霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 長舌(ちやうぜつ)〔一一二五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第4篇 神出鬼没 よみ(新仮名遣い):しんしゅつきぼつ
章:第21章 長舌 よみ(新仮名遣い):ちょうぜつ 通し章番号:1125
口述日:1922(大正11)年11月12日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
カールチンは一人館の中で王の位についたら何から着手しようかと都合のよい考えにふけっていた。そこへユーフテスがあわただしく入ってきて、ヤスダラ姫がカールチンに恋をしてしまい、妹を通じて自分に面会を求めてきたと報告にした。
カールチンは真に受けて有頂天になり、ユーフテスについて城内を指していく。ユーフテスは舌を出しながらカールチンを先導する。
ユーフテスは高い石につまづいて倒れ、舌を噛んでしまい血を吐いて倒れてしまった。カールチンはヤスダラ姫のことで有頂天になり、ユーフテスが人事不省になっているのも気づかずに進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-17 00:08:57 文字数:2308 OBC :rm4121
愛善世界社版:288頁 八幡書店版:第7輯 636頁 修補版: 校定版:301頁 普及版:137頁 初版: ページ備考:
001 右守司(うもりつかさ)のカールチンは唯(ただ)一人(ひとり)奥(おく)の間(ま)に端坐(たんざ)して、002やがて二カ月(にかげつ)の末(すゑ)には日頃(ひごろ)の願望(ぐわんばう)成就(じやうじゆ)し、003刹帝利(せつていり)の地位(ちゐ)に進(すす)むだらう、004さうすれば城内(じやうない)の大改革(だいかいかく)を施(ほどこ)さねばなるまい。005先(ま)ず第一(だいいち)着手(ちやくしゆ)として何(なに)から始(はじ)めようかなどと、006猿猴(ゑんこう)が水(みづ)の月(つき)を掴(つか)むやうな虫(むし)のよい考(かんが)へに耽(ふけ)つて居(ゐ)た。007其処(そこ)へユーフテスは慌(あわただ)しく入(い)り来(きた)り、
008ユーフテス『モシモシ旦那(だんな)様(さま)、009お喜(よろこ)びなされませ。010イヒヽヽヽヽ、011お目出度(めでた)う御座(ござ)います。012貴方(あなた)は本当(ほんたう)に偉(えら)い方(かた)ですなア、013偉大(ゐだい)の人格者(じんかくしや)ですよ。014ヤスダラ姫(ひめ)様(さま)が此(この)間(あひだ)貴方(あなた)のお顔(かほ)を一寸(ちよつと)拝(をが)み遊(あそ)ばしてから、015俄(にはか)に病気(びやうき)になられましてブラブラとして居(を)られます。016何卒(どうぞ)一遍(いつぺん)見舞(みまひ)に往(い)つてあげて下(くだ)さいませな。017ドクトル・オブ・メヂチーネでもイルナの湯(ゆ)でも、018どうしてもかうしても治癒(なほ)らないと云(い)ふ御(ご)病気(びやうき)になられまして、019朝(あさ)から晩(ばん)までウンウンと唸(うな)り通(とほ)し、020それはそれは気(き)の毒(どく)で目(め)を開(あ)けて見(み)ては居(を)られませぬ。021そこでセーリス姫(ひめ)様(さま)が大変(たいへん)御(ご)心配(しんぱい)遊(あそ)ばして、022其(その)病源(びやうげん)をお探(さぐ)り遊(あそ)ばしたところ、023ヤスダラ姫(ひめ)様(さま)は、024エヽヽヽヽと細(ほそ)い細(ほそ)い柳(やなぎ)の葉(は)の様(やう)な目(め)をして「妾(わたし)の病(やまひ)は気(き)の病(やまひ)だ、025ウヽヽモヽヽリヽヽ』と云(い)つて俯(うつ)むいて後(あと)は何(なに)も仰有(おつしや)いませぬ。026そこで呑(の)み込(こ)みのよいセーリス姫(ひめ)様(さま)が「ハヽアこれは右守(うもり)さまにホの字(じ)とレの字(じ)だな。027これは到底(たうてい)旦那(だんな)様(さま)のお顔(かほ)を見(み)せねば本復(ほんぷく)は出来(でき)まい」とちやんと心(こころ)の中(なか)で裁判(さいばん)して、028ヤスダラ姫(ひめ)様(さま)に向(むか)ひ言葉(ことば)淑(しと)やかに「モシ姉上(あねうへ)様(さま)、029何(なに)か心(こころ)に秘密(ひみつ)があるのでせう。