霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 天下(てんか)泰平(たいへい)〔八一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻 篇:第3篇 光明の魁 よみ(新仮名遣い):こうみょうのさきがけ
章:第18章 天下泰平 よみ(新仮名遣い):てんかたいへい 通し章番号:818
口述日:1922(大正11)年08月10日(旧06月18日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
直会の宴で、マリヤス姫は立ち上がって歌った。自らの生い立ちを歌に明かし、悪人たちの動向を探りつつ、三五教のために立ち働いたこれまでの経緯を歌った。
続いて照代姫は、琉球にて代々三五教を奉じていた家の出であり、妹の八千代姫とともに照彦王に仕えていた身の上を歌に歌った。そして照彦王の命により、台湾島のために尽くす覚悟であることを歌った。
カールス王は真道彦命にこれまでの無理解と無礼を謝し、突如、罪滅ぼしのために宣伝使となって各地を放浪するために、真道彦に王位を継ぐようにと懇願した。
真道彦は驚き、互いの家系の使命を説いてカールス王を諌め、断固として王位に就く意思のないことを明かした。真道彦の清廉潔白なる精神に感じたカールス王は、真道彦を導師として、全島に王として範を示すことになった。
カールス王はヤーチン姫を正妃となし、マールエースを宰相となし、ホールサースを副宰相とするなどして国の要職の人々を定め、ここに台湾島は治まった。王は琉球の照彦王に感謝の使いを遣わした。照彦王はカールス王の誠意に感じて台湾島に渡り、泰安城に迎えられて歓迎を受けた。
ここに琉球と台湾は相提携して神業に奉仕することとなった。マールエースは八千代姫、ホールサースは照世姫を娶り、その子孫は永く繁栄し泰安城に仕えた。
カールス王とヤーチン姫の間に、八千彦、八千姫の一男一女が生まれた。照彦王と照子姫の間にも、照国彦、照国姫の一男一女が生まれた。真道彦の媒酌によって八千彦と照国姫、照国彦と八千姫を娶わせ、両家は親族関係を結ぶこととなった。
また、マリヤス姫はカールス王のいとこにあたるフエールスの妻となり、夫婦合わせて国王夫妻を助け、今まで混乱を重ねた台湾島を天国浄土となした功績が大いにあった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-11-21 20:49:47 文字数:4102 OBC :rm2818
愛善世界社版:220頁 八幡書店版:第5輯 432頁 修補版: 校定版:228頁 普及版:99頁 初版: ページ備考:
001 マリヤス姫(ひめ)は立(たち)あがり、002自(みづか)ら歌(うた)ひ自(みづか)ら舞(ま)ふ。
003マリヤス姫『花森彦(はなもりひこの)神(かみ)の裔(すゑ)
004アークス王(わう)の隠(かく)し子(ご)と
005生(うま)れ出(い)でたる吾(わが)身魂(みたま)
006父(ちち)の命(みこと)の内命(ないめい)を
007奉(ほう)じて侍女(じぢよ)と身(み)をやつし
008セールス姫(ひめ)に従(したが)ひて
009サアルボースやホーロケース
010其(その)他(た)の魔神(まがみ)の行動(かうどう)を
011朝(あさ)な夕(ゆふ)なに偵察(ていさつ)し
012悪人(あくにん)共(ども)の計略(けいりやく)を
013一々(いちいち)胸(むね)にたたみつつ
014時(とき)の来(きた)るを待(ま)つ間(うち)に
015セールス姫(ひめ)の一類(いちるゐ)は
016ヤーチン姫(ひめ)を排斥(はいせき)し
017カールス王(わう)の妃(ひ)となりて
018泰安城(たいあんじやう)の主権(しゆけん)をば
019吾(わが)手(て)に握(にぎ)り暴政(ばうせい)を
020布(し)かむとしたる折柄(をりから)に
021妾(わらは)は堪(たま)らずセールスの
022姫(ひめ)の一派(いつぱ)を打懲(うちこ)らし
023泰安城(たいあんじやう)を脱(ぬ)け出(い)でて
