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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第23巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 南海の山
第1章 玉の露
第2章 副守囁
第3章 松上の苦悶
第4章 長高説
第2篇 恩愛の涙
第5章 親子奇遇
第6章 神異
第7章 知らぬが仏
第8章 縺れ髪
第3篇 有耶無耶
第9章 高姫騒
第10章 家宅侵入
第11章 難破船
第12章 家島探
第13章 捨小舟
第14章 籠抜
第4篇 混線状態
第15章 婆と婆
第16章 蜈蚣の涙
第17章 黄竜姫
第18章 波濤万里
霊の礎(八)
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霊界物語
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第23巻(戌の巻)
> 第2篇 恩愛の涙 > 第8章 縺れ髪
<<< 知らぬが仏
(B)
(N)
高姫騒 >>>
第八章
縺
(
もつ
)
れ
髪
(
がみ
)
〔七二〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
篇:
第2篇 恩愛の涙
よみ(新仮名遣い):
おんあいのなみだ
章:
第8章 縺れ髪
よみ(新仮名遣い):
もつれがみ
通し章番号:
720
口述日:
1922(大正11)年06月11日(旧05月16日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月19日
概要:
舞台:
熊野の滝
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一方、熊野に向かった木山彦夫婦は、熊野の滝にて息子の鹿に会わせてくれるようにと願をかけて行を行っていた。
二十一日の水行を終えた夜中に、馬のひずめの音と共に中空を駆けて、七八人の神人が現れた。そして夫婦に向かい、熱誠に免じて息子に会わせてやるが、夫婦共に前非を悔いて天則違反の罪を自白せよ、と告げた。
木山彦は、壮年のころにひとりの女と夫婦の約束をし子供をもうけたが、振り捨てて今の女房をもったことを懺悔した。そのため秋彦は継母が来たので六歳の頃に家を飛び出してしまったことを明かした。
一方木山姫は、嫁ぐ前に親の許さぬ仲の男の子を産んだが、子を男に預けてそのまま身を隠したことを懺悔した。
神人は、親子の対面を許すほどに信仰に励むように、と二人に言い渡して姿を消した。そこへ常楠夫婦、駒彦、秋彦、虻公、蜂公がやってきて、滝で禊を始めた。夜陰のことで、木山彦夫婦はただ、熱心な信仰者がやってきたものと思って夜を明かした。
夜が明けると、木山彦は常楠夫婦と駒彦、秋彦の姿を見つけて声をかけた。そして、秋彦が自分の子供であることを明かして親子の対面を果たした。常楠は涙を流して祝意を表した。一同は無言のまま滝に手を合わせて熊野大神に感謝の祈願を祈っている。
このとき麗しい雲が起こり、一柱の女神が現れた。女神は、駒彦は常楠とお久の子であり、秋彦は木山彦とお久の子であり、虻公は常楠と木山姫の子であり、蜂公は木山彦とお久の子であることを告げた。
女神は、いずれも天則違反から生まれたため、神界の罪により今日まで親子の対面を果たすことができなかったが、信仰の力によって罪が許されたのだ、と明かした。そして自分は天教山の木花姫命であると明かすと、姿を消した。
一同は神恩に感謝しながら、若彦の館を指して進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-06-28 21:21:01
OBC :
rm2308
愛善世界社版:
131頁
八幡書店版:
第4輯 541頁
修補版:
校定版:
134頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
木山彦
(
きやまひこ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
熊野
(
くまの
)
の
滝
(
たき
)
の
麓
(
ふもと
)
に
衣類
(
いるゐ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎすて、
002
夫婦
(
ふうふ
)
は
此処
(
ここ
)
に
何事
(
なにごと
)
か
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らし
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななや
)
を
送
(
おく
)
つた。
003
従者
(
じゆうしや
)
の
助公
(
すけこう
)
は
木山彦
(
きやまひこ
)
の
命
(
めい
)
に
依
(
よ
)
り
直
(
ただ
)
ちに
帰郷
(
ききやう
)
し、
004
木山彦
(
きやまひこ
)
の
不在
(
るす
)
を
守
(
まも
)
る
事
(
こと
)
となりぬ。
005
此処
(
ここ
)
に
夫婦
(
ふうふ
)
は
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
になつて、
006
今
(
いま
)
一度
(
いちど
)
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
鹿公
(
しかこう
)
に
会
(
あ
)
はせ
給
(
たま
)
へと
祈
(
いの
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
007
三七
(
さんしち
)
二十一
(
にじふいち
)
日
(
にち
)
の
水行
(
すゐぎやう
