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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第41巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 天空地平
第1章 入那の野辺
第2章 入那城
第3章 偽恋
第4章 右守館
第5章 急告
第6章 誤解
第7章 忍術使
第2篇 神機赫灼
第8章 無理往生
第9章 蓮の川辺
第10章 狼の岩窟
第11章 麓の邂逅
第12章 都入り
第3篇 北光神助
第13章 夜の駒
第14章 慈訓
第15章 難問題
第16章 三番叟
第4篇 神出鬼没
第17章 宵企み
第18章 替へ玉
第19章 当て飲み
第20章 誘惑
第21章 長舌
余白歌
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第41巻(辰の巻)
> 第2篇 神機赫灼 > 第10章 狼の岩窟
<<< 蓮の川辺
(B)
(N)
麓の邂逅 >>>
第一〇章
狼
(
おほかみ
)
の
岩窟
(
いはや
)
〔一一一四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
篇:
第2篇 神機赫灼
よみ(新仮名遣い):
しんきかくしゃく
章:
第10章 狼の岩窟
よみ(新仮名遣い):
おおかみのいわや
通し章番号:
1114
口述日:
1922(大正11)年11月11日(旧09月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
イルナの都から四五里ほど離れたところに高照山という高い山脈が横たわっている。イルナの都に行くためには、この山を越す必要があった。高照山は昔、大洪水があったときに高照姫命が天降り給いて国人をその頂に救った因縁があった。
この山の峠は照山峠といった。今より十万年以前に世界的な大地震があり、ハルナの都は海底深く沈没してしまった。今のボンベイは、その時代の大雲山の頂に当たっている。
照山峠の二三里右手に、狼の岩窟があり、恐ろしい狼が群れて闊歩し、人間の侵入を許さない場所であった。黄金姫と清照姫は、イルナの森の手前から狼に誘われて、この岩窟に進み入ることになった。
二人は狼の歓呼の声に迎えられ、狼王の大岩窟に進み入った。岩窟の中は広く美しく、天国の宮殿のようであった。母娘は案に相違しながら狼に導かれて奥に進むと、そこには白髪異様の老人が美しい姫神とともに端座して狼に何事かささやいている。
母娘がよくよく見れば、三五教の宣伝使・天の目一つ神(北光神)と竹野姫の夫婦であった。黄金姫は、北光神夫婦がどうしてこのようなところに立て籠もっているのか尋ねた。
北光神は、神素盞嗚尊より猛獣を済度するようにと命じられたのだと答えた。竹野姫は、狼を使いとして母娘をここへ呼んだのは、イルナの国で大黒主の一派・右守のカールチンの陰謀を打ち破ってもらいたいためだ、と明かした。
イルナのセーラン王の一族を誘い出し、この狼の岩窟に一時かくまう必要があり、その役目を母娘に託したいのだという。母娘は任務を承諾した。
竹野姫は、任務中は狼の眷属が二人を守るであろうと告げた。また道中左守の娘・ヤスダラ姫の一行に会うだろうと告げ、一行中の竜雲に、北光神が岩窟で待っていると伝言してほしいと依頼した。
黄金姫母娘と北光神夫婦は互いに宣伝歌、和歌を交わして任務の成功を祈願した。黄金姫母娘は元来た道を引き換えし、狼の眷属に守られつつ峠を越えてイルナの都に進むことになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-12 12:15:54
OBC :
rm4110
愛善世界社版:
142頁
八幡書店版:
第7輯 582頁
修補版:
校定版:
148頁
普及版:
69頁
初版:
ページ備考:
001
入那
(
いるな
)
の
都
(
みやこ
)
より
四五
(
しご
)
里
(
り
)
を
隔
(
へだ
)
てたる
所
(
ところ
)
に
高照山
(
たかてるやま
)
といふ
高山脈
(
かうさんみやく
)
が
横
(
よこた
)
はつてゐる。
002
イルナの
都
(
みやこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くには
如何
(
どう
)
しても
此
(
この
)
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
さねばならぬ。
003
昔
(
むかし
)
大洪水
(
だいこうずゐ
)
のあつた
時
(
とき
)
、
004
高照姫
(
たかてるひめの
)
命
(
みこと
)
が
天降
(
あまくだ
)
り
給
(
たま
)
ひて、
005
国人
(
くにびと
)
を
此
(
この
)
高山
(
かうざん
)
の
頂
(
いただき
)
に
救
(
すく
)
はれた
因縁
(
いんねん
)
に
依
(
よ
)
つて
今
(
いま
)
尚
(
なほ
)
高照山
(
たかてるやま
)
と
称
(
とな
)
へられてゐるのである。
006
此
(
この
)
峠
(
たうげ
)
を
照山峠
(
てるやまたうげ
)
と
称
(
とな
)
へられてゐる。
007
今
(
いま
)
より
十万
(
じふまん
)
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
に
世界
(
せかい
)
的
(
てき
)
大地震
(
だいぢしん
)
があつて、
008
今
(
いま
)
の
印度
(
いんど
)
は
非常
(
ひじやう
)
な
高原地
(
かうげんち
)
であつたのが、
009
大
(
おほい
)
に
降下
(
かうか
)
して
了
(
しま
)
つたものである。
010
ハルナの
都
(
みやこ
)
も
今
(
いま
)
は
孟買
(
ボンベイ
)
となつてゐるが、
011
今
(
いま
)
の
孟買
(
ボンベイ
)
は
丁度
(
ちやうど
)
其
(
その
)
時代
(
じだい
)
の
大雲山
(
たいうんざん
)
の
頂
(
いただき
)
に
当
(
あた
)
つてゐる。
012
ハルナの
都
(
みやこ
)
は
海底
(
かいてい
)
深
(
ふか
)
く
沈没
(
ちんぼつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
013
故
(
ゆゑ
)
に
今日
(
こんにち
)
の
地理学
(
ちりがく
)
、
014
地質学
(
ちしつがく
)
より
見
(
み
)
れば、
015
大変
(
たいへん
)
に
此
(
この
)
物語
(
ものがたり
)
は
相違
(
さうゐ
)
する
点
(
てん
)
の
多々
(
たた
)
あるは
言
(
げん
)
を
俟
(
ま
)
たない
次第
(
しだい
)
である。
016
