ
)
けて
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
で、
191
飯
(
めし
)
に
骨
(
ほね
)
があつて
喉
(
のど
)
に
通
(
とほ
)
りやせまいがな。
192
一杯
(
いつぱい
)
や
二杯
(
にはい
)
は
珍
(
めづ
)
らしいので
喉
(
のど
)
にも
触
(
さは
)
らないで
鵜呑
(
うの
)
みにするが、
193
三杯目
(
さんばいめ
)
位
(
くらゐ
)
からは、
194
ニチヤづいて
舌
(
した
)
の
先
(
さき
)
にザラザラ
触
(
さは
)
り、
195
それを
無理
(
むり
)
に
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
めば
腹
(
はら
)
の
具合
(
ぐあひ
)
が
悪
(
わる
)
くなつて
下痢
(
げり
)
を
催
(
もよほ
)
し、
196
終
(
しまひ
)
の
果
(
はて
)
にはソレ
般若
(
はんにや
)
波羅
(
はら
)
蜜多
(
みつた
)
と
云
(
い
)
うて
腹
(
はら
)
を
撫
(
な
)
でたり、
197
尻
(
しり
)
の
具合
(
ぐあひ
)
迄
(
まで
)
悪
(
わる
)
くして
雪隠
(
せつちん
)
へお
千度
(
せんど
)
を
踏
(
ふ
)
み、
198
オンアボキヤ、
199
ビルシヤナブツ、
200
マカモダラニブツ、
201
ヂンラバ、
202
ハラバリタヤ
[
※
密教の真言「光明真言」だと思われるが、語句は少々異なる。
]
と、
203
陀羅尼
(
だらに
)
を
尻
(
しり
)
が
称
(
とな
)
へるやうになつて
仕舞
(
しま
)
ふ、
204
さうぢやから
食
(
く
)
つてみにや
分
(
わか
)
らぬのだ。
205
加減
(
かげん
)
の
好
(
よ
)
いウラナイ
教
(
けう
)
の
御飯
(
ごはん
)
を
長
(
なが
)
らく
食
(
た
)
べて
居
(
を
)
つて、
206
栄耀
(
ゑいえう
)
に
剰
(
あま
)
つて
餅
(
もち
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
ぎ、
207
まだ
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
があるかと
思
(
おも
)
うて、
208
三五教
(
あななひけう
)
に
珍
(
めづら
)
しい
食物
(
くひもの
)
があるかと
這入
(
はい
)
つて
見
(
み
)
たところ、
209
味
(
あぢ
)
もしやしやりも
有
(
あ
)
りやせまいがな、
210
三五教
(
あななひけう
)
ぢやなく、
211
味無
(
あぢな
)
い
教
(
けう
)
ぢや、
212
アヽよい
修業
(
しうげふ
)
をして
御座
(
ござ
)
つた。
213
よもや
後戻
(
あともど
)
りはしやしまいなア』
214
若彦
(
わかひこ
)
『ヘイ、
215
何
(
ど
)
うして
何
(
ど
)
うして
三五教
(
あななひけう
)
ナンか
信
(
しん
)
じますものか、
216
これから
貴方
(
あなた
)
の
頤使
(
いし
)
に
従
(
したが
)
つて、
217
犬馬
(
けんば
)
の
労
(
らう
)
をも
惜
(
を
)
しまぬ
覚悟
(
かくご
)
でございます』
218
黒姫
(
くろひめ
)
『それは
結構
(
けつこう
)
ぢや、
219
お
節
(
せつ
)
、
220
あの
頑固
(
ぐわんこ
)
な
爺
(
ぢい
)
や
婆
(
ばば
)
アが、
221
国替
(
くにがへ
)
したので
悲
(
かな
)
しいやら
嬉
(
うれ
)
しいやら、
222
好
(
すき
)
な
青彦
(
あをひこ
)
と
気楽
(
きらく
)
に
添
(
そ
)
はれるやうになつたのも、
223
全
(
まつた
)
くウラナイ
教
(
けう
)
のお
蔭
(
かげ
)
ぢやぞエ、
224
あのマア
何
(
なん
)
と
好
(
よ
)
う
揃
(
そろ
)
うた
若夫婦
(
わかふうふ
)
ぢやなア』
225
と
打
(
う
)
つて
変
(
かは
)
つて
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
し、
226
青彦
(
あをひこ
)
の
背中
(
せなか
)
をポンと
叩
(
たた
)
いて
笑
(
わら
)
ふ。
227
馬公
(
うまこう
)
『お
安
(
やす
)
くない
所
(
ところ
)
を
拝見
(
はいけん
)
さして
貰
(
もら
)
ひましてイヤもう
羨望
(
せんばう
)
万望
(
まんばう
)
の
次第
(
しだい
)
で
御座
(
ござ
)
います
哩
(
わい
)
』
228
鹿公
(
しかこう
)
『
何
(
なん
)
と
妙
(
めう
)
ぢやないか、
229
此処
(
ここ
)
には
産釜
(
うぶがま
)
、
230
産盥
(
うぶだらひ
)
と
云
(
い
)
うて
眼鏡
(
めがね
)
のやうに
夫婦
(
めをと
)
の
水溜
(
みづたま
)
りが
綺麗
(
きれい
)
に
湧
(
わ
)
いて
居
(
を
)
る、
231
河
(
かは
)
を
隔
(
へだ
)
ててお
節
(
せつ
)
サンに
若彦
(
わかひこ
)
、
232
オツトドツコイ
青彦
(
あをひこ
)
さま、
233
何
(
なん
)
と
好
(
よ
)
い
配合
(
はいがふ
)
だ、
234
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
も
早
(
はや
)
く
誰人
(
だれ
)
かの
媒妁
(
なかうど
)
で
配偶
(
はいぐう
)
したいものだ、
235
ナア
馬公
(
うまこう
)
………』
236
黒姫
(
くろひめ
)
『お
前
(
まへ
)
は
初
(
はじ
)
めて
見
(
み
)