024真道(まみち)の彦(ひこ)の現(あ)れませる
025日月潭(じつげつたん)の聖場(せいぢやう)に
026忍(しの)びて神(かみ)に仕(つか)へつつ
027朝(あさ)な夕(ゆふ)なに月鉾(つきほこ)の
028雄々(をを)しき姿(すがた)を見(み)るにつけ
029忽(たちま)ち悩(なや)む恋(こひ)の暗(やみ)
030折(をり)ある毎(ごと)に言(い)ひ寄(よ)りて
031心(こころ)の丈(たけ)を口説(くど)け共(ども)
032信心(しんじん)堅固(けんご)の月鉾(つきほこ)は
033天地(てんち)の道理(だうり)を楯(たて)に取(と)り
034容易(ようい)に妾(わらは)が恋路(こひぢ)をば
035諾(うべ)なひ玉(たま)はぬ月鉾(つきほこ)の
036情(つれ)なき心(こころ)を恨(うら)みしが
037神(かみ)の御前(みまへ)に額(ぬか)づきて
038静(しづか)に神意(しんい)を伺(うかが)へば
039アークス王(わう)が隠(かく)し妻(づま)
040罪(つみ)より生(うま)れし吾(わが)身体(からだ)
041神(かみ)に等(ひと)しき月鉾(つきほこ)の
042尊(たふと)き司(つかさ)に汚(けが)れたる
043吾(わが)身(み)を以(もつ)て妹(いも)と背(せ)の
044契(ちぎり)を迫(せま)るは何事(なにごと)ぞ
045誤(あやま)つたりと悔悟(くわいご)して
046茲(ここ)に愈(いよいよ)断念(だんねん)し
047天地(てんち)の神(かみ)に其(その)罪(つみ)を
048詫(わ)ぶれば心天(しんてん)忽(たちま)ちに
049真如(しんによ)の月(つき)は輝(かがや)きて
050恋路(こひぢ)の暗(やみ)は晴(は)れにけり
051其(そ)れより妾(わらは)は一心(いつしん)に
052泰嶺(たいれい)聖地(せいち)の神前(しんぜん)に
053心(こころ)を尽(つく)し身(み)を尽(つく)し
054仕(つか)へまつりてありけるが
055真道彦(まみちひこ)の神司(かむづかさ)
056岩窟(がんくつ)上(じやう)の牢獄(ろうごく)に
057縛(いまし)められて千万(ちよろづ)の
058責苦(せめく)に会(あ)はせ玉(たま)ふ事(こと)
059聞(き)くより心(こころ)は焦(あせ)り立(た)ち
060救(すく)ひ出(だ)さむと国魂(くにたま)の
061神(かみ)の御前(みまへ)に朝夕(あさゆふ)に
062祈(いの)る折(をり)しも月鉾(つきほこ)や
063日楯(ひたて)の神(かみ)やユリコ姫(ひめ)
064照彦王(てるひこわう)に仕(つか)へたる
065照代(てるよ)の姫(ひめ)や八千代(やちよ)姫(ひめ)
066尊(たふと)き五(いつ)つの神宝(しんぽう)を
067持(も)ちて聖地(せいち)に帰(かへ)りまし
068朝(あさ)な夕(ゆふ)なに奉斎(ほうさい)し
069心(こころ)を研(みが)く折柄(をりから)に
070セールス姫(ひめ)の一類(いちるゐ)は
071シヤーカルタンやトロレンス
072サアルボース、ホーロケースの
073悪神(わるがみ)共(ども)を駆(か)り集(あつ)め
074泰安城(たいあんじやう)を陥(おとしい)れ
075暴威(ばうゐ)を振(ふる)ひカールスの
076王(わう)に仕(つか)へし司(つかさ)等(ら)を
077岩窟(がんくつ)上(じやう)の牢獄(ろうごく)に
078一人(ひとり)も残(のこ)らず投(な)げ込(こ)みて
079暴虐(ばうぎやく)無道(ぶだう)の限(かぎ)りを尽(つく)し
080猶(なほ)も進(すす)んで玉藻山(たまもやま)
081聖地(せいち)を蹂躙(じうりん)せむものと
082セウルスチンを始(はじ)めとし
083サアルボースやホーロケースを将(しやう)となし
084攻(せ)め来(く)る勢(いきほひ)なかなかに
085侮(あなど)り難(がた)く見(み)えにける
086妾(わらは)は少数(せうすう)の神軍(しんぐん)を
087率(ひき)ゐて聖地(せいち)を出発(しゆつぱつ)し
088玉藻(たまも)の湖辺(こへん)に到(いた)る折(をり)
089セウルスチンの率(ひき)ゐたる
