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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第23巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 南海の山
第1章 玉の露
第2章 副守囁
第3章 松上の苦悶
第4章 長高説
第2篇 恩愛の涙
第5章 親子奇遇
第6章 神異
第7章 知らぬが仏
第8章 縺れ髪
第3篇 有耶無耶
第9章 高姫騒
第10章 家宅侵入
第11章 難破船
第12章 家島探
第13章 捨小舟
第14章 籠抜
第4篇 混線状態
第15章 婆と婆
第16章 蜈蚣の涙
第17章 黄竜姫
第18章 波濤万里
霊の礎(八)
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第23巻(戌の巻)
> 第3篇 有耶無耶 > 第12章 家島探
<<< 難破船
(B)
(N)
捨小舟 >>>
第一二章
家島探
(
えじまさがし
)
〔七二四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
篇:
第3篇 有耶無耶
よみ(新仮名遣い):
うやむや
章:
第12章 家島探
よみ(新仮名遣い):
えじまさがし
通し章番号:
724
口述日:
1922(大正11)年06月12日(旧05月17日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月19日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫を乗せた舟の船頭は東助といった。高姫は東助に、家島まで急ぐようにと言いつけた。途中、高姫は饅頭を伏せたような島が目に入って、島の様子を東助に尋ねたが、東助が神島は船頭に恐れられていて誰も足を踏み入れるものはいない、と答えると、高姫はやはり玉の隠し場所は家島に違いないと思い込んでしまった。
家島に着くと、高姫は山林の中に姿を隠してしまった。東助は煙草を吸いながら浜辺で待っている。そこへ玉能姫らが追いついてきた。
鶴公は東助に、高姫がどこへ行ったかしきりに尋ねた。東助がとぼけると、高姫はてっきり山に登って行ったに違いないと、玉能姫を山に登らせようとする。
玉能姫は急ぐことはないので休息しようと言う。玉能姫は、玉は竜神がどこかに持って行ってしまったので、本当のありかは自分は知らないのだが、高姫が心配で追って来たのだ、と明かした。そして、もっと日の当たるところで休息しようと二三町ばかり山を登ったところで腰を下ろした。
一行は雑談にふけって時を費やすが、ついに貫州が正体を表し、実は高姫を示し合わせて玉能姫をここにおびき寄せたのだ、と脅しにかかる。玉能姫は、そんなことは淡路島ですでに見抜いていた、と笑う。
貫州たちは何とかして玉能姫を山に登らせようとするが、玉能姫は男たちを突き飛ばして坂を走りくだって逃げる。後からは男たちが追いかけてくる。坂の下では、高姫が現れて手を広げ、行く手をさえぎった。
玉能姫は危機に陥り、木花姫命に祈願を凝らした。すると辺りは濃い霧に包まれ、玉能姫は逃げることができた。後を振り返ると、高姫一行の周りだけに霧がかかっている。
玉能姫が磯端に着くと、虻公と蜂公が助けに来ていた。玉能姫は自分の乗ってきた舟に乗ると、東助の舟の綱を解いて流してしまい、虻公、蜂公とともに帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-07-02 18:08:02
OBC :
rm2312
愛善世界社版:
195頁
八幡書店版:
第4輯 565頁
修補版:
校定版:
198頁
普及版:
91頁
初版:
ページ備考:
001
負
(
まけ
)
ぬ
気
(
き
)
強
(
つよ
)
き
高姫
(
たかひめ
)
は
002
折
(
をり
)
から
漕来
(
こぎく
)
る
漁夫船
(
れふしぶね
)
003
是
(
これ
)
幸
(
さいは
)
ひと
飛
(
と
)
び
乗
(
の
)
りて
004
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
より
尚
(
なほ
)
深
(
ふか
)
き
005
執着心
(
しふちやくしん
)
に
駆
(
か
)
られつつ
006
三
(
み
)
つの
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
をば
007
諸越山
(
もろこしやま
)
の
果
(
は
)
て
迄
(
まで
)
も
008
探
(
さが
)
し
当
(
あ
)
てねば
措
(
お
)
くものか
009
仮令
(
たとへ
)
蛇
(
じや
)
となり
鬼
(
おに
)
となり
010
屍
(
かばね
)
は
野
(
の
)
べに
曝
(
さら
)
すとも
011
海
(
うみ
)
の
藻屑
(
もくづ
)
となるとても
012
此
(
この
)
一念
(
いちねん
)
を
晴
(
は
)
らさねば
013
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
が
立
(
た
)
つものか
014
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
015
自
(
みづか
)
ら
謳
(
うた
)
うた
手前
(
てまへ
)
ある
016
愈
(
いよいよ
)
実地
(
じつち
)
を
嗅出
(
かぎだ
)
して
017
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
018
現
(
あら
)
はし
呉
(
く
)
れむと
夜叉姿
(
やしやすがた
)
019
髪
(
かみ
)
振
(
ふ
)
り
乱
(
みだ
)
し
海風
(
かいふう
)
に
020
身
(
み
)
を
梳
(
くしけづ
)
り
荒浪
(
あらなみ
)
を
021
乗
(
の
)
り
切
(
き
)
り
乗
(
の
)
り
切
(
き
)
り
漸
(
やうや
)
くに
022
高砂沖
(
たかさごおき
)
にと
着
(
つ
)
きにける。
023
船頭
(
せんどう
)
『もしもしお
客
(
きやく
)
さま、
024
右手
(
みぎて
)
に
見
(
み
)
ゆるはあれが
有名
(
いうめい
)
な
高砂
(
たかさご
)
の
森
(
もり
)
、
025
それから
続
(
つづ
)
いて
石
(
いし
)
の
宝殿
(
ほうでん
)
、
026
曽根
(
そね
)
の
松
(
まつ
)
の
名所
(
めいしよ
)
、
027
如何
(
どう
)
です、
028
一寸
(
ちよつと
)
彼処
(
あそこ
)
へお
寄
(
よ
)
りになつては』
029
高姫
(
たかひめ
)
『や、
030
妾
(
わし
)
はそんな
事
(
こと
)
どころぢやない。
031
一時
(
ひととき
)
も
早
(
はや
)
く
家島
(
えじま
)
迄
(
まで
)
行
(
ゆ
)
かねばならぬのだ。
032
お
前
(
まへ
)
、
033
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
何卒
(
どうぞ
)
気張
(
きば
)
つて
一刻
(
いつこく
)
でも
早
(
はや
)
く
漕
(
や
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
