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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第28巻(卯の巻)
序歌
総説歌
第1篇 高砂の島
第1章 カールス王
第2章 無理槍
第3章 玉藻山
第4章 淡渓の流
第5章 難有迷惑
第6章 麻の紊れ
第2篇 暗黒の叫
第7章 無痛の腹
第8章 混乱戦
第9章 当推量
第10章 縺れ髪
第11章 木茄子
第12章 サワラの都
第3篇 光明の魁
第13章 唖の対面
第14章 二男三女
第15章 願望成就
第16章 盲亀の浮木
第17章 誠の告白
第18章 天下泰平
第4篇 南米探険
第19章 高島丸
第20章 鉈理屈
第21章 喰へぬ女
第22章 高砂上陸
跋(暗闇)
余白歌
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霊界物語
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<<< 天下泰平
(B)
(N)
鉈理屈 >>>
第一九章
高島丸
(
たかしままる
)
〔八一九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:
第4篇 南米探険
よみ(新仮名遣い):
なんべいたんけん
章:
第19章 高島丸
よみ(新仮名遣い):
たかしままる
通し章番号:
819
口述日:
1922(大正11)年08月10日(旧06月18日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は常彦、春彦に舟を操らせてテルの国の山々が見えるところまで漕ぎつけたが、舟は暗礁に乗り上げて粉砕してしまった。この時代は海の塩分が非常に濃かったので、一里二里くらいであれば、なんとか海上を渡ることができた。
しかし三人が海を渡っていると風が吹き始め、波が荒れ出した。炎天下も手伝って、そろそろ高姫は不安の念にかられだし、声を限りに天津祝詞を唱え、日ごろ宿敵と楯突く言依別命にまで祈願をこらしだした。
そこへ高島丸という船が通りかかり、三人を救い出した。高島丸は、筑紫の島、竜宮の一つ島から常世の国へ渡る人々を乗せていた。船長は骨格勝れたタルチールという大男であった。
船長は、救い上げた三人を、船の規則に照らして誰何し、行き先を質した。しかし高姫は、自分は神の生き宮で神界の都合で動いているのだと傲然と述べるばかりである。船長は一方的に改心せよと迫られて怒り出した。
常彦と春彦は、高姫が変わっているのだといって船長をなだめるが、高姫はますます逆上する。船長は、高姫がのぼせ上がっているので縛って吊るし上げる必要があると宣言し、捕縛して帆柱に吊るし上げた。
そこへ、この船に乗り合わせていた言依別命と国依別がこの場に走り来たり、船長に目配せした。船長は慌てて高姫を降ろしたが、高姫、常彦、春彦は言依別命らが助けてくれたことには気がつかなかった。
船長のタルチールは言依別命と国依別の説示を聞いて三五教に改心しており、すでに宣伝使となっていた。それゆえ、常世の国に着いたら宣伝使として各地を廻る決心をしていたのであった。
言依別命と国依別は、素早く船長の部屋に姿を隠した。船長を含めて三人は鼎座して高姫話に時を遷した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-08 22:02:56
OBC :
rm2819
愛善世界社版:
237頁
八幡書店版:
第5輯 437頁
修補版:
校定版:
245頁
普及版:
106頁
初版:
ページ備考:
001
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
002
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
と
003
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
004
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
武器
(
ぶき
)
とふりかざし
005
我意
(
がい
)
を
立
(
た
)
て
貫
(
ぬ
)
く
高姫
(
たかひめ
)
は
006
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
007
公平
(
こうへい
)
無私
(
むし
)
の
御心
(
みこころ
)
に
008
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
流
(
なが
)
しつつ
009
ウラナイ
教
(
けう
)
を
解散
(
かいさん
)
し
010
股肱
(
ここう
)
と
頼
(
たの
)
む
黒姫
(
くろひめ
)
や
011
高山彦
(
たかやまひこ
)
や
魔我彦
(
まがひこ
)
を
012
伴
(
ともな
)
ひ
聖地
(
せいち
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り
013
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
して
014
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
015
紫色
(
むらさきいろ
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
の
016
其
(
その
)
監督
(
かんとく
)
を
命
(
めい
)
ぜられ
017
鼻高々
(
はなたかだか
)
と
諸人
(
もろびと
)
を
018
眼下
(
がんか
)
に
見
(
み
)
おろす
慢心
(
まんしん
)
の
019
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
に
遮
(
さへぎ
)
られ
020
再
(
ふたた
)
び
魔道
(
まだう
)
へ
逆転
(
ぎやくてん
)
し
021
執着心
(
しふちやくしん
)
を
再発
(
さいはつ
)
し
022
玉
(
たま
)
の
在処
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
023
西
(
にし
)
や
東
(
ひがし
)
や
北
(
きた
)
南
(
みなみ
)
024
万里
(
ばんり
)
の
波濤
(
はたう
)
を
乗越
(
のりこ
)
えて
025
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
す
玉探
(
たまさが
)
し
026
聖地
(
せいち
)
を
見捨
(
みすて
)
て
遠近
(
をちこち
)
と
027
彷徨
