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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第23巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 南海の山
第1章 玉の露
第2章 副守囁
第3章 松上の苦悶
第4章 長高説
第2篇 恩愛の涙
第5章 親子奇遇
第6章 神異
第7章 知らぬが仏
第8章 縺れ髪
第3篇 有耶無耶
第9章 高姫騒
第10章 家宅侵入
第11章 難破船
第12章 家島探
第13章 捨小舟
第14章 籠抜
第4篇 混線状態
第15章 婆と婆
第16章 蜈蚣の涙
第17章 黄竜姫
第18章 波濤万里
霊の礎(八)
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第23巻(戌の巻)
> 第1篇 南海の山 > 第2章 副守囁
<<< 玉の露
(B)
(N)
松上の苦悶 >>>
第二章
副守
(
ふくしゆの
)
囁
(
ささやき
)
〔七一四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
篇:
第1篇 南海の山
よみ(新仮名遣い):
なんかいのやま
章:
第2章 副守囁
よみ(新仮名遣い):
ふくしゅのささやき
通し章番号:
714
口述日:
1922(大正11)年06月10日(旧05月15日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月19日
概要:
舞台:
熊野の若彦館
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
熊野の那智の滝で罪穢れを洗い清めた若彦の館に、魔我彦と竹彦が訪ねて来た。魔我彦、竹彦は玉照彦・玉照姫の使者として来たのだ、と傲然と構えている。
魔我彦と竹彦は、聖地で杢助と初稚姫が幅を利かせているために高姫が非常に心配をしている、と報告し、言依別命が玉能姫と不倫をしているなどど嘘の報告をなし、若彦を取り崩そうとする。
しかし若彦は、それが本当だとしても小さなことだ、と取り合わない。魔我彦は必死で若彦の心を崩そうとするが、竹彦が茶々を入れて邪魔をする。竹彦は神懸りになって、魔我彦・竹彦が国依別と玉治別を谷底へ突き落としたことを仄めかすようなことを言い、逆に魔我彦が焦り出す。
そこへ、若彦に三人の男の来客があった。若彦は魔我彦・竹彦が逃げないように見張りをつけて、接客に出た。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-06-22 19:57:35
OBC :
rm2302
愛善世界社版:
24頁
八幡書店版:
第4輯 501頁
修補版:
校定版:
24頁
普及版:
10頁
初版:
ページ備考:
001
罪
(
つみ
)
も
穢
(
けが
)
れも
那智
(
なち
)
の
滝
(
たき
)
、
002
洗
(
あら
)
ひ
流
(
なが
)
した
若彦
(
わかひこ
)
は、
003
心
(
こころ
)
もすがすがしく
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
を
遠近
(
ゑんきん
)
に
伝
(
つた
)
ふべく、
004
普陀落
(
ふだらく
)
山
(
さん
)
の
麓
(
ふもと
)
に
館
(
やかた
)
を
造
(
つく
)
り、
005
教
(
をしへ
)
を
四方
(
よも
)
に
布
(
し
)
きつつあつた。
006
門
(
もん
)
を
叩
(
たた
)
いて、
007
『
頼
(
たの
)
まう
頼
(
たの
)
まう』
008
と
訪
(
おとな
)
ふ
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
がある。
009
門番
(
もんばん
)
の
秋公
(
あきこう
)
、
010
七五三
(
しめ
)
公
(
こう
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
眠
(
ねむ
)
りを
醒
(
さ
)
まし、
011
大欠伸
(
おほあくび
)
をしながら、
012
七五三
(
しめ
)
公
(
こう
)
『オイ
秋公
(
あきこう
)
、
013
誰
(
たれ
)
だか
門外
(
もんぐわい
)
に
訪
(
おとな
)
ふ
人
(
ひと
)
がある。
014
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
きて
開
(
あ
)
けてやらないか』
015
秋公
(
あきこう
)
『
夜
(
よ
)
も
碌
(
ろく
)
に
明
(
あ
)
けてゐないのに、
016
此
(
こ
)
の
門
(
もん
)
開
(
あ
)
ける
必要
(
ひつえう
)
があるか。
017
少
(
すこ
)
し
時刻
(
じこく
)
が
早
(
はや
)
いから、
018
マア
一寝入
(
ひとねいり
)
したがよからう』
019
門
(
もん
)
を
叩
(
たた
)
く
声
(
こゑ
)
益々
(
ますます
)
忙
(
いそが
)
はしい。
020
七五三
(
しめ
)
公
(
こう
)
は
夜具
(
やぐ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
儘
(
まま
)
、
021
七五三公
『オイオイ
開
(
あ
)
けるのは
秋公
(
あきこう
)
の
役
(
やく
)
だ。
022
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
きぬかい』
023
秋公
(
あきこう
)
『
夫
(
それ
)
程
(
ほど
)
喧
(
やかま
)
しく
言
(
い
)
ふなら、
024
貴様
(
きさま
)
開
(
あ
)
けてやれ』
025
七五三公
『オレは
其
(
その
)
名
(
な
)
の
如
(
ごと
)
く
しめ
る
役
(
やく
)
だ。
026
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
を
)
ると、
027
又
(
また
)
若彦
(
わかひこ
)
の
大将
(
たいしやう
)
からお
目玉
(
めだま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
するぞ。
028
エー
仕方
(
しかた
)
の
無
(
な
)
い
奴
(
やつ
)
だ』
029
と
寝巻
(
ねまき
)
の
儘
(
まま
)
、
030
仏頂面
(
ぶつちやうづら
)
を
下
(
さ
)
げて
片足
(
かたあし
)
に
下駄
(
げた
)
、
031
片足
(
かたあし
)
に
草履
(
ざうり
)
を
穿
(
は
)
き、
032
三尺帯
(
さんしやくおび
)
を
引摺
(
ひきず
)
り
乍
(
なが
)
ら、
033
門
(
もん
)
をガラガラと
開
(
ひら
)
いた。
034
二人
(
ふたり
)
は
丁寧
(
ていねい
)
に
会釈
(
ゑしやく
)
し、
035
二人の宣伝使
『
若彦
(
わかひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
御
(
ご
)
在宅
(
ざいたく
)
ですかな』
036
七五三
(
しめ
)
公
(
こう
)
『そんな
難
(
むつ
)
かしいことを
言
(
い
)
つて
解
(
わか
)
るかい。
037
居
(
を
)
るか、
038
居
(
