霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第七章 無痛(むつう)(はら)〔八〇七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻 篇:第2篇 暗黒の叫 よみ(新仮名遣い):あんこくのさけび
章:第7章 無痛の腹 よみ(新仮名遣い):むつうのはら 通し章番号:807
口述日:1922(大正11)年08月08日(旧06月16日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
泰安城はセールス姫一派の暴政により、国民の怨嗟の声は日増しに高まっていった。ついに、バラモン教のシャーカルタンとトロレンスが一派を率いて蜂起し、それぞれ呼応して泰安城に攻め寄せた。
この変事はたちまち台湾全島に伝わった。ここに真道彦らは重臣を集め、このたびの争乱にどう対処するかを協議することとなった。重臣たちはそろって、この機に乗じて泰安城に攻め寄せ、セールス姫一派も革命軍も退けて、三五教が泰安城の主権を取り戻そうと主張した。
中でも、セールス姫の間者ハールは、カールス王を退けて真道彦が台湾全島の主権を握るべきだ、と主張した。これに対して、あくまでカールス王を元の主君として泰安城を建て直すべきだという一派と、主権者は誰でもよくて台湾島が再び平和に治まればよいのだ、という一派が、互いに議論を争った。
真道彦は憤然として登壇し、自分は祖先来、教権を担当する家柄の者であり、カールス王に取って代わろうなどという野心は持っていない、重臣たちがそのような誤解をすることは心外であると訴えて、日楯・月鉾とともに退場した。
セールス姫の間者カントンはこれを受けて登壇し、真道彦は逆のことを言って謎をかけたのであり、真意はやはり台湾島の王となることなのだ、と真道彦の言を曲解する演説をなした。そして、ここにいる重臣たちは、真の英雄である真道彦が王に就くことに依存はないはずだ、と訴えかけた。
あくまでカールス王を元の主権者に立ち戻そうとする頑固派のエールは、カントンと論争になった。最後にエールは烈火のごとく怒り、カントンを殴り倒して逃げてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-11-20 18:42:09 OBC :rm2807
愛善世界社版:83頁 八幡書店版:第5輯 382頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:38頁 初版: ページ備考:
001 泰安城(たいあんじやう)はセールス(ひめ)002サアルボース、003ホーロケース、004セウルスチン()横暴(わうばう)(きは)まる悪政(あくせい)に、005国民(こくみん)怨嗟(ゑんさ)(こゑ)は、006()(つき)(たか)まり(きた)り、007(やうや)革命(かくめい)機運(きうん)(じゆく)す。008シヤーカルタンの一派(いつぱ)とトロレンスの一派(いつぱ)は、009東西(とうざい)(あひ)呼応(こおう)して、010泰安城(たいあんじやう)()()せ、011(いま)やセールス(ひめ)以下(いか)身辺(しんぺん)は、012(もつと)危急(ききふ)()(せま)つて()た。013(この)(こと)早鐘(はやがね)(ごと)台湾(たいわん)全島(ぜんたう)(ひび)(わた)り、014玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)には(ひと)しほ(はや)(ある)(もの)()より(その)真相(しんさう)報告(はうこく)されたり。
015 (ここ)にヤーチン(ひめ)016真道彦(まみちひこの)(みこと)部下(ぶか)(つか)へたる神司(かむづかさ)ホールサース、017マールエース、018テールスタン、019(その)()数多(あまた)幹部(かんぶ)(れん)八尋殿(やひろどの)(あつ)まつて、020(この)(たび)泰安城(たいあんじやう)()ける大革命(だいかくめい)(てき)騒擾(さうぜう)(たい)して、021如何(いか)なる処置(しよち)()るべきかを協議(けふぎ)したりけり。
022 真道彦(まみちひこの)(みこと)(はじ)め、023日楯(ひたて)024月鉾(つきほこ)八尋殿(やひろどの)中央(ちうあう)なる高座(かうざ)(あら)はれて、025(この)会議(くわいぎ)監督(かんとく)する(こと)となりぬ。
026 ホールサースは、027()第一(だいいち)高座(かうざ)(のぼ)り、028一同(いちどう)(むか)つて開会(かいくわい)挨拶(あいさつ)()べ、029(おもむろ)降壇(かうだん)した。030(つい)でマールエースは、031今回(こんくわい)(あたか)議長格(ぎちやうかく)として意気(いき)揚々(やうやう)登壇(とうだん)し、032一同(いちどう)(むか)ひ、
033マールエース皆様(みなさま)034今日(こんにち)(この)八尋殿(やひろどの)炎暑(えんしよ)(かま)はず、035()集会(しふくわい)(くだ)さいましたのは、036吾々(われわれ)発起人(ほつきにん)として(じつ)感謝(かんしや)(いた)りに()へませぬ。037()きましては諸君(しよくん)()いても(ほぼ)()承知(しようち)(とほ)り、038セールス(ひめ)(その)()暴政(ばうせい)()つて、039国民(こくみん)塗炭(とたん)(くる)しみを()け、040(いま)(この)苦痛(くつう)()()ねて、041新進(しんしん)気鋭(きえい)国民(こくみん)団体(だんたい)は、042シヤーカルタン、043トロレンスの首領(しゆりやう)引率(いんそつ)され、044泰安城(たいあんじやう)()()せたりとの(こと)御座(ござ)います。045(うけたま)はればシヤーカルタン、046トロレンスはバラモン(けう)錚々(さうさう)たる神司(かむづかさ)との(こと)047(かれ)破竹(はちく)(いきほひ)(もつ)泰安城(たいあんじやう)()()り、048(また)もや、049バラモン(てき)暴政(ばうせい)()くに(おい)ては、050()益々(ますます)混乱(こんらん)(かさ)ね、051(つひ)には三五教(あななひけう)聖地(せいち)(まで)蹂躙(じうりん)され、052吾々(われわれ)(この)(しま)より放逐(はうちく)されねばならなくなるのは、053()()るよりも(あきら)かな事実(じじつ)御座(ござ)いませう。054これに(つい)(わたくし)(かんが)へます……(いち)(にち)(はや)三五教(あななひけう)信徒(しんと)(ひき)ゐ、055泰安城(たいあんじやう)(むか)つて言霊戦(ことたません)開始(かいし)し、056シヤーカルタン、057トロレンスの一派(いつぱ)言向(ことむ)(やは)し、058三五教(あななひけう)部下(ぶか)となし、059(その)()(じやう)じて全島(ぜんたう)支配権(しはいけん)(にぎ)らば、060三五教(あななひけう)万世(ばんせい)不易(ふえき)基礎(きそ)()ち、061(また)国民(こくみん)泰平(たいへい)恩恵(おんけい)(よく)する(こと)(かんが)へます。062……(みな)さまの()意見(いけん)如何(いかが)御座(ござ)いませう。063どうぞ(この)演壇(えんだん)(のぼ)りて、064()感想(かんさう)()べて(いただ)きたう御座(ござ)います』
065()つて、066(だん)(くだ)(わが)(せき)()いた。067(この)(とき)(かた)(ゆす)両手(りやうて)(こぶし)(にぎ)()め、068堂々(だうだう)として登壇(とうだん)したのはテールスタンであつた。069満場(まんぢやう)睥睨(へいげい)(なが)(こゑ)(はげ)まして()ふ。
070テールスタン『これの聖地(せいち)(とほ)神代(かみよ)より、071真道彦(まみちひこの)(みこと)(さま)遠祖(ゑんそ)(ここ)(しづ)まり(たま)ひ、072至仁(しじん)至愛(しあい)三五教(あななひけう)樹立(じゆりつ)し、073無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)遵守(じゆんしゆ)して、074ここに国魂神(くにたまがみ)神力(しんりき)(もつ)数多(あまた)国民(こくみん)(をし)(みちび)(たま)ひつつ、075(おほ)年所(ねんしよ)()(たま)ひました。076(しか)(なが)ら、077(あま)極端(きよくたん)なる無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)(ため)追々(おひおひ)(その)領域(りやうゐき)(せば)められ、078(わづか)日月潭(じつげつたん)附近(ふきん)にのみ(その)勢力(せいりよく)維持(ゐぢ)して()られたのは、079諸君(しよくん)()承知(しようち)(とほ)りで御座(ござ)います。080(しか)るに泰安城(たいあんじやう)(おい)てセールス(ひめ)中心(ちうしん)とする悪人輩(あくにんばら)日夜(にちや)行動(かうどう)()きたらず、081吾々(われわれ)(はじ)(この)(せき)(れつ)(たま)幹部(かんぶ)方々(かたがた)は、082顕要(けんえう)地位(ちゐ)()てて、083現世(げんせい)(てき)無勢力(むせいりよく)なる(この)聖地(せいち)(あつ)まり、084信仰(しんかう)三昧(さんまい)()り、085(ほとん)政治欲(せいぢよく)()つて、086花鳥(くわてう)風月(ふうげつ)(とも)となし、087(その)()(おく)(きた)りしも、088(けつ)して無意味(むいみ)吾々(われわれ)光陰(くわういん)(つひ)やして()たのではありませぬ。089(とき)(きた)らば国家(こくか)(ため)全力(ぜんりよく)発揮(はつき)し、090カールス(わう)(たす)けて、091(もと)地位(ちゐ)()やし(たてまつ)り、092完全(くわんぜん)無欠(むけつ)なる神政(しんせい)()き、093(ふたた)(もと)地位(ちゐ)()たむと(ほつ)するの念慮(ねんりよ)(いち)(にち)(わす)れた(こと)はありませぬ。094諸君(しよくん)(おい)ても、095(この)(せき)(れつ)せらるる方々(かたがた)は、096十中(じつちう)八九(はつく)(まで)(もと)泰安城(たいあんじやう)重要(ぢうえう)なる地位(ちゐ)()たせ(たま)ひし方々(かたがた)なれば、097吾々(われわれ)()同感(どうかん)なるべし。098吾々(われわれ)(この)聖地(せいち)(きた)りてより、099三五教(あななひけう)蘇生(そせい)せし(ごと)く、100日々(ひび)隆盛(りうせい)(おもむ)きたるも、101(まつた)人物(じんぶつ)如何(いかん)()(こと)(かんが)へられます。102諸君(しよくん)瀕死(ひんし)(さかひ)にありし三五教(あななひけう)をして、103(かく)(ごと)隆盛(りうせい)(おもむ)かしめたる能力者(のうりよくしや)御座(ござ)いますれば、104キツと(この)腕前(うでまへ)活用(くわつよう)して泰安城(たいあんじやう)(むか)ひ、105シヤーカルタン、106トロレンスの(むか)うを()つて、107(この)(さい)一戦(いつせん)(こころ)み、108セールス(ひめ)言向(ことむ)(やは)し、109(かつ)(また)シヤーカルタン、110トロレンスの一派(いつぱ)(われ)()言霊(ことたま)帰順(きじゆん)せしめ、111全島(ぜんたう)政教(せいけう)両権(りやうけん)掌握(しやうあく)するは、112(この)(とき)()いて何時(いつ)()(きた)るべき。113曠日(くわうじつ)114瀰久(びきう)(いたづら)逡巡(しゆんじゆん)して、115(かれ)()(せん)()されなば、116吾々(われわれ)何時(いつ)()(かしら)(もた)ぐるを()られませうか。117何卒(なにとぞ)皆様(みなさま)(おい)ても()熟慮(じゆくりよ)……(いな)()即考(そくかう)あつて、118(すみや)かに()賛成(さんせい)あらむ(こと)希望(きばう)(いた)します』
119()(をは)つて悠々(いういう)(だん)(くだ)る。120拍手(はくしゆ)(こゑ)雨霰(あめあられ)(ごと)(ぢやう)内外(ないぐわい)(ひび)(わた)つた。
121 (この)(とき)末席(まつせき)よりセールス(ひめ)間者(かんじや)として()()()たるハールは壇上(だんじやう)(あら)はれ、
122ハール『(みな)さまに、123末席(まつせき)吾々(われわれ)(おそ)れげもなく、124(この)高座(かうざ)(のぼ)りて、125()意見(いけん)(うけたま)はりたしと()(あら)はれました。126マールエース、127テールスタンの幹部(かんぶ)(がた)()意見(いけん)は、128末輩(まつぱい)(わたし)(おい)ても、129(きは)めて賛成(さんせい)(いた)します。130()いては三五教(あななひけう)信徒(しんと)(もつ)言霊軍(ことたまぐん)組織(そしき)し、131泰安城(たいあんじやう)()()(たま)目的(もくてき)(この)(たび)暴動(ばうどう)鎮定(ちんてい)し、132シヤーカルタン、133トロレンスの一派(いつぱ)(たい)して痛棒(つうぼう)(くは)ふるにあるか、134(ただし)はセールス(ひめ)中心(ちうしん)とする泰安城(たいあんじやう)重役(ぢうやく)(たい)して、135大痛棒(だいつうぼう)(あた)ふるの覚悟(かくご)御座(ござ)るか、136(この)(てん)を、137何卒(なにとぞ)明瞭(めいれう)()(しめ)(いただ)きたう御座(ござ)います。138()出陣(しゆつぢん)先立(さきだ)ち、139(てき)(さだ)めておかねばなりますまい』
140(こころ)ありげに()()てた。141(この)(とき)ホールサースは(ふたた)壇上(だんじやう)(あら)はれて()ふ。
142ホールサース(てん)(かなら)善人(ぜんにん)(くみ)す。143吾々(われわれ)正義(せいぎ)(ため)(たたか)ふのである。144セールス(ひめ)にして(あく)ならば、145(かれ)(こら)し、146(また)(ぜん)ならば()れを(たす)けん。147シヤーカルタン、148トロレンスにして(その)目的(もくてき)149国家(こくか)民人(みんじん)(ため)ならば(われ)(かれ)(たす)けむ。150()(いづ)れを(ぜん)とも(あく)とも(さだ)(がた)し。151さり(なが)ら、152カールス(わう)()病気(びやうき)(たて)に、153淡渓(たんけい)(ほとり)(ちい)さき(やかた)(つく)り、154(これ)幽閉(いうへい)し、155セウルスチンの(ごと)(いや)しきホーロケースの(せがれ)重用(ぢうよう)して、156悪政(あくせい)()くセールス(ひめ)行動(かうどう)()たたまらず、157(われ)()一同(いちどう)(この)聖地(せいち)(のが)(きた)りし(もの)なれば、158(この)(たび)大騒動(おほさうどう)(その)原因(げんいん)は、159セールス(ひめ)一派(いつぱ)暴政(ばうせい)()りて勃発(ぼつぱつ)せしものたる(こと)(さつ)するに(あま)りあり。160(えう)するに(この)(たび)神軍(しんぐん)はカールス(わう)()(たす)申上(まをしあ)げ、161(ふたた)(もと)泰安城(たいあんじやう)()(なほ)目的(もくてき)(おも)へば間違(まちがひ)なからうと(おも)ひます』
162とキツパリ()つて()けた。163ハールは(ふたた)(くち)(ひら)いて、
164ハール(この)(たび)神軍(しんぐん)(さいはひ)にして勝利(しようり)()165カールス(わう)(すく)()だし、166(ふたた)王位(わうゐ)()たしめなば、167セールス(ひめ)正妃(せいひ)となし(たま)()所存(しよぞん)なるか。168(ただし)はヤーチン(ひめ)(もつ)正妃(せいひ)(さだ)(たま)(かんが)へなりや(うけたま)はりたし』
169(よば)はつた。170ホーレンスは(はじ)めて登壇(とうだん)し、