(
さまよ
)
ふ
中
(
うち
)
に
竜宮
(
りうぐう
)
の
028
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すゐ
)
地
(
ち
)
と
結
(
むす
)
びたる
029
麻邇
(
まに
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
は
梅子姫
(
うめこひめ
)
030
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
や
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
031
テールス
姫
(
ひめ
)
や
友彦
(
ともひこ
)
の
032
五
(
い
)
つの
身魂
(
みたま
)
に
神業
(
かむわざ
)
を
033
占領
(
せんりやう
)
されて
気
(
き
)
を
苛
(
いら
)
ち
034
聖地
(
せいち
)
に
帰
(
かへ
)
りていろいろと
035
怒
(
いか
)
りをもらし
駄々
(
だだ
)
を
捏
(
こ
)
ね
036
麻邇
(
まに
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
監督
(
かんとく
)
を
037
おためごかしに
命
(
めい
)
ぜられ
038
八尋
(
やひろ
)
の
殿
(
との
)
に
現
(
あら
)
はれて
039
高山彦
(
たかやまひこ
)
や
黒姫
(
くろひめ
)
と
040
衆人
(
しうじん
)
環視
(
くわんし
)
の
壇上
(
だんじやう
)
に
041
玉
(
たま
)
検
(
あらた
)
めを
始
(
はじ
)
めける
042
此
(
この
)
時
(
とき
)
五
(
いつ
)
つの
麻邇
(
まに
)
の
玉
(
たま
)
043
紫玉
(
むらさきだま
)
を
除
(
のぞ
)
く
外
(
ほか
)
044
残
(
のこ
)
りの
四
(
よつ
)
つはあら
不思議
(
ふしぎ
)
045
珍
(
うづ
)
の
宝
(
たから
)
と
思
(
おも
)
ひきや
046
見
(
み
)
る
価値
(
かち
)
もなき
団子石
(
だんごいし
)
047
何処
(
いづこ
)
の
誰
(
たれ
)
が
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
048
摺変
(
すりか
)
へたるかと
高姫
(
たかひめ
)
は
049
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし
目
(
め
)
をみはり
050
呆
(
あき
)
れ
居
(
ゐ
)
る
折
(
をり
)
言依別
(
ことよりわけ
)
の
051
珍
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
が
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
052
抱
(
いだ
)
いて
聖地
(
せいち
)
を
遁走
(
とんそう
)
し
053
国依別
(
くによりわけ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
054
高砂島
(
たかさごじま
)
に
渡
(
わた
)
りしと
055
聞
(
き
)
くより
高姫
(
たかひめ
)
気
(
き
)
をいらち
056
又
(
また
)
もや
聖地
(
せいち
)
を
立出
(
たちい
)
でて
057
乗
(
の
)
るか
反
(
そ
)
るかの
瀬戸
(
せと
)
の
波
(
なみ
)
058
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
諸共
(
もろとも
)
に
059
棚無
(
たなな
)
し
舟
(
ぶね
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
060
艪擢
(
ろかい
)
を
操
(
あやつ
)
り
荒波
(
あらなみ
)
を
061
乗切
(
のりき
)
り
乗切
(
のりき
)
り
和田中
(
わだなか
)
に
062
青
(
あを
)
く
泛
(
うか
)
べる
琉
(
りう
)
の
島
(
しま
)
063
那覇
(
なは
)
の
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
064
常楠翁
(
つねくすをう
)
の
住処
(
すみか
)
なる
065
槻
(
つき
)
の
大木
(
おほぎ
)
の
洞穴
(
どうけつ
)
に
066
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り
言依別
(
ことよりわけ
)
の
067
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
琉球
(
りうきう
)
の
068
玉
(
たま
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れ
逸早
(
いちはや
)
く
069
高砂島
(
たかさごじま
)
に
渡
(
わた
)
りしと
070
聞
(
き
)
くより
心
(
こころ
)
もいら
立
(
だ
)
ちて
071
再
(
ふたた
)
び
舟
(
ふね
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
072
山
(
やま
)
なす
波
(
なみ
)
を
乗
(
の
)
り
切
(
き
)
りて
073
大和田中
(
おほわだなか
)
に
浮
(
うか
)
びたる
074
高砂島
(
たかさごじま
)
に
渡
(
わた
)
らむと
075
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
健気
(
けなげ
)
なれ。
076
高姫
(
たかひめ
)
は
常彦
(
つねひこ
)
、
077
春彦
(
はるひこ
)
に
舟
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
らせ、
078
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
継
(
つ
)
いで、
079
漸
(
やうや
)
くにしてテルの
国
(
くに
)
の
山々
(
やまやま
)
仄
(
ほのか
)
に
霞
(
かすみ
)
の
如
(
ごと
)
く
目
(
め
)
に
入
(
い
)
る
地点
(
ちてん
)
まで
漕
(
こ
)
ぎ
着
(
つ
)
けた。
080
舟
(
ふね
)
は
忽
(
たちま
)
ち
暗礁
(
あんせう
)
に
乗上
(
のりあ
)
げ、
081
メキメキと
