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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第28巻(卯の巻)
序歌
総説歌
第1篇 高砂の島
第1章 カールス王
第2章 無理槍
第3章 玉藻山
第4章 淡渓の流
第5章 難有迷惑
第6章 麻の紊れ
第2篇 暗黒の叫
第7章 無痛の腹
第8章 混乱戦
第9章 当推量
第10章 縺れ髪
第11章 木茄子
第12章 サワラの都
第3篇 光明の魁
第13章 唖の対面
第14章 二男三女
第15章 願望成就
第16章 盲亀の浮木
第17章 誠の告白
第18章 天下泰平
第4篇 南米探険
第19章 高島丸
第20章 鉈理屈
第21章 喰へぬ女
第22章 高砂上陸
跋(暗闇)
余白歌
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(B)
(N)
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第一五章
願望
(
ぐわんまう
)
成就
(
じやうじゆ
)
〔八一五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:
第3篇 光明の魁
よみ(新仮名遣い):
こうみょうのさきがけ
章:
第15章 願望成就
よみ(新仮名遣い):
がんもうじょうじゅ
通し章番号:
815
口述日:
1922(大正11)年08月09日(旧06月17日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
日楯と月鉾は、マリヤス姫にならって、これまでの艱難辛苦から、今の神宝を授けられて戻ってきた喜びと、これからの戦いに臨む意気込みを歌った。
月鉾はテーリン姫に向かって、泰安城の戦に出て見事凱旋してから夫婦の契りを結ぼうと歌いかけた。
それに対してテーリン姫は、本当に自分を想う気持ちがあるのであれば、出陣前に今ここで、夫婦の誓いをして自分も戦に連れて行ってくれと歌って月鉾に迫った。
マリヤス姫も月鉾を促した。そして、ここに月鉾とテーリン姫の結婚式が行われた。これより、マリヤス姫を主将とし、日楯・月鉾夫婦と八千代姫、照代姫らは準備を整えて出陣することとなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-01 18:11:35
OBC :
rm2815
愛善世界社版:
179頁
八幡書店版:
第5輯 418頁
修補版:
校定版:
184頁
普及版:
84頁
初版:
ページ備考:
001
日楯
(
ひたて
)
は
祝意
(
しゆくい
)
を
表
(
へう
)
する
為
(
ため
)
、
002
マリヤス
姫
(
ひめ
)
に
傚
(
なら
)
つて
自
(
みづか
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
且
(
か
)
つ
自
(
みづか
)
ら
舞
(
ま
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
003
日楯
『
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より
004
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
選
(
えら
)
みてし
005
高砂島
(
たかさごじま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
006
雲
(
くも
)
に
聳
(
そび
)
えた
新高
(
にひたか
)
の
007
山
(
やま
)
の
巽
(
たつみ
)
の
神聖地
(
しんせいち
)
008
日月潭
(
じつげつたん
)
の
湖
(
みづうみ
)
を
009
控
(
ひか
)
へて
清
(
きよ
)
き
玉藻山
(
たまもやま
)
010
遠津
(
とほつ
)
御祖
(
みおや
)
の
真道彦
(
まみちひこの
)
命
(
みこと
)
は
011
代毎
(
よごと
)
々々
(
よごと
)
に
神定
(
しんてい
)
の
012
此処
(
ここ
)
に
鎮
(
しづ
)
まりましまして
013
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
014
四方
(
よも
)
の
民草
(
たみぐさ
)
残
(
のこ
)
りなく
015
教
(
をし
)
へ
導
(
みちび
)
き
玉
(
たま
)
ひつつ
016
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
の
御代
(
みよ
)
になり
017
醜
(
しこ
)
の
教
(
をしへ
)
のバラモン
教
(
けう
)
018
此
(
この
)
神島
(
かみしま
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
019
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
を
020
世人
(
よびと
)
の
頭
(
あたま
)
に
浸
(
し
)
み
込
(
こ
)
ませ
021
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
曇
(
くも
)
る
人心
(
ひとごころ
)
022
山河
(
やまかは
)
どよみ
草木
(
くさき
)
枯
(
か
)
れ
023
四方
(
よも
)
の
人々
(
ひとびと
)
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
び
024
争
(
あらそ
)
ひ
絶
(
た
)
ゆる
隙
(
ひま
)
もなく
025
修羅
(
しゆら
)
の
巷
(
ちまた
)
となり
果
(
は
)
てぬ
026
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
は
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
027
有様
(
ありさま
)
見
(
み
)
るに
忍
(
しの
)
びかね
028