)
を
了
(
を
)
へた
夜半頃
(
よなかごろ
)
、
008
何処
(
いづく
)
ともなく
山奥
(
やまおく
)
の
谷
(
たに
)
を
響
(
ひび
)
かせ
馬
(
うま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
勇
(
いさ
)
ましく、
009
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
中空
(
ちうくう
)
を
駆来
(
かけきた
)
る
異様
(
いやう
)
の
神人
(
しんじん
)
、
010
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
011
夫婦
(
ふうふ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
012
神人
『
汝
(
なんぢ
)
は
日高
(
ひだか
)
の
庄
(
しやう
)
の
酋長
(
しうちやう
)
にて
木山彦
(
きやまひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
なるべし。
013
汝
(
なんぢ
)
が
熱誠
(
ねつせい
)
なる
祈願
(
きぐわん
)
を
聞
(
き
)
き
届
(
とど
)
け、
014
一人子
(
ひとりご
)
の
鹿公
(
しかこう
)
に
遇
(
あ
)
はしてやらう
程
(
ほど
)
に、
015
夫婦
(
ふうふ
)
共
(
とも
)
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
い、
016
今迄
(
いままで
)
なし
来
(
きた
)
りし
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
の
罪
(
つみ
)
を
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
自白
(
じはく
)
せよ』
017
と
言葉
(
ことば
)
厳
(
きび
)
しく
言
(
い
)
ひ
渡
(
わた
)
し、
018
鏡
(
かがみ
)
の
如
(
ごと
)
き
目
(
め
)
を
光
(
ひか
)
らし、
019
白馬
(
はくば
)
に
跨
(
またが
)
つた
儘
(
まま
)
両人
(
りやうにん
)
の
顔
(
かほ
)
を
睥睨
(
へいげい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
020
扈従
(
こじゆう
)
の
神
(
かみ
)
と
見
(
み
)
えて
六七
(
ろくしち
)
人
(
にん
)
は
稍
(
やや
)
小
(
ちひ
)
さき
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り
各
(
おのおの
)
手槍
(
てやり
)
を
携
(
たづさ
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
021
夫婦
(
ふうふ
)
は
戦慄
(
をのの
)
き
恐
(
おそ
)
れ『ハイ』と
許
(
ばか
)
りに
平伏
(
へいふく
)
したり。
022
木山彦
(
きやまひこ
)
『
私
(
わたくし
)
は
壮年
(
さうねん
)
の
頃
(
ころ
)
或
(
ある
)
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
の
約束
(
やくそく
)
を
結
(
むす
)
び、
023
子
(
こ
)
迄
(
まで
)
成
(
な
)
したる
仲
(
なか
)
を
無惨
(
むざん
)
にも
振
(
ふ
)
り
捨
(
す
)
てて、
024
今
(
いま
)
の
女房
(
にようばう
)
を
持
(
も
)
ちました。
025
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
と
申
(
まを
)
せば
私
(
わたくし
)
一代
(
いちだい
)
に
是
(
これ
)
により
外
(
ほか
)
に
覚
(
おぼ
)
えは
御座
(
ござ
)
いませぬ。
026
其
(
その
)
報
(
むく
)
いにや、
027
二人
(
ふたり
)
の
娘
(
むすめ
)
は
人身
(
ひとみ
)
御供
(
ごく
)
に
取
(
と
)
られ、
028
一人
(
ひとり
)
の
伜
(
せがれ
)
は
継母
(
ままはは
)
が
来
(
き
)
たので
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
029
幼少
(
えうせう
)
の
頃
(
ころ
)
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
行方
(
ゆくへ
)
は
更
(
さら
)
に
分
(
わか
)
らず、
030
年
(
とし
)
は
追々
(
おひおひ
)
寄
(
よ
)
つて
来
(
く
)
る、
031
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
寂寥
(
せきれう
)
を
感
(
かん
)
じ、
032
面白
(
おもしろ
)
からぬ
憂
(
う
)
き
年月
(
としつき
)
を
送
(
おく
)
る
折
(
をり
)
しも
其
(
その
)
伜
(
せがれ
)
に
邂逅
(
めぐりあ
)
ひ、
033
半時
(
はんとき
)
の
間
(
ま
)
も
待
(
ま
)
たず
言葉
(
ことば
)
一
(
ひと
)
つ
云
(
い
)
ひ
交
(
かは
)
さず、
034
又
(
また
)
もや
竜神
(
りうじん
)
の
宮
(
みや
)
の
犠牲
(
いけにへ
)
に
取
(
と
)
られて
仕舞
(
しま
)