粉砕
(
ふんさい
)
して
了
(
しま
)
つた。
082
此
(
この
)
頃
(
ころ
)
の
海面
(
かいめん
)
は
塩分
(
えんぶん
)
最
(
もつと
)
も
多
(
おほ
)
く、
083
波
(
なみ
)
なき
時
(
とき
)
は
海上
(
かいじやう
)
と
雖
(
いへど
)
も、
084
直立
(
ちよくりつ
)
して
歩
(
あゆ
)
むに
僅
(
わづ
)
かにこぶらを
没
(
ぼつ
)
する
位
(
くらゐ
)
で、
085
水
(
みづ
)
の
抵抗力
(
ていかうりよく
)
強
(
つよ
)
く、
086
一
(
いち
)
里
(
り
)
二
(
に
)
里
(
り
)
位
(
くらゐ
)
は
容易
(
ようい
)
に
徒歩
(
とほ
)
にて
渡
(
わた
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
たのである。
087
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
088
暴風
(
ばうふう
)
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
り、
089
波
(
なみ
)
立
(
た
)
つ
時
(
とき
)
は
忽
(
たちま
)
ち
波
(
なみ
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
090
生命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
ふ
危険
(
きけん
)
があつた。
091
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
は
船
(
ふね
)
を
破
(
わ
)
り、
092
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
093
尻
(
しり
)
をからげて
霞
(
かすみ
)
の
如
(
ごと
)
く
現
(
あら
)
はれたるテルの
国
(
くに
)
を
目当
(
めあ
)
てに
海上
(
かいじやう
)
を
徒渉
(
とせふ
)
し
始
(
はじ
)
めた。
094
俄
(
にはか
)
に
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
来
(
き
)
た。
095
そろそろ
波
(
なみ
)
は
荒
(
あ
)
れ
出
(
だ
)
した。
096
酷熱
(
こくねつ
)
の
太陽
(
たいやう
)
は
焼
(
や
)
きつく
如
(
ごと
)
く
照
(
て
)
り
出
(
だ
)
した。
097
流石
(
さすが
)
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も、
098
到底
(
たうてい
)
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にては、
099
高砂島
(
たかさごじま
)
に
渡
(
わた
)
ることは
出来
(
でき
)
ないと、
100
心中
(
しんちう
)
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られ、
101
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
唱
(
とな
)
へ、
102
高姫
(
たかひめ
)
『
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
103
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
104
玉照彦
(
たまてるひこ
)
様
(
さま
)
、
105
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
、
106
言依別
(
ことよりわけの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
107
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
108
国依別
(
くによりわけ
)
様
(
さま
)
、
109
どうぞ、
110
此
(
この
)
危難
(
きなん
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
111
高姫
(
たかひめ
)
も
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
我
(
が
)
を
折
(
を
)
りまして、
112
あなた
方
(
がた
)
の
教
(
をしへ
)
通
(
どほ
)
り
堅
(
かた
)
く
守
(
まも
)
ります』
113
と
今迄
(
いままで
)
反対側
(
はんたいがは
)
に
立
(
た
)
つた
役員
(
やくゐん
)
の
名
(
な
)
まで
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
して
祈願
(
きぐわん
)
する、
114
其
(
その
)
心根
(
こころね
)
余程
(
よほど
)
往生
(
わうじやう
)
したと
見
(
み
)
える。
115
常彦
(
つねひこ
)
、
116
春彦
(
はるひこ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
此
(
この
)
祈
(
いの
)
りを
聞
(
き
)
いて、
117
俄
(
にはか
)
に
心細
(
こころぼそ
)
くなり、
118
泣
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
となつて、
119
常彦、春彦
『
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
120
と
蚊
(
か
)
の
鳴
(
な
)
く
様
(
やう
)
に
唱
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
121
折柄
(
をりから
)
波
(
なみ
)
を
蹴立
(
けだ
)
てて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
高島丸
(
たかしままる
)
は、
122
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
波上
(
はじやう
)
に
漂
(
ただよ
)
ひ
困難
(
こんなん
)
の
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
