霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第五章 玉調(たましら)べ〔七八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第2篇 千差万別 よみ(新仮名遣い):せんさばんべつ
章:第5章 玉調べ よみ(新仮名遣い):たましらべ 通し章番号:787
口述日:1922(大正11)年07月23日(旧閏05月29日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
麻邇の宝珠公開日の当日、八尋殿に役員信者は溢れるばかりに集まり来たり、型の如く祭りも無事に終了した。上段の間には杢助をはじめとして英子姫、五十子姫、梅子姫、初稚姫、玉能姫、お玉の方、最高座には玉照彦と玉照姫が控えていた。
亀彦、音彦、国依別の幹部連、秋彦、常彦、夏彦をはじめ、英子姫と相並んで黄竜姫、蜈蚣姫、テールス姫が末端に控え、友彦は幹部の上席に顔を並べていた。
高姫、黒姫、高山彦は群集を掻き分けて、今日の玉検分役として意気揚々と盛装を凝らしてやって来て、英子姫よりも一段上座に着いた。
総務の杢助が立って挨拶をなした。杢助は本日言依別教主が病気で欠席の旨を一同に告げ、また自分は神業のために働きたいと思うところがあり、総務の後任に淡路島の東助を推薦しておいたと述べ、拍手を浴びた。
杢助は初稚姫、玉能姫、五十子姫、梅子姫を伴って社殿の奥深く進み、黄金の鍵で宝座を開くと、各々一個の柳箱を差し上げて高座に現れ、段上に行儀よく据えた。
高姫は段上にすっくと立って一同を見回し、演説を始めた。そして宝珠を三五教の宣伝使たちに授けたのも日の出神と竜宮の乙姫の慈悲であり、それがわからぬようでは三五教の神政の仕組は到底わからないと嘯いた。
そしてまず、黄色の玉の検めに取り掛かった。お民とテールス姫を傍らに立たせ、柳箱の紐をほどいて取ると、中に入っていたのは団子石であった。
よくよく見れば石には、「高姫・黒姫の身魂はこのとおり、改心せねば元の黄金色のたまには戻らぬぞ」と文字が記されていた。高姫は顔色烈火のごとくになり、お民とテールス姫に食ってかかった。
玉治別が高姫に口を出していなす。群集はわいわいと騒ぎ出したが、国依別は、今日は高姫と黒姫の身魂調べであり、最前高姫が言ったとおり、自身に懸る日の出神と竜宮の乙姫が仕組んだことだから、と呼びかけた。
高姫は仕方なく、今度は久助と友彦を呼んで、白色の玉の検めを始めた。中はやはり団子石で、同様の文字が記されていた。またしても群集は騒ぎ出した。国依別は、これは玉を扱った人の身魂が写ったのだと述べ立てた。
黒姫は国依別をたしなめて、これは玉を授かった久助と友彦の身魂のせいだと反論した。友彦は怒って、黒姫の首筋を取って叱り付けた。高山彦は友彦を掴んで段上から突き落とそうとしたが、友彦が体をかわしたため、高山彦が落ちてしまった。
大勢は高山彦を介抱しながら、黒姫館にかついで運んで行った。杢助は、友彦にも退場を命じた。友彦はそれにしたがって会場を後にした。高姫は杢助に文句を言い、お民、テールス姫、久助にも退場を言い渡すが、杢助が何事も自分の責任だからとその場をおさめた。
高姫は仕方なく次の玉を検めたが、結果は同じだった。玉治別は立ち上がって、せっかく竜宮島の聖地から苦労して持ち帰った宝玉を、高姫・黒姫が駄目にしたと怒って食ってかかった。
高姫は軽くいなして、今度は黄竜姫に当たりだした。黄竜姫はきっとして、高姫・黒姫に改心を促すが、高姫はせせら笑っている。
蜈蚣姫と玉能姫の玉検めになると、高姫は二人を口汚く罵り、箱の蓋を開けた。そこには黒い消し炭玉が入っていた。高姫は蜈蚣姫と玉能姫を罵りながら怒っている。
最後に紫の玉の検めを行うことになった。高姫はもうだいぶ嫌気がさしていたが、杢助に促されて、梅子姫と初稚姫を呼び、蓋を開いた。すると四方に輝くダイアモンドのごとき紫の光が射し、高姫もあっと驚いて後ずさりした。一同の拍手する音は雨霰のごとく会場に響いた。
そこへ佐田彦と波留彦があわてて走ってきて、杢助に注進した。言依別教主が消えてしまい、後に書置きが残してあったという。杢助が開いてみると、そこには、麻邇の宝珠の青、赤、黄、白の四個をはじめ、三個の宝玉、都合七個を訳有ってある地点に隠した、とあった。
そして、決してこのたびのことは玉の関係者のあずかり知ることではない、とあった。また杢助を総務の職から解任し、後任に淡路島の東助を任じるとあった。
また言依別命自身は、いつ聖地に帰るか未定であり、決して後を追ってはならないと書いてあった。杢助は黙然としてはらはらと涙を流し、千万無量の感に打たれる如くであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-10-24 20:21:21 文字数:7756 OBC :rm2705
愛善世界社版:99頁 八幡書店版:第5輯 278頁 修補版: 校定版:104頁 普及版:44頁 初版: ページ備考:
001仰(あふ)げば高(たか)し久方(ひさかた)の
002高天原(たかあまはら)の若宮(わかみや)を
003地上(ちじやう)に写(うつ)し奉(たてまつ)り
004大宮柱(おほみやばしら)太知(ふとし)りて
005高天原(たかあまはら)に千木(ちぎ)高(たか)く
006仕(つか)へ奉(まつ)りし珍館(うづやかた)
007錦(にしき)の宮(みや)に連(つら)なりし
008稜威(みいづ)も広(ひろ)き八尋殿(やひろどの)
009英子(ひでこ)の姫(ひめ)を始(はじ)めとし
010梅子(うめこ)の姫(ひめ)や五十子(いそこ)姫(ひめ)
011初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
012音彦(おとひこ)亀彦(かめひこ)始(はじ)めとし
013杢助(もくすけ)総務(そうむ)其(その)外(ほか)の
014役員(やくゐん)信者(しんじや)は粛々(しゆくしゆく)と
015八尋(やひろ)の殿(との)に寄(よ)り来(きた)り
016早(はや)くも殿(との)の内外(うちそと)に
017溢(あふ)るるばかりなりにけり。
