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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第23巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 南海の山
第1章 玉の露
第2章 副守囁
第3章 松上の苦悶
第4章 長高説
第2篇 恩愛の涙
第5章 親子奇遇
第6章 神異
第7章 知らぬが仏
第8章 縺れ髪
第3篇 有耶無耶
第9章 高姫騒
第10章 家宅侵入
第11章 難破船
第12章 家島探
第13章 捨小舟
第14章 籠抜
第4篇 混線状態
第15章 婆と婆
第16章 蜈蚣の涙
第17章 黄竜姫
第18章 波濤万里
霊の礎(八)
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
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第23巻(戌の巻)
> 第4篇 混線状態 > 第15章 婆と婆
<<< 籠抜
(B)
(N)
蜈蚣の涙 >>>
第一五章
婆
(
ばば
)
と
婆
(
ばば
)
〔七二七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
篇:
第4篇 混線状態
よみ(新仮名遣い):
こんせんじょうたい
章:
第15章 婆と婆
よみ(新仮名遣い):
ばばとばば
通し章番号:
727
口述日:
1922(大正11)年06月13日(旧05月18日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月19日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は瀬戸内海を西へ航海し、小豆ケ島に着いた。この島には岩窟が多くあって怪物が住むと伝えられていた。
貫州は岩窟の様子を見に中に入って行った。一人残された高姫は、することなすこと裏目に出る自分の境遇を思い起こして、自分に憑いている日の出神に疑いの心を起こす。
そして、腹の中にいる霊を責め立て始めた。高姫が腹の中の玉のようになっている霊を捻りつぶそうとすると、霊は自分は日の出神などではなく、木常姫の霊だと白状した。
木常姫は、高姫の肉体は自分の分霊が凝ってできたのだから、他所へ移ることはできないと言う。高姫は自分の守護神が日の出神ではないと感づいていたような発言をする。
しかし、日の出神と偽って現れた以上は、どこまでも日の出神で通さねばならないのだ、と逆に霊を叱りつけ、今度は自分が霊を教育して使ってやるのだと吠えている。
そこへ東助の館の便所から逃げてきた友彦が偶然やってきた。高姫が自問自答しているのを見て、気がふれているのだと思って思わず独り言を言う。それが高姫の耳に入って、今度は高姫は友彦に八つ当たりを始めだした。
友彦はバラモン教時代の高姫を見知っており、二人は互いに名乗りをする。そこへ貫州が岩窟から出てきた。
貫州は、どうやらここは泥棒の一団の隠れ家らしいと報告する。一行は岩窟の中へ進んで行くと、現れたのはバラモン教の蜈蚣姫であった。蜈蚣姫は高姫を三五教の鷹鳥姫と見て襲おうとする。
高姫は、元は自分もバラモン教だったことを明かして、バラモン教のために三五教に潜入していたのだと蜈蚣姫を丸め込んでしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-15 02:00:00
OBC :
rm2315
愛善世界社版:
243頁
八幡書店版:
第4輯 584頁
修補版:
校定版:
247頁
普及版:
114頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
貫州
(
くわんしう
)
と
共
(
とも
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
より
贈
(
おく
)
つた
新造
(
しんざう
)
の
船
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
002
漸
(
やうや
)
くにして
瀬戸
(
せと
)
内海
(
ないかい
)
の
最大
(
さいだい
)
巨島
(
きよたう
)
小豆
(
せうど
)
ケ
島
(
しま
)
に
到着
(
たうちやく
)
し、
003
磯端
(
いそばた
)
に
船
(
ふね
)
を
繋
(
つな
)
ぎ、
004
暫
(
しば
)
し
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
滞在
(
たいざい
)
し、
005
山
(
やま
)
の
谷々
(
たにだに
)
までも
隈
(
くま
)
なく
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
さむと、
006
国城山
(
くにしろやま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
まで
登
(
のぼ
)
りつめた。
007
茲
(
ここ
)
には
巨大
(
きよだい
)
なる
岩窟
(
いはや
)
があつて、
008
昔
(
むかし
)
から
怪物
(
くわいぶつ
)
の
潜
(
ひそ
)
む
魔窟
(
まくつ
)
と
称
(
とな
)
へられて
居
(
ゐ
)
る。
009
貫州
(
くわんしう
)
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
010
ここには
立派
(
りつぱ
)
な
岩窟
(
いはや
)
が
有
(
あ
)
りますなア。
011
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
奴
(
やつ
)
、
012
ヒヨツとしたら
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
へ
隠
(
かく
)
して
置
(
お
)
いたかも
知
(
し
)
れませぬ。
013
昔
(
むかし
)
から
人
(
ひと
)
の
出入
(
でいり
)
した
事
(
こと
)
のない、
014
深
(
ふか
)
い
岩窟
(
がんくつ
)
だと
杣人
(
そまびと
)
が
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
りましたから、
015
一
(
ひと
)
つ
探険
(
たんけん
)
して
見
(
み
)
ませうか』
016
高姫
(
たかひめ
)
『マア
暫
(
しばら
)
く
考
(
かんが
)
へさして
貰
(
もら
)
はう。
017
どこ
迄
(
まで
)
も
注意深
(
ちういぶか
)
い
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
事
(
こと
)
であるから、
018
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
が
此
(
この
)
岩窟
(
がんくつ
)
へ
這入
(
はい
)
るや
否
(
いな
)
や、
019
見張
(
みは
)
らして
置
(
お
)
いた
味方
(
みかた
)
の
奴
(
やつ
)
が
穴
(
あな
)
でも
塞
(
ふさ
)
ぎ、
020
徳利詰
(
とつくりづめ
)
にでもしよつたら、
021
それこそ
大変
(
たいへん
)
だ。
022
此
(
この
)
界隈
(
かいわい
)
をせめて
四五丁
(
しごちやう
)
四面
(
しめん
)
調査
(
しら
)
べた
上
(
うへ
)
の
事
(
こと
)
にしよう』
023
貫州
(
くわんしう
)
『そんな
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りますまい。
024
そんなら
此処
(
ここ
)
に
貴女
(
あなた
)
は
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さい。
025
私
(
わたし
)
は
一人
(
ひとり
)
探険
(
たんけん
)
して
来
(
き
)
ますから……』
026
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
027
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
へ
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
めて、
028
ノソノソ
這
(
は
)
ふ
様
(
やう
)
に
這入
(
はい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
029
後
(
あと
)
に
高姫
(
たかひめ
)
は
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
み
胡床
(
あぐら
)
をかき、
030
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
れて
独語
(
ひとりごと
)
。
031
高姫
(
たかひめ
)
『あゝする
事
(
こと
)
成
(
な
)
す
事
(
こと
)
、
032
鶍
(
いすか
)
の
嘴
(
はし
)
程
(
ほど
)
喰
(
く
)
ひ
違
(
ちが
)
うと
云
(
い
)
ふのは、
033
ヤツパリ
大自在天
(
だいじざいてん
)
大国別
(
おほくにわけの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
に
背
(
そむ
)
いた
酬
(
むく
)
いかも
知
(
し
)
れない。
034
一旦
(
いつたん
)
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
部下
(
ぶか
)
となり、
035
バラモン
教
(
けう
)
の
教理
(
けうり
)
を
称
(
とな
)
へ
乍
(
なが
)
ら、
036
又
(
また
)
もや
三五教
(
あななひけう
)
の
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
が
恋
(
こひ
)
しくなり、
037
ウラナイ
教
(
けう
)
と
銘
(
めい
)
打
(
う
)
つて、
038
中間教
