霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
サイトをリニューアルしました(従来バージョンはこちら)【新着情報】サブスクのお知らせ)

第五章 急告(きふこく)〔一一〇九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第1篇 天空地平 よみ(新仮名遣い):てんくうちへい
章:第5章 急告 よみ(新仮名遣い):きゅうこく 通し章番号:1109
口述日:1922(大正11)年11月10日(旧09月22日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
マンモスは、同じカールチン配下のユーフテスと出世を争っていた。マンモスはセーラン王の館の玄関口でサモア姫と出くわした。サモア姫は、ユーフテスが左守クーリンスの娘・セーリス姫と密会してカールチンの計略を洩らしていたことを告げた。
マンモスは、そのことをカールチンに注進に来たのであった。しかしカールチンは、マンモスとユーフテスが地位争いをしていることを知っていたので、事の真偽を図りかねていた。
そこへユーフテスがやってきた。マンモスは突然のことでまごついた。カールチンは、ユーフテスに直々に尋ねたいことがあるとマンモスを下がらせた。
カールチンは、セーリス姫の居間に行ったことについてユーフテスを問いただした。ユーフテスは平然として、自分に惚れているセーリス姫を利用して王の動向を探らせているのだ、とカールチンに報告した。
そしてユーフテスは、セーリス姫の探偵の結果をカールチンに報告した。セーラン王は実はサマリー姫を愛するあまり、姫と元のように添えるならば王位をカールチンに譲って退位する心であるという。
カールチン夫婦はこの報告を信じて、サマリー姫を引き出して盛装を整えさせ、イルナ城に送り届けることになった。マンモスはユーフテスによって牢獄に投げ込まれてしまった
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-09 10:09:49 OBC :rm4105
愛善世界社版:67頁 八幡書店版:第7輯 555頁 修補版: 校定版:69頁 普及版:33頁 初版: ページ備考:
001 セーラン(わう)(やかた)玄関口(げんくわんぐち)にて出会(であ)つたのは右守(うもり)のカールチンが(みぎ)(うで)(たの)むマンモスとサモア(ひめ)である。
002サモア姫『オー、003マンモス(さま)004今日(けふ)大変(たいへん)にお(はや)()登城(とじやう)(ござ)りますな。005貴方(あなた)()出世(しゆつせ)(さまた)げになると何時(いつ)仰有(おつしや)るユーフテスの(こと)()いて、006(わたし)(ひと)(たしか)証拠(しようこ)(にぎ)りましたから、007何卒(どうぞ)ソツと一寸(ちよつと)(わたし)居間(ゐま)まで()(くだ)さいませぬか。008ここでは人目(ひとめ)がはげしう(ござ)りますから、009()かれちや大変(たいへん)ですワ』
010 マンモスは(こゑ)(ひそ)めて、
011マンモス(なに)012ユーフテスの(なに)欠点(けつてん)見出(みい)だしたと()ふのか。013よしよしそれなら()きませう』
014サモア姫何卒(どうぞ)足音(あしおと)(しの)ばせて(わたし)(しつ)まで()(くだ)さいませ』
015四五間(しごけん)(はな)れて(さき)()つて()く。
016 マンモスは(ひめ)(うしろ)から何喰(なにく)はぬ(かほ)して(したが)ひつつ後姿(うしろすがた)(なが)めて、
017マンモス(なん)()(をんな)だなア。018何処(どこ)ともなしに()()いてる(やつ)だ。019器量(きりやう)()ひ、020あの(あし)(はこ)(やう)()ひ、021何処(どこ)欠点(けつてん)のない(をんな)だ。022(おれ)(はや)思惑(おもわく)()ててサモア(ひめ)歓心(くわんしん)()ひ、023(いち)(にち)(はや)結婚(けつこん)(しき)()げたいものだ。024(ひめ)(ひめ)(おれ)には特別(とくべつ)秘密(ひみつ)(あか)して()れるのだから()めたものだ。025(おれ)(ぐらゐ)幸福(かうふく)(もの)(この)イルナの(くに)には、026一人(ひとり)とあるまい。027先方(むかふ)(おれ)にはチヨイ()れなり(おれ)(はう)からは大惚(おほぼ)れと()()るのだから(たま)らないわ、028エヘヽヽヽ』
029(ひと)(わら)(ひと)(ささや)き、030サモア(ひめ)(しつ)(しの)()る。031サモア(ひめ)長煙管(ながぎせる)煙草(たばこ)をつぎ一服(いつぷく)()ひつけて、032吸口(すひぐち)着物(きもの)(そで)()きながら(やなぎ)()(やう)(ほそ)()をして、
033サモア姫『さあマンモスさま、034一服(いつぷく)(あが)り』
035差出(さしだ)す。036マンモスも(また)団栗眼(どんぐりまなこ)無理(むり)(ほそ)くし、037(ねこ)(やう)(のど)をゴロゴロならせ、038色男(いろをとこ)気取(きど)りですまし()んで、039サモア(ひめ)差出(さしだ)煙管(きせる)をソツと受取(うけと)り、040(たい)(しや)(かま)へスパスパと(けむり)()()いて()る。041サモア(ひめ)小声(こごゑ)になつて、
042サモア姫『これ、043マンモスさま、044大変(たいへん)(こと)見付(みつ)かりましたよ。045屹度(きつと)貴方(あなた)()出世(しゆつせ)(たね)ですわ』
046 マンモス(また)小声(こごゑ)になり、
047マンモス『サモアさま、048(なん)ですか、049(はや)()つて(くだ)さいな』
050 サモア(ひめ)はツと立上(たちあが)戸口(とぐち)(すこ)しく(ひら)き、051(かほ)(そと)へつき()して四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)し、052(さいは)(ひと)()きにヤツと安心(あんしん)したものの(ごと)く、053ピシヤリと()()め、054(なか)から(かた)(ぢやう)(おろ)し、055マンモスの(まへ)(しづか)()し、056マンモスの(ひだり)()をグツと(にぎ)り、057(ふた)()左右(さいう)()()て、
058サモア姫『これマンモスさま、059(しつ)かりなさいませ。060ここが貴方(あなた)登竜門(とうりうもん)だ。061ユーフテスさまが内証(ないしよう)でクーリンスの(むすめ)セーリス(ひめ)のお居間(ゐま)(しの)()り、062カールチン(さま)(すべ)ての計略(けいりやく)密々(ひそびそ)()らしてゐましたよ。063屹度(きつと)二人(ふたり)情約(じやうやく)締結(ていけつ)(わたし)貴方(あなた)(やう)()んでゐると()えますワ。064そしてセーラン(わう)(さま)一切(いつさい)秘密(ひみつ)打明(うちあ)ける(かんが)へらしう(ござ)りましたよ』
065マンモス『そりや本当(ほんたう)(こと)ですか。066本当(ほんたう)ならば(わたし)貴女(あなた)にとつては大変(たいへん)幸運(かううん)()いて()たやうなものです』
067サモア姫『もしマンモスさま』
068(みみ)(くち)をよせ何事(なにごと)(しばら)くの(あひだ)(ささや)いて()る。069マンモスは幾度(いくたび)打頷(うちうなづ)きながら、
070マンモス『サモア(ひめ)殿(どの)071随分(ずゐぶん)()をおつけなさい。072(わたし)はこれからカールチン(さま)(やかた)(まゐ)つて注進(ちゆうしん)(いた)し、073ユーフテスの反逆(はんぎやく)逐一(ちくいち)申上(まをしあ)げ、074(かれ)制敗(せいばい)(いた)して(もら)ひませう。075さうすれば、076吾々(われわれ)はカールチン(さま)(いち)家来(けらい)となり、077(まへ)さまと安楽(あんらく)立派(りつぱ)(たの)しい月日(つきひ)(おく)れますからな。078何程(なにほど)セーラン(わう)(さま)()威勢(ゐせい)(たか)いと()つても、079鬼熊別(おにくまわけ)(さま)()系統(ひつぱう)だから(けつ)して(おそ)るるには()りますまい。080カールチン(さま)右守(うもり)でも大黒主(おほくろぬし)(さま)のお()()りだから(たい)したものですよ。081(なん)()つても旗色(はたいろ)のよい(はう)へつくが利口(りこう)人間(にんげん)のやり(かた)ですからな』
082(あく)抜目(ぬけめ)のないマンモスは一生(いつしやう)懸命(けんめい)城内(じやうない)()()で、083カールチンの(やかた)(あわただ)しく()()む。084マンモスはカールチンの(やかた)裏口(うらぐち)から(しの)()り、085(その)(まま)(おく)(すす)み、086カールチン、087テーナ(ひめ)夫婦(ふうふ)(まへ)両手(りやうて)をつき、
088マンモス旦那(だんな)(さま)089奥様(おくさま)090大変(たいへん)(こと)(おこ)りました。091()用心(ようじん)なされませ』
092 カールチンは(この)言葉(ことば)(おどろ)立膝(たてひざ)になつて、
093カールチン(なに)094大変(たいへん)とは何事(なにごと)ぞ。095(はや)委細(ゐさい)物語(ものがた)れ』
096とせき()てる。097マンモスは(あせ)(ぬぐ)ひ、
098マンモス『はい、099貴方(あなた)()信任(しんにん)(あそ)ばすユーフテスの(こと)(ござ)ります。100貴方(あなた)(かれ)此上(こよ)なき(もの)()信用(しんよう)(あそ)ばして()られますが、101(かれ)はセーラン(わう)間者(かんじや)(ござ)りますから用心(ようじん)なさいませ。102(ひと)もあらうにクーリンスの(むすめ)セーリス(ひめ)(じやう)(つう)じ、103一切(いつさい)秘密(ひみつ)をセーラン(わう)やクーリンスの(もと)報告(はうこく)(いた)して()りまする。104(いま)(うち)(かれ)()制敗(せいばい)(あそ)ばされねば、105貴方(あなた)()生命(いのち)にも(かか)はる一大事(いちだいじ)何時(いつ)(おこ)るかも()れませぬ。106(わたし)はサモア(ひめ)()(ふく)めて様子(やうす)(かんが)へさして()りました(ところ)107(たしか)証拠(しようこ)(にぎ)りましたから、108(いま)にも(かれ)()()して()制敗(せいばい)なさるのがお(いへ)のため、109()のためと(おそ)れながら(かんが)へます』
110カールチン(なに)111ユーフテスが左様(さやう)裏返(うらがへ)(てき)行動(かうどう)()つて()るか。112そりや()しからぬ。113(この)(まま)()ておく(わけ)には()くまい』
114テーナ姫『もし旦那(だんな)(さま)115ユーフテスは(じつ)吾々(われわれ)(たい)忠実(ちうじつ)(をとこ)(ござ)りますから、116よもや、117そんな(こと)(いた)しますまい。118(ひと)()(こと)(すぐ)(しん)じてはなりませぬ。119一応(いちおう)取調(とりしら)べた(うへ)でなくては是非(ぜひ)判断(はんだん)はつきますまい。120これマンモス、121(まへ)大変(たいへん)(あわ)てて()様子(やうす)だが、122トツクリ調(しら)べた(うへ)(こと)か。123(あるひ)(ひと)(うはさ)()いたのか』
124マンモス『テーナ(ひめ)(さま)125(わたし)旦那(だんな)(さま)()恩顧(おんこ)()けて()(もの)(ござ)ります。126(なに)しに証拠(しようこ)なき(こと)申上(まをしあ)げて()夫婦(ふうふ)のお()()ませませうか。127正真(しやうしん)正銘(しやうめい)生中(きなか)掛値(かけね)もない証拠(しようこ)(ござ)ります。128何卒(どうぞ)(とき)(うつ)さずユーフテスを召捕(めしと)(あそ)ばしてお(いへ)禍根(くわこん)をお(のぞ)(くだ)さいませ。129何程(なにほど)事務(じむ)()れると()つても、130あの(をとこ)のする(ぐらゐ)(こと)(わたし)でも(いた)します。131(とき)おくれては一大事(いちだいじ)132さあ(はや)()決心(けつしん)(ねが)ひます』
133 カールチンはマンモスの言葉(ことば)(なかば)(しん)(なかば)(うたが)つて()る。134(その)理由(わけ)はユーフテスは自分(じぶん)(もつと)信任(しんにん)する(をとこ)であり、135二人(ふたり)(なか)地位(ちゐ)(あらそ)ひが(あん)(おこ)つてゐる(こと)をよく承知(しようち)して()たから、136マンモスが()んな(こと)捏造(ねつざう)してユーフテスを(おとしい)れる(かんが)へではあるまいかとも(おも)つてゐたのである。
137カールチン『マンモス、138其方(そち)()(こと)一分(いちぶ)一厘(いちりん)間違(まちが)ひはないか』
139マンモス(けつ)して(けつ)して(うそ)(いつは)りは(まを)しませぬ。140愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ればお(やかた)一大事(いちだいじ)ですから、141()(もの)()()へず城内(じやうない)()()内報(ないはう)(まゐ)りました』
142 カールチン、143テーナの二人(ふたり)双手(もろて)()みマンモスの報告(はうこく)虚実(きよじつ)(はん)じかね、144(しば)黙然(もくねん)として(かんが)へこんで()る。145そこへ何気(なにげ)なうやつて()たのはユーフテスである。146ユーフテスは(この)()様子(やうす)(ただ)ならざると、147マンモスの(その)()()るに(すこ)しく不審(ふしん)(おこ)し、
148ユーフテス旦那(だんな)(さま)149奥様(おくさま)150()機嫌(きげん)(よろ)しう(ござ)りますか。151ヤア其方(そなた)はマンモス、152吾々(われわれ)(ゆる)しもなく直接(ちよくせつ)旦那(だんな)(さま)面会(めんくわい)(ねが)ふとは合点(がてん)(まゐ)らぬ。153(なに)急用(きふよう)(こと)でも(おこ)つたのか』
154(すこ)しく(こゑ)(ちから)()れて(なじ)(やう)()ひつめる。155マンモスは不意(ふい)()たれて(にはか)返答(へんたふ)(こま)り、
156マンモス『ハイ、157いやもう貴方(あなた)()壮健(さうけん)恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)じます。158旦那(だんな)(さま)もお達者(たつしや)で、159まあまあ目出度(めでた)目出度(めでた)い』
160上下(じやうげ)言葉(ことば)使(づか)ひを取違(とりちが)へ、161マゴついてゐる。
162ユーフテス(なん)とも合点(がてん)()かぬマンモスの挙動(きよどう)163(なに)拙者(せつしや)行動(かうどう)について旦那(だんな)(さま)内通(ないつう)をしに()たのだらう。164(なんぢ)()下役(したやく)()るべき(ところ)でない、165(さが)()され』
166カールチン(なに)()もあれ、167ユーフテスに(たづ)()ふべき仔細(しさい)あれば、168マンモス、169其方(そなた)(しば)居間(ゐま)(さが)つて、170此方(こちら)命令(めいれい)()つがよかろうぞ』
171(きび)しき(つる)一声(ひとこゑ)にマンモスは(かへ)言葉(ことば)もなく、172手持(てもち)無沙汰(ぶさた)(あと)(こころ)(のこ)し、173(わが)居間(ゐま)さして(かへ)()く。
174 カールチンは半信(はんしん)半疑(はんぎ)(くも)(つつ)まれながら言葉(ことば)(おごそ)かに、
175カールチン『ユーフテス、176(まへ)(ひと)(たづ)ねたい(こと)があるが、177セーリス(ひめ)居間(ゐま)()つたのは何用(なによう)あつてか、178その理由(わけ)(つつ)まず(かく)さず(わが)(まへ)陳述(ちんじゆつ)せよ』
179語気(ごき)()らげ()ひかけた。180ユーフテスは平然(へいぜん)として、
181ユーフテス(じつ)(その)(こと)()いて旦那(だんな)(さま)一伍(いちぶ)一什(しじふ)申上(まをしあ)げむと、182登城(とじやう)()ませ、183(いそ)いで御前(ごぜん)(まか)()でました(ところ)(ござ)ります。184マンモスの(やつ)185(なに)申上(まをしあ)げたのでは(ござ)りませぬか』
186カールチン『うん』
187テーナ姫其方(そなた)はセーリス(ひめ)(なに)(たく)んで()るのではありませぬか。188セーリス(ひめ)(たれ)(むすめ)だと(おも)つて()ますか。189(まへ)さまの行動(かうどう)(あや)しいと()ふので、190(いま)マンモスが注進(ちゆうしん)()(ところ)だよ。191旦那(だんな)(さま)(うたがひ)()らすために、192何事(なにごと)(つつ)まず(かく)さず()つたが()かろうぞや』
193ユーフテス『お(たづ)ねまでもない一切(いつさい)万事(ばんじ)様子(やうす)申上(まをしあ)げむと参上(さんじやう)(いた)しましたので(ござ)ります。194(じつ)はセーリス(ひめ)195(わたし)(をとこ)らしい(ところ)属根(ぞつこん)()()み、196幾度(いくたび)となく艶書(えんしよ)(おく)()可笑(をか)しさ。197こいつはテツキリ、198クーリンスの内命(ないめい)自分(じぶん)(はら)(さぐ)らして()るに(ちが)ひないと(ぞん)じ、199固造(かたざう)仇名(あだな)をとつた(この)ユーフテスは幾度(いくたび)となく肱鉄(ひぢてつ)をかまし、200昨日(きのふ)まで()れて()ました(ところ)201(をんな)一心(いつしん)()ふものは(えら)いもので、202セーリス(ひめ)態々(わざわざ)(わが)()(たづ)ねて(まゐ)り、203(らち)もない(こと)(まを)して、204(こひ)しいの(なん)のと口説(くど)()て、205いやもう()(あし)もつけやうなく、206(この)(うへ)(つれ)なく(いた)せば自害(じがい)(いた)しかねまじき権幕(けんまく)207そこで(わたし)(おも)ふやうには、208こりや(けつ)して(まは)(もの)ではない。209(こひ)上下(じやうげ)(へだ)てはないと(かんが)へ、210(わざ)(やはら)かく()()れば、211(ひめ)益々(ますます)本性(ほんしやう)(あら)はし、212ぞつこん(わたくし)(ほれ)きつて()ると()ふことが明白(めいはく)になりました。213さうなれば(かれ)利用(りよう)してセーラン(わう)動静(どうせい)(さぐ)り、214(かつ)先方(むかふ)計略(けいりやく)あらば(その)(うら)()くには()つて()いと(ぞん)じまして、215旦那(だんな)(さま)には内証(ないしよう)なれど、216一寸(ちよつと)(この)ユーフテスが()()かしたので(ござ)ります』
217カールチン『あゝさうだつたか、218(まへ)(こと)だから如才(じよさい)はあるまいと(おも)つてゐた。219()つべきものは家来(けらい)なりけりだ。220そりや()いことをして()れた。221よい探偵(たんてい)手蔓(てづる)出来(でき)たものだな。222大自在天(だいじざいてん)(さま)も、223まだ(この)カールチンを()(たま)はぬと()えるわい。224アハヽヽヽ、225いやテーナ、226安心(あんしん)(いた)せよ』
227テーナ姫『それ()いてチツとばかり安心(あんしん)(いた)しましたが、228まだ十分(じふぶん)()(ゆる)(ところ)へは(まゐ)りますまい。229そしてユーフテス、230(なに)かよい(こと)(さぐ)つて()たであらうな』
231ユーフテス『ハイ、232(わう)(さま)信任(しんにん)()けて()るセーリス(ひめ)(こと)ですから、233(なん)でもよく()つてゐます。234(をんな)()ふものは(かしこ)(やう)でもあだといものですワ。235一伍(いちぶ)一什(しじふ)(わたし)口車(くちぐるま)にのつて(みな)(しやべ)つて(しま)ひました』
236カールチン『どんなことを()つて()たのかな』
237ユーフテス(わたし)もまだ一度(いちど)()つたきりで十分(じふぶん)のことは()きませなんだ。238そして(また)あまり追究(つゐきふ)(いた)しますと(あや)しく(おも)はれてはならぬと(ぞん)じ、239(すこ)しばかり、240それとはなしに(さぐ)つて()ました(ところ)が、241(わう)(さま)非常(ひじやう)にサマリー(ひめ)(さま)をお(した)(あそ)ばし、242(ひめ)()ふのならば王位(わうゐ)()てて、243(ひめ)父親(てておや)カールチン(さま)(あと)()がせても()いとのお(かんが)へで(ござ)ります。244あまり()夫婦(ふうふ)(なか)がいいものですから意茶(いちや)づき喧嘩(げんくわ)(あそ)ばし、245到頭(とうとう)サマリー(ひめ)(さま)(わが)()へお(かへ)りになつたので(わう)(さま)()心配(しんぱい)246(くち)(まを)(やう)のことでは(ござ)りませぬ』
247テーナ姫(なに)248(わう)(さま)はサマリー(ひめ)をそれだけ(あい)して()られるのか、249そらさうだらう。250夫婦(ふうふ)情愛(じやうあい)(また)格別(かくべつ)のものだからな』
251(うれ)しげにテーナはうなづく。
252ユーフテス(ひめ)(さま)(もと)(ごと)()はれるのならば、253刹帝利(せつていり)王位(わうゐ)()てて右守(うもり)司様(かみさま)(あと)()いで(もら)つても差支(さしつかへ)ないと時々(ときどき)()らしぢやさうです。254もはや(わう)(さま)(おい)(その)(こころ)ある(うへ)は、255(いち)(にち)(はや)くサマリー(ひめ)(わう)(さま)御許(みもと)(かへ)し、256大黒主(おほくろぬし)(さま)応援(おうゑん)(ことわ)つて、257円満(ゑんまん)解決(かいけつ)(みち)(かう)じられる(はう)将来(しやうらい)()め、258大変(たいへん)結構(けつこう)(ござ)りませう。259国民(こくみん)(たい)しても信用(しんよう)(じやう)大変(たいへん)都合(つがふ)(よろ)しいだらうと(ぞん)じます』
260カールチン『そりや(はた)して真実(しんじつ)か、261それが真実(しんじつ)とすれば此方(こちら)(ひと)(かんが)へねばなるまい。262平地(へいち)(なみ)(おこ)必要(ひつえう)もないからのう』
263ユーフテス『そら、264さうで(ござ)いますとも。265吾々(われわれ)だつて旦那(だんな)(さま)刹帝利(せつていり)(くらゐ)におつき(あそ)ばす以上(いじやう)左守(さもり)(かみ)(にん)じて(いただ)けるのですから、266一生(いつしやう)懸命(けんめい)に、267ここ(まで)(さぐ)つたので(ござ)ります。268これ以上(いじやう)(また)明日(あす)登城(とじやう)(いた)しましてセーリス(ひめ)(とく)(まを)()かせ、269(わう)信任(しんにん)ある(かれ)(くち)より、270(いち)(にち)(はや)(わう)(さま)自決(じけつ)される(やう)(すす)めませう』
271(はや)くもユーフテスはセーリス(ひめ)(わな)にかかり、272カールチン夫婦(ふうふ)をうまくチヨロまかして(しま)つた。273さうしてサマリー(ひめ)獄舎(ひとや)より()()両親(りやうしん)にお(わび)をさせ、274盛装(せいさう)(ととの)輿(こし)打乗(うちの)せて入那城(いるなじやう)(おく)(とど)ける(こと)となつた。275マンモスはユーフテスの(はか)らひにて(たちま)牢獄(らうごく)()()まれて(しま)つた。
276大正一一・一一・一〇 旧九・二二 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki