霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第九章 女神(めがみの)託宣(たくせん)〔七九一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第3篇 神仙霊境 よみ(新仮名遣い):しんせんれいきょう
章:第9章 女神託宣 よみ(新仮名遣い):めがみのたくせん 通し章番号:791
口述日:1922(大正11)年07月25日(旧06月02日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国依別は、もし数万の土人の襲来であれば衆寡敵せず、三五教は権謀術数は禁じられているが、ここは言依別命が熟睡しているのを幸い、茶目式で土人たちを驚かせて荒肝を取ってやろうと一人ごちた。
見れば、人々は白髪の老人を先頭に洞に近づいて来る。国依別は突然、虎狼が吠え猛るような唸り声を発した。声は洞穴に反響して、いっそう大きくなった。
外の男たちが二三人、小声で相談するのが聞こえた。人々は、ハーリス山の竜神征服のために出かけていたが、国依別の吠え声を聞いて、その間に虎狼か、あるいは竜神の片割れが洞穴に入り込んだと思い込んでいるようであった。そして、数歌を歌って征服しようか、と相談している。
国依別はこれを聞くと、先にこちらから数歌を怒鳴って聞かせた。人々は驚いて、魔神に自分たちの位置を悟られないようにといっせいに松明の火を消してしまった。あたりは真っ暗になった。
大勢の中から一人の男が大幣を打ち振りながらやってきて、洞穴の中の国依別に、正体を現すようにと問いかけた。国依別はその声に聞き覚えがあるように思ったが、ここぞとばかり南洋語でまくしたてた。
琉球の人々の中から現れたのは、若彦であった。国依別はハーリス山の竜神の振りをして若彦に語りかけて託宣を告げた。若彦は、一緒にいた常楠に、人々に竜神の託宣を告げるように言ったが、常楠は、声色が国依別の仕業ではないかと疑っていた。
国依別はなおも洞穴の中から話していたが、地声が現れてしまった。国依別はまた作り声に戻したが、問答するうちについに正体を現してしまった。
言依別命は目を覚まし、常楠と若彦が来ているだろうと声をかけた。一同は座して改めて会した。若彦は久しぶりの教主との対面となり、常楠は初対面となった。
常楠の語るに、先日から若彦の供としてこの島に渡り、ハーリス山の竜神と言霊戦を開始しているとのことであった。そのおかげで暴風が収まり、島人たちが二人を尊敬するようになった、また竜神は九分九厘恭順しており、あと一息執着心を絶てば宝玉を明け渡すところまで来ている、と報告した。
言依別命は、国依別の茶目式をたしなめた。夜が明けると、言依別命は四五十人の島人たちを引き連れて、ハーリス山に登って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-10-29 18:28:33 OBC :rm2709
愛善世界社版:153頁 八幡書店版:第5輯 298頁 修補版: 校定版:159頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 国依別(くによりわけ)空洞(くうどう)入口(いりぐち)()ち、002刻々(こくこく)(ちか)より(きた)人影(ひとかげ)003篝火(かがりび)(ひかり)(なが)めて独語(ひとりごと)
004国依別(くによりわけ)『あの仰々(ぎやうぎやう)しい松明(たいまつ)(ひか)り、005数多(あまた)(ひと)足音(あしおと)006唯事(ただごと)ではあるまい。007万一(まんいち)猛悪(まうあく)なる土人(どじん)襲来(しふらい)せし(もの)とすれば、008到底(たうてい)我々(われわれ)一人(ひとり)二人(ふたり)009如何(いか)言霊(ことたま)神力(しんりき)応用(おうよう)すればとて、010容易(ようい)降服(かうふく)(いた)すまい。011権謀(けんぼう)術数(じゆつすう)(かみ)(ゆる)(たま)はざる(ところ)なれ(ども)012(ここ)(ひと)言依別(ことよりわけ)(さま)()睡眠(やすみ)(さいは)茶目(ちやめ)(しき)発揮(はつき)して、013裏手(うらて)(もち)ひ、014()()数万(すうまん)連中(れんちう)をアツと(おどろ)かせ、015荒肝(あらぎも)()りて()かねばなるまい。016オヽさうぢや さうぢや』