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
二三
(
にさん
)
里
(
り
)
右手
(
みぎて
)
に
当
(
あた
)
つて、
017
狼
(
おほかみ
)
の
岩窟
(
いはや
)
といふのがある。
018
ここには
実
(
じつ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしき
狼
(
おほかみ
)
の
群
(
むれ
)
が
天地
(
てんち
)
を
我物顔
(
わがものがほ
)
に
横行
(
わうかう
)
闊歩
(
くわつぽ
)
して、
019
人間
(
にんげん
)
の
一歩
(
いつぽ
)
も
其
(
その
)
地点
(
ちてん
)
に
踏
(
ふ
)
み
入
(
い
)
る
事
(
こと
)
を
許
(
ゆる
)
さない
狼窟
(
らうくつ
)
であつた。
020
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
021
清照姫
(
きよてるひめ
)
はイルナの
森
(
もり
)
の
少
(
すこ
)
しく
手前
(
てまへ
)
から
狼
(
おほかみ
)
の
群
(
むれ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて、
022
此
(
この
)
狼
(
おほかみ
)
の
岩窟
(
いはや
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る
事
(
こと
)
となつた。
023
(
狼
(
おほかみ
)
とは
食人種
(
しよくじんしゆ
)
の
別称
(
べつしよう
)
)
024
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
く
恐
(
おそ
)
ろしき
狼
(
おほかみ
)
の
棲処
(
すみか
)
とは
言
(
い
)
ふものの、
025
母娘
(
おやこ
)
両人
(
りやうにん
)
が
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
026
狼
(
おほかみ
)
につれられて
山
(
やま
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
ると、
027
幾千万
(
いくせんまん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなく、
028
狼軍
(
らうぐん
)
は
細谷路
(
ほそたにみち
)
の
傍
(
かたはら
)
に
列
(
れつ
)
を
作
(
つく
)
り、
029
ウーウーと
歓呼
(
くわんこ
)
の
声
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
ち、
030
二人
(
ふたり
)
の
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るをば
嬉
(
うれ
)
しげに
待
(
ま
)
ち
迎
(
むか
)
へてゐる。
031
母娘
(
おやこ
)
はあたりに
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
りながら、
032
漸
(
やうや
)
くにして
狼王
(
らうわう
)
の
棲息
(
せいそく
)
せる
大岩窟
(
だいがんくつ
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
033
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
は
大変
(
たいへん
)
に
広
(
ひろ
)
く
且
(
か
)
つ
美
(
うつく
)
しく、
034
所々
(
しよしよ
)
に
金
(
きん
)
、
035
銀
(
ぎん
)
、
036
瑪瑙
(
めなう
)
、
037
しやこ
、
038
瑠璃
(
るり
)
などが
光
(
ひか
)
つてゐる。
039
其
(
その
)
美
(
うる
)
はしさ、
040
恰
(
あだか
)
も
天国
(
てんごく
)
の
宮殿
(
きうでん
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた
如
(
ごと
)
き
感
(
かん
)
じがした。
041
母娘
(
おやこ
)
は
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
しながら
狼
(
おほかみ
)
に
導
(
みちび
)
かれて
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
ると、
042
そこに
白髪
(
はくはつ
)
異様
(
いやう
)
の
老人
(
らうじん
)
が
美
(
うる
)
はしき
姫神
(
ひめがみ
)
と
共
(
とも
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
043
何事
(
なにごと
)
か
狼
(
おほかみ
)
に
囁
(
ささや
)
いてゐる。
044
狼
(
おほかみ
)
はよく
人語
(
じんご
)
を
解
(
かい
)
するものの
如
(
ごと
)
くであつた。
045
母娘
(
おやこ
)
は
怪
(
あや
)
しみながら
老人
(
らうじん
)
の
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
寄
(
よ
)
り
見
(
み
)
れば、
046
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
047
天
(
あめ
)
の
目一
(
まひと
)
つ
神
(
かみ
)
夫婦
(
ふうふ
)
である。
048
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
打驚
(
うちおどろ
)
き、
049
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
050
黄金姫
『ヨウ、
051
貴方
(
あなた
)
は
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬか。
052
珍
(
めづら
)
しい
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
053
どうしてマア
斯様
(
かやう
)
な
狼窟
(
らうくつ
)
へ
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
とも
御
(
お
)
立籠
(
たてこもり
)
になつてゐられますか』
054
北光神
『
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