(
ちうかんけう
)
を
捻
(
ひね
)
り
出
(
だ
)
し、
039
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
大自在天
(
だいじざいてん
)
の
名
(
な
)
も
唱
(
とな
)
へぬ
様
(
やう
)
になり、
040
再
(
ふたた
)
び
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
を
信
(
しん
)
じ、
041
再転
(
さいてん
)
して
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
三五教
(
あななひけう
)
に
逆戻
(
ぎやくもど
)
りをなし、
042
今
(
いま
)
又
(
また
)
三五教
(
あななひけう
)
の
幹部
(
かんぶ
)
の
為
(
ため
)
に
散々
(
さんざん
)
な
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はされ、
043
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまも
如何
(
どう
)
して
御座
(
ござ
)
るのだらうか。
044
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
精神
(
せいしん
)
も
変
(
へん
)
だが、
045
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
も
何
(
なん
)
とはなしに
便
(
たよ
)
りなうなつて
来
(
き
)
た。
046
あれ
程
(
ほど
)
光
(
ひか
)
る
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
が
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
な
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
では、
047
実際
(
じつさい
)
の
事
(
こと
)
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
たぬ。
048
ヒヨツとしたら
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
眼病
(
がんびやう
)
でも
患
(
わづら
)
つて
居
(
を
)
られるのではあるまいかなア。
049
あゝ
最早
(
もはや
)
瞋恚
(
しんい
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
050
一寸先
(
いつすんさき
)
も
見
(
み
)
えなくなつて
了
(
しま
)
つた。
051
どこを
探
(
たづ
)
ねたら
此
(
この
)
玉
(
たま
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
が
分
(
わか
)
るであらうか。
052
但
(
ただし
)
は
熱心
(
ねつしん
)
な
黒姫
(
くろひめ
)
が
最早
(
もはや
)
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて
居
(
を
)
るのではあるまいか、
053
サツパリ
五里
(
ごり
)
霧中
(
むちう
)
所
(
どころ
)
か
岩前
(
がんぜん
)
夢中
(
むちう
)
に
彷徨
(
はうくわう
)
すると
云
(
い
)
ふ
高姫
(
たかひめ
)
の
今日
(
けふ
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
。
054
アーアもう
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
厭
(
いや
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
055
時々
(
ときどき
)
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
からイロイロの
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つて
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れるが、
056
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り
眺
(
なが
)
むれば、
057
一
(
ひと
)
つとして
神勅
(
しんちよく
)
の
的中
(
てきちう
)
した
事
(
こと
)
はなく、
058
自分
(
じぶん
)
の
体
(
からだ
)
に
憑依
(
ひようい
)
して
居
(
ゐ
)
る
霊
(
れい
)
には、
059
何
(
なん
)
とはなしに
贔屓
(
ひいき
)
がつくものだから、
060
自分
(
じぶん
)
もチツと
怪
(
あや
)
しいとは
思
(
おも
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
061
今
(
いま
)
の
今迄
(
いままで
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
で
頑張
(
ぐわんば
)
り、
062
貫
(
つ
)
き
通
(
とほ
)
して
来
(
き
)
たが、
063
明石
(
あかし
)
の
灘
(
なだ
)
で
難船
(
なんせん
)
に
遭
(
あ
)
ひ、
064
又
(
また
)
家島
(
えじま
)
では
船
(
ふね
)
を
奪
(
と
)
られ
島流
(
しまなが
)
し
同様
(
どうやう
)
の
憂目
(
うきめ
)
に
会
(
あ
)
うても、
065
何
(
なん
)
にも
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れぬ
様
(
やう
)
な
盲神
(
めくらがみ
)
の
容器
(
いれもの
)
になつた
所
(
ところ
)
で、
066
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
恥
(
はぢ
)
の
上塗
(
うはぬ
)
りをするばつかりだ、
067
アヽ
如何
(
どう
)
したらよからうかなア。
068
今更
(
いまさら
)
聖地
(
せいち
)
へ
引返
(
ひきかへ
)
し、
069
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
や
杢助
(
もくすけ
)
に
対
(
たい
)
し
謝罪
(
あやま
)
るのも
馬鹿
(
ばか
)
げて
居
(
ゐ
)
るし、
070
モウ
仕方
(
しかた
)
がない、
071
毒
(
どく
)
を
喰
(
く
)
はば
皿
(
さら
)
迄
(
まで
)
舐
(
ねぶ
)
れだ。
072
今
(
いま
)
となつて、
073
ヤツパリ
妾
(
わたし
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
では
有
(
あ
)
りませなんだと……そんな
事
(
こと
)
は
是
(
これ
)
迄
(
まで
)
威張
(
ゐば
)
つた
手前
(
てまへ
)
、
074
言
(
い
)
はれた
義理
(
ぎり
)
でもなし。
075
……
一
(
ひと
)
つ
守護神
(
しゆごじん
)
に
談判
(
だんぱん
)
をして
其
(
その
)
上
(
うへ
)
の
事
(
こと
)
にしよう。
076
……コレコレ
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
、
077
チツと
発動
(
はつどう
)
して
妾
(
わたし
)
の
質問
(
しつもん
)
に
答
(
こた
)
へて
下
(
くだ
)
さい。
078
今度
(
こんど
)
は
今迄
(
いままで
)
の
様
(
やう
)
なヨタリスクは
聞
(
き
)
きませぬぞ。
079
ネツトプライスの
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
開陳
(
かいちん
)
なされ。
080
返答
(
へんたふ
)
に
依
(
よ
)
つては
高姫
(
たかひめ
)
も
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
りお
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
聞
(
き
)
かぬのだから、
081
サア
早
(
はや
)
く
発動
(
はつどう
)
せぬか、
082
口
(
くち
)
を
切
(
き
)
らぬか』
083
と
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
臍
(
へそ
)
の
辺
(
あた
)
りを
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
擲
(
なぐ
)
りつけて
居
(
を
)
る。
084
如何
(
どう
)
したものか、
085
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
りて
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
称
(
しよう
)
する
憑依物
(
ひよういぶつ
)
も、
086
チウの
声
(
こゑ
)
一
(
ひと
)
つ
挙
(
あ
)
げず、
087
臍
(
へそ
)
の
下
(
した
)
あたりに
萎縮
(
ゐしゆく
)
して、
088
小
(
ちひ
)
さき
毬
(
まり
)
の
様
(
やう
)
になつて
付着
(
ふちやく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
089
高姫
(
たかひめ
)
は
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
其
(
その
)
玉
(
たま
)
の
上
(
うへ
)
から
握
(
にぎ
)
り
詰
(
つ
)
め、
090
高姫
(
たかひめ