017(うなづ)(なが)入口(いりぐち)(くら)がりに、018ボンヤリと()いた(やう)()つて()る。019最早(もはや)間近(まぢか)くなつて()た。020(くら)がりにも(たしか)男女(なんによ)区別(くべつ)(くらゐ)はつく(やう)になつた。021先頭(せんとう)()つた(ひと)姿(すがた)()れば、022(たしか)白髪(はくはつ)老人(らうじん)らしい。023国依別(くによりわけ)突然(とつぜん)洞穴内(どうけつない)より(とら)(おほかみ)()えたける(ごと)(うな)(ごゑ)()て、024(ちから)(かぎ)り、
025国依別『ウーツ』
026(うな)つてみた。027(その)(こゑ)洞穴内(どうけつない)反響(はんきやう)して一層(いつそう)巨声(きよせい)になつた。028(そと)(をとこ)二三(にさん)(にん)小声(こごゑ)で、
029(をとこ)『ヤアこりや大変(たいへん)だぞ。030我々(われわれ)がハーリス(ざん)竜神(りうじん)征服(せいふく)(ため)()つて()つた不在中(るすちう)に、031(なん)だか(あや)しい(とら)(おほかみ)(あるひ)竜神(りうじん)片割(かたわ)れか、032先廻(さきまは)りして我々(われわれ)天然(てんねん)ホテルを占領(せんりやう)しやがつたと()える。033コリヤうつかり這入(はい)らうものなら大変(たいへん)だぞ。034オイどうだ。035数歌(かずうた)(とな)へて征服(せいふく)して()ようぢやないか』
036 国依別(くによりわけ)はさとくも(その)(ささやき)一端(いつたん)(みみ)(はさ)み、
037国依別(くによりわけ)『ヤア面白(おもしろ)い、038(とら)(おほかみ)竜神(りうじん)片割(かたわ)れだらうと()つて()るな。039ヨシ此方(こつち)にも覚悟(かくご)がある』
040独語(ひとりごち)(なが)ら、041満身(まんしん)(いき)をこめて、042反対(はんたい)にこちらから「(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)」と(ふく)んだ(やう)(こゑ)でワザと呶鳴(どな)つて()せた。043(この)(こゑ)(とも)今迄(いままで)()()(またた)いてゐた松明(たいまつ)()()はした(やう)にパツタリと()えて、044洞穴(どうけつ)内外(ないぐわい)(しん)(やみ)となつて(しま)つた。045()()(おどろ)いて、046魔神(まがみ)自分(じぶん)()所在(ありか)(さぐ)られない(ため)()()したのであつた。047(そと)からは流暢(りうちやう)(こゑ)(あま)数歌(かずうた)(きこ)えて()た。048一同(いちどう)はそれに(あは)して、049森林(しんりん)木谺(こだま)(ひび)(こゑ)050(てん)にも(とど)(ばか)(おも)はれた。051大勢(おほぜい)(なか)より一人(ひとり)(をとこ)(やや)(ちか)くに(すす)(きた)り、052大麻(おほぬさ)左右左(さいうさ)打振(うちふ)(なが)ら、
053(をとこ)『ヤア我々(われわれ)不在中(ふざいちう)(ねら)つて()()(やつ)大蛇(をろち)か、054曲鬼(まがおに)か、055(あるひ)猛獣(まうじう)か、056言語(げんご)(つう)ずるものならば、057(すみや)かに返答(へんたふ)(いた)せ。058それとも畜生(ちくしやう)ならば、059一刻(いつこく)(はや)此処(ここ)退散(たいさん)(いた)せ。060()(かみ)(さま)ならば御名(みな)名乗(なの)らせ(たま)へ』
061 国依別(くによりわけ)(なん)だか(その)言葉(ことば)馴染(なじみ)のある(やう)気分(きぶん)がした。062(しか)(なが)(この)琉球(りうきう)(はな)(じま)我々(われわれ)知人(ちじん)()()るべき(はず)もない。063あの(こゑ)(たしか)男子(だんし)であつた。064さうして(なん)となく言霊(ことたま)()えて()た。065こりや(けつ)して(あん)ずるには(およ)ぶまい。066機先(きせん)(せい)するは(いま)(この)(とき)だ……と(こころ)(おも)(なが)ら、067(くら)がりを(さいは)ひ、