090数多(あまた)の軍(いくさ)と出会(しゆつくわい)し
091獅子(しし)奮迅(ふんじん)の勢(いきほひ)に
092槍(やり)を揃(そろ)へて攻(せ)め来(きた)る
093猪(いのしし)武者(むしや)に打向(うちむか)ひ
094大蛇(をろち)の鏡(かがみ)を取出(とりいだ)し
095敵(てき)を照(て)らせば鏡面(きやうめん)の
096烈(はげ)しき光(ひかり)に目(め)も眩(くら)み
097魂(こん)戦(をのの)きて忽(たちま)ちに
098将棋倒(しやうぎだふ)しとなりにける
099神(かみ)に受(う)けたる言霊(ことたま)を
100妾(わらは)はすかさず宣(の)りつれば
101今迄(いままで)倒(たふ)れし敵軍(てきぐん)は
102心(こころ)の眼(まなこ)は云(い)ふも更(さら)
103肉(にく)の目(め)さへも忽(たちま)ちに
104元(もと)の如(ごと)くに開(ひら)かれて
105漸(やうや)く悟(さと)る三五(あななひ)の
106尊(たふと)き神(かみ)の御(おん)恵(めぐ)み
107心(こころ)の底(そこ)より正覚(しやうかく)し
108帰順(きじゆん)なしたる嬉(うれ)しさよ。
109妾(わらは)はそれよりアーリスの
110峰(みね)を乗越(のりこ)え泰安(たいあん)の
111城(しろ)の馬場(ばんば)に攻寄(せめよ)せて
112群(むら)がる数万(すうまん)の軍勢(ぐんぜい)に
113向(むか)つて注(そそ)ぐ照代姫(てるよひめ)
114八千代(やちよ)の姫(ひめ)の宝鏡(ほうきやう)の
115光(ひかり)に敵(てき)は辟易(へきえき)し
116眼(まなこ)眩(くら)みて打(う)ち倒(たふ)れ
117苦(くるし)み藻掻(もが)く其(その)中(なか)を
118城内(じやうない)深(ふか)く進(すす)み入(い)り
119セールス姫(ひめ)に打(う)ち向(むか)ひ
120大蛇(をろち)の玉(たま)を射照(いて)らせば
121悪狐(あくこ)の姿(すがた)と還元(くわんげん)し
122数多(あまた)の侍臣(じしん)と諸共(もろとも)に
123怪(あや)しき正体(しやうたい)現(あら)はしつ
124雲(くも)を霞(かすみ)と消(き)え失(う)せぬ
125妾(わらは)は茲(ここ)に息(いき)休(やす)め
126照代(てるよ)の姫(ひめ)や八千代(やちよ)姫(ひめ)
127テーリン姫(ひめ)やユリコ姫(ひめ)
128其(その)他(た)の尊(たふと)き神人(かみびと)と
129泰安城(たいあんじやう)を守(まも)りつつ
130カールス王(わう)や真道彦(まみちひこ)
131ヤーチン姫(ひめ)を始(はじ)めとし
132マールエースやホーレンス
133テールスタンや其(その)外(ほか)の
134囚(とら)はれ人(びと)を救(すく)はむと
135日(ひ)、月(つき)二人(ふたり)の兄弟(きやうだい)を
136岩窟(がんくつ)上(じやう)の牢獄(ろうごく)に
137差遣(さしつか)はせば両人(りやうにん)は
138芽出度(めでた)く使命(しめい)を相果(あひは)たし
139凱歌(がいか)を挙(あ)げて堂々(だうだう)と
140帰(かへ)り来(き)ませる勇(いさ)ましさ
141あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
142御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
143カールス王(わう)を始(はじ)めとし
144誠(まこと)の道(みち)を誤(あやま)りし
145此(この)場(ば)に控(ひか)ゆる諸人(もろびと)に
146神(かみ)の恵(めぐみ)の幸(さち)深(ふか)く
147天(てん)より受(う)けし魂(たましひ)の
148曇(くも)りを晴(は)らして元(もと)の如(ごと)
149厳(いづ)の御霊(みたま)や瑞御霊(みづみたま)
150直日(なほひ)の霊(たま)に立直(たてなほ)し
151救(すく)はせ玉(たま)へ天津(あまつ)神(かみ)
152国津(くにつ)御神(みかみ)の御(おん)前(まへ)に
153謹(つつし)み敬(うやま)ひ願(ね)ぎまつる
154あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
155御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
156と歌(うた)ひ了(をは)つて元(もと)の座(ざ)に着(つ)いた。
157 照代姫(てるよひめ)は立上(たちあが)り、158自(みづか)ら歌(うた)ひ、159自(みづか)ら舞(ま)ふ。
160照代姫『神(かみ)の都(みやこ)のエルサレム
161国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)の
162御前(みまへ)に仕(つか)へし真鉄彦(まがねひこ)
163神(かみ)の御裔(みすゑ)と生(うま)れたる
164暗(くら)き此(この)世(よ)も照代姫(てるよひめ)
165サワラの峰(みね)の山麓(さんろく)に
166父(ちち)照若(てるわか)と諸共(もろとも)に
167神(かみ)の教(をしへ)を守(まも)り居(ゐ)る
168時(とき)しもあれや三五(あななひ)の
169神(かみ)の司(つかさ)の照彦(てるひこ)が
170照子(てるこ)の姫(ひめ)と諸共(もろとも)に
171四辺(あたり)まばゆき神徳(しんとく)を
172照(て)らして茲(ここ)に降(くだ)りまし
173南(みなみ)の島(しま)の人々(ひとびと)を
174神(かみ)の光(ひかり)と御恵(みめぐ)みに
175服従(まつろ)へ和(やは)し善政(ぜんせい)を
176施(ほどこ)し玉(たま)へば草(くさ)も木(き)も
177恵(めぐみ)の風(かぜ)に靡(なび)きつつ
178世(よ)は泰平(たいへい)に治(をさ)まりぬ
179父(ちち)の照若(てるわか)喜(よろこ)びて
180照彦王(てるひこわう)の御(おん)前(まへ)に
181進(すす)み出(い)でまし八千代(やちよ)姫(ひめ)
182照代(てるよ)の姫(ひめ)の姉妹(けうだい)を
183命(みこと)の前(まへ)に奉(たてまつ)り
184御(おん)側(そば)近(ちか)く侍(はべ)らせて
185誠(まこと)を示(しめ)し玉(たま)ひけり。
186折(をり)しもあれや三五(あななひ)の
187神(かみ)の御霊(みたま)を祀(まつ)りたる
188玉藻(たまも)の山(やま)の聖地(せいち)より
189日楯(ひたて)、月鉾(つきほこ)兄弟(きやうだい)は
190ユリコの姫(ひめ)を伴(ともな)ひて
191照彦王(てるひこわう)や照子姫(てるこひめ)
192珍(うづ)の御前(みまへ)に現(あら)はれて
193神(かみ)の秘密(ひみつ)を語(かた)り合(あ)ふ
194素(もと)より三人(みたり)は口(くち)無(な)しの
195心(こころ)と心(こころ)に語(かた)りつつ
196照彦王(てるひこわう)の計(はか)らひに
197大谷川(おほたにがは)を打(う)ち渡(わた)り
198向陽山(こうやうざん)の岩窟(がんくつ)に
199心(こころ)も堅(かた)き常楠(つねくす)の
200白髪(はくはつ)異様(いやう)の仙人(せんにん)に
201五(いつ)つの宝(たから)授(さづ)かりつ
202エルの港(みなと)を船出(ふなで)して
203波(なみ)を渡(わた)りてキル港(みなと)
204人目(ひとめ)を忍(しの)び山(やま)の尾(を)を
205伝(つた)ひてやうやう玉藻山(たまもやま)
206神(かみ)の集(あつ)まる聖場(せいぢやう)へ
207二男(になん)三女(さんによ)は潔(いさぎよ)く
208到着(たうちやく)したる嬉(うれ)しさよ。
209間(ま)もなく聞(きこ)ゆる泰安(たいあん)の
210都(みやこ)の空(そら)の大騒(おほさわ)ぎ
211セールス姫(ひめ)の一族(いちぞく)が
212カールス王(わう)を幽閉(いうへい)し
213尚(なほ)も暴威(ばうゐ)を揮(ふる)ひつつ
214三五教(あななひけう)の聖場(せいぢやう)を
215蹂躙(じゆうりん)せむと襲(おそ)ひ来(く)る
216高(たか)き噂(うはさ)を聞(き)くよりも
217マリヤス姫(ひめ)を将(しやう)となし