034
それそれ
後
(
あと
)
から
今
(
いま
)
の
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
悪党者
(
あくたうもの
)
が
追
(
お
)
ひ
駆
(
かけ
)
て
来
(
く
)
る。
035
追
(
お
)
ひ
付
(
つ
)
かれては
大変
(
たいへん
)
だからなア』
036
船頭
(
せんどう
)
『
儂
(
わし
)
も
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
漕
(
こ
)
いで
居
(
を
)
るのだが、
037
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
うても
向方
(
むかう
)
は
五
(
ご
)
人
(
にん
)
だから、
038
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
身体
(
からだ
)
を
休
(
やす
)
め
以
(
もつ
)
て
来
(
く
)
るのだから
旨
(
うま
)
いものだ。
039
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
儂
(
わし
)
も
此
(
この
)
界隈
(
かいわい
)
にては
艪
(
ろ
)
では
名
(
な
)
を
売
(
う
)
つたもの、
040
船頭
(
せんどう
)
の
東助
(
とうすけ
)
と
言
(
い
)
へば
名高
(
なだか
)
い
者
(
もの
)
ですよ。
041
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
賃銀
(
ちんぎん
)
は
他人
(
ひと
)
の
三人前
(
さんにんまへ
)
払
(
はら
)
うて
貰
(
もら
)
はねばなりませぬ』
042
高姫
(
たかひめ
)
『
三倍
(
さんばい
)
でも
五倍
(
ごばい
)
でも
十倍
(
じふばい
)
でも
構
(
かま
)
ふものか。
043
一歩
(
ひとあし
)
でも
早
(
はや
)
く
着
(
つ
)
きさへすれば
払
(
はら
)
つてやる。
044
然
(
しか
)
し
一歩
(
ひとあし
)
でも
後
(
おく
)
れる
様
(
やう
)
の
事
(
こと
)
があつては
矢張
(
やつぱり
)
三人前
(
さんにんまへ
)
ほか
払
(
はら
)
ひませぬぞや』
045
東助
(
とうすけ
)
『
有難
(
ありがた
)
う、
046
それなら
是
(
これ
)
から
一気張
(
ひときば
)
り
致
(
いた
)
しませう。
047
何程
(
なにほど
)
上手
(
じやうず
)
な
者
(
もの
)
でも
此
(
この
)
東助
(
とうすけ
)
には
叶
(
かな
)
ひませぬからな』
048
と
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
を
締
(
し
)
め
浸黒
(
しぐろ
)
い
膚
(
はだへ
)
を
出
(
だ
)
して
凩
(
こがらし
)
に
向
(
むか
)
ひ
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
049
一層
(
いつそう
)
烈
(
はげ
)
しく
艪
(
ろ
)
を
漕出
(
こぎだ
)
した。
050
高姫
(
たかひめ
)
『これこれ、
051
船頭
(
せんどう
)
さま、
052
左手
(
ひだりて
)
に
饅頭
(
まんじう
)
の
様
(
やう
)
な
島
(
しま
)
が
浮
(
う
)
いて
居
(
ゐ
)
るが、
053
あれは
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
ふ
島
(
しま
)
だい』
054
船頭
(
せんどう
)
『あれですか、
055
あれは
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
と
言
(
い
)
ひ
神島
(
かみしま
)
とも
言
(
い
)
ひましてな、
056
それはそれは
恐
(
おそ
)
ろしい
島
(
しま
)
ですよ。
057
昔
(
むかし
)
から
私
(
わたくし
)
の
様
(
やう
)
な
船頭
(
せんどう
)
でも
寄
(
よ
)
りついた
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いのですから』
058
高姫
(
たかひめ
)
『あの
島
(
しま
)
へ
去年
(
きよねん
)
の
五
(
ご
)
月
(
ぐわつ
)
の
五日
(
いつか
)
に
船
(
ふね
)
を
漕
(
こ
)
いで
行
(
い
)
つた
女
(
をんな
)
があるだらう。
059
お
前
(
まへ
)
、
060
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
るだらうなア』
061
東助
(
とうすけ
)
『
滅相
(
めつさう
)
も
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
いますな。
062
常
(
つね
)
の
日
(
ひ
)
でさへも
彼
(
あ
)
の
島
(
しま
)
へ
船
(
ふね
)
は
着
(
つ
)
きませぬ。
063
况
(
ま
)
して
五月
(
ごぐわつ
)
五日
(
いつか
)
と
言
(
い
)
へば
神島
(
かみしま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
高砂
(
たかさご
)
の
森
(
もり
)
へお
渡
(
わた
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
日
(
ひ
)
だから、
064
船頭
(
せんどう
)
は
総休
(
そうやす
)
みです。
065
此
(
この
)
辺
(
へん
)
一帯
(
いつたい
)
は
昔
(
むかし
)
から
五日
(
いつか
)
の
日
(
ひ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
船
(
ふね
)
は
出
(
だ
)
しませぬ。
066
万一
(
まんいち
)
我慢
(
がまん
)
をして
船
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
さうものなら、
067
忽
(
たちま
)
ち
船
(
ふね
)
は
顛覆
(
てんぷく
)
し
生命
(
いのち
)
をとられて
仕舞
(
しま
)
ふのだから、
068
何処
(
どこ
)
の
阿呆
(
あはう
)
だつて、
069
そんな
日
(
ひ
)
に
船
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
したり
恐
(
おそ
)
ろしい
神島
(
かみしま
)
などへ
渡
(
わた
)
りますものか』
070
高姫
(
たかひめ
)
『あの
島
(
しま
)
には
何
(
なに
)
か
宝物
(
ほうもつ
)
でも
隠
(
かく
)
してある
様
(
やう
)
な
噂
(
うはさ
)
は
聞
(
き
)
きはせぬかな』
071
東助
(
とうすけ
)
『
沢山
(
たくさん
)
の
船頭
(
せんどう
)
に
交際
(
つきあつ
)
て
居
(
ゐ
)
ますが、