068国依別(くによりわけ)『アール、069シヤイト、070チーチヤーバンド、071ジヤンジヤヘール、072サーチライト、073パツクス、074エール、075シーエー、076ピツク、077ホース』
078()つた。
079(そと)(をとこ)『ヤア此奴(こいつ)南洋(なんやう)土人(どじん)漂着(へうちやく)して()よつたのだなア。080(あま)数歌(かずうた)まがひの(こと)()つて()やがつたぞ。081大方(おほかた)ジヤンナの(さと)三五教(あななひけう)信者(しんじや)が、082(この)(しま)漂着(へうちやく)して(この)洞穴(どうけつ)見付(みつ)()し、083這入(はい)つて()やがるのだらう。084(こま)つた(やつ)()たものだ。085土人(どじん)言葉(ことば)はこちらでは(わか)らないし、086如何(どう)()つてやらうかなア』
087国依別(くによりわけ)(この)(はう)はハーリス(ざん)に、088(とほ)神代(かみよ)(むかし)より住居(すまゐ)(いた)大竜神(だいりうじん)であるぞよ。089(この)(たび)神勅(しんちよく)()つて高天原(たかあまはら)より言依別(ことよりわけの)(みこと)090(その)(たま)受取(うけと)りにお()(あそ)ばされたるを(もつ)て、091今迄(いままで)大切(たいせつ)保存(ほぞん)して()(りう)092(きう)(ふた)つの(たま)も、093()むを()()(わた)(いた)さねばならぬ(こと)になつて()た。094神勅(しんちよく)はもだし(がた)し、095執着心(しふちやくしん)()つてスツパリと(わた)()(かんが)へだ。096(この)(ふた)つの(たま)琉球(りうきう)()るや(いな)や、097如何(いか)なる(こと)出来(しゆつたい)(いた)すも(わか)りはせぬぞ。098(その)(はう)(われ)(これ)より(まこと)(かみ)尊敬(そんけい)(いた)し、099(この)洞穴(どうけつ)(なか)(わが)居宅(きよたく)(たてまつ)り、100山海(さんかい)珍味(ちんみ)(もつ)供養(くやう)せば、101地異(ちい)天変(てんぺん)災害(さいがい)(まぬが)れしめ、102(なんぢ)()一同(いちどう)をして(やす)(たの)しく長寿(ちやうじゆ)(あた)へ、103天国(てんごく)(よろこ)びを永久(とこしへ)(たも)たしめむ。104返答(へんたふ)如何(いか)に』
105(こゑ)まで十七八(じふしちはち)(くらゐ)(をんな)になつた()で、106若々(わかわか)しげに()()てた。107(そと)(をとこ)一人(ひとり)108(やや)(まへ)(すす)()り、
109(そと)(をとこ)早速(さつそく)のあなたの()承諾(しようだく)110若彦(わかひこ)()にとりて、111有難(ありがた)仕合(しあは)せに(ぞん)じます。112先日(せんじつ)より(いち)(にち)()かさず、113ハーリス(ざん)駆上(かけのぼ)り、114言霊(ことたま)手向(たむ)(さふらう)(ところ)115(たつ)(あぎと)(りう)(きう)116容易(ようい)()(わた)(くだ)さる形跡(けいせき)()えず、117(じつ)(ところ)は、118心中(しんちう)(やや)不安(ふあん)(ねん)()られて()りました。119(その)言葉(ことば)()くからは、120これなる土人(どじん)(めい)じ、121あらゆる(めづら)しき果物(くだもの)()たせお(そな)(いた)します。122どうか今迄(いままで)(やう)時々(ときどき)暴風雨(ばうふうう)(おこ)し、123人民(じんみん)(くるし)むるなどの暴行(ばうかう)()(かぎ)()(とど)(くだ)さいまする(やう)に、124三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)若彦(わかひこ)125(つつし)んで()(ねが)(いた)します』