を
)
らぬかと
云
(
い
)
ふのか。
039
さうしてお
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
だ』
040
男
『ハイ
私
(
わたくし
)
は
魔我彦
(
まがひこ
)
、
041
外
(
ほか
)
一人
(
ひとり
)
は
竹彦
(
たけひこ
)
と
云
(
い
)
つて
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
です。
042
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
に
依
(
よ
)
つて、
043
遥々
(
はるばる
)
参
(
まゐ
)
つたのですから
案内
(
あんない
)
して
下
(
くだ
)
さい』
044
七五三公
『
曲
(
まが
)
つたとか、
045
曲
(
まが
)
らぬとか、
046
案内
(
あんない
)
とか、
047
門内
(
もんない
)
とか、
048
お
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
全然
(
さつぱり
)
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬ。
049
そんな
英語
(
えいご
)
を
使
(
つか
)
はずに
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
に
分
(
わか
)
る
様
(
やう
)
に
云
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ』
050
魔我彦
(
まがひこ
)
『アハヽヽヽ、
051
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
門番
(
もんばん
)
もあつた
もん
ぢやなア。
052
こんな
奴
(
やつ
)
が
門番
(
もんばん
)
して
居
(
ゐ
)
る
位
(
くらゐ
)
だから、
053
大抵
(
たいてい
)
若彦
(
わかひこ
)
の
御
(
お
)
手並
(
てなみ
)
も
分
(
わか
)
つてゐるワイ』
054
七五三
(
しめ
)
公
(
こう
)
『
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
呉
(
く
)
れ。
055
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
は
此家
(
ここ
)
の
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
を
若彦
(
わかひこ
)
と
云
(
い
)
つたなア。
056
何故
(
なぜ
)
若彦
(
わかひこ
)
さまと
言
(
い
)
はないのだ。
057
そんな
無茶
(
むちや
)
なこと
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は、
058
此
(
こ
)
の
門
(
もん
)
は
通
(
とほ
)
されぬのだ。
059
大方
(
おほかた
)
魔谷
(
まや
)
ケ
岳
(
だけ
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
乾児
(
こぶん
)
だらう。
060
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だなんて、
061
うまく
化
(
ばけ
)
て
来
(
き
)
たのではないかな。
062
……オイ
秋公
(
あきこう
)
、
063
貴様
(
きさま
)
起
(
お
)
きて
来
(
こ
)
い。
064
大変
(
たいへん
)
な
奴
(
やつ
)
がやつて
来居
(
きを
)
つたぞ』
065
秋公
(
あきこう
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
066
寝巻
(
ねまき
)
の
儘
(
まま
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
067
秋公
『
大変
(
たいへん
)
な
奴
(
やつ
)
とは
此奴
(
こいつ
)
か。
068
如何
(
どう
)
したといふのだ』
069
七五三公
『
此方
(
こちら
)
の
主人
(
しゆじん
)
を
若彦
(
わかひこ
)
なんて
呼
(
よ
)
びつけにしやがるものだから、
070
むかつくのだよ
秋公
(
あきこう
)
』
071
秋公
『それはむかつくとも、
072
オイ
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
か
知
(
し
)
らぬが
今日
(
けふ
)
は
帰
(
かへ
)
つて
呉
(
く
)
れ』
073
魔我彦
(
まがひこ
)
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
謂
(
ゐ
)
はば
若彦
(
わかひこ
)
の
門番
(
もんばん
)
でないか。
074
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
で
来
(
き
)
た
吾々
(
われわれ
)
を、
075
通
(
とほ
)
すの
通
(
とほ
)
さぬのと
云
(
い
)
ふ
権利
(
けんり
)
があるか。
076
早
(
はや
)
く
案内
(
あんない
)
を
致
(
いた
)
せ』
077
と
稍
(
やや
)
怒
(
いか
)
りを
帯
(
お
)
びた
語気
(
ごき
)
で
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
078
二人
(
ふたり
)
は
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら、
079
秋公
(
あきこう
)
『マア
是
(
これ
)
から
吾々
(
われわれ
)
門番
(
もんばん
)
は
手水
(
てうづ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
080
着物
(
きもの
)
を
着換
(
きか
)
へ、
081
朝飯
(
あさめし
)
を
食
(
く
)
つて
悠
(
ゆつ
)
くりと
案内
(
あんない
)
をしてやるから、
082
それ
迄
(
まで
)
其処
(
そこ
)
に
待
(
ま
)
つてゐるが
好
(
よ
)
いワイ』
083
竹彦
(
たけひこ
)
『
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
084
広
(
ひろ
)
いと
云
(
い
)
つても
たか
が
知
(
し
)
れた
若彦
(
わかひこ
)
の
屋敷
(
やしき
)
、
085
サア、
086
行
(
ゆ
)
きませう』
087
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
る。
088
若彦
(
わかひこ
)
は
涼
(
すず
)
しさうな
薄衣
(
うすぎぬ
)
を
着
(
き
)
て、
089
庭先
(
にはさき
)
の
掃除
(
さうぢ
)
に
余念
(
よねん
)
無
(
な
)
く、
090
箒目
(
はうきめ
)
を
正
(
ただ
)
しく
砂
(
すな
)
の
上
(
うへ
)
に
画
(
ゑが
)
いてゐる。
091
魔我彦
(
まがひこ
)
『アヽ