より、
055
汝
(
なんぢ
)
は
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
得
(
え
)
たれば、
056
最早
(
もはや
)
人間界
(
にんげんかい
)
を
済度
(
さいど
)
するには
及
(
およ
)
ばぬ。
057
人間界
(
にんげんかい
)
は
他
(
た
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にて
事足
(
ことた
)
れば、
058
汝
(
なんぢ
)
は
之
(
これ
)
より
猛獣
(
まうじう
)
の
棲処
(
すみか
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
059
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
憐
(
あは
)
れなる
獣類
(
じうるゐ
)
の
霊
(
れい
)
を
済度
(
さいど
)
し、
060
向上
(
かうじやう
)
せしめ、
061
生
(
しやう
)
を
変
(
か
)
へて
人間
(
にんげん
)
と
生
(
うま
)
れしむべく、
062
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
を
施
(
ほどこ
)
せよとの
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
、
063
謹
(
つつし
)
んで
承
(
うけたま
)
はり、
064
とうとう
今
(
いま
)
は
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
065
竜国別
(
たつくにわけ
)
さまのやうに、
066
猛獣
(
まうじう
)
の
王
(
わう
)
となりましたよ。
067
アハヽヽヽ』
068
黄金姫
『
何
(
なん
)
とマア
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
仁慈
(
じんじ
)
は、
069
禽獣
(
きんじう
)
まで
及
(
およ
)
ぼすとはここの
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますなア。
070
私
(
わたし
)
等
(
たち
)
母娘
(
おやこ
)
、
071
入那
(
いるな
)
の
森
(
もり
)
を
越
(
こ
)
えて
都
(
みやこ
)
へ
進
(
すす
)
まむとする
折
(
をり
)
しも、
072
数十頭
(
すうじつとう
)
の
狼
(
おほかみ
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
073
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
母娘
(
おやこ
)
の
袖
(
そで
)
を
喰
(
くは
)
へ
無理
(
むり
)
に
引張
(
ひつぱ
)
りますので、
074
何事
(
なにごと
)
か
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
思召
(
おぼしめし
)
ならむと、
075
ここ
迄
(
まで
)
狼
(
おほかみ
)
にひかれて
岩窟参
(
いはやまゐ
)
りをやつて
来
(
き
)
ました。
076
オホヽヽヽ』
077
竹野
(
たけの
)
『
貴女
(
あなた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
にて
御
(
おん
)
名
(
な
)
の
高
(
たか
)
き
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
078
お
若
(
わか
)
いのは
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
079
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
、
080
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
さまで
厶
(
ござ
)
いますなア』
081
黄金姫
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
082
貴女
(
あなた
)
は
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
に
於
(
おい
)
て
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
と
仕
(
つか
)
へ
給
(
たま
)
うた
竹野姫
(
たけのひめ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか。
083
御
(
ご
)
高名
(
かうめい
)
は
承
(
うけたま
)
はり、
084
一度
(
いちど
)
拝顔
(
はいがん
)
を
得
(
え
)
たしと
明暮
(
あけく
)
れ
祈
(
いの
)
つてゐましたが、
085
これは
又
(
また
)
思
(
おも
)
はぬ
所
(
ところ
)
で
拝顔
(
はいがん
)
を
得
(
え
)
ました。
086
何分
(
なにぶん
)
身魂
(
みたま
)
の
曇
(
くも
)
つた
吾々
(
われわれ
)
母娘
(
おやこ
)
、
087
どうぞお
叱
(
しか
)
りを
願
(
ねが
)
ひます』
088
竹野姫
『
御
(
ご
)
鄭重
(
ていちよう
)
な
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
、
089
痛
(
いた
)
み
入
(
い
)
ります。
090
どうぞ
何分
(
なにぶん
)
にも
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
交際
(
かうさい
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
091
北光
(
きたてる
)
『
貴女
(
あなた
)
は
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
に
於
(
おい
)
て、
092
狼
(
おほかみ
)
に
救
(
すく
)
はれたでせう』
093
黄金
(
わうごん
)
『ハイ
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
います、
094
貴方
(
あなた
)
それを
御存
(
ごぞん
)
じで
厶
(
ござ
)
いますか』
095
北光神
『
狼
(
おほかみ
