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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第28巻(卯の巻)
序歌
総説歌
第1篇 高砂の島
第1章 カールス王
第2章 無理槍
第3章 玉藻山
第4章 淡渓の流
第5章 難有迷惑
第6章 麻の紊れ
第2篇 暗黒の叫
第7章 無痛の腹
第8章 混乱戦
第9章 当推量
第10章 縺れ髪
第11章 木茄子
第12章 サワラの都
第3篇 光明の魁
第13章 唖の対面
第14章 二男三女
第15章 願望成就
第16章 盲亀の浮木
第17章 誠の告白
第18章 天下泰平
第4篇 南米探険
第19章 高島丸
第20章 鉈理屈
第21章 喰へぬ女
第22章 高砂上陸
跋(暗闇)
余白歌
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海洋万里(第25~36巻)
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第28巻(卯の巻)
> 第2篇 暗黒の叫 > 第11章 木茄子
<<< 縺れ髪
(B)
(N)
サワラの都 >>>
第一一章
木茄子
(
きなすび
)
〔八一一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:
第2篇 暗黒の叫
よみ(新仮名遣い):
あんこくのさけび
章:
第11章 木茄子
よみ(新仮名遣い):
きなすび
通し章番号:
811
口述日:
1922(大正11)年08月08日(旧06月16日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一方、日楯ら三人はアーリス山を下り、テルナの渓谷に着いた。三人は飢えと疲れから、谷に生える木茄子を見つけてむしり食べると、その場に熟睡してしまった。
この木茄子は、テルナの里人が、バラモン教の祭典に際して供物に捧げようと保存しておいたものであった。祭典にあわせて木茄子を取りに来た里人たちは、木茄子がひとつも残っておらず、巡礼姿の三人の男女が傍らで寝ているのを見て驚き、酋長を呼んだ。
里人は三人を起こして、神饌の木茄子を食べてしまったことを責め立てた。酋長がやってくると、バラモンの神に大罪を犯した者は、生贄にするのだと言い渡した。しかしユリコ姫に相好を崩し、自分の妻になれば命は助けてやる、と言い出した。
ユリコ姫の助命嘆願に、酋長は、日楯と月鉾が烈火をくぐり、剣を渡り、釘の足駄を履いて裸で茨の叢をくぐれば赦してやる、と言い渡した。
酋長と里人たちは、三人を促して祭典の場所に連れて行った。そして日楯と月鉾を燃え上がる火の中に投げ込んだ。二人は天の数歌を唱えると、猛火の中を少しも火傷をせずに巡って戻ってきた。二人の神力に、里人たちは肝をつぶした。
一方ユリコ姫は酋長の俄妻として美々しく飾り立てられて、酋長と並んで祭壇に立たされたが、どこからともなく一塊の火光が来て爆発し、酋長は空中に巻き上げられた。里人たちは驚いて逃げる者、腰を抜かす者など混乱している。
ユリコ姫は美々しい衣装を火中に投げ捨てると、日楯、月鉾とともに祭壇の前に立って、感謝祈願の祝詞を唱えると宣伝歌を歌い始めた。
祈り終わると、酋長は礼服を着飾って三人の前にひざまづき、生き神に対して数々の無礼を加えたことを陳謝した。そして大自在天の怒りの火光で中空に巻き上げられた後、国魂神・竜世姫の守りによって助かったことを明かした。
三人は酋長をはじめ里人たちに三五教の教理を説き諭し、数日後に送られてキールの港に着いた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-11-25 18:38:55
OBC :
rm2811
愛善世界社版:
125頁
八幡書店版:
第5輯 398頁
修補版:
校定版:
128頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
日楯
(
ひたて
)
、
002
月鉾
(
つきほこ
)
、
003
ユリコ
姫
(
ひめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
004
人目
(
ひとめ
)
を
避
(
さ
)
けて
峰伝
(
みねづた
)
ひに、
005
アーリス
山
(
ざん
)
より
須安
(
シユアン
)
の
山脈
(
さんみやく
)
を
渡
(
わた
)
り、
006
石
(
いし
)
の
枕
(
まくら
)
に
青雲
(
あをぐも
)
の
夜具
(
やぐ
)
を
被
(
か
)
ぶり、
007
幾
(
いく
)
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かし
乍
(
なが
)
ら、
008
漸
(
やうや
)
くにしてテルナの
渓谷
(
けいこく
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた。
009
時
(
とき
)
しも
日
(
ひ
)
は
山
(
やま
)
に
隠
(
かく
)
れ、
010
黄昏
(
たそがれ
)
間近
(
まぢか
)
くなつて
来
(
き
)
た。
011
茲
(
ここ
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
二日
(
ふつか
)
の
山中
(
さんちう
)
の
旅行
(
りよかう
)
は、
012
峰
(
みね
)
の
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
のみを
伝
(
つた
)
つて
居
(
ゐ
)
たので、
013
思
(
おも
)
はしき
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
もなく、
014
食料
(
しよくれう
)
に
窮
(
きう
)
し、
015
空腹
(
くうふく
)
に
苦
(
くるし
)
み、
016
歩行
(
ほかう
)
も
自由
(
じいう
)
ならず、
017
喉
(
のど
)
は
渇
(
かは
)
き
水
(
みづ
)
は
無
(
な
)
く、
018
弱
(
よわ
)
り
切
(
き
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
019
此
(
この
)
時
(
とき
)
遥
(
はるか
)
の
谷間
(
たにあひ
)
に
黄昏
(
たそがれ
)
の
暗
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
うて、
020
一塊
(
いつくわい
)
の
火光
(
くわくわう
)
が
瞬
(
またた
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
021
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
其
(
その
)
火光
(
くわくわう
)
に
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
、
022
疲
(
つか
)
れた
足
(
あし
)
を
引
(
ひき
)
ずり
乍
(
なが
)
ら
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
023
火光
(
くわくわう
)
を
中心
(
ちうしん
)
に
数多
(
あまた
)
の
厭
(
いや
)
らしき
面構
(
つらがまゑ
)
の
毛武者
(
けむしや
)
男
(
をとこ
)
幾十
(
いくじふ
)
人
(
にん
)
となく
赤裸
(
まつぱだか
)
の
儘
(
まま
)
、
024
何事
(
なにごと
)
か
大声
(
おほごゑ
)
に
笑
(