た
方
(
かた
)
ぢやが、
237
青彦
(
あをひこ
)
の
弟子
(
でし
)
ぢやな、
238
さうして
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふのぢや、
239
最前
(
さいぜん
)
から
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
れば
四足
(
よつあし
)
のやうな
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
びて
御座
(
ござ
)
るが、
240
本当
(
ほんたう
)
の
名
(
な
)
で
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さい、
241
大方
(
おほかた
)
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
名
(
な
)
だらう、
242
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
たところでは
馬鹿
(
うましか
)
らしいお
顔
(
かほ
)
ぢや、
243
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
な
女房
(
にようばう
)
が
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
うても、
244
そのスタイルでは
駄目
(
だめ
)
ぢやなア、
245
四足
(
よつあし
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
をこれからウラナイ
教
(
けう
)
で
追
(
お
)
つ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
して、
246
結構
(
けつこう
)
な
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
眷属
(
けんぞく
)
を
守護神
(
しゆごじん
)
に
入
(
い
)
れ
替
(
かへ
)
て
上
(
あ
)
げよう、
247
何
(
ど
)
うぢや
嬉
(
うれ
)
しいか、
248
恥
(
はづ
)
かしさうに
男
(
をとこ
)
だてら
俯
(
うつ
)
むいて、
249
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
事
(
こと
)
だ。
250
併
(
しか
)
し
其処
(
そこ
)
が
良
(
よ
)
い
所
(
ところ
)
ぢや、
251
優
(
やさ
)
しいものぢや、
252
人間
(
にんげん
)
も
恥
(
はづ
)
かしい
事
(
こと
)
を
忘
(
わす
)
れては
駄目
(
だめ
)
ぢや、
253
サアサア
四
(
よ
)
人
(
にん
)
とも
私
(
わし
)
の
処
(
ところ
)
へお
出
(
いで
)
なさい。
254
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
も
一人
(
ひとり
)
は
弥仙山
(
みせんざん
)
の、
255
ではない
弥仙山
(
みせんざん
)
の
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
好
(
す
)
きと
云
(
い
)
つて
大変
(
たいへん
)
に
信仰
(
しんかう
)
をして
居
(
を
)
つたが、
256
モウ
一
(
ひと
)
つ
偉
(
えら
)
い
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
、
257
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
のある
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
つて、
258
かうして
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
信神
(
しんじん
)
をして
居
(
を
)
るのぢや』
259
青彦
(
あをひこ
)
『アヽさうですか、
260
それは
熱心
(
ねつしん
)
な
事
(
こと
)
ですなア』
261
馬公
(
うまこう
)
『お
婆
(
ば
)
アさま、
262
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
263
私
(
わたし
)
には
一人
(
ひとり
)
連
(
つれ
)
が
御座
(
ござ
)
います』
264
黒姫
(
くろひめ
)
『
極
(
きま
)
つたこつちや、
265
お
前
(
まへ
)
の
連
(
つれ
)
は
鹿
(
しか
)
ぢやないか』
266
馬公
(
うまこう
)
『イヤイヤま
一人
(
ひとり
)
、
267
元
(
もと
)
は
私
(
わたし
)
の
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
であつた
紫姫
(
むらさきひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
結構
(
けつこう
)
なお
方
(
かた
)
が
居
(
を
)
られます』
268
黒姫
(
くろひめ
)
『その
方
(
かた
)
は
何処
(
どこ
)
に
居
(
を
)
られるのだ、
269
早
(
はや
)
う
呼
(
よ
)
びて
来
(
き
)
なさい』
270
馬公
(
うまこう
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に、
271
つい
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
