霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 太平柿(たいへいがき)〔七九二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻 篇:第3篇 神仙霊境 よみ(新仮名遣い):しんせんれいきょう
章:第10章 太平柿 よみ(新仮名遣い):たいへいがき 通し章番号:792
口述日:1922(大正11)年07月25日(旧06月02日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
若彦は常楠と共に熊野で修行中、木花姫命の託宣により、琉球の島に渡って竜神と言霊戦を行うことになっていたのであった。
一行がハーリス山に登る途中、国依別は空腹に耐えかねて、山腹の断崖絶壁に見事に生っている太平柿を常楠に所望した。常楠は、島人の一人に柿取りを依頼した。
島人チャールは、あの柿は竜神の持ち物であり、食った者は腹が膨れて苦しみ、遂には大蛇の子が腹を破って絶命する恐ろしい柿だと語ったが、国依別が竜神の化身ならば大丈夫かもしれないので取ってこようと請合った。
しかし島人ベースはいくら竜神が懸っていたとしても、食べるのは国依別の肉体だからやめた方がよいと忠告した。国依別は自分は肉体も完全に竜神の化身なのだからと適当なことを言って、柿を取ってくるように命じた。
命を受けたチャールとベースの両人は、あまりに柿がうまそうなので、使命を忘れて自分たちが食べ始めてしまった。仕方なく国依別は自分も断崖の柿の木に登って、むしって食べ始めた。
たちまち腹が布袋のように膨れて来た。国依別は慌てて木を降りようとしたが、相当に大きな大蛇が木を登ってきた。国依別は天の数歌を唱えたが、大蛇は登ってくる。辟易した国依別は、断崖の下の谷川の深淵に飛び込んだ。
チャールとベースも国依別の後を追って飛び込んでしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-10-30 18:33:39 OBC :rm2710
愛善世界社版:169頁 八幡書店版:第5輯 304頁 修補版: 校定版:175頁 普及版:76頁 初版: ページ備考:
001紀州(きしう)熊野(くまの)片畔(かたほとり)
002天地(てんち)(かみ)御教(みをしへ)
003(あさ)(ゆふ)なに()(つた)
004三五教(あななひけう)若彦(わかひこ)
005常楠爺(つねくすぢい)さまと諸共(もろとも)
006熊野(くまの)(たき)参詣(まゐまう)
007御禊祓(みそぎはらひ)最中(さいちう)
008(あら)はれ()でし姫神(ひめがみ)
009(こころ)(はな)(ひら)くなる
010蓮華(はちす)(やま)(まも)(がみ)
011木花姫(このはなひめ)忽然(こつぜん)
012(たき)(ほとり)()れまして
013言葉(ことば)(しづ)かに()らすやう
014(なんぢ)(これ)により常楠(つねくす)
015旅装(りよさう)(ととの)(ふね)()
016熊野(くまの)(うら)()()でて
017浪間(なみま)(うか)宝島(たからじま)
018(りう)(きう)との瑞宝(ずゐはう)
019いや永久(とこしえ)(をさ)まれる
020聖地(せいち)(いた)りてハーリスの
021(やま)()まへる荒神(あらがみ)
022言向(ことむ)(やは)竜神(りうじん)
023(あぎと)(たま)()()りて
024三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
025玉照彦(たまてるひこ)玉照姫(たまてるひめ)
026(うづ)御前(みまへ)(たてまつ)
027高天原(たかあまはら)聖地(せいち)より
028言依別(ことよりわけ)(はじ)めとし
029国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)
030(あと)より(きた)(たま)ふべし
031(なんぢ)はそれに(さき)だちて
032(この)神島(かみじま)到着(たうちやく)
033ハーリス(ざん)深谷(しんこく)
034()竜神(りうじん)言霊(ことたま)
035(かみ)息吹(ゐぶき)言向(ことむ)けよ
036木花姫(このはなひめ)(なれ)()
037(まへ)(うしろ)につき()ひて
038(かなら)功績(いさを)()てさせむ
039一日(ひとひ)(はや)(すす)めよと
040言葉(ことば)(をは)ると諸共(もろとも)
041()御姿(みすがた)()(たま)
042(あと)芳香(はうかう)馥郁(ふくいく)