わら
)
ひさざめいて
居
(
ゐ
)
た。
025
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
木蔭
(
こかげ
)
に
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへ、
026
暫
(
しば
)
し
谷水
(
たにみづ
)
に
喉
(
のど
)
をうるほし、
027
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
居
(
ゐ
)
る
折柄
(
をりから
)
、
028
サツと
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
谷風
(
たにかぜ
)
に
揺
(
ゆ
)
られて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
頭
(
かしら
)
に
障
(
さわ
)
つたものがある。
029
月鉾
(
つきほこ
)
は
思
(
おも
)
はず
手
(
て
)
を
頭上
(
づじやう
)
にあげた
途端
(
とたん
)
に
手
(
て
)
に
触
(
さわ
)
つたのは、
030
水
(
みづ
)
の
滴
(
したた
)
るような
木茄子
(
きなすび
)
であつた。
031
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
天
(
てん
)
の
与
(
あた
)
へと
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
矢庭
(
やには
)
に
木茄子
(
きなすび
)
をむしり、
032
腹
(
はら
)
を
拵
(
こしら
)
へた。
033
長途
(
ちやうと
)
の
疲
(
つか
)
れに
腹
(
はら
)
は
太
(
ふと
)
り、
034
俄
(
にはか
)
に
眠気
(
ねむけ
)
を
催
(
もよほ
)
し、
035
三
(
さん
)
人
(
にん
)
共
(
とも
)
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
他愛
(
たあい
)
もなく
熟睡
(
じゆくすゐ
)
して
了
(
しま
)
つた。
036
今日
(
けふ
)
はテルナの
里
(
さと
)
のバラモン
教
(
けう
)
の
大祭日
(
だいさいじつ
)
にして、
037
数多
(
あまた
)
の
里人
(
さとびと
)
集
(
あつ
)
まり、
038
夜祭
(
よまつ
)
りをなさむと、
039
種々
(
いろいろ
)
準備
(
じゆんび
)
の
相談
(
さうだん
)
をして
居
(
ゐ
)
る
最中
(
さいちう
)
であつた。
040
今日
(
けふ
)
の
祭典
(
さいてん
)
に
奉
(
たてまつ
)
らむと、
041
此
(
この
)
里
(
さと
)
に
只
(
ただ
)
一本
(
いつぽん
)
よりなき
木茄子
(
きなすび
)
を、
042
今迄
(
いままで
)
一個
(
いつこ
)
もむしり
取
(
と
)
らず、
043
大切
(
たいせつ
)
に
保存
(
ほぞん
)
して
居
(
ゐ
)
た。
044
それを
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
に
残
(
のこ
)
らずむしり
取
(
と
)
つて
喰
(
く
)
はれて
了
(
しま
)
つたのである。
045
愈
(
いよいよ
)
祭典
(
さいてん
)
の
時刻
(
じこく
)
となり、
046
四五
(
しご
)
の
里人
(
さとびと
)
は
白衣
(
びやくい
)
を
着
(
ちやく
)
し、
047
大麻
(
おほぬさ
)
を
打振
(
うちふ
)
り、
048
バラモン
教
(
けう
)
の
神歌
(
しんか
)
を
称
(
とな
)
へ
乍
(
なが
)
ら、
049
大切
(
たいせつ
)
なる
木茄子
(
きなすび
)
をむしり
取
(
と
)
り、
050
供物
(
くもつ
)
にせむと
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば、
051
大切
(
たいせつ
)
なる
木茄子
(
きなすび
)
は
何者
(
なにもの
)
にか
盗
(
ぬす
)
み
取
(
と
)
られ、
052
一個
(
いつこ
)
も
枝
(
えだ
)
に
留
(
とど
)
まつて
居
(
ゐ
)
ない。
053
一同
(
いちどう
)
は
驚
(
おどろ
)
き
乍
(
なが
)
ら、
054
あたりを
透
(
す
)
かし
見
(
み
)
れば、
055
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
き
鼾
(
いびき
)
をかいて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男女
(
なんによ
)
が
傍
(
かたはら
)
に
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
る。
056
里人
(
さとびと
)
は
忽
(
たちま
)
ち
大騒
(
おほさわ
)
ぎをなし、
057
松明
(
たいまつ
)
を
点
(
てん
)
じ
来
(
きた
)
り、
058
よくよく
見
(
み
)
れば、
059
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
木茄子
(
きなすび
)
を
片手
(
かたて
)
に
持
(
も
)
ち、
060
半分
(
はんぶん
)
許
(
ばか
)
りかぢつた
儘
(
まま
)
、
061
熟睡
(
じゆくすゐ
)
してゐる。
062
甲
(
かふ
)
『オイオイ
皆
(
みな
)
の
連中
(
れんちう
)
、
063
大変
(
たいへん
)
な
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
やがつて、
064
神饌用
(
しんせんよう
)
の
木茄子
(
きなすび
)
を、
065
皆
(
みんな
)
取
(
と
)
つて
食
(
くら
)
ひ、
066
腹
(
はら
)
をふくらせ、
067
平気
(
へいき
)
でグウグウ
寝
(
ね
)
てゐやがるぢやないか、
068
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
だ。
069
……オイ
誰
(
たれ
)
か
一時
(
ひととき
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
由
(
よし
)
を、
070
テルナの
酋長
(
しうちやう
)
様
(
さま
)
に
報告
(
はうこく
)
して
来
(
こ
)
い。
071
さうせなくては
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
が
取
(
と
)
つて
食
(
く
)
た
様
(
やう
)
に
疑
(
うたが
)
はれ、
072
酋長
(
しうちやう
)
よりどんなお
目玉
(
めだま
)
を
食
(
くら
)
ふか
分
(
わか
)
らないぞ』
073
其
(
その
)
中
(
なか
)
の
一人
(
ひとり
)
は『オイ』と
答
(
こた
)
へて、
074
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに、
075
群集
(
ぐんしふ
)
の
集
(
あつ
)
まる
斎場
(
さいぢやう
)
に
向
(
むか
)
つて
酋長
(
しうちやう
)
に
報告
(
はうこく
)
すべく
走
(
はし
)
り
去
(
さ
)
つた。
076
甲
(
かふ
)
は