)
共
(
ども
)
の
注進
(
ちゆうしん
)
により、
096
貴女
(
あなた
)
の
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
ふべく、
097
一小隊
(
いちせうたい
)
ばかり
繰出
(
くりだ
)
しました、
098
アハヽヽヽヽ』
099
黄金姫
『それは
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
能
(
よ
)
う
救
(
すく
)
うて
下
(
くだ
)
さいました。
100
吾々
(
われわれ
)
は
未
(
ま
)
だ
人間心
(
にんげんごころ
)
がぬけませぬので、
101
猛獣
(
まうじう
)
迄
(
まで
)
もなづけることは
出来
(
でき
)
ませぬ。
102
又
(
また
)
獣
(
けだもの
)
の
言
(
ことば
)
を
解
(
かい
)
する
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ない
困
(
こま
)
つた
女
(
をんな
)
で
厶
(
ござ
)
います。
103
かやうな
身魂
(
みたま
)
を
以
(
もつ
)
て
宣伝使
(
せんでんし
)
とは
実
(
じつ
)
にお
恥
(
はづか
)
しう
厶
(
ござ
)
います』
104
北光神
『
貴女
(
あなた
)
をここへお
招
(
まね
)
きしたのは
外
(
ほか
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
105
実
(
じつ
)
は
貴女
(
あなた
)
はハルナの
都
(
みやこ
)
へお
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
になつて
居
(
を
)
りますれども、
106
それ
以前
(
いぜん
)
に
一
(
ひと
)
つ、
107
不思議
(
ふしぎ
)
な
働
(
はたら
)
きをして
頂
(
いただ
)
かねばなりませぬから、
108
狼
(
おほかみ
)
を
遣
(
つか
)
はして、
109
右
(
みぎ
)
の
手続
(
てつづ
)
きを
取
(
と
)
つたので
御座
(
ござ
)
います。
110
実
(
じつ
)
はイルナの
国
(
くに
)
にバラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
兼
(
けん
)
刹帝利
(
せつていり
)
なるセーラン
王
(
わう
)
の
部下
(
ぶか
)
にカールチンといふ
心
(
こころ
)
汚
(
きたな
)
き
右守
(
うもり
)
があつて、
111
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
と
諜
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せ、
112
セーラン
王
(
わう
)
を
打亡
(
うちほろ
)
ぼし、
113
自
(
みづか
)
ら
刹帝利
(
せつていり
)
の
位地
(
ゐち
)
に
進
(
すす
)
まむと
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
114
就
(
つ
)
いてはハルナの
都
(
みやこ
)
より
数千騎
(
すうせんき
)
を
以
(
もつ
)
て、
115
近々
(
ちかぢか
)
にセーラン
王
(
わう
)
の
館
(
やかた
)
へ
攻
(
せ
)
めよせ
来
(
きた
)
る
筈
(
はず
)
なれば、
116
貴女
(
あなた
)
は
之
(
これ
)
よりイルナ
城
(
じやう
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
117
セーラン
王
(
わう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一族
(
いちぞく
)
を
誘
(
さそ
)
ひ
出
(
だ
)
し、
118
此
(
この
)
狼
(
おほかみ
)
の
岩窟
(
いはや
)
へ
迎
(
むか
)
へとり、
119
徐
(
おもむろ
)
に
右守
(
うもり
)
の
陰謀
(
いんぼう
)
を
打破
(
うちやぶ
)
つて
貰
(
もら
)
ひたい。
120
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
貴女
(
あなた
)
を
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
になつたのです』
121
と
始
(
はじ
)
めて
狼
(
おほかみ
)
の
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
た
理由
(
りいう
)
を
物語
(
ものがた
)
る。
122
黄金姫
『
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
123
左様
(
さやう
)
ならば
母娘
(
おやこ
)
両人
(
りやうにん
)
が
之
(
これ
)
よりイルナ
城
(
じやう
)
へ
進
(
すす
)
みませう。
124
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
ご
)
保護
(
ほご
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
125
北光神
『
眷族
(
けんぞく
)
共
(
ども
)
を
数多
(
あまた
)
従
(
したが
)
へさせますれば
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ。
126
併
(
しか
)
しながら
狼
(
おほかみ
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
屋外
(
をくぐわい
)
の
守護
(
しゆご
)
にはなりますが、
127
屋内
(
をくない
)
へ
這入
(
はい
)
れば
少
(
すこ
)
しも
働
(
はたら
)
きの
出来
(
でき
)
ない
奴
(
やつ
)
ですから、
128
どうぞ
気
(
き
)
をつけて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
129
貴女
(
あなた
)
は
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て、
130
竜雲
(
りううん
)
を
始
(
はじ
)
め、
131
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
にキツト
会
(
あ
)
ふでせう。
132