218日楯(ひたて)、月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)を
219副将軍(ふくしやうぐん)と相定(あひさだ)め
220テーリン姫(ひめ)やユリコ姫(ひめ)
221八千代(やちよ)の姫(ひめ)と諸共(もろとも)に
222僅(わづか)に残(のこ)りし信徒(まめひと)を
223率(ひき)ゐて玉藻(たまも)の湖畔(こはん)迄(まで)
224進(すす)み来(きた)れる折(をり)もあれ
225セウルスチンの一隊(いつたい)と
226茲(ここ)にいよいよ衝突(しようとつ)し
227大蛇(をろち)の鏡(かがみ)を射照(ゐて)らせば
228神威(しんゐ)に恐(おそ)れて目(め)も眩(くら)み
229マリヤス姫(ひめ)の言霊(ことたま)に
230帰順(きじゆん)の意(い)をば表(へう)しける
231セウルスチンの一軍(いちぐん)を
232茲(ここ)に改(あらた)め味方(みかた)とし
233泰安城(たいあんじやう)に立向(たちむか)ひ
234空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の勝利(しようり)をば
235得(え)たるは全(まつた)く皇神(すめかみ)の
236深(ふか)き守(まも)りと知(し)られけり。
237あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
238御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
239泰安城(たいあんじやう)は末永(すえなが)く
240カールス王(わう)やヤーチン姫(ひめ)の
241神(かみ)の司(つかさ)は睦(むつま)じく
242妹背(いもせ)の契(ちぎり)を結(むす)びまし
243真道(まみち)の彦(ひこ)の御教(みをしへ)を
244朝(あさ)な夕(ゆふ)なに奉戴(ほうたい)し
245五六七(みろく)の神代(かみよ)の仁政(じんせい)を
246台湾島(たいわんたう)に隈(くま)もなく
247施(ほどこ)し玉(たま)へ惟神(かむながら)
248神(かみ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎまつる。
249八千代(やちよ)の姫(ひめ)や照代姫(てるよひめ)
250サワラの城(しろ)の国王(こきし)より
251日楯(ひたて)、月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)に
252従(したが)ひまつりて玉藻山(たまもやま)
253聖地(せいち)に仕(つか)へまつれよと
254言(い)ひ渡(わた)されし上(うへ)からは
255仮令(たとへ)如何(いか)なる事(こと)あるも
256再(ふたた)び国(くに)へは帰(かへ)らまじ
257カールス王(わう)よヤーチンの
258姫(ひめの)命(みこと)よ真道彦(まみちひこ)
259其(その)他(た)の尊(たふと)き神人(かみびと)よ
260妾(わらは)等(ら)二人(ふたり)の姉妹(おとどひ)が
261身霊(みたま)を恵(めぐ)み玉(たま)ひつつ
262神(かみ)の使命(しめい)を永久(とこしへ)に
263立(た)てさせ玉(たま)へよ台湾(たいわん)の
264島(しま)に時(とき)めく神人(かみびと)の
265御前(みまへ)に祈(いの)り奉(たてまつ)る
266あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
267御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
268と歌(うた)ひ終(をは)つて、269元(もと)の座(ざ)に着(つ)いた。
270 茲(ここ)にカールス王(わう)は真道彦(まみちひこの)命(みこと)に向(むか)ひ、271従前(じゆうぜん)の過(あやま)ちと無礼(ぶれい)を謝(しや)し、272且(か)つ、