彼
(
あ
)
れが
何
(
ど
)
うやら
若彦
(
わかひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
らしい。
092
大将
(
たいしやう
)
は
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
くから
彼
(
あ
)
の
通
(
とほ
)
り、
093
箒
(
はうき
)
を
以
(
もつ
)
て
園丁
(
ゑんてい
)
の
役
(
やく
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
を
)
るのに、
094
門番
(
もんばん
)
の
奴
(
やつ
)
グウグウと
寝
(
ね
)
やがつて、
095
ポンついてゐやがる。
096
ウラナイ
教
(
けう
)
の
北山村
(
きたやまむら
)
の
本山
(
ほんざん
)
でも、
097
依然
(
やつぱり
)
さうだつた。
098
門番
(
もんばん
)
は
威張
(
ゐば
)
るばかりで
働
(
はたら
)
かぬものだ。
099
なア
竹彦
(
たけひこ
)
、
100
貴様
(
きさま
)
も
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
ではウラナイ
教
(
けう
)
の
門番
(
もんばん
)
をしてゐた
時
(
とき
)
、
101
依然
(
やつぱり
)
さうだつたなア』
102
竹彦
(
たけひこ
)
『そんなことを
今頃
(
いまごろ
)
に
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
すものぢやありませぬぞ。
103
さうしてウラナイ
教
(
けう
)
なんて、
104
疾
(
とう
)
の
昔
(
むかし
)
に
消滅
(
せうめつ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
105
今
(
いま
)
は
吾々
(
われわれ
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
106
昔
(
むかし
)
の
門番
(
もんばん
)
を、
107
こんな
処
(
ところ
)
で
担
(
かつ
)
ぎ
出
(
だ
)
されると
吾々
(
われわれ
)
の
沽券
(
こけん
)
が
下
(
さが
)
る。
108
そんな
過去
(
すぎさ
)
つたことを
云
(
い
)
ふのなら、
109
青山峠
(
あをやまたうげ
)
の
谷間
(
たにあひ
)
の
突発
(
とつぱつ
)
事件
(
じけん
)
を
此処
(
ここ
)
で
開陳
(
かいちん
)
しようか』
110
魔我彦
(
まがひこ
)
『シーツ』
111
竹彦
(
たけひこ
)
『シーツとはなんだ。
112
人
(
ひと
)
を
四足扱
(
よつあしあつか
)
ひにしやがつて、
113
シーシー
云
(
い
)
うと、
114
死
(
し
)
んだ
奴
(
やつ
)
が
又
(
また
)
恨
(
うら
)
めしやーナアーとやつて
来
(
く
)
るぞ。
115
縁起
(
えんぎ
)
を
祝
(
いは
)
ふ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
だ。
116
四
(
し
)
と
九
(
く
)
とは
言
(
い
)
はぬやうに
慎
(
つつし
)
んだがよからう』
117
と
佇
(
たたず
)
んで
若彦
(
わかひこ
)
の
掃除
(
さうぢ
)
を
見
(
み
)
乍
(
なが
)
ら
二人
(
ふたり
)
が
囁
(
ささや
)
いてゐる。
118
其
(
そ
)
の
声
(
こゑ
)
が
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
り
若彦
(
わかひこ
)
は、
119
箒
(
はうき
)
を
手
(
て
)
にしながら
両人
(
りやうにん
)
の
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めて、
120
若彦
(
わかひこ
)
『アヽ
貴方
(
あなた
)
は
魔我彦
(
まがひこ
)
さまに
竹彦
(
たけひこ
)
さま、
121
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
くから、
122
よくお
入来
(
いで
)
になりました。
123
どうぞ
奥
(
おく
)
へ
通
(
とほ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
124
一別
(
いちべつ
)
以来
(
いらい
)
の
御
(
お
)
話
(
はな
)
しも
悠
(
ゆつ
)
くり
承
(
うけたま
)
はりませう』
125
魔我彦
(
まがひこ
)
は
儼然
(
げんぜん
)
として、
126
魔我彦
『
私
(
わたくし
)
は
玉照彦
(
たまてるひこ
)
、
127
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
使
(
つかひ
)
として、
128
遥々
(
はるばる
)
参
(
まゐ
)
つたもので
御座
(
ござ
)
います』
129
竹彦
(
たけひこ
)
『
謂
(
ゐ
)
はば
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
使
(
つかひ
)
、
130
謹
(
つつし
)
みて
御
(
お
)
聴
(
き
)
きなさるがよろしからう』
131
と
傲然
(
ごうぜん
)
と
構
(
かま
)
へてゐる。
132
若彦
(
わかひこ
)
は
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
133
若彦
『
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
134
奥
(
おく
)
へ
御
(
お
)
通
(
とほ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
135
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つ。
136
二人
(
ふたり
)
は
離
(
はな
)
れ
座敷
(
ざしき
)
に
招
(
まね
)
かれ、
137
茶湯
(
ちやゆ
)
の
饗応
(
きやうおう
)
を
受
(
う
)
け、
138
暫
(
しばら
)
く
打寛
(
うちくつろ
)
いで
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
る
事
(
こと
)
となつた。
139
若彦
(
わかひこ
)
は
表
(
おもて
)
に
出
(
い
)
で
部下
(
ぶか
)
の
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
と
共
(
とも
)
に、
140
神殿
(
しんでん
)
に
朝
(
あさ
)
の
拝礼
(
はいれい
)
を
為
(
な
)
し、
141
一場
(
いちぢやう
)
の
説教
(
せつけう
)
を
了
(
をは
)
り
朝飯
(
あさめし
)
を
喰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
142
侍女
(
じぢよ
)
は
膳部
(
ぜんぶ
)
を
拵
(
こしら
)
へ、
143
離
(
はな
)
れ
座敷
(
ざしき
)
の