)
『サアどうぢや、
091
なんとか
返答
(
へんたふ
)
せぬか。
092
結構
(
けつこう
)
な
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
の
肉体
(
にくたい
)
を、
093
今迄
(
いままで
)
よくも
弄物
(
おもちや
)
にしよつた。
094
捻
(
ひね
)
り
潰
(
つぶ
)
してやらうか』
095
と
腹
(
はら
)
の
皮
(
かは
)
が
千切
(
ちぎ
)
れる
程
(
ほど
)
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
めて、
096
グリグリとした
固
(
かた
)
い
塊
(
たま
)
を
握
(
にぎ
)
り
潰
(
つぶ
)
さうとする。
097
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
より、
098
(木常姫の霊)
『アヽ
痛
(
いた
)
い
痛
(
いた
)
い。
099
白状
(
はくじやう
)
します。
100
どうぞ
宥
(
こら
)
へて
下
(
くだ
)
さい。
101
私
(
わたし
)
は
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
狐
(
きつね
)
の
乾児
(
こぶん
)
、
102
昔
(
むかし
)
エルサレムの
宮
(
みや
)
で、
103
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
以下
(
いか
)
の
神々
(
かみがみ
)
を
苦
(
くるし
)
めた
木常姫
(
こつねひめ
)
の
霊
(
みたま
)
で
御座
(
ござ
)
います。
104
其
(
その
)
木常姫
(
こつねひめ
)
の
分霊
(
ぶんれい
)
が
疑
(
こ
)
つて
貴女
(
あなた
)
の
肉体
(
にくたい
)
が
形作
(
かたちづく
)
られ、
105
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
たのだ。
106
そして
私
(
わたし
)
は
同
(
おな
)
じ
身魂
(
みたま
)
の
分派
(
わかれ
)
だから、
107
お
前
(
まへ
)
に
憑
(
うつ
)
るより
外
(
ほか
)
に
憑
(
うつ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないのだ』
108
高姫
(
たかひめ
)
『よう
白状
(
はくじやう
)
した。
109
大方
(
おほかた
)
そんな
事
(
こと
)
だらうと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたのだ。
110
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
同
(
おな
)
じ
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
なれば、
111
お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り
離
(
はな
)
す
訳
(
わけ
)
に
行
(
ゆ
)
かず、
112
妾
(
わたし
)
も
実際
(
じつさい
)
はお
前
(
まへ
)
と
別
(
わか
)
れとも
無
(
な
)
い。
113
併
(
しか
)
し
木常姫
(
こつねひめ
)
の
霊魂
(
みたま
)
だなぞと、
114
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
弱音
(
よわね
)
を
吹
(
ふ
)
くのか。
115
始
(
はじ
)
めから
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
偽
(
いつは
)
つて
現
(
あら
)
はれた
以上
(
いじやう
)
は、
116
どこまでも
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
で
通
(
とほ
)
さぬか。
117
そんな
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
守護神
(
しゆごじん
)
は
妾
(
わたし
)
は
嫌
(
きら
)
ひだ。
118
サア
是
(
これ
)
から
妾
(
わたし
)
がキツと
教育
(
けういく
)
をしてやるから、
119
今迄
(
いままで
)
の
様
(
やう
)
に
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
使
(
つか
)
ふ
事
(
こと
)
はならぬぞ。
120
高姫
(
たかひめ
)
が
今度
(
こんど
)
はお
前
(
まへ
)
を
使
(
つか
)
ふのだから、
121
さう
思
(
おも
)
へ』
122
木常姫
(
こつねひめ
)
の
霊
(
れい
)
『
肉体
(
にくたい
)
が
霊
(
れい
)
をお
使
(
つか
)
ひになれば、
123
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじゆう
)
になりはしませぬか』
124
高姫
(
たかひめ
)
『エー
又
(
また
)
しても、
125
お
前
(
まへ
)
までが
理屈
(
りくつ
)
を
言
(
い
)
ふのか。
126
世間
(
せけん
)
の
奴
(
やつ
)
は
皆
(
みんな
)
表面
(
へうめん
)
でこそ
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
と
済
(
す
)
ました
顔
(
かほ
)
して
吐
(
ほざ
)
いて
居
(
ゐ
)
るが、
127
分
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
だなア。
128
物質
(
ぶつしつ
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
にそんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
が
如何
(
どう
)
して
行
(
おこな
)
へるものか。
129
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじゆう
)
が
天地
(
てんち
)
の
真理
(
しんり
)
だ。
130
妾
(
わし
)
は
今迄
(
いままで
)
お
前
(
まへ
)
の
霊
(
れい
)
に
従
(
したが
)
ひ、
131
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじゆう
)
を
守
(
まも
)
つて
来
(
き
)
て、
132
一
(
ひと
)
つも
碌
(
ろく
)
な
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
なんだぢやないか。
133
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじゆう
)
に
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
限
(
かぎ
)
る。
134
虚偽
(
きよぎ
)
式
(
しき
)
生活
(
せいくわつ
)
は
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
取
(
と
)
らざる
所
(
ところ
)
、
135
これからはスツクリ
気
(
き
)
を
持直
(
もちなほ
)
し、
136
赤裸々
(
せきらら
)
に
露骨
(
ろこつ
)
に、
137
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじゆう
)
を
標榜
(
へうぼう
)
して
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つ
心組
(
つもり
)
だから、
138
お
前
(
まへ
)
もそう
心得
(
こころえ
)
ろ』
139
木常姫
(
こつねひめ
)
の
霊
(
れい
)
『アヽ
仕方
(
しかた
)
がない。
140
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
つても
水
(
みづ
)
の
でばな
に
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れる
筈
(
はず
)
がないから、
141
ここ
暫
(
しばら
)
くは
沈黙
(
ちんもく
)
の
幕
(
まく
)
をおろさうか。
142
アハヽヽヽ』
143
と
自問
(
じもん
)
自答
(
じたふ
)
を
荐
(
しき
)
りにやつて
居
(
を
)
る。
144
此
(
この
)
所
(
ところ
)
へ
糞
(
くそ
)
まぶれになつて
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
があつた。
145
宣伝使
(
せんでんし
)
は
岩窟
(
いはや
)
の
前
(
まへ
)
に
中婆
(
ちうばば
)
の
首
(
かうべ
)
を
垂
(
た
)
れ、
146
モノログして
居
(
を
)
るのを
見
(
み
)
て、
147
宣伝使
(
せんでんし
)
『ハハア、
148
此奴
(
こいつ
)
ア
気違
(
きちがひ
)
だなア。
149
独
(
ひと
)
り
言
(
い
)
うては
独
(
ひと
)
り
答
(
こた
)
へて
居
(
ゐ
)
よる。
150
昔
(
むかし
)
から
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
から
自然
(
しぜん
)
にものを
言
(
い
)
ふ
病気
(
びやうき
)
があると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
つたがテツキリ
斯
(
こ
)
んな
奴
(
やつ
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うたのだらう。
151
神懸
(
かむがかり
)
[
※