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
にて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
頭
(
あたま
)
をコンコンと
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
077
甲
(
かふ
)
『コラツ、
078
大
(
だい
)
それた
大盗人
(
おほぬすと
)
奴
(
め
)
、
079
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
きぬか』
080
と
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
081
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
起
(
お
)
きあがり
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば、
082
松明
(
たいまつ
)
を
持
(
も
)
つた
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
083
傍
(
そば
)
には
白衣
(
びやくい
)
を
着
(
つ
)
けた
男
(
をとこ
)
と
共
(
とも
)
に、
084
鬼
(
おに
)
の
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
に
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
し、
085
唇
(
くちびる
)
をビリビリ
震
(
ふる
)
はせ
乍
(
なが
)
ら
睨
(
にら
)
みつけてゐる。
086
日楯
(
ひたて
)
『
何人
(
なにびと
)
ならば……
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
頭
(
あたま
)
を、
087
失礼
(
しつれい
)
千万
(
せんばん
)
にも…
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
にて
打叩
(
うちたた
)
くとは
何事
(
なにごと
)
ぞ』
088
と
言
(
い
)
はせも
果
(
は
)
てず、
089
甲
(
かふ
)
は
毛
(
け
)
だらけの
腕
(
うで
)
を
伸
(
の
)
ばし、
090
日楯
(
ひたて
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
をグツと
握
(
にぎ
)
つた。
091
日楯
(
ひたて
)
は
首
(
くび
)
の
千切
(
ちぎ
)
れる
様
(
やう
)
な
痛
(
いた
)
さに
顔色
(
かほいろ
)
青
(
あを
)
ざめ、
092
唇
(
くちびる
)
まで
紫色
(
むらさきいろ
)
にして
苦
(
くるし
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
093
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
は
声
(
こゑ
)
を
荒
(
あら
)
らげ、
094
大男
(
おほをとこ
)
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
共
(
ども
)
は
大方
(
おほかた
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
であらう。
095
今日
(
けふ
)
はバラモン
大神
(
おほかみ
)
の
大祭日
(
だいさいじつ
)
、
096
里人
(
さとびと
)
が
大切
(
たいせつ
)
に
致
(
いた
)
して
今日
(
けふ
)
の
祭典
(
さいてん
)
の
供物
(
くもつ
)
にせうと
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
た、
097
木茄子
(
きなすび
)
を
残
(
のこ
)
らず
取
(
と
)
り
食
(
くら
)
ひ、
098
此
(
この
)
聖場
(
せいぢやう
)
に
於
(
おい
)
て
不行儀
(
ふぎやうぎ
)
千万
(
せんばん
)
にも
寝
(
ね
)
さらばひ、
099
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
の
其
(
その
)
方
(
はう
)
等
(
ら
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
、
100
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
れ、
101
今
(
いま
)
に
酋長
(
しうちやう
)
様
(
さま
)
が
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
御
(
お
)
越
(
こ
)
しになるから、
102
何分
(
なにぶん
)
の
御
(
ご
)
沙汰
(
さた
)
があるであらう』
103
と
云
(
い
)
ひ
了
(
をは
)
つて、
104
日楯
(
ひたて
)
の
首
(
くび
)
を
握
(
にぎ
)
つた
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
した。
105
日楯
(
ひたて
)
は
余
(
あま
)
りの
痛
(
いた
)
さに
物
(
もの
)
をも
言
(
い
)
はず、
106
其
(
その
)
儘
(
まま
)
大地
(
だいち
)
に
獅噛
(
しがみ
)
ついて
苦痛
(
くつう
)
を
怺
(
こら
)
へてゐた。
107
月鉾
(
つきほこ
)
は
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ
丁寧
(
ていねい
)
に
両手
(
りやうて
)
をつき、
108
月鉾
(
つきほこ
)
『
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
決
(
けつ
)
して
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬ。
109
バラモン
教
(
けう
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
を
巡拝
(
じゆんぱい
)
致
(
いた
)
す
巡礼
(
じゆんれい
)
で
御座
(
ござ
)
います。
110
馴
(
なれ
)
ぬ
途
(
みち
)
とて
山奥
(
やまおく
)
にふみ
迷
(
まよ
)
ひ、
111
空腹
(
くうふく
)
に
苦
(
くるし
)
みつつありし
所
(
ところ
)
、
112
谷間
(
たにま
)
に
当
(
あた
)
つて
一点
(
いつてん
)
の
火光
(
くわくわう
)
を
認
(
みと
)
め、
113
それを
便
(
たよ
)
りに
此処
(
ここ
)
まで
出
(
で
)
て
参
(
まゐ
)
り、
114
休息
(
きうそく
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
る
際
(
さい
)
、
115
フト
木茄子
(
きなすび
)
が
頭
(
あたま
)
に
触
(
さは
)
り、
116
左様
(
さやう
)
な
大切
(
たいせつ
)
な
物
(
もの
)
とは
知
(
し
)
らず、
117
別
(
べつ
)
に
盗
(
ぬす
)
むと
云
(
い
)
ふ
心
(
こころ
)
もなく、
118