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
029
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
に
030
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なにこまごまと
031
諭
(
さと
)
し
玉
(
たま
)
へど
如何
(
いか
)
にせむ
032
時
(
とき
)
の
力
(
ちから
)
は
容赦
(
ようしや
)
なく
033
悪人
(
あくにん
)
栄
(
さか
)
え
蔓
(
はびこ
)
りて
034
善
(
ぜん
)
はますます
凋落
(
てうらく
)
し
035
神
(
かみ
)
の
威徳
(
ゐとく
)
も
完全
(
くわんぜん
)
に
036
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
はず
今
(
いま
)
は
早
(
はや
)
037
御国
(
みくに
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
したる
038
其
(
その
)
真心
(
まごころ
)
が
仇
(
あだ
)
となり
039
カールス
王
(
わう
)
に
疑
(
うたが
)
はれ
040
往来
(
ゆきき
)
絶
(
た
)
えたる
岩窟
(
がんくつ
)
上
(
じやう
)
の
041
暗
(
くら
)
き
牢獄
(
ひとや
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
し
042
果敢
(
はか
)
なき
浮世
(
うきよ
)
を
歎
(
かこ
)
ちつつ
043
暮
(
くら
)
し
玉
(
たま
)
へる
悲
(
かな
)
しさに
044
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
兄弟
(
きやうだい
)
両人
(
りやうにん
)
は
045
烏羽玉
(
うばたま
)
の
世
(
よ
)
を
046
旭
(
あさひ
)
の
豊栄
(
とよさか
)
昇
(
のぼ
)
るごと
047
照
(
てら
)
し
清
(
きよ
)
めて
国民
(
くにたみ
)
を
048
塗炭
(
とたん
)
の
苦
(
く
)
より
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
し
049
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
の
寃罪
(
ゑんざい
)
を
050
すすぎまつりて
孝養
(
かうやう
)
を
051
尽
(
つく
)
さむものと
国魂神
(
くにたまがみ
)
052
竜世
(
たつよ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
053
いと
厳
(
おごそ
)
かに
被
(
かかぶ
)
りて
054
アーリス
山
(
ざん
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
055
須安
(
シユアン
)
の
山
(
やま
)
の
峰伝
(
みねづた
)
ひ
056
ふみも
慣
(
なら
)
らはぬ
長
(
なが
)
の
旅
(
たび
)
057
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
波
(
なみ
)
を
乗切
(
のりき
)
りて
058
弟
(
おとうと
)
月鉾
(
つきほこ
)
、ユリコ
姫
(
ひめ
)
059
茲
(
ここ
)
に
三人
(
みたり
)
は
琉球
(
りうきう
)
の
060
南
(
みなみ
)
の
島
(
しま
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
061
サワラの
都
(
みやこ
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
062
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
063
国王
(
こきし
)
を
兼
(
か
)
ねたる
照彦王
(
てるひこわう
)
や
064
照子
(
てるこ
)
の
姫
(
ひめ
)
に
面会
(
めんくわい
)
し
065
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
神策
(
しんさく
)
を
066
いと
細
(
こま
)
やかに
教
(
をし
)
へられ
067
大谷川
(
おほたにがは
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
068
向陽山
(
こうやうざん
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
069
進
(
すす
)
み
進
(
すす
)
みて
常楠
(
つねくす
)
の
070
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
仙人
(
せんにん
)
に
071
玉
(
たま
)
や
鏡
(
かがみ
)
を
授
(
さづ
)
けられ
072
二男
(
になん
)
三女
(
さんによ
)
の
五
(
い
)
つ
身魂
(
みたま
)
073
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
み
身
(
み
)
も
軽
(
かる
)
く
074
再
(
ふたた
)
び
船
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
りて
075
此
(
この
)
神島
(
かみしま
)
に
到着
(
たうちやく
)
し
076
やうやう
此処
(
ここ
)
に
帰
(
かへ
)
りけり
077
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
078
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
079
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
兄弟
(
きやうだい