043四辺(あたり)(かを)(ゆか)しさよ
044幽玄(いうげん)閑雅(かんが)音楽(おんがく)
045(こずゑ)(わた)科戸辺(しなどべ)
046(かぜ)相和(あひわ)面白(おもしろ)
047(みみ)(わか)やぐ若彦(わかひこ)
048常楠(つねくす)(ともな)(てん)(おほ)
049(くす)老木(らうぼく)生茂(おひしげ)
050熊野(くまの)(もり)(あと)にして
051(かみ)御言(みこと)(かしこ)みつ
052(なみ)のまにまに()(きた)
053ハーリス(ざん)(ふもと)なる
054(つき)大樹(だいじゆ)洞穴(どうけつ)
055暫時(しばし)住家(すみか)(さだ)めつつ
056日日(ひにち)毎日(まいにち)竜神(りうじん)
057言向(ことむ)(やは)(その)(ため)
058数多(あまた)土人(どじん)(かしづ)かれ
059(けは)しき山坂(やまさか)昇降(しようかう)
060(こころ)(かぎ)真心(まごころ)
061(つく)して神業(しんげふ)(つか)へける
062今日(けふ)殊更(ことさら)竜神(りうじん)
063出現(しゆつげん)(おそ)(ひま)どりて
064(つき)大木(おほき)仮宅(かりたく)
065(かへ)りし(ころ)夜半(よはん)(ごろ)
066数多(あまた)篝火(かがりび)かがやかし
067()洞穴(ほらあな)(ちか)づきて
068(そと)より(なか)(なが)むれば
069(とら)(おほかみ)(おに)(じや)
070はた竜神(りうじん)化身(けしん)にや
071異様(いやう)物影(ものかげ)(たちま)ちに
072(うそぶ)(こゑ)はウーウーと
073四辺(あたり)(ひび)大音(だいおん)
074若彦(わかひこ)(きも)(つぶ)しつつ
075小声(こごゑ)になりて数歌(かずうた)
076(とな)(をは)れば(なか)よりも
077声調(せいてう)(そろ)はぬ怪声(くわいせい)
078(ひと)(ふた)()()(いつ)()
079(なな)()(ここの)(とう)たらり
080(もも)()(よろづ)応酬(おうしう)する
081若彦(わかひこ)大地(だいち)()()して
082(とどろ)(むね)(おさ)へつつ
083(とら)(おほかみ)(おに)(じや)
084(ただし)(まこと)(かみ)(さま)
085名乗(なの)らせ(たま)へと(よば)はれば
086国依別(くによりわけ)(こゑ)()
087ハーリス(ざん)竜神(りうじん)
088(りう)(きう)との宝玉(ほうぎよく)
089言依別(ことよりわけ)国依別(くによりわけ)
090(かみ)(つかさ)(さづ)くなり
091夢々(ゆめゆめ)(うたが)(こと)なかれ
092(これ)()いたる若彦(わかひこ)
093正直(しやうぢき)一途(いちづ)性質(うまれつき)
094(まこと)(かみ)(よろこ)んで
095感謝(かんしや)(なみだ)()れて()
096常楠爺(つねくすぢ)さまは(あや)しんで
097(こころ)(ひが)みか()らねども
098(りう)化身(けしん)姫神(ひめがみ)
099(おも)へぬ(ふし)がやつとある
100言依別(ことよりわけの)(かみ)(さま)
101国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)
102(この)洞穴(どうけつ)()りまして
103(いき)(やす)ませ(たま)ふらん
104(この)姫神(ひめがみ)(まさ)しくも
105三五教(あななひけう)国依別(くによりわけ)
106(かみ)(つかさ)茶目(ちやめ)(しき)
107発揮(はつき)したるに相違(さうゐ)なし
108これこれ国依別(くによりわけ)さまよ
109(はや)正体(しやうたい)(あら)はせと
110()()もあらず国依別(くによりわけ)
111察知(さつち)言葉(ことば)(たま)りかね
112(おも)はず()()(わら)(ごゑ)
113(たちま)(ばけ)(あら)はれて
114(ここ)(さん)(にん)暗黒(あんこく)
115洞穴内(どうけつない)()()つて
116(やみ)彷徨(さまよ)燧石(ひうちいし)
117カチカチ()てど何故(なにゆゑ)
118今日(けふ)(かぎ)つて()()でぬ
119(さん)(にん)(やみ)(つつ)まれて
120(めくら)(かみ)(かき)(のぞ)
121四辺(あたり)(さぐ)折柄(をりから)
122松明(たいまつ)()つて両人(りやうにん)
123(この)()(あら)はれ()(きた)
124其処(そこ)明火(かがりび)()()いて
125(たちま)(おもて)()(いだ)
126言依別(ことよりわけ)起上(おきあが)
127三人(みたり)姿(すがた)(すか)()
128不意(ふい)邂逅(かいこう)(しゆく)しつつ
129久方(ひさかた)()りに四方山(よもやま)
130(はなし)(とも)()()けぬ
131あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
132(たふと)(かみ)()(あは)
133四魂(しこん)(そろ)うて神人(かみびと)
134(あさひ)(ひかり)()びながら
135四五(しご)土人(どじん)(したが)へて
136棕櫚(しゆろ)花櫚(くわりん)()(しげ)
137(はやし)(なか)()(くぐ)
138(つち)(やはら)かくぼかぼかと
139(あし)(ぼつ)する山麓(さんろく)
140小径(こみち)踏占(ふみし)(のぼ)()く。
141 (ふゆ)とは()へど(ゆき)()ければ(しも)()らぬ、142自転倒(おのころ)(じま)(なつ)(ごと)陽気(やうき)に、143(あせ)()らしながら(すね)(ぼつ)する(はひ)のやうなボカボカ(みち)()()れぬ(あし)(のぼ)つて()く。
144 国依別(くによりわけ)空腹(くうふく)()()ね、145(かたはら)芭蕉(ばせう)()(いち)(まい)(めく)つて(これ)(よつ)つに(たた)み、146敷物(しきもの)(かは)りにして路傍(みちばた)にドツカと()し、147(ひだり)()(ひざ)上向(うへむ)けにチンと()せ、148(みぎ)()(にぎ)食指(ひとさしゆび)のみヌツ(まへ)()()し、149太平柿(たいへいがき)(うま)さうに断崖(だんがい)絶壁(ぜつぺき)()つて()るのを()て、150(のど)()らせながら無言(むごん)(まま)(すわ)つて()る。151言依別(ことよりわけ)152若彦(わかひこ)七八間(しちはちけん)(さき)()つて()る。153国依別(くによりわけ)(うしろ)から()いて()常楠(つねくす)154チヤール、155ベース(その)()土人(どじん)は、156国依別(くによりわけ)態度(たいど)不審(ふしん)(ねん)()れず、157ジツとして(かほ)見詰(みつ)めて()た。158国依別(くによりわけ)(ひざ)(うへ)()せた(ひだり)()一二回(いちにくわい)()()げし(なが)ら、159(みぎ)()食指(ひとさしゆび)にて(むか)ふの(かき)(ゆびさ)し、160(つい)自分(じぶん)(くち)()し、161(また)(かき)()(また)(くち)(ゆびさ)しやつて()る。
162常楠(つねくす)『モシモシ国依別(くによりわけ)さま、163(この)常楠(つねくす)(とし)()つても(みみ)(ちか)いのだから、164そんな仕方(しかた)をせずに(くち)()つたら如何(どう)ですか』
165 国依別(くによりわけ)自分(じぶん)(くち)()(また)(かき)()し、166(つひ)には(はら)()して()せた。
167常楠(つねくす)(さつ)する(ところ)あの(かき)()ひたいと仰有(おつしや)るのですか。168そんなら(いま)()はして()げませう。169これこれチヤールさま、170(たれ)(この)(うち)木登(きのぼ)りが上手(じやうづ)(ひと)171(この)(たに)(むか)ふへ(わた)つて、172あの(うま)さうな(かき)(ふた)(みつ)()つて()(くだ)さらぬか。173国依別(くによりわけ)(のど)(かみ)さまが()(かき)(たてまつ)れよと()命令(めいれい)して御座(ござ)る』
174チヤール『ハイ(かしこ)まりました。175(しか)(なが)彼処(あすこ)(のこ)つて()るあの(かき)は、176竜神(りうじん)さまの(かき)()つて人間(にんげん)()(もの)ぢや御座(ござ)いませぬ。177()(ひと)つでも()はうものなら、178男女(だんぢよ)(かか)はらず、179(たちま)(はら)(ふく)れ、180(つひ)(へそ)がはぢけて、181大蛇(をろち)()(うま)れ、182(おや)はそれつ()国替(くにがへ)(いた)すと()険難(けんのん)(かき)です。183それ(ゆゑ)(たれ)()つた(もの)もなければ、184()つた(もの)もありませぬ。185(したが)つて(その)(あぢ)()(もの)もないのです。186(この)(かた)竜神(りうじん)(さま)()(うつ)りになつて()られますのかなア。187そんなら竜神(りうじん)さまに()()(まを)すつもりで、188()つて(まゐ)りませうか』
189ベース『オイオイ、190チヤール、191さう安請合(やすうけあひ)をするものぢやないぞ。192何程(なにほど)常楠(つねくす)(さま)天降(あまくだ)つた(かみ)(さま)だと()つても、193竜神(りうじん)(かき)自由(じいう)になさる(こと)出来(でき)ない。194(また)仮令(たとへ)()(うつ)りになつても、195それは(れい)だから、196ムシヤムシヤお(あが)りになる(はず)がない。197(あが)りになるとすれば(この)(かた)肉体(にくたい)()ふのだから、198それこそ大変(たいへん)だ。199サア()かう。200若彦(わかひこ)(さま)言依別(ことよりわけの)(かみ)(さま)は、201最早(もはや)()姿(すがた)()えなくなつて(しま)つた』
202国依別(くによりわけ)(なんぢ)チヤール、203ベースの両人(りやうにん)204(その)(あらそ)ひは(もつと)もだ。205(しか)(なが)()(はう)(しん)竜神(りうじん)化身(けしん)206(もと)姿(すがた)(まま)ならば谷間(たにま)(くだ)つて鎌首(かまくび)をキユウと()て、207(した)をニヨロニヨロ()せば、208()もなく(くち)にニユウと這入(はい)るのであるが、209()人間(にんげん)(ばけ)()(あひだ)は、210ヤツパリ人間(にんげん)(なみ)()ることが出来(でき)ない。211(かみ)命令(めいれい)する、212チヤール、213ベース、214(はや)()つて(まゐ)れ。215(くる)しうないぞ』
216チヤール『ハイ(かしこ)まりました』
217ベース『(くる)しうないと仰有(おつしや)いましたね。218そりや(その)(はず)だ。219ジツとして芭蕉(ばせう)()(うへ)胡坐(あぐら)をかき、220(ひと)(くる)しい(おも)ひをさして、221あの(かき)()り、222()(なが)らにして据膳(すゑぜん)(いただ)(あそ)ばすのだもの、223(なに)(くる)しいものか。224(らく)なものだよ』
225国依別(くによりわけ)『グヅグヅ(まを)さずに(はや)()つて献上(けんじやう)(いた)せ。226国依別(くによりわけ)空腹(くうふく)()り、227最早(もはや)一歩(いつぽ)歩行(ある)けなくなつて、228此処(ここ)極楽(ごくらく)往生(わうじやう)(いた)しかけたぞよ』
229常楠(つねくす)『オツホヽヽヽ』
230 チヤール、231ベースの両人(りやうにん)は、232(ましら)(ごと)断崖(だんがい)(くだ)り、233()なり(ふか)谷川(たにがは)点在(てんざい)せる(いは)(あたま)()(なが)ら、234(ながれ)()けて(むか)(がは)(わた)り、235(かき)()()ひついて二人(ふたり)(のぼ)()く。
236 (みづ)()(やう)(うま)さうな(かき)が、237(いく)つともなく沢山(たくさん)()(かげ)にぶらついて()る。238(その)(おほ)きさは(うし)睾丸(きんたま)(くらゐ)(たし)かにある。239チヤール、240ベースの両人(りやうにん)()()はれぬ(うま)さうな(にほひ)(たま)りかね、241自分(じぶん)使命(しめい)(わす)れて一生(いつしやう)懸命(けんめい)(うま)さうな(やつ)から、242()つては()()つては()ひ、243舌鼓(したつづみ)()つて()た。
244 常楠(つねくす)(した)から(こゑ)()け、
245常楠(つねくす)『コレコレ、246チヤール、247ベースの両人(りやうにん)248(かき)(おと)さないか』
249 (この)(こゑ)にチヤールはフト()がつき、
250チヤール『(いま)(おと)しませう。251(しか)()んな(やはら)かい(かき)(おと)せば、252(つぶ)れて(しま)ひます。253生憎(あいにく)()(もの)もなし、254(わたし)(はら)(なか)()れて()つて()りますから、255()つて()(くだ)さい』
256常楠(つねくす)此処(ここ)竜神(りうじん)さまがお待兼(まちかね)だ。257(すこ)(かた)くつても()いから、258むしつて此方(こちら)()つて()れ』
259チヤール『(かた)いものは(しぶ)くつて()へませぬぞえ』
260常楠(つねくす)『エー仕方(しかた)がないなア』
261国依別(くによりわけ)『あゝ()うして()て、262(ひと)(うま)さうに()うて()るのを()ると、263(はら)余計(よけい)()くようだ。264エー仕方(しかた)がない、265(ひと)(ちから)にするな、266師匠(ししやう)(つゑ)()くなと、267(かみ)(さま)仰有(おつしや)つた。268(ひと)(ちから)(あま)(かき)()つて、269(とく)()らうと(おも)つても駄目(だめ)だ。270ドレ自分(じぶん)(こと)自分(じぶん)(らち)をつけるに(かぎ)る』
271とペコペコした(はら)(かか)へ、272二重腰(ふたへごし)になつて、273断崖(だんがい)(すべ)()ち、274谷川(たにがは)から()()した(いは)(あたま)を、275ポイポイと()()え、276(から)うじて対岸(たいがん)(かき)根元(ねもと)()いた。277()れば二人(ふたり)(かひこ)(くは)()()ふやうに、278小口(こぐち)ごなしに(あか)(うま)いのを(たひ)らげて仕舞(しま)ひ、279(した)(はう)には(あを)(しぶ)いのがぶら(さが)つて()る。280国依別(くによりわけ)(そら)(あふ)きながら、
281国依別(くによりわけ)『オイ、282チヤール、283ベースの両人(りやうにん)284(ちつ)とは(あか)いのを(のこ)して()いて()れよ。285(いま)(のぼ)るから……』
286(かき)(ふし)だらけの(こぶ)()をかけ(あし)をかけ、287やつと(いち)(えだ)()りつき(した)()れば、288激潭(げきたん)飛沫(ひまつ)谷川(たにがは)凄惨(せいさん)()(おそ)はれ、289空腹(くうふく)(うへ)(こと)とて()(くら)(やう)(かん)じがして()た。290国依別(くによりわけ)(やうや)くにして一方(いつぱう)(ほそ)(えだ)()()せ、
291国依別(くによりわけ)『アヽ(あぶな)いものだ。292この(えだ)(ひと)つペキンと()れようものなら(たちま)寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)だ。293(しか)(こは)(ところ)()かねば熟柿(じゆくし)()へんぞよと(かみ)(さま)仰有(おつしや)つた。294美味(おい)しい熟柿(じゆくし)矢張(やつぱ)(こは)(ところ)にあるものだナア』
295(つぶや)きながら(から)うじて美味(うま)さうな(やつ)(ひと)むしり、296()びつくやうに矢庭(やには)頬張(ほほば)つて()た。297(なん)とも()へぬ美味(びみ)(おも)はず()(ほそ)くなり、298(かほ)(しわ)()せて賞翫(しやうぐわん)した。299(たちま)(はら)布袋(ほてい)(ごと)刻々(こくこく)(ふく)()した。
300国依別(くによりわけ)『ヤア此奴(こいつ)(たま)らん、301チヤールの()ふやうに大蛇(だいじや)(はら)宿(やど)つたのかなア。302(なん)だか(はら)(なか)がクレクレとして()たぞ。303天足(あだる)304胞場(えば)(むかし)のやうに体主(たいしゆ)霊従(れいじう)になつて仕舞(しま)ふのではあるまいかなア。305高山(たかやま)伊保理(いほり)306低山(ひきやま)伊保理(いほり)(かき)わけて(きこ)()せと()ふからは、307(あなが)神罰(しんばつ)(あた)るまい。308アヽグヅグヅして()ると(はら)(おほ)きくなつて()りられないやうになる。309あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
310()()りんとする。311相当(さうたう)(くろ)(おほ)きな大蛇(だいじや)312亀甲型(きつかふがた)斑紋(はんもん)(ひか)らせながら絡繹(らくえき)として(かき)()目蒐(めが)けて(のぼ)つて()(いや)らしさ。313国依別(くによりわけ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(ひと)(ふた)()()(あま)数歌(かずうた)(とな)へた。
314 国依別(くによりわけ)追々(おひおひ)(のぼ)(きた)(いきほひ)(たけ)悪蛇(あくじや)僻易(へきえき)し、315樹上(じゆじやう)より両手(りやうて)(ひろ)げて空中(くうちう)()きながら、316谷川(たにがは)蒼味(あをみ)だつた深淵(しんえん)(うへ)にドブンと()()んだ。317逆巻(さかま)(なみ)()()まれて(しばら)くは(その)姿(すがた)()えなくなつて仕舞(しま)つた。318(へび)急速度(きふそくど)(もつ)(かず)(かぎ)りなく(かき)()(のぼ)つて()る。
319 チヤール、320ベースの両人(りやうにん)は、321国依別(くによりわけ)()()んだ青淵(あをぶち)目蒐(めが)けて(また)もやドブンドブンと()()んで仕舞(しま)つた。322パツと()つた水煙(みづけむり)(とも)二人(ふたり)姿(すがた)又々(またまた)()えて仕舞(しま)つた。323あゝ(この)(さん)(にん)行方(ゆくへ)如何(どう)なつたのであらうか。
324大正一一・七・二五 旧六・二 加藤明子録)

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