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しました。
119
誠
(
まこと
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
のない
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
います。
120
どうぞ
酋長
(
しうちやう
)
様
(
さま
)
に
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
執成
(
とりな
)
しを
願
(
ねが
)
ひます』
121
甲
(
かふ
)
『
今日
(
けふ
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
大祭日
(
だいさいじつ
)
で、
122
人間
(
にんげん
)
の
犠牲
(
いけにへ
)
を
献
(
たてまつ
)
らねばならぬ
大切
(
たいせつ
)
な
日
(
ひ
)
である。
123
され
共
(
ども
)
人命
(
じんめい
)
を
損
(
そん
)
するは
如何
(
いか
)
にも
残酷
(
ざんこく
)
だと、
124
酋長
(
しうちやう
)
様
(
さま
)
が
大神
(
おほかみ
)
に
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
遊
(
あそ
)
ばし、
125
此
(
この
)
谷間
(
たにま
)
に
一本
(
いつぽん
)
よりない
木茄子
(
きなすび
)
を、
126
人間
(
にんげん
)
の
代
(
かは
)
りとして
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
献
(
たてまつ
)
りますから、
127
人身
(
ひとみ
)
御供
(
ごくう
)
丈
(
だけ
)
は
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
されと
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひになり、
128
それから
此
(
この
)
果物
(
くだもの
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御物
(
ぎよぶつ
)
として、
129
里人
(
さとびと
)
は
指
(
ゆび
)
をもさへず、
130
大切
(
たいせつ
)
に
夜廻
(
よまは
)
りをつけて
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
たのだ。
131
それを
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
ムザムザと
取食
(
とりくら
)
うた
以上
(
いじやう
)
は、
132
仕方
(
しかた
)
がない、
133
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
腹中
(
ふくちう
)
にはまだ
幾分
(
いくぶん
)
か
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るであらう。
134
直
(
ただち
)
に
腹
(
はら
)
をかき
切
(
き
)
つて
木茄子
(
きなすび
)
をゑぐり
出
(
だ
)
し、
135
汝
(
なんぢ
)
の
体
(
からだ
)
を
贄
(
いけにへ
)
として
神
(
かみ
)
に
献
(
たてまつ
)
り、
136
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りを
解
(
と
)
かねばならぬ。
137
皆
(
みな
)
の
者共
(
ものども
)
、
138
其
(
その
)
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
したがよからうぞ』
139
月鉾
(
つきほこ
)
『それは
又
(
また
)
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いますなア。
140
併
(
しか
)
し
神
(
かみ
)
は
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
くるが
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
、
141
人間
(
にんげん
)
の
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
り、
142
或
(
あるひ
)
は
贄
(
いけにへ
)
を
献
(
たてまつ
)
らせて
喜
(
よろこ
)
ぶ
様
(
やう
)
な
神
(
かみ
)
は
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
ではありますまい。
143
吾々
(
われわれ
)
は
及
(
およ
)
ばず
乍
(
なが
)
ら
其
(
その
)
神
(
かみ
)
に
向
(
むか
)
つて、
144
一
(
ひと
)
つ
訓戒
(
くんかい
)
を
与
(
あた
)
へて
見
(
み
)
ませう』
145
甲
(
かふ
)
『ナニ、
146
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すか。
147
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
して、
148
人間
(
にんげん
)
が
訓戒
(
くんかい
)
を
与
(
あた
)
へるなどとは、
149
不届
(
ふとど
)
き
千万
(
せんばん
)
な
申条
(
まをしでう
)
、
150
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと、
151
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りにふれて、
152
此
(
この
)
テルナの
里
(
さと
)
は
果実
(
くわじつ
)
稔
(
みの
)
らず、
153
暴風雨
(
ばうふうう
)
大洪水
(
だいこうずゐ
)
の
為
(
ため
)
に
苦
(
くる
)
しまねばならぬ。
154
いよいよ
以
(
もつ
)
て
差赦
(
さしゆる
)
し
難
(
がた
)
き
痴者
(
しれもの
)
』
155
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
156
力
(
ちから
)
に
任
(
まか
)
せて
杖
(
つゑ
)
を
振上
(
ふりあ
)
げ、
157
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
背骨
(
せぼね
)
の
折
(
を
)
れる
程
(
ほど
)
敲
(
たた
)
きつけた。
158
暫
(
しばら
)
くあつて、
159
テルナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
ゼームスは
四五
(
しご
)
の
従者
(
じゆうしや
)
に
鋭利
(
えいり
)
なる
青竜刀
(
せいりうたう
)
を
持
(
も
)
たせ
乍
(
なが
)
ら、
160
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
161
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
162
声
(
こゑ
)
も
荒
(
あら
)
らかに
云
(
い
