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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第41巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 天空地平
第1章 入那の野辺
第2章 入那城
第3章 偽恋
第4章 右守館
第5章 急告
第6章 誤解
第7章 忍術使
第2篇 神機赫灼
第8章 無理往生
第9章 蓮の川辺
第10章 狼の岩窟
第11章 麓の邂逅
第12章 都入り
第3篇 北光神助
第13章 夜の駒
第14章 慈訓
第15章 難問題
第16章 三番叟
第4篇 神出鬼没
第17章 宵企み
第18章 替へ玉
第19章 当て飲み
第20章 誘惑
第21章 長舌
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第41巻(辰の巻)
> 第2篇 神機赫灼 > 第9章 蓮の川辺
<<< 無理往生
(B)
(N)
狼の岩窟 >>>
第九章
蓮
(
はちす
)
の
川辺
(
かはべ
)
〔一一一三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
篇:
第2篇 神機赫灼
よみ(新仮名遣い):
しんきかくしゃく
章:
第9章 蓮の川辺
よみ(新仮名遣い):
はちすのかわべ
通し章番号:
1113
口述日:
1922(大正11)年11月11日(旧09月23日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ヤスダラ姫とリーダーは虎口を逃れ、姫の故郷・イルナ国の国境にある蓮川のたもとまで逃げてきた。
主従二人が川辺で休息していると、叢の中から数十人の黒い影が二人を取り巻いた。リーダーは我こそは左守の娘・ヤスダラ姫を守る武術の達人だと呼ばわった。
男たちの中の頭らしき大男がリーダーの前に立ちふさがり、武術の達人ハルマンと名乗った。自分たちは右守の命令でヤスダラ姫一行をとらえるべく潜んでいたのだと凄み、素直に縛につくようにと降伏を呼びかけた。
リーダーはハルマンに攻めかかる。ハルマンは、部下たちにヤスダラ姫を捕えるよう下知した。ヤスダラ姫は奮闘するが、衆寡敵せず男たちに抑え込まれてしまった。
すると、後方からあたりを響かせて三五教の宣伝歌が聞こえてきた。宣伝歌は皇神を祀る三五教をたたえ、バラモン教徒たちに皇神を祀るよう促す歌であった。
この宣伝歌に打たれて、ハルマンたちは一目散に逃げて行ってしまった。ヤスダラ姫は危急を救ってくれた宣伝歌の主にお礼を述べ、名を尋ねた。
宣伝歌の主は、セイロン島でサガレン王家を騒がせた悪僧・竜雲であると明かした。竜雲は、三五教の天の目一つの神の訓戒を受けて身魂を救われ、放浪の身となって月の国に三五教を説いて回る身の上となった経緯を涙ながらに語った。
ヤスダラ姫は竜雲の身の上話を聞き、思わず国治立大神に祈願をこらした。
ヤスダラ姫とリーダーは、自分たちがシャールの館から逃げて、イルナ国の姫の父・左守の館に戻る途中であることを明かした。イルナ国の右守の立ち回りについては竜雲も聞き及んでおり、竜雲は二人をイルナの都まで陰ながら守り送っていくことを約した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-12 11:40:06
OBC :
rm4109
愛善世界社版:
126頁
八幡書店版:
第7輯 577頁
修補版:
校定版:
131頁
普及版:
62頁
初版:
ページ備考:
001
空
(
そら
)
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
002
朝日
(
あさひ
)
も
清
(
きよ
)
くテルマンの
003
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
004
毘舎族
(
びしやぞく
)
シヤールの
富豪
(
ふうがう
)
の
005
妻
(
つま
)
と
降
(
くだ
)
りし
刹帝利
(
せつていり
)
006
セーラン
王
(
わう
)
の
従妹
(
いとこ
)
なる
007
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
朝夕
(
あさゆふ
)
に
008
其
(
その
)
身
(
み
)
の
不運
(
ふうん
)
をなげきつつ
009
悲
(
かな
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
る
折
(
をり
)
010
思
(
おも
)
ひもかけぬイルナ
国
(
こく
)
011
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へたる
012
醜
(
しこ
)
の
司
(
つかさ
)
のカールチンが
013
女房
(
にようばう
)
のテーナは
遥々
(
はるばる
)
と
014
シヤールの
館
(
やかた
)
に
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
015
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
の
使者
(
ししや
)
となり
016
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はら
)
ひ
堂々
(
だうだう
)
と
017
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
るぞ
忌々
(
ゆゆ
)
しけれ
018
シヤールは
使者
(
ししや
)
と
聞
(
き
)
くよりも
019
打
(
う
)
ち
驚
(
おどろ
)
きて
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
020
茶菓
(
さくわ
)
の
饗応
(
きやうおう
)
慇懃
(
いんぎん
)
に
021
テーナの
姫
(
ひめ
)
をあしらひつ
022
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
館守
(
やかたもり
)
023
リーダー
其
(
その
)
他
(
た
)
に
命令
(
めいれい
)
し
024
館
(
やかた
)
の
内外
(
うちと
)
を
清
(
きよ
)
めしめ
025
時分
(
じぶん
)
はよしとテーナ
姫
(
ひめ
)
026
導
(
みちび
)
きながら
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り
027
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
028
無理
(
むり
)
無体
(
むたい
)
の
暴言
(
ばうげん
)
を
029
吐
(
は
)
きかけながらテーナ
姫
(
ひめ
)
の
030
心
(
こころ
)
を
損
(
そこ
)
ねちやならないと
031
諂侫
(
てんねい
)
阿諛
(
あゆ
)
のありたけを
032
尽
(
つく
)
して
尾
(
を
)
をふる
卑怯者
(
ひけふもの
)
033
二世
(
にせ
)
の
妻
(
つま
)
なるヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
034
妻
(
つま
)
の
命
(
みこと
)
を
哀
(
あは
)
れにも
035
堅牢
(
けんらう
)
無比
(
むひ
)
の
牢獄
(
らうごく
)
に
036