018 かたの如(ごと)く祭(まつ)りも無事(ぶじ)に終了(しうれう)した。019上段(じやうだん)の間(ま)には杢助(もくすけ)の総務(そうむ)を始(はじ)めとし、020英子姫(ひでこひめ)、021五十子(いそこ)姫(ひめ)、022梅子姫(うめこひめ)、023初稚姫(はつわかひめ)、024玉能姫(たまのひめ)、025お玉(たま)の方(かた)、026最高座(さいかうざ)には玉照彦(たまてるひこ)、027玉照姫(たまてるひめ)扣(ひか)へられ、028亀彦(かめひこ)、029音彦(おとひこ)、030国依別(くによりわけ)の幹部(かんぶ)連(れん)、031秋彦(あきひこ)、032夏彦(なつひこ)、033常彦(つねひこ)を始(はじ)め、034英子姫(ひでこひめ)と相並(あひなら)んで黄竜姫(わうりようひめ)、035蜈蚣姫(むかでひめ)、036テールス姫(ひめ)末端(まつたん)に扣(ひか)へ、037友彦(ともひこ)は幹部(かんぶ)の上席(じやうせき)に顔(かほ)を並(なら)べて居(ゐ)た。038群集(ぐんしふ)を分(わ)けて意気(いき)揚々(やうやう)と登(のぼ)り来(きた)る高姫(たかひめ)、039黒姫(くろひめ)、040高山彦(たかやまひこ)の三(さん)人(にん)は、041今日(けふ)玉調(たましら)べの神務(しんむ)奉仕(ほうし)の役(やく)として、042盛装(せいさう)を凝(こ)らし、043英子姫(ひでこひめ)よりも一段(いちだん)と上座(じやうざ)に着(つ)いた。
044杢助(もくすけ)『私(わたくし)は素(もと)より鈍魂(どんこん)劣器(れつき)至愚(しぐ)至痴(しち)なる身魂(みたま)の持主(もちぬし)で御座(ござ)いまして、045総務(そうむ)なぞをお勤(つと)め申(まを)す柄(がら)ではありませぬが、046神命(しんめい)黙(もだ)し難(がた)く心(こころ)ならずも拝命(はいめい)致(いた)し、047皆様(みなさま)のお助(たす)けに依(よ)つて御用(ごよう)の一端(いつたん)を勤(つと)めさして頂(いただ)いて居(を)りますは、048是(こ)れも全(まつた)く皆様(みなさま)の御(ご)同情(どうじやう)のお蔭(かげ)と厚(あつ)く感謝(かんしや)致(いた)します。049就(つい)ては私(わたくし)も少(すこ)しく思(おも)ふ所(ところ)あつて、050神界(しんかい)の為(た)めに、051もう一働(ひとはたら)き致(いた)したう御座(ござ)いまするので、052後任者(こうにんしや)を推薦(すいせん)致(いた)して置(お)きました。053教主(けうしゆ)様(さま)は今日(けふ)は急病(きふびやう)でお引籠(ひきこ)もりで御座(ござ)いますから、054御(ご)意見(いけん)を伺(うかが)ふ事(こと)は出来(でき)ませぬが、055私(わたくし)の後任者(こうにんしや)として淡路島(あはぢしま)の東助(とうすけ)様(さま)を、056御(ご)苦労(くらう)に預(あづか)りたいと思(おも)うて、057内々(ないない)伺(うかが)ひは出(だ)して御座(ござ)います。058就(つ)きましては、059今日(けふ)は実(じつ)にお目出度(めでた)い日柄(ひがら)で御座(ござ)いまして、060竜宮島(りうぐうじま)より、061お聞及(ききおよ)びの通(とほ)り、062五色(いついろ)の麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)納(をさ)まり、063言依別(ことよりわけの)命(みこと)様(さま)が兎(と)も角(かく)御(ご)主管(しゆくわん)なされて居(を)られましたが、064今日(こんにち)、065高姫(たかひめ)、066黒姫(くろひめ)のお取調(とりしらべ)を願(ねが)ひ、067信者(しんじや)一同(いちどう)に拝観(はいくわん)をさせよと、068教主(けうしゆ)のお言葉(ことば)で御座(ござ)いますから、069其(その)お心算(つもり)で、070ゆつくりと御(ご)拝観(はいくわん)を願(ねが)ひます。071再(ふたた)び拝観(はいくわん)する事(こと)は出来(でき)ぬので御座(ござ)いますから、072此(この)際(さい)充分(じゆうぶん)御(ご)神徳(しんとく)を戴(いただ)かれる様(やう)に、073一寸(ちよつと)一言(ひとこと)申上(まをしあ)げて置(お)きます』
074 一同(いちどう)は雨霰(あめあられ)のごとく拍手(はくしゆ)する。075杢助(もくすけ)は初稚姫(はつわかひめ)、076玉能姫(たまのひめ)、077五十子(いそこ)姫(ひめ)、078梅子姫(うめこひめ)を伴(ともな)ひ、079社殿(しやでん)の奥(おく)深(ふか)く進(すす)み、080黄金(わうごん)の鍵(かぎ)をもつて傍(かたはら)の宝座(ほうざ)を開(ひら)き、081各(おのおの)一個(いつこ)の柳筥(やなぎばこ)を、082頭上(づじやう)高(たか)く差(さ)し上(あ)げながら、083静々(しづしづ)と八尋殿(やひろどの)の高座(かうざ)に現(あら)はれ、084五個(ごこ)の柳筥(やなぎばこ)は、085段上(だんじやう)に行儀(ぎやうぎ)好(よ)く据(す)ゑられた。
086 高姫(たかひめ)は段上(だんじやう)にスツクと立(た)ち、087一同(いちどう)を見廻(みまは)し乍(なが)ら、
088高姫(たかひめ)『皆(みな)さま、089今日(こんにち)は誠(まこと)に結構(けつこう)なお日柄(ひがら)で御座(ござ)います。090今迄(いままで)は瑞(みづ)の御霊(みたま)の三種(みくさ)の神宝(かむだから)此処(ここ)に納(をさ)まり、091今日(けふ)又(また)厳(いづ)の御霊(みたま)の五色(いついろ)の神宝(かむだから)無事(ぶじ)に納(をさ)まり、092皆様(みなさま)が拝観(はいくわん)の光栄(くわうえい)に浴(よく)さるる空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の第一(だいいち)吉祥日(きちしやうび)で御座(ござ)います。093神(かみ)様(さま)は引掛(ひつか)け戻(もど)しのお経綸(しぐみ)をなさいますから、094肝腎(かんじん)の厳(いづ)の御霊(みたま)の経(たて)を後(あと)に出(だ)し、095瑞(みづ)の緯(よこ)を先(さき)に出(だ)したり、096変幻(へんげん)出没(しゆつぼつ)究極(きうきよく)す可(べか)らざる事(こと)を遊(あそ)ばすのは、097皆様(みなさま)御(ご)承知(しようち)の事(こと)で御座(ござ)いませう。