)
ふ。
163
ゼームス『
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
大切
(
たいせつ
)
なる
果物
(
くだもの
)
を
取喰
(
とりくら
)
ひし
大罪人
(
だいざいにん
)
、
164
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にては
差赦
(
さしゆる
)
し
難
(
がた
)
し。
165
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
166
これより
神
(
かみ
)
の
贄
(
いけにへ
)
とし、
167
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りを
和
(
やは
)
らげなくてはならぬ。
168
サア
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せよ』
169
と
言
(
い
)
ひ
渡
(
わた
)
した。
170
ユリコ
姫
(
ひめ
)
は
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
171
ゼームスの
前
(
まへ
)
ににじり
寄
(
よ
)
り、
172
悲
(
かな
)
しさうな
顔
(
かほ
)
をあげて
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し、
173
ユリコ
姫
(
ひめ
)
『
何卒
(
なにとぞ
)
、
174
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずの
不都合
(
ふつがふ
)
なれば、
175
どうぞ
此
(
この
)
度
(
たび
)
は
御
(
お
)
見逃
(
みのが
)
しを
願
(
ねが
)
ひます』
176
と
頼
(
たの
)
んだ。
177
ゼームスはユリコ
姫
(
ひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
るより、
178
忽
(
たちま
)
ち
顔色
(
かほいろ
)
をやはらげ、
179
ゼームス『
赦
(
ゆる
)
し
難
(
がた
)
き
罪人
(
ざいにん
)
なれ
共
(
ども
)
、
180
汝
(
なんぢ
)
は
吾
(
わが
)
妻
(
つま
)
となる
事
(
こと
)
を
承諾
(
しようだく
)
するに
於
(
おい
)
ては、
181
汝
(
なんぢ
)
の
生命
(
いのち
)
丈
(
だけ
)
は
助
(
たす
)
けてやらう。
182
どうぢや…
有難
(
ありがた
)
いか』
183
と
稍
(
やや
)
砕
(
くだ
)
けた
相好
(
さうがう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
184
ユリコ
姫
(
ひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
んだ。
185
ユリコ
姫
(
ひめ
)
『どうぞ、
186
妾
(
わたくし
)
のみならず、
187
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
も
生命
(
いのち
)
許
(
ばか
)
りは
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいませ。
188
それさへ
御
(
ご
)
承諾
(
しようだく
)
下
(
くだ
)
さらば、
189
如何
(
いか
)
なるあなたの
要求
(
えうきう
)
にも
応
(
おう
)
じまする』
190
酋長
(
しうちやう
)
(ゼームス)
『イヤ、
191
さうはならぬ。
192
如何
(
どう
)
しても
一人
(
ひとり
)
丈
(
だけ
)
は
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
つて、
193
贄
(
いけにへ
)
に
致
(
いた
)
さねばならぬ。
194
此
(
この
)
中
(
うち
)
に
汝
(
なんぢ
)
の
夫
(
をつと
)
があるであらう。
195
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
免
(
めん
)
じて、
196
夫
(
をつと
)
だけは
助
(
たす
)
けてやらう』
197
日楯
(
ひたて
)
『ゼームスとやら、
198
吾々
(
われわれ
)
は
仮令
(
たとへ
)
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らず
取喰
(
とりくら
)
ひたればとて、
199
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
如
(
ごと
)
きに
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らるる
理由
(
りいう
)
が
何処
(
どこ
)
にある。
200
生命
(
いのち
)
取
(
と
)
るなら
勝手
(
かつて
)
に
取
(
と
)
つて
見
(
み
)
よ』
201
ゼームス
大口
(
おほぐち
)
をあけて、
202
ゼームス
『アハヽヽヽ』
203
と
高笑
(
たかわら
)
ひし
乍
(
なが
)
ら、
204
ゼームス『
汝
(
なんぢ
)
、
205
いかに
神力
(
しんりき
)
あればとて、
206
僅
(
わづか
)
に
二人
(
ふたり
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
207
此
(
この
)
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
に
囲
(
かこ
)
まれ
乍
(
なが
)
ら、
208
如何
(
いかん
)
ともする
事
(
こと
)
は
能
(
あた
)
ふまじ。
209
神妙
(
しんめう
)
に
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
覚悟
(
かくご
)
をきはめて
贄
(
いけにへ
)
となれ』
210
ユリコ
姫
(
ひめ
)
『もしもし
酋長
(
しうちやう
)
様
(
さま
)
、
211
あれは
妾
(
わたくし
)
の
夫
(
をつと
)
で
御座
(
ござ
)
います。
212
さうしてモウ
一人
(
ひとり
)
は
吾
(
わが
)
夫
(
をつと
)
の
弟
(
おとうと
)
で
御座
(
ござ
)
います。
213
妾
(
わたし
)
は
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
でも
承
(
うけたま
)
はりませう。
214
其
(
その
)
代
(
かは
)
りどうぞ
二人
(
ふたり
)
の
命
(
いのち
)
を
御
(
お
)
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
215
ゼームス『あゝ
仕方
(
しかた
)
がない。
216
可愛
(
かあい
)
い
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
、
217
無下
(
むげ
)
に
断
(
ことわ
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
こまい。
218
然
(
しか
)
らば
生命
(
いのち
)
丈
(
だけ
)
は
助
(
たす
)
けてやらう。
219
バラモン
教
(
けう
)
の、
220
今日
(
けふ
)
は
大祭日
(