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み
置
(
お
)
きて
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
037
やつと
急場
(
きふば
)
をのがれたる
038
姑息
(
こそく
)
の
仕打
(
しうち
)
ぞ
憎
(
にく
)
らしき
039
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
心
(
こころ
)
より
040
至誠
(
しせい
)
を
捧
(
ささ
)
げて
尽
(
つく
)
したる
041
下僕
(
しもべ
)
のリーダーは
雨風
(
あめかぜ
)
の
042
はげしき
夜
(
よる
)
を
幸
(
さいは
)
ひに
043
鋭
(
するど
)
き
鉞
(
まさかり
)
うちふるひ
044
獄屋
(
ひとや
)
を
苦
(
く
)
もなく
打
(
う
)
ち
破
(
やぶ
)
り
045
姫
(
ひめ
)
をば
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひながら
046
警戒
(
けいかい
)
厳
(
きび
)
しき
邸内
(
ていない
)
を
047
闇
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れてすたすたと
048
荒野
(
あらの
)
を
渡
(
わた
)
る
夜
(
よる
)
の
道
(
みち
)
049
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
みつつ
050
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
恋慕
(
こひした
)
ふ
051
故国
(
ここく
)
にイルナの
国境
(
くにざかひ
)
052
蓮
(
はちす
)
の
川
(
かは
)
の
畔
(
ほとり
)
まで
053
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り
往
(
ゆ
)
く
折
(
をり
)
もあれ
054
カールチン
等
(
ら
)
が
部下
(
ぶか
)
の
者
(
もの
)
055
幾十
(
いくじふ
)
人
(
にん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなく
056
蓮
(
はちす
)
の
川
(
かは
)
の
両岸
(
りやうがん
)
に
057
手具脛
(
てぐすね
)
引
(
ひ
)
いて
両人
(
りやうにん
)
が
058
逃
(
のが
)
れ
来
(
きた
)
るを
待
(
ま
)
ち
居
(
ゐ
)
たり
059
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
060
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
はひて
061
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
本国
(
ほんごく
)
へ
062
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
なんによ
)
を
恙
(
つつが
)
なく
063
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
へと
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
064
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
にかけまくも
065
バラモン
神
(
がみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
066
代
(
かは
)
りて
謹
(
つつし
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる
067
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
068
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
069
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
070
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
は
猛
(
たけ
)
ぶとも
071
忠義
(
ちうぎ
)
一途
(
いちづ
)
の
下僕
(
しもべ
)
等
(
ら
)
が
072
主人
(
あるじ
)
の
君
(
きみ
)
を
守
(
まも
)
りつつ
073
往
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
の
道
(
みち
)
を
隈
(
くま
)
もなく
074
開
(
ひら
)
かせ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
075
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
になり
代
(
かは
)
り
076
往
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
の
道
(
みち
)
を
案
(
あん
)
じつつ
077
茲
(
ここ
)
にそろそろ
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
つる
078
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
079
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ。
080
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
、
081
リーダーの
両人
(
りやうにん
)
は
千辛
(
せんしん
)
万苦
(
ばんく
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
082
やつと
虎口
(
ここう
)
を
逃
(
のが
)
れ
蓮川
(
はちすがは
)
の
袂
(
たもと
)
迄
(
まで
)
逃
(
に
)
げ
来
(
きた
)
る。
083
頃
(
ころ
)
しも
秋
(
あき
)
の
末
(
すゑ
)
つ
頃
(
ごろ
)
、
084
少
(
すこ
)
し
虧
(
か
)
けたる
清朗
(
せいらう
)
の
月
(
つき
)
は、
085
主従
(
しゆじゆう
)
二人
(
ふたり
)
の
頭
(
かうべ
)
を
遺憾
(
ゐかん
)
なく
照
(
て
)
らし
給
(
たま
)
ひ、
086
二人
(
ふたり
)
の
行路
(
ゆくみち
)
をあつく
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
ふ。
087
二人
(
ふたり
)
は
川辺
(
かはべ
)
に
安着
(
あんちやく
)
し、
088
漸
(
やうや
)
く
西
(
にし
)
に
傾
(
かたむ
)
いた
月影
(
つきかげ
)
を
眺
(
なが
)
めながら、
089
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は、