072
そんな
話
(
はなし
)
の
気
(
け
)
位
(
くらゐ
)
も
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
はありませぬワイ。
073
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
話
(
はなし
)
を
言
(
い
)
つても
海
(
うみ
)
が
荒
(
あ
)
れると
言
(
い
)
ふ
位
(
くらゐ
)
だから、
074
もう
此
(
この
)
話
(
はなし
)
は
是
(
これ
)
きりにして
下
(
くだ
)
さい』
075
高姫
(
たかひめ
)
『さうかなア、
076
矢張
(
やつぱり
)
さうすると
家島
(
えじま
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
077
さア
早
(
はや
)
く
頼
(
たの
)
みます』
078
東助
(
とうすけ
)
『
承知
(
しようち
)
しました』
079
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
、
080
向
(
むか
)
う
風
(
かぜ
)
に
逆
(
さか
)
らひつつ
漸
(
やうや
)
く
家島
(
えじま
)
の
岸
(
きし
)
に
着
(
つ
)
いた。
081
高姫
(
たかひめ
)
『あゝ
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だつた。
082
流石
(
さすが
)
は
東助
(
とうすけ
)
さま、
083
よう
早
(
はや
)
う
着
(
つ
)
けて
下
(
くだ
)
さつた。
084
お
礼
(
れい
)
は
沢山
(
たくさん
)
に
致
(
いた
)
しますぞえ、
085
後
(
あと
)
からの
連中
(
れんちう
)
が
来
(
き
)
ても
妾
(
わし
)
が
此
(
この
)
山
(
やま
)
へ
登
(
のぼ
)
つたと
言
(
い
)
つてはいけませぬぞえ。
086
若
(
も
)
しも
尋
(
たづ
)
ねたら、
087
高姫
(
たかひめ
)
は
神島
(
かみしま
)
に
上
(
あ
)
がらしやつたと
言
(
い
)
うてお
呉
(
く
)
れ、
088
屹度
(
きつと
)
だよ』
089
東助
(
とうすけ
)
『はい、
090
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
091
高姫
(
たかひめ
)
はパタパタと
忙
(
いそが
)
がしげに
老樹
(
らうじゆ
)
こもれる
山林
(
さんりん
)
の
中
(
なか
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
092
東助
(
とうすけ
)
は
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
舷
(
ふなばた
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
け
松葉
(
まつば
)
煙草
(
たばこ
)
をくゆらして
居
(
ゐ
)
る。
093
半時
(
はんとき
)
ばかり
経
(
た
)
つと、
094
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
を
乗
(
の
)
せた
小船
(
こぶね
)
は
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
寄
(
よ
)
り
来
(
きた
)
り、
095
玉能姫
(
たまのひめ
)
『あ、
096
お
前
(
まへ
)
さまは
高姫
(
たかひめ
)
さまを
乗
(
の
)
せて
来
(
き
)
た
船頭
(
せんどう
)
さま、
097
まア
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
御座
(
ござ
)
いましたな。
098
高姫
(
たかひめ
)
さまは
此
(
この
)
山
(
やま
)
へお
登
(
のぼ
)
りでしたか』
099
東助
(
とうすけ
)
『え……その……
何
(
なん
)
で……
御座
(
ござ
)
います』
100
と
頭
(
あたま
)
をガシガシ
掻
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
101
其
(
その
)
間
(
ま
)
に
船
(
ふね
)
は
岩端
(
いはばた
)
に
繋
(
つな
)
がれ
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
上陸
(
じやうりく
)
した。
102
玉能姫
(
たまのひめ
)
『あなたの
乗
(
の
)
せた
来
(
き
)
た
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
は
此
(
この
)
山
(
やま
)
へ
登
(
のぼ
)
られましたか』
103
東助
(
とうすけ
)
『はい、
104
登
(
のぼ
)
られたか、
105
登
(
のぼ
)
られぬか、
106
つい……
昼寝
(
ひるね
)
をして
居
(
を
)
つたものですから
根
(
ね
)
つから
分
(
わか
)
りませぬ。
107
貴女
(
あなた
)
等
(
がた
)
が
若
(
も
)
し
此処
(
ここ
)
へおいでになつてお
尋
(
たづ
)
ねになつたら、
108
神島
(
かみしま
)
へ
行
(
い
)
かしやつたでせう』
109
鶴公
(
つるこう
)
『ハヽヽヽヽ、
110
何
(
なん
)
と
歯切
(
はぎ
)
れのせぬ、
111
どつちやへも
付
(
つ
)
かずの
答
(
こたへ
)
だな。
112
一体
(
いつたい
)
船頭
(
せんどう
)
さま、
113
お
前
(
まへ
)
は
神島
(
かみしま
)
へ
寄
(
よ
)
つたのかい』
114
東助
(
とうすけ
)
『
滅相
(
めつさう
)
も
無
(
な
)
い、
115
誰
(
たれ
)
があんな
所
(
ところ
)
へ
寄
(
よ
)
せ
着
(
つ
)
けますかい』
116
鶴公
(
つるこう
)
『そんなら、
117
如何
(
どう
)
して
高姫
(
たかひめ
)
さまが
神島
(
かみしま
)
へ
寄
(
よ
)
つたのだ、
118
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
此
(
この
)
家島
(
えじま
)
へ
着
(
つ
)
いたのだけれど、
119
神島
(
かみしま
)
へだと
言
(
い
)
つてスコタンを
喰
(
く
)
はして
呉
(
く
)
れと
頼
(
たの
)
まれたのだらう。
120
それに
違
(
ちが
)
ひない。
121
お
前
(
まへ
)
は
船頭
(
せんどう
)
に
似合
(
にあ
)
はず
腹
(
はら
)
の
黒
(
くろ
)
い
者
(
もの
)
だな』
122
東助
(
とうすけ
)
『
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
つても
金
(
かね
)
のもの
言
(
い
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ですからな。
123
船頭
(
せんどう
