蒙古入に際して
天地の神の任さしの瑞御魂いかでか捨てむ弥勒の愛は〈序文(初版)〉
吾が往かば官も世人も信徒もさぞさわぐらむ暫し待てかし〈序文(初版)〉
行く先の国人たちに守られて五六七の神業遂ぐる嬉しさ〈序文(初版)〉
蒙古入に際して
海山を遠く隔てて住むとても誠の人に近き吾なり〈総説(初版)〉
不知火の筑紫の果に到るとも心は近く信徒守らむ〈総説(初版)〉
もろこしの野辺にも月はいさぎよく照るいさをしは変らざりけり〈総説(初版)〉
たとへ身は野山の奥に朽つるともわが大君の御代を忘れじ〈二章(初版)〉
ぬれ衣の干るよしもなき悲しさにきりしま山の火こそ恋しき〈二章(初版)〉
故郷の空打ち眺め思ふかな数多の御子の心いかにと〈三章(初版)〉
西へ行く月日の影はいと清し吾も月日に習はむとぞ思ふ〈四章(初版)〉
ローマ字やエスペラントの花咲きて緑の星の影さやかなり〈五章(初版)〉
エスペラント数多のアミーコ集りてゑらぎ楽しむ聖地の初冬〈五章(初版)〉
身はたとへ千里の外に置くとてもいかで忘れむ君の真心〈六章(初版)〉
百年の齢保ちて現世にさかえますべく吾は祈らむ〈六章(初版)〉
自我心の魔にさやられて自身から神の宮居と語る愚かさ〈七章(初版)〉
自己愛のはげしき人に皇神の誠の愛のわかるべきかは〈七章(初版)〉
毀たれし宮の廃墟の前に立ちて神の御心を一入思ふ〈八章(初版)〉
大神の清き宮居を建てながら毀たれにけり偽信者の為に〈八章(初版)〉
入蒙について
足乳根の老いたる母を偲びつつ出で行く吾は涙溢るる〈十章(初版)〉
教へ子の驚き如何に深からむと思ふにつけても涙の雨降る〈十章(初版)〉
君こそはわが命ぞと思ひしにしばし別れむ事の惜しさよ〈十二章(初版)〉
わが魂は神素盞嗚の生御魂瑞の神格に充されてあり〈十二章(初版)〉
或時は言霊別の神となり神国別となる事もあり〈十二章(初版)〉
大八洲彦の命や大足彦の神の御魂も吾と倶にあり〈十二章(初版)〉
今しばし別れの辛さ忍べかし花笑む春に逢坂の関〈十三章(初版)〉
骸骨となりし亡者が幾度も出直して来る暗世なりけり〈十四章(初版)〉
精霊の歓び勇む神の世は地上に花の匂ふ時なり〈十四章(初版)〉
もろこしの蛸間の山に嵐して花も果実も跡なく散り行く〈十五章(初版)〉
神無しの蛸間の山を眺むれば醜の小草の生い茂るかな〈十五章(初版)〉
虫喰ひの柱かついで餓鬼連が高山昇る影の憐れさ〈十六章(初版)〉
この春は百鳥千鳥万花今にヨメ(嫁)無いカカ(嬶)無いの吾れ〈十七章(初版)〉
ポンドンの節の破るる恐しさ声しきりなり竹商の火災〈十七章(初版)〉
ほの暗き電燈の下にて乙女子が涙してゐる又も笑つてる〈十八章(初版)〉
肉眼にしかと見えねど大空にはや彗星のさまよひ初めぬ〈十九章(初版)〉
かんばしき肉の匂ひを虎猫がかぎつけ窺ふ鶏の囮の辺〈二十章(初版)〉
航行空中飛行船体が時の気流に遭ひて墜落〈二十章(初版)〉
地下深く潜みて弥勒の経綸を為せる真人の早く出よかし〈巻末(初版)〉
騒がしきエトナの山の醜嵐いよいよ益々激しくなりぬ〈巻末(初版)〉
[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]