171ホーレンス吾々(われわれ)(かんがへ)ふる(ところ)は、172カールス(わう)(すく)(たてまつ)り、173ヤーチン(ひめ)正妃(せいひ)となさむ(こと)熱望(ねつばう)して()ります。174さうなればカールス(わう)もヤーチン(ひめ)日頃(ひごろ)(おも)ひが()げられて、175円満(ゑんまん)政事(せいじ)(おこな)はれ、176国民(こくみん)父母(ふぼ)(あふ)がれ(たま)瑞祥(ずゐしやう)(きた)(こと)(しん)じて()ります』
177ハール『ヤーチン(ひめ)(さま)最早(もはや)(むかし)とは()(こころ)(かは)つて()(やう)(おも)はれます。178(この)(こと)第一(だいいち)教主(けうしゆ)真道彦(まみちひこ)(さま)()意見(いけん)()らねばなりますまい。179一般(いつぱん)(うはさ)()れば、180内面(ないめん)(てき)()夫婦(ふうふ)関係(くわんけい)(むす)ばれ()ると()(こと)181むしろ神軍(しんぐん)勝利(しようり)()たる(あかつき)真道彦(まみちひこ)(さま)政教(せいけう)両面(りやうめん)主権者(しゆけんしや)となし、182ヤーチン(ひめ)(さま)(その)()公然(こうぜん)(あそ)ばしたら如何(いかが)御座(ござ)いませう。183それの(はう)余程(よほど)(をさ)まりが()(やう)(かんが)へられます』
184テールスタン『吾々(われわれ)(えう)するに泰安城(たいあんじやう)主権者(しゆけんしや)(えら)(その)幕下(ばくか)(つか)へて(もと)位地(ゐち)(かへ)りさへすれば()いのである。185主権者(しゆけんしや)がカールス(わう)であらうと、186真道彦(まみちひこの)(みこと)であらうと、187()(ところ)ではありませぬ。188吾々(われわれ)(かんがへ)ふる(ところ)では、189真道彦(まみちひこの)(みこと)(さま)(かなら)心中(しんちう)泰安城(たいあんじやう)(わう)たるべきことを()期待(きたい)(あそ)ばされある(こと)確信(かくしん)(いた)し、190泰安城(たいあんじやう)()てて(ここ)(あつ)まつて()(もの)御座(ござ)います。191真道彦(まみちひこの)(みこと)(さま)にして、192(ただ)(たん)教法(けうはふ)(じやう)主権者(しゆけんしや)(もつ)(あま)んずるの()意志(いし)ならば吾々(われわれ)(もと)より斯様(かやう)(ところ)(くび)突込(つつこ)(もの)ではありませぬ。193諸君(しよくん)()かせられても、194吾々(われわれ)同感(どうかん)ならむと(さつ)します』
195 一堂(いちだう)拍手(はくしゆ)(こゑ)()たされた。
196 真道彦(まみちひこ)憤然(ふんぜん)として()(おこ)し、197(だん)中央(ちうあう)(あら)はれ、198慨歎(がいたん)(じやう)()へざるものの(ごと)く、199(しばら)くは壇上(だんじやう)()(ふさ)悄然(せうぜん)として()つた(まま)200両眼(りやうがん)よりは(なみだ)さへ(なが)して()る。201(やうや)くにして(くち)(ひら)き、
202真道彦(まみちひこ)只今(ただいま)幹部(かんぶ)(がた)()(はなし)()き、203(この)真道彦(まみちひこ)()きましては、204(じつ)青天(せいてん)霹靂(へきれき)(まを)さうか、205寝耳(ねみみ)(みづ)(まを)さうか、206(おどろ)きと慨歎(がいたん)とに(つつ)まれて(しま)ひました。207()(なか)誤解(ごかい)(くらゐ)(おそ)ろしきものは()りませぬ。208各自(めいめい)(こころ)(もつ)(ひと)(こころ)()(はか)ると()(こと)は、209(じつ)対者(たいしや)たるもの(おそ)るべき迷惑(めいわく)(かん)じます。210吾々(われわれ)祖先(そせん)以来(いらい)211国魂(くにたま)(かみ)(まつ)り、212三五教(あななひけう)(をしへ)(かた)遵守(じゆんしゆ)し、213(すこ)しも政治(せいぢ)(こころ)(かたむ)けず、214万民(ばんみん)善道(ぜんだう)教化(けうくわ)するを(もつ)最善(さいぜん)任務(にんむ)衷心(ちうしん)より(かた)(しん)じ、215()神慮(しんりよ)万民(ばんみん)(つた)ふるを(もつ)て、216無限(むげん)光栄(くわうえい)(ぞん)じて()ります。