だいさいじつ
)
、
221
両人
(
りやうにん
)
共
(
とも
)
烈火
(
れつくわ
)
の
中
(
なか
)
を
渡
(
わた
)
り、
222
剣
(
つるぎ
)
の
橋
(
はし
)
を
越
(
こ
)
え、
223
釘
(
くぎ
)
の
足駄
(
あしだ
)
を
履
(
は
)
き、
224
赤裸
(
まつぱだか
)
となつて
茨
(
いばら
)
の
叢
(
むろ
)
を
潜
(
くぐ
)
れ。
225
これがバラモン
教
(
けう
)
の
第一
(
だいいち
)
の
神
(
かみ
)
に
対
(
たい
)
する
謝罪
(
しやざい
)
の
途
(
みち
)
である。
226
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らるる
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば
易
(
やす
)
い
事
(
こと
)
である。
227
吾々
(
われわれ
)
は
斯様
(
かやう
)
な
行
(
ぎやう
)
は
年中
(
ねんぢう
)
行事
(
ぎやうじ
)
として、
228
別
(
べつ
)
に
辛
(
つら
)
しとも
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ない。
229
其
(
その
)
方
(
はう
)
も
巡礼
(
じゆんれい
)
ならば、
230
これ
位
(
くらゐ
)
の
修業
(
しうげふ
)
は
堪
(
こら
)
へられるであらう』
231
両人
(
りやうにん
)
一度
(
いちど
)
に、
232
日楯、月鉾
『
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
233
生命
(
いのち
)
さへ
助
(
たす
)
けて
頂
(
いただ
)
けるならば、
234
どんな
行
(
ぎやう
)
でも…
喜
(
よろこ
)
んで
致
(
いた
)
しませう』
235
ゼームス『
最早
(
もはや
)
祭典
(
さいてん
)
の
時期
(
じき
)
も
迫
(
せま
)
つた。
236
サア
早
(
はや
)
く
此方
(
こちら
)
へ
来
(
きた
)
れ。
237
さうして
裸
(
はだか
)
、
238
跣足
(
はだし
)
の
儘
(
まま
)
、
239
烈火
(
れつくわ
)
の
中
(
なか
)
を
渡
(
わた
)
り、
240
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りを
解
(
と
)
くがよからう』
241
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前後
(
あとさき
)
を
大勢
(
おほぜい
)
に
警固
(
けいご
)
させ
乍
(
なが
)
ら、
242
斎場
(
さいぢやう
)
に
導
(
みちび
)
いた。
243
斎場
(
さいぢやう
)
に
到
(
いた
)
り
見
(
み
)
れば、
244
数多
(
あまた
)
の
果物
(
くだもの
)
小山
(
こやま
)
の
如
(
ごと
)
く
神前
(
しんぜん
)
に
飾
(
かざ
)
られ、
245
前方
(
ぜんぱう
)
の
広庭
(
ひろには
)
には
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
き
枯柴
(
かれしば
)
を
積
(
つ
)
み、
246
これに
火
(
ひ
)
を
放
(
はな
)
てば
炎々
(
えんえん
)
として
燃
(
も
)
えあがる
其
(
その
)
凄
(
すさま
)
じさ。
247
二人
(
ふたり
)
は
大勢
(
おほぜい
)
の
者
(
もの
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれて、
248
火中
(
くわちう
)
に
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ。
249
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
唱
(
とな
)
へつつ、
250
猛火
(
まうくわ
)
の
中
(
なか
)
を
少
(
すこ
)
しも
火傷
(
やけど
)
もせず、
251
幾度
(
いくど
)
となく
巡
(
めぐ
)
つて
元
(
もと
)
の
所
(
ところ
)
に
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
252
一同
(
いちどう
)
は
其
(
その
)
神力
(
しんりき
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
253
二人
(
ふたり
)
の
顔
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めてゐる。
254
ユリコ
姫
(
ひめ
)
は
酋長
(
しうちやう
)
の
俄妻
(
にはかづま
)
として
美々
(
びび
)
しき
衣裳
(
いしやう
)
を
与
(
あた
)
へられ、
255
酋長
(
しうちやう
)
と
相並
(
あひなら
)
んで
斎壇
(
さいだん
)
に
立
(
た
)
つた。
256
忽
(
たちま
)
ち
何処
(
いづこ
)
よりともなく、
257
一塊
(
いつくわい
)
の
火光
(
くわくわう
)
飛
(
と
)
び
来
(
きた
)
つて
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
爆発
(
ばくはつ
)
し、
258
ゼームスの
身体
(
からだ
)
は、
259
中空
(
ちうくう
)
に
捲
(
ま
)
きあげられて
了
(
しま
)
つた。
260
一同
(
いちどう
)
はこれに
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
261
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
逃
(
に
)
げ
惑
(
まど
)
ひ、
262
或
(
あるひ
)
は
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
263
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
さへ
紫色
(
むらさきいろ
)
になつて
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
態
(
てい
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
して
居
(
ゐ
)
るものもあつた。
264
ユリコ
姫
(
ひめ
)
は
美々
(
びび
)
しき
衣裳
(
いしやう
)
を
矢庭
(
やには
)
に
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
て
直
(
ただ
)
ちに
火中
(
くわちう
)
に
投
(
とう
)
じ、
265
日楯
(
ひたて
)
、
266
月鉾
(
つきほこ
)
と
共
(
とも
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
祭壇
(
さいだん
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち、
267
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
268
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