三版・御校正本・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。このセリフ内の他の2ヶ所も同じ。
]
にしては
少
(
すこ
)
し
調子
(
てうし
)
が
違
(
ちが
)
ふ。
152
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
病気
(
びやうき
)
でも
何
(
なん
)
でも
可
(
い
)
い、
153
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
より
何
(
なん
)
でも
可
(
い
)
いから、
154
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れると、
155
実否
(
じつぴ
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
156
神懸
(
かむがかり
)
として
誤魔化
(
ごまくわ
)
すのに
都合
(
つがふ
)
が
好
(
い
)
いけれど……
自分
(
じぶん
)
の
様
(
やう
)
に
何時
(
いつ
)
まで
修行
(
しうぎやう
)
しても、
157
鎮魂
(
ちんこん
)
しても、
158
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
からウンともスンとも
言
(
い
)
うて
来
(
こ
)
ない
者
(
もの
)
には
困
(
こま
)
つて
了
(
しま
)
ふ。
159
あちらでも
神懸
(
かむがかり
)
の
真似
(
まね
)
をしては
失敗
(
しつぱい
)
し、
160
こちらでも
真似
(
まね
)
をしては
失敗
(
しつぱい
)
し、
161
到頭
(
たうとう
)
洲本
(
すもと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
の
宅
(
たく
)
に
於
(
おい
)
て、
162
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
と
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
で、
163
女房
(
にようばう
)
に
看破
(
かんぱ
)
され
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
へ、
164
死
(
し
)
んだ
筈
(
はず
)
の
主人
(
しゆじん
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
よつて
大
(
おほ
)
いに
面目玉
(
めんぼくだま
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
165
雪隠
(
せついん
)
の
中
(
なか
)
から
籠脱
(
かごぬ
)
けをやつた
時
(
とき
)
の
苦
(
くる
)
しさ、
166
恐
(
こは
)
さ、
167
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
漸
(
やうや
)
く
海辺
(
うみべ
)
に
無事
(
ぶじ
)
到着
(
たうちやく
)
し、
168
一艘
(
いつそう
)
の
舟
(
ふね
)
を
見付
(
みつ
)
けて、
169
無理
(
むり
)
やりに
沖
(
おき
)
へ
漕出
(
こぎだ
)
し、
170
暴風
(
ばうふう
)
に
吹
(
ふ
)
き
流
(
なが
)
され、
171
此島
(
ここ
)
までやつて
来
(
き
)
たのだが、
172
雪隠
(
せついん
)
を
潜
(
くぐ
)
つた
時
(
とき
)
に、
173
自分
(
じぶん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
服
(
ふく
)
は
雪隠
(
せついん
)
の
雑巾役
(
ざふきんやく
)
を
勤
(
つと
)
めよつたと
見
(
み
)
えて、
174
未
(
いま
)
だに
怪体
(
けつたい
)
な
臭気
(
にほひ
)
がする。
175
アヽ
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だ。
176
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
、
177
再
(
ふたた
)
び
改悪
(
かいあく
)
して、
178
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
を
裸
(
はだか
)
にし、
179
臭
(
くさ
)
い
着物
(
きもの
)
と
取換
(
とりかへ
)
こをしてやらうかなア』
180
と
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
小声
(
こごゑ
)
が
大
(
おほ
)
きくなり、
181
高姫
(
たかひめ
)
の
耳
(
みみ
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
182
高姫
(
たかひめ
)
は、
183
大部分
(
だいぶぶん
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
独語
(
ひとりごと
)
を
聞
(
き
)
き
悟
(
さと
)
り、
184
高姫
(
たかひめ
)
『オツホヽヽヽ、
185
糞
(
くそ
)
まぶれの
宣伝使
(
せんでんし
)
、
186
雪隠
(
せんち
)
の
雑巾
(
ざふきん
)
と
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
教服
(
けうふく
)
と
換
(
かへ
)
るなんて、
187
そんな
大
(
だい
)
それた
野心
(
やしん
)
を
起
(
おこ
)
すものぢやない。
188
チヤンとお
前
(
まへ
)
の
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
まで
見抜
(
みぬ
)
いてあるのだから……』
189
宣伝使
(
せんでんし
)
『ヤアお
前
(
まへ
)
は
何処
(
どこ
)
の
婆
(
ばば
)
アか
知
(
し
)
らぬが、
190
俺
(
おれ
)
の
腹中
(
はら
)
をさう
早
(
はや
)
くから
見透
(
みす
)
かして
居
(
を
)
るのなれば
仕方
(
しかた
)
がない。
191
止
(
や
)
めて
置
(
お
)
かう。
192
俺
(
おれ
)
の
着物
(
きもの
)
にはドツサリと
黄金色
(
わうごんしよく
)
のババが
付
(
つ
)
いて、
193
ババの
着物
(
きもの
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
194
貴様
(
きさま
)
のを
脱
(
ぬ
)
がした
所
(
ところ
)
でヤツパリ
ババ
の
着物
(
きもの
)
だ。
195
……オイ
婆
(
ばあ
)
さま、
196
どこぞ
其処
(
そこ
)
らの
谷川
(
たにがは
)
で
俺
(
おれ
)
の
着物
(
きもの
)
を
洗濯
(
せんたく
)
して
呉
(
く
)
れぬか』
197
高姫
(
たかひめ
)
『
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と、
198
洗濯婆
(
せんたくばば
)
と
間違
(
まちが
)
へられては
迷惑
(
めいわく
)
だ。
199
こんな
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
の
水
(
みづ
)
もない
所
(
ところ
)
に、
200
洗濯婆
(
せんたくばば
)
が
居
(
を
)
るものか。
201
谷川
(
たにがは
)
の
畔
(
ほとり
)
へでも
行
(
い
)
つて
探
(
さが
)
して
来
(
こ
)
い。
202
婆
(
ばば
)
は
川
(
かは
)
に
付物
(
つきもの
)
だ。
203
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
は
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
の
身魂
(
みたま
)
を
洗濯
(
せんたく
)
する
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
洗濯婆
(
せんたくばば
)
だぞ。
204
……ヘン
宣伝使
(
せんでんし
)
面
(
づら
)
をしやがつて、
205
何
(
なに
)
をとぼけて
居
(
ゐ
)
るのだ。
206
余程
(
よつぽど
)
よい
頓馬
(
とんま
)
野郎
(
やらう
)
だなア』
207
と
今
(
いま
)
までの
腹立
(
はらだ
)
ち
紛
(
まぎ
)
れに、
208
宣伝使
(
せんでんし
)
の
方
(
はう
)
へ
鉾
(
ほこ
)
を
向
(
む
)
けて
了
(
しま
)
つた。
209
宣伝使
(
せんでんし
)
『なんと
口
(
くち
)
の
達者
(
たつしや
)
な
婆
(
ばば
)
アも
有
(
あ
)
ればあるものだ。
210
恰度
(
ちやうど
)
今
(
いま
)
ウラナイ
教
(
けう
)
を
立
(
た
)
てて
居
(
を
)
る
高姫
(
たかひめ
)
の
様
(
やう
)
な、
211
口喧
(
くちやかま
)
しい
婆
(
ば
)
アさまぢやないか』
212
高姫
(
たかひめ
)
『その
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
ぢや。
213
わしの
名
(
な
)
を
如何
(
どう
)
して
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
るか』
214
宣伝使
(
せんでんし
)
『
私
(
わし
)
は
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
雉子
(
きぎす
)
と
云
(
い
)
つた
男
(
をとこ
)
だ。
215
お
前
(
まへ
)
が
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