217(しか)るに只今(ただいま)幹部(かんぶ)(がた)()意見(いけん)(うけたま)はり()れば、218(わたくし)(もつ)政治(せいぢ)(てき)救世主(きうせいしゆ)(ごと)(おも)つて()られるやうで御座(ござ)います。219(また)王族(わうぞく)たるヤーチン(ひめ)(さま)(わたくし)(あひだ)に、220(なん)だか(あや)しき関係(くわんけい)でも(むす)ばれある(やう)語気(ごき)()らされました。221(わたくし)(じつ)心外(しんぐわい)千万(せんばん)でなりませぬ。222どうぞ三五教(あななひけう)精神(せいしん)と、223吾々(われわれ)誠意(せいい)()()諒解(りやうかい)(くだ)さいまして、224大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)(さま)御旨(みむね)(かな)はせらるる(やう)225(かみ)かけて(いの)(たてまつ)ります。226(かさ)ねて(まを)して()きますが、227(けつ)して(この)真道彦(まみちひこ)物質(ぶつしつ)(てき)野心(やしん)()ければ、228政治(せいぢ)(てき)欲望(よくばう)毫末(がうまつ)()りませぬ。229(また)皆様(みなさま)()されて政治(せいぢ)(てき)権威(けんゐ)(にぎ)らうとは、230夢寐(むび)にも(おも)ひませぬ。231(この)(こと)呉々(くれぐれ)()承知(しようち)をして(いただ)きたう御座(ござ)います』
232()(をは)り、233憮然(ぶぜん)として、234(わが)居間(ゐま)姿(すがた)(かく)した。235真道彦(まみちひこ)退場(たいぢやう)()れて、236日楯(ひたて)237月鉾(つきほこ)兄弟(きやうだい)(また)満場(まんぢやう)目礼(もくれい)し、238悄然(せうぜん)として(ちち)(あと)(したが)(この)議席(ぎせき)退場(たいぢやう)したり。
239 (あと)には気兼(きがね)なしの大会場(だいくわいぢやう)口々(くちぐち)勝手(かつて)議論(ぎろん)沸騰(ふつとう)()した。240セールス(ひめ)間者(かんじや)として(かね)てより()()()たりしカントンと()(をとこ)241(たちま)壇上(だんじやう)(あら)はれ(しう)(むか)つて()ふ。
242カントン『(みな)さま、243只今(ただいま)真道彦(まみちひこの)(みこと)(あふ)せられた()言葉(ことば)244(なん)()観察(くわんさつ)なされますか。245吾々(われわれ)貧弱(ひんじやく)なる智識(ちしき)(もつ)教主(けうしゆ)()心中(しんちう)測量(そくりやう)(いた)すは、246(すこ)しく烏呼(をこ)沙汰(さた)では御座(ござ)いますが、247あの()言葉(ことば)は、248吾々(われわれ)(こころ)にも()嘘言(そらごと)()つて()られるのだと(おも)ひます。249政治(せいぢ)(てき)野心(やしん)毛頭(まうとう)()いと(あふ)せられたのは、250(えう)するに(おほい)()りといふ(なぞ)御座(ござ)いませう。251注意(ちうい)周到(しうたう)なる教主(けうしゆ)はセールス(ひめ)間者(かんじや)252もしや信徒(しんと)()けて(しの)()()るやも()れずと心遣(こころづか)ひ、253……ヤアもう英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)心事(しんじ)容易(ようい)(はか)()れないもので御座(ござ)います。254吾々(われわれ)はキツと真道彦(まみちひこの)(みこと)255泰安城(たいあんじやう)(あら)はれ、256(みづか)主権者(しゆけんしや)となり、257最愛(さいあい)のヤーチン(ひめ)(きさき)として君臨(くんりん)せむと心中(しんちう)企画(きくわく)()らるる(こと)は、258(すこ)しも(うたが)ふの余地(よち)なき(こと)(かた)(しん)じます。259幹部(かんぶ)方々(かたがた)()意見(いけん)如何(いかが)御座(ござ)いまするか』