)
始
(
はじ
)
めとし
080
ユリコの
姫
(
ひめ
)
や
八千代
(
やちよ
)
姫
(
ひめ
)
081
曇
(
くも
)
る
此
(
この
)
世
(
よ
)
も
照代姫
(
てるよひめ
)
082
奇
(
くし
)
き
功績
(
いさを
)
を
現
(
あら
)
はして
083
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
の
永久
(
とことは
)
に
084
鎮
(
しづ
)
まりゐませし
霊場
(
れいぢやう
)
に
085
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
れる
嬉
(
うれ
)
しさは
086
何
(
なん
)
に
譬
(
たと
)
へむ
物
(
もの
)
もなし
087
あゝ
尊
(
たふと
)
しや
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
088
仰
(
あふ
)
ぐも
畏
(
かしこ
)
き
神
(
かみ
)
の
徳
(
とく
)
089
いよいよ
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
大神
(
おほかみ
)
の
090
大御守
(
おほみまも
)
りを
力
(
ちから
)
とし
091
泰安城
(
たいあんじやう
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
092
玉
(
たま
)
と
鏡
(
かがみ
)
を
手
(
て
)
に
持
(
も
)
ちて
093
言霊戦
(
ことたません
)
を
押開
(
おしひら
)
き
094
魔神
(
まがみ
)
を
残
(
のこ
)
らず
言向
(
ことむ
)
けて
095
カールス
王
(
わう
)
やヤーチン
姫
(
ひめ
)
の
096
珍
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
を
始
(
はじ
)
めとし
097
恋
(
こひ
)
しき
父
(
ちち
)
の
生命
(
いのち
)
をば
098
救
(
すく
)
ひ
奉
(
まつ
)
らむ
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
099
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
し
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
100
仰
(
あふ
)
げば
高
(
たか
)
し
神
(
かみ
)
の
徳
(
とく
)
101
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
102
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
103
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
座
(
ざ
)
に
着
(
つ
)
いた。
104
月鉾
(
つきほこ
)
は
又
(
また
)
もや
立上
(
たちあが
)
り
自
(
みづか
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
自
(
みづか
)
ら
舞
(
ま
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
105
月鉾
『
時世
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
といひ
乍
(
なが
)
ら
106
父
(
ちち
)
は
牢獄
(
ひとや
)
に
捕
(
とら
)
へられ
107
三五教
(
あななひけう
)
の
聖地
(
せいち
)
なる
108
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
109
千代
(
ちよ
)
の
住家
(
すみか
)
と
定
(
さだ
)
めたる
110
数多
(
あまた
)
の
神
(
かみ
)
の
取次
(
とりつぎ
)
も
111
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
の
遭難
(
さうなん
)
に
112
心
(
こころ
)
の
生地
(
きぢ
)
を
露
(
あら
)
はして
113
神
(
かみ
)
に
反
(
そむ
)
いて
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り
114
阿諛
(
あゆ
)
諂佞
(
てんねい
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
し
115
カールス
王
(
わう
)
に
取入
(
とりい
)
りて
116
自己
(
じこ
)
の
利益
(
りえき
)
や
栄達
(
えいたつ
)
を
117
謀
(
はか
)
る
魔神
(
まがみ
)
と
還
(
かへ
)
りけり
118
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
119
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
120
二
(
ふた
)
つなき
身
(
み
)
の
生命
(
いのち
)
をば
121
神
(
かみ
)
の
為
(
ため
)
には
捧
(
ささ
)
げむと
122
口先
(
くちさき
)
計
(
ばか
)
り
華
(
はな
)
やかに
123
囀
(
さへづ
)
りゐたる
百鳥
(
ももどり
)
の
124
尻
(
しり
)
より
糞
(
ふん
)
を
引
(
ひ
)
つかけて
125
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
の
曲業
(
まがわざ
)
に
126
無念
(
むねん
)
の
涙
(
なみだ
)
やるせなく
127
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
128
珍
(
うづ
)
の
御前
(
みまへ
)
にひれ
伏
(
ふ
)
して
129
祈
(
いの
)
る
折