098今日(こんにち)迄(まで)三(み)つの御玉(みたま)を私(わたし)共(ども)南洋(なんやう)あたりまで、099捜索(そうさく)に行(い)つたと申(まを)すのは、100決(けつ)して左様(さやう)な緯役(よこやく)の玉(たま)を求(もと)めに行(い)つたのではありませぬ。101玉(たま)には随分(ずゐぶん)モンスターの憑依(ひようい)するものでありますから、102此(この)高姫(たかひめ)等(ら)は三(み)つのお宝(たから)を探(さが)す様(やう)に見(み)せて、103其(その)方(はう)に総(すべ)ての精神(せいしん)を転(てん)じさせ、104其(その)時(とき)に日(ひ)の出神(でのかみ)、105竜宮(りうぐう)の乙姫(おとひめ)の礎(ぢ)になるお方様(かたさま)が、106一(ひと)つ島(じま)に人(ひと)のよう往(ゆ)かない如(や)うな秘密(ひみつ)郷(きやう)の諏訪(すは)の湖(みづうみ)に深(ふか)く秘(かく)し、107さうして仕組(しぐみ)を遊(あそ)ばして御座(ござ)る事(こと)は、108最初(さいしよ)から我々(われわれ)両人(りやうにん)の熟知(じゆくち)する所(ところ)、109否(いや)仕組(しぐ)んで居(ゐ)る所(ところ)で御座(ござ)います。110今日(こんにち)初稚姫(はつわかひめ)、111玉能姫(たまのひめ)、112黄竜姫(わうりようひめ)、113梅子姫(うめこひめ)、114蜈蚣姫(むかでひめ)其(その)他(た)五(ご)人(にん)の神司(かむづかさ)に、115此(この)御用(ごよう)をさせたのも日(ひ)の出神(でのかみ)の仁慈(じんじ)無限(むげん)のお取計(とりはか)らひと、116竜宮(りうぐう)の乙姫(おとひめ)様(さま)の御(お)慈悲(じひ)ですよ。117それが分(わか)らぬ様(やう)では、118三五教(あななひけう)の五六七(みろく)神政(しんせい)の仕組(しぐみ)は到底(たうてい)、119分(わか)るものではありませぬ。120幸(さいは)ひに賢明(けんめい)なる英子姫(ひでこひめ)、121稍(やや)改心(かいしん)の出来(でき)た言依別(ことよりわけの)命(みこと)の神務(しんむ)奉仕(ほうし)の至誠(しせい)が現(あら)はれて、122竜宮(りうぐう)の麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)が聖地(せいち)へ納(をさ)まる事(こと)が出来(でき)る様(やう)になり、123夫(それ)を受取(うけと)り且(か)つ調(しら)べるお役(やく)は特(とく)に此(この)高姫(たかひめ)、124黒姫(くろひめ)両人(りやうにん)が致(いた)すべきもので御座(ござ)います。125依(よ)つて只今(ただいま)より御玉(みたま)の改(あらた)めを致(いた)しますから、126皆(みな)さま、127謹(つつし)んで拝観(はいくわん)なさるが宜(よろ)しい。128三(みつ)つの御玉(みたま)はどうならうとも私(わたし)は知(し)りませぬ。129今度(こんど)の五(いつ)つの御玉(みたま)こそ肝腎要(かんじんかなめ)な大望(たいまう)な御(ご)神業(しんげふ)大事(だいじ)のお宝(たから)、130就(つい)ては玉治別(たまはるわけ)や其(その)他(た)の半研(はんみが)けの身魂(みたま)が取扱(とりあつか)つたのですから、131少(すこ)しは穢(けが)れて居(ゐ)ないかと心配(しんぱい)を致(いた)して居(を)るので御座(ござ)います。132身魂(みたま)相応(さうおう)に玉(たま)の光(ひかり)が現(あら)はれるのですから、133実(じつ)に恐(こは)いもので御座(ござ)いますよ。134サアサ是(こ)れから、135お民(たみ)が預(あづか)つてテールス姫(ひめ)に手渡(てわた)した、136黄色(きいろ)の玉(たま)を函(はこ)から出(だ)して調(しら)べる事(こと)と致(いた)しませう。137……黒姫(くろひめ)さま、138御(ご)苦労(くらう)ながら一寸(ちよつと)これへお越(こ)し下(くだ)さい。139さうしてお民(たみ)さま、140テールス姫(ひめ)さま、141貴女(あなた)は直接(ちよくせつ)の関係者(くわんけいしや)、142此処(ここ)にお扣(ひか)へなされ』
143 『ハイ』と答(こた)へて両人(りやうにん)は高姫(たかひめ)の傍(かたはら)に立寄(たちよ)る。144高姫(たかひめ)は口(くち)をへの字(じ)に結(むす)び、145柳筥(やなぎばこ)の桂馬結(けいまむす)びの紐(ひも)を解(ほど)き、146恭(うやうや)しく玉函(たまばこ)を捧(ささ)げ、147八雲琴(やくもごと)の調子(てうし)に合(あは)して体躯(からだ)を揺(ゆす)り、148手拍子(てべうし)を取(と)りながら、149機械(きかい)人形(にんぎやう)の如(や)うに柳筥(やなぎばこ)の蓋(ふた)を、150シヤツチンシヤツチンと取(と)つて見(み)た。151黄色(きいろ)の玉(たま)が出(で)るかと思(おも)ひきや、152中(なか)より団子石(だんごいし)がゴロリと出(で)た。153よくよく見(み)れば何(なに)か文字(もじ)が記(しる)してある。154高姫(たかひめ)は眉(まゆ)を顰(ひそ)め光線(くわうせん)にすかし見(み)て155「高姫(たかひめ)、156黒姫(くろひめ)の身魂(みたま)は此(この)通(とほ)り、157改心(かいしん)致(いた)さねば元(もと)の黄金色(わうごんいろ)の玉(たま)にはならないぞ」と記(しる)されてあつた。158高姫(たかひめ)は顔色(がんしよく)烈火(れつくわ)の如(ごと)く、159声(こゑ)を震(ふる)はせ、
160高姫(たかひめ)『コレお民(たみ)さま、161テールス姫(ひめ)さま、162お前(まへ)さま達(たち)は偉(えら)さうな面(つら)をして、163海洋(かいやう)万里(ばんり)の一(ひと)つ島(じま)まで何(なに)しに往(い)つて居(を)つたのだ。164アタ阿呆(あはう)らしい。165コンナ玉(たま)なら小雲川(こくもがは)には邪魔(じやま)になるほどあるぢやありませぬか』
166お民(たみ)『ハイ、167何(ど)んな玉(たま)で御座(ござ)います』
168高姫(たかひめ)『何(ど)んな玉(たま)もこんな玉(たま)もありますかい。169お前(まへ)の身魂(みたま)の感化(かんくわ)に依(よ)つて、170折角(せつかく)の玉(たま)もこんな事(こと)になつて仕舞(しま)つた。171……コレ、172ジヤンナの土人(どじん)の阿婆摺(あばずれ)女(をんな)テールス姫(ひめ)とやら、173何(なん)の態(ざま)だ、174これは……阿呆(あはう)らしい、175早(はや)く改心(かいしん)なされ』
176テールス姫(ひめ)『ハイハイ改心(かいしん)を致(いた)します。177どうしてマアこんな玉(たま)になつちやつたのだらう、178いやな事(こと)』
179黒姫(くろひめ)『それだから瑞(みづ)の御霊(みたま)は憑(うつ)り易(やす)いと言(い)ふのだ』
180玉治別(たまはるわけ)『瑞(みづ)の御霊(みたま)は憑(うつ)り易(やす)いと仰有(おつしや)つたが、181これは五(いづ)の御玉(みたま)ぢやありませぬか』
182黒姫(くろひめ)『何(いづ)れも憑(うつ)り易(やす)い身魂(みたま)だ』
183玉治別(たまはるわけ)『そんなら貴女(あなた)の身魂(みたま)が憑(うつ)つたのでせう。184どれどれ、185私(わたし)が調(しら)べて見(み)ませう』
186高姫(たかひめ)『お構(かま)ひなさんな。187お前(まへ)さまの如(や)うな瓢六玉(へうろくだま)が見(み)ようものなら、188ただの玉(たま)になつて終(しま)ひます』
189 群集(ぐんしふ)はワイワイと騒(さわ)ぎ出(だ)した。
190 国依別(くによりわけ)は段上(だんじやう)に立(た)つて、
191国依別(くによりわけ)『皆(みな)さま、192お騒(さわ)ぎなさるな。193今日(けふ)の玉調(たましら)べは高姫(たかひめ)さま、194黒姫(くろひめ)さまの身魂(みたま)調(しら)べも同様(どうやう)ですから、195決(けつ)してテールス姫(ひめ)やお民(たみ)さまの身魂(みたま)が黒(くろ)いのではありませぬ。196最前(さいぜん)も高姫(たかひめ)さまが仰有(おつしや)つた通(とほ)り、197何(なん)と云(い)うても御(ご)両人(りやうにん)が、198自分(じぶん)でお仕組(しぐみ)なさつたのですから心配(しんぱい)は要(い)りませぬ。199皆(みんな)見(み)る人(ひと)の心々(こころこころ)に写(うつ)りますから……如意(によい)宝珠(ほつしゆ)、200又(また)見(み)る人(ひと)の随意(まに)々々(まに)替(か)はるから麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)といふのです。201之(これ)が本物(ほんもの)に違(ちが)ひありませぬ。202どうぞお騒(さわ)ぎなさらない様(やう)に願(ねが)ひます。203一度(いちど)高姫(たかひめ)さまのメンタルテストをやる必要(ひつえう)がありますからなア』
204高姫(たかひめ)『コレ国(くに)さま、205お前(まへ)さま、206ゴテゴテ言(い)ふ資格(しかく)がありますか』
207国依別(くによりわけ)『ありますとも、208そんなら何故(なぜ)私(わたし)に生田(いくた)の森(もり)で、209玉(たま)の所在(ありか)を知(し)らせ知(し)らせと云(い)つたのですか』
210高姫(たかひめ)『お前(まへ)さまの言(い)ふ事(こと)は、211チツトより信用(しんよう)が出来(でき)ぬ。212ブラツクリストに登録(とうろく)されて居(ゐ)る注意(ちうい)人物(じんぶつ)だ。213お黙(だま)りなさい』
214国依別(くによりわけ)『高姫署(たかひめしよ)のブラツクリストに記(しる)されて居(ゐ)る私(わたし)でも、215チツト位(くらゐ)信用(しんよう)が出来(でき)るのですか。216私(わたし)は又(また)大(おほ)いに信用(しんよう)が出来(でき)ぬと仰有(おつしや)ると思(おも)つたに……それはさうとして次(つぎ)の白色(はくしよく)の玉(たま)を早(はや)く調(しら)べて見(み)せて下(くだ)さい』
217高姫(たかひめ)『八釜(やかま)しう云(い)ひなさるな。218お前(まへ)さまがツベコベ嘴(くちばし)を容(い)れると、219又(また)玉(たま)が変化(へんくわ)するかも知(し)れませぬぞ。220エヽ穢(けがら)はしい。221其方(そつち)に往(い)つて下(くだ)さい。222……サア今度(こんど)は久助(きうすけ)さま、223友彦(ともひこ)さま、224お前(まへ)さま達(たち)の責任(せきにん)だ。225早(はや)く此処(ここ)へお入来(いで)なさい』
226 両人(りやうにん)は「ハイ」と云(い)ひながら高姫(たかひめ)の左右(さいう)に寄(よ)り添(そ)うた。227高姫(たかひめ)は又(また)もや以前(いぜん)の如(ごと)く、228恭(うやうや)しく柳筥(やなぎばこ)を開(ひら)いて見(み)た。229中(なか)には前(まへ)同様(どうやう)の団子石(だんごいし)に同様(どうやう)な事(こと)が書(か)いてある。230高姫(たかひめ)はへの字(じ)に結(むす)んだ口(くち)をポカンと開(あ)けて暫(しば)し見詰(みつ)めて居(ゐ)た。231群集(ぐんしふ)は又(また)もやワイワイ騒(さわ)ぎ出(だ)した。232国依別(くによりわけ)は又(また)もや段上(だんじやう)に押(お)し上(あが)り、
233国依別(くによりわけ)『皆(みな)さま、234お騒(さわ)ぎなさいますな。235コリヤこれも屹度(きつと)以前(いぜん)の通(とほ)り団子石(だんごいし)ですよ。236丸(まる)で狐(きつね)につままれた如(や)うですが、237これも心(こころ)の随意(まに)々々(まに)変化(へんくわ)する玉(たま)ですから、238驚(おどろ)くに及(およ)びませぬ。239小人(せうじん)玉(たま)を抱(いだ)いて罪(つみ)ありと云(い)うて、240どんな立派(りつぱ)な玉(たま)でも小人物(せうじんぶつ)が扱(いら)うと、241其(その)罪(つみ)が直(すぐ)に憑(うつ)つて団子石(だんごいし)になるのですから、242団子石(だんごいし)だと言(い)うて力(ちから)を落(おと)してはなりませぬぞ。243これでも身魂(みたま)の磨(みが)けたお方(かた)が見(み)れば本真物(ほんまもの)になります』
244黒姫(くろひめ)『コレコレ国(くに)さま、245いらぬ事(こと)を仰有(おつしや)るお前(まへ)こそ小人(せうじん)だ。246お前(まへ)の様(やう)な小人(せうじん)が居(ゐ)るものだから、247此(この)通(とほ)り玉(たま)が変化(へんくわ)する。248私(わたし)が竜宮(りうぐう)で久助(きうすけ)に渡(わた)した時(とき)は、249こんなものぢや無(な)かつた。250久助(きうすけ)と友彦(ともひこ)の慢心(まんしん)の身魂(みたま)が憑(うつ)つてこんなに変化(へんくわ)したのですよ。251大勢(おほぜい)の前(まへ)に、252此様(こんな)身魂(みたま)ですと曝(さら)されて、253誠(まこと)に誠(まこと)にお気(き)の毒(どく)様(さま)ですけれどもお諦(あきら)めなされ』
254 友彦(ともひこ)は大(おほ)いに怒(いか)り目(め)をつり上(あ)げながら、255黒姫(くろひめ)の頸筋(くびすぢ)をグツと握(にぎ)り締(し)め、
256友彦(ともひこ)『コラ黒姫(くろひめ)、257失敬(しつけい)な事(こと)を言(い)ふか、258大勢(おほぜい)の前(まへ)で人(ひと)の身魂(みたま)の悪口(わるくち)を云(い)うと言(い)う事(こと)があるものか』
259 爪(つめ)の延(の)びた手(て)で頸筋(くびすぢ)をグツと喰(く)ひ入(い)る程(ほど)掴(つか)み押(おさ)へつける。260黒姫(くろひめ)は「キーキー」と言(い)ひ乍(なが)ら其(その)場(ば)に蹲踞(しやが)む。261側(そば)に居(ゐ)た高山彦(たかやまひこ)は友彦(ともひこ)の襟髪(えりがみ)をグツと取(と)り、262段上(だんじやう)から突(つ)き落(おと)さうとした途端(とたん)に、263友彦(ともひこ)は体(たい)をパツとかはした。264高山彦(たかやまひこ)は二(ふた)つ三(み)つ空中(くうちう)廻転(くわいてん)をして、265群集(ぐんしふ)の中(なか)に唸(うな)りを立(た)てて落(お)ちて来(き)た。266「サア大変(たいへん)」と大勢(おほぜい)は寄(よ)つて掛(かか)つて介抱(かいほう)をし乍(なが)ら、267痛(いた)さに唸(うめ)く高山彦(たかやまひこ)を担(かつ)いで、268黒姫館(くろひめやかた)にドヤドヤと送(おく)つて行(ゆ)く。
269国依別(くによりわけ)『黒姫(くろひめ)さま、270誠(まこと)にお気(き)の毒(どく)な事(こと)で御座(ござ)いました。271貴女(あなた)も嘸(さぞ)お腹(はら)が立(た)ちませう。272又(また)高山彦(たかやまひこ)も思(おも)はぬ御(ご)災難(さいなん)で誠(まこと)に御(ご)心配(しんぱい)でせう。273然(しか)し乍(なが)ら此処(ここ)は神(かみ)様(さま)の前(まへ)、274滅多(めつた)な事(こと)は御座(ござ)いませぬから御(ご)安心(あんしん)なさいませ』
275黒姫(くろひめ)『何(なに)から何(なに)まで、276何時(いつ)もお構(かま)い下(くだ)さいまして、277……ヘン……お有難(ありがた)う御座(ござ)いますワイなア』
278と肩(かた)と首(くび)をカタカタと揺(ゆす)つて居(ゐ)る、279其(その)容態(ようたい)の憎(にく)らしさ。
280杢助(もくすけ)『友彦(ともひこ)殿(どの)、281今日(けふ)は職権(しよくけん)を以(もつ)て退場(たいぢやう)を命(めい)じます』
282友彦(ともひこ)『仕方(しかた)がありませぬ。283御(ご)命令(めいれい)に従(したが)ひ自宅(じたく)へ控(ひか)へ命(めい)を待(ま)ちまする。284立腹(りつぷく)の余(あま)り、285ツイツイ粗怱(そそう)を致(いた)しました』
286と帰(かへ)り行(ゆ)く。287後(あと)見送(みおく)りて黒姫(くろひめ)は肩(かた)の中(なか)に首(くび)を耳(みみ)の辺(あた)りまで石亀(いしがめ)の如(やう)に突込(つつこ)んで仕舞(しま)ひ、288頤(あご)を出(だ)したり引込(ひつこ)めたり、289舌(した)を唇(くちびる)でチヨツと噛(か)んで、290何(なん)とは無(な)しに嘲弄(てうろう)気分(きぶん)を表(あら)はして居(ゐ)た。
291高姫(たかひめ)『杢助(もくすけ)さま、292どうも怪(け)しからぬぢやありませぬか。293折角(せつかく)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)の玉(たま)をこんな事(こと)にして仕舞(しま)うとは、294一体(いつたい)全体(ぜんたい)訳(わけ)が分(わか)らぬぢやありませぬかい。295此(この)責任(せきにん)は誰(たれ)にありますか。296……久助(きうすけ)さま、297お民(たみ)さま、298テールス姫(ひめ)さま、299こんな不調法(ぶてうはふ)をして置(お)いて、300よう安閑(あんかん)として居(を)れますな。301此(この)高姫(たかひめ)が三(さん)人(にん)に対(たい)し退場(たいぢやう)を命(めい)じます。302よもや杢助(もくすけ)さま、303是(これ)に向(むか)つて違背(ゐはい)は有(あ)りますまいな』
304杢助(もくすけ)『何事(なにごと)も責任(せきにん)は私(わたくし)に有(あ)りますから、305三(さん)人(にん)のお方(かた)はどうぞ此処(ここ)に動(うご)かずに居(ゐ)て下(くだ)さい』
306 三(さん)人(にん)一度(いちど)に「ハイ」と俯向(うつむ)く。
307高姫(たかひめ)『エヽそんなら時(とき)の天下(てんか)に従(したが)へだ、308もう何(なに)も言(い)ひますまい。309是(これ)から青玉(あをだま)だ。310……サア玉治別(たまはるわけ)、311黄竜姫(わうりようひめ)様(さま)、312此処(ここ)にお出(い)でなさい。313さうして久助(きうすけ)さま、314元(もと)の座(ざ)にお帰(かへ)りめされツ』
315と稍(やや)甲声(かんごゑ)を張(は)り上(あ)げながら、316又(また)もや例(れい)の如(ごと)く調査(てうさ)し、317恭(うやうや)しく玉筥(たまばこ)の蓋(ふた)を取(と)つて見(み)た。318高姫(たかひめ)の顔(かほ)は又(また)もや口(くち)が尖(とが)り出(だ)した。319舌(した)を中凹(なかくぼ)に巻(ま)いて二三分(にさんぶ)ばかり唇(くちびる)の外(そと)に出(だ)し、320首(くび)を右(みぎ)の方(はう)に傾(かた)げて目(め)を白黒(しろくろ)させ、321両手(りやうて)を開(ひら)いて乳(ちち)の辺(あた)りで行儀(ぎやうぎ)好(よ)く、322扇(あふぎ)を拡(ひろ)げた様(やう)にパツとさせ、323腰(こし)を二(ふた)つ三(み)つ振(ふ)つて居(ゐ)る。324玉治別(たまはるわけ)は是(こ)れを眺(なが)めて、
325玉治別(たまはるわけ)『これ高姫(たかひめ)、326黒姫(くろひめ)、327矢張(やつぱり)お前(まへ)さまお二人(ふたり)は改心(かいしん)が足(た)らぬ。328海洋(かいやう)万里(ばんり)の竜宮(りうぐう)の一(ひと)つ島(じま)の、329秘密(ひみつ)郷(きやう)の諏訪(すは)の湖水(こすゐ)から聖地(せいち)高天原(たかあまはら)迄(まで)、330万里(ばんり)の天空(てんくう)を八咫烏(やあたがらす)に乗(の)せられ捧持(ほうぢ)して帰(かへ)つた結構(けつこう)な玉(たま)を、331黒鷹(くろたか)の身魂(みたま)が憑(うつ)つて斯(こ)んなに変化(へんくわ)さしよつたのだ。332玉治別(たまはるわけ)承知(しようち)致(いた)しませぬぞツ』
333と今度(こんど)は反対(はんたい)に高姫(たかひめ)に喰(く)つて掛(かか)る。
334高姫(たかひめ)『へー甘(うま)い事(こと)を仰有(おつしや)いますワイ。335肝腎要(かんじんかなめ)の水晶玉(すいしやうだま)の高姫(たかひめ)が覗(のぞ)いて、336玉(たま)が変化(へんくわ)する道理(だうり)が何処(どこ)に有(あ)りますか。337お前(まへ)さまがあんまり慢心(まんしん)して御用(ごよう)した御用(ごよう)したと、338法螺(ほら)を吹(ふ)くものだから斯(こ)んな事(こと)になつたのだ。339……コレ小糸(こいと)どん、340此(この)醜態(ざま)は何(なん)だいな。341これで立派(りつぱ)に御用(ごよう)が勤(つと)まつたのですかい。342本当(ほんたう)に呆(あき)れてものが言(い)へませぬワイ。343これ小糸(こいと)どん、344どうして下(くだ)さる。345結構(けつこう)な玉(たま)に悪身魂(あくみたま)を憑(うつ)して、346お前(まへ)さまは神界(しんかい)のお邪魔(じやま)を致(いた)す曲者(くせもの)だよ。347童女(どうぢよ)の癖(くせ)に大(だい)の男(をとこ)をアフンとさせる様(やう)な悪党者(あくたうもの)だから、348玉(たま)の御用(ごよう)が出来(でき)さうな道理(だうり)がない。349妾(わし)は初(はじ)めから、350お前(まへ)が玉(たま)の御用(ごよう)をしたと聞(き)いた時(とき)、351フフーと惟神(かむながら)的(てき)に鼻(はな)から息(いき)が出(で)ました。352日(ひ)の出神(でのかみ)が腹(はら)の中(なか)から笑(わら)うて御座(ござ)つたのだ』
353 黄竜姫(わうりようひめ)は屹(きつ)となり、354『高姫(たかひめ)さま』と声(こゑ)に力(ちから)を入(い)れ、
355黄竜姫(わうりようひめ)『ソレは余(あま)りの御(お)言葉(ことば)ではありませぬか。356貴女(あなた)の御(お)身魂(みたま)さへ本当(ほんたう)にお研(みが)けになれば、357本当(ほんたう)の玉(たま)がお手(て)に入(い)るのですよ。358屹度(きつと)、359神(かみ)様(さま)がお隠(かく)しになつたのだが、360御(ご)自分(じぶん)の心(こころ)から御(お)立替(たてかへ)遊(あそ)ばせ。361さうすれば、362本当(ほんたう)の麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)がお手(て)にお入(はい)り遊(あそ)ばすのでせう』
363高姫(たかひめ)『何(なん)と云(い)つても立派(りつぱ)な御(ご)弁舌(べんぜつ)、364高姫(たかひめ)も二(に)の句(く)が次(つ)げませぬ。365オホヽヽヽ』
366と肩(かた)を揺(ゆす)り又(また)も腮(あご)をしやくる。
367玉治別(たまはるわけ)『モシモシ黄竜姫(わうりようひめ)さま、368斯様(かやう)な没分暁漢(わからずや)のお婆(ば)アさま連(れん)に相手(あひて)になつて居(を)つても詰(つま)りませぬから、369もう止(や)めて置(お)きませう』
370 黄竜姫(わうりようひめ)はニタリと笑(わら)ひながら、
371黄竜姫(わうりようひめ)『ハイ、372さう致(いた)しませう』
373と元(もと)の座(ざ)に帰(かへ)る。
374高姫(たかひめ)『アノマアお仲(なか)の好(よ)い事(こと)ワイの。375ホヽヽヽヽ、376若(わか)い男(をとこ)と女(をんな)には監視(かんし)を付(つ)けて置(お)かにや険難(けんのん)だワイ』
377 杢助(もくすけ)は苦虫(にがむし)を噛(か)み潰(つぶ)した如(や)うな顔(かほ)をして、378厳然(げんぜん)として無言(むごん)の儘(まま)扣(ひか)へて居(ゐ)る。
379高姫(たかひめ)『コレ杢助(もくすけ)さま、380お前(まへ)も偉(えら)さうに総務面(そうむづら)をして御座(ござ)つたが、381今日(けふ)は目算(もくさん)ガラリと外(はづ)れただらう。382アノマア恐(こは)い顔(かほ)ワイなア』
383杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、384何(なん)だか知(し)らぬが面白(おもしろ)い事(こと)で御座(ござ)るワイ。385アハヽヽヽ』
386高姫(たかひめ)『コレ黒姫(くろひめ)さま、387確(しつか)りなさらぬかいな。388一向(いつかう)元気(げんき)が無(な)いぢやないか。389お前(まへ)の竜宮(りうぐう)の乙姫(おとひめ)が玉(たま)の持主(もちぬし)ぢやないか。390此奴(こいつ)等(ら)に三(みつ)つまで此様(こん)な事(こと)にしられて、391それを平気(へいき)でようまア、392居(を)られますな』
393黒姫(くろひめ)『ハイ何分(なにぶん)心配(しんぱい)が御座(ござ)いますので』