090
ヤスダラ姫
『
天伝
(
あまつた
)
ふ
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
091
蓮
(
はちす
)
の
川辺
(
かはべ
)
に
着
(
つ
)
きにけらしな』
092
リーダー『
月
(
つき
)
もよし
御空
(
みそら
)
も
清
(
きよ
)
き
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
093
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
につき
従
(
したが
)
ひし
吾
(
われ
)
。
094
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
もやうやく
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
095
イルナの
国
(
くに
)
の
月
(
つき
)
はかがやく』
096
ヤスダラ『やすやすと
下僕
(
しもべ
)
の
神
(
かみ
)
に
守
(
まも
)
られて
097
故国
(
ここく
)
にイルナの
吾
(
われ
)
ぞ
嬉
(
うれ
)
しき。
098
セーラン
王
(
わう
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
如何
(
いか
)
にして
099
今宵
(
こよひ
)
の
月
(
つき
)
を
眺
(
なが
)
めますらむ。
100
さゆる
夜
(
よ
)
に
君
(
きみ
)
の
面影
(
おもかげ
)
偲
(
しの
)
ばれぬ
101
昔
(
むかし
)
イルナに
見
(
み
)
し
月
(
つき
)
を
思
(
おも
)
へば。
102
附添
(
つきそ
)
ひしリーダーの
身
(
み
)
をば
照
(
て
)
らしつつ
103
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
守
(
まも
)
る
月夜見
(
つきよみ
)
尊
(
たふと
)
し』
104
リーダー『
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
る
御空
(
みそら
)
の
月
(
つき
)
は
清
(
きよ
)
けれど
105
テーナの
住
(
す
)
める
館
(
やかた
)
ぞ
濁
(
にご
)
れる。
106
大空
(
おほぞら
)
に
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
る
月影
(
つきかげ
)
も
107
醜
(
しこ
)
の
村雲
(
むらくも
)
覆
(
おほ
)
ふぞ
忌々
(
ゆゆ
)
しき。
108
この
旅路
(
たびぢ
)
いとやすやすと
守
(
まも
)
れかし
109
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に』
110
ヤスダラ『テルマンの
夫
(
つま
)
の
館
(
やかた
)
を
忍
(
しの
)
び
出
(
で
)
て
111
やうやくここに
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
さゆ。
112
胸
(
むね
)
の
闇
(
やみ
)
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
くハチス
川
(
がは
)
113
渡
(
わた
)
る
浮世
(
うきよ
)
にさやる
鬼
(
おに
)
なし。
114
さりながら
天
(
てん
)
に
風雨
(
ふうう
)
の
障
(
さはり
)
あり
115
人
(
ひと
)
に
禍
(
わざはひ
)
なしとも
限
(
かぎ
)
らず。
116
心
(
こころ
)
せよリーダーの
下僕
(
しもべ
)
この
川
(
かは
)
は
117
イルナの
国
(
くに
)
の
関所
(
せきしよ
)
なりせば』
118
リーダー『
謹
(
つつし
)
みて
前
(
まへ
)
や
後
(
うしろ
)
に
村肝
(
むらきも
)
の
119
心
(
こころ
)
を
注
(
そそ
)
ぎ
守
(
まも
)
り
仕
(
つか
)
へむ』
120
ヤスダラ『
朝夕
(
あさゆふ
)
に
慕
(
した
)
ひまつりし
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
と
121
父
(
ちち
)
のまします
国
(
くに
)
近
(
ちか
)
づきぬ。
122
心
(
こころ
)
のみ
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ちつつ
吾
(
わが
)
足
(
あし
)
の
123
進
(
すす
)
み
兼
(
か
)
ねたるもどかしさかな』
124
リーダー『
大空
(
おほぞら
)
の
月
(
つき
)
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
夜
(
よる
)
の
道
(
みち
)
125
如何
(
いか
)
でか
曲
(
まが
)
の
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
く
)
べきや。
126
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
任
(
まか
)
しつつ
127
誠
(
まこと
)
を
力
(
ちから
)
に
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
くべし。
128
今
(
いま
)
しばしヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
129
忍
(
しの
)
ばせたまへ
二日
(
ふつか
)
三日
(
みつか
)
路
(
ぢ
)
』
130
かく
歌
(
うた
)
ひながら
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
いで
主従
(
しゆじゆう
)
は
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
131
忽
(
たちま
)
ち
川辺
(
かはべ
)
の
草叢
(
くさむら
)
より、
132
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
、
133
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
両人
(
りやうにん
)
が
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
を
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
み、
134
四五間
(
しごけん
)
の
距離
(
きより
)
を
保
(
たも
)
つて
近
(
ちか
)
よりもせず、
135
人垣
(
ひとがき
)
を
造
(
つく
)
り
睨
(
ね
)
めつけて
居
(
ゐ
)
る。
136
リーダーは
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ、
137
リーダー
『
吾
(
われ
)
こそは
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
、
138
クーリンス