126 国依別(くによりわけ)127(なか)より、
128国依別(くによりわけ)()ふにや(およ)ぶ。129(われ)こそは国依(くにより)……オツト(ちが)うた、130(くに)より(わが)()大事(だいじ)と、131今迄(いままで)執着心(しふちやくしん)にかられ、132(りう)133(きう)(ふた)つの(たま)私有物(しいうぶつ)として(たの)しんでゐた。134さうして(この)(たま)(もつ)て、135風雨(ふうう)雷霆(らいてい)駆使(くし)し、136種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)乱暴(らんばう)(いた)したが、137今日(こんにち)(かぎ)根本(こんぽん)より()(あらた)めて若彦(わかひこ)言葉(ことば)(したが)(ほど)に、138(かなら)(かなら)心配(しんぱい)(いた)すな。139サア(はや)芳醇(はうじゆん)なる(さけ)(けん)じ、140林檎(りんご)141バナナ、142竜眼肉(りうがんにく)(わが)(まへ)献上(けんじやう)(いた)せ。143随分(ずゐぶん)空腹(くうふく)(なや)んで()るぞよ。144言依別(ことよりわけの)(かみ)(さま)やがて()(うつ)さず此処(ここ)()()しあらん。145大勢(おほぜい)ここに(あつ)まるも無益(むえき)なれば、146大半(たいはん)浜辺(はまべ)(いた)つて言依別(ことよりわけ)(さま)()到着(たうちやく)()出迎(でむか)への準備(じゆんび)をいたすがよからうぞ。147(その)(とき)には三五教(あななひけう)(だい)宣伝使(せんでんし)国依別(くによりわけ)(とも)(つか)()(はず)なれば、148待遇(たいぐう)区別(くべつ)をつけず、149(ごく)鄭重(ていちよう)にもてなしを(いた)せよ。150ハーリス(ざん)竜神(りうじん)151(なんぢ)()一統(いつとう)()をつけるぞよ。152若彦(わかひこ)153(およ)(その)(まへ)()白髪(はくはつ)老人(らうじん)にも(まを)しわたす仔細(しさい)あらば此処(ここ)()よ。154(その)()住民(ぢうみん)(ども)浜辺(はまべ)へさして一刻(いつこく)(はや)()(むか)へに(まゐ)り、155万事(ばんじ)落度(おちど)なく(こころ)(くば)()(くば)れよ。156ウーン』
157(うな)()んだ。
158若彦(わかひこ)委細(ゐさい)承知(しようち)(つかまつ)りました。159……モシ常楠(つねくす)(さま)160あなた何卒(どうぞ)161大勢(おほぜい)連中(れんちう)(この)(よし)()(つた)(くだ)さいまして、162言依別(ことよりわけ)(さま)()到着(たうちやく)待受(まちうけ)準備(じゆんび)にかかるべく()命令(めいれい)(くだ)さいませ』
163常楠(つねくす)『ハイ承知(しようち)(いた)しました。164(しか)(なが)(うそ)ではありますまいかな。165どうも我々(われわれ)(かんが)へでは言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)は、166(この)洞穴内(どうけつない)安々(やすやす)()(やす)みなされてるような心持(こころもち)(いた)します。167そして(この)竜神(りうじん)化身(けしん)女神(めがみ)(さま)は、168(わたし)(こころ)のひがみか(ぞん)じませぬが、169国依別(くによりわけ)(さま)のように(おも)はれてなりませぬ。170悪戯好(いたづらずき)国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)(こと)とて、171ワザとに女神(めがみ)声色(こわいろ)使(つか)つて()られるのでは御座(ござ)いますまいか。172数多(あまた)土人(どじん)(ひき)つれ浜辺(はまべ)(まゐ)り、173言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)(いま)(いま)かと待呆(まちぼう)けに()はせ、174あとでアフンとさして大笑(おほわら)ひをしようと()(たく)みだなからうかと(おも)はれます。175そんな()()るものなら折角(せつかく)我々(われわれ)(かみ)(しん)じてる土人(どじん)信用(しんよう)はサツパリ()におち、176(かへつ)(われ)()身辺(しんぺん)危険(きけん)(およ)ぶやも(はか)()れませぬ。177コリヤうかうかと()(わけ)には()けますまいぞ』