ひましたのも、
035
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
冥罰
(
めいばつ
)
が
当
(
あた
)
つたので
御座
(
ござ
)
いませう。
036
何卒
(
どうぞ
)
其
(
その
)
子
(
こ
)
に
遇
(
あ
)
はして
下
(
くだ
)
さるやうと、
037
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
がお
願
(
ねが
)
ひに
参
(
まゐ
)
つたので
御座
(
ござ
)
います。
038
今
(
いま
)
では
女房
(
にようばう
)
も
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
り、
039
継子
(
ままこ
)
が
帰
(
かへ
)
つたとても
余
(
あま
)
り
辛
(
つら
)
くは
当
(
あた
)
りますまいから、
040
も
一度
(
いちど
)
遇
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
う
御座
(
ござ
)
います。
041
承
(
うけたま
)
はれば、
042
我
(
わが
)
子
(
こ
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて
竜神
(
りうじん
)
の
宮
(
みや
)
の
悪神
(
わるがみ
)
を
平
(
たひら
)
げ、
043
世界
(
せかい
)
を
遍歴
(
へんれき
)
して
居
(
を
)
るさうで
御座
(
ござ
)
います。
044
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
今迄
(
いままで
)
の
深
(
ふか
)
き
罪
(
つみ
)
をお
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
045
哀
(
あは
)
れな
老夫婦
(
らうふうふ
)
に
今
(
いま
)
一度
(
いちど
)
面会
(
めんくわい
)
をさせて
下
(
くだ
)
さいませ』
046
と
涙
(
なみだ
)
ぐむ。
047
異様
(
いやう
)
の
神人
(
しんじん
)
は
言葉
(
ことば
)
爽
(
さわや
)
かに、
048
神人
『
如何
(
いか
)
にも
汝
(
なんぢ
)
の
申
(
まを
)
す
通
(
とほ
)
り
寸分
(
すんぶん
)
の
間違
(
まちが
)
ひはない。
049
汝
(
なんぢ
)
の
女房
(
にようばう
)
木山姫
(
きやまひめ
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
継子
(
ままこ
)
に
辛
(
きつ
)
く
当
(
あた
)
つたものぢや。
050
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
最早
(
もはや
)
今日
(
こんにち
)
は
余程
(
よほど
)
心
(
こころ
)
も
柔
(
やはら
)
ぎ
居
(
を
)
れば、
051
親子
(
おやこ
)
の
再会
(
さいくわい
)
を
許
(
ゆる
)
して
遣
(
つか
)
はす。
052
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
神信仰
(
かみしんかう
)
を
怠
(
おこた
)
るな』
053
木山姫
(
きやまひめ
)
はハツと
平伏
(
ひれふ
)
し、
054
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
去
(
いに
)
し
昔
(
むかし
)
の
懺悔話
(
ざんげばなし
)
を
語
(
かた
)
り
出
(
だ
)
したり。
055
木山姫
『
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
夫
(
をつと
)
にも
隠
(
かく
)
して
居
(
を
)
りましたが、
056
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
もよく
御存
(
ごぞん
)
じで
御座
(
ござ
)
いますから、
057
包
(
つつ
)
み
隠
(
かく
)
さず
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
、
058
夫
(
をつと
)
の
前
(
まへ
)
に
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
します。
059
妾
(
わたし
)
は
若気
(
わかげ
)
の
いたづら
から
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
を
拵
(
こしら
)
へ
腹
(
はら
)
が
膨
(
ふく
)
れ、
060
遂
(
つひ
)
には
親
(
おや
)
の
許
(
ゆる
)
さぬ
子
(
こ
)
を
設
(
まう
)
け、
061
種
(
たね
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
に
産子
(
うぶこ
)
を
渡
(
わた
)
し
其
(
その
)
儘
(
まま
)
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
062
今
(
いま
)
の
夫
(
をつと
)
に
娶
(
めと
)
られたもので
御座
(
ござ
)
います。
063
アヽ
其
(
その
)
子
(
こ
)
は
今
(
いま
)
何
(
ど
)
うして
居
(
を
)
りませうか、
064
もし
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