260 一同(いちどう)は『賛成(さんせい)々々(さんせい)261(もつと)(もつと)も』と拍手(はくしゆ)して(むか)へた。262カントンは得意(とくい)(はな)(うごめ)かし(なが)両手(りやうて)鷹揚(おうよう)()りつつ、263(だん)(くだ)りて自席(じせき)()く。
264 幹部(かんぶ)一人(ひとり)(きこ)えたる頑固派(ぐわんこは)頭領株(とうりやうかぶ)エールは、265(あわただ)しく壇上(だんじやう)立上(たちあが)り、
266エール吾々(われわれ)(もと)より泰安城(たいあんじやう)重臣(ぢうしん)としてカールス(わう)(つか)へ、267殊恩(しゆおん)(よく)したる(もの)268(しか)るにサアルボース、269ホーロケース一派(いつぱ)悪臣(あくしん)(ため)大恩(だいおん)あるカールス(わう)()病気(びやうき)(たて)に、270淡渓(たんけい)(ほとり)幽閉(いうへい)(たてまつ)り、271悪鬼(あくき)(ごと)きセールス(ひめ)272(けん)(ほしいまま)にし、273暴虐(ばうぎやく)日々(ひび)増長(ぞうちよう)し、274無念(むねん)(なみだ)やる()なく、275如何(いか)にもしてカールス(わう)(すく)(たてまつ)り、276(もと)泰安城(たいあんじやう)立直(たてなほ)さむと肺肝(はいかん)(くだ)きつつあつた(もの)御座(ござ)います。277(しか)るに(てん)(とき)(いま)(いた)らず、278(なみだ)()んで(とき)(いた)るを()(うち)279(この)玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)に、280現幽(げんいう)二界(にかい)救世主(きうせいしゆ)(あら)はれたりと()き、281城内(じやうない)脱出(だつしゆつ)して、282(ここ)三五教(あななひけう)信徒(しんと)となり、283幹部(かんぶ)(れつ)せられ、284(とき)()てカールス(わう)(ため)全力(ぜんりよく)(つく)し、285忠義(ちうぎ)()てむと決意(けつい)し、286顕要(けんえう)地位(ちゐ)(すて)て、287無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)三五教(あななひけう)()()せて()たのであります。288(しか)(なが)吾々(われわれ)日夜(にちや)真道彦(まみちひこ)挙動(きよどう)偵察(ていさつ)するに、289(おそ)(おほ)くもヤーチン(ひめ)(あや)しき交際(かうさい)(むす)ばれたる(ごと)(かん)ぜられ、290憤怒(ふんぬ)(じやう)()へませぬ。291(また)一般(いつぱん)(うはさ)もヤハリ教主(けうしゆ)とヤーチン(ひめ)との交際(かうさい)(てん)(つい)て、292ヒソビソと(あや)しき(うはさ)()つて()ります。293()()(ところ)には(けつ)して(けぶり)()つものではありませぬ。294これに()いて吾々(われわれ)(かんが)へまするに、295教主(けうしゆ)最早(もはや)ヤーチン(ひめ)内縁(ないえん)(つま)となし()らるる以上(いじやう)は、296仮令(たとへ)カールス(わう)(すく)ひたりとて、297一旦(いつたん)(けが)されたるヤーチン(ひめ)をして、298堂々(だうだう)王妃(わうひ)(すす)めまつる(こと)は、299吾々(われわれ)臣下(しんか)()として(しの)びざる(ところ)御座(ござ)います。300(また)教主(けうしゆ)はヤーチン(ひめ)自己(じこ)薬籠中(やくろうちう)(もの)となし、301カールス(わう)排斥(はいせき)して(みづか)治権(ちけん)(にぎ)野心(やしん)包蔵(はうざう)さるるは、302一点(いつてん)(うたが)ふの余地(よち)()からうかと(しん)じます』