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
息女
(
むすめ
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
供
(
とも
)
を
致
(
いた
)
す
武術
(
ぶじゆつ
)
の
達人
(
たつじん
)
リーダーなるぞ。
139
何者
(
なにもの
)
の
指揮
(
さしづ
)
か
知
(
し
)
らねども、
140
吾々
(
われわれ
)
が
往手
(
ゆくて
)
にさやるは
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
、
141
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く、
142
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
き
土下座
(
どげざ
)
をなして
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
謝罪
(
しやざい
)
を
致
(
いた
)
せ。
143
猶予
(
いうよ
)
に
及
(
およ
)
ばば、
144
目
(
め
)
に
物
(
もの
)
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れる、
145
サア
早
(
はや
)
く、
146
命
(
いのち
)
の
惜
(
を
)
しい
奴
(
やつ
)
は
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
申
(
まを
)
す
様
(
やう
)
に
致
(
いた
)
すが
好
(
よ
)
からうぞ』
147
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
より、
148
小頭
(
こがしら
)
らしき
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
、
149
忽
(
たちま
)
ちリーダーの
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
塞
(
ふさ
)
がり
大口
(
おほぐち
)
あけて
高笑
(
たかわら
)
ひ、
150
男(ハルマン)
『アハヽヽヽヽ、
151
只今
(
ただいま
)
の
汝
(
なんぢ
)
が
広言
(
くわうげん
)
片腹
(
かたはら
)
痛
(
いた
)
し。
152
吾
(
われ
)
こそはイルナの
国
(
くに
)
にて
武術
(
ぶじゆつ
)
の
達者
(
たつしや
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
強力
(
がうりき
)
無双
(
むさう
)
のハルマンなるぞ。
153
カールチン
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
に
依
(
よ
)
り、
154
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
を
生擒
(
いけどり
)
にせむため、
155
この
関所
(
せきしよ
)
に
人数
(
にんず
)
を
集
(
あつ
)
め、
156
今
(
いま
)
や
遅
(
おそ
)
しと
待
(
ま
)
ち
疲
(
つか
)
れて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
だ。
157
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
致
(
いた
)
さず、
158
速
(
すみやか
)
に
縛
(
ばく
)
につけ』
159
リーダー
『アハヽヽヽヽ
吐
(
ぬか
)
したりな、
160
ハルマンの
空
(
う
)
つけ
者
(
もの
)
め、
161
このリーダーが、
162
苦
(
にが
)
き
目
(
め
)
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れむ』
163
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
鉄拳
(
てつけん
)
を
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
りながら、
164
ハルマンに
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
つた。
165
ハルマンは
一歩
(
ひとあし
)
二歩
(
ふたあし
)
後
(
あと
)
へすざり、
166
キツト
身構
(
みがま
)
へしながら、
167
ハルマン
『ヤアヤア
家来
(
けらい
)
の
者共
(
ものども
)
、
168
吾
(
われ
)
はリーダー
一人
(
ひとり
)
にかかつて
居
(
ゐ
)
るから、
169
其
(
その
)
間
(
ま
)
にヤスダラ
姫
(
ひめ
)
を
捕縛
(
ほばく
)
致
(
いた
)
せよ』
170
と
下知
(
げち
)
すれば、
171
オーと
答
(
こた
)
へて
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
は
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
のヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
向
(
むか
)
ひ
遮二
(
しやに
)
無二
(
むに
)
飛
(
と
)
びつき
来
(
きた
)
る。
172
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
下紐
(
したひも
)
を
解
(
と
)
き、
173
襷
(
たすき
)
十文字
(
じふもんじ
)
に
綾取
(
あやど
)
り、
174
後鉢巻
(
うしろはちまき
)
リンと
締
(
し
)
めたる
女武者
(
をんなむしや
)
の
勇
(
いさ
)
ましさ。
175
寄
(
よ
)
り
来
(
きた
)
る
木端
(
こつぱ
)
武者
(
むしや
)
を
片端
(
かたつぱし
)
からスツテンドウと
或
(
あるひ
)
は
草中
(
くさなか
)
へ
或
(
あるひ
)
は
川底
(
かはぞこ
)
へ
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
へど、
176
立
(
た
)
ち
代
(
かは
)
り
入
(
い
)
り
代
(
かは
)
り
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
に
疲
(
つか
)
れ
果
(
は
)
て、
177
ドウと
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
打
(
う
)
ち
倒
(
たふ
)
れて
仕舞
(
しま
)
つた。
178
其
(
その
)
機
(
き
)
を
逸
(
いつ
)
せず
数人
(
すうにん
)
の
大男
(
おほをとこ
)
は、
179
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
うて
姫
(
ひめ
)
を
力限
(
ちからかぎ
)
りに
押
(
おさ
)
へつけ、
180
腕
(
うで
)
を
捻
(
ね
)
ぢ
今
(
いま
)
や
縄
(
なは
)
をかけむとする
時
(
とき
)
しもあれ、
181
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
より
四方
(
あたり
)
を
響
(
ひび
)
かす
宣伝歌
(
せんでんか
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
182
(竜雲)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
183
正邪
(
せいじや
)
と
理非
(
りひ
)
を
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
ける
184
ウラルの
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
185
吾
(
われ
)
は
尊
(
たふと
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
186
セイロン
島
(
たう
)
に
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
187
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
188
サガレン
王
(
わう
)
を
放逐
(
はうちく
)
し
189
ケーリス
姫
(
ひめ
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて
190
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と
神地城
(
かうぢじやう
)
191
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
となりし
折
(
をり
)
192
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
193
天
(
あめ
)
の
目一
(
まひと
)
つ
神司
(
かむつかさ
)
194
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りていと
清
(
きよ
)
き
195
尊
(
たふと
)
き
言霊
(
ことたま
)
打
(
う
)
ち
出
(
いだ
)
し
196
神地
(
かうぢ
)
の
城
(
しろ
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
197
紅蓮
(
ぐれん
)
の
舌
(
した
)
に
舐
(
な
)
められぬ
198
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
永
(
なが
)
く
憑依
(
ひようい
)
せし
199
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
は
驚
(
おどろ
)
きて
200
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
せば
201
今迄
(
いままで
)
迷
(
まよ
)
ひし
夢
(
ゆめ
)
もさめ
202
誠
(
まこと
)
の
心
(
こころ
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
203
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
みて
三五
(
あななひ
)
の
204
貴
(
うづ
)
の
信徒
(
しんと
)
となりにけり
205
三五教
(
あななひけう
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
が
206
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
のやり
方
(
かた
)
に
207
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
感歎
(
かんたん
)
し
208
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
にして
209
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
へと
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
210
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
を
隈
(
くま
)
もなく
211
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
212
歌
(
うた
)
ひて
進
(
すす
)
む
吾
(
われ
)
なるぞ
213
バラモン
教
(
けう
)
やウラル
教
(
けう
)
214
三五教
(
あななひけう
)
といろいろに
215
教
(
をしへ
)
の
区別
(
くべつ
)
はありとても
216
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めたる
217
元
(
もと
)
つ
御祖
(
みおや
)
は
一柱
(
ひとはしら
)
218
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
父
(
ちち
)
といます
神
(
かみ
)
219
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
なる
人草
(
ひとぐさ
)
は
220
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
皇神
(
すめかみ
)
の
221
御息
(
みいき
)
に
現
(
あ
)
れし
貴
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
222
互
(
たがひ
)
に
憎
(
にく
)
み
争
(
あらそ
)
ひて
223
神慮
(
しんりよ
)
を
悩
(
なや
)
ませまつるなよ
224
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
225
尊
(
たふと
)
き
身魂
(
みたま
)
と
生
(
あ
)
れながら
226
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
に
劣
(
おと
)
るべき
227
醜
(
しこ
)
の
行
(
おこな
)
ひつづけつつ
228
自
(
みづか
)
ら
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
品格
(
ひんかく
)
を
229
傷
(
きず
)
つけ
破
(
やぶ
)
り
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
230
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
なる
苦
(
くる
)
しみを
231
決
(
けつ
)
して
受
(
う
)
くる
事
(
こと
)
なかれ
232
悪
(
あく
)
の
身魂
(
みたま
)
の
善心
(
ぜんしん
)
に
233
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
りたる
竜雲
(
りううん
)
が
234
四海
(
しかい
)
同胞
(
どうはう
)
の
好誼
(
よしみ
)
にて
235
茲
(
ここ
)
に
忠告
(
ちうこく
)
仕
(
つかまつ
)
る
236
バラモン
教
(
けう
)
の
人々
(
ひとびと
)
よ
237
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
238
互
(
たがひ
)
に
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちを
239
顧
(
かへり
)
みなして
皇神
(
すめかみ
)
の
240
心
(
こころ
)
を
安
(
やす
)
んじ
奉
(
たてまつ
)
り
241
黄金
(
わうごん
)
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
天国
(
てんごく
)
の
242
救
(
すく
)
ひの
門
(
もん
)
を
開
(
ひら
)
くべし
243
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
244
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
245
此
(
この
)
宣伝歌
(
せんでんか
)
に
打
(
う
)
たれてや、
246
ハルマンを
初
(
はじ
)
め
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
人影
(
ひとかげ
)
は
雲
(
くも
)
の
風
(
かぜ
)
に
散
(
ち
)
る
如
(
ごと
)
く、
247
一目散
(
いちもくさん
)
に
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
蓮川
(
はちすがは
)
を
横
(
よこ
)
ぎり
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ひ
逃
(
に
)
げて
往
(
ゆ
)
く。
248
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
主
(
ぬし
)
に
向
(
むか
)
ひ、
249
いと
叮嚀
(
ていねい
)
に
会釈
(
ゑしやく
)
しながら、
250
ヤスダラ姫
『いづくの
方
(
かた
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
251
剣呑
(
けんのん
)
千万
(
せんばん
)
の
所
(
ところ
)
へお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
252
尊
(
たふと
)
き
宣伝歌
(
せんでんか
)
をお
歌
(
うた
)
ひ
下
(
くだ
)
され、
253
吾々
(
われわれ
)
主従
(
しゆじゆう
)
は
其
(
その
)
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
つて
救
(
すく
)
はれまして
厶
(
ござ
)
ります。
254
あゝ
私
(
わたし
)
もかういふ
場合
(
ばあひ
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ、
255
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
言向和
(
ことむけやは
)
せばよかつたのですが、
256
あまり
俄
(
にはか
)
の
敵
(
てき
)
の
襲来
(
しふらい
)
に
挙措
(
きよそ
)
其
(
その
)
度
(
ど
)
を
失
(
しつ
)
し、
257
恥
(
はづか
)
しながら
女
(
をんな
)
の
分際
(
ぶんざい
)
としてあられもない
腕立
(
うでだて
)
を
致
(
いた
)
しました。
258
そして
貴方
(
あなた
)
は
何処
(
どこ
)
の
何人
(
なにびと
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
259
男(竜雲)
『ハイ、
260
私
(
わたし
)
は
卑
(
いや
)
しき
首陀
(
しゆだ
)
の
家
(
いへ
)
に
生
(
うま
)
れたもので
厶
(
ござ
)
います。
261
お
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
びでも
厶
(
ござ
)
いませうが、
262
セイロン
島
(
たう
)
の
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
に
於
(
おい
)
て
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
に
誑惑
(
きやうわく
)
され、
263
大国別
(
おほくにわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
実子
(
じつし
)
国別彦
(
くにわけひこ
)
様
(
さま
)
が、
264
サガレン
王
(
わう
)
となつてバラモンの
教
(
をしへ
)
を
神地
(
かうぢ
)
の
城
(
しろ
)
に
於
(
おい
)
てお
開
(
ひら
)
き
遊
(
あそ
)
ばす
処
(
ところ
)
へ
参
(
まゐ
)
り、
265
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
チヨロ
まかし、
266
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
を
致
(
いた
)
しました
竜雲
(
りううん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
267
只今
(
ただいま
)
歌
(
うた
)
で
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げました
通
(
とほ
)
り
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
天
(
あめ
)
の
目一
(
まひと
)
つの
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
訓誡
(
くんかい
)
やサガレン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
仁慈
(
じんじ
)
に
依
(
よ
)
つて、
268
曇
(
くも
)
りきつたる
身魂
(
みたま
)
を
救
(
すく
)
はれ、
269
今
(
いま
)
は
果敢
(
はか
)
なき
放浪
(
はうらう
)
の
身
(
み
)
となり、
270
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
七千余
(
しちせんよ
)
の
国々
(
くにぐに
)
を
廻
(
まは
)
り
廻
(
まは
)
りて
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
へ
参
(
まゐ
)
ります
途中
(
とちう
)
怪
(
あや
)
しき
人声
(
ひとごゑ
)
に
何事
(
なにごと
)
ならむと
駆
(
か
)
けつけ
見
(
み
)
れば、
271
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
様
(
さま
)
が
大勢
(
おほぜい
)
に
取囲
(
とりかこ
)
まれ
御
(
ご
)
困難
(
こんなん
)
の
最中
(
さいちう
)
、
272
それ
故
(
ゆゑ
)
、
273
及
(
およ
)
ばずながら
三五
(
あななひ
)
の
道
(
みち
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
敵
(
てき
)
を
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らしたので
厶
(
ござ
)
います』
274
と、
275
包
(
つつ
)
まず
隠
(
かく
)
さず
己
(
おの
)
が
素性
(
すじやう
)
を
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
け、
276
落涙
(
らくるい
)
しながら
其
(
その
)
事実
(
じじつ
)
を
物語
(
ものがた
)
る
殊勝
(
しゆしよう
)
さに、
277
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれ、
278
ヤスダラ姫
『
貴方
(
あなた
)
が
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
竜雲
(
りううん
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか。
279
ようまあ
其処迄
(
そこまで
)
御
(
ご
)
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ました。
280
実
(
じつ
)
に
御
(
ご
)
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
人格
(
じんかく
)
とおなり
遊
(
あそ
)
ばしましたなア』
281
竜雲
『お
褒
(
ほ
)
めに
預
(
あづ
)
かつては
畏
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ります。
282
私
(
わたし
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
によつていろいろと
苦労
(
くらう
)
を
与
(
あた
)
へられ、
283
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
いて
頂
(
いただ
)
きました。
284
これも
全
(
まつた
)
く
三五教
(
あななひけう
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
285
ヤスダラ姫
『
三五教
(
あななひけう
)
はそれだけ
感化力
(
かんくわりよく
)
が
厶
(
ござ
)
りますか、
286
実
(
じつ
)
に
結構
(
けつこう
)
な
教
(
をしへ
)
で
厶
(
ござ
)
いますなア。
287
私
(
わたくし
)
も
一度
(
いちど
)
其
(
その
)
教
(
をしへ
)
が
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
きたいもので
厶
(
ござ
)
います』
288
竜雲
『
貴女
(
あなた
)
さへ
聞
(
き
)
きたいお
心
(
こころ
)
におなりなさつたならば、
289
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はキツト
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さるでせう。
290
先日
(
せんじつ
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
291
照国別
(
てるくにわけ
)
様
(
さま
)
が
数多
(
あまた
)
の
人
(
ひと
)
の
前
(
まへ
)
で、
292
結構
(
けつこう
)
な
話
(
はなし
)
をして
居
(
を
)
られた。
293
其
(
その
)
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
いた
人間
(
にんげん
)
は
貴賤
(
きせん
)
老幼
(
らうえう
)
の
嫌
(
きら
)
ひなく
残
(
のこ
)
らず
帰順
(
きじゆん
)
して
仕舞
(
しま
)
ひました。
294
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
て
抜
(
ぬ
)
く
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をし
)
へは、
295
其
(
その
)
伝播力
(
でんぱりよく
)
も
強
(
つよ
)
く、
296
恰
(
あだか
)
も
燎原
(
れうげん
)
の
火
(
ひ
)
の
如
(
ごと
)
き
勢
(
いきほひ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
297
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は、
298
ヤスダラ姫
『あゝ
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
299
と
云
(
い
)
つたきり、
300
さし
俯
(
うつむ
)
いて
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ「
国治立
(
くにはるたち
)
の
神
(
かみ
)
、
301
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
将来
(
ゆくゑ
)
を
守
(
まも
)
らせたまへ」と
小声
(
こごゑ
)
になつて
祈
(
いの
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
302
リーダーは
膝頭
(
ひざがしら
)
の
負傷
(
ふしやう
)
を
撫
(
な
)
で
擦
(
さす
)
りながら
漸
(
やうや
)
くにして
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
303
竜雲
(
りううん
)
に
向
(
むか
)
ひ
叮嚀
(
ていねい
)
に
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
304
リーダー
『
今
(
いま
)
承
(
うけたま
)
はれば
貴方
(
あなた
)
は
有名
(
いうめい
)
な
竜雲
(
りううん
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
305
思
(
おも
)
はぬ
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
りました。
306
これも
何彼
(
なにか
)
の
因縁
(
いんねん
)
で
厶
(
ござ
)
いませう。
307
よくまあ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
危難
(
きなん
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さいました。
308
私
(
わたし
)
は
下僕
(
しもべ
)
のリーダーで
厶
(
ござ
)
います。
309
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろしく
)
此
(
この
)
後
(
ご
)
の
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
310
竜雲
(
りううん
)
も
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ
叮嚀
(
ていねい
)
な
言葉
(
ことば
)
つきで、
311
竜雲
『ハイ、
312
お
言葉
(
ことば
)
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ります。
313
袖
(
そで
)
振
(
ふ
)
り
合
(
あ
)
はすも
他生
(
たしやう
)
の
縁
(
えん
)
とやら、
314
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
竜雲
(
りううん
)
、
315
何卒
(
なにとぞ
)
お
互様
(
たがひさま
)
に
助
(
たす
)
け
合
(
あ
)
ひを
願
(
ねが
)
ひたいもので
厶
(
ござ
)
います。
316
そして
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
はどちらへお
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばすので
厶
(
ござ
)
いますか』
317
リーダー
『ハイ、
318
テルマン
国
(
ごく
)
のシヤールの
館
(
やかた
)
からイルナの
都
(
みやこ
)
、
319
クーリンス
様
(
さま
)
のお
宅
(
たく
)
へ
指
(
さ
)
して
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がお
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばすので、
320
私
(
わたし
)
はお
供
(
とも
)
に
参
(
まゐ
)
つたので
厶
(
ござ
)
います。
321
然
(
しか
)
るに
此
(
この
)
川辺
(
かはべ
)
に
於
(
おい
)
て、
322
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
のカールチンが
部下
(
ぶか
)
共
(
ども
)
、
323
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
此処
(
ここ
)
にて
捕
(
とら
)
へむと
致
(
いた
)
しましたについては、
324
何
(
なに
)
か
都
(
みやこ
)
に
大変事
(
だいへんじ
)
が
起
(
おこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るので
厶
(
ござ
)
いませうと
実
(
じつ
)
に
心配
(
しんぱい
)
でなりませぬ』
325
竜雲
『
左守
(
さもり
)
、
326
右守
(
うもり
)
お
二方
(
ふたかた
)
の
間
(
あひだ
)
に
大変
(
たいへん
)
な
暗闘
(
あんとう
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
327
此
(
この
)
竜雲
(
りううん
)
も
薄々
(
うすうす
)
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
んで
居
(
を
)
ります。
328
カールチンと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は
実
(
じつ
)
に
奸侫
(
かんねい
)
邪智
(
じやち
)
の
痴者
(
しれもの
)
で、
329
国人
(
くにびと
)
の
受
(
う
)
けの
悪
(
わる
)
い
神司
(
かむつかさ
)
、
330
それに
引
(
ひ
)
きかへ
左守
(
さもり
)
の
人気
(
にんき
)
のよい
事
(
こと
)
、
331
羨
(
うらや
)
ましい
位
(
くらゐ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
332
そんな
事
(
こと
)
から
右守
(
うもり
)
が
嫉妬心
(
しつとしん
)
を
起
(
おこ
)
し、
333
悶着
(
もんちやく
)
が
起
(
おこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのでせう。
334
これから
及
(
およ
)
ばずながら
竜雲
(
りううん
)
が
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
をイルナの
都
(
みやこ
)
迄
(
まで
)
お
送
(
おく
)
り
致
(
いた
)
しますから
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ』
335
ヤスダラ姫
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う、
336
地獄
(
ぢごく
)
で
仏
(
ほとけ
)
に
会
(
あ
)
うたと
申
(
まを
)
さうか、
337
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
で
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
に
会
(
あ
)
うたと
申
(
まを
)
さうか、
338
こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
りませぬ。
339
何分
(
なにぶん
)
かよわき
女
(
をんな
)
の
旅
(
たび
)
、
340
宜敷
(
よろしく
)
お
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
341
竜雲
『
然
(
しか
)
らば
私
(
わたし
)
が
後
(
あと
)
になり
前
(
さき
)
になり
御
(
ご
)
身辺
(
しんぺん
)
を
保護
(
ほご
)
して
参
(
まゐ
)
ります、
342
サア
往
(
ゆ
)
きませう』
343
と
云
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば、
344
竜雲
(
りううん
)
の
姿
(
すがた
)
は
忽
(
たちま
)
ち
草
(
くさ
)
の
茂
(
しげ
)
みに
隠
(
かく
)
れて
仕舞
(
しま
)
つた。
345
主従
(
しゆじゆう
)
二人
(
ふたり
)
は
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
蓮
(
はちす
)
の
川
(
かは
)
を
横
(
よこ
)
ぎり、
346
何
(
なん
)
となく
勇気
(
ゆうき
)
加
(
くは
)
はり、
347
足許
(
あしもと
)
もいと
軽
(
かる
)
げに
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く。
348
(
大正一一・一一・一一
旧九・二三
加藤明子
録)
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