二人
(
ふたり
)
の
前
(
まへ
)
に
持運
(
もちはこ
)
び、
144
朝飯
(
あさめし
)
をすすめて
居
(
ゐ
)
る。
145
若彦
(
わかひこ
)
は
朝餉
(
あさげ
)
を
済
(
す
)
まし、
146
衣紋
(
えもん
)
を
繕
(
つくろ
)
ひ、
147
離座敷
(
はなれざしき
)
の
二人
(
ふたり
)
が
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
148
若彦
(
わかひこ
)
『これはこれは
御
(
お
)
両人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
、
149
長
(
なが
)
らく
御
(
お
)
待
(
ま
)
たせ
致
(
いた
)
しました。
150
遥々
(
はるばる
)
の
御
(
お
)
越
(
こ
)
し、
151
何
(
なん
)
の
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
も
無
(
な
)
く
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
みませぬ』
152
魔我彦
(
まがひこ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
は
一汁
(
いちじふ
)
一菜
(
いつさい
)
と
云
(
い
)
ふ
御
(
ご
)
規則
(
きそく
)
で
御座
(
ござ
)
る。
153
それにも
関
(
かか
)
はらず、
154
イヤもう
贅沢
(
ぜいたく
)
な
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
に
預
(
あづか
)
りました。
155
聖地
(
せいち
)
に
於
(
おい
)
ては
到底
(
たうてい
)
玉照彦
(
たまてるひこ
)
様
(
さま
)
でも、
156
こんな
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
は
見
(
み
)
られたことも
御座
(
ござ
)
りませぬ。
157
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
折角
(
せつかく
)
の
御
(
おん
)
志
(
こころざし
)
、
158
無
(
む
)
にするも
如何
(
いかが
)
かと
存
(
ぞん
)
じ、
159
快
(
こころよ
)
く
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しました。
160
アハヽヽヽ』
161
若彦
(
わかひこ
)
『
吾々
(
われわれ
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
162
一汁
(
いちじふ
)
一菜
(
いつさい
)
の
御
(
ご
)
規則
(
きそく
)
はよく
守
(
まも
)
つて
居
(
を
)
ります。
163
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今日
(
けふ
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
入来
(
いで
)
ですから、
164
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
奉
(
たてまつ
)
つたのです。
165
魔我彦
(
まがひこ
)
さまや、
166
竹彦
(
たけひこ
)
さまに
御
(
お
)
上
(
あ
)
げ
申
(
まを
)
したのでは
御座
(
ござ
)
らぬ。
167
貴方
(
あなた
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
上
(
あ
)
げたものを、
168
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だから
御食
(
よば
)
れましたと
仰有
(
おつしや
)
つたが、
169
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
分
(
ぶん
)
まで
御
(
お
)
食
(
あが
)
りになつたのですか』
170
と
竹篦返
(
しつぺがへ
)
しを
喰
(
く
)
はされ、
171
二人
(
ふたり
)
はギヤフンとして
円
(
まる
)
い
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
く。
172
魔我彦
(
まがひこ
)
『
今日
(
こんにち
)
吾々
(
われわれ
)
の
参
(
まゐ
)
つたのは
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
、
173
玉照彦
(
たまてるひこ
)
、
174
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
二柱
(
ふたはしら
)
の
神司
(
かむづかさ
)
より、
175
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
を
伝
(
つた
)
ふべく
出張
(
しゆつちやう
)
致
(
いた
)
しました。
176
貴方
(
あなた
)
は
聖地
(
せいち
)
の
大変
(
たいへん
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
りますか』
177
若彦
(
わかひこ
)
『
聖地
(
せいち
)
は
無事
(
ぶじ
)
安穏
(
あんをん
)
に
神業
(
しんげふ
)
が
栄
(
さか
)
えて
居
(
を
)
るぢやありませぬか』
178
魔我彦
(
まがひこ
)
『さてさて
貴方
(
あなた
)
は
長
(
なが
)
らく
聖地
(
せいち
)
を
離
(
はな
)
れてゐるから
解
(
わか
)
らぬと
見
(
み
)
えるワイ。
179
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
存知
(
ぞんぢ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
180
全然
(
すつかり
)
聖地
(
せいち
)
へ
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
み、
181
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
少女
(
ちつぺ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
楯
(
たて
)
に
取
(
と
)
り、
182
横暴
(
わうばう
)
を
極
(
きは
)
め、
183
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
人心
(
じんしん
)
離反
(
りはん
)
し、
184
今
(
いま
)
に
大変動
(
だいへんどう
)
が
起
(
おこ
)
らんとして
居
(
ゐ
)
る。
185
それで
高姫
(
たかひめ
)
さまも
非常
(
ひじやう
)
に
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
を