膝元
(
ひざもと
)
へ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
216
バラモン
教
(
けう
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
、
217
私
(
わし
)
も
聴
(
き
)
いて
居
(
を
)
つた。
218
あの
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば
随分
(
ずゐぶん
)
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つたものだなア……
今
(
いま
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
友彦
(
ともひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
を
賜
(
たま
)
はつて、
219
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
一
(
いち
)
円
(
ゑん
)
の
宣伝
(
せんでん
)
に
廻
(
まは
)
つて
居
(
を
)
るのだ』
220
高姫
(
たかひめ
)
『アヽさうかい。
221
そんな
しやつ
面
(
つら
)
で
宣伝
(
せんでん
)
が
出来
(
でき
)
たかな』
222
友彦
(
ともひこ
)
『
センデン
万化
(
ばんくわ
)
に
身
(
み
)
を
窶
(
やつ
)
し、
223
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
活動
(
くわつどう
)
した
結果
(
けつくわ
)
、
224
とうと
糞
塵
(
ふんぢん
)
の
中
(
なか
)
に
陥
(
おちい
)
り、
225
フン
失
(
しつ
)
の
所
(
ところ
)
だつた。
226
アハヽヽヽ』
227
と
打解
(
うちと
)
けて
笑
(
わら
)
ふ。
228
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
もそこまで
糞度胸
(
くそどきよう
)
がすわつて、
229
雪隠
(
せんち
)
の
中
(
なか
)
まで
潜
(
もぐ
)
れば、
230
最早
(
もはや
)
是
(
これ
)
から
上
(
あが
)
り
坂
(
ざか
)
だ。
231
糞
(
くそ
)
に
生
(
わ
)
く
雪隠虫
(
せんちむし
)
は
遂
(
つひ
)
には
這
(
は
)
ひあがつて、
232
空中
(
くうちう
)
飛行
(
ひかう
)
自在
(
じざい
)
の
玉蠅
(
たまばへ
)
となり、
233
どんな
偉
(
えら
)
い
人間
(
にんげん
)
の
頭
(
あたま
)
へでも
止
(
と
)
まつて、
234
糞
(
くそ
)
を
放
(
ひ
)
りかける
様
(
やう
)
になるものだ。
235
お
前
(
まへ
)
も
是
(
これ
)
から
一
(
ひと
)
つ
糞発
(
ふんぱつ
)
して、
236
妾
(
わし
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
活動
(
くわつどう
)
したらどうだ。
237
フンパツ
せいと
云
(
い
)
つても
雪隠
(
せんち
)
へ
往
(
い
)
て
尻
(
しり
)
をまくるのだないぞツ』
238
友彦
(
ともひこ
)
『お
前
(
まへ
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
口
(
くち
)
の
達者
(
たつしや
)
な
糞婆
(
くそばば
)
ぢやなア。
239
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らヤツパリ、
240
ウラナイ
教
(
けう
)
とか
云
(
い
)
ふ
中間教
(
ちうかんけう
)
を
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
して
居
(
を
)
るのかい』
241
高姫
(
たかひめ
)
『バラモン
教
(
けう
)
も、
242
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
大将
(
たいしやう
)
、
243
大江山
(
おほえやま
)
の
砦
(
とりで
)
から
三五教
(
あななひけう
)
に
追
(
お
)
ひまくられて
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
る
様
(
やう
)
な
腰抜教
(
こしぬけけう
)
なり、
244
ウラナイ
教
(
けう
)
から
一寸
(
ちよつと
)
都合
(
つがふ
)
に
依
(
よ
)
りて、
245
元
(
もと
)
の
三五教
(
あななひけう
)
へ
逆転
(
ぎやくてん
)
して
見
(
み
)
たのだが、
246
ヤツパリ
此奴
(
こいつ
)
も
糞詰
(
ふんづま
)
り
教
(
けう
)
だ。
247
何分
(
なにぶん
)
穴
(
あな
)
の
無
(
な
)
い
教
(
をしへ
)
だから、
248
万事
(
ばんじ
)
万端
(
ばんたん
)
行詰
(
ゆきつま
)
りだらけ、
249
それに
分
(
わか
)
らず
漢
(
や
)
が
幹部
(
かんぶ
)
を
占
(
し
)
めて
居
(
を
)
るのだから
活動
(
くわつどう
)
しようと
思
(
おも
)
つても
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
出
(
だ
)
し
様
(
やう
)
がない。
250
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らバラモン、
251
ウラル、
252
ウラナイ、
253
三五
(
あなない
)
、
254
四教
(
しけう
)
を
通
(
つう
)
じて
一番
(
いちばん
)
勢力
(
せいりよく
)
の
有
(
あ
)
るのは
依然
(
やつぱり
)
三五
(
あななひ
)
の
道
(
みち
)
だ。
255
此島
(
ここ
)
には
天上
(
てんじやう
)
天下
(
てんか
)
唯我
(
ゆゐが
)
独尊
(
どくそん
)
的
(
てき
)
の
三
(
みつ
)
つの
宝
(
たから
)
があるのだが、
256
其奴
(
そいつ
)
の
隠
(
かく
)
し
場所
(
ばしよ
)
を
探
(
さが
)
し
当
(
あ
)
てさへすれば、
257
三五教
(
あななひけう
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
になり、
258
天晴
(
あつぱ
)
れ
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
は
出来
(
でき
)
るのだから、
259
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
さうと
思
(
おも
)
つて、
260
一人
(
ひとり
)
の
家来
(
けらい
)
を
連
(
つ
)
れて
此島
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
だが、
261
お
前
(
まへ
)
も
事
(
こと
)
と
品
(
しな
)
に
依
(
よ
)
つたら
家来
(
けらい
)
にしてやるから、
262
今迄
(
いままで
)
の
経路
(
けいろ
)
を
物語
(
ものがた
)
つて
呉
(
く
)
れ。
263
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
にお
前
(
まへ
)
の
着物
(
きもの
)
の
因縁
(
いんねん
)
から
聞
(
き
)
かう。
264
雪隠
(
せついん
)
から
脱
(
ぬ
)
け
出
(
で
)
た
事
(
こと
)
は
聞
(
き
)
いたが、
265
それは
何処
(
どこ
)
の
雪隠
(
せついん
)
だい』
266
友彦
(
ともひこ
)
は
有
(
あ
)
りし
次第
(
しだい
)
を
悉
(
ことごと
)
く
物語
(
ものがた
)
りける。
267
高姫
(
たかひめ
)
『さうすると、
268
お
前
(
まへ
)
は
東助
(
とうすけ
)
の
宅
(
たく
)
へ
行
(
い
)
つたのだな。
269
彼奴
(
あいつ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
を
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
つた
筈
(
はず
)
だが、
270
お
前
(
まへ
)
見
(
み
)
たのかい』
271
友彦
(
ともひこ
)
『
何
(
なん
)
だか
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
服
(
ふく
)
を
着
(
つ
)
けて
居
(
を
)
つたやうだ。
272
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
東助
(
とうすけ
)
にスツカリ
服従
(
ふくじゆう
)
して、
273
是
(
これ
)
から
東助
(
とうすけ
)
を
大将
(
たいしやう
)
に、
274
高姫
(
たかひめ
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
たづ
)
ね
打亡
(
うちほろ
)
ぼさねば
置
(
お
)
かぬと
云
(
い
)
うて、
275
力
(
りき
)
んで
居
(
ゐ
)
ましたよ』
276
と
嘘
(
うそ
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
277
高姫
(
たかひめ
)
の
肝
(
きも
)
を
挫
(
ひし
)
がうとする。
278
高姫
(
たかひめ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らせ、
279
目
(
め
)
をグルグルと
廻転
(
くわいてん
)
させ
乍
(
なが
)
ら、
280
高姫
(
たかひめ
)
『そりや
本当
(
ほんたう
)