)
だつて
金儲
(
かねまう
)
けは
矢張
(
やつぱり
)
大切
(
たいせつ
)
ですワイ』
124
鶴公
(
つるこう
)
『ハヽヽヽヽ、
125
分
(
わか
)
つた
分
(
わか
)
つた、
126
てつきり
此
(
この
)
島
(
しま
)
だ。
127
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
128
さア
早
(
はや
)
く
登
(
のぼ
)
りませうか。
129
貴女
(
あなた
)
の
大切
(
たいせつ
)
な
宝
(
たから
)
を
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
呑
(
の
)
まれて
了
(
しま
)
はれちや
大変
(
たいへん
)
ですぜ』
130
玉能姫
(
たまのひめ
)
『それもさうですが、
131
余
(
あんま
)
り
慌
(
あわて
)
るには
及
(
およ
)
びませぬ。
132
探
(
さが
)
すと
言
(
い
)
つたつて
是
(
これ
)
だけ
広
(
ひろ
)
い
島
(
しま
)
、
133
さう
容易
(
ようい
)
に
見当
(
みあた
)
るものぢやありませぬわ、
134
まア
一服
(
いつぷく
)
致
(
いた
)
しませう』
135
貫州
(
くわんしう
)
『
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
の
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り
慌
(
あわて
)
るには
及
(
およ
)
ばぬぢやないか。
136
高姫
(
たかひめ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
で
勝手
(
かつて
)
に
探
(
さが
)
すだらう、
137
一
(
いち
)
日
(
にち
)
や
二日
(
ふつか
)
歩
(
ある
)
いたつて
探
(
さが
)
しきれるものぢやないから。
138
まア、
139
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
140
先
(
ま
)
づゆつくりとさして
貰
(
もら
)
ひませう。
141
随分
(
ずゐぶん
)
疲労
(
くたぶ
)
れましたから』
142
玉能姫
(
たまのひめ
)
『あ、
143
さう
為
(
な
)
さいませ。
144
私
(
わたし
)
は
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
、
145
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
は
存
(
ぞん
)
じませぬ。
146
只
(
ただ
)
一度
(
いちど
)
手
(
て
)
に
触
(
ふ
)
れた
計
(
ばか
)
り、
147
後
(
あと
)
は
竜神
(
りうじん
)
様
(
さま
)
が
何処
(
どつ
)
かへお
隠
(
かく
)
しなされたのですから……
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
の
何処
(
どこ
)
かの
島
(
しま
)
に
隠
(
かく
)
してあるのでせう。
148
妾
(
わたし
)
が
此処
(
ここ
)
へ
追
(
お
)
つ
駆
(
かけ
)
てきたのは、
149
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
のお
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
案
(
あん
)
じ、
150
お
気
(
き
)
が
違
(
ちが
)
うては
居
(
を
)
らぬかと、
151
宣伝使
(
せんでんし
)
として
まさか
の
時
(
とき
)
にお
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
さうと
思
(
おも
)
つて
来
(
き
)
たのですから、
152
斯
(
こ
)
んな
危
(
きつ
)
い
山
(
やま
)
に
上
(
あが
)
るのは
止
(
よ
)
しませう。
153
まアまア
木蔭
(
こかげ
)
へでも
這入
(
はい
)
つて、
154
風
(
かぜ
)
の
当
(
あた
)
らぬ
暖
(
ぬく
)
い
処
(
ところ
)
で
日向
(
ひなた
)
ぼつこりを
致
(
いた
)
しませう』
155
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
二三丁
(
にさんちやう
)
山
(
やま
)
を
登
(
のぼ
)
り、
156
日当
(
ひあた
)
りよき
処
(
ところ
)
にて
休息
(
きうそく
)
する。
157
見
(
み
)
れば
非常
(
ひじやう
)
に
大
(
おほ
)
きな
清水
(
しみづ
)
を
漂
(
ただよ
)
はした
池
(
いけ
)
が
展開
(
てんかい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
158
鶴公
(
つるこう
)
『
何
(
なん
)
と
好
(
い
)
い
景色
(
けしき
)
で
御座
(
ござ
)
いますな。
159
こんな
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
に
大
(
おほ
)
きな
池
(
いけ
)
があるとは
不思議
(
ふしぎ
)
ですわ』
160
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
此処
(
ここ
)
は
陸
(
あげ
)
の
竜宮
(
りうぐう
)
かも
知
(
し
)
れませぬな』
161
東助
(
とうすけ
)
『
此
(
この
)
島
(
しま
)
には
斯
(
こ
)
んな
小
(
ちひ
)
さい
池
(
いけ
)
だけぢやありませぬ。
162
山
(
やま
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
にも
中
(
なか
)
程
(
ほど
)
にも
大変
(
たいへん
)
大
(
おほ
)
きな
深
(
ふか
)
い
池
(
いけ
)
があつて、
163
底
(
そこ
)
知
(
し
)
らずぢやと
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
です。
164
実
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
な
島
(
しま
)
ですわ。
165
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
島
(
しま
)
に
昔
(
むかし
)
から
誰一人
(
たれひとり
)
住
(
す
)
んだ
人
(
ひと
)
がないのも
一
(
ひと
)
つの
不思議
(
ふしぎ
)
、
166
何
(
なん
)
でも
大
(
おほ
)
きな
大蛇
(
だいじや
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
167
人
(
ひと
)
の
臭
(
にほひ
)
がすると
皆
(
みんな
)
呑
(
の
)
んで
仕舞
(
しま
)
うといふ
噂
(
うはさ
)