からなられまして、
272
今日
(
けふ
)
初
(
はじ
)
めて
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
へ
御
(
ご
)
参拝
(
さんぱい
)
なされました。
273
今
(
いま
)
お
宮
(
みや
)
で
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
をして
居
(
を
)
られます』
274
黒姫
(
くろひめ
)
『アーさうかな、
275
コレコレ
青彦
(
あをひこ
)
、
276
お
前
(
まへ
)
は
改心
(
かいしん
)
をしてウラナイ
教
(
けう
)
に
戻
(
もど
)
つた
土産
(
みやげ
)
に、
277
其
(
その
)
紫姫
(
むらさきひめ
)
とやらを
帰順
(
きじゆん
)
させて
来
(
き
)
なさい、
278
三五教
(
あななひけう
)
へも
暫
(
しばら
)
く
這入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
つたから、
279
長所
(
ちやうしよ
)
もあるけれど、
280
短所
(
たんしよ
)
も
沢山
(
たくさん
)
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るだらう、
281
其
(
その
)
お
前
(
まへ
)
が
三五教
(
あななひけう
)
に
愛想
(
あいさう
)
を
尽
(
つ
)
かした
経歴
(
けいれき
)
でも
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かして、
282
その
紫姫
(
むらさきひめ
)
を
早
(
はや
)
く
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
なさい』
283
青彦
(
あをひこ
)
『
確
(
たしか
)
に
請合
(
うけあ
)
つて
帰順
(
きじゆん
)
さして
来
(
き
)
ます、
284
どうぞ
私
(
わたくし
)
達
(
たち
)
を
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
くお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませぬか』
285
黒姫
(
くろひめ
)
『
使
(
つか
)
うて
上
(
あ
)
げるとも、
286
ヤア
私
(
わし
)
が
使
(
つか
)
ふのではない、
287
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
がお
使
(
つか
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすのだ』
288
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
静々
(
しづしづ
)
とやつて
来
(
き
)
たのは
紫姫
(
むらさきひめ
)
なり。
289
紫姫
(
むらさきひめ
)
『
若彦
(
わかひこ
)
さま、
290
馬公
(
うまこう
)
、
291
鹿公
(
しかこう
)
、
292
エローお
待
(
ま
)
たせ
致
(
いた
)
しました。
293
サアサア
下向
(
げかう
)
致
(
いた
)
しませう』
294
一同
(
いちどう
)
は、
295
一同
『ハイ』
296
と、
297
どことも
無
(
な
)
く
躊躇
(
ためらひ
)
気味
(
きみ
)
の
生返事
(
なまへんじ
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
298
黒姫
(
くろひめ
)
『ヤアお
前
(
まへ
)
が
紫姫
(
むらさきひめ
)
と
云
(
い
)
ふのか、
299
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
ぢやが、
300
神界
(
しんかい
)
のために
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
様
(
さま
)
で
御座
(
ござ
)
います、
301
どうぞ
精々
(
せいぜい
)
、
302
世界
(
せかい
)
のために
活動
(
くわつどう
)
して
下
(
くだ
)
さい』
303
紫姫
(
むらさきひめ
)
、
304
嬉
(
うれ
)
しさうな
顔
(
かほ
)
つきで、
305
紫姫
『ハア
貴方
(
あなた
)
は
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
306
好
(
よ
)
い
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
307
妾
(
わたし
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
になりましてから、
308
まだ
日
(
ひ
)
も
浅
(
あさ
)
う
御座
(
ござ
)
いますので、
309
何
(
なに
)
も
存
(
ぞん
)
じませぬ、
310
何卒
(
どうぞ
)
老練
(
らうれん
)
な
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
、
311
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
教授
(
けうじゆ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
312
黒姫
(
くろひめ
)
『アヽ
宜
(
よろ
)
しい
宜
(
よろ
)
しい、
313
三五教
(
あななひけう
)
でも
結構
(
けつこう
)
だ、
314
何
(
いづ
)
れ
私
(
わし