か。
281
そして
何時
(
いつ
)
出
(
で
)
て
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
つたかな』
282
友彦
(
ともひこ
)
『
何
(
なん
)
でも
東助
(
とうすけ
)
の
囁
(
ささや
)
くのを
聞
(
き
)
けば、
283
高姫
(
たかひめ
)
は
小豆島
(
せうどじま
)
に
漂着
(
へうちやく
)
したに
違
(
ちがひ
)
ないから、
284
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ、
285
全島
(
ぜんたう
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
捜索
(
そうさく
)
して、
286
高姫
(
たかひめ
)
を
生擒
(
とりこ
)
にして
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
287
舌
(
した
)
を
抜
(
ぬ
)
いてやると
云
(
い
)
つてましたよ。
288
用心
(
ようじん
)
せぬと
何時
(
なんどき
)
やつて
来
(
く
)
るか
分
(
わか
)
りませぬぜ。
289
アツハヽヽヽ』
290
と
笑
(
わら
)
ふ。
291
高姫
(
たかひめ
)
は
其
(
その
)
顔
(
かほ
)
をチラリと
見
(
み
)
て、
292
高姫
(
たかひめ
)
『エー
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い。
293
そんな
恐喝
(
おどし
)
を
食
(
く
)
ふものか、
294
小豆
(
せうど
)
ケ
島
(
しま
)
へ
来
(
き
)
たと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がどうして
東助
(
とうすけ
)
に
分
(
わか
)
る
道理
(
だうり
)
があらう。
295
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
の
声色
(
こはいろ
)
と
云
(
い
)
ひ、
296
顔色
(
かほいろ
)
と
云
(
い
)
ひ、
297
嘘
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだろ』
298
友彦
(
ともひこ
)
『アヽそこまで
看破
(
かんぱ
)
されては
仕方
(
しかた
)
がない。
299
お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
りだ。
300
マア
嘘
(
うそ
)
にして
置
(
お
)
きませうかい』
301
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
し
合
(
あ
)
ふ
所
(
ところ
)
へ、
302
顔
(
かほ
)
一面
(
いちめん
)
に
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
だらけになつた
貫州
(
くわんしう
)
は、
303
数多
(
あまた
)
の
衣類
(
いるゐ
)
を
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た。
304
高姫
(
たかひめ
)
はこれを
見
(
み
)
て、
305
高姫
(
たかひめ
)
『ヤアお
前
(
まへ
)
は
貫州
(
くわんしう
)
、
306
一体
(
いつたい
)
其
(
その
)
顔
(
かほ
)
は
如何
(
どう
)
したのだ』
307
貫州
(
くわんしう
)
『ハイ
此処
(
ここ
)
は
恐
(
おそ
)
ろしい
泥棒
(
どろばう
)
の
岩窟
(
いはや
)
と
見
(
み
)
えて、
308
沢山
(
たくさん
)
の
掠奪品
(
りやくだつひん
)
が
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
く
積
(
つ
)
んで
有
(
あ
)
りました。
309
私
(
わたし
)
も
泥棒
(
どろばう
)
のウハマヘをはねて、
310
大泥棒
(
おほどろばう
)
となり、
311
顔
(
かほ
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
クモ
助
(
すけ
)
になつて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ました。
312
資本
(
もと
)
が
何分
(
なにぶん
)
懸
(
かか
)
らぬ
代物
(
しろもの
)
だから、
313
安
(
やす
)
うまけと
来
(
き
)
ます。
314
絹物
(
きぬもの
)
も
有
(
あ
)
れば、
315
木綿物
(
もめんもの
)
も
有
(
あ
)
るが、
316
突込
(
つつこ
)
みで
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
何程
(
なんぼ
)
で
卸
(
おろし
)
ませうかい。
317
……ヤア
何
(
なん
)
だ、
318
怪
(
あや
)
しい
臭気
(
にほひ
)
がすると
思
(
おも
)
へば、
319
そこに
糞
(
くそ
)
まぶれの
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
てる
奴
(
やつ
)
が
一人
(
ひとり
)
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
320
大方
(
おほかた
)
雪隠虫
(
せんちむし
)
のお
化
(
ば
)
けだらう。
321
早速
(
さつそく
)
此奴
(
こいつ
)
ア
買手
(
かひて
)
が
出来
(
でき
)
た。
322
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
はようしたものだ。
323
斯
(
こ
)
んな
山中
(
さんちう
)
に
店
(
みせ
)
出
(
だ
)
しした
所
(
ところ
)
で、
324
たアれも
買手
(
かひて
)
は
有
(
あ
)
るまいと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたのに、
325
出
(
だ
)
せ
買
(
か
)
はう……とか
云
(
い
)
つて、
326
不思議
(
ふしぎ
)
なものだなア』
327
と
一人
(
ひとり
)
洒落
(
しやれ
)
てゐる。
328
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
そんな
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をして、
329
何
(
なん
)
ともないのか。
330
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
済
(
す
)
まぬぢやないか』
331
貫州
(
くわんしう
)
『
私
(
わたし
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
で
糞
(
くそ
)
まぶれの
人間
(
にんげん
)
が
今
(
いま
)
出
(
で
)
て
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を、
332
チヤンと
悟
(
さと
)
りました。
333
こんな
所
(
ところ
)
で
洗濯
(
せんたく
)
する
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かず、
334
困
(
こま
)
つてるだらうと
思
(
おも
)
つて、
335
慈善
(
じぜん
)
的
(
てき
)
に
抱
(
かか
)
へて
来
(
き
)
たのだ。
336
サア
俺
(
おれ
)
の
物
(
もん
)
ぢやないけれど、
337
お
前
(
まへ
)
勝手
(
かつて
)
に
着
(
き
)
たがよからう』
338
友彦
(
ともひこ
)
『
持主
(
もちぬし
)
の
分
(
わか
)
らぬ
着物
(
きもの
)
を
勝手
(
かつて
)
に
着
(
き
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
い
)
きませぬ。
339
買
(
か
)
ふとか、
340
借
(
か
)
るとかせなくては、
341
黙
(
だま
)
つて
着服
(
ちやくふく
)
すれば
泥棒
(
どろばう
)
になりますから……』
342
貫州
(
くわんしう
)
『
殊勝
(
しゆしよう
)
らしい
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふな。
343
お
前
(
まへ
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
のサツクを
嵌
(
は
)
めて
泥棒
(
どろばう
)
をやつて
居
(
を
)
つた
男
(
をとこ
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
344
お
前
(
まへ
)
の
面付
(
つらつき
)
は、
345
どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に
見
(
み
)
ても、
346
泥棒
(
どろばう
)
としか
俺
(
おれ
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
に
映
(
えい
)
じない、
347
大方
(
おほかた
)
貴様
(
きさま
)
の…ここは
親分
(
おやぶん
)
の
根拠地
(
こんきよち
)
だらう。
348
何
(
なん
)
だか
此
(
この
)
岩窟
(
いはや
)
の
奥
(
おく
)
には
大勢
(
おほぜい
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
居
(
を
)
つたから、
349
ソツト
是
(
こ
)
れ
丈
(
だけ
)
の
着物
(
きもの
)
を
引抱
(
ひつかか
)
へ
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