303憤然(ふんぜん)として壇上(だんじやう)雄健(をたけ)びし、304足踏(あしふ)みならして鼻息(はないき)(あら)降壇(かうだん)した。
305 カントンは(ふたた)壇上(だんじやう)(あが)り、
306カントン吾々(われわれ)時節(じせつ)(ちから)()(こと)(かた)(しん)じて()(もの)御座(ござ)います。307泰安城(たいあんじやう)主権者(しゆけんしや)が、308カールス(わう)だらうが、309真道彦(まみちひこの)(みこと)であらうが、310(ただし)はセールス(ひめ)であらうが、311国民(こくみん)歓迎(くわんげい)する主権者(しゆけんしや)であらば()いので御座(ござ)います。312天下(てんか)公共(こうきよう)(ため)には些々(ささ)たる感情(かんじやう)(ため)左右(さいう)されてはなりますまい。313只今(ただいま)エールさまの()言葉(ことば)一応(いちおう)御尤(ごもつと)もでは御座(ござ)いまするが、314それはエール(その)(ひと)本位(ほんゐ)としての議論(ぎろん)であつて、315天下(てんか)通用(つうよう)しにくい()(はなし)だと(おも)ひます。316カールス(わう)殊恩(しゆおん)(かうむ)つた(その)御恩(ごおん)(むく)いむ(ため)種々(いろいろ)肺肝(はいかん)(くだ)かせらるるは、317それは主従(しゆじゆう)としての関係(くわんけい)(じやう)318主恩(しゆおん)(むく)いむとする真心(まごころ)より()でさせられたる感情論(かんじやうろん)であつて、319()はば乾児(こぶん)親分(おやぶん)贔屓(ひいき)をする(やう)なものであります。320国民(こくみん)一般(いつぱん)より()れば(あま)問題(もんだい)とならない議論(ぎろん)だと、321(わたくし)(おも)ふのであります。322吾々(われわれ)(ごと)無冠(むかん)太夫(たいふ)(べつ)にエール(さま)(ごと)く、323特別(とくべつ)恩寵(おんちよう)(かうむ)つた(おぼ)えもなければ、324(また)カールス(わう)(たい)して一片(いつぺん)(うら)みも()ちませぬ。325(ただ)(この)(さい)国家(こくか)(ため)善良(ぜんりやう)なる主権者(しゆけんしや)()326万民(ばんみん)鼓腹(こふく)撃壌(げきじやう)享楽(きやうらく)()(やう)に、327()(なか)(すす)みさへすれば、328それで満足(まんぞく)であります。329諸君(しよくん)()(かんが)へは如何(いかが)御座(ござ)いますか。330小田原(をだはら)評定(へうぢやう)にあたら光陰(くわういん)空費(くうひ)し、331時機(じき)(しつ)するよりは、332手取早(てつとりばや)(はなし)()めて、333(はや)救援(きうゑん)(むか)はねば、334国家(こくか)益々(ますます)修羅(しゆら)(ちまた)惨状(さんじやう)(きは)め、335国民(こくみん)(くる)しみは()()うて(はげ)しくなるでせう。336(なに)()もあれ、337出陣(しゆつぢん)非出陣(ひしゆつぢん)か、338(いち)()(はや)諸君(しよくん)誠意(せいい)()つて()決定(けつてい)(ねが)ひます』
339()(をは)るや、340以前(いぜん)のエールは烈火(れつくわ)(ごと)(いきどほ)り、341(たちま)壇上(だんじやう)駆上(かけあ)がり、342弁者(べんしや)面上(めんじやう)()あてに鉄拳(てつけん)乱打(らんだ)したるより、343満場(まんぢやう)総立(さうだ)ちとなりて、
344(一同)『ヤレ乱暴者(らんばうもの)(とら)へよ』
345とひしめき()ちぬ。346エールは敏捷(びんせふ)にも混乱(こんらん)(すき)(うかが)ひ、347何処(どこ)ともなく、348(この)()より姿(すがた)(かく)したりける。
349大正一一・八・八 旧六・一六 松村真澄録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→