178 国依別(くによりわけ)洞穴内(どうけつない)より、179一層(いつそう)やさしき(をんな)(つく)(ごゑ)甲高(かんだか)に、
180国依別(くによりわけ)()るか()るかと(はま)()()れば
181(はま)松風(まつかぜ)(おと)ばかり
182()ちに()つたる(くに)さまは
183(とほ)(むかし)(この)(しま)
184(あが)つて御座(ござ)るを()らないか
185ホンニ(めくら)仕様(しやう)がない
186あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
187御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
188追々(おひおひ)鍍金(めつき)がはげて、189()らぬ()自分(じぶん)地声(ぢごゑ)になつて()たのに()がついた。
190国依別『ヤア()りや失策(しま)つた』
191(おも)(なが)ら、192(また)(こゑ)(あらた)めて、
193国依別(くによりわけ)(われ)こそは(りう)(きう)との(たま)守護(しゆご)(いた)国依別(くによりわけ)姫神(ひめがみ)であるぞよ。194国依別(くによりわけ)とはタマで代物(しろもの)(ちが)ふぞよ。195国依別(くによりわけ)(たと)へば黄金(わうごん)なれば、196(この)(はう)(あかがね)(くらゐ)なものであるぞよ。197今迄(いままで)国依別(くによりわけ)は、198(じつ)(こま)つた(やつ)であつたなれども、199身魂(みたま)因縁(いんねん)(あら)はれて(この)(ごろ)は、200立派(りつぱ)立派(りつぱ)言依別(ことよりわけの)(みこと)片腕(かたうで)にお()(あそ)ばして御座(ござ)るぞよ。201(その)(はう)紀州(きしう)辺鄙(へんぴ)(なが)らく蟄居(ちつきよ)(いた)して()つた(ゆゑ)202()らぬは無理(むり)なき(こと)であるぞよ。203(いま)国依別(くによりわけの)(みこと)(まゐ)りなば鄭重(ていちよう)にいたし、204(りう)205(きう)(ふた)つの(たま)(なんぢ)()()()れなば、206(いつ)言依別(ことよりわけの)(みこと)(けん)じ、207(いつ)国依別(くによりわけの)(みこと)(けん)ぜよ。208これ国依姫(くによりひめの)(みこと)御心(みこころ)であるぞよ。209ゆめゆめ(うたが)ふこと(なか)れ』
210若彦(わかひこ)『ハイ承知(しようち)(いた)しました。211(たれ)()()(わた)しまするも天下(てんか)(すく)宝玉(ほうぎよく)ならば、212結構(けつこう)御座(ござ)います。213三五教(あななひけう)(もの)とならば(これ)()したる(よろこ)びは御座(ござ)いませぬ』
214 常楠(つねくす)小声(こごゑ)で、
215常楠(つねくす)『モシ若彦(わかひこ)さま、216どう(おも)うても(わたくし)()()ちませぬ。217……コレコレ女神(めがみ)(しよう)する国依別(くによりわけ)さま、218()加減(かげん)茶目(ちやめ)(しき)発揮(はつき)しておいたらどうだい。219そんな(こと)若彦(わかひこ)さまなれば、220(いち)()誤魔化(ごまくわ)しが()くだらうが、221(なに)もかも()(なか)辛酸(しんさん)()めつくした(この)常楠(つねくす)(まへ)には通用(つうよう)(いた)しませぬぞよ』
222国依別(くによりわけ)真偽(しんぎ)判断(はんだん)(その)(はう)(まか)す。223(われ)(したが)遠慮(ゑんりよ)()らぬ。224(なんぢ)()両人(りやうにん)(おく)()(すす)(きた)れ』
225(さき)()つて(くら)がりを(すす)んで()く。
226国依別(くによりわけ)()てよ、227(まへ)無茶(むちや)苦茶(くちや)(すす)むと()うと、228壁際(かべぎは)(あたま)()ち、229言依別(ことよりわけ)(さま)のお(やす)みの(うへ)()みなどしたら大変(たいへん)だ。230コリヤ(ひと)松明(たいまつ)をつけさしてやらうかな』
231小声(こごゑ)(ささや)(なが)ら、
232国依別(くによりわけ)『ヤア若彦(わかひこ)233松明(たいまつ)をつけよ。234(くら)くて(すこ)しも()えぬでないか』
235若彦(わかひこ)(わたくし)はここへ(まゐ)つてから余程(よほど)()れましたから、236松明(たいまつ)がなくても大抵(たいてい)(わか)つて()ます。237あなたは(かみ)(さま)なれば(よる)()()えさうなものですなア……(かみ)無遠近(むゑんきん)238無大小(むだいせう)239無明暗(むめいあん)240無広狭(むくわうけふ)241(いつ)()ざるなしと()ふではありませぬか』
242 国依別(くによりわけ)ヒヤリとし(なが)ら、243(なほ)荘重(さうちよう)口調(くてう)にて、
244国依別(くによりわけ)若彦(わかひこ)245馬鹿(ばか)(まを)せ。246(くら)がりの()()える(もの)畜生(ちくしやう)であるぞよ。247人間(にんげん)(くら)がりに()()えぬのは(かみ)分霊(ぶんれい)たる証拠(しようこ)であるぞよ。248すべて高等(かうとう)動物(どうぶつ)になる(ほど)249夜分(やぶん)()()えないものだ。250それだから最高級(さいかうきふ)にある(かみ)()()えぬが道理(だうり)だらうがな。251それだから人民(じんみん)(かみ)灯明(とうみやう)(けん)ずると()(こと)()らないか』
252 常楠(つねくす)()()して、
253常楠『オホヽヽヽ』
254国依別(くによりわけ)『アイヤ常楠(つねくす)とやら、255(かみ)言葉(ことば)何故(なぜ)それ(ほど)可笑(をか)しいか』
256常楠(つねくす)『あなたは余程(よほど)(どん)(かみ)(さま)()えますな。257道路神(だうろくじん)とかいつて、258盲神(めくらがみ)(さま)があると()(こと)だ。259大方(おほかた)(まへ)さまは道路神(だうろくじん)道楽神(だうらくじん)だらう。260宗彦(むねひこ)261(かつ)(むかし)(おも)()しになつたら、262さぞ今日(こんにち)感慨(かんがい)無量(むりやう)御座(ござ)いませうナ』
263国依別(くによりわけ)(なん)でも(よろ)しい。264炬火(たいまつ)をつけて(くだ)さらぬか。265(じつ)()(さつ)しの(とほ)国依別(くによりわけ)ですよ。266アハヽヽヽ』
267常楠(つねくす)『オホヽヽヽ』
268若彦(わかひこ)『なんだ、269(また)いかれたか。270エー仕方(しかた)がない。271よく()ける(をとこ)だな。272そんなら炬火(たいまつ)をつけて()げませうかい』
273(ふところ)より燧石(ひうち)をとり()し「カチカチ」とやつて()る。274言依別(ことよりわけ)二三(にさん)(にん)人声(ひとごゑ)(なに)かザワザワ(きこ)えるのに()をさまし、275(みみ)をすまして()いて()れば、276国依別(くによりわけ)とか常楠(つねくす)とか若彦(わかひこ)とかの(こゑ)がきこえて()た。
277(言依別?)『ハテなア』
278無言(むごん)のまま(かんが)()んで()る。279どうしたものか()()つても()つても火口(ほくち)につかぬ。
280若彦(わかひこ)『アヽ今日(けふ)(めくら)(かみ)さまの守護(しゆご)()えて、281(くら)がりの()守護(しゆご)らしい。282何程(なんぼ)()つても()()ませぬワ。283……ナア常楠(つねくす)さま如何(どう)しませう』
284常楠(つねくす)『エー仕方(しかた)がない。285そんなら(くら)がりで(やす)みませうかい。286……(とき)国依別(くによりわけ)さま、287言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)(さま)はここに()られるのだらうな。288ウカウカ(ある)くとお(やす)みになつて()(ところ)()みでもしたら大変(たいへん)だから、289在否(ざいひ)()つて(くだ)さいな』