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
が
待
(
ま
)
つてゐたと
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
133
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
目
(
め
)
を
丸
(
まる
)
くし、
134
黄金姫
『ナニ
竜雲
(
りううん
)
と
仰有
(
おつしや
)
るのは、
135
セイロン
島
(
たう
)
に
於
(
おい
)
て
謀叛
(
むほん
)
を
企
(
たく
)
んだ
妖僧
(
えうそう
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬか』
136
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
ニツコと
笑
(
わら
)
ひ、
137
北光神
『
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
る。
138
如何
(
いか
)
に
悪人
(
あくにん
)
なればとて
改心
(
かいしん
)
した
上
(
うへ
)
は
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御子
(
みこ
)
。
139
今
(
いま
)
は
修行
(
しゆぎやう
)
の
為
(
ため
)
、
140
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
を
巡礼
(
じゆんれい
)
させてありますが、
141
時々
(
ときどき
)
狼
(
おほかみ
)
の
眷族
(
けんぞく
)
をさし
遣
(
つか
)
はし、
142
竜雲
(
りううん
)
を
守
(
まも
)
らせ、
143
又
(
また
)
竜雲
(
りううん
)
より
絶
(
た
)
えず
手紙
(
てがみ
)
を
眷族
(
けんぞく
)
に
持
(
も
)
たせて
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
ます。
144
実
(
じつ
)
に
狼
(
おほかみ
)
と
雖
(
いへど
)
も、
145
なづいたら
重宝
(
ちようほう
)
なものですよ。
146
アハヽヽヽ』
147
黄金姫
『
丁度
(
ちやうど
)
吾々
(
われわれ
)
母娘
(
おやこ
)
のやうなものですなア。
148
私
(
わたし
)
も
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
といつた
頃
(
ころ
)
は、
149
随分
(
ずゐぶん
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
に
敵対
(
てきた
)
ひ、
150
黄金
(
わうごん
)
の
玉
(
たま
)
を
盗
(
ぬす
)
みなどして、
151
悪
(
あく
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
して
来
(
き
)
ましたが、
152
改心
(
かいしん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
153
かやうな
尊
(
たふと
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
に
採用
(
さいよう
)
されましたのですから、
154
実
(
じつ
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
仁慈
(
じんじ
)
は、
155
言葉
(
ことば
)
に
尽
(
つく
)
すことが
出来
(
でき
)
ませぬ』
156
と
声
(
こゑ
)
まで
曇
(
くも
)
らせてホロリと
涙
(
なみだ
)
を
落
(
おと
)
し、
157
さし
俯
(
うつ
)
むく。
158
清照姫
『
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
159
どうぞ
清照
(
きよてる
)
も
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
をして
下
(
くだ
)
さいませや。
160
キツト
御
(
ご
)
使命
(
しめい
)
は
果
(
はた
)
しますから。
161
竹野姫
(
たけのひめ
)
様
(
さま
)
、
162
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
163
竹野姫
『
何
(
なん
)
と
凛々
(
りり
)
しい
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
姿
(
すがた
)
、
164
どうぞ
男
(
をとこ
)
の
難
(
なん
)
に
会
(
あ
)
はないやうに
気
(
き
)
をつけて
下
(
くだ
)
さいませ。
165
貴女
(
あなた
)
も
一度
(
いちど
)
御
(
ご
)
経験
(
けいけん
)
が
御
(
お
)
有
(
あ
)
りなさるのですからなア』
166
清照姫
(
きよてるひめ
)
は
少
(
すこ
)
しく
頬
(
ほほ
)
を
赤
(
あか
)
らめて
差俯
(
さしうつ
)
むくしほらしさ。
167
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
は
母娘
(
おやこ
)
の
首途
(
かどで
)
を
祝
(
しゆく
)
すべく、
168
音吐
(
おんと
)
朗々
(
らうらう
)
として
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
むる。
169
北光神
『
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
も
高照
(
たかてる
)
の
170
山奥
(
やまおく
)
深
(
ふか
)
く
築
(
きづ
)
かれし
171
狼
(
おほかみ
)
達
(
たち
)
の
岩窟
(
いはやど
)
に
172
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
173
北光彦
(
きたてるひこ
)
や
竹野姫
(
たけのひめ
)
174
黄金姫
(
わうごんひめ
)
や
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
175
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
首途
(
かどいで
)
を
176
祝
(
しゆく
)
して
清
(
きよ
)
き
宣伝歌
(