273カールス王『吾(われ)はこれより三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)となり、274罪亡(つみほろ)ぼしのため宣伝使(せんでんし)となつて天(あめ)が下(した)四方(よも)の国(くに)を遍歴(へんれき)したければ、275貴下(あなた)は尊(たふと)き真道彦(まみちひこの)命(みこと)の神裔(しんえい)なるを幸(さいは)ひ、276貴下(あなた)が御子(みこ)なる日楯(ひたて)、277月鉾(つきほこ)を左右(さいう)の臣(しん)となし、278泰安城(たいあんじやう)に永(なが)く留(とど)まりて、279政教(せいけう)両面(りやうめん)の主権(しゆけん)を握(にぎ)り、280国家(こくか)を平安(へいあん)に治(しろ)し召(め)せよ』
281と宣示(せんじ)したるを、282真道彦(まみちひこの)命(みこと)は大(おほい)に驚(おどろ)き、
283真道彦命『カールス王(わう)様(さま)、284折角(せつかく)の御(お)言葉(ことば)なれ共(ども)、285吾々(われわれ)は国治立(くにはるたちの)尊(みこと)の御(ご)退隠(たいいん)以前(いぜん)より、286吾(わが)祖先(そせん)は専(もつぱ)ら神政(しんせい)に仕(つか)へ、287現界(げんかい)の政治(せいぢ)に容喙(ようかい)せざるを以(もつ)て天職(てんしよく)となし来(きた)りたるものなれば、288如何(いか)なる事情(じじやう)あり共(とも)、289吾(われ)は政教(せいけう)両面(りやうめん)の主権者(しゆけんしや)となり、290王者(わうじや)の位地(ゐち)に進(すす)むべき者(もの)に非(あら)ず。291何卒(どうぞ)此(この)事(こと)許(ばか)りは御(お)取消(とりけし)を願(ねが)ひ奉(たてまつ)ります。292貴王(あなた)は花森彦(はなもりひこの)命(みこと)の御(おん)裔(すゑ)、293必(かなら)ず此(この)島国(しまぐに)を治(をさ)め給(たま)ふべき、294祖先(そせん)よりの使命(しめい)おはしませば、295一刻(いつこく)も早(はや)く元(もと)の王位(わうゐ)に就(つ)き、296ヤーチン姫(ひめ)を正妃(せいひ)として天下(てんか)に君臨(くんりん)し玉(たま)へ。297及(およ)ばず乍(なが)ら、298真道彦(まみちひこの)命(みこと)父子(ふし)の者(もの)君(きみ)が政事(せいじ)を蔭(かげ)より麻柱(あななひ)奉(たてまつ)り、299天下(てんか)泰平(たいへい)に世(よ)を治(をさ)め玉(たま)ふべく守護(しゆご)し奉(まつ)らむ。300就(つい)ては王(わう)に進言(しんげん)したき事(こと)あり。301信心(しんじん)堅固(けんご)にして、302仁慈(じんじ)と剛直(がうちよく)とを兼(か)ね備(そな)へたるマールエースを以(もつ)て宰相(さいしやう)となし、303ホールサースをして副宰相(ふくさいしやう)となし、304数多(あまた)の罪人(つみびと)を赦(ゆる)し、305シヤーカルタンやトロレンスをも重(おも)く用(もち)ゐ玉(たま)へば、306天下(てんか)は益々(ますます)太平(たいへい)ならむ。307これ真道彦(まみちひこ)が赤誠(せきせい)を籠(こ)めて、308国家(こくか)の為(ため)に進言(しんげん)する所以(ゆゑん)であります』
309と毫(がう)も政治(せいぢ)的(てき)野心(やしん)なき事(こと)を告白(こくはく)した。310カールス王(わう)は真道彦(まみちひこの)命(みこと)の清廉(せいれん)潔白(けつぱく)なる精神(せいしん)に感(かん)じ入(い)り、311真道彦(まみちひこの)命(みこと)を導師(だうし)と仰(あふ)ぎ、312自(みづか)ら三五教(あななひけう)の信者(しんじや)となり、313全島(ぜんたう)に範(はん)を示(しめ)し、314天下(てんか)は永久(とこしへ)に三五教(あななひけう)掩護(えんご)の下(もと)に、315枝(えだ)もならさぬ高砂(たかさご)の芽出度(めでた)き神国(かみくに)と治(をさ)まることとなつた。316さうしてヤーチン姫(ひめ)に対(たい)する王(わう)の疑(うたがひ)は全(まつた)く晴(は)れ、317茲(ここ)に姫(ひめ)を容(い)れて正妃(せいひ)となし、318マリヤス姫(ひめ)を侍女(じぢよ)の頭(かしら)と定(さだ)め、319テールスタン、320ホーレンス其(その)他(た)の人々(ひとびと)をも悔(く)い改(あらた)めしめ、321元(もと)の如(ごと)く重用(ぢうよう)して、322世(よ)は永久(とこしへ)に治(をさ)まり、323万民(ばんみん)鼓腹(こふく)撃壌(げきじやう)の楽(たのし)みに酔(よ)うた。