ですから、
168
誰
(
たれ
)
だつて、
169
此処
(
ここ
)
に
住居
(
すまゐ
)
する
者
(
もの
)
はありませぬ』
170
貫州
(
くわんしう
)
『さうかな、
171
随分
(
ずゐぶん
)
恐
(
おそ
)
ろしい
所
(
ところ
)
と
見
(
み
)
えるわい。
172
斯
(
こ
)
んな
所
(
とこ
)
に
一人
(
ひとり
)
放
(
ほ
)
かして
置
(
お
)
かれたら
堪
(
たま
)
るまいなア』
173
清公
(
きよこう
)
『そりや、
174
さうとも。
175
誰
(
たれ
)
だつてやりきれないわ』
176
色々
(
いろいろ
)
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
り
一時
(
ひととき
)
ばかり
光陰
(
くわういん
)
を
空費
(
くうひ
)
した。
177
貫州
(
くわんしう
)
『さア
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
178
高姫
(
たかひめ
)
さまは
屹度
(
きつと
)
此
(
この
)
山
(
やま
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
さして
登
(
のぼ
)
られたに
違
(
ちが
)
ひありませぬ。
179
宝
(
たから
)
を
先
(
さき
)
に
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
し
呑
(
の
)
まれて
仕舞
(
しま
)
つては
大変
(
たいへん
)
ですから、
180
ボツボツと
出掛
(
でか
)
けませうな』
181
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
妾
(
わたし
)
は
少
(
すこ
)
し
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
めましたから、
182
此処
(
ここ
)
に
休
(
やす
)
んで
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ます。
183
何卒
(
どうぞ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
五人
(
ごにん
)
連
(
づ
)
れ
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
184
貫州
(
くわんしう
)
『いや、
185
それはなりませぬ。
186
もう
斯
(
こ
)
うなれば
本音
(
ほんね
)
を
吹
(
ふ
)
くが、
187
吾々
(
われわれ
)
は
絶対
(
ぜつたい
)
に
高姫
(
たかひめ
)
崇拝者
(
すうはいしや
)
だ。
188
こりや、
189
お
節
(
せつ
)
、
190
斯
(
こ
)
うなる
以上
(
いじやう
)
はジタバタしても
あか
ないぞ。
191
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
と
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
せ。
192
四
(
し
)
の
五
(
ご
)
のと
吐
(
ぬか
)
すが
最後
(
さいご
)
、
193
此
(
この
)
池
(
いけ
)
へ
岩
(
いは
)
を
括
(
くく
)
り
着
(
つ
)
け、
194
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
が
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んで
仕舞
(
しま
)
ふが
如何
(
どう
)
だ』
195
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
今更
(
いまさら
)
そんな
啖呵
(
たんか
)
をきらなくても、
196
淡路島
(
あはぢしま
)
より
船
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
した
時
(
とき
)
から、
197
高姫
(
たかひめ
)
と
八百長
(
やほちやう
)
喧嘩
(
げんくわ
)
をし、
198
目
(
め
)
と
目
(
め
)
と
合図
(
あひづ
)
をして
居
(
ゐ
)
たでせう。
199
そんな
事
(
こと
)
の
分
(
わか
)
らぬ
玉能姫
(
たまのひめ
)
ですか。
200
そんな
嚇
(
おど
)
し
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べたつて
迂濶
(
うつかり
)
と
乗
(
の
)
る
様
(
やう
)
な
不束
(
ふつつか
)
な
女
(
をんな
)
とはチツと
違
(
ちが
)
ひますぞ。
201
繊弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
と
思
(
おも
)
ひ
侮
(
あなど
)
つての
其
(
その
)
暴言
(
ばうげん
)
、
202
此
(
この
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
斯
(
こ
)
う
見
(
み
)
えても
若彦
(
わかひこ
)
が
妻
(
つま
)
、
203
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
より
御
(
ご
)
信任
(
しんにん
)
を
辱
(
かたじけな
)
ふした
抜目
(
ぬけめ
)
のない
女
(
をんな
)
です。
204
お
前
(
まへ
)
さん
等
(
ら
)
の
五
(
ご
)
人
(
にん
)
や
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
が
何程
(
なにほど
)
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をして
気張
(
きば
)
つた
処
(
ところ
)
で
何
(
なん
)
になりますか。
205
ウンと
一声
(
ひとこゑ
)
、
206
霊縛
(
れいばく
)
をかけるが
最後
(
さいご
)
、
207
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら
万劫
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
動
(
うご
)
きのとれぬ
石地蔵
(
いしぢざう
)
になつて
仕舞
(
しま
)
ひますよ。
208
それでも
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
なら、
209
何
(
なん
)
なりと
試
(
こころ
)
みにやつて
御覧
(
ごらん
)
』
210
貫州
(
くわんしう
)
『あゝ
仕方
(
しかた
)
の
無
(
な
)
い
女
(
をんな
)
だなあ』
211
鶴公
(
つるこう
)
『もしもし
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
212
嘘言
(
うそ
)
ですよ。
213
貫州
(
くわんしう