せんでんか
)
177
謹
(
つつし
)
み
敬
(
いやま
)
ひ
宣
(
の
)
べ
立
(
た
)
つる
178
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
179
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
180
イルナの
都
(
みやこ
)
に
立向
(
たちむか
)
ふ
181
秋
(
あき
)
の
草野
(
くさの
)
の
色
(
いろ
)
深
(
ふか
)
き
182
黄金姫
(
わうごんひめ
)
や
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
183
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
御使
(
みつかひ
)
に
184
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
185
大御力
(
おほみちから
)
を
授
(
さづ
)
けまし
186
眷族
(
けんぞく
)
共
(
ども
)
に
守
(
まも
)
らせて
187
セーラン
王
(
わう
)
の
館
(
やかた
)
へと
188
遣
(
つか
)
はし
奉
(
まつ
)
る
勇
(
いさ
)
ましさ
189
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
190
天
(
あめ
)
の
目一
(
まひと
)
つ
神司
(
かむつかさ
)
191
竹野
(
たけの
)
の
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
192
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ
193
イルナの
都
(
みやこ
)
の
曲神
(
まがかみ
)
を
194
言向和
(
ことむけやは
)
す
出陣
(
しゆつぢん
)
を
195
神
(
かみ
)
に
代
(
かは
)
りて
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
ふ
196
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
197
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
198
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
199
魔神
(
まがみ
)
はいかに
荒
(
すさ
)
ぶとも
200
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
守
(
まも
)
ります
201
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
202
恐
(
おそ
)
るることは
更
(
さら
)
になし
203
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
204
右守司
(
うもりつかさ
)
のカールチン
205
それに
従
(
したが
)
ふ
曲神
(
まがかみ
)
は
206
いかに
沢山
(
さはやま
)
あるとても
207
生言霊
(
いくことたま
)
の
神力
(
しんりき
)
に
208
言向和
(
ことむけやは
)
し
三五
(
あななひ
)
の
209
教
(
をしへ
)
にまつろへ
和
(
やは
)
すこと
210
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
るよりも
明
(
あきら
)
けし
211
さはさりながらバラモンの
212
大黒主
(
おほくろぬし
)
は
名
(
な
)
にし
負
(
お
)
ふ
213
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
214
下
(
くだ
)
り
果
(
は
)
てたる
霊
(
たま
)
なれば
215
いかに
尊
(
たふと
)
き
神力
(
しんりき
)
も
216
容易
(
ようい
)
に
亡
(
ほろ
)
ぼす
術
(
すべ
)
もなし
217
心
(
こころ
)
ひそめて
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ち
218
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
自
(
みづか
)
ら
弱
(
よわ
)
りはて
219
悔悟
(
くわいご
)
の
念
(
ねん
)
の
起
(
おこ
)
るまで
220
ひそかに
事
(
こと
)
を
計
(
はか
)
るべし
221
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
にセーランの
222
王
(
わう
)
をば
救
(
すく
)
ひ
一族
(
いちぞく
)
を
223
助
(
たす
)
けてこれの
岩窟
(
いはやど
)
に
224
深
(
ふか
)
くかくした
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で
225
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
226
生言霊
(
いくことたま
)
に
悉
(
ことごと
)
く
227
言向和
(
ことむけやは
)
し、さもなくば
228
海
(
うみ
)
の
彼方
(
あなた
)
に
追
(
お
)
ひちらし
229
三五教
(
あななひけう
)
の
神力
(
しんりき
)
を
230
時節
(
じせつ
)
をまつて
照
(
て
)
らすべし
231
時
(
とき
)
の
力
(
ちから
)
は
天地
(
あめつち
)
を
232
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひし
大神
(
おほかみ
)
も
233
左右
(
さいう
)
し
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
ならず
234
ここの
道理
(
だうり
)
を
聞
(
き
)
き
分
(
わ
)
けて
235
慌
(
あわ
)
てず
騒
(
さわ
)
がず
悠々
(
いういう
)
と
236
時節
(
じせつ
)
を
待
(
ま
)
つて
曲神
(
まがかみ
)
を
237
言向
(
ことむ
)
け
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
238
神
(
かみ
)
に
代
(
かは
)
りて
北光
(
きたてる
)
の
239