して
来
(
き
)
たのだが、
350
貴様
(
きさま
)
も
大方
(
おほかた
)
岩窟
(
ここ
)
の
乾児
(
こぶん
)
に
違
(
ちが
)
ひあるまい』
351
友彦
(
ともひこ
)
『これは
聊
(
いささ
)
か
迷惑
(
めいわく
)
だ。
352
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
始
(
はじ
)
めて
此
(
この
)
島
(
しま
)
へ
漂着
(
へうちやく
)
したばかりだから、
353
そんな
痛
(
いた
)
うない
腹
(
はら
)
を
探
(
さぐ
)
るものだない。
354
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
着物
(
きもの
)
は
暫
(
しばら
)
く
拝借
(
はいしやく
)
しよう。
355
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
私
(
わし
)
の
衣類
(
いるゐ
)
を
渡
(
わた
)
すからお
前
(
まへ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
356
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
まで
持
(
も
)
ち
運
(
はこ
)
んで
置
(
お
)
いてくれぬか』
357
貫州
(
くわんしう
)
は、
358
貫州
『
勝手
(
かつて
)
にせい』
359
と
捨台詞
(
すてぜりふ
)
を
残
(
のこ
)
して、
360
又
(
また
)
もや
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
に
駆込
(
かけこ
)
んだ。
361
高姫
(
たかひめ
)
、
362
友彦
(
ともひこ
)
も
続
(
つづ
)
いて
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
る。
363
或
(
あるひ
)
は
広
(
ひろ
)
く、
364
或
(
あるひ
)
は
狭
(
せま
)
く、
365
起伏
(
きふく
)
ある
天然
(
てんねん
)
の
隧道
(
トンネル
)
を、
366
身
(
み
)
を
堅
(
たて
)
にし
横
(
よこ
)
にし、
367
或
(
あるひ
)
は
這
(
は
)
ひなどして
漸
(
やうや
)
く
広
(
ひろ
)
き
窟内
(
くつない
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
368
どこともなく
糸竹
(
しちく
)
管絃
(
くわんげん
)
の
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る。
369
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
怪
(
あや
)
しげに
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
まして
其
(
その
)
音
(
おと
)
の
出所
(
しゆつしよ
)
を
佇
(
たたず
)
み
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んだ。
370
或
(
あるひ
)
は
前
(
まへ
)
に
聞
(
きこ
)
え、
371
後
(
うしろ
)
に
聞
(
きこ
)
え、
372
右
(
みぎ
)
かと
思
(
おも
)
へば
左
(
ひだり
)
、
373
左
(
ひだり
)
かと
思
(
おも
)
へば
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
に、
374
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
に
音
(
おと
)
がする。
375
途方
(
とはう
)
に
暮
(
く
)
れ、
376
半時
(
はんとき
)
ばかり
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
、
377
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せて
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んでゐた。
378
傍
(
かたはら
)
の
岩壁
(
がんぺき
)
は
音
(
おと
)
もなくパツと
開
(
ひら
)
いて、
379
中
(
なか
)
より
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
一人
(
ひとり
)
の
婆
(
ばば
)
ア、
380
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
見
(
み
)
るより、
381
婆(蜈蚣姫)
『アヽ、
382
お
前
(
まへ
)
は
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
に
巣
(
す
)
を
構
(
かま
)
へて
居
(
を
)
つた
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
奴
(
やつ
)
だなア。
383
アヽよい
所
(
ところ
)
へやつて
来
(
き
)
た。
384
サア
是
(
こ
)
れから
日頃
(
ひごろ
)
の
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らし、
385
金剛
(
こうがう
)
不壊
(
ふえ
)
の
玉
(
たま
)
や
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
白状
(
はくじやう
)
させねば
置
(
お
)
かぬ』
386
高姫
(
たかひめ
)
『これはこれは
御
(
ご
)
高名
(
かうめい
)
は
予
(
かね
)
て
承
(
うけたま
)
はりて
居
(
を
)
りましたが、
387
一
(
ひと
)
つ
谷
(
たに
)
を
隔
(
へだ
)
てた
魔谷
(
まや
)
ケ
岳
(
だけ
)
と
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
、
388
御
(
ご
)
近所
(
きんじよ
)
で
居
(
を
)
り
乍
(
なが
)
ら、
389
誠
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
不沙汰
(
ぶさた
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました。
390
妾
(
わたし
)
も
其
(
その
)
玉
(
たま
)
を……よもやお
前
(
まへ
)
さまが
何々
(
なになに
)
してゐるのではあるまいかと
思
(
おも
)
うて
来
(
き
)
たのです。
391
人
(
ひと
)
を
疑
(
うたが
)
うて
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
みませぬが、
392
貴女
(
あなた
)
もあの
玉
(
たま
)
に
就
(
つい
)
ては
非常
(
ひじやう
)
な
執着心
(
しふちやくしん
)
がお
有
(
あ
)
りなさるのだから、
393
妾
(
わたし
)
が
疑
(
うたが
)
ふのも
強
(
あなが
)
ち
無理
(
むり
)
では
有
(
あ
)
りますまい』
394
とシツペ
返
(
かへ
)
しに
捲
(
まく
)
し
立
(
た
)
てる。
395
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へ、
396
蜈蚣姫
『
盗人
(
ぬすびと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとはお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だ。
397
何
(
なに
)
なと
勝手
(
かつて
)
にほざいたがよからう。
398
此穴
(
ここ
)
にはスマートボールや
其
(
その
)
他
(
た
)
の
勇士
(
ゆうし
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
抱
(
かか
)
へてあるから、
399
最早
(
もはや
)
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねずみ
)
も
同様
(
どうやう
)
、
400
運
(
うん
)
の
尽
(
つ
)
きぢやと
諦
(
あきら
)
めて、
401
神妙
(
しんめう
)
に
白状
(
はくじやう
)
したがよからう。
402
あのマア
迷惑相
(
めいわくさう
)
な
面付
(
つらつき
)
わいの、
403
オツホヽヽヽ』
404
と
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
り、
405
腮
(
あご
)
をしやくり、
406
舌
(
した
)
まで
出
(
だ
)
して
笑
(
わら
)
ひ
転
(
こ
)
ける
憎
(
にく
)
らしさ。
407
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
さまは
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
い
鬼
(
おに
)
ケ
城
(
じやう
)
山
(
ざん
)
、
408
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
奥
(
おく
)
さま
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまと
云
(
い
)
ふお
方
(
かた
)
でせうがなア。
409
妾
(
わたし
)
も
元
(
もと
)
は
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
弟子
(
でし
)
となり、
410