(
を
)
りしも
竜世姫
(
たつよひめ
)
130
いと
厳
(
おごそ
)
かに
現
(
あら
)
はれて
131
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ
132
汝
(
なんぢ
)
はこれより
琉球
(
りうきう
)
の
133
南
(
みなみ
)
の
島
(
しま
)
に
打渡
(
うちわた
)
り
134
サワラの
都
(
みやこ
)
の
照彦王
(
てるひこわう
)
に
135
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
面会
(
めんくわい
)
し
136
至治
(
しち
)
太平
(
たいへい
)
の
神策
(
しんさく
)
を
137
授
(
さづ
)
かり
帰
(
かへ
)
れと
詳細
(
こまごま
)
と
138
宣
(
の
)
らせ
玉
(
たま
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさに
139
兄
(
あに
)
の
日楯
(
ひたて
)
やユリコ
姫
(
ひめ
)
140
暗
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
聖地
(
せいち
)
をば
141
密
(
ひそか
)
に
立出
(
たちい
)
で
蓑笠
(
みのかさ
)
の
142
軽
(
かる
)
き
扮装
(
いでたち
)
トボトボと
143
山路
(
やまぢ
)
を
伝
(
つた
)
ひてアーリスの
144
峠
(
たうげ
)
にかかり
路端
(
みちばた
)
の
145
巌
(
いはほ
)
に
腰
(
こし
)
を
打掛
(
うちか
)
けて
146
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
むる
折柄
(
をりから
)
に
147
思掛
(
おもひが
)
けなきテーリン
姫
(
ひめ
)
が
148
蛇
(
へび
)
が
蛙
(
かはず
)
を
狙
(
ねら
)
ひし
如
(
ごと
)
く
149
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひて
150
大胆
(
だいたん
)
至極
(
しごく
)
の
一人旅
(
ひとりたび
)
151
ヤツサモツサと
恨
(
うら
)
み
言
(
ごと
)
152
百万
(
ひやくまん
)
ダラリと
並
(
なら
)
べられ
153
困
(
こま
)
り
切
(
き
)
つたる
最中
(
さいちう
)
に
154
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でしマリヤス
姫
(
ひめ
)
の
155
珍
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
御計
(
みはか
)
らひ
156
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
を
打
(
うち
)
ふりて
157
吾
(
わが
)
身体
(
しんたい
)
を
滅多打
(
めつたうち
)
158
木石
(
ぼくせき
)
ならぬ
月鉾
(
つきほこ
)
も
159
腹
(
はら
)
は
切
(
しき
)
りに
立騒
(
たちさわ
)
ぎ
160
悔
(
くや
)
し
涙
(
なみだ
)
は
雨
(
あめ
)
の
如
(
ごと
)
161
降
(
ふ
)
り
来
(
きた
)
れ
共
(
ども
)
如何
(
いか
)
にせむ
162
大事
(
だいじ
)
を
抱
(
かか
)
へし
今
(
いま
)
の
身
(
み
)
は
163
堪忍
(
かんにん
)
するより
道
(
みち
)
なしと
164
諦
(
あきら
)
め
居
(
ゐ
)
たる
折柄
(
をりから
)
に
165
テーリン
姫
(
ひめ
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
166
マリヤス
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
腕
(
うで
)
に
167
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
噛
(
かぶ
)
りつき
168
争
(
あらそ
)
ふ
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかが
)
ひて
169
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
三人
(
みたり
)
は
逸早
(
いちはや
)
く
170
暗
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
身
(
み
)
をかくし
171
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
渉
(
わた
)
り
谷
(
たに
)
を
越
(
こ
)
え
172
いろいろ
雑多
(
ざつた
)
の
苦
(
くるし
)
みを
173
嘗
(
な
)
めてやうやうキル
港
(
みなと
)
174
船
(
ふね
)
を
求
(
もと
)
めて
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
175
琉球島
(
りうきうじま
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
176
竜世
(
たつよ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
命
(
めい
)
の
如
(
ごと
)
177
照彦
(
てるひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
や
常楠
(
つねくす
)
の
178
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
にめぐり
会
(
あ
)
ひ
179
五
(
いつ
)
つの
宝
(
たから
)
を
授
(
さづ
)
かりて
180
漸
(
やうや
)
く
茲
(
ここ
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