290国依別(くによりわけ)『お(まへ)さまの最前(さいぜん)(あふ)せられた(とほ)り、291盲神(めくらがみ)国依別(くによりわけ)292まして(この)暗夜(あんや)293言依別(ことよりわけ)(さま)在否(ざいひ)()えて(たま)りますか。294アハヽヽヽ』
295 言依別(ことよりわけの)(みこと)(こゑ)()け、
296言依別(ことよりわけ)『イヤ国依別(くによりわけ)297(なん)とかして()をつけて()れないか。298常楠(つねくす)299若彦(わかひこ)両人(りやうにん)()えて()るであらう』
300国依別(くによりわけ)『ハイ、301(たしか)にお()えになりませぬ。302あなたでさへも()えぬ(くらゐ)ですから……』
303言依別(ことよりわけ)(くら)がりで()えるか()えぬかと()つたのだない。304()()られるか()られぬかと()ふのだ』
305国依別(くによりわけ)()()られますが、306サツパリ()えて()られませぬ。307アハヽヽヽ』
308 かくする(ところ)入口(いりぐち)よりチヤール、309ベースと()二人(ふたり)(をとこ)310松明(たいまつ)をかがやかし(なが)這入(はい)つて()た。
311 チヤール、312ベース両人(りやうにん)(こし)(かが)めて、
313両人(りやうにん)(さぞ)()不自由(ふじゆう)御座(ござ)いましたでせう。314ついうつかり(いた)してをりました。315松明(たいまつ)をここに(とも)しておきますから……(わたくし)入口(いりぐち)立番(たちばん)(いた)しますから、316御用(ごよう)があらば(すぐ)()()()(くだ)さいませ』
317国依別(くによりわけ)『ハーリス(ざん)竜神(りうじん)318国依姫(くによりひめの)(みこと)319チヤール、320ベースの両人(りやうにん)321よくも()()かしよつた。322(かみ)満足(まんぞく)(おも)ふぞよ』
323両人(りやうにん)『ハー、324有難(ありがた)(ぞん)じます』
325(おそ)(おそ)る、326坑外(かうぐわい)()()く。327坑内(かうない)(ふた)つの松明(たいまつ)にて(ひる)(ごと)(あか)くなつた。328所々(ところどころ)節穴(ふしあな)(まど)()いて()た。329(けぶり)(その)(あな)より逸出(いつしゆつ)すると()えて、330(すこ)しも、331けむたさを(かん)じなかつた。
332 言依別(ことよりわけの)(みこと)()(あが)り、333行儀(ぎやうぎ)よく菅莚(すがむしろ)(うへ)端坐(たんざ)し、334常楠(つねくす)335若彦(わかひこ)(かほ)()て、336『ヤア』と()つた。
337若彦(わかひこ)『これはこれは教主(けうしゆ)(さま)338よくも()入来(いで)(くだ)さいました』
339(はや)くも(うれ)(なみだ)にくれて()る。
340言依別(ことよりわけ)若彦(わかひこ)殿(どの)341()苦労(くらう)御座(ござ)つた。342(この)老人(らうじん)(うはさ)(たか)秋彦(あきひこ)343駒彦(こまひこ)縁類(えんるゐ)なる常楠翁(つねくすをう)かなア』
344若彦(わかひこ)『ハイ左様(さやう)御座(ござ)います』
345常楠(つねくす)教主(けうしゆ)(さま)346一度(いちど)()(うかが)ひを(いた)したく(ぞん)じて()りましたが、347遠方(ゑんぱう)(こと)()ひ、348老人(としより)(こと)とて山道(やまみち)(あゆ)むのが辛労(おつくう)になり、349つい()無沙汰(ぶさた)(いた)して()りました。350(せがれ)(ども)(あつ)()世話(せわ)(あづか)りまして、351有難(ありがた)()(れい)(まを)()げます。352今度(こんど)(わたくし)千騎(せんき)一騎(いつき)最後(さいご)活動(くわつどう)(おも)ひ、353神恩(しんおん)万分一(まんぶいち)(はう)ぜむと、354若彦(わかひこ)(さま)のお(とも)をなし、355先日(せんじつ)より(この)(しま)(まゐ)り、356ハーリス(ざん)竜神(りうじん)(むか)つて、357言霊戦(ことたません)開始(かいし)して()ります。