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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第41巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 天空地平
第1章 入那の野辺
第2章 入那城
第3章 偽恋
第4章 右守館
第5章 急告
第6章 誤解
第7章 忍術使
第2篇 神機赫灼
第8章 無理往生
第9章 蓮の川辺
第10章 狼の岩窟
第11章 麓の邂逅
第12章 都入り
第3篇 北光神助
第13章 夜の駒
第14章 慈訓
第15章 難問題
第16章 三番叟
第4篇 神出鬼没
第17章 宵企み
第18章 替へ玉
第19章 当て飲み
第20章 誘惑
第21章 長舌
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第41巻(辰の巻)
> 第2篇 神機赫灼 > 第12章 都入り
<<< 麓の邂逅
(B)
(N)
夜の駒 >>>
第一二章
都入
(
みやこい
)
り〔一一一六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
篇:
第2篇 神機赫灼
よみ(新仮名遣い):
しんきかくしゃく
章:
第12章 都入り
よみ(新仮名遣い):
みやこいり
通し章番号:
1116
口述日:
1922(大正11)年11月11日(旧09月23日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
黄金姫母娘が峠を登りきると、右守の家老ユーフテスが、従者を連れて待っていた。ユーフテスはお告げにより、黄金姫母娘が来ることを知っていたのである。
ユーフテスはイルナの国の危機を救ってほしいと母娘に頼んだ。一行が話していると、下から騎馬隊が登ってきた。騎馬隊はシャールの手の者で、ヤスダラ姫を追ってきたのであった。ユーフテスは空とぼけて耳が聞こえないふりをした。
騎馬隊はヤスダラ姫一行を捜索していた。黄金姫と清照姫は、ヤスダラ姫らしき一行がイルナの都を指して峠を下って行ったと騎馬隊に空とぼけた。
騎馬隊をやり過ごし、黄金姫はヤスダラ姫は狼の岩窟に安全にかくまわれているとユーフテスに明かした。ユーフテスは、黄金姫母娘に狼の守護がついていると聞いてすっかりおびえてしまった。
黄金姫が自分たちは狼女母娘だとユーフテスをからかい、真に受けたユーフテスは短刀で母娘に切りかかったが、狼の声を聞いて恐ろしさにその場に倒れてしまった。
黄金姫に介抱されて元気を取り戻したユーフテスは、初めて黄金姫の心を悟り、頭を下げ両手を合わせてその親切を感謝し、二人の後に従って峠を下った。
ユーフテスは下りながら宣伝歌を歌った。自分は右守の家老と仕えながら、左守の娘セーリス姫への恋のために、主人の右守の企みに加担せず、王と左守一族を助けようと動いていることを歌った。
峠を下ると、先の右守の手先の騎士たちが弓をつがえて一行を待ち伏せていた。黄金姫は宣伝歌を歌いながら近くに進んだ。狼の声が聞こえると騎士たちの体は強直してしまった。
そこへ、テームス、レーブ、カルの三人は馬に乗ってやってきた。三人は副え馬を引いており、黄金姫と清照姫は馬に乗ってイルナの都に入場した。
ユーフテスは黄金姫に策を授けられ、強直した騎士たちを鎮魂して元に戻し、自分が右守の従臣であることを幸い、騎士たちと右守の館を目指した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-13 12:06:59
OBC :
rm4112
愛善世界社版:
168頁
八幡書店版:
第7輯 591頁
修補版:
校定版:
176頁
普及版:
79頁
初版:
ページ備考:
001
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
002
清照姫
(
きよてるひめ
)
は、
003
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
一行
(
いつかう
)
を
高照山
(
たかてるやま
)
に
遣
(
つか
)
はし、
004
肩
(
かた
)
の
重荷
(
おもに
)
を
卸
(
おろ
)
すやうな
心持
(
こころもち
)
になつて、
005
さしもに
嶮
(
けは
)
しき
急坂
(
きふはん
)
をエチエチと
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
006
漸
(
やうや
)
くにして
頂上
(
ちやうじやう
)
に
辿
(
たど
)
りついた。
007
此処
(
ここ
)
にはユーフテスと
云
(
い
)
ふ
右守司
(
うもりつかさ
)
の
家老
(
からう
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
不誠忠
(
ふせいちう
)
無比
(
むひ
)
の
男
(
をとこ
)
が、
008
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
家
(
いへ
)
の
子
(
こ
)
を
引
(
ひ
)
きつれ、
009
神
(
かみ
)
の
告
(
つげ
)
によつて
黄金姫
(
わうごんひめ
)
母娘
(
おやこ
)
の
来
(
く
)
ることを
知
(
し
)
り、
010
案内
(
あんない
)
と
迎
(
むか
)
へを
兼
(
か
)
ねて
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た。
011
ユーフテスは、
012
二人
(
ふたり
)
の
峠
(
たうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に
佇
(
たたず
)
み、
013
四方
(
よも
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
め
息
(
いき
)
をやすめて
居
(
ゐ
)
るその
側
(
そば
)
に、
014
恭
(
うやうや
)
しく
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げながら
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り、
015
ユーフテス
『
一寸
(
ちよつと
)
ものをお
尋
(
たづ
)
ね
申
(
まを
)
しますが、
016
私
(
わたし
)
はイルナの
都
(
みやこ
)
の
右守司
(
うもりつかさ
)
の
館
(
やかた
)
に
家老職
(
からうしよく
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
を
)
りますユーフテスと
申
(
まを
)
すもので
厶
(
ござ
)
いますが、
017
若
(
も
)
しや
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
、
018
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬか。
019
イルナの
都
(
みやこ
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
教
(
をしへ
)
をもつて
民
(
たみ
)
を
治
(
をさ
)
むる
国
(
くに
)
で
御座
(
ござ
)
いますれば、
020
三五教
(
あななひけう
)
の
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
をお
迎
(
むか
)
へ
申
(
まを
)
すと