ぬ
181
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
182
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
183
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
の
喜
(
よろこ
)
びは
184
煎
(
い
)
りたる
豆
(
まめ
)
に
生花
(
いきばな
)
の
185
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひたる
思
(
おも
)
ひなり
186
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
や
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
187
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御
(
おん
)
恵
(
めぐみ
)
188
未
(
いま
)
だ
吾々
(
われわれ
)
兄弟
(
きやうだい
)
を
189
見放
(
みはな
)
し
玉
(
たま
)
はぬ
嬉
(
うれ
)
しさよ
190
さらば
是
(
こ
)
れより
五
(
い
)
つ
身魂
(
みたま
)
191
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せて
泰安
(
たいあん
)
の
192
都
(
みやこ
)
に
進
(
すす
)
み
言霊
(
ことたま
)
の
193
伊吹
(
いぶき
)
の
征矢
(
そや
)
を
放
(
はな
)
しつつ
194
群
(
むら
)
がる
魔神
(
まがみ
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
195
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
の
196
仕組
(
しぐ
)
ませ
玉
(
たま
)
ひし
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
197
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
を
198
千代
(
ちよ
)
万代
(
よろづよ
)
に
動
(
ゆる
)
ぎなく
199
建設
(
けんせつ
)
せむは
案
(
あん
)
の
中
(
うち
)
200
マリヤス
姫
(
ひめ
)
の
計
(
はか
)
らひに
201
テーリン
姫
(
ひめ
)
はアーリスの
202
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
の
争
(
あらそ
)
ひを
203
漸
(
やうや
)
く
茲
(
ここ
)
に
納得
(
なつとく
)
し
204
今迄
(
いままで
)
時節
(
じせつ
)
を
待居
(
まちゐ
)
たる
205
其
(
その
)
心根
(
こころね
)
の
健気
(
けなげ
)
さよ
206
さはさり
乍
(
なが
)
らテーリン
姫
(
ひめ
)
207
妹背
(
いもせ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
今
(
いま
)
ここで
208
結
(
むす
)
び
了
(
を
)
へむは
易
(
やす
)
けれど
209
泰安城
(
たいあんじやう
)
の
一戦
(
ひといくさ
)
210
無事
(
ぶじ
)
に
凱旋
(
がいせん
)
する
迄
(
まで
)
は
211
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つて
賜
(
たま
)
へかし
212
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
213
竜世
(
たつよ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
214
固
(
かた
)
く
御
(
おん
)
誓
(
ちか
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
215
必
(
かなら
)
ず
共
(
とも
)
にテーリン
姫
(
ひめ
)
216
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ます
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ』
217
と
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
つた。
218
テーリン
姫
(
ひめ
)
は
直
(
ただち
)
に
立上
(
たちあが
)
り、
219
銀扇
(
ぎんせん
)
を
拡
(
ひろ
)
げて、
220
自
(
みづか
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
自
(
みづか
)
ら
舞
(
ま
)
うた。
221
テーリン姫
『
男心
(
をとこごころ
)
と
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
222
猫
(
ねこ
)
の
目玉
(
めだま
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
223
変
(
かは
)
り
易
(
やす
)
いと
聞
(
き
)
くからは
224
如何
(
いか
)
なる
固
(
かた
)
き
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
も
225
妾
(
わたし
)
は
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
からず
226
添
(
そ
)
はねばならぬ
身魂
(
みたま
)
なら
227
今
(
いま
)
でも
将来
(
さき
)
でも
同
(
おな
)
じこと
228
美味
(
うま
)
い
物
(
もの
)
なら
先
(
さき
)
に
食
(
く
)