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
が
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
ふ
240
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
241
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
242
竹野姫
(
たけのひめ
)
は
又
(
また
)
黄金姫
(
わうごんひめ
)
母娘
(
おやこ
)
の
首途
(
かどで
)
を
祝
(
しゆく
)
し、
243
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
244
竹野姫
『
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
が
妻司
(
つまがみ
)
と
245
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひし
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
246
心
(
こころ
)
の
暗
(
やみ
)
の
戸
(
と
)
押
(
お
)
し
開
(
ひら
)
き
247
真如
(
しんによ
)
の
月
(
つき
)
の
御光
(
みひかり
)
に
248
照
(
て
)
らされ
給
(
たま
)
ひ
三五
(
あななひ
)
の
249
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
と
進
(
すす
)
みまし
250
名
(
な
)
さへ
目出度
(
めでた
)
き
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
251
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
と
言
(
こと
)
あげし
252
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
と
現
(
あら
)
はれて
253
竜宮島
(
りうぐうじま
)
に
時
(
とき
)
めきし
254
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
も
今
(
いま
)
は
早
(
はや
)
255
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
256
清照姫
(
きよてるひめ
)
となり
給
(
たま
)
ふ
257
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
はひて
258
曲
(
まが
)
は
忽
(
たちま
)
ち
善
(
ぜん
)
となり
259
曇
(
くもり
)
は
晴
(
は
)
れて
大空
(
おほぞら
)
の
260
青
(
あを
)
きが
如
(
ごと
)
く すくすくと
261
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
ませ
給
(
たま
)
ひつつ
262
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
263
御言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
264
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
に
身
(
み
)
をかため
265
心
(
こころ
)
も
軽
(
かる
)
き
蓑笠
(
みのかさ
)
の
266
そのいでたちの
勇
(
いさ
)
ましさ
267
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
三五
(
あななひ
)
の
268
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
269
魔司
(
まがみ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
善
(
ぜん
)
となり
270
鬼
(
おに
)
は
仏
(
ほとけ
)
となり
変
(
かは
)
り
271
狼
(
おほかみ
)
さへも
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
272
いと
従順
(
じうじゆん
)
になりをへぬ
273
黄金姫
(
わうごんひめ
)
よ
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
274
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
よ
汝
(
なれ
)
は
今
(
いま
)
275
イルナの
都
(
みやこ
)
に
到
(
いた
)
りなば
276
我情
(
がじやう
)
我慢
(
がまん
)
の
雲
(
くも
)
を
去
(
さ
)
り
277
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
278
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
に
神
(
かむ
)
ならひ
279
あくまで
争
(
あらそ
)
ひ
競
(
きそ
)
ふなく
280
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
を
発揮
(
はつき
)
して
281
四方
(
よも
)
にさやれる
曲司
(
まがかみ
)
を
282
善
(
ぜん
)
に
導
(
みちび
)
き
救
(
すく
)
ひませ
283
何程
(
なにほど
)
知識
(
ちしき
)
はさとくとも
284
意念
(
いねん
)
はいかに
強
(
つよ
)
くとも
285
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
を
助
(
たす
)
くるは
286
慈悲
(
じひ
)
の
心
(
こころ
)
に
及
(
およ
)
ぶまじ
287
慈悲
(
じひ
)
博愛
(
はくあい
)
を
禽獣
(
きんじう
)
に
288
及
(
およ
)
ぼし
救
(
すく
)
ふ
神心
(
かみごころ
)
289
必
(
かなら
)
ず
忘
(
わす
)
れ
給
(
たま
)
ふまじ
290
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
291
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りて