269
ユリコ
姫
(
ひめ
)
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
270
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
271
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
272
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
273
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
274
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
275
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
276
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
277
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
278
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
279
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
280
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
なる
民草
(
たみぐさ
)
は
281
何
(
いづ
)
れも
貴
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
282
力
(
ちから
)
の
弱
(
よわ
)
き
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
283
いなで
過
(
あやま
)
ちあらざらめ
284
誠
(
まこと
)
を
知
(
し
)
らぬバラモンの
285
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
のゼームスや
286
それに
従
(
したが
)
ふ
者共
(
ものども
)
の
287
暗
(
くら
)
き
心
(
こころ
)
のいぢらしさ
288
尊
(
たふと
)
き
人
(
ひと
)
の
命
(
めい
)
を
取
(
と
)
り
289
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
贄
(
いけにへ
)
を
290
献
(
たてまつ
)
るとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
291
果
(
はた
)
して
神
(
かみ
)
が
贄
(
いけにへ
)
を
292
望
(
のぞ
)
むとすればバラモンの
293
大国彦
(
おほくにひこ
)
は
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
294
かかる
怪
(
あや
)
しき
御教
(
みをしへ
)
を
295
高砂島
(
たかさごじま
)
に
布
(
し
)
き
拡
(
ひろ
)
め
296
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
竜世姫
(
たつよひめ
)
297
外所
(
よそ
)
になしたる
天罰
(
てんばつ
)
は
298
忽
(
たちま
)
ち
其
(
その
)
身
(
み
)
に
酬
(
むく
)
い
来
(
き
)
て
299
猛火
(
まうくわ
)
の
中
(
なか
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
300
茨
(
いばら
)
の
叢
(
むろ
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ
301
剣
(
つるぎ
)
を
渡
(
わた
)
り
釘
(
くぎ
)
の
下駄
(
げた
)
302
穿
(
うが
)
ちて
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
303
重
(
おも
)
き
罪
(
つみ
)
をば
詫
(
わび
)
乍
(
なが
)
ら
304
楽
(
たの
)
しき
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
苦
(
くるし
)
みて
305
暮
(
くら
)
す
世人
(
よびと
)
の
憐
(
あは
)
れさよ
306
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
307
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
308
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
三五
(
あななひ
)
の
309
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
拡
(
ひろ
)
まりて
310
怪
(
あや
)
しき
教
(
をしへ
)
を
逸早
(
いちはや
)
く
311
海
(
うみ
)
の
彼方
(
あなた
)
に
追払
(
おひはら
)
ひ
312
至治
(
しぢ
)
太平
(
たいへい
)
の
神
(
かみ
)
の
代
(
よ
)
を
313
築
(
きづ
)
かせ
玉
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
314
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
八百万
(
やほよろづ
)
315
竜世
(
たつよ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
316
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
317
天
(
てん
)
に
輝
(
かがや
)
く
日月
(
じつげつ
)
の
318
名
(
な
)
を
負
(
お
)
ひ
玉
(
たま
)
ひし
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
の
319
日楯
(
ひたて
)
の
神
(
かみ
)
や
月鉾
(
つきほこ
)
の
320
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
に
国人
(
くにびと
)
を
321
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず
服従
(
まつろ
)
はせ
322
暗黒
(
あんこく
)
無道
(
ぶだう
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
323
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
と
化
(
くわ
)
せしめよ
324
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
325
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
を
賜
(
たま
)
へかし』
326
と
祈
(
いの
)
り
終
(
をは
)
つた。
327
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら、