へ
229
世
(
よ
)
の
諺
(
ことわざ
)
もあるものを
230
何
(
いづ
)
れの
人
(
ひと
)
に
気兼
(
きがね
)
して
231
左様
(
さやう
)
の
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るか
232
聞
(
きこ
)
えませぬぞえ
月鉾
(
つきほこ
)
さま
233
そんな
気休
(
きやす
)
め
妾
(
わたし
)
に
云
(
い
)
うて
234
結構
(
けつこう
)
な
玉
(
たま
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れた
235
為
(
ため
)
にお
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
が
変
(
かは
)
り
236
田舎
(
いなか
)
じみたるテーリン
姫
(
ひめ
)
を
237
一生
(
いつしやう
)
一代
(
いちだい
)
の
女房
(
にようばう
)
に
持
(
も
)
つよりは
238
泰安城
(
たいあんじやう
)
に
到
(
いた
)
りなば
239
桃
(
もも
)
や
菫
(
すみれ
)
や
桜花
(
さくらばな
)
240
選
(
え
)
り
取
(
ど
)
り
見取
(
みど
)
りのよい
女房
(
にようばう
)
241
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
に
娶
(
めと
)
らむと
242
先
(
さき
)
を
見越
(
みこ
)
してのお
前
(
まへ
)
の
言葉
(
ことば
)
243
妾
(
わたし
)
はどしても
腑
(
ふ
)
におちぬ
244
どうせ
添
(
そ
)
うなら
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
245
大事
(
だいじ
)
を
抱
(
かか
)
へたお
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
246
無理
(
むり
)
に
枕
(
まくら
)
を
交
(
かは
)
せとは
247
妾
(
わたし
)
も
野暮
(
やぼ
)
な
女
(
をんな
)
でない
限
(
かぎ
)
り
248
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ひませぬ
249
マリヤス
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
で
250
二世
(
にせ
)
も
三世
(
さんせ
)
も
夫婦
(
ふうふ
)
ぞと
251
キツパリ
言
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さんせ
252
お
前
(
まへ
)
の
兄
(
あに
)
の
日楯
(
ひたて
)
さま
253
ユリコの
姫
(
ひめ
)
と
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
254
仲
(
なか
)
よう
暮
(
くら
)
して
厶
(
ござ
)
るでないか
255
お
前
(
まへ
)
は
妾
(
わし
)
を
邪魔者
(
じやまもの
)
扱
(
あつかひ
)
に
256
なさつて
一人
(
ひとり
)
琉球
(
りうきう
)
の
257
島
(
しま
)
へお
出
(
い
)
でたばつかりに
258
夫婦
(
ふうふ
)
の
中
(
なか
)
に
只
(
ただ
)
一
(
ひと
)
つ
259
白
(
しろ
)
い
玉
(
たま
)
よりありはせぬ
260
お
前
(
まへ
)
の
兄
(
あに
)
の
日楯
(
ひたて
)
さま
261
夫婦
(
ふうふ
)
揃
(
そろ
)
うて
神業
(
しんげふ
)
に
262
お
勤
(
つと
)
めなさつた
其
(
その
)
おかげ
263
玉
(
たま
)
と
鏡
(
かがみ
)
の
夫婦事
(
ふうふごと
)
264
これでも
分
(
わか
)
るでありませう
265
あの
時
(
とき
)
お
前
(
まへ
)
が
此
(
この
)
妾
(
わし
)
を
266
御用
(
ごよう
)
に
伴
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つたなら
267
妾
(
わたし
)
も
結構
(
けつこう
)
な
神業
(
しんげふ
)
に
268
加
(
くは
)
はり
珍
(
うづ
)
の
御鏡
(
みかがみ
)
を
269
貰
(
もら
)
うて
帰
(
かへ
)
つたに
違
(
ちが
)
ひない
270
今度
(
こんど
)
お
前
(
まへ
)
が
泰安城
(
たいあんじやう
)
へ
271
言霊戦
(
ことたません
)
に
行
(
ゆ
)
くならば
272
日楯
(
ひたて
)
夫婦
(
ふうふ
)
と
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
に
273
妾
(
わたし
)
と
結婚
(
けつこん
)
相済
(
あひす
)
まし
274
夫婦
(
ふうふ
)
の
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せつつ
275
神
(
かみ
)
の
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
たうでないか
276
これ
程
(
ほど
)
妾
(
わし
)
が
言
(
こと
)
わけて
277
言
(
い
)
うても
聞
(
き
)
かぬお
前
(
まへ
)
なら
278
ヤツパリ
今
(
いま
)
のお
言葉
(
ことば
)
は
279
嘘
(
うそ
)
と
言
(
い
)
はれても
仕方
(
しかた
)
があるまい
280
早
(
はや
)
く
返答
(
へんたふ
)
承
(
うけたま
)
はりませう
281
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
282
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
竜世姫
(
たつよひめ
)
様
(
さま
)
283
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
今
(
いま
)
ここで
284
夫婦
(
ふうふ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
ばせ
玉
(
たま
)
へ
285
テーリン
姫
(
ひめ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
286
捧
(
ささ
)
げて
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
287
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
288
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
289
と
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
つた。
290
月鉾
(
つきほこ
)
は
当惑顔
(
たうわくがほ
)
を
隠
(
かく
)
し、
291
月鉾
『あゝテーリン
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
292
あなたの
御
(
お
)
心
(
こころ
)
はよく
分
(
わか
)
りました。
293
私
(
わたくし
)
もこれから
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
致
(
いた
)
さねばなりませぬ。
294
女房
(
にようばう
)
があつては、
295
其
(
その
)
為
(
ため
)
心
(
こころ
)
を
惹
(
ひ
)
かれ、
296
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
の
活動
(
くわつどう
)
が
出来
(
でき
)
ませぬから、
297
どうぞ
凱旋
(
がいせん
)
の
後
(
のち
)
まで
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
298
キツト
約束
(
やくそく
)
を
履行
(
りかう
)
致
(
いた
)
しませう。
299
……マリヤス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
300
さう
致
(
いた
)
しましたら、
301
如何
(
どう
)
で
厶
(
ござ
)
いませうかな』
302
マリヤス
姫
(
ひめ
)
『ヘイ……』
303
と
言
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
304
黙然
(
もくねん
)
として
俯
(
うつ
)
むいてゐる。
305
テーリン
姫
(
ひめ
)
『
女房
(
にようばう
)
があつては
気
(
き
)
を
惹
(
ひ
)
かれて
十分
(
じふぶん
)
の
働
(
はたら
)
きが
出来
(
でき
)
ぬとは、
306
これは
又
(
また
)
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますな。
307
女房
(
にようばう
)
があつて
働
(
はたら
)
きが
出来
(
でき
)
ないのなら、
308
世界
(
せかい
)
の
男
(
をとこ
)
は
残
(
のこ
)
らず
未結婚
(
みけつこん
)
で
居
(
ゐ
)
る
筈
(
はず
)
ぢやありませぬか。
309
日楯
(
ひたて
)
さまでさへも、
310
夫婦
(
ふうふ
)
揃
(
そろ
)
うて
立派
(
りつぱ
)
に
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
を
御
(
お
)
勤
(
つと
)
め
遊
(
あそ
)
ばしたぢやありませぬか。
311
瓢箪
(
へうたん
)
鯰
(
なまづ
)
式
(
しき
)
に
何
(
なん
)
とか
彼
(
か
)
んとか
云
(
い
)
つて、
312
一
(
いち
)
時
(
じ
)
逃
(
のが
)
れに
日
(
ひ
)
を
延
(
の
)
ばし、
313
妾
(
わたし
)
を
姥桜
(
うばざくら
)
にして
了
(
しま
)
ふ
貴方
(
あなた
)
の
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へでせう。
314
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても、
315
妾
(
わたし
)
は
貴方
(
あなた
)
の
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひ
戦場
(
せんぢやう
)
に
向
(
むか
)
ひます。
316
貴方
(
あなた
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
参
(
まゐ
)
り、
317
チツとでも
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
になる
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
がありましたら、
318
妾
(
わたし
)
も
女
(
をんな
)
の
端
(
はし
)
くれ、
319
潔
(
いさぎよ
)
う
喉
(
のど
)
を
掻
(
か
)
き
切
(
き
)
つて
死
(
し
)
んで
見
(
み
)
せませう』
320
月鉾
(
つきほこ
)
『そんな
事
(
こと
)
をさせともないから、
321
凱旋
(
がいせん
)
の
後
(
のち
)
まで
待
(
ま
)
つて
呉
(
く
)
れと
云
(
い
)
ふのだ』
322
テーリン
姫
(
ひめ
)
『それ
程
(
ほど
)
妾
(
わたし
)
をヤクザの
女
(
をんな
)
とお
見下
(
みさ
)
げ
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るのですか。
323
妾
(
わたし
)
だつてユリコ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のなさる
事
(
こと
)
位
(
くらゐ
)
は
立派
(