竹野姫
(
たけのひめ
)
292
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
出陣
(
しゆつぢん
)
に
293
際
(
さい
)
して
忠告
(
ちうこく
)
仕
(
つかまつ
)
る
294
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
295
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
296
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
たち
八百万
(
やほよろづ
)
297
母娘
(
おやこ
)
二人
(
ふたり
)
の
成功
(
せいこう
)
を
298
指折
(
ゆびを
)
り
数
(
かぞ
)
へ
待
(
ま
)
ち
暮
(
く
)
らす
299
竹野
(
たけの
)
の
姫
(
ひめ
)
の
志
(
こころざし
)
300
心
(
こころ
)
に
深
(
ふか
)
く
刻
(
きざ
)
みつつ
301
とく
出
(
い
)
でませよ
神司
(
かむつかさ
)
302
成功
(
せいこう
)
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
303
と
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
り、
304
神殿
(
しんでん
)
の
神酒
(
みき
)
を
下
(
さ
)
げ
来
(
きた
)
りて、
305
母娘
(
おやこ
)
に
戴
(
いただ
)
かせ、
306
首途
(
かどで
)
を
送
(
おく
)
る。
307
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
簡単
(
かんたん
)
に
三十一
(
みそひと
)
文字
(
もじ
)
を
以
(
もつ
)
て
答礼
(
たふれい
)
に
代
(
か
)
ふ。
308
黄金姫
『
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
や
竹野姫
(
たけのひめ
)
309
その
宣言
(
のりごと
)
を
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
らむ。
310
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
心
(
こころ
)
のたけの
清
(
きよ
)
ければ
311
世
(
よ
)
に
恐
(
おそ
)
るべき
曲
(
まが
)
はあるらめ。
312
いざさらばこれより
進
(
すす
)
み
入那国
(
いるなくに
)
313
セーラン
王
(
わう
)
を
守
(
まも
)
り
助
(
たす
)
けむ』
314
清照
(
きよてる
)
『
二柱
(
ふたはしら
)
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
315
母娘
(
おやこ
)
は
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
みて
行
(
ゆ
)
かむ。
316
狼
(
おほかみ
)
の
御供
(
みとも
)
の
司
(
かみ
)
に
守
(
まも
)
られて
317
入那
(
いるな
)
の
国
(
くに
)
に
進
(
すす
)
む
嬉
(
うれ
)
しさ。
318
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
よいざさらば
319
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
へよ
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
日
(
ひ
)
を。
320
竹野姫
(
たけのひめ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
に
物
(
もの
)
申
(
まを
)
す
321
汝
(
な
)
が
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
をよく
守
(
まも
)
りませ』
322
竹野姫
(
たけのひめ
)
は
之
(
これ
)
に
答
(
こた
)
へて、
323
竹野姫
『
大神
(
おほかみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
も
空
(
そら
)
に
高照
(
たかてる
)
の
324
イルナに
進
(
すす
)
む
人
(
ひと
)
ぞ
尊
(
たふと
)
き。
325
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
は
生神
(
いきがみ
)
よ
326
今日
(
けふ
)
は
岩窟
(
いはや
)
に
明日
(
あす
)
は
入那
(
いるな
)
に』
327
黄金
(
わうごん
)
『いと
清
(
きよ
)
き
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
328
われは
進
(
すす
)
みて
都
(
みやこ
)
に
上
(
のぼ
)
らむ。
329
いざさらば
二柱
(
ふたはしら
)
ともまめやかに
330
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
に
仕
(
つか
)
へ
給
(
たま
)
はれ』
331
かく
歌
(
うた
)
ひ、
332
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて
再
(
ふたた
)
び
身
(
み
)
づくろひをなし、
333
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
334
清照姫
(
きよてるひめ
)
は
狼
(
おほかみ
)
に
送
(
おく
)
られ、
335
急坂
(
きふはん
)
を
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
下
(
くだ
)
り、
336
山口
(
やまぐち
)
に
出
(
い
)
で、
337
再
(
ふたた
)
び
元来
(
もとき
)
し
道
(
みち
)
に
引返
(
ひつかへ
)
し、
338
照山峠
(
てるやまたうげ
)
を
越
(
こ
)
えて
入那
(
いるな
)
の
都
(
みやこ
)
に
進
(
すす
)
むこととはなりぬ。
339
(
大正一一・一一・一一
旧九・二三
松村真澄
録)
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