)
はいつもあんな
狂言
(
きやうげん
)
をやつて
空威張
(
からゐば
)
りをする
癖
(
くせ
)
があるのです。
214
アハヽヽヽ』
215
東助
(
とうすけ
)
『
何
(
なん
)
だ、
216
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
山賊
(
さんぞく
)
か
知
(
し
)
らぬと
思
(
おも
)
つたら、
217
此
(
この
)
山中
(
さんちう
)
で
気楽
(
きらく
)
さうに
芝居
(
しばゐ
)
をしてゐるのか、
218
随分
(
ずゐぶん
)
下手
(
へた
)
な
芝居
(
しばゐ
)
だなア』
219
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
何
(
なん
)
でも
宜
(
よろ
)
しいよ。
220
之
(
これ
)
から
高姫
(
たかひめ
)
さまに
会
(
あ
)
うて
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
でも
知
(
し
)
らして
上
(
あ
)
げませうかな』
221
貫州
(
くわんしう
)
『やア
流石
(
さすが
)
は
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
ぢや。
222
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
、
223
貫州
(
くわんしう
)
誠
(
まこと
)
に
感服
(
かんぷく
)
仕
(
つかまつ
)
りました。
224
宣伝使
(
せんでんし
)
はさうでなくては
往
(
ゆ
)
きますまい。
225
堅
(
かた
)
いばつかりが
女
(
をんな
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬ。
226
まアよう
其処
(
そこ
)
まで
打解
(
うちと
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
227
貴女
(
あなた
)
がさう
出
(
で
)
て
下
(
くだ
)
されば、
228
敵
(
てき
)
もなく
味方
(
みかた
)
もなく
三五教
(
あななひけう
)
は
益々
(
ますます
)
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
、
229
大発展
(
だいはつてん
)
は
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
る
如
(
ごと
)
く
明
(
あきら
)
かで
御座
(
ござ
)
います。
230
さア
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
231
お
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
上
(
あ
)
げませうか。
232
……おい
清公
(
きよこう
)
、
233
貴様
(
きさま
)
はお
腰
(
こし
)
を
押
(
お
)
してお
上
(
あ
)
げ
申
(
まを
)
せ。
234
俺
(
おれ
)
はお
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
此
(
この
)
急坂
(
きふはん
)
を
登
(
のぼ
)
るから』
235
玉能姫
(
たまのひめ
)
『ホヽヽヽヽ、
236
年寄
(
としより
)
か
何
(
なん
)
ぞの
様
(
やう
)
に
如何
(
いか
)
に
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
なればとて、
237
これしきの
山
(
やま
)
が
苦
(
くる
)
しうて
如何
(
どう
)
なりますか。
238
何卒
(
どうぞ
)
お
構
(
かま
)
ひ
下
(
くだ
)
さいますな。
239
さアさアお
先
(
さき
)
へお
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さい。
240
妾
(
わたし
)
は
一番
(
いちばん
)
後
(
あと
)
から
参
(
まゐ
)
ります』
241
貫州
(
くわんしう
)
『いや、
242
さうはなりませぬ。
243
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
ですから……オツトドツコイ……そりや
嘘言
(
うそ
)
だ。
244
中途
(
ちうと
)
に
逃
(
に
)
げられては
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずになつて
仕舞
(
しま
)
ふ。
245
あゝ
迂濶
(
うつかり
)
副守
(
ふくしゆ
)
の
奴
(
やつ
)
、
246
囁
(
ささや
)
来
(
き
)
よつた。
247
もしもし
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
248
此奴
(
こいつ
)
ア
皆
(
みんな
)
私
(
わたくし
)
に
憑依
(
ひようい
)
してる
野天狗
(
のてんぐ
)
が
混
(
ま
)
ぜ
返
(
かへ
)
すのだから、
249
お
心
(
こころ
)
に
触
(
さ
)
へて
下
(
くだ
)
さいますな』
250
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
霊肉
(
れいにく
)
一致
(
いつち
)
の
野天狗
(
のてんぐ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
つたのでせう、
251
ホヽヽヽヽ
左様
(
さやう
)
なれば
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
の
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
成
(
な
)
さらぬ
様
(
やう
)
に
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
に
参
(
まゐ
)
りませう。
252
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
逃
(
に
)
げない
様
(
やう
)
に
十分
(
じふぶん
)
御
(
ご
)
監督
(
かんとく
)
なされませ』
253
貫州
(
くわんしう
)
『
別
(
べつ
)
に
貴女
(
あなた
)
を
監督
(
かんとく
)
する
必要
(
ひつえう
)
もありませず、
254
悪
(
わる
)
い
所
(
ところ
)
へ
気
(
き
)
を
廻
(
まは
)
して
貰
(
もら
)
つては
困
(
こま
)
りますよ』
255
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
何
(
いづ
)
れそちらは
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
を
加
(
くは
)
へて
荒男
(
あらをとこ
)
や
神力
(
しんりき
)
の
強
(
つよ
)
い
方
(
かた
)
が