申上
(
まをしあ
)
げては、
021
怪
(
あや
)
しく
思召
(
おぼしめ
)
さるるで
御座
(
ござ
)
いませうが、
022
決
(
けつ
)
して
汚
(
きたな
)
き
心
(
こころ
)
で、
023
お
迎
(
むか
)
へに
参
(
まゐ
)
つたのでは
御座
(
ござ
)
いませぬ。
024
何卒
(
どうぞ
)
お
名乗
(
なの
)
り
下
(
くだ
)
さいませぬか』
025
黄金
(
わうごん
)
『ホー、
026
其方
(
そなた
)
はイルナの
国
(
くに
)
の
右守司
(
うもりつかさ
)
の
館
(
やかた
)
に
仕
(
つか
)
ふるユーフテス
殿
(
どの
)
か、
027
それは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
。
028
お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り、
029
私
(
わたし
)
は
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
030
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
母娘
(
おやこ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
031
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
身辺
(
しんぺん
)
は、
032
どうで
御座
(
ござ
)
いますかな』
033
ユーフテス
『ハイ、
034
有難
(
ありがた
)
う、
035
唯今
(
ただいま
)
の
処
(
ところ
)
では
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
036
何時
(
いつ
)
大風
(
たいふう
)
一過
(
いつくわ
)
、
037
有名
(
いうめい
)
なるイルナ
城
(
じやう
)
も
破壊
(
はくわい
)
するかも
分
(
わか
)
らない
危機
(
きき
)
に
瀕
(
ひん
)
して
居
(
を
)
ります。
038
実
(
じつ
)
にイルナの
都
(
みやこ
)
は
暗雲
(
あんうん
)
低迷
(
ていめい
)
、
039
豪雨
(
がうう
)
臻
(
いた
)
らむとして、
040
先
(
ま
)
づ
其
(
その
)
窓
(
まど
)
を
鎖
(
とざ
)
すべき
真人
(
しんじん
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬので、
041
王
(
わう
)
様
(
さま
)
は
申
(
まを
)
すも
更
(
さら
)
なり、
042
忠義
(
ちうぎ
)
にはやる
真人
(
まさびと
)
等
(
たち
)
は
夜
(
よ
)
も
碌々
(
ろくろく
)
に
寝
(
ね
)
られず、
043
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
めて
居
(
を
)
ります。
044
右守司
(
うもりつかさ
)
の
放
(
はな
)
つた
探偵
(
たんてい
)
は
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
横行
(
わうかう
)
闊歩
(
くわつぽ
)
し、
045
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
物
(
もの
)
も
碌
(
ろく
)
に
云
(
い
)
へないと
云
(
い
)
ふ
有様
(
ありさま
)
で
御座
(
ござ
)
います。
046
何卒
(
どうぞ
)
御
(
ご
)
推量
(
すゐりやう
)
下
(
くだ
)
さいまして、
047
貴女
(
あなた
)
の
神力
(
しんりき
)
によつてイルナの
国
(
くに
)
の
危難
(
きなん
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませ』
048
黄金姫
『
反間
(
はんかん
)
苦肉
(
くにく
)
の
策
(
さく
)
を
弄
(
ろう
)
し、
049
大
(
だい
)
それた
野望
(
やばう
)
を
遂
(
と
)
げむとする
悪人輩
(
あくにんばら
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
なれば、
050
うつかり
高
(
たか
)
い
声
(
こゑ
)
で
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
にも
往
(
ゆ
)
きませぬ。
051
此処
(
ここ
)
は
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
なれども、
052
矢張
(
やつぱり
)
悪神
(
あくがみ
)
の
霊
(
れい
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
を
遠
(
とほ
)
く
巻
(
ま
)
いて
居
(
を
)
りますれば、
053
込
(
こ
)
み
入
(
い
)
つた
事
(
こと
)
は
申
(
まを
)
されませぬ。
054
何事
(
なにごと
)
も
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
にあれば
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ』
055
清照姫
(
きよてるひめ
)
はしとやかに、
056
清照姫
『
貴方
(
あなた
)
がユーフテスさまで
厶
(
ござ
)
いましたか。
057
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
でしたなア、
058
これから
都
(
みやこ
)
まではまだ
余程
(
よほど
)
の
道程
(
みちのり
)
がありますか』
059
ユーフテス
『ハイ、
060
もはや
十
(
じふ
)
里
(
り
)
足
(
た
)
らずで
御座
(
ござ
)
りますれば、
061
些
(
すこ
)
しく
急
(
いそ
)
ぎますれば、
062
今晩
(
こんばん
)
の
四
(
よ
)
つ
時
(
どき
)
までには
到着
(
たうちやく
)
出来
(
でき
)
るでせう。
063
丁度
(
ちやうど
)
夜中
(
やちう
)
に
御
(
ご
)
入城
(
にふじやう
)
下
(
くだ
)
さる
方
(
はう
)
が
安全
(
あんぜん
)
で
厶
(
ござ
)
いませう』
064
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
処
(
ところ
)
へ「オーイ オーイ」と
坂
(
さか
)
の
下
(
した
)
から
呼
(
よ
)
ばはりながら
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎馬隊
(
きばたい
)
がある。
065
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
何事
(
なにごと
)
ならむと
訝
(
いぶか
)
りながら、
066
峠
(
たうげ
)
の
傍
(
かたはら
)
の
石
(
いし
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ちかけ、
067
くだらぬ
世間話
(
せけんばなし
)
を
態
(
わざ
)
と
交換
(
かうくわん
)
して
居
(
ゐ
)
た。
068
ユーフテスは
節
(
ふし
)
面白
(
おもしろ
)
く
唄
(
うた
)
ひながら
踊
(
をど
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
069
ユーフテス
『
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
から
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
見
(
み
)
れば
070
かぼちや
や
茄子
(
なす
)
の
花盛
(
はなざか
)
り
071
とは
云
(
い
)
ふもののこりや
嘘
(
うそ
)
ぢや
072
今
(
いま
)
は
紅葉
(
もみぢ
)
の
秋
(
あき
)
の
末
(
すゑ
)
073
冬
(
ふゆ
)
の
境
(
さかひ
)
となり
果
(
は
)
てて
074
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
はバラバラと
075
散
(
ち
)
り
敷
(
し
)
く
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
は
雨
(
あめ
)
のごと
076
高照山
(
たかてるやま
)
の
紅葉
(
もみぢば
)
も
077
衣
(
ころも
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎて
丸裸体
(
まるはだか
)
078
老木
(
おいき
)
も
若木
(
わかぎ
)
もぶるぶると
079
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
く
哀
(
あは
)
れさよ
080
照山峠
(
てるやまたうげ
)
と
云
(
い
)
ふけれど
081
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
は
雨
(
あめ
)
に
叩
(
たた
)
かれて
082
一
(
ひと
)
つも
残
(
のこ
)
らず
真裸体
(
まつぱだか
)
083
照山峠
(
てるやまたうげ
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
084
なきやま
峠
(
たうげ
)
となりました
085
ドツコイドツコイドツコイシヨ』
086
と
唄
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
087
其処
(
そこ
)
へ
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎馬隊
(
きばたい
)
が
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
て
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みおろ
)
しながら、
088
騎士
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
何者
(
なにもの
)
なるか』
089
と
大喝
(
たいかつ
)
すると、
090
ユーフテスは
態
(
わざ
)
と
空呆惚
(
そらとぼ
)
けて
手
(
て
)
を
耳
(
みみ
)
にあてがひ
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
091
ユーフテス
『ヘイ
何
(
なん
)
と
仰
(
あふ
)
せられますか。
092
此
(
この
)
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
は
酷
(
きつ
)
いかとお
尋
(
たづ
)
ねですか。
093
それはそれは
随分
(
ずゐぶん
)
きつい
坂
(
さか
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ』
094
騎士
(
きし
)
『その
方
(
はう
)
は
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
聾
(
つんぼ
)
と
見
(
み
)
える。
095
エヽ
仕方
(
しかた
)
がない。
096
それなる
女
(
をんな
)
に
尋
(
たづ
)
ねるが、
097
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
へ
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
と
一人
(
ひとり
)
の
下男
(
げなん
)
が
通
(
とほ
)
らなかつたか』
098
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
態
(
わざ
)
と
阿呆
(
あはう
)
げた
顔
(
かほ
)
をして、
099
黄金姫
『ハイ、
100
此
(
この
)
峠
(
たうげ
)
の
少
(
すこ
)
し
手前
(
てまへ
)
で
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
101
男
(
をとこ
)
が
一人
(
ひとり
)
に
出会
(
であ
)
ひましたが、
102
私
(
わたし
)
を
見
(
み
)
るなり、
103
あゝ
汚
(
きたな
)
い
乞食
(
こじき
)
だと
罵
(
ののし
)
りながら
此
(
この
)
坂
(
さか
)
を
一目散
(
いちもくさん
)
に
登
(
のぼ
)
つて
往
(
ゆ
)
きました。
104
何程
(
なにほど
)
落魄
(
おちぶ
)
れた
乞食
(
こじき
)
だつて
矢張
(
やつぱり
)
同
(
おな
)
じ
人間
(
にんげん
)
ですもの、
105
そんなに
軽蔑
(
けいべつ
)
したものぢやありませぬなア』
106
騎士
『ナニ
女
(
をんな
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
107
男
(
をとこ
)
が
一人
(
ひとり
)
とは
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬ。
108
確
(
たしか
)
に
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
、
109
男
(
をとこ
)
一人
(
ひとり
)
通
(
とほ
)
つた
筈
(
はず
)
だ。
110
嘘
(
うそ
)
を
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
るのではないか』
111
黄金姫
『
嘘
(
うそ
)
と
思
(
おも
)
ふなら
勝手
(
かつて
)
に
思
(
おも
)
はつしやい。
112
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
の
目
(
め
)
には
確
(
たしか
)
に
女
(
をんな
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
113
男
(
をとこ
)
が
一人
(
ひとり
)
だ。
114
併
(
しか
)
も
素敵
(
すてき
)
な
別嬪
(
べつぴん
)
だつた。
115
一体
(
いつたい
)
お
前
(
まへ
)
は
何処
(
どこ
)
から
何処
(
どこ
)
に
行
(
ゆ
)
かしやるのだ。
116
大変
(
たいへん
)
景気
(
けいき
)
のよい
駒
(
こま
)
に
乗
(
の
)
つて、
117
あのまあ
強
(
つよ
)
さうな
事
(
こと
)
わいのう』
118
清照姫
『あのお
母
(
かあ
)
さま、
119
今
(
いま
)
往
(
い
)
つた
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
は、
120
ヤスだとかダラだとか
云
(
い
)
つていらつしやつたやうですな』
121
騎士
『
何
(
なに
)
、
122
ヤスと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たか、
123
そりや
確
(
たしか
)
にヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
相違
(
さうゐ
)
あるまい。
124
踪跡
(
そうせき
)
を
暗
(
くら
)
ますために、
125
何処
(
どこ
)
かで
乞食
(
こじき
)
女
(
をんな
)
でも
雇
(
やと
)
つて
来
(
き
)
よつたのだなア。
126
ヤア
女
(
をんな
)
共
(
ども
)
、
127
よう
云
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れた。
128
サア
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
129
一鞭
(
ひとむち
)
あてて
下
(
くだ
)
らうではないか、
130
シヤール
様
(
さま
)
に、
131
これで
申訳
(
まをしわけ
)
が
立
(
た
)
つと
云
(
い
)
ふものだ』
132
と
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
を
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
つたまま
進
(
すす
)
まうとする。
133
ユーフテスは、
134
ユーフテス
『あゝもしもし、
135
こんな
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
を
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
通
(
とほ
)
らうものなら、
136
それこそ
忽
(
たちま
)
ちですぞ。
137
命
(
いのち
)
の
惜
(
を
)
しくないものは
乗
(
の
)
つて
往
(
ゆ
)
かつしやい』
138
騎士
『
何
(
なに
)
これしきの
急坂
(
きふはん
)
が
苦
(
く
)
になるか、
139
騎馬
(
きば
)
の
達人
(
たつじん
)
の
顔揃
(
かほぞろ
)
ひだ。
140
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
になつて
馬
(
うま
)
を
下
(
お
)
りるやうで、
141
どうして
此
(
この
)
使命
(
しめい
)
が
果
(
はた
)
されるか、
142
サア
往
(
ゆ
)
かう』
143
と
云
(
い
)
ひながら
手綱
(
たづな
)
を
引
(
ひ
)
き
締
(
し
)
め、
144
ハイ ハイ ハイと
矢声
(
やごゑ
)
をあびせながら
下
(
くだ
)
り
往
(
ゆ
)
く。
145
清照姫
『お
母
(
かあ
)
さま、
146
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
都合
(
つがふ
)
よくして
下
(
くだ
)
さいますなア、
147
もう
少
(
すこ
)
しの
事
(
こと
)
でヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
は
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
に
捕
(
とら
)
へられなさる
処
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
148
マアお
仕合
(
しあは
)
せのお
方
(
かた
)
ですこと』
149
黄金姫
『アヽさうだなア、
150
これだから
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
は
尊
(
たふと
)
くて
忘
(
わす
)
れられぬのだよ』
151
ユーフテス『ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
にお
会
(
あ
)
ひになりましたか、
152
どうして
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がこんな
処
(
ところ
)
へお
出
(
いで
)
になつたのでせう。
153
テルマン
国
(
ごく
)
のシヤールと
云
(
い
)
ふ
富豪
(
ふうがう
)
の
家
(
いへ
)
に
嫁
(
とつ
)
いで
居
(
ゐ
)
られますのだから、
154
お
帰
(
かへ
)
りになるなら
沢山
(
たくさん
)
のお
供
(
とも
)
がついて
居
(
ゐ
)
なければならぬ
筈
(
はず
)
、
155
何
(
なに
)
か
変事
(
へんじ
)
でも
起
(
おこ
)
つたのでは
厶
(
ござ
)
りますまいか』
156
黄金
(
わうごん
)
『
何
(
いづ
)
れこれには
訳
(
わけ
)
のあることです。
157
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
高照山
(
たかてるやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
をして
置
(
お
)
きましたから、
158
狼
(
おほかみ
)
が
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
ます
故
(
ゆゑ
)
、
159
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りますまい』
160
ユーフテス
『
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
います。
161
人々
(
ひとびと
)
の
恐
(
おそ
)
れて
寄
(
よ
)
りつかない
高照山
(
たかてるやま
)
の
狼
(
おほかみ
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
にヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
なさるとは
約
(
つま
)
り
殺
(
ころ
)
しにおやりなさつたのですか』
162
黄金姫
『オホヽヽヽ、
163
苟
(
いやし
)
くも
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
くる
宣伝使
(
せんでんし
)
の
身
(
み
)
として、
164
そんな
事
(
こと
)
があつて
堪
(
たま
)
りますか。
165
狼
(
おほかみ
)
だつて
誠
(
まこと
)
をもつて
向
(
むか
)
へば
至極
(
しごく
)
柔順
(
じうじゆん
)
なもの、
166
私
(
わたし
)
にも、
167
かうして
居
(
ゐ
)
るものの、
168
一
(
ひと
)
つ
手
(
て
)
を
叩
(
たた
)
けば
五十
(
ごじふ
)
や
百
(
ひやく
)
の
狼
(
おほかみ
)
はすぐ
此処
(
ここ
)
へ
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
ますからなア。
169
オホヽヽヽ』
170
ユーフテスは
顔色
(
かほいろ
)
をサツと
変
(
か
)
へ、
171
足
(
あし
)
をワナワナさせながら、
172
ユーフテス
『ナヽヽヽ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
います、
173
貴女
(
あなた
)
は
狼
(
おほかみ
)
をお
使
(
つか
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすのですか』
174
黄金姫
『オホヽヽヽ、
175
大層
(
たいそう
)
慄
(
ふる
)
うて
居
(
を
)
りますな。
176
私
(
わたし
)
は
狼婆
(
おほかみばば
)
と
狼娘
(
おほかみむすめ
)
の
一行
(
いつかう
)
だから、
177
お
前
(
まへ
)
も
此
(
この
)
世
(
よ
)
が
厭
(
いや
)
になつて
死
(
し
)
にたいと
思
(
おも
)
はしやつたら、
178
ちつとも
心配
(
しんぱい
)
はない、
179
狼
(
おほかみ
)
に
喰
(
く
)
はして
上
(
あ
)
げる
程
(
ほど
)
に
喜
(
よろこ
)
びなさいよ』
180
と
態
(
わざ
)
と
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
をして
憎
(
にく
)
さげに
云
(
い
)
つて
見
(
み
)
せる。
181
清照姫
『オホヽヽヽ、
182
お
母
(
かあ
)
さまとした
事
(
こと
)
が、
183
これ
程
(
ほど
)
臆病
(
おくびやう
)
な
人
(
ひと
)
をつかまへて
威嚇
(
おどか
)
すものぢやありませぬよ、
184
貴女
(
あなた
)
も
余程
(
よほど
)
腹
(
はら
)
が
悪
(
わる
)
うなりましたなア』
185
黄金姫
『
実
(
じつ
)
は
今
(
いま
)
通
(
とほ
)
つた
騎士
(
きし
)
共
(
ども
)
が
此
(
この
)
谷口
(
たにぐち
)
で
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
行路
(
かうろ
)
を
要
(
えう
)
してキツト
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
186
其
(
その
)
時
(
とき
)
手
(
て
)
を
打
(
う
)
つて
百匹
(
ひやつぴき
)
許
(
ばか
)
り
狼
(
おほかみ
)
を
呼
(
よ
)
びあつめ
追
(
お
)
つ
払
(
ぱら
)
つてやる
積
(
つも
)
りだ。
187
其
(
その
)
時
(
とき
)
このユーフテスさまが、
188
腰
(
こし
)
でも
抜
(
ぬ
)
かしては
大変
(
たいへん
)
だから、
189
今
(
いま
)
の
中
(
うち
)
にビツクリの
修業
(
しうげふ
)
をさして
居
(
を
)
るのだ。
190
これこれユーフテス
様
(
さま
)
、
191
何
(
なに
)
がそれ
程
(
ほど
)
恐
(
こは
)
いのぢや、
192
お
前様
(
まへさま
)
は
王
(
わう
)
様
(
さま
)
のためには
不惜
(
ふじやく
)
身命
(
しんみやう
)
の
活動
(
くわつどう
)
をすると
何時
(
いつ
)
も
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るだらう。
193
命
(
いのち
)
の
惜
(
を
)
しくないものが
何故
(
なぜ
)
そんなに
慄
(
ふる
)
ふのだろう。
194
不惜
(
ふしやく
)
身命
(
しんみやう
)
もあまり
当
(
あて
)
にはなりませぬぞや。
195
口
(
くち
)
ではどんな
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
も
云
(
い
)
へますが、
196
イザ
鎌倉
(
かまくら
)
となると
皆
(
みな
)
逃腰
(
にげごし
)
になるのだから
困
(
こま
)
つたものだよ』
197
ユーフテス
『
君
(
きみ
)
のため、
198
世
(
よ
)
のために
命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
つるのなら
捨
(
す
)
て
甲斐
(
がひ
)
がありますが、
199
狼
(
おほかみ
)
などに、
200
バリバリやられては、
201
それこそ
犬死
(
いぬじに
)
、
202
いや
狼死
(
おほかみじに
)
ですからたまりませぬわ。
203
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
なら
君
(
きみ
)
のため、
204
世
(
よ
)
のため、
205
人間
(
にんげん
)
の
手
(
て
)
にかかつて
死
(
し
)
ぬ
方
(
はう
)
が
何程
(
なにほど
)
幸福
(
かうふく
)
だか
分
(
わか
)
りませぬからなア』
206
黄金姫
『
私
(
わたし
)
も
人間
(
にんげん
)
だから、
207
それなら
御
(
ご
)
注文通
(
ちゆうもんどほ
)
り、
208
一
(
ひと
)
つ
殺
(
ころ
)
して
見
(
み
)
て
上
(
あ
)
げませうかな。
209
それならお
前
(
まへ
)
も
得心
(
とくしん
)
だらう。
210
オホヽヽヽ』
211
ユーフテス
『アヽア、
212
イルナの
都
(
みやこ
)
の
助
(
たす
)
け
神
(
がみ
)
さまかと
思
(
おも
)
へば、
213
何
(
なん
)
だ
狼婆
(
おほかみば
)
アさまだつたのか。
214
エヽ
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
に
騙
(
だま
)
されたか、
215
残念
(
ざんねん
)
だ。
216
もう
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
破
(
やぶ
)
れかぶれ、
217
窮鼠
(
きうそ
)
却
(
かへつ
)
て
猫
(
ねこ
)
を
食
(
は
)
むの
譬
(
たとへ
)
の
通
(
とほ
)
り、
218
此
(
この
)
ユーフテスがいまはの
際
(
きは
)
の
死物狂
(
しにものぐる
)
ひの
手並
(
てなみ
)
を
見
(
み
)
て
置
(
お
)
けよ』
219
と
短剣
(
たんけん
)
をスラリと
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
き
黄金姫
(
わうごんひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
突
(
つ
)
いてかかる。
220
忽
(
たちま
)
ち
後
(
うしろ
)
の
叢
(
くさむら
)
よりオーン、
221
オーンと
狼
(
おほかみ
)
の
唸
(
うな
)
る
声
(
こゑ
)
しきりに
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る。
222
ユーフテスは
短刀
(
たんたう
)
をパタリと
地
(
ち
)
に
落
(
おと
)
し、
223
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
き
其
(
その
)
場
(
ば
)
にバタリと
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
224
黄金
(
わうごん
)
『
君
(
きみ
)
のため
道
(
みち
)
のためなら
命
(
いのち
)
まで
225
捨
(
す
)
つると
云
(
い
)
ひし
人
(
ひと
)
ぞをかしき。
226
狼
(
おほかみ
)
の
嘯
(
うそぶ
)
く
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
きて
227
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かせしやさ
男
(
をとこ
)
もあり。
228
口
(
くち
)
ばかりめでたき
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひながら
229
まさかの
時
(
とき
)
に
肝
(
きも
)
をつぶしつ。
230
照山
(
てるやま
)
の
峠
(
たうげ
)
に
会
(
あ
)
ひし
二人
(
ふたり
)
連
(
づ
)
れを
231
狼使
(
おほかみづか
)
ひと
聞
(
き
)
き
驚
(
おどろ
)
くも。
232
ユーフテスの
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
村肝
(
むらきも
)
の
233
心
(
こころ
)
を
強
(
つよ
)
め
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
りませ』
234
清照姫
(
きよてるひめ
)
は、
235
清照姫
『
吾
(
わが
)
母
(
はは
)
はユーフテス
司
(
つかさ
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
236
醜
(
しこ
)
の
言霊
(
ことたま
)
放
(
はな
)
ちたまひぬ。
237
さりながらユーフテス
司
(
つかさ
)
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
238
汝
(
なれ
)
が
身魂
(
みたま
)
の
御試
(
みため
)
しなれば。
239
この
先
(
さき
)
に
醜
(
しこ
)
の
司
(
つかさ
)
がかくれ
居
(
ゐ
)
て
240
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
三人
(
みたり
)
を
捕
(
とら
)
へむと
待
(
ま
)
つも。
241
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
は
驚
(
おどろ
)
きて
242
迷
(
まよ
)
はせまじと
母
(
はは
)
の
計
(
はか
)
らひ。
243
必
(
かなら
)
ずも
悪
(
あ
)
しくな
思
(
おも
)
ひたまふまじ
244
汝
(
なれ
)
が
身魂
(
みたま
)
鍛
(
きた
)
えむと
思
(
おも
)
へばこそ。
245
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へし
吾
(
われ
)
なれば
246
いかでか
人
(
ひと
)
の
命
(
いのち
)
とるべき。
247
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
を
普
(
あまね
)
く
救
(
すく
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
248
汝
(
なれ
)
に
限
(
かぎ
)
りて
救
(
すく
)
はであるべき』
249
ユーフテスは
二人
(
ふたり
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いてやつと
安心
(
あんしん
)
し、
250
フナフナ
腰
(
ごし
)
にウンと
力
(
ちから
)
を
入
(
い
)
れ
杖
(
つゑ
)
を
力
(
ちから
)
に
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
251
ユーフテス
『
肝玉
(
きもだま
)
がどつかの
国
(
くに
)
へ
宿替
(
やどがへ
)
し
252
今
(
いま
)
は
藻抜
(
もぬけ
)
の
殻
(
から
)
となりぬる。
253
腰
(
こし
)
抜
(
ぬ
)
かし
肝玉
(
きもだま
)
とられユーフテスは
254
どうして
道
(
みち
)
を
歩
(
あゆ
)
み
往
(
ゆ
)
かむか。
255
これ
程
(
ほど
)
に
恐
(
こは
)
いお
方
(
かた
)
と
知
(
し
)
つたなら
256
遥々
(
はるばる
)
迎
(
むか
)
ひに
来
(
く
)
るぢやなかつたに。
257
逃
(
に
)
げようとあせれど
脛腰
(
すねこし
)
立
(
た
)
たぬ
身
(
み
)
の
258
詮術
(
せんすべ
)
さへもなき
涙
(
なみだ
)
かな』
259
黄金姫
(
わうごんひめ
)
はユーフテスの
腰
(
こし
)
を
二三
(
にさん
)
回
(
くわい
)
撫
(
な
)
で
擦
(
さす
)
り、
260
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
261
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
二三回
(
にさんくわい
)
唱
(
とな
)
へ
上
(
あ
)
げた。
262
不思議
(
ふしぎ
)
やユーフテスの
腰
(
こし
)
は
俄
(
にはか
)
に
強
(
つよ
)
くなり、
263
足
(
あし
)
の
慄
(
ふる
)
ひもとまり、
264
今
(
いま
)
は
神霊
(
しんれい
)
の
感応
(
かんのう
)
によつて、
265
百万
(
ひやくまん
)
の
敵
(
てき
)
も
恐
(
おそ
)
れざる
程
(
ほど
)
の
勇猛心
(
ゆうまうしん
)
が
臍下
(
せいか
)
丹田
(
たんでん
)
からむらむらと
湧
(
わ
)
いて
来
(
き
)
た。
266
ユーフテスは
初
(
はじ
)
めて
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
心
(
こころ
)
を
悟
(
さと
)
り、
267
幾回
(
いくくわい
)
となく
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
其
(
その
)
親切
(
しんせつ
)
を
感謝
(
かんしや
)
し、
268
元気
(
げんき
)
百倍
(
ひやくばい
)
し
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
269
急坂
(
きふはん
)
を
下
(
くだ
)
りながら
一足
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
拍子
(
ひやうし
)
を
取
(
と
)
り
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す。
270
ユーフテス
『
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
のカールチン
271
テーナの
姫
(
ひめ
)
の
喉元
(
のどもと
)
へ
272
甘
(
うま
)
く
喰
(
く
)
ひ
込
(
こ
)
み
一
(
いち
)
家老
(
からう
)
と
273
鰻登
(
うなぎのぼ
)
りに
登
(
のぼ
)
つたる
274
カールチン
司
(
つかさ
)
の
家
(
いへ
)
の
子
(
こ
)
と
275
仕
(
つか
)
へまつりしユーフテス
276
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
277
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
主
(
しう
)
のため
278
勤
(
つと
)
むる
折
(
をり
)
しも
朝夕
(
あさゆふ
)
に
279
慕
(
した
)
ひまつりしセーリス
姫
(
ひめ
)
の
280
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
来訪
(
らいほう
)
に
281
心
(
こころ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
一変
(
いつぺん
)
し
282
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
に
表向
(
おもてむ
)
き
283
忠実
(
ちうじつ
)
らしく
仕
(
つか
)
へつつ
284
心
(
こころ
)
はやつぱり
裏表
(
うらおもて
)
285
セーリス
姫
(
ひめ
)
の
父上
(
ちちうへ
)
と
286
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
神司
(
かむづかさ
)
287
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
のクーリンス
288
助
(
たす
)
けにやならぬと
内々
(
ないない
)
に
289
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
を
佯
(
いつは
)
つて
290
恋
(
こひ
)
の
犠牲
(
ぎせい
)
と
知
(
し
)
りながら
291
やつて
来
(
き
)
たのは「ウントコシヨ」
292
「ヤツトコドツコイ」
恥
(
はづ
)
かしい
293
これこれ
右守
(
うもり
)
の
司
(
つかさ
)
どの
294
うつかり
油断
(
ゆだん
)
をなさるなよ
295
此
(
この
)
坂路
(
さかみち
)
を
下
(
くだ
)
るよに
296
どこに
悪魔
(
あくま
)
が
潜
(
ひそ
)
むやら
297
何時
(
いつ
)
クレリツと
変
(
かは
)
るやら
298
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
は
分
(
わか
)
らない
299
これを
思
(
おも
)
へば
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
300
恐
(
おそ
)
ろしものは
女
(
をんな
)
ぞや
301
女
(
をんな
)
の
魂
(
たましひ
)
一
(
ひと
)
つにて
302
古今
(
ここん
)
無双
(
むさう
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
も
303
智者
(
ちしや
)
と
聞
(
きこ
)
えしユーフテスも
304
忽
(
たちま
)
ち「ドツコイ」
落城
(
らくじやう
)
した
305
ほんに
恐
(
おそ
)
ろし
恋
(
こひ
)
の
道
(
みち
)
306
とは
云
(
い
)
ふものの「ドツコイシヨ」
307
今
(
いま
)
となつては
及
(
およ
)
ばない
308
改心
(
かいしん
)
するのが「ドツコイシヨ」
309
善
(
よ
)
いか
悪
(
わる
)
いか「ウントコシヨ」
310
見当
(
けんたう
)
が
取
(
と
)
れなくなつて
来
(
き
)
た
311
つらつら
思
(
おも
)
ひ
廻
(
めぐ
)
らせば
312
国
(
くに
)
の
柱
(
はしら
)
と
現
(
あ
)
れませる
313
セーラン
王
(
わう
)
に
刃向
(
はむか
)
ふは
314
矢張
(
やつぱ
)
り
悪
(
あく
)
に
違
(
ちが
)
ひない
315
さうすりや
右守
(
うもり
)
の
神司
(
かむづかさ
)
316
背
(
そむ
)
いた
処
(
ところ
)
で「ドツコイシヨ」
317
バラモン
神
(
がみ
)
の
神罰
(
しんばつ
)
が
318
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
に
当
(
あた
)
る
筈
(
はず
)
がない
319
さう
考
(
かんが
)
へりや
安心
(
あんしん
)
だ
320
これこれもうし
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
321
足許
(
あしもと
)
気
(
き
)
をつけなさいませ
322
照山峠
(
てるやまたうげ
)
は
国中
(
くにぢう
)
で
323
最
(
もつと
)
も
嶮
(
けは
)
しい
坂道
(
さかみち
)
だ
324
獅子
(
しし
)
さへ
越
(
こ
)
さぬ
難所
(
なんしよ
)
ぞと
325
世
(
よ
)
に
聞
(
きこ
)
えたる「ドツコイシヨ」
326
行
(
ゆ
)
くに
行
(
ゆ
)
かれぬ
困
(
こま
)
り
場所
(
ばしよ
)
327
道
(
みち
)
の
案内
(
あんない
)
知
(
し
)
らずして
328
偉
(
えら
)
そに
馬腹
(
ばふく
)
に
鞭
(
むち
)
をうち
329
テルマン
国
(
ごく
)
よりやつて
来
(
き
)
た
330
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
は
今頃
(
いまごろ
)
は
331
馬
(
うま
)
諸共
(
もろとも
)
に
千仭
(
せんじん
)
の
332
谷間
(
たにま
)
に「ドツコイ」
転落
(
てんらく
)
し
333
頭
(
あたま
)
を
摧
(
くじ
)
き
肱
(
ひぢ
)
を
折
(
を
)
り
334
ウンウンうめいて
居
(
ゐ
)
るだらう
335
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ぢや
336
バラモン
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
337
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
に
罪
(
つみ
)
はありませぬ
338
此
(
この
)
先
(
さき
)
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に「ドツコイシヨ」
339
敵対
(
てきた
)
ひ
来
(
きた
)
る
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
340
助
(
たす
)
けてやつて
下
(
くだ
)
さるな
341
私
(
わたし
)
が
些
(
ち
)
つと
困
(
こま
)
るから
342
「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
343
今
(
いま
)
行
(
い
)
つた
騎士
(
きし
)
の
五人
(
ごにん
)
連
(
づ
)
れ
344
黄金姫
(
わうごんひめ
)
のお
言葉
(
ことば
)
に
345
此
(
この
)
山口
(
やまぐち
)
に
身
(
み
)
をかくし
346
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
待
(
ま
)
つてゐると
聞
(
き
)
く
347
「ウントコドツコイ」
猪口才
(
ちよこざい
)
な
348
そのよな
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
したら
349
神力
(
しんりき
)
受
(
う
)
けたユーフテス
350
生言霊
(
いくことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
して
351
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
打
(
う
)
ちきため
352
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
の
旅立
(
たびだち
)
を
353
「ウントコドツコイ」さしてやる
354
もしも
敵対
(
てきたい
)
せぬならば
355
助
(
たす
)
けてやつて
下
(
くだ
)
しやんせ
356
梵天
(
ぼんてん
)
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
357
オツトドツコイ
国治立
(
くにはるたち
)
の
358
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
359
慎
(
つつし
)
み
敬
(
いやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
360
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
361
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
362
と
歌
(
うた
)
ひながら
母娘
(
おやこ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
363
漸
(
やうや
)
くにして
照山峠
(
てるやまたうげ
)
を
南
(
みなみ
)
に
下
(
くだ
)
りついた。
364
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
は
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
予言
(
よげん
)
の
如
(
ごと
)
く
馬
(
うま
)
の
頭
(
かしら
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し、
365
やや
広
(
ひろ
)
き
谷間
(
たにあひ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
待
(
ま
)
ち
伏
(
ぶ
)
せ、
366
弓
(
ゆみ
)
を
満月
(
まんげつ
)
の
如
(
ごと
)
く
絞
(
しぼ
)
り、
367
矢
(
や
)
を
番
(
つが
)
へ、
368
今
(
いま
)
や
遅
(
おそ
)
しと
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
369
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
370
つかつかと
騎士
(
きし
)
の
傍
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
つた
刹那
(
せつな
)
、
371
忽
(
たちま
)
ち
聞
(
きこ
)
ゆる
狼群
(
らうぐん
)
の
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
、
372
如何
(
いかが
)
はしけむ
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
は
弓
(
ゆみ
)
を
満月
(
まんげつ
)
の
如
(
ごと
)
く
引
(
ひ
)
き
絞
(
しぼ
)
つたまま、
373
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
しデクの
棒
(
ぼう
)
の
如
(
ごと
)
くなつて
居
(
ゐ
)
る。
374
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ、
375
テームスやレーブ、
376
カルの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り、
377
三頭
(
さんとう
)
の
副馬
(
そへうま
)
を
従
(
したが
)
へて
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
戞々
(
かつかつ
)
と
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
勇
(
いさ
)
ましさ。
378
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は、
379
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ
来
(
きた
)
りし
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り、
380
清照姫
(
きよてるひめ
)
と
共
(
とも
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
轡
(
くつわ
)
を
並
(
なら
)
べ、
381
勢
(
いきほひ
)
込
(
こ
)
んでイルナの
都
(
みやこ
)
のセーラン
王
(
わう
)
が
館
(
やかた
)
をさして
駆
(
かけ
)
り
往
(
ゆ
)
く。
382
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
はおろされ、
383
入城
(
にふじやう
)
には
最
(
もつと
)
も
適当
(
てきたう
)
の
刻限
(
こくげん
)
である。
384
あゝ
黄金姫
(
わうごんひめ
)
一行
(
いつかう
)
の
今後
(
こんご
)
の
活動
(
くわつどう
)
は
如何
(
いか
)
に
開展
(
かいてん
)
するだらうか。
385
因
(
ちなみ
)
に
取
(
と
)
り
残
(
のこ
)
されたユーフテスは
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
囁
(
ささや
)
きによつて
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
に
鎮魂
(
ちんこん
)
を
施
(
ほどこ
)
し、
386
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
身体
(
しんたい
)
自由
(
じいう
)
を
得
(
え
)
せしめ、
387
表面
(
へうめん
)
右守司
(
うもりつかさ
)
の
従臣
(
じゆうしん
)
なるを
幸
(
さいは
)
ひ、
388
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
と
共
(
とも
)
に
右守
(
うもり
)
の
館
(
やかた
)
をさして
一目散
(
いちもくさん
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
389
ユーフテスの
今後
(
こんご
)
の
活動
(
くわつどう
)
も
亦
(
また
)
一
(
ひと
)
つの
見物
(
みもの
)
であらう。
390
(
大正一一・一一・一一
旧九・二三
加藤明子
録)
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