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るのです』
186
若彦
(
わかひこ
)
『さうすると
貴方
(
あなた
)
は
高姫
(
たかひめ
)
さまの
旨
(
むね
)
を
奉
(
ほう
)
じて
来
(
こ
)
られたのか、
187
或
(
あるひ
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
の
旨
(
むね
)
を
奉
(
ほう
)
じて
御
(
お
)
入来
(
いで
)
になつたのか、
188
それから
第一番
(
だいいちばん
)
に
聴
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひませう』
189
竹彦
(
たけひこ
)
『そんな
事
(
こと
)
は
如何
(
どう
)
でも
好
(
よ
)
いぢやないか』
190
と
言
(
い
)
はんとするを
魔我彦
(
まがひこ
)
は
周章
(
あわて
)
て
押
(
お
)
し
止
(
とど
)
め、
191
魔我彦
(
まがひこ
)
『コレコレ
竹彦
(
たけひこ
)
さま、
192
お
前
(
まへ
)
は
約束
(
やくそく
)
を
守
(
まも
)
らぬか。
193
お
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふべきところではない、
194
謂
(
ゐ
)
はば
従者
(
じゆうしや
)
ぢやないか』
195
竹彦
(
たけひこ
)
『
従者
(
じゆうしや
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らぬが
依然
(
やつぱり
)
表面
(
へうめん
)
は
魔我彦
(
まがひこ
)
と
同格
(
どうかく
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
196
余
(
あんま
)
り
偉
(
えら
)
さうに
言
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ひますまい。
197
青山峠
(
あをやまたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
は
何
(
ど
)
うですな』
198
と
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
む。
199
魔我彦
(
まがひこ
)
『
青山
(
あをやま
)
に
日
(
ひ
)
が
隠
(
かく
)
らば
烏羽玉
(
うばたま
)
の
夜
(
よ
)
は
出
(
いで
)
なむ。
200
朝日
(
あさひ
)
の
笑
(
ゑ
)
み
栄
(
さか
)
え
来
(
き
)
て、
201
拷綱
(
たくづぬ
)
の
白
(
しろ
)
き
腕
(
ただむき
)
淡雪
(
あはゆき
)
の
若
(
わか
)
やる
胸
(
むね
)
を、
202
素手抱
(
すだだ
)
き
手抱
(
ただ
)
き
まながり
、
203
真玉手
(
またまで
)
玉手
(
たまで
)
さし
巻
(
ま
)
き、
204
腿長
(
ももなが
)
に
いほしなせ
、
205
豊御酒
(
とよみき
)
奉
(
たてまつ
)
らせ。
206
アハヽヽヽ』
207
と
笑
(
わら
)
ひに
紛
(
まぎ
)
らす。
208
竹彦
(
たけひこ
)
『ヘン、
209
うまい
処
(
とこ
)
へ
脱線
(
だつせん
)
するワイ』
210
魔我彦
(
まがひこ
)
『
沈黙
(
ちんもく
)
だ』
211
若彦
(
わかひこ
)
『
杢助
(
もくすけ
)
が
何
(
ど
)
うしたと
言
(
い
)
ふのですか』
212
魔我彦
(
まがひこ
)
『
杢助
(
もくすけ
)
はお
前
(
まへ
)
さまを
紀州
(
きしう
)
下
(
くんだ
)
りまで
追
(
お
)
ひやつて
置
(
お
)
き、
213
お
前
(
まへ
)
の
女房
(
にようばう
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
をうまく
抱
(
だ
)
き
込
(
こ
)
み、
214
聖地
(
せいち
)
へ
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
き、
215
言依別
(
ことよりわけ
)
の
命
(
みこと
)
に
密
(
そつ
)
と
○○
(
まるまる
)
させて、
216
それを
手柄
(
てがら
)
に
威張
(
ゐば
)
つて
居
(
を
)
るのだ。
217
それが
為
(
ため
)
に
聖地
(
せいち
)
の
風紀
(
ふうき
)
は
紊
(
みだ
)
れ、
218
「
町内
(
ちやうない
)
で
知
(
し
)
らぬは
亭主
(
ていしゆ
)
ばかりなり」と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
突発
(
とつぱつ
)
して
居
(
ゐ
)
ますよ。
219
お
前
(
まへ
)
さんは
杢助
(
もくすけ
)
や、
220
言依別
(
ことよりわけ
)
を
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
ひますか。
221
肝腎
(
かんじん
)
の
女房
(
にようばう
)
を
○○
(
まるまる
)
されて、
222
それで
安閑
(
あんかん
)
としてゐるのですかな。
223
高姫
(
たかひめ
)
さまが
大変
(
たいへん
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
なされて「アヽ
若彦
(
わかひこ
)
さんは
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ぢや、
224
何卒
(
どうぞ
)
一日
(
いちじつ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
らして
上
(
あ
)
げ、
225
私
(
わし
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
して
聖地
(
せいち
)
を
改革
(
かいかく
)
せねばならぬ」と
仰有
(
おつしや
)
つて、
226
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
に
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひを
遊
(
あそ
)
ばしたところ、
227
玉照彦
(
たまてるひこ
)
、
228
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
に
大神
(
おほかみ
)
が
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
遊
(
あそ
)
ばし、
229
「
不届
(
ふとどき
)
至極
(
しごく
)
の
言依別
(
ことよりわけ
)
、
230
今日
(
こんにち
)
より
其
(
その
)
職
(
しよく
)
を
免
(
めん
)
じ、
231
高姫
(
たかひめ
)
に
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
を
委任
(
ゐにん
)
する。
232
就
(
つい
)
ては
杢助
(
もくすけ
)
を
叩
(
たた
)
き
出
(
だ
)
し、
233
若彦
(
わかひこ
)
さんを
総務
(
そうむ
)
にするのだから
早
(
はや
)
く
聖地
(
せいち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
貰
(
もら
)
へ」との
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
き
御
(
おん
)
言葉
(
ことば
)
、
234
それ
故
(
ゆゑ
)
吾々
(
われわれ
)
は
遥々
(
はるばる
)
と
参
(
まゐ
)
りました』
235
若彦
(
わかひこ
)
『それは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
でした。
236
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
貴方
(
あなた
)
の
仰有
(
おつしや
)
る
大変
(
たいへん
)
とは、
237
そんなものですか。
238
それはホンの
小
(
ちひ
)
さい
問題
(
もんだい
)
ぢやありませぬか。
239
例令
(
たとへ
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
○○
(
まるまる
)
されたと
言
(
い
)
つても、
240
吾々
(
われわれ
)
さへ
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
れば
済
(
す
)
むことだ。
241
其
(
そ
)
の
位
(
くらゐ
)
な
事
(
こと
)
が、
242
何
(
なに
)
大変
(
たいへん
)
であらう。
243
アハヽヽヽ』
244
と
手
(
て
)
も
無
(
な
)
く
笑
(
わら
)
ふ。
245
魔我彦
(
まがひこ
)
はキツとなり、
246
魔我彦
『これは
怪
(
け
)
しからぬ。
247
自分
(
じぶん
)
の
女房
(
にようばう
)
を
○○
(
まるまる
)
され
乍
(
なが
)
ら
平気
(
へいき
)
で
笑
(
わら
)
うてゐるとは、
248
無神経
(
むしんけい
)
にも
程度
(
ほど
)
がある。
249
イヤ、
250
貴方
(
あなた
)
は
玉能姫
(
たまのひめ
)
以上
(
いじやう
)
のナイスが
出来
(
でき
)
たので、
251
これ
幸
(
さいは
)
ひと
思
(
おも
)
つてゐるのでせう』
252
若彦
(
わかひこ
)
『
私
(
わたし
)
は
神界
(
しんかい
)
に
捧
(
ささ
)
げた
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
253
玉能姫
(
たまのひめ
)
を
措
(
お
)
いて
他
(
ほか
)
に
女
(
をんな
)
などは
一人
(
ひとり
)
もナイスだ。
254
アハヽヽヽ』
255
と
木
(
き
)
で
鼻
(
はな
)
を
擦
(
こす
)
つたように
笑
(
わら
)
つて
取
(
と
)
り
合
(
あ
)
はぬ。
256
魔我彦
(
まがひこ
)
『それよりも
未
(
ま
)
だ
未
(
ま
)
だ
一大事
(
いちだいじ
)
がある。
257
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
や、
258
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
や、
259
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
隠
(
かく
)
した
張本人
(
ちやうほんにん
)
は
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
だ。
260
可愛相
(
かはいさう
)
に
黒姫
(
くろひめ
)
さまや、
261
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
262
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
連中
(
れんちう
)
は、
263
玉
(
たま
)
探
(
さが
)
しに
世界中
(
せかいぢう
)
へ
出
(
で
)
て
了
(
しま
)
つた。
264
さうして
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
は
何
(
なん
)
でも
目的
(
もくてき
)
があつて、
265
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
何処
(
どこ
)
かへ
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
ひよつたのだから、
266
何処
(
どこ
)
までも
詮議立
(
せんぎだて
)
をしなくてはなりませぬ。
267
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
玉能姫
(
たまのひめ
)
を
○○
(
まるまる
)
するために、
268
お
前
(
まへ
)
さまを
斯
(
こ
)
んな
遠国
(
ゑんごく
)
へ、
269
杢助
(
もくすけ
)
と
諜
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せて
追
(
お
)
ひやるやうな
代物
(
しろもの
)
だからなア』
270
若彦
(
わかひこ
)
『アヽさうですか、
271
私
(
わたし
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
が
何
(
なに
)
をなさらうとも、
272
神界
(
しんかい
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
る
方
(
かた
)
だから、
273
少
(
すこ
)
しも
異存
(
いぞん
)
は
申
(
まを
)
しませぬ、
274
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
ですから』
275
魔我彦
(
まがひこ
)
『
服従
(
ふくじゆう
)
も
事
(
こと
)
に
依
(
よ
)
りますよ。
276
些
(
ちつ
)
と
冷静
(
れいせい
)
に
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へなさい。
277
天下
(
てんか
)
の
大事
(
だいじ
)
ですから。
278
教主
(
けうしゆ
)
一人
(
ひとり
)
と
天下
(
てんか
)
とには
換
(
かへ
)
られますまい』
279
若彦
(
わかひこ
)
『
彼
(
あ
)
の
賢
(
かしこ
)
い
抜目
(
ぬけめ
)
の
無
(
な
)
い
玉治別
(
たまはるわけ
)
や、
280
国依別
(
くによりわけ
)
が
付
(
つ
)
いて
居
(
を
)
るのですから、
281
滅多
(
めつた
)
なことはありますまい。
282
もしも
左様
(
さやう
)
なことがあれば、
283
屹度
(
きつと
)
知
(
し
)
らして
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
になつて
居
(
を
)
るのですから』
284
竹彦
(
たけひこ
)
『
玉治別
(
たまはるわけ
)
や
国依別
(
くによりわけ
)
は、
285
モウ
現世
(
このよ
)
には………』
286
と
言
(
い
)
ひかけるのを、
287
魔我彦
(
まがひこ
)
は『シーツ』と
制
(
せい
)
し
止
(
とど
)
める。
288
竹彦
(
たけひこ
)
『
又
(
また
)
人
(
ひと
)
をシーなんて
馬鹿
(
ばか
)
にするない。
289
シーシー
死骸
(
しがい
)
、
290
死人
(
しにん
)
、
291
しぶとい
、
292
知
(
し
)
らぬ
神
(
かみ
)
に
祟
(
たた
)
り
無
(
な
)
し。
293
死
(
し
)
んだがマシであつたかいなア』
294
と
首
(
くび
)
を
篦棒
(
べらぼう
)
に
振
(
ふ
)
り、
295
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
してゐる。
296
魔我彦
(
まがひこ
)
は
心
(
こころ
)
も
心
(
こころ
)
ならず、
297
魔我彦
(
まがひこ
)
『
若彦
(
わかひこ
)
さま、
298
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
は
些
(
ちつ
)
と
逆上
(
ぎやくじやう
)
してゐますから、
299
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふか
解
(
わか
)
りませぬ。
300
チツとキ
印
(
じるし
)
ですから
其
(
そ
)
のつもりで
聴
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい』
301
若彦
(
わかひこ
)
『
玉治別
(
たまはるわけ
)
と
国依別
(
くによりわけ
)
さまの
消息
(
せうそく
)
は
御
(
ご
)
存知
(
ぞんぢ
)
でせうな』
302
魔我彦
(
まがひこ
)
『………』
303
竹彦
(
たけひこ
)
『
此
(
こ
)
の
竹彦
(
たけひこ
)
は
知
(
し
)
つても
知
(
し
)
りませぬ。
304
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
能
(
よ
)
く
知
(
し
)
つてゐますよ』
305
魔我彦
(
まがひこ
)
は
矢庭
(
やには
)
に
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み、
306
竹彦
(
たけひこ
)
に
向
(
むか
)
つてウンと
一声
(
ひとこゑ
)
、
307
魔我彦
(
まがひこ
)
は、
308
魔我彦
『
副守
(
ふくしゆ
)
の
奴
(
やつ
)
、
309
除
(
ど
)
けーツ』
310
と
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てゐる。
311
竹彦
(
たけひこ
)
『ウヽヽ
油断
(
ゆだん
)
を
致
(
いた
)
すと
谷底
(
たにぞこ
)
へ
突落
(
つきおと
)
されるぞよ。
312
一旦
(
いつたん
)
谷底
(
たにぞこ
)
へ
落
(
おと
)
した
上
(
うへ
)
で
神
(
かみ
)
が
救
(
たす
)
けて、
313
誠
(
まこと
)
の
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
さすぞよ。
314
此
(
この
)
世
(
よ
)
は
神
(
かみ
)
の
自由
(
じいう
)
であるから、
315
人間
(
にんげん
)
のうまい
計画
(
たくみ
)
は
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
さぬぞよ。
316
蛙
(
かはづ
)
は
口
(
くち
)
から、
317
われとわが
手
(
て
)
に
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
さして
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
を
引剥
(
ひんむ
)
くぞよ』
318
魔我彦
(
まがひこ
)
『
下
(
さが
)
れ
下
(
さが
)
れ、
319
下
(
さが
)
り
居
(
を
)
らう。
320
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
野天狗
(
のてんぐ
)
であらう』
321
竹彦
(
たけひこ
)
『
野天狗
(
のてんぐ
)
でも
何
(
なん
)
でも
可
(
い
)
いわ、
322
谷底
(
たにぞこ
)
ぢや、
323
押
(
おし
)
も
押
(
おさ
)
れもせぬ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
でも、
324
矢張
(
やつぱり
)
押
(
お
)
されて
谷底
(
たにぞこ
)
へ
落
(
お
)
ちてアフンと
致
(
いた
)
すことがあるぞよ。
325
今
(
いま
)
に
上
(
うへ
)
が
下
(
した
)
になり
下
(
した
)
が
上
(
うへ
)
になるぞよ。
326
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
るぞよ』
327
魔我彦
(
まがひこ
)
『エー
喧
(
やかま
)
しい
野天狗
(
のてんぐ
)
だ。
328
下
(
さが
)
れと
云
(
い
)
つたら
下
(
さが
)
らぬか』
329
竹彦
(
たけひこ
)
『ウヽヽ
若彦
(
わかひこ
)
殿
(
どの
)
、
330
気
(
き
)
をつけたがよからうぞよ。
331
悪
(
あく
)
の
誘惑
(
いうわく
)
に
乗
(
の
)
つてはならぬぞよ。
332
何程
(
なにほど
)
うまいこと
申
(
まを
)
して
来
(
き
)
ても、
333
神
(
かみ
)
に
伺
(
うかが
)
うた
上
(
うへ
)
でなければ、
334
聞
(
き
)
いてはならぬぞよ。
335
マガマガマガ』
336
魔我彦
(
まがひこ
)
『モシモシ
若彦
(
わかひこ
)
さま、
337
困
(
こま
)
つた
邪神
(
じやしん
)
が
憑依
(
ひようい
)
したものですなア』
338
若彦
(
わかひこ
)
『イヤ
邪神
(
じやしん
)
でもありますまい。
339
大方
(
おほかた
)
此
(
こ
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
の
言
(
い
)
ふことは、
340
事実
(
じじつ
)
に
近
(
ちか
)
いやうですよ。
341
国依別
(
くによりわけ
)
、
342
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
343
若
(
も
)
しや
或
(
あるひ
)
は
マガタケ
ル
彦
(
ひこ
)
に
谷底
(
たにぞこ
)
へ
突
(
つ
)
き
落
(
おと
)
されたのではありますまいかな』
344
竹彦
(
たけひこ
)
『ウヽヽ
流石
(
さすが
)
は
若彦
(
わかひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
345
汝
(
なんぢ
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
、
346
天晴
(
あつぱ
)
れ
天晴
(
あつぱ
)
れ』
347
魔我彦
(
まがひこ
)
は
顔
(
かほ
)
蒼白
(
あをざ
)
め、
348
ソロソロ
遁腰
(
にげごし
)
になつて
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
らうとする。
349
若彦
(
わかひこ
)
『マア
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
350
悠
(
ゆつ
)
くりなさいませ。
351
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
には
敵
(
てき
)
も
無
(
な
)
ければ
味方
(
みかた
)
も
有
(
あ
)
りませぬよ。
352
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
善悪
(
ぜんあく
)
は
御
(
お
)
審判
(
さば
)
き
下
(
くだ
)
さいますから、
353
吾々
(
われわれ
)
は
何事
(
なにごと
)
が
起
(
おこ
)
らうとも
惟神
(
かむながら
)
に
任
(
まか
)
して
居
(
を
)
れば
好
(
よ
)
いのですよ。
354
サア、
355
お
茶
(
ちや
)
なつと
召上
(
めしあが
)
りませ』
356
と
茶
(
ちや
)
を
汲
(
く
)
んで
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
す。
357
魔我彦
(
まがひこ
)
は
身体
(
しんたい
)
ワナワナと
戦
(
をのの
)
き
出
(
だ
)
した。
358
斯
(
かか
)
る
処
(
ところ
)
へ
召使
(
めしつかひ
)
のお
光
(
みつ
)
と
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
、
359
あわただしく
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
360
お
光
(
みつ
)
『
只今
(
ただいま
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
客様
(
きやくさま
)
が
見
(
み
)
えました。
361
何
(
ど
)
う
致
(
いた
)
しませう』
362
若彦
(
わかひこ
)
『
表
(
おもて
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
へ
御
(
お
)
通
(
とほ
)
し
申
(
まを
)
して
置
(
お
)
け』
363
魔我彦
(
まがひこ
)
『モシモシ
其
(
そ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
と
云
(
い
)
ふのは、
364
何
(
ど
)
んな
御
(
お
)
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
365
お
光
(
みつ
)
『なんでも
宣伝使
(
せんでんし
)
さまのやうです。
366
大変
(
たいへん
)
大
(
おほ
)
きな
御
(
お
)
方
(
かた
)
が
一人
(
ひとり
)
混
(
まじ
)
つてゐられます』
367
魔我彦
(
まがひこ
)
の
面色
(
かほいろ
)
はサツと
変
(
かは
)
つた。
368
竹彦
(
たけひこ
)
は
身体
(
からだ
)
をブルブルと
慄
(
ふる
)
はせ
乍
(
なが
)
ら、
369
又
(
また
)
神憑
(
かむがか
)
りになつて、
370
竹彦
(
たけひこ
)
『それ
来
(
き
)
た それ
来
(
き
)
た、
371
谷
(
たに
)
ぢや
谷
(
たに
)
ぢや、
372
玉
(
たま
)
ぢや
玉
(
たま
)
ぢや、
373
クニクニクニモクモクモク』
374
と
呶鳴
(
どな
)
り
出
(
だ
)
した。
375
若彦
(
わかひこ
)
は、
376
若彦
(
わかひこ
)
『コレお
光
(
みつ
)
や、
377
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
を
此処
(
ここ
)
へ
招
(
よ
)
んで
来
(
き
)
てお
呉
(
く
)
れ』
378
『ハイ』と
答
(
こた
)
へて、
379
お
光
(
みつ
)
は
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
380
暫
(
しばら
)
くありて
甲
(
かふ
)
、
381
乙
(
おつ
)
、
382
丙
(
へい
)
、
383
丁
(
てい
)
、
384
戊
(
ぼう
)
の
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
大男
(
おほをとこ
)
を
伴
(
つ
)
れて
来
(
き
)
た。
385
若彦
(
わかひこ
)
『ヤア
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
ども、
386
私
(
わし
)
は
表
(
おもて
)
のお
客
(
きやく
)
さまに
少
(
すこ
)
し
用
(
よう
)
があるから、
387
二人
(
ふたり
)
のお
客
(
きやく
)
さまを
見放
(
みはな
)
さないやうに、
388
大切
(
たいせつ
)
に
保護
(
ほご
)
をして
居
(
を
)
るのだよ。
389
出口
(
でぐち
)
入口
(
いりぐち
)
に
気
(
き
)
をつけて
悪魔
(
あくま
)
の
侵入
(
しんにふ
)
せないように
守
(
まも
)
つてあげて
呉
(
く
)
れ。
390
遁
(
に
)
げられては
一寸
(
ちよつと
)
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
いからなア』
391
甲
(
かふ
)
『ハイ
何事
(
なにごと
)
もチヤンと
私
(
わたくし
)
の
胸
(
むね
)
に
御座
(
ござ
)
います。
392
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな』
393
若彦
(
わかひこ
)
『
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しう
頼
(
たの
)
む。
394
モシ
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
395
竹彦
(
たけひこ
)
さま、
396
私
(
わたし
)
は
表
(
おもて
)
の
客人
(
きやくじん
)
に
一寸
(
ちよつと
)
会
(
あ
)
つて
来
(
き
)
ます。
397
何
(
ど
)
うぞ
悠
(
ゆつ
)
くりお
茶
(
ちや
)
でも
上
(
あが
)
つて
遊
(
あそ
)
んで
下
(
くだ
)
さいませ』
398
と
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
に
目配
(
めくば
)
せし、
399
悠々
(
いういう
)
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
つて
表屋
(
おもや
)
の
方
(
はう
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
す。
400
(
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