394高姫(たかひめ)『ウン、395さうだとも さうだとも、396高山彦(たかやまひこ)さまがエライお怪我(けが)をなさつたから、397御(ご)心配(しんぱい)になるのも御(ご)無理(むり)と申(まを)しませぬが、398もう暫(しば)らくだ、399辛抱(しんばう)して下(くだ)さい。400さうしたら無事(ぶじ)解放(かいはう)して上(あ)げます。401……コレコレお節(せつ)、402お前(まへ)の持(も)つて帰(かへ)つた赤玉(あかだま)を是(これ)から調(しら)べるのだから、403蜈蚣姫(むかでひめ)さまも此処(ここ)へ御(お)出(い)でなさい。404お前(まへ)さまも随分(ずゐぶん)魔谷(まや)ケ岳(だけ)で私(わたし)に対(たい)して弓(ゆみ)を引(ひ)いたり、405国城山(くにしろやま)で悪口(わるくち)を言(い)ひました。406先(さき)へ申(まを)して置(お)きますよ。407若(も)し此(この)赤玉(あかだま)が団子石(だんごいし)になつて居(を)つたら、408どうなさいますか』
409蜈蚣姫(むかでひめ)『何事(なにごと)も惟神(かむながら)に委(まか)した私(わたし)、410どうすると云(い)ふ訳(わけ)に行(ゆ)きませぬ。411神(かみ)様(さま)の御(ご)処置(しよち)を願(ねが)う迄(まで)です。412乍併(しかしながら)高姫(たかひめ)さまの指図(さしづ)は断(だん)じて受(う)けませぬ。413左様(さやう)御(お)心得(こころえ)を願(ねが)ひます』
414と一(ひと)つ釘(くぎ)を刺(さ)す。415高姫(たかひめ)は又(また)も口(くち)をへの字(じ)に結(むす)び桂馬結(けいまむす)びの紐(ひも)を解(と)き、
416高姫(たかひめ)『サアお節(せつ)、417地獄(ぢごく)の釜(かま)の一足飛(いつそくとび)だ。418お前(まへ)が長(なが)らくの苦労(くらう)も花(はな)が咲(さ)くか、419水(みづ)の泡(あわ)になつて了(しま)うか、420禍福(くわふく)吉凶(きつきよう)幸禍(かうくわ)の瀬戸(せと)の海(うみ)ぢやぞい。421瀬戸(せと)の海(うみ)で思(おも)ひ出(だ)したが、422ようも馬鹿(ばか)にして下(くだ)さつた。423助(たす)けてやつたなぞと決(けつ)して思(おも)つては居(ゐ)ますまいな。424エー何(なに)をメソメソと吠(ほ)えて居(ゐ)るのだ。425善(い)い後(あと)は悪(わる)い、426悪(わる)い後(あと)は善(い)いと云(い)う事(こと)があるから、427何月(いつ)も月夜(つきよ)計(ばか)りは有(あ)りませぬぞ。428チツとばかし都合(つがふ)が悪(わる)いと言(い)つて顔(かほ)を顰(しか)める様(やう)では、429どうして立派(りつぱ)に玉能姫(たまのひめ)と言(い)はれますか』
430と口汚(くちぎたな)く罵(ののし)り乍(なが)ら、431柳筥(やなぎばこ)の蓋(ふた)をパツと開(あ)けた。
432高姫(たかひめ)『黒姫(くろひめ)さま、433一寸(ちよつと)御覧(ごらん)、434何(なん)だか此(この)玉(たま)は黒(くろ)いぢやありませぬか』
435 黒姫(くろひめ)は一寸(ちよつと)覗(のぞ)き込(こ)む。
436黒姫(くろひめ)『ホンニホンニ、437蜈蚣姫(むかでひめ)さまの如(や)うに黒(くろ)い玉(たま)だなア。438コリヤ大方(おほかた)蜈蚣(むかで)の身魂(みたま)が憑(うつ)つて、439赤(あか)い筈(はず)の玉(たま)が黒(くろ)くなつたのだらう』
440玉能姫(たまのひめ)『黒姫(くろひめ)さまも随分(ずゐぶん)お白(しろ)くありませぬから、441どちらのがお憑(うつ)り遊(あそ)ばしたか分(わか)りますまい。442オホヽヽヽ』
443高姫(たかひめ)『又(また)しても又(また)しても碌(ろく)でもない、444コリヤ消炭玉(けしずみだま)だ。445道理(だうり)で、446ちと軽(かる)いと思(おも)つて居(を)つた。447アカ阿呆(あはう)らしい。448モウ玉調(たましら)べは御免(ごめん)蒙(かうむ)りませうかい』
449とプリンプリン怒(おこ)つて居(ゐ)る。
450杢助(もくすけ)『御(ご)苦労(くらう)ですがモウ一(ひと)つ紫(むらさき)の玉(たま)をお調(しら)べを願(ねが)ひます』
451高姫(たかひめ)『エー杢助(もくすけ)さま、452又(また)かいなア』
453と煩(うる)さ相(さう)に言(い)ひ乍(なが)ら、454万一(まんいち)の望(のぞ)みを最後(さいご)の紫(むらさき)の玉(たま)に嘱(しよく)して居(ゐ)た。455国依別(くによりわけ)は一同(いちどう)に向(むか)ひ、
456国依別(くによりわけ)『モシモシ皆(みな)さま、457モウ一(ひと)つになりました。458何(なに)を言(い)つても手品(てじな)上手(じやうづ)の高姫(たかひめ)さまで御座(ござ)いますから、459水(みづ)を火(ひ)にしたり火(ひ)を水(みづ)にしたり、460石(いし)を玉(たま)にして呑(の)んだり吐(は)いたり、461終(しま)ひには天(てん)を地(ち)にしたりなさいます。462天一(てんいち)の手品(てじな)よりはお上手(じやうづ)ですから、463其(その)お心算(つもり)で確(しつか)りとお目(め)にとめられます様(やう)に願(ねが)ひまアす。464東西(とうざい)々々(とうざい)』
465 高姫(たかひめ)はクワツと怒(いか)り、
466高姫(たかひめ)『神聖(しんせい)なる八尋殿(やひろどの)に於(おい)て何(なん)と言(い)ふ事(こと)を言(い)ふのか。467此処(ここ)は寄席(よせ)では有(あ)りませぬぞい。468尊(たふと)き尊(たふと)き神(かみ)様(さま)のお鎮(しづ)まり遊(あそ)ばす錦(にしき)の宮(みや)の八尋殿(やひろどの)では有(あ)りませぬか』
469国依別(くによりわけ)『八尋殿(やひろどの)だからといつて、470手品(てじな)が悪(わる)い道理(だうり)が有(あ)りますか。471現(げん)にお前(まへ)さま手品(てじな)をして居(ゐ)る途中(とちう)です。472そんな事(こと)を言(い)うと自縄(じじやう)自縛(じばく)に落(お)ちますぞ。473二十(にじつ)世紀(せいき)頃(ごろ)の三五教(あななひけう)の五六七(みろく)殿(でん)でさへも劇場(げきぢやう)を拵(こしら)へてやつて居(ゐ)るぢやありませぬか。474訳(わけ)の分(わか)らぬ事(こと)を言(い)ふものぢや有(あ)りませぬ』