030妹(いもうと)の私(わたし)に云(い)はれない事(こと)はありますまいから、031仰有(おつしや)つて下(くだ)さいませ。032どんな事(こと)でも姉様(ねえさま)の事(こと)なら御用(ごよう)を承(うけたま)はりませう」と鶯(うぐひす)か鈴虫(すずむし)のやうな声(こゑ)で尋(たづ)ねられた処(ところ)、033ヤスダラ姫(ひめ)様(さま)はやうやう涙(なみだ)の顔(かほ)を上(あ)げ「あゝ妹(いもうと)、034よう親切(しんせつ)に尋(たづ)ねて下(くだ)さつた。035お前(まへ)の心(こころ)は嬉(うれ)しいが、036余(あま)り恥(はづ)かしうて口籠(くちごも)り何(なに)も云(い)へませぬ。037もう私(わたくし)は生(い)きて此(この)世(よ)に望(のぞ)みのない身(み)の上(うへ)だから、038潔(いさぎよ)う死(し)にます」と、039とつけもない事(こと)を仰有(おつしや)るのでセーリス姫(ひめ)様(さま)は益々(ますます)御(ご)心配(しんぱい)なされ、040いろいろと手(て)を変(か)へ品(しな)を替(か)へ探(さぐ)つて見(み)なされた処(ところ)、041姉計(あねはか)らむや妹計(いもうとはか)らむや、042立派(りつぱ)な奥様(おくさま)のある旦那(だんな)様(さま)に恋慕(れんぼ)して厶(ござ)ると云(い)ふ事(こと)がハツキリと分(わか)りました。043エヘヽヽヽ、044お目出度(めでた)う厶(ござ)います。045お浦山吹(うらやまぶき)で厶(ござ)いますわい』
046 カールチンは忽(たちま)ち目(め)を細(ほそ)うし涎(よだれ)をくりながら、
047カールチン『ウツフン、048そんな事(こと)があつたら、049それこそ天地(てんち)がひつくり返(かへ)るぢやないか。050若(わか)い者(もの)なら兎(と)も角(かく)も、051こんな年寄(としよ)つた五十(ごじふ)男(をとこ)にそんな事(こと)がありやうがないぢやないか。052腹(はら)の悪(わる)い、053そんなに人(ひと)を煽(おだ)てるものぢやないわ』
054ユーフテス『イエイエ決(けつ)して決(けつ)して旦那(だんな)様(さま)にそんな嘘(うそ)を申上(まをしあ)げて済(す)みますか。055恋(こひ)と云(い)ふものは老若(らうにやく)上下(じやうげ)の区別(くべつ)はありませぬ。056又(また)女(をんな)と云(い)ふものは虚栄心(きよえいしん)の強(つよ)いもので厶(ござ)いますから、057旦那(だんな)様(さま)がやがて刹帝利(せつていり)におなり遊(あそ)ばすのを聞(き)いて益々(ますます)恋(こひ)が募(つの)つたものと見(み)えます。058併(しか)し乍(なが)ら、059貴方(あなた)様(さま)には立派(りつぱ)な奥様(おくさま)がおありなさるのですから、060そんな事(こと)を云(い)うては済(す)まないと、061セーリス姫(ひめ)様(さま)が懇々(こんこん)と説諭(せつゆ)をなさつたさうですけれど、062ヤスダラ姫(ひめ)様(さま)はどうしてもお聞(き)き遊(あそ)ばさず「此(この)恋(こひ)が叶(かな)はねば淵川(ふちかは)に身(み)を投(な)げて死(し)ぬから後(あと)の弔(とむら)ひを頼(たの)むぞや」と、063それはそれはエライ御(ご)決心(けつしん)、064どうにもかうにも、065手(て)に合(あ)ひませぬ。066どうぞ一度(いちど)姫(ひめ)様(さま)の館(やかた)へ、067助(たす)けると思(おも)うて奥様(おくさま)へ内証(ないしよう)で行(い)つて上(あ)げて下(くだ)さいませ。068さうして貴方(あなた)から篤(とつ)くりと説諭(せつゆ)して下(くだ)さいましたら、069恋(こひ)の夢(ゆめ)も醒(さ)めるでせう』
070 カールチンは目(め)を細(ほそ)くしながら、
071カールチン『何(なん)と困(こま)つた事(こと)が出来(でき)たものだなア。072どれどれそれなら是(これ)からヤスダラ姫(ひめ)に会(あ)ひ、073篤(とつ)くり道理(だうり)を説(と)き聞(き)かし思(おも)ひ切(き)らしてやらう』
074といそいそとして座(ざ)を立(た)つ。075ユーフテスは後(うしろ)を向(む)いて舌(した)を出(だ)し、076再(ふたた)び向(む)き直(なほ)つて顔(かほ)を元(もと)の如(ごと)くキチンと整理(せいり)し、