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
、
256
此方
(
こちら
)
は
一人
(
ひとり
)
、
257
到底
(
たうてい
)
衆寡
(
しうくわ
)
敵
(
てき
)
しますまい。
258
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
此
(
この
)
池
(
いけ
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
死
(
し
)
にませうかな』
259
鶴公
(
つるこう
)
『それは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
260
死
(
し
)
ぬのはお
前
(
まへ
)
さんの
勝手
(
かつて
)
だ。
261
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此方
(
こちら
)
が
困
(
こま
)
る、
262
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
を
白状
(
はくじやう
)
した
上
(
うへ
)
では
死
(
し
)
ぬるなつと
生
(
いき
)
るなつと
勝手
(
かつて
)
になされ。
263
それ
迄
(
まで
)
はどうあつてもお
前
(
まへ
)
に
死
(
し
)
なれては
高姫
(
たかひめ
)
さまの
願望
(
ぐわんばう
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
しませぬから、
264
何程
(
なにほど
)
死
(
し
)
なうと
踠
(
もが
)
いたつて、
265
斯
(
こ
)
う
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
が
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
以上
(
いじやう
)
は
駄目
(
だめ
)
ですよ。
266
観念
(
かんねん
)
なさいませ、
267
あゝ
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
可惜
(
あつたら
)
美人
(
びじん
)
を
死
(
し
)
なすのも
勿体
(
もつたい
)
ないものだなア』
268
玉能姫
(
たまのひめ
)
『それでお
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
の
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
はすつかり
分
(
わか
)
りました。
269
妾
(
わたし
)
にも
覚悟
(
かくご
)
がある』
270
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
後
(
あと
)
から
跟
(
つ
)
いて
来
(
く
)
る
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
苦
(
く
)
も
無
(
な
)
く
突倒
(
つきこか
)
し、
271
急坂
(
きふはん
)
目蒐
(
めが
)
けて
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
元来
(
もとき
)
し
道
(
みち
)
へ
降
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る。
272
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
を
締
(
し
)
め
乍
(
なが
)
ら、
273
五
(
ご
)
人
(
にん
)
『オーイ、
274
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
275
待
(
ま
)
つた、
276
逃
(
に
)
がして
堪
(
たま
)
らうか、
277
おいおい
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
278
彼奴
(
あいつ
)
が
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
る
迄
(
まで
)
に
引
(
ひ
)
つ
掴
(
つか
)
まへねばなるまい。
279
さア
急
(
いそ
)
げ
急
(
いそ
)
げ』
280
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
追
(
お
)
つ
駆
(
か
)
ける。
281
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
如
(
ごと
)
く
髪
(
かみ
)
振
(
ふ
)
り
乱
(
みだ
)
し、
282
血相
(
けつさう
)
を
変
(
か
)
へて
力限
(
ちからかぎ
)
りに
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
る。
283
道
(
みち
)
の
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
に
大手
(
おほて
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれた
一人
(
ひとり
)
の
婆
(
ばば
)
は
高姫
(
たかひめ
)
であつた。
284
高姫
(
たかひめ
)
『オホヽヽヽ、
285
到頭
(
たうとう
)
高姫
(
たかひめ
)
の
計略
(
けいりやく
)
にかかり
此
(
この
)
島
(
しま
)
まで
引摺
(
ひきず
)
り
廻
(
まは
)
されて
来
(
き
)
よつた。
286
いい
馬鹿者
(
ばかもの
)
だな。
287
さアもう
斯
(
こ
)
うなる
以上
(
いじやう
)
は
何程
(
なにほど
)
踠
(
もが
)
いても
駄目
(
だめ
)
だ。
288
何処
(
どこ
)
にお
宝
(
たから
)
を
隠
(
かく
)
したのか、
289
神妙
(
しんめう
)
に
白状
(
はくじやう
)
するが
宜
(
よ
)
い。
290
此
(
この
)
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
言
(
い
)
ふなら、
291
お
前
(
まへ
)
の
生命
(
いのち
)
でもとつて
仕舞
(
しま
)
ふまいものでもない。
292
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
にもなつて
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
い。
293
いい
年
(
とし
)
をして、
294
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
や
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
様
(
やう
)
なコメツチヨに
馬鹿
(
ばか
)
にしられて、
295
如何
(
どう
)
して
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
歩
(
ある
)
けませうぞ。
296
賢
(
かしこ
)
相
(
さう
)
でも
流石
(
さすが
)
は
若
(
わか
)
い
丈
(
だ
)
けあつて、
297
肝腎
(
かんじん
)
の
知慧
(
ちゑ
)
がぬけて
居
(
ゐ
)
る。
298
さア
如何
(
どう
)
ぢや、
299
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
300
もはや
否応
(
いやおう
)
はあるまい』
301
玉能姫
(
たまのひめ
)
『オホヽヽヽ、
302
何処
(
どこ
)
までも
疑
(
うたが
)
ひ
深
(
ぶか
)
い
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
方
(
かた
)
ですこと。
303
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
は
何
(
なん
)
と
仰
(
あふ
)
せられても
知
(
し
)
りませぬ。
304
仮令
(
たとへ
)
首
(
くび
)
が
千切
(
ちぎ
)
れても
言
(
い
)
はぬと
云
(
い
)
つたら
言
(
い
)
ひませぬから、
305
其
(
その
)
心組
(
つもり
)
で
覚悟
(
かくご
)
遊
(
あそ
)
ばせ』
306
斯
(
か
)
く
争
(
あらそ
)
ふ
処
(
ところ
)
へ
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
307
地響
(
ぢひび
)
き
打
(
う
)
たせ
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
場
(
ば
)
にドヤドヤとやつて
来
(
き
)
た。
308
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
は
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
に
迫
(
せま
)
つて
来
(
き
)
た。
309
流石
(
さすが
)
の
玉能姫
(
たまのひめ
)
も
進退
(
しんたい
)
谷
(
きは
)
まり
如何
(
いかが
)
はせむと
案
(
あん
)
じつつ
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に『
木花姫
(
このはなひめの
)
命
(
みこと
)
助
(
たす
)
け
給
(
たま
)
へ』と
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
めた。
310
忽
(
たちま
)
ち
四辺
(
しへん
)
は
濃霧
(
のうむ
)
に
包
(
つつ
)
まれ
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜず、
311
恰
(
あだか
)
も
白襖
(
しろふすま
)
を
立
(
た
)
てた
如
(
ごと
)
く
見
(
み
)
えなくなつて
仕舞
(
しま
)
つたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
312
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
少
(
すこ
)
しく
道
(
みち
)
を
横
(
よこ
)
にとり、
313
あと
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り
見
(
み
)
れば
濃霧
(
のうむ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
一派
(
いつぱ
)
の
附近
(
ふきん
)
に
極限
(
きよくげん
)
され、
314
外
(
そと
)
は
一面
(
いちめん
)
の
快晴
(
くわいせい
)
である。
315
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
し
乍
(
なが
)
ら
磯端
(
いそばた
)
に
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
316
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
消息
(
せうそく
)
如何
(
いか
)
にと
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ひ、
317
虻
(
あぶ
)
、
318
蜂
(
はち
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
一艘
(
いつそう
)
の
船
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
319
丁度
(
ちやうど
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
についた
所
(
ところ
)
である。
320
玉能姫
(
たまのひめ
)
『ア、
321
お
前
(
まへ
)
は
虻
(
あぶ
)
、
322
蜂
(
はち
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
323
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
324
話
(
はなし
)
はまア
後
(
あと
)
でゆつくりしよう』
325
虻公
(
あぶこう
)
『
何卒
(
どうぞ
)
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
326
玉能姫
(
たまのひめ
)
『いえいえ
妾
(
わたし
)
は
乗
(
の
)
つて
来
(
き
)
た
船
(
ふね
)
がある。
327
一人
(
ひとり
)
で
操
(
あやつ
)
つて
帰
(
かへ
)
りますから、
328
お
前
(
まへ
)
さまは
其
(
その
)
儘
(
まま
)
妾
(
わたし
)
に
従
(
つ
)
いて
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
329
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
船
(
ふね
)
に
飛
(
と
)
び
乗
(
の
)
り、
330
高姫
(
たかひめ
)
の
乗
(
の
)
り
来
(
きた
)
りし
船
(
ふね
)
の
綱
(
つな
)
を
解
(
と
)
き
放
(
はな
)
ち、
331
波
(
なみ
)
のまにまに
漂
(
ただよ
)
はせ
置
(
お
)
き
二艘
(
にそう
)
の
船
(
ふね
)
は
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
再度山
(
ふたたびやま
)
の
麓
(
ふもと
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
332
(
大正一一・六・一二
旧五・一七
北村隆光
録)
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