475高姫(たかひめ)『それだから瑞(みづ)の御霊(みたま)の遣(や)り方(かた)は、476乱(みだ)れた遣(や)り方(かた)だと神(かみ)様(さま)が仰有(おつしや)るのだよ。477アアモウ此(この)玉(たま)は調(しら)べるのが嫌(いや)になつた。478又(また)初稚姫(はつわかひめ)や梅子姫(うめこひめ)さまに恥(はぢ)をかかすのが気(き)の毒(どく)だから、479こりやもう開(あ)けない事(こと)にして置(お)かう』
480杢助(もくすけ)『此(この)玉(たま)は是非(ぜひ)調(しら)べて頂(いただ)きたい。481神(かみ)様(さま)は我(わが)子(こ)、482他人(ひと)の子(こ)の隔(へだ)ては無(な)いと仰有(おつしや)るのだから、483神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)の御(お)娘御(むすめご)の梅子姫(うめこひめ)様(さま)と、484杢助(もくすけ)の娘(むすめ)の初稚姫(はつわかひめ)、485依估(えこ)贔屓(ひいき)したと言(い)はれてはなりませぬから、486どうぞ此(この)場(ば)でお調(しら)べを願(ねが)ひませう』
487高姫(たかひめ)『エーエー仕方(しかた)がないなア。488本当(ほんたう)にイヤになつちまつた。489そんなら、490マアマも一苦労(ひとくらう)致(いた)しませう。491……梅子姫(うめこひめ)さま、492お初(はつ)さま、493サア早(はや)く此処(ここ)へ来(く)るのだよ』
494と稍(やや)自棄(やけ)気味(ぎみ)になり言葉(ことば)せはしく呼(よ)び立(た)てる。495言下(げんか)に梅子姫(うめこひめ)、496初稚姫(はつわかひめ)は莞爾(くわんじ)として高姫(たかひめ)の側(そば)に寄(よ)り添(そ)うた。497高姫(たかひめ)は又(また)もや柳筥(やなぎばこ)の蓋(ふた)をチヤツと開(ひら)いた。498忽(たちま)ち四方(あたり)に輝(かがや)くダイヤモンドの如(ごと)き紫(むらさき)の光(ひか)り、499流石(さすが)の高姫(たかひめ)もアツと驚(おどろ)いて二足(ふたあし)三足(みあし)後(あと)に寄(よ)つた。500黒姫(くろひめ)は飛(と)び上(あが)つて喜(よろこ)び、501思(おも)はず手(て)をうつた。502一同(いちどう)の拍手(はくしゆ)する声(こゑ)、503雨霰(あめあられ)の如(ごと)く場(ぢやう)の外(そと)遠(とほ)く響(ひび)いた。
504高姫(たかひめ)『お初(はつ)、505イヤ初稚姫(はつわかひめ)さま、506梅子姫(うめこひめ)さま、507お手柄(てがら)お手柄(てがら)。508矢張(やつぱ)りお前(まへ)等(がた)は身魂(みたま)が綺麗(きれい)だと見(み)えますワイ。509……杢助(もくすけ)さま、510お前(まへ)さま中々(なかなか)好(い)い子(こ)を持(も)つたものぢや。511ヤレヤレ是(これ)で一(ひと)つ安心(あんしん)、512後(あと)の四(よ)つは四足魂(よつあしみたま)に汚(けが)されて了(しま)うた。513瑞(みづ)の御魂(みたま)のやうに憑(うつ)る麻邇(まに)の珠(たま)だから、514田吾作(たごさく)、515久助(きうすけ)、516お民(たみ)、517友彦(ともひこ)、518黄竜姫(わうりようひめ)、519蜈蚣姫(むかでひめ)、520テールス姫(ひめ)、521お節(せつ)も是(これ)から、522百(ひやく)日(にち)百夜(ひやくや)小雲川(こくもがは)で水行(すゐぎやう)をなさい。523さうすれば元(もと)の玉(たま)に還元(くわんげん)するだらう。524嫌(いや)といつても此(この)高姫(たかひめ)が行(ぎやう)をさせて元(もと)の光(ひか)りを出(だ)さねば措(を)くものかい』
525 七(しち)人(にん)はアフンとして頭(あたま)を掻(か)いて居(ゐ)る。526其処(そこ)へ走(はし)つて来(き)たのは佐田彦(さだひこ)、527波留彦(はるひこ)両人(りやうにん)であつた。
528佐田彦(さだひこ)『杢助(もくすけ)さまに申上(まをしあ)げます。529今朝(けさ)より言依別(ことよりわけの)命(みこと)様(さま)は御(ご)病気(びやうき)と仰有(おつしや)つて、530御(お)引籠(ひきこも)りになつておいでなさいましたが、531余(あま)りお静(しづ)かですから、532ソツと障子(しやうじ)を開(あ)けて中(なか)へ這入(はい)つて見(み)れば、533萩(はぎ)の机(つくゑ)の上(うへ)に斯様(かやう)な書(か)き置(お)きがして御座(ござ)いました』
534と手(て)に渡(わた)す。535杢助(もくすけ)開(ひら)いてこれを見(み)れば、
536『此(この)度(たび)青(あを)、537赤(あか)、538黄(き)、539白(しろ)の四個(よんこ)の宝玉(ほうぎよく)を始(はじ)め三個(さんこ)の玉(たま)、540三(みつ)つ四(よ)つ併(あは)せて都合(つがふ)七個(しちこ)、541言依別(ことよりわけの)命(みこと)都合(つがふ)あつて、542或(ある)地点(ちてん)に隠(かく)し置(お)いたり、543必(かなら)ず必(かなら)ず玉能姫(たまのひめ)、544玉治別(たまはるわけ)、545黄竜姫(わうりようひめ)其(その)他(た)此(この)玉(たま)に関係者(くわんけいしや)の与(あづか)り知(し)る所(ところ)に非(あら)ず。546然(しか)し乍(なが)ら杢助(もくすけ)は願(ねが)ひの如(ごと)く総務(そうむ)の職(しよく)を免(めん)じて、547淡路(あはぢ)の東助(とうすけ)を以(もつ)て総務(そうむ)となす。548言依別(ことよりわけ)は何時(いつ)聖地(せいち)に帰(かへ)るか、549其(その)時期(じき)は未定(みてい)なり。550必(かなら)ず我(わが)後(あと)を追(お)ひ来(きた)る勿(なか)れ』
551と書(か)いてあつた。552杢助(もくすけ)は黙然(もくねん)として涙(なみだ)をハラハラと流(なが)し、553千万(せんまん)無量(むりやう)の感(かん)に打(う)たるるものの如(ごと)くであつた。
554(大正一一・七・二三 旧閏五・二九 谷村真友録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→