成人
(
せいじん
)
して
居
(
ゐ
)
ますなら、
065
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
慈悲
(
じひ
)
で
一目
(
ひとめ
)
遇
(
あ
)
はして
頂
(
いただ
)
きたう
御座
(
ござ
)
います』
066
と
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る。
067
木山彦
(
きやまひこ
)
は
妻
(
つま
)
の
物語
(
ものがたり
)
を
聞
(
き
)
いて
今更
(
いまさら
)
の
如
(
ごと
)
く
呆
(
あき
)
れ
居
(
ゐ
)
る
許
(
ばか
)
りなりき。
068
馬上
(
ばじやう
)
の
神人
(
しんじん
)
はニコニコしながら、
069
神人
『
汝
(
なんぢ
)
の
遇
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
しと
思
(
おも
)
ふ
子
(
こ
)
は、
070
今
(
いま
)
に
遇
(
あ
)
はしてやらう。
071
必
(
かなら
)
ず
信仰
(
しんかう
)
を
怠
(
おこた
)
るな』
072
と
言葉
(
ことば
)
終
(
をは
)
ると
共
(
とも
)
に、
073
一同
(
いちどう
)
の
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
は
掻
(
か
)
き
消
(
け
)
す
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
074
斯
(
かか
)
る
所
(
ところ
)
へ
常楠
(
つねくす
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
始
(
はじ
)
め
秋彦
(
あきひこ
)
、
075
駒彦
(
こまひこ
)
、
076
虻公
(
あぶこう
)
、
077
蜂公
(
はちこう
)
の
六人
(
ろくにん
)
連
(
づれ
)
は、
078
此
(
この
)
滝
(
たき
)
に
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
めむと
夜中
(
やちう
)
に
闇
(
やみ
)
を
冒
(
をか
)
して
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
079
忽
(
たちま
)
ち
真裸
(
まつぱだか
)
となり
滝水
(
たきみづ
)
に
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め、
080
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
081
木山彦
(
きやまひこ
)
は
夜陰
(
やいん
)
の
事
(
こと
)
とて
一行
(
いつかう
)
の
何人
(
なんびと
)
なるか
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かなかつた。
082
唯
(
ただ
)
熱心
(
ねつしん
)
なる
信仰者
(
しんかうしや
)
とのみ
思
(
おも
)
ひつめ、
083
夫婦
(
ふうふ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
くる
迄
(
まで
)
、
084
大地
(
だいち
)
に
平伏
(
ひれふ
)
して
奏上
(
そうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
085
夜
(
よ
)
は
漸々
(
やうやう
)
に
明
(
あ
)
け
離
(
はな
)
れ、
086
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
はハツキリとして
来
(
き
)
た。
087
木山彦
(
きやまひこ
)
『オヽ
其方
(
そなた
)
は
常楠
(
つねくす
)
夫婦
(
ふうふ
)
では
御座
(
ござ
)
らぬか、
088
ヤア、
089
秋彦
(
あきひこ
)
、
090
駒彦
(
こまひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
殿
(
どの
)
、
091
これはこれはよい
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
りました。
092
突然
(
とつぜん
)
ながら、
093
秋彦
(
あきひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
私
(
わたくし
)
の
伜
(
せがれ
)
で
御座
(
ござ
)
る。
094
ようまア
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
ゐ
)
て
呉
(
く
)
れた。
095
竜神
(
りうじん
)
の
宮
(
みや
)
の
神
(
かみ
)
を
征服
(
たひら
)
げると
云
(
い
)
ふ
神力
(
しんりき
)
を
備
(
そな
)
へて
居
(
を
)
るとは
実
(
じつ
)
に
偉
(
えら
)
いものだ』
096
と
涙
(
なみだ
)
をホロリと
零
(
こぼ
)
す。
097
秋彦
(
あきひこ
)
は
藪
(
やぶ
)
から
棒
(
ぼう
)
の
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
を
少
(
すこ
)
しも
訝
(
いぶ
)
かる
色
(
いろ
)
なく、
098
秋彦
(
あきひこ
)
『アヽ
貴方
(
あなた
)
が
父上