328
中天
(
ちうてん
)
に
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げられたる
酋長
(
しうちやう
)
のゼームスは、
329
礼服
(
れいふく
)
を
着飾
(
きかざ
)
り、
330
四五
(
しご
)
の
従者
(
じゆうしや
)
と
共
(
とも
)
に、
331
珍
(
めづ
)
らしき
果物
(
くだもの
)
を
持
(
も
)
ち
来
(
きた
)
り、
332
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
恭
(
うやうや
)
しく
捧
(
ささ
)
げ、
333
ゼームス『
私
(
わたくし
)
は
最前
(
さいぜん
)
のゼームスと
申
(
まを
)
す
此
(
この
)
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
334
尊
(
たふと
)
きあなた
方
(
がた
)
等
(
ら
)
に
対
(
たい
)
し、
335
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
申上
(
まをしあ
)
げました。
336
勿体
(
もつたい
)
なくも
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
337
吾々
(
われわれ
)
如
(
ごと
)
き
賤
(
いや
)
しき
者
(
もの
)
の
女房
(
にようばう
)
になれとか、
338
火渡
(
ひわた
)
りをせよとか、
339
いろいろの
難題
(
なんだい
)
を
申上
(
まをしあ
)
げました
無礼
(
ぶれい
)
の
罪
(
つみ
)
、
340
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
お
)
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
341
これも
全
(
まつた
)
くバラモン
教
(
けう
)
の
掟
(
おきて
)
を
遵奉
(
じゆんぽう
)
致
(
いた
)
しての
言葉
(
ことば
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
342
只
(
ただ
)
済
(
す
)
まなかつたのは
尊
(
たふと
)
き
女神
(
めがみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
343
女房
(
にようばう
)
になれと
申上
(
まをしあ
)
げた
事
(
こと
)
のみは、
344
バラモン
教
(
けう
)
の
方
(
はう
)
から
申
(
まを
)
しても
大
(
だい
)
なる
罪悪
(
ざいあく
)
で
御座
(
ござ
)
います。
345
其
(
その
)
為
(
ため
)
、
346
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
怒
(
いか
)
りに
触
(
ふ
)
れ、
347
天
(
てん
)
より
戒
(
いまし
)
めの
大火弾
(
だいくわだん
)
を
投
(
な
)
げつけられ、
348
私
(
わたくし
)
は
其
(
その
)
途端
(
とたん
)
に
中空
(
ちうくう
)
に
捲
(
まき
)
あげられ、
349
最早
(
もはや
)
命
(
いのち
)
は
無
(
な
)
きものと
覚悟
(
かくご
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りましたが、
350
国魂神
(
くにたまがみ
)
竜世姫
(
たつよひめ
)
様
(
さま
)
とやらの、
351
厚
(
あつ
)
き
御守
(
みまも
)
りに
依
(
よ
)
つて
大切
(
たいせつ
)
なる
生命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
はれ、
352
且
(
か
)
ついろいろの
訓戒
(
くんかい
)
をうけました。
353
それ
故
(
ゆゑ
)
取
(
と
)
る
物
(
もの
)
も
取敢
(
とりあへ
)
ず、
354
あなた
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
詫
(
わび
)
を
申上
(
まをしあ
)
げむと
参
(
まゐ
)
りました。
355
どうぞ
此
(
この
)
杖
(
つゑ
)
にて、
356
私
(
わたくし
)
の
身体
(
からだ
)
を
所
(
ところ
)
かまはず、
357
腹
(
はら
)
のいえる
迄
(
まで
)
打据
(
うちす
)
ゑ
下
(
くだ
)
さいますれば、
358
罪
(
つみ
)
の
一部
(
いちぶ
)
は
贖
(
あがな
)
へられるものと
心得
(
こころえ
)
ます。
359
どうぞ
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
360
と
熱涙
(
ねつるい
)
を
流
(
なが
)
し、
361
真心
(
まごころ
)
より
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
るのであつた。
362
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
つた
数多
(
あまた
)
の
里人
(
さとびと
)
は、
363
追々
(
おひおひ
)
と
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
364
何
(
いづ
)
れも
一
(
ひと
)
つの
負傷
(
ふしやう
)
もなきに、
365
不審
(
ふしん
)
の
思
(
おも
)
ひをし
乍
(
なが
)
ら、
366
酋長
(
しうちやう
)
の
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
367
一同
(
いちどう
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
向
(
むか
)
ひ
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
し、
368
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
く
尊敬
(
そんけい
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
し、
369
合掌
(
がつしやう
)
して
拝
(
をが
)
み
倒
(
たふ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
370
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
を
諄々
(
じゆんじゆん
)
と
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
し
酋長
(
しうちやう
)
以下
(
いか
)
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
に
守
(
まも
)
られて
数日
(
すうじつ
)
の
後
(
のち
)
、
371
漸
(
やうや
)
くキールの
港
(
みなと
)
に
着
(
つ
)
いた。
372
(
大正一一・八・八
旧六・一六
松村真澄
録)
373
(昭和一〇・六・八 王仁校正)
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