077ユーフテス『色男(いろをとこ)様(さま)、078オツトドツコイ、079大切(たいせつ)な旦那(だんな)様(さま)、080左様(さやう)ならばユーフテスがお供(とも)致(いた)しませう。081万々一(まんまんいち)情約(じやうやく)締契(ていけい)が調(ととの)ふやうな事(こと)が厶(ござ)いましたら、082貴方(あなた)は私(わたし)の相婿(あひむこ)のお兄(にい)様(さま)、083なるべくお兄(にい)様(さま)と云(い)はれるやうになつて貰(もら)ひたいものですな。084エヘヽヽヽヽ』
085カールチン『ユーフテス、086矢釜(やかま)しいぞ、087女房(にようばう)に悟(さと)られちや大変(たいへん)だからなア』
088ユーフテス『奥様(おくさま)に気兼(きがね)なさる処(ところ)を見(み)ると矢張(やはり)ちつとは脈(みやく)がありますなア。089イヤお目出度(めでた)う、090お祝(いは)ひ申(まを)します』
091 カールチンは押(おさ)へ切(き)れぬやうな嬉(うれ)しさうな顔(かほ)を晒(さら)しつつ、
092カールチン『オイ、093ユーフテス、094しようもない事(こと)を云(い)ふものでないぞ。095エヘヽヽヽヽ』
096と思(おも)はず知(し)らず笑(ゑみ)をこぼし城内(じやうない)指(さ)して進(すす)み行(ゆ)く。097ユーフテスも後(あと)に従(したが)ひ、098舌(した)を出(だ)しながら跟(つ)いて行(ゆ)く。099カールチンはフト走(はし)りながら後(あと)を見(み)ると、100ユーフテスが長(なが)い舌(した)を出(だ)して頤(あご)をシヤクつて走(はし)つて来(く)るのが目(め)についた。
101カールチン『こりや、102ユーフテス、103何(なん)だ長(なが)い舌(した)を出(だ)して人(ひと)を馬鹿(ばか)にするない』
104ユーフテス『余(あま)りお目出度(めでた)いので、105きつと結婚(けつこん)の時(とき)にはどつさり御(ご)馳走(ちそう)をして下(くだ)さると思(おも)ひ、106今(いま)から舌(した)なめずりをしたので厶(ござ)います。107これは誠(まこと)に失敬(しつけい)しました、108エヘヽヽヽヽ』
109カールチン『こりや こりやユーフテス、110先(さき)へ往(ゆ)け、111貴様(きさま)が後(あと)から来(く)ると何(なん)だか小忙(こぜは)しくつて仕方(しかた)がないわい』
112 ユーフテスは、
113ユーフテス『それなら旦那(だんな)様(さま)、114お先(さき)に御免(ごめん)蒙(かうむ)ります』
115と云(い)ふより早(はや)く先(さき)に立(た)ち、116もうかうなつちや後(あと)に目鼻(めはな)はついて居(ゐ)ない、117何程(なにほど)舌(した)を出(だ)したつて見(み)とがめらるる心配(しんぱい)はないと、118力(ちから)一杯(いつぱい)長(なが)い舌(した)を出(だ)し頤(あご)をしやくりながら、119とんとんとんと駆(か)け出(だ)す途端(とたん)、120高(たか)い石(いし)につまづいてバタリと倒(たふ)れる機(はづみ)に舌(した)を噛(か)み、121ウンと其(その)場(ば)に血(ち)を吐(は)いて打(う)ち倒(たふ)れた。122カールチンはヤスダラ姫(ひめ)の事(こと)のみに現(うつつ)になつて、123ユーフテスの舌(した)を噛(か)んで倒(たふ)れて居(ゐ)るのに気(き)がつかず、124其(その)体(からだ)に躓(つまづ)いて三間(さんげん)ばかり前(まへ)の方(はう)にドスンと打(う)ち倒(たふ)れ「アイタヽヽヽ」と膝頭(ひざがしら)を撫(な)でながら、125まだ気(き)がつかず、
126カールチン『ユーフテスの奴(やつ)何(なん)だ、127俺(おれ)が倒(たふ)れて居(ゐ)るのも知(し)らずに、128主人(しゆじん)を後(あと)にして雲(くも)を霞(かすみ)と何処(どこ)かへ行(ゆ)きやがつた。129何(なん)と脚(あし)の早(はや)い奴(やつ)ぢやなア』
130と呟(つぶや)きながら、131とんとんとんと道端(みちばた)のイトドやキリギリスを驚(おどろ)かせて城内(じやうない)指(さ)して一目散(いちもくさん)に走(はし)り行(ゆ)く。
132(大正一一・一一・一二 旧九・二四 加藤明子録)
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