358(その)()(かげ)毎日(まいにち)毎晩(まいばん)()(すさ)暴風(ばうふう)()ぎわたり、359それが(ため)土人(どじん)我々(われわれ)二人(ふたり)大変(たいへん)(かみ)(ごと)尊敬(そんけい)いたして()ります。360どこへ()つても日輪(にちりん)さまの()(ひかり)()らせ(たま)(ごと)く、361大神(おほかみ)(さま)()神徳(しんとく)満遍(まんべん)なく()きわたつて()らせられるには感謝(かんしや)(いた)りにたへませぬ。362何分(なにぶん)耄碌爺(まうろくおやぢ)(わたくし)363どうぞ()見捨(みすて)なく()用命(ようめい)あらん(こと)懇願(こんぐわん)(つかまつ)ります』
364()(をは)つて、365(うれ)(なみだ)(そで)(ぬぐ)ふ。
366言依別(ことよりわけ)(かみ)(さま)()(しめ)(どほ)り、367これで(いよいよ)四魂(しこん)(そろ)ひました。368玉照彦(たまてるひこ)(さま)369玉照姫(たまてるひめ)(さま)()神力(しんりき)今更(いまさら)(なが)(おそ)()(ほか)はありませぬ。370いよいよ願望(ぐわんもう)成就(じやうじゆ)して、371(りう)372(きう)宝玉(ほうぎよく)()()るは()のあたりでせう』
373常楠(つねくす)最早(もはや)九分(くぶ)九厘(くりん)まで、374竜神(りうじん)帰順(きじゆん)して()ります。375モウ(ひと)執着心(しふちやくしん)さへ()れれば(わた)して()れるでせう。376我々(われわれ)若彦(わかひこ)さまと(とも)(あた)(かぎ)りの最善(さいぜん)のベストを(つく)して()ましたがモウ(この)(うへ)教主(けうしゆ)(さま)()(ちから)()りるより仕方(しかた)がありませぬ』
377若彦(わかひこ)如何(いか)(かみ)(さま)()仕組(しぐみ)だと()つても、378かような(ところ)教主(けうしゆ)(さま)にお()にかかるとは、379(いま)今迄(いままで)380(かみ)ならぬ()(ぞん)じて()りませなんだ。381アヽ人間(にんげん)(もろ)いもので御座(ござ)いますワイ。382(げん)()(まへ)()国依別(くによりわけ)さまにさへ(だま)された(くらゐ)御座(ござ)いますから』
383国依別(くによりわけ)『クツクツクツ、384ウツプーツ』
385()()して()る。
386言依別(ことよりわけ)国依別(くによりわけ)さま、387(この)(しま)()以上(いじやう)余程(よほど)謹厳(きんげん)態度(たいど)()つて()(もら)はぬと、388中々(なかなか)強敵(きやうてき)ですから、389茶目(ちやめ)(しき)(どころ)ぢやありませぬぞ』
390国依別(くによりわけ)左様(さやう)御座(ござ)います。391斯様(かやう)(ところ)茶目坊(ちやめばう)をやつても、392サツパリ茶目(ちやめ)ですから、393只今(ただいま)(かぎ)左様(さやう)なことは茶目(ちやめ)(いた)しますから、394どうぞ()心配(しんぱい)(くだ)さいますな』
395言依別(ことよりわけ)仕方(しかた)のない面白(おもしろ)(をとこ)だなア』
396 若彦(わかひこ)397(かた)をゆすり(なが)ら、398可笑(をか)しさをこらへて、
399若彦『キユーキユー』
400()つて()る。401常楠(つねくす)(なに)可笑(をか)しい、402(わか)(やつ)()(もの)は、403(はし)のこけたのでも可笑(をか)しがるものだ……と()(やう)態度(たいど)真面目(まじめ)くさつて(ひか)へて()た。404(やうや)くにして()()(はな)れた。405言依別(ことよりわけの)(みこと)(さん)(にん)(ほか)にチヤール、406ベース(ほか)四五(しご)(にん)土人(どじん)引率(ひきぐ)し、407ハーリス(ざん)谷道(たにみち)若彦(わかひこ)案内(あんない)にて(すす)(こと)となつた。
408大正一一・七・二五 旧六・二 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki