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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第27巻(寅の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 聖地の秋
第1章 高姫館
第2章 清潔法
第3章 魚水心
第2篇 千差万別
第4章 教主殿
第5章 玉調べ
第6章 玉乱
第7章 猫の恋
第3篇 神仙霊境
第8章 琉と球
第9章 女神託宣
第10章 太平柿
第11章 茶目式
第4篇 竜神昇天
第12章 湖上の怪物
第13章 竜の解脱
第14章 草枕
第15章 情意投合
第5篇 清泉霊沼
第16章 琉球の神
第17章 沼の女神
第18章 神格化
余白歌
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>
海洋万里(第25~36巻)
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第27巻(寅の巻)
> 第5篇 清泉霊沼 > 第17章 沼の女神
<<< 琉球の神
(B)
(N)
神格化 >>>
第一七章
沼
(
ぬま
)
の
女神
(
めがみ
)
〔七九九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻
篇:
第5篇 清泉霊沼
よみ(新仮名遣い):
せいせんれいしょう
章:
第17章 沼の女神
よみ(新仮名遣い):
ぬまのめがみ
通し章番号:
799
口述日:
1922(大正11)年07月28日(旧06月05日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年6月20日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
琉球の島に残った三人は親子親密に島を納めて、人々の尊敬を集めていた。ある夜、清彦の夢に、琉球沼という沼の対岸に、清子姫と照子姫が現れて歌い踊り、清彦を差し招いた。
清彦は目が覚めてから島人に尋ねると、確かに島にはその沼があるとのことであった。沼の中央の珊瑚礁の地下には千畳敷があるという伝説から、島人は誰も近づかないという。清彦は照彦を沼に行こうと誘った。常楠も島を探検するよう二人に命じた。
清彦と照彦は従者を連れて沼に到着した。二人は沼に着くと、湖面を眺めながら清子姫、照子姫への想いを歌った。
一行は砂を敷き詰めた麗しい沼を進んで行った。水深が深くて進めない所に来ると、八尋鰐の群れが現れて橋となり、一行はその上を渡って行き珊瑚礁に着いた。
清彦は珊瑚礁の上で、自分たちが到着したことを知らせる歌を歌った。すると珊瑚礁の小島の岩窟の中から四人の男が現れて一同の前で黙礼し、岩窟を降って一行を案内した。
広場に着いた一行が休んでいると、盛装した清子姫と照子姫が現れた。清子姫は、自分たちは天使長・広宗彦の系統だが、常楠はその従臣であった国彦・国姫の子孫であることを述べた。そして、これこそ言依別教主が定めた因縁であることを明かした。
清彦は、差し招く清子姫の手を取り、清子姫に夫婦の契りを承諾する返歌を返した。同様に照子姫と照彦も夫婦の契りの歌を交わした。
清彦と清子姫は、この沼を中心として島を治めて、琉の島の守り神となって子孫栄え、世は太平に治まった。照彦と照子姫は南の島に渡って治め、人々の尊敬を集めた。南の島を球の島と言い、現在の八重山群島はこの一部が残っている者である。照彦夫婦は台湾島北部にまで教勢を伸ばした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-03 23:26:15
OBC :
rm2717
愛善世界社版:
263頁
八幡書店版:
第5輯 337頁
修補版:
校定版:
271頁
普及版:
116頁
初版:
ページ備考:
001
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
002
国依別
(
くによりわけ
)
は
高砂島
(
たかさごじま
)
へ、
003
若彦
(
わかひこ
)
は
自転倒
(
をのころ
)
島
(
じま
)
へ、
004
照子姫
(
てるこひめ
)
、
005
清子姫
(
きよこひめ
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
の
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
うて
立去
(
たちさ
)
つた
後
(
あと
)
の
清彦
(
きよひこ
)
、
006
照彦
(
てるひこ
)
は
[
※
「後を慕うて立去つた後の清彦、照彦は」は初版、校定版、愛世版いずれも同じ。だが文章がおかしい。おそらく「後を慕うて立去つた。(彼らが立去つた)後の清彦、照彦は」という意味ではないか?
]
、
007
父
(
ちち
)
の
常楠
(
つねくす
)
と
共
(
とも
)
に
此
(
この
)
離
(
はな
)
れ
島
(
じま
)
に
残
(
のこ
)
され、
008
恰
(
あたか
)
も
遠島
(
ゑんたう
)
に
流
(
なが
)
されし
如
(
ごと
)
き
淋
(
さび
)
しみを
感
(
かん
)
じた。
009
これより
親子
(
おやこ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
交際
(
かうさい
)
は
益々
(
ますます
)
親密
(
しんみつ
)
を
加
(
くは
)
へ、
010
よく
父子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
の
順序
(
じゆんじよ
)
行
(
おこな
)
はれ、
011
数多
(
あまた
)
の
土人
(
どじん
)
の
益々
(
ますます
)
崇敬
(
すうけい
)
の
的
(
まと
)
となつて
居
(
ゐ
)
た。
012
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
琉球沼
(
りうきうぬま
)
と
云
(
い
)
ふ
至
(
いた
)
つて
広
(
ひろ
)
き
藺
(
ゐ
)
の
密生
(
みつせい
)
した
沼
(
ぬま
)
がある。
013
或
(
ある
)
夜
(
よ
)
清彦
(
きよひこ
)
の
夢
(
ゆめ
)
に……
清子姫
(
きよこひめ
)
照子姫
(
てるこひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
、
014
沼
(
ぬま
)
の
対岸
(
むかふぎし
)
に
現
(
あら
)
はれ、
015
白
(
しろ
)
き
細
(
ほそ
)
き
手
(
て
)
をさし
延
(
の
)
べて
清彦
(
きよひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
016
清子姫、照子姫
『
琉球
(
りうきう
)
へおじやるなら、
017
草鞋
(
わらぢ
)
穿
(
は
)
いておじやれ、
018
琉球
(
りうきう
)
は
石原
(
いしはら
)
、
019
小石原
(
こいしはら
)
』
020
と
歌
(
うた
)
つて
踊
(
をど
)
りしと
夢
(
ゆめ
)
見
(
み
)
て
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めた。
021
土人
(
どじん
)
のエムとセムとの
従者
(
じゆうしや
)
に
向
(
むか
)
つて
清彦
(
きよひこ
)
は、
022
清彦
(
きよひこ
)
『
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
琉球沼
(
りうきうぬま
)
と
云
(
い
)
ふ
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
な
清泉
(
せいせん
)
を
湛
(
たた
)
へた
沼
(
ぬま
)
があるか』
023
と
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
た。
024
エム、
025
セムの
二人
(
ふたり
)
は
言下
(
げんか
)
に
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
にふり
乍
(
なが
)
ら、
026
エム『
有
(
あ
)
ります
有
(
あ
)
ります、
027
確
(
たしか
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
沼
(
ぬま
)
があつて、
028
藺
(
ゐ
)
が
周辺
(
しうへん
)
に
密生
(
みつせい
)
し、
029
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
浅
(
あさ
)
く、
030
さうして
外
(
ほか
)
の
沼
(
ぬま
)
とは
違
(
ちが
)
つて、
031
水底
(
みなそこ
)
は
小砂利
(
こじやり
)
を
以
(
もつ
)
て
敷
(
しき
)
つめた
様
(
やう
)
な
気分
(
きぶん
)
の
良
(
よ
)
い
沼
(
ぬま
)
です。
032
その
中央
(
ちうあう
)
に
珊瑚礁
(
さんごせう
)
で
作
(
つく
)
られた
立派
(
りつぱ
)
な
岩
(
いは
)
があり、
033
其
(
その
)
岩
(
いは
)
には
大
(
おほ
)
きな
穴
(
あな
)
が
明
(
あ
)
いて
居
(
を
)
る。
034
其
(
その
)
穴
(
あな
)
を
這入
(
はい
)
ると
中
(
なか
)
は
千畳敷
(
せんぜうじき
)
で、
035
時々
(
ときどき
)
立派
(
りつぱ
)
な
美人
(
びじん
)
が
其
(
その
)
穴
(
あな
)
より
二人
(
ふたり
)
現
(
あら
)
はれ、
036
金扇
(
きんせん
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ひ
舞
(
ま
)
ふとの
事
(
こと
)
です』
037
セム『
此
(
この
)
里
(
さと
)
の
者
(
もの
)
は
伝説
(
でんせつ
)
に
聞
(
き
)
く
計
(
ばか
)
り、
038
恐
(
おそ
)
れて
近寄
(
ちかよ
)
つた
者
(
もの
)
はありませぬ』
039
清彦
(
きよひこ
)
『お
前
(
まへ
)
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るなら、
040
そこまで
案内
(
あんない
)
をして
呉
(
く
)
れないか』
041
エム『
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
は
致
(
いた
)
しますが、
042
うつかり
沼
(
ぬま
)
の
中
(
なか
)
へでも
這入
(
はい
)
つて
貰
(
もら
)
つたら
大変
(
たいへん
)
です』
043
清彦
(
きよひこ
)
『
照彦
(
てるひこ
)
、
044
お
前
(
まへ
)
も
行
(
ゆ
)
かうぢやないか。
045
清子姫
(
きよこひめ
)
、
046
照子姫
(
てるこひめ
)
と
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちが
)
はぬ
美人
(
びじん
)
が
扇
(
あふぎ
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
我々
(
われわれ
)
兄弟
(
きやうだい
)
両人
(
りやうにん
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るぞよ』
047
照彦
(
てるひこ
)
『
兄貴
(
あにき
)
、
048
それは
夢
(
ゆめ
)
だないか。
049
余
(
あんま
)
り
清
(
きよ
)
さま
照
(
てる
)
さまに
精神
(
せいしん
)
を
取
(
と
)
られて
居
(
ゐ
)
るものだから、
050
そんな
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのだよ。
051
キツと
大蛇
(
をろち
)
の
御
(
お
)
化
(
ばけ
)
にきまつてゐる。
052
私
(
わし
)
はマア
止
(
や
)
めておかうか』
053
清彦
(
きよひこ
)
『ハテ
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い。
054
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
経験
(
けいけん
)
の
為
(
ため
)
に
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
たら
如何
(
どう
)
だ。
055
別
(
べつ
)
に
外
(
ほか
)
に
忙
(
いそが
)
しい
用
(
よう
)
があると
云
(
い
)
ふのではない。
056
物
(
もの
)
は
経験
(
けいけん
)
ぢやないか。
057
将来
(
しやうらい
)
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
覇王
(
はわう
)
とならうと
思
(
おも
)
へば、
058
隅々
(
すみずみ
)
までも
探険
(
たんけん
)
しておく
必要
(
ひつえう
)
があるだらう。
059
……お
父
(
とう
)
さま、
060
如何
(
どう
)
でせう。
061
我々
(
われわれ
)
兄弟
(
きやうだい
)
、
062
エムとセムを
案内者
(
あんないしや
)
として
一度
(
いちど
)
探険
(
たんけん
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
たいと
思
(
おも
)
ひますが……』
063
常楠
(
つねくす
)
『
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
つても、
064
ここは
世界
(
せかい
)
の
秘密国
(
ひみつこく
)
だ。
065
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
一
(
ひと
)
つ
調
(
しら
)
べて
貰
(
もら
)
ひたい。
066
……エム、
067
セムの
両人
(
りやうにん
)
、
068
お
前
(
まへ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
069
二人
(
ふたり
)
の
案内
(
あんない
)
をしてやつて
呉
(
く
)
れ』
070
エム、
071
セムの
二人
(
ふたり
)
は
一
(
いち
)
も
二
(
に
)
もなく
承諾
(
しようだく
)
をした。
072
茲
(
ここ
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
常楠
(
つねくす
)
と
共
(
とも
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
073
成功
(
せいこう
)
を
祈願
(
きぐわん
)
し
終
(
をは
)
つて、
074
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
の
軽装
(
けいさう
)
にて、
075
一本
(
いつぽん
)
の
杖
(
つゑ
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
076
芭蕉
(
ばせう
)
の
葉
(
は
)
で
編
(
あ
)
んだ
一文字
(
いちもんじ
)
笠
(
がさ
)
を
頭
(
かしら
)
に
頂
(
いただ
)
き
乍
(
なが
)
ら、
077
一天
(
いつてん
)
雲
(
くも
)
なき
青空
(
あをぞら
)
を
草
(
くさ
)
を
分
(
わ
)
けて、
078
琉球沼
(
りうきうぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
079
里程
(
りてい
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
今
(
いま
)
の
十
(
じふ
)
里
(
り
)
位
(
くらゐ
)
である。
080
湖辺
(
こへん
)
に
着
(
つ
)
いた
頃
(
ころ
)
は
太陽
(
たいやう
)
は
既
(
すで
)
にセークス
山
(
ざん
)
の
頂
(
いただ
)
きに
没
(
ぼつ
)
し、
081
山
(
やま
)
の
影
(
かげ
)
は
湖面
(
こめん
)
を
蔽
(
おほ
)
ふ
頃
(
ころ
)
であつた。
082
清彦
(
きよひこ
)
は
沼
(
ぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
に
立
(
た
)
つて、
083
湖面
(
こめん
)
を
眺
(
なが
)
め
歌
(
うた
)
つて
見
(
み
)
た。
084
清彦
(
きよひこ
)
『
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
清
(
きよ
)
められ
085
魂
(
たま
)
を
研
(
みが
)
いた
清彦
(
きよひこ
)
や
086
身魂
(
みたま
)
も
四方
(
よも
)
に
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
087
照彦
(
てるひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
088
琉球
(
りうきう
)
の
沼
(
ぬま
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
089
鎮
(
しづ
)
まりゐます
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
清子姫
(
きよこひめ
)
090
身魂
(
みたま
)
もてれる
照子姫
(
てるこひめ
)
091
清
(
きよ
)
と
清
(
きよ
)
との
清
(
きよ
)
い
仲
(
なか
)
092
照
(
てる
)
と
照
(
てる
)
との
明
(
あか
)
い
仲
(
なか
)
093
エムとセムとの
案内
(
あない
)
にて
094
お
前
(
まへ
)
に
会
(
あ
)
はんとこがれこがれて
095
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たやさしい
男
(
をとこ
)
096
セークス
山
(
ざん
)
に
日
(
ひ
)
が
隠
(
かく
)
れ
097
早
(
はや
)
烏羽玉
(
うばだま
)
の
夜
(
よ
)
は
近
(
ちか
)
づいた
098
清
(
きよ
)
い
清
(
きよ
)
い
朝日
(
あさひ
)
の
如
(
ごと
)
く
099
明
(
あか
)
き
明
(
あか
)
き
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
100
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
く
如
(
ごと
)
く
101
実
(
げ
)
に
麗
(
うるは
)
しき
男
(
をとこ
)
と
男
(
をとこ
)
102
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
なる
女
(
をんな
)
を
尋
(
たづ
)
ね
103
夢
(
ゆめ
)
に
夢見
(
ゆめみ
)
る
心地
(
ここち
)
して
104
此処
(
ここ
)
まで
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
た
男
(
をとこ
)
105
沼
(
ぬま
)
の
女神
(
めがみ
)
よ
心
(
こころ
)
あらば
106
男
(
をとこ
)
の
切
(
せつ
)
ない
思
(
おも
)
ひを
汲
(
く
)
めよ
107
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
とは
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
108
お
前
(
まへ
)
は
私
(
わし
)
を
清
(
きよ
)
い
心
(
こころ
)
で
109
呼
(
よ
)
んだでないか
110
白
(
しろ
)
きただむき
淡雪
(
あはゆき
)
の
111
若
(
わか
)
やる
胸
(
むね
)
を
素
(
す
)
だたき
112
たたきまながり
真玉手
(
またまで
)
玉手
(
たまで
)
113
互
(
たがひ
)
にさしまき
腿長
(
ももなが
)
に
114
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
して
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
115
守
(
まも
)
りの
神
(
かみ
)
とならうでないか
116
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
なる
清子姫
(
きよこひめ
)
117
照子
(
てるこ
)
の
姫
(
ひめ
)
よ
遥々
(
はるばる
)
と
118
訪
(
たづ
)
ね
来
(
きた
)
れる
清彦
(
きよひこ
)
や
119
照彦
(
てるひこ
)
の
真心
(
まごころ
)
を
120
仇
(
あだ
)
に
思
(
おも
)
ふな
沼
(
ぬま
)
の
主
(
ぬし
)
』
121
と
歌
(
うた
)
つた。
122
照彦
(
てるひこ
)
は
清彦
(
きよひこ
)
の
歌
(
うた
)
の
終
(
をは
)
るを
待
(
ま
)
ち
兼
(
か
)
ねた
様
(
やう
)
に、
123
照彦
(
てるひこ
)
『かくれた かくれた
日輪
(
にちりん
)
様
(
さま
)
は
124
セークス
山
(
ざん
)
の
頂
(
いただ
)
きに
125
沼
(
ぬま
)
を
包
(
つつ
)
んだ
涼
(
すず
)
しい
影
(
かげ
)
に
126
我
(
われ
)
等
(
ら
)
が
心
(
こころ
)
も
涼
(
すず
)
しくなつた
127
心
(
こころ
)
は
照
(
て
)
る
照
(
て
)
る
身魂
(
みたま
)
は
清
(
きよ
)
く
128
小石
(
こいし
)
の
並
(
なら
)
んだ
沼
(
ぬま
)
の
底
(
そこ
)
129
小魚
(
さな
)
の
躍
(
をど
)
りもよく
見
(
み
)
える
130
踊
(
をど
)
るは
小魚
(
こうを
)
のみでない
131
照彦
(
てるひこ
)
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
132
思
(
おも
)
はず
手足
(
てあし
)
が
踊
(
をど
)
り
出
(
だ
)
す
133
照
(
て
)
れよ
照
(
て
)
れ
照
(
て
)
れ
心
(
こころ
)
の
光
(
ひかり
)
134
清
(
きよ
)
い
身魂
(
みたま
)
に
宿
(
やど
)
つた
神
(
かみ
)
の
135
分
(
わけ
)
の
霊魂
(
みたま
)
の
清彦
(
きよひこ
)
兄貴
(
あにき
)
136
兄弟
(
きやうだい
)
二人
(
ふたり
)
が
姉妹
(
おとどい
)
を
137
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
たのも
外
(
ほか
)
でない
138
昨夜
(
ゆうべ
)
兄貴
(
あにき
)
が
見
(
み
)
た
夢
(
ゆめ
)
の
139
沼
(
ぬま
)
の
女
(
をんな
)
に
会
(
あ
)
ひたさに
140
木
(
き
)
の
丸殿
(
まるどの
)
を
立出
(
たちい
)
でて
141
エムとセムとに
送
(
おく
)
られて
142
草野
(
くさの
)
を
分
(
わ
)
けてやつて
来
(
き
)
た
143
男心
(
をとこごころ
)
を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
つて
144
早
(
はや
)
く
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はせよ
145
沼
(
ぬま
)
に
泛
(
うか
)
んだ
珊瑚礁
(
さんごせう
)
146
エムとセムとの
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
けば
147
黄金
(
こがね
)
の
扇
(
あふぎ
)
打
(
うち
)
ひろげ
148
天女
(
てんによ
)
の
様
(
やう
)
な
乙女子
(
をとめご
)
が
149
何時
(
いつ
)
も
現
(
あら
)
はれますと
聞
(
き
)
く
150
私
(
わし
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
琉球
(
りうきう
)
の
151
国
(
くに
)
の
頭
(
かしら
)
に
任
(
ま
)
けられて
152
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
照
(
て
)
りわたる
153
月日
(
つきひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けて
154
二人
(
ふたり
)
と
二人
(
ふたり
)
の
心
(
こころ
)
を
合
(
あは
)
せ
155
北
(
きた
)
と
南
(
みなみ
)
の
夫婦島
(
めをとじま
)
156
千代
(
ちよ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
ばうと
157
お
前
(
まへ
)
にこがれて
来
(
き
)
た
男
(
をとこ
)
158
仇
(
あだ
)
に
返
(
かへ
)
すな
沼
(
ぬま
)
の
主
(
ぬし
)
』
159
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて、
160
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
美
(
うる
)
はしき
砂
(
すな
)
の
布
(
し
)
きつめた
様
(
やう
)
な
浅
(
あさ
)
き
沼
(
ぬま
)
を、
161
小
(
ちい
)
さき
雑魚
(
ざこ
)
を
驚
(
おどろ
)
かせ
乍
(
なが
)
らバサバサと、
162
時
(
とき
)
ならぬ
波
(
なみ
)
を
立
(
た
)
てて
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
163
遥
(
はるか
)
彼方
(
あなた
)
に
黒
(
くろ
)
ずんで
浮
(
う
)
いて
居
(
を
)
る
珊瑚礁
(
さんごせう
)
の
影
(
かげ
)
、
164
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
地平線
(
ちへいせん
)
下
(
か
)
に
没
(
ぼつ
)
し、
165
そろそろ
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
下
(
おろ
)
されて
来
(
き
)
た。
166
涼
(
すず
)
しき
風
(
かぜ
)
は
一行
(
いつかう
)
の
面
(
おもて
)
を
撫
(
な
)
で、
167
水深
(
すゐしん
)
は
最早
(
もはや
)
太腿
(
ふともも
)
の
所
(
ところ
)
まで
浸
(
ひた
)
された。
168
忽
(
たちま
)
ち
島
(
しま
)
はポーツと
明
(
あか
)
くなつた。
169
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
何
(
なん
)
となく
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
み
明
(
あか
)
りを
目当
(
めあて
)
に
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
170
忽
(
たちま
)
ち
現
(
あら
)
はれた
八尋鰐
(
やひろわに
)
、
171
此処
(
ここ
)
よりは
水深
(
すゐしん
)
俄
(
にはか
)
に
増
(
ま
)
して
到底
(
たうてい
)
前進
(
ぜんしん
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ない。
172
ハタと
当惑
(
たうわく
)
して
居
(
ゐ
)
る
矢先
(
やさき
)
、
173
八尋鰐
(
やひろわに
)
は
橋
(
はし
)
の
様
(
やう
)
になつて
其
(
その
)
前
(
まへ
)
に
横
(
よこ
)
たはつた。
174
幾十
(
いくじふ
)
とも
知
(
し
)
れぬ
鰐
(
わに
)
は
珊瑚礁
(
さんごせう
)
を
基点
(
きてん
)
として、
175
長
(
なが
)
き
橋
(
はし
)
を
架
(
か
)
けた
様
(
やう
)
に
単縦陣
(
たんじうぢん
)
を
作
(
つく
)
り、
176
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
に
此
(
この
)
上
(
うへ
)
を
渡
(
わた
)
れ……と
言
(
い
)
はぬ
許
(
ばか
)
りの
意思
(
いし
)
を
示
(
しめ
)
した。
177
清彦
(
きよひこ
)
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
178
鰐
(
わに
)
の
背
(
せ
)
を
覚束
(
おぼつか
)
なげに
踏
(
ふ
)
みこえ
踏
(
ふ
)
みこえ、
179
漸
(
やうや
)
くにしてポツと
明
(
あか
)
い
珊瑚礁
(
さんごせう
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
180
振
(
ふ
)
りかへり
見
(
み
)
れば
今迄
(
いままで
)
現
(
あら
)
はれた
八尋鰐
(
やひろわに
)
の
姿
(
すがた
)
は
水泡
(
みなわ
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
果
(
は
)
て、
181
後
(
あと
)
には
波
(
なみ
)
静
(
しづ
)
かに
魚鱗
(
ぎよりん
)
の
如
(
ごと
)
く
漂
(
ただよ
)
うて
居
(
ゐ
)
た。
182
清彦
(
きよひこ
)
は
珊瑚礁
(
さんごせう
)
に
安着
(
あんちやく
)
した
祝
(
いは
)
ひに、
183
心
(
こころ
)
も
何
(
なん
)
となくいそいそし
乍
(
なが
)
ら、
184
又
(
また
)
も
歌
(
うた
)
ひ
踊
(
をど
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
185
清彦
(
きよひこ
)
『ここは
琉球
(
りうきう
)
の
中心
(
ちうしん
)
地点
(
ちてん
)
186
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
なる
恋妻
(
こひづま
)
の
187
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
隠
(
かく
)
れたる
188
高砂島
(
たかさごじま
)
か
珍島
(
うづしま
)
か
189
珍
(
うづ
)
の
女神
(
めがみ
)
の
御玉
(
みたま
)
の
住処
(
すみか
)
190
琉球
(
りうきう
)
へおじやるなら
191
草鞋
(
わらぢ
)
穿
(
は
)
いておじやれ
192
琉球
(
りうきう
)
は
石原
(
いしはら
)
小石原
(
こいしはら
)
193
唄
(
うた
)
つて
聞
(
き
)
かした
二人
(
ふたり
)
のナイス
194
今
(
いま
)
はいづくに
身
(
み
)
をかくす
195
はるばる
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
た
男
(
をとこ
)
196
出迎
(
でむか
)
へせぬとは
無礼
(
ぶれい
)
ぞや
197
私
(
わし
)
も
男
(
をとこ
)
の
端
(
はし
)
ではないか
198
竜
(
たつ
)
の
化身
(
けしん
)
か
天女
(
てんによ
)
の
果
(
はて
)
か
199
但
(
ただし
)
は
清子
(
きよこ
)
照子
(
てるこ
)
の
幻像
(
げんざう
)
か
200
真偽
(
しんぎ
)
の
程
(
ほど
)
は
我々
(
われわれ
)
の
201
恋
(
こひ
)
に
迷
(
まよ
)
うた
眼
(
まなこ
)
には
202
ハツキリ
分
(
わか
)
らない
203
夢
(
ゆめ
)
に
踊
(
をど
)
つたお
前
(
まへ
)
の
姿
(
すがた
)
204
白
(
しろ
)
い
肌
(
はだへ
)
や
白
(
しろ
)
い
腿
(
もも
)
205
太
(
ふと
)
い
乳房
(
ちぶさ
)
をブラブラと
206
見
(
み
)
せたる
時
(
とき
)
の
心持
(
こころもち
)
207
俺
(
おれ
)
はどうしても
忘
(
わす
)
られぬ
208
恋
(
こひ
)
の
暗路
(
やみぢ
)
に
迷
(
まよ
)
うた
男
(
をとこ
)
209
琉球
(
りうきう
)
の
沼
(
ぬま
)
で
兄弟
(
きやうだい
)
が
210
恋
(
こひ
)
の
虜
(
とりこ
)
とならうとは
211
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
はぬ
清彦
(
きよひこ
)
が
212
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
を
知
(
し
)
るならば
213
夢
(
ゆめ
)
を
破
(
やぶ
)
つて
現実
(
げんじつ
)
の
214
清子
(
きよこ
)
の
姫
(
ひめ
)
や
照子姫
(
てるこひめ
)
215
早
(
はや
)
く
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はせよ
216
お
前
(
まへ
)
に
会
(
あ
)
ひたさ
顔
(
かほ
)
見
(
み
)
たさ
217
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
添
(
そ
)
ひたさに
218
父
(
ちち
)
の
前
(
まへ
)
にて
言挙
(
ことあ
)
げし
219
弟
(
おとうと
)
までも
誘
(
いざな
)
うて
220
やつて
来
(
き
)
たのは
阿呆
(
あほ
)
らしい
221
清姫
(
きよひめ
)
、
照姫
(
てるひめ
)
心
(
こころ
)
あらば
222
夢
(
ゆめ
)
の
姿
(
すがた
)
を
現実
(
げんじつ
)
に
223
早
(
はや
)
く
現
(
あら
)
はせ
自転倒
(
おのころ
)
の
224
神
(
かみ
)
の
島
(
しま
)
をば
後
(
あと
)
にして
225
遥々
(
はるばる
)
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
た
男
(
をとこ
)
226
児島
(
こじま
)
半島
(
はんたう
)
の
磯端
(
いそばた
)
近
(
ちか
)
く
227
波
(
なみ
)
に
揉
(
も
)
まれて
暗礁
(
あんせう
)
に
228
船
(
ふね
)
を
乗
(
の
)
りあげ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
229
消
(
き
)
ゆる
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けた
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
兄弟
(
きやうだい
)
230
瑞
(
みづ
)
の
宝座
(
ほうざ
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
つた
231
お
前
(
まへ
)
二人
(
ふたり
)
を
女房
(
にようばう
)
にしようと
232
兄弟
(
きやうだい
)
二人
(
ふたり
)
が
目星
(
めぼし
)
をつけて
233
互
(
たがひ
)
に
恋
(
こひ
)
を
争
(
あらそ
)
ひつ
234
其
(
その
)
煩
(
うるさ
)
さに
烏羽玉
(
うばたま
)
の
235
暗
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した
236
お
前
(
まへ
)
は
清
(
きよ
)
さま
照
(
てる
)
さまだらう
237
言依別
(
ことよりわけ
)
の
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
238
万里
(
ばんり
)
の
波濤
(
はたう
)
を
横
(
よこ
)
ぎりつ
239
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
渡
(
わた
)
り
越
(
こ
)
したと
思
(
おも
)
うたお
前
(
まへ
)
240
やはり
琉球
(
りうきう
)
が
恋
(
こひ
)
しうて
241
五月蠅
(
うるさ
)
い
二人
(
ふたり
)
を
振棄
(
ふりすて
)
て
242
水
(
みづ
)
で
囲
(
かこ
)
んだ
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
の
243
珊瑚礁
(
さんごせう
)
をば
宝座
(
ほうざ
)
とし
244
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
永久
(
とこしえ
)
に
245
此
(
この
)
岩窟
(
がんくつ
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
め
246
恋
(
こひ
)
を
葬
(
ほうむ
)
るお
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
247
とは
言
(
い
)
ふものの
魂
(
たましひ
)
は
248
ヤツパリ
我々
(
われわれ
)
兄弟
(
きやうだい
)
を
249
忘
(
わす
)
れかねてか
昨夜
(
ゆうべ
)
の
夢
(
ゆめ
)
に
250
黄金
(
こがね
)
の
扇子
(
せんす
)
を
打
(
うち
)
ひろげ
251
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
清彦
(
きよひこ
)
を
252
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
招
(
まね
)
いたぢやないか
253
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
んだ
尊
(
たふと
)
い
夫
(
をつと
)
254
出迎
(
でむか
)
へせぬとは
没義道
(
もぎだう
)
だ
255
恋
(
こひ
)
に
上下
(
じやうげ
)
の
隔
(
へだ
)
てはなかろ
256
三国一
(
さんごくいち
)
の
婿
(
むこ
)
が
来
(
き
)
た
257
早
(
はや
)
く
鉄門
(
かなど
)
を
押
(
お
)
しあけて
258
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
を
迎
(
むか
)
へ
入
(
い
)
れ
259
お
前
(
まへ
)
の
初恋
(
はつこひ
)
うまうまと
260
叶
(
かな
)
へてやらう
又
(
また
)
私
(
わし
)
の
261
初恋
(
はつこひ
)
ならぬ
二度目
(
にどめ
)
の
恋路
(
こひぢ
)
262
国
(
くに
)
に
残
(
のこ
)
した
妻子
(
さいし
)
はあれど
263
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
人
(
ひと
)
の
妻
(
つま
)
264
行方
(
ゆくへ
)
も
知
(
し
)
らぬ
妻子
(
つまこ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
265
かうなる
上
(
うへ
)
はよもや
266
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
に
問
(
と
)
はれはすまい
267
何
(
なん
)
の
躊躇
(
ちうちよ
)
も
要
(
い
)
るものか』
268
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つた。
269
此
(
この
)
時
(
とき
)
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より、
270
岩
(
いは
)
の
戸
(
と
)
を
取外
(
とりはづ
)
して
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でた、
271
ダラダラ
筋
(
すぢ
)
の
被衣
(
はつぴ
)
をつけた
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
272
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
目礼
(
もくれい
)
し、
273
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
差
(
さ
)
し
招
(
まね
)
き、
274
うす
暗
(
ぐら
)
い
岩窟
(
がんくつ
)
を
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
275
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
276
細
(
ほそ
)
き
岩窟
(
がんくつ
)
を
稍
(
やや
)
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
めて、
277
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
上
(
のぼ
)
りつ
下
(
くだ
)
りつ、
278
パツと
明
(
あか
)
るい
広場
(
ひろば
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
279
迎
(
むか
)
への
男
(
をとこ
)
は
手真似
(
てまね
)
で、
280
ここに
暫
(
しばら
)
く
休息
(
きうそく
)
せよと
示
(
しめ
)
した。
281
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
恰好
(
かつかう
)
の
岩
(
いは
)
の
突起
(
とつき
)
に
腰
(
こし
)
を
打
(
う
)
ちかけ、
282
暫
(
しばら
)
く
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
むることとなつた。
283
迎
(
むか
)
への
男
(
をとこ
)
は
其
(
その
)
儘
(
まま
)
どこともなく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
284
嚠喨
(
りうりやう
)
たる
音楽
(
おんがく
)
の
音
(
ね
)
四辺
(
あたり
)
より
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
る。
285
暫
(
しばら
)
くあつて
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
桃色
(
ももいろ
)
の
顔容
(
かんばせ
)
に
纓絡
(
ようらく
)
の
付
(
つ
)
いたる
冠
(
かむり
)
を
戴
(
いただ
)
き、
286
玉串
(
たまぐし
)
を
両手
(
りやうて
)
に
捧
(
ささ
)
げ、
287
悠々
(
いういう
)
として
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
288
一人
(
ひとり
)
は
稍
(
やや
)
丸顔
(
まるがほ
)
に
少
(
すこ
)
しく
身体
(
しんたい
)
太
(
ふと
)
り、
289
一人
(
ひとり
)
は
少
(
すこ
)
しく
年
(
とし
)
若
(
わか
)
く
顔
(
かほ
)
は
細型
(
ほそがた
)
に
体
(
からだ
)
もそれに
応
(
おう
)
じて
稍
(
やや
)
細
(
ほそ
)
く、
290
三十二
(
さんじふに
)
相
(
さう
)
の
具備
(
ぐび
)
したる
観
(
くわん
)
自在天
(
じざいてん
)
の
如
(
ごと
)
き
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
にして、
291
其
(
その
)
崇高
(
けだか
)
き
事
(
こと
)
譬
(
たと
)
ふる
物
(
もの
)
なき
許
(
ばか
)
りであつた。
292
清彦
(
きよひこ
)
、
293
照彦
(
てるひこ
)
は
余
(
あま
)
りの
美
(
うる
)
はしさと
荘厳
(
さうごん
)
さと、
294
どこともなく
犯
(
をか
)
す
可
(
べか
)
らざる
威厳
(
ゐげん
)
の
備
(
そな
)
はるあるに、
295
稍
(
やや
)
怖気
(
おぢけ
)
づき、
296
呆然
(
ばうぜん
)
として
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
看守
(
みまも
)
るのみであつた。
297
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つた
女神
(
めがみ
)
は
清子姫
(
きよこひめ
)
である。
298
花
(
はな
)
の
如
(
ごと
)
き
唇
(
くちびる
)
を
淑
(
しと
)
やかに
開
(
ひら
)
いて
清彦
(
きよひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
299
歌
(
うた
)
つて
言
(
い
)
ふ。
300
清子姫
(
きよこひめ
)
『
妾
(
わらは
)
は
聖地
(
せいち
)
エルサレム
301
神
(
かみ
)
の
都
(
みやこ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
302
天使
(
てんし
)
の
長
(
をさ
)
と
現
(
あ
)
れませる
303
広宗彦
(
ひろむねひこ
)
が
四代
(
よだい
)
の
孫
(
まご
)
304
身魂
(
みたま
)
も
清
(
きよ
)
き
清子姫
(
きよこひめ
)
305
汝
(
なれ
)
が
父
(
ちち
)
の
常楠
(
つねくす
)
は
306
国彦
(
くにひこ
)
、
国姫
(
くにひめ
)
が
三代目
(
さんだいめ
)
の
曾孫
(
ひまご
)
307
元
(
もと
)
を
糾
(
ただ
)
せば
古
(
いにしへ
)
より
308
切
(
き
)
つても
切
(
き
)
れぬ
神
(
かみ
)
の
綱
(
つな
)
309
恋
(
こひ
)
の
懸橋
(
かけはし
)
永久
(
とこしへ
)
に
310
落
(
お
)
ちず
流
(
なが
)
れず
清彦
(
きよひこ
)
が
311
妻
(
つま
)
となるべき
清子姫
(
きよこひめ
)
312
お
前
(
まへ
)
は
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
313
顧
(
かへり
)
みずして
照子姫
(
てるこひめ
)
に
314
思
(
おも
)
ひをかけし
恋男
(
こひをとこ
)
315
モウ
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
316
定
(
さだ
)
まる
縁
(
えにし
)
と
諦
(
あきら
)
めて
317
清子姫
(
きよこひめ
)
の
夫
(
をつと
)
となり
318
夫婦
(
ふうふ
)
仲
(
なか
)
よく
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
319
いや
永久
(
とこしへ
)
に
住居
(
すまゐ
)
して
320
国
(
くに
)
の
司
(
つかさ
)
とならうでないか
321
槻
(
つき
)
の
洞
(
ほら
)
にて
出会
(
であ
)
うた
女
(
をんな
)
322
姿
(
すがた
)
も
顔
(
かほ
)
も
少
(
すこ
)
しも
変
(
かは
)
らぬ
清子姫
(
きよこひめ
)
323
最早
(
もはや
)
お
前
(
まへ
)
の
怪
(
あや
)
しの
夢
(
ゆめ
)
は
324
醒
(
さ
)
めたであらう
325
あなにやし
好男
(
えーをとこ
)
326
あなにやし
好乙女
(
えーをとめ
)
よと
327
八千代
(
やちよ
)
を
契
(
ちぎ
)
る
玉椿
(
たまつばき
)
328
幾千代
(
いくちよ
)
迄
(
まで
)
も
添
(
そ
)
ひ
遂
(
と
)
げて
329
神
(
かみ
)
の
御旨
(
みむね
)
に
叶
(
かな
)
へまつれよ
330
我
(
わが
)
恋
(
こ
)
ふる
清彦
(
きよひこ
)
の
司
(
つかさ
)
331
これぞ
全
(
まつた
)
く
言依別
(
ことよりわけ
)
の
332
教主
(
けうしゆ
)
の
定
(
さだ
)
め
玉
(
たま
)
ひし
333
二人
(
ふたり
)
の
縁
(
えにし
)
334
よもや
否応
(
いやおう
)
ありますまいぞ
335
色
(
いろ
)
好
(
よ
)
き
応答
(
いらへ
)
を
松虫
(
まつむし
)
の
336
泣
(
な
)
いて
暮
(
くら
)
した
我
(
わが
)
心
(
こころ
)
337
仇
(
あだ
)
には
棄
(
す
)
てな
三五
(
あななひ
)
の
338
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
清彦
(
きよひこ
)
よ
339
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
340
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
341
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
342
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
んだ
此
(
この
)
縁
(
えにし
)
343
お
前
(
まへ
)
が
心
(
こころ
)
の
怪
(
あや
)
しき
曲者
(
くせもの
)
に
344
破
(
やぶ
)
られさうな
事
(
こと
)
はない』
345
『サアサアおじや』……と
手
(
て
)
を
執
(
と
)
れば、
346
清彦
(
きよひこ
)
は
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
の
面持
(
おももち
)
にて、
347
清子
(
きよこ
)
の
姫
(
ひめ
)
をよつく
凝視
(
みつ
)
め、
348
俄
(
にはか
)
に
姫
(
ひめ
)
が
恋
(
こひ
)
しくなり、
349
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
かれ
乍
(
なが
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
350
清彦
(
きよひこ
)
『
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
んだ
二人
(
ふたり
)
のえにし
351
深
(
ふか
)
い
仕組
(
しぐみ
)
は
知
(
し
)
らずして
352
汚
(
けが
)
れ
果
(
は
)
てたる
身魂
(
みたま
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら
353
お
前
(
まへ
)
は
好
(
すき
)
ぢや
嫌
(
きら
)
ひぢやと
354
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
うた
恥
(
はづ
)
かしさ
355
照子
(
てるこ
)
の
姫
(
ひめ
)
に
弥
(
いや
)
まさる
356
今
(
いま
)
のお
前
(
まへ
)
の
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
め
357
頓
(
とみ
)
に
恋
(
こひ
)
しくなつて
来
(
き
)
た
358
ホンニお
前
(
まへ
)
は
美
(
うつく
)
しい
359
実
(
げ
)
に
愛
(
あい
)
らしい
妹
(
いも
)
ぢやぞえ
360
夢
(
ゆめ
)
に
牡丹餅
(
ぼたもち
)
、
地獄
(
ぢごく
)
で
仏
(
ほとけ
)
361
何
(
なん
)
に
譬
(
たとへ
)
ん
今日
(
けふ
)
の
喜悦
(
よろこび
)
362
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
なるナイスに
出会
(
であ
)
ひ
363
未
(
いま
)
だ
夢見
(
ゆめみ
)
る
心地
(
ここち
)
して
364
胸
(
むね
)
の
鼓動
(
こどう
)
はドキドキと
365
まだ
治
(
をさ
)
まらぬ
清彦
(
きよひこ
)
が
366
心
(
こころ
)
の
切
(
せつ
)
なさ
嬉
(
うれ
)
しさよ
367
是
(
これ
)
も
夢
(
ゆめ
)
ではあるまいか
368
夢
(
ゆめ
)
なら
夢
(
ゆめ
)
でも
是非
(
ぜひ
)
はない
369
いついつまでも
此
(
この
)
儘
(
まま
)
に
370
夢
(
ゆめ
)
は
醒
(
さ
)
めざれ
夢
(
ゆめ
)
に
夢見
(
ゆめみ
)
る
371
浮世
(
うきよ
)
の
夢
(
ゆめ
)
は
372
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
のパラダイス
373
芙蓉
(
はちす
)
の
山
(
やま
)
に
永久
(
とこしえ
)
に
374
鎮
(
しづ
)
まりゐます
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
375
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
にぬれ
376
此
(
この
)
儘
(
まま
)
此処
(
ここ
)
で
我
(
あ
)
と
汝
(
なれ
)
と
377
夫婦
(
ふうふ
)
の
契
(
ちぎり
)
いや
永
(
なが
)
く
378
相生
(
あひおひ
)
の
松
(
まつ
)
の
色
(
いろ
)
深
(
ふか
)
く
379
褪
(
あ
)
せずにあれや
惟神
(
かむながら
)
380
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
381
心
(
こころ
)
清彦
(
きよひこ
)
、
清子姫
(
きよこひめ
)
382
幾久
(
いくひさ
)
しくも
夢
(
ゆめ
)
の
浮世
(
うきよ
)
の
383
夢
(
ゆめ
)
は
覚
(
さ
)
めざれ』
384
と
歌
(
うた
)
ひつつ
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
導
(
みちび
)
かれ
行
(
ゆ
)
く。
385
音楽
(
おんがく
)
の
声
(
こゑ
)
頻
(
しき
)
りに
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
り、
386
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれぬ
芳香
(
はうかう
)
四辺
(
しへん
)
を
包
(
つつ
)
む。
387
照子姫
(
てるこひめ
)
は
莞爾
(
につこ
)
として
照彦
(
てるひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
388
照子姫
(
てるこひめ
)
『アヽ
好男
(
えーをとこ
)
好男
(
えーをとこ
)
389
心
(
こころ
)
の
色
(
いろ
)
も
照彦
(
てるひこ
)
が
390
離久
(
りきう
)
の
暗
(
やみ
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
391
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
びし
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
392
えにしを
契
(
ちぎ
)
る
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
の
足日
(
たるひ
)
こそ
393
神
(
かみ
)
の
都
(
みやこ
)
のエルサレム
394
源
(
みなもと
)
遠
(
とほ
)
く
広宗彦
(
ひろむねひこ
)
の
395
珍
(
うづ
)
の
血筋
(
ちすぢ
)
と
生
(
うま
)
れたる
396
照子
(
てるこ
)
の
姫
(
ひめ
)
は
今
(
いま
)
茲
(
ここ
)
に
397
汝
(
なんぢ
)
の
来
(
きた
)
るを
待受
(
まちう
)
けて
398
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
藺草
(
ゐぐさ
)
をば
399
刈
(
か
)
り
干
(
ほ
)
し
来
(
きた
)
り
香
(
か
)
も
高
(
たか
)
き
400
藺草
(
ゐぐさ
)
の
畳
(
たたみ
)
織
(
お
)
りなして
401
今迄
(
いままで
)
待
(
ま
)
ちし
恋
(
こひ
)
の
淵
(
ふち
)
402
心
(
こころ
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
日月
(
じつげつ
)
は
403
沼
(
ぬま
)
の
清水
(
しみづ
)
の
面
(
おも
)
清
(
きよ
)
く
404
照子
(
てるこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
真心
(
まごころ
)
を
405
いとも
詳
(
つぶ
)
さに
現
(
あら
)
はしぬ
406
離久
(
りきう
)
の
夢
(
ゆめ
)
も
今
(
いま
)
さめて
407
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
びし
我
(
あが
)
夫
(
つま
)
に
408
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひしも
古
(
いにしへ
)
の
409
深
(
ふか
)
きえにしの
循
(
めぐ
)
り
来
(
き
)
て
410
汝
(
なれ
)
と
再
(
ふたた
)
び
添臥
(
そひぶ
)
しの
411
夢路
(
ゆめぢ
)
を
辿
(
たど
)
る
新枕
(
にひまくら
)
412
身魂
(
みたま
)
の
筋
(
すぢ
)
を
白浪
(
しらなみ
)
の
413
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しづ
)
んだお
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
414
照子
(
てるこ
)
の
姫
(
ひめ
)
を
余所
(
よそ
)
にして
415
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
清子姫
(
きよこひめ
)
416
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
り
玉
(
たま
)
ひたる
417
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
の
情
(
つれ
)
なさよ
418
恨
(
うら
)
み
歎
(
かこ
)
つぢやなけれども
419
尽
(
つ
)
きぬえにしに
搦
(
から
)
まれて
420
結
(
むす
)
ぶの
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
びてし
421
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
は
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
の
422
いと
浅
(
あさ
)
からぬ
契合
(
ちぎりあ
)
ひ
423
久遠
(
くをん
)
の
夢
(
ゆめ
)
は
今
(
いま
)
爰
(
ここ
)
に
424
漸
(
やうや
)
く
晴
(
は
)
れてたらちねの
425
神
(
かみ
)
の
身魂
(
みたま
)
のいそいそと
426
歓
(
ゑら
)
ぎ
玉
(
たま
)
へる
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
よ
427
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
428
汝
(
なれ
)
は
我
(
わが
)
身
(
み
)
の
背
(
せ
)
となりて
429
いつくしみませ
吾
(
あ
)
れも
亦
(
また
)
430
汝
(
なれ
)
をこよなき
夫
(
せ
)
となして
431
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
かむわざ
)
に
432
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむあが
願
(
ねが
)
ひ
433
汝
(
なれ
)
が
心
(
こころ
)
の
岩
(
いは
)
の
戸
(
と
)
を
434
開
(
ひら
)
いて
語
(
かた
)
れ
胸
(
むね
)
の
奥
(
おく
)
435
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
436
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
437
此
(
この
)
岩窟
(
いはやど
)
のいや
堅
(
かた
)
く
438
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
変
(
かは
)
りなく
439
天
(
あま
)
の
御柱
(
みはしら
)
つき
固
(
かた
)
め
440
国
(
くに
)
の
御柱
(
みはしら
)
永遠
(
とことは
)
に
441
固
(
かた
)
く
契
(
ちぎ
)
らん
夫婦仲
(
めをとなか
)
442
あゝ
照彦
(
てるひこ
)
よ
照彦
(
てるひこ
)
よ
443
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
る
444
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
る
曇
(
くも
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
445
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
は
永久
(
とこしへ
)
に
446
心
(
こころ
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
日月
(
じつげつ
)
は
447
互
(
たがひ
)
に
照彦
(
てるひこ
)
、
照子姫
(
てるこひめ
)
448
月日
(
つきひ
)
は
照
(
て
)
る
照
(
て
)
る
常世
(
とこよ
)
は
曇
(
くも
)
る
449
愛
(
あい
)
と
愛
(
あい
)
との
互
(
たがひ
)
の
胸
(
むね
)
に
450
神
(
かみ
)
の
情
(
なさけ
)
の
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
る』
451
と
言
(
い
)
ひ
終
(
をは
)
つて、
452
照彦
(
てるひこ
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
導
(
みちび
)
き
入
(
い
)
る。
453
照彦
(
てるひこ
)
は
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
かれ
乍
(
なが
)
ら、
454
此
(
この
)
やさしき
美
(
うる
)
はしき
女神
(
めがみ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
455
精神
(
せいしん
)
恍惚
(
くわうこつ
)
として、
456
前後
(
ぜんご
)
も
弁
(
わきま
)
へず、
457
只々
(
ただただ
)
感謝
(
かんしや
)
喜悦
(
きえつ
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
び
乍
(
なが
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
458
照彦
(
てるひこ
)
『
琉球
(
りうきう
)
の
沼
(
ぬま
)
の
水
(
みづ
)
清
(
きよ
)
く
459
塵
(
ちり
)
をも
止
(
と
)
めぬ
清子姫
(
きよこひめ
)
460
心
(
こころ
)
の
色
(
いろ
)
も
清彦
(
きよひこ
)
が
461
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せて
神業
(
しんげふ
)
に
462
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るぞ
目出度
(
めでた
)
けれ
463
汝
(
なれ
)
の
心
(
こころ
)
も
照子姫
(
てるこひめ
)
464
引
(
ひ
)
かれて
進
(
すす
)
む
照彦
(
てるひこ
)
は
465
初
(
はじ
)
めて
晴
(
は
)
れた
恋
(
こひ
)
の
暗
(
やみ
)
466
二人
(
ふたり
)
の
妻
(
つま
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
かれ
467
黄金
(
こがね
)
の
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
るよな
468
涼
(
すず
)
しき
心地
(
ここち
)
の
二人
(
ふたり
)
の
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
469
雲井
(
くもゐ
)
の
空
(
そら
)
に
弥
(
いや
)
高
(
たか
)
く
470
神
(
かみ
)
の
救
(
すく
)
ひの
舟
(
ふね
)
として
471
金
(
きん
)
銀
(
ぎん
)
銅
(
どう
)
の
三橋
(
さんけう
)
を
472
昔
(
むかし
)
の
神
(
かみ
)
の
渡
(
わた
)
りたる
473
清
(
きよ
)
き
思
(
おも
)
ひに
充
(
み
)
たされて
474
天教山
(
てんけうざん
)
に
降
(
くだ
)
るごと
475
日頃
(
ひごろ
)
恋
(
こ
)
ひたる
我
(
わが
)
思
(
おも
)
ひ
476
ここに
愈
(
いよいよ
)
撞
(
つき
)
の