(
ちちうへ
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか、
099
ようまあ
達者
(
たつしや
)
で
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいました』
100
と
人目
(
ひとめ
)
も
構
(
かま
)
はず
木山彦
(
きやまひこ
)
に
抱
(
いだ
)
きつき、
101
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
掻
(
か
)
き
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
102
常楠
(
つねくす
)
『
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
合点
(
がてん
)
の
往
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
のみ
突発
(
とつぱつ
)
して、
103
彼方
(
あちら
)
からも
此方
(
こちら
)
からも
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
ばかり、
104
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
子
(
こ
)
を
発見
(
はつけん
)
致
(
いた
)
しました。
105
之
(
これ
)
も
全
(
まつた
)
く
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
のお
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せ、
106
酋長
(
しうちやう
)
殿
(
どの
)
も
大切
(
たいせつ
)
なお
息子
(
むすこ
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
遊
(
あそ
)
ばして、
107
こんな
大慶
(
たいけい
)
な
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ』
108
と
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
祝意
(
しゆくい
)
を
表
(
へう
)
する。
109
秋彦
(
あきひこ
)
、
110
駒彦
(
こまひこ
)
、
111
虻公
(
あぶこう
)
、
112
蜂公
(
はちこう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ、
113
滝水
(
たきみづ
)
に
向
(
むか
)
つて『
熊野
(
くまの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
114
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
く
御
(
お
)
礼
(
れい
)
申上
(
まをしあ
)
げます』と
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
めて
居
(
を
)
る。
115
此
(
この
)
時
(
とき
)
何処
(
いづく
)
ともなく
麗
(
うる
)
はしき
雲
(
くも
)
起
(
おこ
)
りて
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
み、
116
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれた
一柱
(
ひとはしら
)
の
女神
(
めがみ
)
、
117
言葉
(
ことば
)
淑
(
しと
)
やかに
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ふやう、
118
女神
『
秋彦
(
あきひこ
)
、
119
駒彦
(
こまひこ
)
両人
(
りやうにん
)
が
至誠
(
しせい
)
に
免
(
めん
)
じ、
120
神界
(
しんかい
)
より
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
を
許
(
ゆる
)
したのであるぞよ。
121
今
(
いま
)
改
(
あらた
)
めて
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
に
告
(
つ
)
げむ。
122
駒彦
(
こまひこ
)
は
常楠
(
つねくす
)
、
123
お
久
(
ひさ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
中
(
なか
)
より
生
(
うま
)
れた
子
(
こ
)
である。
124
又
(
また
)
秋彦
(
あきひこ
)
は
木山彦
(
きやまひこ
)
とお
久
(
ひさ
)
との
間
(
あひだ
)
に
生
(
うま
)
れた
子
(
こ
)
である。
125
次
(
つぎ
)
に
虻公
(
あぶこう
)
は
常楠
(
つねくす
)
と
木山姫
(
きやまひめ
)
との
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れた
子
(
こ
)
である。
126
次
(
つぎ
)
に
蜂公
(
はちこう
)
は
木山彦
(
きやまひこ
)
とお
久
(
ひさ
)
との
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れた
子
(
こ
)
である。
127
何
(
いづ
)
れも
皆
(
みな
)
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
の
いたづら
より
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でし
御子
(
みこ
)
なれば、
128
神界
(
しんかい
)
の
罪
(
つみ
)
に
依
(
よ
)
りて
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
親子
(
おやこ
)
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
知
(
し
)
らず、
129
親
(
おや
)
は
子
(
こ
)
を
探
(
たづ
)
ね、
130
子
(
こ
)
は
親
(
おや
)
を
探
(
たづ
)
ねつつあつた。
131
されど
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
が
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
に
依
(
よ
)
つて
各
(
おのおの
)
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
され
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
をなす
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
たのである。
132
夢々
(
ゆめゆめ
)
疑
(
うたが
)
ふ
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ。
133
我
(
われ
)
は
天教山
(
てんけうざん
)
より
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
れる
木花姫
(
このはなひめの
)
命
(
みこと
)
なるぞ』
134
と
宣
(
の
)
り
終
(
を
)
へ
給
(
たま
)
ひて、
135
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
に
送
(
おく
)
られ
崇高
(
すうかう
)
なる
御姿
(
みすがた
)
は
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
給
(
たま
)
ふ。
136
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
みし
麗
(
うる
)
はしき
雲
(
くも
)
はさつと
晴
(
は
)
れて、
137
さしもに
高
(
たか
)
き
那智
(
なち
)
の
滝
(
たき
)
の
落
(
お
)
つる
音
(
おと
)
、
138
滔々
(
たうたう
)
と
轟
(
とどろ
)
き
渡
(
わた
)
り、
139
滝
(
たき
)
の
飛沫
(
ひまつ
)
に
各
(
おのおの
)
日光
(
につくわう
)
映
(
えい
)
じ、
140
得
(
え
)
も
云
(
い
)
はれぬ
麗
(
うる
)
はしき
光景
(
くわうけい
)
となつた。
141
一同
(
いちどう
)
は
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
し、
142
茲
(
ここ
)
に
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
親子
(
おやこ
)
の
縁
(
えん
)
を
喜
(
よろこ
)
びつつ、
143
若彦館
(
わかひこやかた
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く。
144
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
145
(
付記
(
ふき
)
)
146
木山彦
(
きやまひこ
)
──お
久
(
ひさ
)
……
秋彦
(
あきひこ
)
(
鹿
(
しか
)
)
遁児
(
とんじ
)
、
147
六
(
ろく
)
才
(
さい
)
、
148
継母
(
ままはは
)
149
常楠
(
つねくす
)
(
種
(
たね
)
)──お
久
(
ひさ
)
……
駒彦
(
こまひこ
)
(
馬
(
うま
)
)
失児
(
しつじ
)
、
150
三
(
さん
)
才
(
さい
)
、
151
天狗
(
てんぐ
)
152
常楠
(
つねくす
)
──
木山姫
(
きやまひめ
)
(おたつ)……
虻
(
あぶ
)
、
153
捨子
(
すてご
)
、
154
水児
(
みづご
)
、
155
一
(
いつ
)
才
(
さい
)
156
木山彦
(
きやまひこ
)
──お
久
(
ひさ
)
……
蜂
(
はち
)
、
157
水児
(
みづご
)
、
158
一
(
いつ
)
才
(
さい
)
159
(
大正一一・六・一一
旧五・一六
加藤明子
録)
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(B)
(N)
高姫騒 >>>
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如意宝珠(第13~24巻)
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第23巻(戌の巻)
> 第2篇 恩愛の涙 > 第8章 縺れ髪
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【第8章 縺れ髪|第23巻|如意宝珠|霊界物語|/rm2308】
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