りつぱ
)
に
勤
(
つと
)
めてお
目
(
め
)
にかけます。
324
……コレコレ、
325
マリヤス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
326
貴女
(
あなた
)
は、
327
アーリス
山
(
ざん
)
で
妾
(
わたし
)
に
仰有
(
おつしや
)
つたぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか。
328
どうぞ
早
(
はや
)
く
結婚
(
けつこん
)
の
取持
(
とりもち
)
をして
下
(
くだ
)
さいませ。
329
此
(
この
)
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで
躊躇
(
ちうちよ
)
なさるのはヤツパリ
末
(
すゑ
)
になつて
月鉾
(
つきほこ
)
さまと
情意
(
じやうい
)
投合
(
とうがふ
)
なさるお
考
(
かんが
)
へでせう』
330
と
妙
(
めう
)
な
所
(
ところ
)
へ
鉾
(
ほこ
)
を
向
(
む
)
けて
駄々
(
だだ
)
を
捏
(
こ
)
ね
出
(
だ
)
した。
331
マリヤス
姫
(
ひめ
)
は
是非
(
ぜひ
)
なく
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つた
様
(
やう
)
に、
332
マリヤス
姫
(
ひめ
)
『
月鉾
(
つきほこ
)
さま、
333
是非
(
ぜひ
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
で
結婚
(
けつこん
)
の
式
(
しき
)
を
挙
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
334
万一
(
まんいち
)
お
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さらねば、
335
妾
(
わたし
)
はテーリン
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
疑惑
(
ぎわく
)
を
解
(
と
)
く
為
(
ため
)
、
336
ここで
自刃
(
じじん
)
して
相果
(
あひは
)
てまする』
337
と
早
(
はや
)
くも
懐剣
(
くわいけん
)
をスラリと
引抜
(
ひきぬ
)
き
決心
(
けつしん
)
の
心
(
こころ
)
を
現
(
あら
)
はし、
338
唇
(
くちびる
)
をビリビリ
震
(
ふる
)
はせ、
339
顔色
(
がんしよく
)
青
(
あを
)
ざめて、
340
唯事
(
ただごと
)
ならぬ
気配
(
けはい
)
を
示
(
しめ
)
してゐる。
341
月鉾
(
つきほこ
)
『ハイ、
342
貴女
(
あなた
)
の
御意
(
ぎよい
)
に
従
(
したが
)
ひます。
343
……テーリン
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
344
そんなら
今日
(
けふ
)
から
天下
(
てんか
)
晴
(
は
)
れての
夫婦仲
(
めをとなか
)
、
345
どうぞ
末長
(
すゑなが
)
う
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
を
頼
(
たの
)
みます』
346
テーリン
姫
(
ひめ
)
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
つ
許
(
ばか
)
りに
打喜
(
うちよろこ
)
び、
347
テーリン姫
『マリヤス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
348
有難
(
ありがた
)
う、
349
……
月鉾
(
つきほこ
)
さま、
350
お
前
(
まへ
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
、
351
流石
(
さすが
)
は
真道彦
(
まみちひこ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
胤
(
たね
)
、
352
私
(
わたし
)
の
観察
(
くわんさつ
)
は
違
(
ちが
)
はなかつた』
353
と
狂気
(
きやうき
)
の
如
(
ごと
)
く
喜
(
よろこ
)
び、
354
直
(
ただち
)
に
神前
(
しんぜん
)
に
駆上
(
かけあが
)
つて、
355
感謝
(
かんしや
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
するのであつた。
356
マリヤス
姫
(
ひめ
)
の
媒酌
(
ばいしやく
)
にて
芽出度
(
めでた
)
く、
357
月鉾
(
つきほこ
)
、
358
テーリン
姫
(
ひめ
)
の
結婚
(
けつこん
)
は
行
(
おこな
)
はれた。
359
これより、
360
マリヤス
姫
(
ひめ
)
を
首領
(
しゆりやう
)
とし、
361
日
(
ひ
)
、
362
月
(
つき
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
始
(
はじ
)
め、
363
八千代
(
やちよ
)
姫
(
ひめ
)
、
364
照代姫
(
てるよひめ
)
の
二男
(
になん
)
五女
(
ごぢよ
)
は、
365
愈
(
いよいよ
)
準備
(
じゆんび
)
を
整
(
ととの
)
へ、
366
泰安城
(
たいあんじやう
)
へカールス
王
(
わう
)
、
367
ヤーチン
姫
(
ひめ
)
、
368
真道彦
(
まみちひこの
)
命
(
みこと
)
其
(
その
)
他
(
た
)
を
救
(
すく
)
ふべく
出陣
(
しゆつぢん
)
する
事
(
こと
)
となつた。
369
(
大正一一・八・九
旧六・一七
松村真澄
録)
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(B)
(N)
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