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いたらきつと
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
いでウラナイ
教
(
けう
)
にならねばならぬ。
315
発根
(
ほつこん
)
の
合点
(
がてん
)
のゆく
迄
(
まで
)
、
316
お
前
(
まへ
)
は
矢張
(
やつぱり
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
肩書
(
かたがき
)
をもつて
居
(
ゐ
)
なさるが
宜敷
(
よろし
)
からう、
317
無理
(
むり
)
にウラナイ
教
(
けう
)
に
入
(
はい
)
つて
下
(
くだ
)
さいとは
申
(
まを
)
しませぬ、
318
神
(
かみ
)
が
開
(
ひら
)
かにや
開
(
ひら
)
けぬぞよ、
319
無理
(
むり
)
に
引張
(
ひつぱり
)
には
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さるなと
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
つてござる、
320
心
(
こころ
)
から
発根
(
ほつこん
)
の
改心
(
かいしん
)
でなければお
蔭
(
かげ
)
はないから』
321
紫姫
(
むらさきひめ
)
『
一寸
(
ちよつと
)
お
見受
(
みう
)
け
申
(
まを
)
しても、
322
立派
(
りつぱ
)
な
貴女
(
あなた
)
の
神格
(
しんかく
)
、
323
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
れば
貴女
(
あなた
)
の
奉
(
ほう
)
じたまふお
道
(
みち
)
は
優
(
すぐ
)
れて
居
(
を
)
ることは
愚
(
おろ
)
かな
妾
(
わたし
)
にも
観測
(
くわんそく
)
が
出来
(
でき
)
ます。
324
何卒
(
なにとぞ
)
宜敷
(
よろし
)
く
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
325
黒姫
(
くろひめ
)
『ヤア
何
(
なん
)
と
賢明
(
けんめい
)
な
淑女
(
しゆくぢよ
)
ぢやなア、
326
コンナ
物
(
もの
)
の
好
(
よ
)
う
分
(
わか
)
る
方
(
かた
)
が
何
(
ど
)
うして
三五教
(
あななひけう
)
のやうな
教
(
をしへ
)
に
入
(
はい
)
つたのだらう、
327
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
にはコンナ
人
(
ひと
)
がちよいちよい
隠
(
かく
)
れて
居
(
ゐ
)
るから、
328
何処迄
(
どこまで
)
も
探
(
さが
)
し
求
(
もと
)
めて、
329
誠
(
まこと
)
の
人
(
ひと
)
を
集
(
あつ
)
めねばならぬ。
330
誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
許
(
ばか
)
り
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せて
大望
(
たいもう
)
な
経綸
(
しぐみ
)
を
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
させるぞよとは、
331
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
332
アヽ
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
333
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
霊様
(
みたまさま
)
、
334
真実
(
ほんと
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
霊様
(
みたまさま
)
、
335
サアサア
皆様
(
みなさま
)
、
336
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しませう』
337
と
黒姫
(
くろひめ
)
は
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
338
得意
(
とくい
)
の
色
(
いろ
)
を
満面
(
まんめん
)
に
浮
(
うか
)
べ、
339
鼻
(
はな
)
をぴこつかせ、
340
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
り、
341
歩
(
あゆ
)
み
振
(
ぶり
)
も
常
(
つね
)
とは
変
(
かは
)
つて、
342
いそいそと
崎嶇
(
きく
)
たる
山道
(
やまみち
)
を
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
343
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
の
隠家
(
かくれが
)
さして
一行
(
いつかう
)
八
(
はち
)
人
(
にん
)
[
※
黒姫と従者2人、紫姫・若彦・馬公・鹿公・お節の、計8人。従者のうち1人は綾彦だということが第10章に記されている(もう1人は名前不明)。
]
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
344
(
大正一一・四・二五
旧三・二九
加藤明子
録)
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