御柱
(
みはしら
)
巡
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ
477
あなにやし
好男
(
えーをとこ
)
478
あなにやし
好乙女
(
えーをとめ
)
をと
479
千代
(
ちよ
)
の
契
(
ちぎり
)
の
礎
(
いしずゑ
)
固
(
かた
)
めたる
480
清
(
きよ
)
けき
神
(
かみ
)
の
行
(
おこな
)
ひを
481
繰返
(
くりかへ
)
す
如
(
ごと
)
き
心地
(
ここち
)
して
482
引
(
ひ
)
かれ
行
(
ゆ
)
く
身
(
み
)
ぞ
楽
(
たの
)
しけれ
483
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
484
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
485
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
御教
(
みをしへ
)
は
486
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
照
(
て
)
れよかし
487
我
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
其
(
その
)
仲
(
なか
)
は
488
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
489
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
にいと
円
(
まる
)
く
490
琉球
(
りうきう
)
の
沼
(
ぬま
)
に
影
(
かげ
)
映
(
うつ
)
し
491
天
(
あめ
)
に
輝
(
かがや
)
く
照彦
(
てるひこ
)
や
492
沼
(
ぬま
)
に
映
(
うつ
)
りし
照子姫
(
てるこひめ
)
493
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
とは
永久
(
とこしへ
)
に
494
照
(
て
)
る
照
(
て
)
る
光
(
ひか
)
る
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
く
495
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
の
496
落
(
お
)
ちずにあれや
夫婦仲
(
めをとなか
)
497
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
びし
此
(
この
)
えにし
498
幾億万
(
いくおくまん
)
年
(
ねん
)
末
(
すゑ
)
までも
499
二人
(
ふたり
)
は
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
りかはし
500
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
星
(
ほし
)
の
如
(
ごと
)
501
浜
(
はま
)
の
真砂
(
まさご
)
の
数多
(
かずおほ
)
く
502
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
め
生
(
う
)
め
永久
(
とこしへ
)
に
503
人子
(
ひとご
)
の
司
(
つかさ
)
となりなりて
504
此
(
この
)
浮島
(
うきじま
)
の
守
(
まも
)
り
神
(
がみ
)
505
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
506
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
507
二人
(
ふたり
)
の
夢
(
ゆめ
)
は
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
508
醒
(
さ
)
めずにあれや
永久
(
とこしへ
)
に
509
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる』
510
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つた。
511
忽
(
たちま
)
ち
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
の
隔
(
へだ
)
ての
戸
(
と
)
を
引開
(
ひきあ
)
けて
中
(
なか
)
より
現
(
あら
)
はれた、
512
清彦
(
きよひこ
)
、
513
清子姫
(
きよこひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
、
514
顔色
(
がんしよく
)
麗
(
うるは
)
しく
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて、
515
清子姫
(
きよこひめ
)
は
照子姫
(
てるこひめ
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り、
516
清彦
(
きよひこ
)
は
照彦
(
てるひこ
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り、
517
琉球畳
(
りうきうたたみ
)
を
布
(
し
)
きつめた、
518
岩窟
(
いはや
)
に
似合
(
にあ
)
はぬ
美
(
うる
)
はしき
居間
(
ゐま
)
に
導
(
みちび
)
いた。
519
バナナ、
520
いちご、
521
柿
(
かき
)
、
522
木茄子
(
きなすび
)
、
523
林檎
(
りんご
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
種々
(
くさぐさ
)
の
美
(
うる
)
はしき
果物
(
くだもの
)
、
524
沼
(
ぬま
)
の
特産物
(
とくさんぶつ
)
たる
赤貝
(
あかがひ
)
の
肉
(
にく
)
、
525
石茸
(
いしたけ
)
なぞ
数多
(
あまた
)
並
(
なら
)
べられ、
526
ここに
二夫婦
(
ふたふうふ
)
は
芽出度
(
めでた
)
く
夫婦
(
めをと
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
ぶ
事
(
こと
)
となつた。
527
是
(
これ
)
より
清彦
(
きよひこ
)
、
528
清子姫
(
きよこひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
は
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
を
中心
(
ちうしん
)
として、
529
さしもに
広
(
ひろ
)
き
琉
(
りう
)
の
島
(
しま
)
の
守
(
まも
)
り
神
(
がみ
)
となり、
530
子孫
(
しそん
)
永遠
(
ゑいゑん
)
に
栄
(
さか
)
へて、
531
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
くに
敬
(
うやま
)
はれ、
532
数多
(
あまた
)
の
土人
(
どじん
)
は
其
(
その
)
徳
(
とく
)
に
悦服
(
えつぷく
)
し、
533
世
(
よ
)
は
太平
(
たいへい
)
に
治
(
をさ
)
まつたのである。
534
次
(
つぎ
)
に
照彦
(
てるひこ
)
は
照子姫
(
てるこひめ
)
と
共
(
とも
)
に、
535
南
(
みなみ
)
の
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
り、
536
同
(
おな
)
じく
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
守
(
まも
)
り
神
(
がみ
)
となつて
子孫
(
しそん
)
繁栄
(
はんゑい
)
し、
537
土人
(
どじん
)
に
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
く、
538
親
(
おや
)
の
如
(
ごと
)
く
尊敬
(
そんけい
)
された。
539
南
(
みなみ
)
の
島
(
しま
)
を
一名
(
いちめい
)
球
(
きう
)
の
島
(
しま
)
と
云
(
い
)
ふ。
540
今
(
いま
)
の
八重山
(
やへやま
)
群島
(
ぐんたう
)
は
球
(
きう
)
の
島
(
しま
)
の
一部
(
いちぶ
)
が
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのである。
541
照彦
(
てるひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
時々
(
ときどき
)
球
(
きう
)
の
島
(
しま
)
より、
542
遠
(
とほ
)
く
海路
(
うなぢ
)
を
渡
(
わた
)
り、
543
台湾島
(
たいわんたう
)
の
北部
(
ほくぶ
)
にまで、
544
其
(
その
)
勢力
(
せいりよく
)
を
拡充
(
くわくじゆう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
545
(
大正一一・七・二八
旧六・五
松村真澄
録)
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