123
直
(
ただち
)
に
船
(
ふね
)
を
近寄
(
ちかよ
)
せ、
124
これを
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げた。
125
高島丸
(
たかしままる
)
には
筑紫
(
つくし
)
の
国
(
くに
)
、
126
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
などより
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
渡
(
わた
)
らむとする
者
(
もの
)
、
127
殆
(
ほとん
)
ど
二百
(
にひやく
)
人
(
にん
)
許
(
ばか
)
り
乗込
(
のりこ
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
128
船長
(
せんちやう
)
はタルチールと
云
(
い
)
ふ
骨格
(
こくかく
)
秀
(
すぐ
)
れた
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
であつた。
129
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
船長室
(
せんちやうしつ
)
に
招
(
まね
)
かれて、
130
いろいろと
取調
(
とりしら
)
べを
受
(
う
)
けた。
131
船長
(
せんちやう
)
『お
前
(
まへ
)
は
何国
(
どこ
)
の
方
(
かた
)
で、
132
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふお
名前
(
なまへ
)
で、
133
何国
(
どこ
)
へ
何用
(
なによう
)
あつてお
出
(
い
)
でになるのか、
134
船中
(
せんちう
)
の
規則
(
きそく
)
として
調
(
しら
)
べておかねばなりませぬ。
135
ハツキリと
茲
(
ここ
)
で、
136
国
(
くに
)
、
137
所
(
ところ
)
、
138
姓名
(
せいめい
)
、
139
用向
(
ようむき
)
の
次第
(
しだい
)
を
仰
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
140
高姫
(
たかひめ
)
『ハイ
私
(
わたし
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
、
141
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
の
八尋殿
(
やひろどの
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
頭
(
かしら
)
として
奉仕
(
ほうし
)
する
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
、
142
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
世界
(
せかい
)
に
有名
(
いうめい
)
な
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
143
人民
(
じんみん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
144
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
がどこへ
行
(
ゆ
)
かうと、
145
行
(
ゆ
)
かうまいと、
146
別
(
べつ
)
に
取調
(
とりしら
)
べる
必要
(
ひつえう
)
はありますまい。
147
神
(
かみ
)
の
事
(
こと
)
は
何程
(
なにほど
)
賢
(
かしこ
)
い
人間
(
にんげん
)
でも、
148
到底
(
たうてい
)
見当
(
けんたう
)
の
取
(
と
)
れぬものですよ』
149
船長
(
せんちやう
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
として、
150
吾々
(
われわれ
)
は
人間
(
にんげん
)
としての
高姫
(
たかひめ
)
を
監督
(
かんとく
)
する
必要
(
ひつえう
)
があるから、
151
其
(
その
)
用向
(
ようむき
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
置
(
お
)
くのだ。
152
キツパリ
言
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
はねば
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
貰
(
もら
)
ふことは
出来
(
でき
)
ませぬ』
153
高姫
(
たかひめ
)
『それだから
人間
(
にんげん
)
は
困
(
こま
)
ると
云
(
い
)
ふのだ。
154
蕪
(
かぶら
)
から
菜種
(
なたね
)
迄
(
まで
)
教
(
をし
)
へて
上
(
あ
)
げねばならぬのかなア。
155
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
ならば、
156
大抵
(
たいてい
)
分
(
わか
)
りさうなものだのに…………エー
仕方
(
しかた
)
がない、
157
秘密
(
ひみつ
)
を
守
(
まも
)
つて
下
(
くだ
)
さるなら
申
(
まを
)
しませう。
158
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
が、
159
国依別
(
くによりわけ
)
のガンガラ
者
(
もん
)
と
大切
(
たいせつ
)
な
玉
(
たま
)
を
盗
(
ぬす
)
み、
160
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
きよつた。
161
それ
故
(
ゆゑ
)
、
162
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
御
(
お
)
宝
(
たから
)
、
163
あの
様
(
やう
)
なドハイカラやガンガラ
者
(
もん
)
に
持
(
も
)
たせておいては、
164
世
(
よ
)
が
乱
(
みだ
)
れる
許
(
ばか
)
り、
165
いつまでも
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
は
出
(
で
)
て
来
(
き
)
は
致
(
いた
)
さぬから、
166