バラモン
教
(
けう
)
の
教理
(
けうり
)
を
信用
(
しんよう
)
して
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がある
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
411
今
(
いま
)
は
一寸
(
ちよつと
)
都合
(
つがふ
)
があつて、
412
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
化
(
ば
)
け
込
(
こ
)
んでゐるのだが、
413
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
はお
前
(
まへ
)
さまと
同様
(
どうやう
)
、
414
ヤツパリ
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
を
信仰
(
しんかう
)
し、
415
生命
(
いのち
)
までも
捧
(
ささ
)
げて、
416
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
活動
(
くわつどう
)
をしてゐるので
御座
(
ござ
)
います。
417
どうぞして
三五教
(
あななひけう
)
の
三
(
みつ
)
つの
宝
(
たから
)
を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
り、
418
それを
手柄
(
てがら
)
にメソポタミヤの
本山
(
ほんざん
)
へ
献上
(
けんじやう
)
し、
419
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
を
助
(
たす
)
けたいばつかりに、
420
斯
(
こ
)
うして
化
(
ば
)
けてゐるのですよ。
421
貴女
(
あなた
)
方
(
がた
)
は
今迄
(
いままで
)
妾
(
わたし
)
を
敵
(
てき
)
と
思
(
おも
)
うて
御座
(
ござ
)
るが、
422
決
(
けつ
)
して
敵
(
てき
)
ではありませぬ。
423
強力
(
きようりよく
)
なる
味方
(
みかた
)
です。
424
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
が
分
(
わか
)
らうものなら、
425
それこそ
隠
(
かく
)
す
所
(
どころ
)
か、
426
貴女
(
あなた
)
の
手
(
て
)
を
経
(
へ
)
て
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
様
(
さま
)
に
奉
(
たてまつ
)
つて
貰
(
もら
)
ふ
考
(
かんが
)
へで、
427
これ
丈
(
だけ
)
苦労
(
くらう
)
をしてゐるのです。
428
三五教
(
あななひけう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
が、
429
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
430
初稚姫
(
はつわかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
や
子供
(
こども
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
431
肝腎
(
かんじん
)
の
玉
(
たま
)
を
隠
(
かく
)
さして
了
(
しま
)
ひよつたのだから、
432
何
(
なん
)
でも
其
(
その
)
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
さうと
思
(
おも
)
つて、
433
此島
(
ここ
)
までやつて
来
(
き
)
たのが、
434
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
の
縁
(
えん
)
で、
435
思
(
おも
)
はぬ
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
りました』
436
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『アヽそう
聞
(
き
)
くとメソポタミヤでお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
つた
高姫
(
たかひめ
)
さまによく
似
(
に
)
てゐる。
437
それなら
何故
(
なぜ
)
妾
(
わたし
)
が
魔谷
(
まや
)
ケ
岳
(
だけ
)
に
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
、
438
お
前
(
まへ
)
さまは
三五教
(
あななひけう
)
ぢやと
云
(
い
)
つて
反対
(
はんたい
)
をしたのだ。
439
それが
一体
(
いつたい
)
合点
(
がつてん
)
がいかぬぢやないか』
440
高姫
(
たかひめ
)
『アハヽヽヽ、
441
誰
(
たれ
)
も
彼
(
か
)
れも
皆
(
みな
)
、
442
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
腹
(
はら
)
は
知
(
し
)
らない
奴
(
やつ
)
計
(
ばか
)
りだから、
443
三五教
(
あななひけう
)
の
熱心
(
ねつしん
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
とのみ
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
る
矢先
(
やさき
)
に、
444
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
さまに
会
(
あ
)
ひたうても、
445
会
(
あ
)
ふことが
出来
(
でき
)
ない。
446
そんな
事
(
こと
)
ども
分
(
わか
)
つた
位
(
くらゐ
)
なら、
447
今迄
(
いままで
)
の
苦心
(
くしん
)
が
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
になるのだから、
448
妾
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
もチツと
推量
(
すゐりやう
)
して
下
(
くだ
)
さい。
449
神
(
かみ
)
の
奥
(
おく
)
には
奥
(
おく
)
があり、
450
其
(
その
)
又
(
また
)
奥
(
おく
)
には
奥
(
おく
)
があるのだから、
451
そんな
企
(
たく
)
みをして
居
(
を
)
れば
直
(
すぐ
)
に
発覚
(
はつかく
)
しますから、
452
事
(
こと
)
を
成
(
な
)
さむとする
者
(
もの
)
は
仮令
(
たとへ
)
、
453
自分
(
じぶん
)
の
夫
(
をつと
)
であらうが、
454
女房
(
にようばう
)
であらうが、
455
何程
(
なにほど
)
信用
(
しんよう
)
した
弟子
(
でし
)
であらうが、
456
一口
(
ひとくち
)
でも
喋
(
しやべ
)
る
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
では、
457
成就
(
じやうじゆ
)
しませぬからな。
458
オホヽヽヽ』
459
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『
何
(
なん
)
とお
前
(
まへ
)
さまは
感心
(
かんしん
)
な
人
(
ひと
)
ぢや。
460
さう
事
(
こと
)
が
分
(
わ
)
かれば
敵
(
てき
)
でもなし、
461
姉妹
(
きやうだい
)
同様
(
どうやう
)
、
462
サアどうぞ
奥
(
おく
)
へ
通
(
とほ
)
つてゆつくりと
寛
(
くつ
)
ろいで
下
(
くだ
)
さい。
463
昔話
(
むかしばなし
)
をして
互
(
たがひ
)
に
楽
(
たのし
)
みませう』
464
と
今迄
(
いままで
)
と
打
(
う
)
つて
変
(
かは
)
つた
挨拶
(
あいさつ
)
振
(
ぶ
)
りに、
465
高姫
(
たかひめ
)
は
与
(
くみ
)
し
易
(
やす
)
しと
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
に
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
466
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
つ
)
いて、
467
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
468
貫州
(
くわんしう
)
、
469
友彦
(
ともひこ
)
は
入口
(
いりぐち
)
の
間
(
ま
)
に
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
で
造
(
つく
)
つた
火鉢
(
ひばち
)
を
与
(
あた
)
へられ、
470
手
(
て
)
をあぶり
乍
(
なが
)
ら、
471
様子
(
やうす
)
如何
(
いか
)
にと
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
472
高姫
(
たかひめ
)
は
今後
(
こんご
)
如何
(
いか
)
なる
策略
(
さくりやく
)
をめぐらすならむか。
473
(
大正一一・六・一三
旧五・一八
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 籠抜
(B)
(N)
蜈蚣の涙 >>>
霊界物語
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如意宝珠(第13~24巻)
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