324 茲(ここ)にカールス王(わう)は琉球(りうきう)のサワラの都(みやこ)へ、325マールエース、326ホールサースを遣(つか)はし、327いろいろの珍(めづ)らしき貢物(みつぎもの)を齎(もたら)せ、328照彦王(てるひこわう)の前(まへ)に感謝(かんしや)帰順(きじゆん)の意(い)を表(へう)することとなつた。
329 照彦王(てるひこわう)はカールス王(わう)の誠意(せいい)に感(かん)じ、330マールエース、331ホールサースと共(とも)に始(はじ)めて台湾島(たいわんたう)に渡(わた)り、332泰安城(たいあんじやう)に迎(むか)へられ、333暫(しばら)く此処(ここ)に留(とど)まり、334山野(さんや)河海(かかい)の饗応(きやうおう)を受(う)け、335且(か)つ真道彦(まみちひこの)命(みこと)の鎮(しづ)まり居(ゐ)ます玉藻山(たまもやま)の聖場(せいぢやう)に参拝(さんぱい)し、336茲(ここ)に固(かた)く手(て)を握(にぎ)り、337琉球(りうきう)、338台湾(たいわん)相提携(あひていけい)して、339神業(しんげふ)に奉仕(ほうし)する事(こと)となつた。
340 真道彦(まみちひこ)、341照彦王(てるひこわう)の媒介(ばいかい)に依(よ)りて、342マールエースは八千代(やちよ)姫(ひめ)を娶(めと)り、343ホールサースは照代姫(てるよひめ)を娶(めと)り、344夫婦(ふうふ)相睦(あひむつ)びて泰安城(たいあんじやう)に仕(つか)へ、345其(その)子孫(しそん)は永(なが)く繁栄(はんゑい)した。
346 末(すゑ)に至(いた)りてカールス王(わう)とヤーチン姫(ひめ)の間(あひだ)に八千彦(やちひこ)、347八千姫(やちひめ)の一男(いちなん)一女(いちによ)が生(うま)れた。348又(また)照彦王(てるひこわう)と照子姫(てるこひめ)の間(あひだ)にも、349照国彦(てるくにひこ)、350照国姫(てるくにひめ)の一男(いちなん)一女(いちによ)が生(うま)れた。351真道彦(まみちひこの)命(みこと)の媒酌(ばいしやく)に依(よ)つて、352照彦王(てるひこわう)の長子(ちやうし)照国彦(てるくにひこ)に八千姫(やちひめ)を娶(めあ)はせ、353又(また)カールス王(わう)の長子(ちやうし)八千彦(やちひこ)に照彦王(てるひこわう)の娘(むすめ)照国姫(てるくにひめ)を娶(めあ)はせ、354茲(ここ)に改(あらた)めて親族(しんぞく)関係(くわんけい)を結(むす)ぶ事(こと)となつた。
355 マリヤス姫(ひめ)はアークス王(わう)の弟(おとうと)エーリスの長子(ちやうし)フエールスの妻(つま)となり、356泰安城(たいあんじやう)の花(はな)と謳(うた)はれて、357上下(しやうか)の信望(しんばう)を担(にな)ひ、358ヤーチン姫(ひめ)の政事(せいじ)を輔(たす)けて子孫(しそん)永(なが)く繁栄(はんゑい)し、359今迄(いままで)混乱(こんらん)に混乱(こんらん)を重(かさ)ねたる台湾島(たいわんたう)も全(まつた)く天国(てんごく)浄土(じやうど)と化(くわ)するに至(いた)つたのは、360フエールス、361マリヤス姫(ひめ)の力(ちから)大(おほい)に与(あづか)つて功(こう)ありと言(い)ふべしである。362あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
363(大正一一・八・一〇 旧六・一八 松村真澄録)
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