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
を
助
(
たす
)
ける
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が、
167
其
(
その
)
玉
(
たま
)
を
取返
(
とりかへ
)
さむと、
168
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
術
(
じゆつ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
169
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
よりはるばると、
170
舟
(
ふね
)
にも
乗
(
の
)
らず、
171
二人
(
ふたり
)
の
家来
(
けらい
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
172
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
を
渡
(
わた
)
つて
来
(
き
)
た
生神
(
いきがみ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
る。
173
お
前
(
まへ
)
も
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
が、
174
言
(
い
)
うて
貰
(
もら
)
はねば
分
(
わか
)
らぬような
事
(
こと
)
で、
175
如何
(
どう
)
して
船長
(
せんちやう
)
が
勤
(
つと
)
まりますか。
176
これから
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて、
177
宏大
(
くわうだい
)
なる
神徳
(
しんとく
)
を
頂
(
いただ
)
きなさい。
178
際限
(
さいげん
)
もなき
万里
(
ばんり
)
の
波濤
(
はたう
)
を
乗越
(
のりこ
)
える
船頭
(
せんどう
)
としては、
179
チツと
神力
(
しんりき
)
がないと、
180
大勢
(
おほぜい
)
の
人間
(
にんげん
)
の
生命
(
いのち
)
を
預
(
あづか
)
つて
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
中々
(
なかなか
)
荷
(
に
)
が
重
(
おも
)
たい。
181
何程
(
なにほど
)
人間
(
にんげん
)
が
力
(
ちから
)
がありたとて、
182
智慧
(
ちゑ
)
がありたとて、
183
神力
(
しんりき
)
には
叶
(
かな
)
はぬから、
184
早
(
はや
)
く
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて
改心
(
かいしん
)
なさるが
宜
(
よろ
)
しいぞや』
185
船長
(
せんちやう
)
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし、
186
船長
『コリヤ
高姫
(
たかひめ
)
とやら、
187
吾々
(
われわれ
)
を
罪人扱
(
ざいにんあつかひ
)
に
致
(
いた
)
し、
188
改心
(
かいしん
)
せよとはチツと
無礼
(
ぶれい
)
ではないか。
189
改心
(
かいしん
)
と
云
(
い
)
ふ
言葉
(
ことば
)
は、
190
悪人
(
あくにん
)
や
罪人
(
つみびと
)
に
対
(
たい
)
して、
191
審判司
(
さばきつかさ
)
の
申
(
まを
)
すべき
言葉
(
ことば
)
であるぞよ。
192
汝
(
なんぢ
)
如
(
ごと
)
きに
改心
(
かいしん
)
呼
(
よ
)
ばはりをされる
様
(
やう
)
な
汚
(
けが
)
れたタルチールでは
御座
(
ござ
)
らぬぞ。
193
余
(
あま
)
りな
無礼
(
ぶれい
)
を
申
(
まを
)
すと、
194
了見
(
りやうけん
)
致
(
いた
)
さぬ』
195
と
稍
(
やや
)
怒気
(
どき
)
を
含
(
ふく
)
み、
196
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へて
大声
(
おほごゑ
)
に
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てた。
197
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
船頭
(
せんどう
)
、
198
お
前
(
まへ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
がお
気
(
き
)
に
入
(
い
)
りませぬか、
199
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ちますか、
200
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
戒
(
いまし
)
めに、
201
怒
(
いか
)
る
勿
(
なか
)
れと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いますぞや。
202
怒
(
いか
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
最
(
もつと
)
も
神界
(
しんかい
)
より
見
(
み
)
れば
重
(
おも
)
き
罪
(
つみ
)
で
御座
(
ござ
)
いますぞ。
203
お
前
(
まへ
)
は
現
(
げん
)
に
今
(
いま
)
、
204
怒
(
おこ
)
つた
顔
(
かほ
)
をして
尖
(
とが
)
つた
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
し、
205
神界
(
しんかい
)
の
罪
(
つみ
)
を
犯
(
おか
)
した
罪人
(
ざいにん
)
です。
206
それ
故
(
ゆゑ
)
改心
(
かいしん
)
をなされと
高姫
(
たかひめ
)
が
云
(
い
)
つたのだよ。
207
ヘン………コレでも
返答
(
へんたふ
)
が
出来
(
でき
)
るならして
見
(
み
)
なさい。
208
そんな
高
(
たか
)
い
声
(
こゑ
)
をしておどしたつて、
209
いつかな いつかな、
210
ビクつく
様
(
やう
)
な
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
とは
違
(
ちが
)
ひますぞえ。
211
ヘン……』
212
と
鼻
(
はな
)
を
手
(
て
)
の
甲
(
かふ
)
でこすり
上
(
あ
)
げ
乍
(
なが
)
ら
嘲笑
(
あざわら
)
ふ。
213
船長
(
せんちやう
)
『コリヤ コリヤ
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
同行者
(
どうかうしや
)
であらうなア』
214
両人
(
りやうにん
)
『ハイ
仰
(
あふ
)
せの
通
(
とほ
)
りで
御座
(
ござ
)
います。
215
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても、
216
高姫
(
たかひめ
)
さまは、
217
逆上
(
ぎやくじやう
)
して
居
(
を
)
りますから、
218
どうぞお
気
(
き
)
に
障
(
さ
)
へないでゐて
下
(
くだ
)
さいませ。
219
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
は
側
(
そば
)
に
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
ても、
220
ハラハラ
致
(
いた
)
します。
221
否
(
いや
)
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つて
来
(
き
)
ます。
222
況
(
ま
)
してやあなた
様
(
さま
)
のお
腹立
(
はらだち
)
は
御尤
(
ごもつと
)
もと
存
(
ぞん
)
じます』
223
船長
(
せんちやう
)
『あゝさうだらう。
224
何
(
なん
)
でも
一通
(
ひととほ
)
りではないと
思
(
おも
)
つた。
225
余程
(
よほど
)
変
(
かは
)
つてゐさうだなア』
226
高姫
(
たかひめ
)
『ヘン、
227
そりや
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
228
変
(
かは
)
つて
居
(
を
)
らいで
何
(
なん
)
とせう。
229
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
とガラクタ
人間
(
にんげん
)
と
一緒
(
いつしよ
)
にしられてたまるものか。
230
凡夫
(
ぼんぷ
)
の
目
(
め
)
から
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
見
(
み
)
れば、
231
そりやモウ
変
(
かは
)
つた
様
(
やう
)
に
見
(
み
)
えるのは
当前
(
あたりまへ
)
だ。
232
一通
(
ひととほり
)
でないなんて、
233
能
(
よ
)
うマアそんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
が
云
(
い
)
へたものだ。
234
一通
(
ひととほり
)
や
二通
(
ふたとほり
)
所
(
どころ
)
か、
235
神
(
かみ
)
の
階級
(
かいきふ
)
は
百
(
ひやく
)
八十一
(
はちじふひと
)
通
(
とほり
)
ある。
236
そして
其
(
その
)
一番
(
いちばん
)
上
(
うへ
)
の
大神
(
おほかみ
)
こそ
天御中主
(
あめのみなかぬしの
)
大神
(
おほかみ
)
、
237
又
(
また
)
の
御名
(
みな
)
は
大国治立
(
おほくにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
と
云
(
い
)
つて、
238
始
(
はじめ
)
無
(
な
)
く
終
(
をはり
)
なく、
239
無限
(
むげん
)
絶対
(
ぜつたい
)
独一
(
どくいち
)
の
誠
(
まこと
)
の
独
(
ひと
)
り
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だ。
240
其
(
その
)
次
(
つぎ
)
には
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
、
241
其
(
その
)
次
(
つぎ
)
には
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
、
242
それから
段々
(
だんだん
)
と
枝
(
えだ
)
の
神
(
かみ
)
があり、
243
人民
(
じんみん
)
は
神
(
かみ
)
の
次
(
つぎ
)
だ。
244
百八十
(
ひやくはちじふ
)
通
(
とほ
)
りも
隔
(
へだ
)
てがあるのだよ。
245
さうだからテンデお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は、
246
此
(
この
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
申
(
まを
)
すことが
分
(
わか
)
らぬのだ。
247
人民
(
じんみん
)
は
人民
(
じんみん
)
らしくおとなしく
致
(
いた
)
して
神
(
かみ
)
に
口答
(
くちごた
)
へを
致
(
いた
)
すでないぞや。
248
コレ
船長殿
(
せんちやうどの
)
、
249
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
の
申
(
まを
)
すこと、
250
チツとは
御
(
ご
)
合点
(
がつてん
)
が
参
(
まゐ
)
りましたかなア』
251
船長
(
せんちやう
)
『
常彦
(
つねひこ
)
、
252
春彦
(
はるひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
253
お
前
(
まへ
)
さまは
此
(
この
)
女
(
をんな
)
を
如何
(
どう
)
考
(
かんが
)
へてゐますか。
254
随分
(
ずゐぶん
)
エライのぼせ
方
(
かた
)
だ。
255
まだ
高砂島
(
たかさごじま
)
へは
三日
(
みつか
)
や
五日
(
いつか
)
では
到着
(
たうちやく
)
するのは
六
(
む
)
つかしい。
256
海
(
うみ
)
へでも
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
まれては
大変
(
たいへん
)
だから、
257
一
(
ひと
)
つ
手足
(
てあし
)
をしばり、
258
頭
(
あたま
)
から
水
(
みづ
)
でもかけておくか、
259
頭
(
あたま
)
のてつぺんに
穴
(
あな
)
でもあけて、
260
逆
(
さか
)
さまに
吊
(
つ
)
り
下
(
さ
)
げ、
261
少
(
すこ
)
し
血
(
ち
)
でも
抜
(
ぬ
)
いてやらねば、
262
此
(
この
)
病気
(
びやうき
)
は
本復
(
ほんぷく
)
致
(
いた
)
すまい。
263
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
は
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
264
何事
(
なにごと
)
も
船長
(
せんちやう
)
の
命令
(
めいれい
)
をきかねばならないのだから、
265
お
前
(
まへ
)
の
手
(
て
)
で
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
を
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げ、
266
船底
(
ふなぞこ
)
へ
伴
(
つ
)
れて
往
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ。
267
吾々
(
われわれ
)
もついて
往
(
い
)
つて
血
(
ち
)
を
出
(
だ
)
して
逆上
(
のぼせ
)
を
引下
(
ひきさ
)
げてやるから……』
268
常彦
(
つねひこ
)
、
269
春彦
(
はるひこ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
270
両人
(
りやうにん
)
『モシモシ
船長
(
せんちやう
)
様
(
さま
)
、
271
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
には
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
が
附添
(
つきそ
)
ひ、
272
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になる
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
させませぬから、
273
頭
(
あたま
)
を
割
(
わ
)
つて
血
(
ち
)
を
出
(
だ
)
したり、
274
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げる
事
(
こと
)
丈
(
だけ
)
は
何卒
(
どうぞ
)
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
275
船長
(
せんちやう
)
『…………』
276
高姫
(
たかひめ
)
パツと
怒
(
いか
)
り、
277
高姫
『
盲
(
めくら
)
の
垣覗
(
かきのぞ
)
き、
278
猫
(
ねこ
)
に
小判
(
こばん
)
とはお
前
(
まへ
)
のことだ。
279
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
は
金鉄
(
きんてつ
)
も
同様
(
どうやう
)
、
280
指一本
(
ゆびいつぽん
)
触
(
さ
)
へることは
出来
(
でき
)
ませぬぞ。
281
勿体
(
もつたい
)
ない、
282
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
を、
283
仮令
(
たとへ
)
蚤
(
のみ
)
の
口
(
くち
)
程
(
ほど
)
でも
傷
(
きず
)
つけてみよれ。
284
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
は
忽
(
たちま
)
ち、
285
此
(
この
)
船
(
ふね
)
は
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に
岩
(
いは
)
に
打
(
ぶ
)
つかり
沈没
(
ちんぼつ
)
致
(
いた
)
し、
286
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
敵対
(
てきと
)
うた
者
(
もの
)
は
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
へ
突落
(
つきおと
)
され、
287
真心
(
まごころ
)
になつて
頼
(
たの
)
んだ
人民
(
じんみん
)
は、
288
天
(
てん
)
から
抓
(
つま
)
み
上
(
あ
)
げて、
289
善悪
(
ぜんあく
)
の
立別
(
たてわ
)
けをハツキリ
致
(
いた
)
して
見
(
み
)
せるぞや』
290
船長
(
せんちやう
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
如何
(
どう
)
しても
駄目
(
だめ
)
だ。
291
……
常彦
(
つねひこ
)
、
292
春彦
(
はるひこ
)
、
293
お
前
(
まへ
)
は
今迄
(
いままで
)
先生
(
せんせい
)
と
仰
(
あふ
)
いで
来
(
き
)
たのだから、
294
何程
(
なにほど
)
船長
(
せんちやう
)
の
命令
(
めいれい
)
でも、
295
高姫
(
たかひめ
)
を
縛
(
しば
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
くまい、
296
師弟
(
してい
)
の
情
(
じやう
)
として
無理
(
むり
)
もない。
297
これから
此
(
この
)
タルチールが
直接
(
ちよくせつ
)
に
荒料理
(
あられうり
)
をしてやるから、
298
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
両人
(
りやうにん
)
は、
299
下
(
した
)
の
船室
(
せんしつ
)
に
控
(
ひか
)
へて
居
(
を
)
れ』
300
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ
常
(
つね
)
、
301
春
(
はる
)
、
302
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を、
303
チツとの
間
(
あひだ
)
も、
304
目放
(
めはな
)
し
致
(
いた
)
すことはならぬぞや。
305
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
は、
306
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
のお
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
てねばならぬ
系統
(
ひつぽう
)
の
生宮
(
いきみや
)
だ。
307
船長
(
せんちやう
)
に
付
(
つ
)
くか、
308
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
従
(
つ
)
くか。
309
サア
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つの
返答
(
へんたふ
)
を
承
(
うけたまは
)
りませう』
310
船長
(
せんちやう
)
は『エー
面倒
(
めんだう
)
』と
強力
(
がうりき
)
に
任
(
まか
)
せ、
311
高姫
(
たかひめ
)
を
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
り、
312
両足
(
りやうあし
)
を
括
(
くく
)
り、
313
太縄
(
ふとなは
)
を
帆柱
(
ほばしら
)
にかけ、
314
キリキリと
絞
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
した。
315
高姫
(
たかひめ
)
は
足
(
あし
)
を
空
(
そら
)
に
頭
(
あたま
)
を
下
(
した
)
にした
儘
(
まま
)
、
316
チクチク
帆柱
(
ほばしら
)
目
(
め
)
がけて
吊
(
つ
)
り
上
(
あ
)
げられた。
317
常
(
つね
)
、
318
春
(
はる
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
地団駄
(
ぢだんだ
)
ふんで、
319
ワイワイと
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ。
320
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
折
(
をり
)
よくも
乗
(
の
)
つてゐた
言依別
(
ことよりわけ
)
、
321
国依別
(
くによりわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
慌
(
あわて
)
て
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
322
船長
(
せんちやう
)
に
何事
(
なにごと
)
か
目配
(
めくば
)
せした。
323
船長
(
せんちやう
)
は
驚
(
おどろ
)
いた
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
して、
324
慇懃
(
いんぎん
)
に
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
325
直
(
ただち
)
に
高姫
(
たかひめ
)
を
吊
(
つ
)
りおろした。
326
常彦
(
つねひこ
)
、
327
春彦
(
はるひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は、
328
余
(
あま
)
りの
事
(
こと
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
329
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
言依別
(
ことよりわけ
)
、
330
国依別
(
くによりわけ
)
の
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りし
事
(
こと
)
に
気
(
き
)
がつかなかつた。
331
高姫
(
たかひめ
)
も
亦
(
また
)
苦
(
くる
)
しさに
両人
(
りやうにん
)
の
現
(
あら
)
はれて
吾
(
わ
)
れを
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れたる
事
(
こと
)
をチツとも
知
(
し
)
らなかつた。
332
船長
(
せんちやう
)
のタルチールは、
333
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
334
国依別
(
くによりわけ
)
の
時々
(
ときどき
)
の
説教
(
せつけう
)
を
聞
(
き
)
き、
335
スツカリと
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となり、
336
言依別
(
ことよりわけ
)
の
高弟
(
かうてい
)
となつて、
337
既
(
すで
)
に
宣伝使
(
せんでんし
)
の
職名
(
しよくめい
)
を
与
(
あた
)
へられてゐた。
338
それ
故
(
ゆゑ
)
タルチールは
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
を
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けると
共
(
とも
)
に、
339
自分
(
じぶん
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて、
340
高砂島
(
たかさごじま
)
や
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
を
宣伝
(
せんでん
)
すべく
決心
(
けつしん
)
してゐたのである。
341
さうして
高姫
(
たかひめ
)
の
事
(
こと
)
も
略
(
ほぼ
)
、
342
国依別
(
くによりわけ
)
より
聞
(
き
)
かされてゐた。
343
言依別
(
ことよりわけ
)
、
344
国依別
(
くによりわけ
)
は
手早
(
てばや
)
く
船長
(
せんちやう
)
の
寝室
(
しんしつ
)
の
間
(
ま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
345
船長
(
せんちやう
)
も
亦
(
また
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
346
おのが
寝室
(
しんしつ
)
に
這入
(
はい
)
つて、
347
三
(
さん
)
人
(
にん
)
鼎座
(
ていざ
)
し、
348
高姫話
(
たかひめばなし
)
に
時
(
とき
)
を
遷
(
うつ
)
した。
349
(
大正一一・八・一〇
旧六・一八
松村真澄
録)
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