霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 誘惑(いうわく)〔一一二四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第4篇 神出鬼没 よみ(新仮名遣い):しんしゅつきぼつ
章:第20章 誘惑 よみ(新仮名遣い):ゆうわく 通し章番号:1124
口述日:1922(大正11)年11月12日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ユーフテスはただちにセーリス姫に、大黒主からの援軍が五百騎やってくることを注進した。黄金姫、清照姫、セーリス姫の三人の密談により、ヤスダラ姫に化けた清照姫が右守と会談し、その五百騎を食い止める算段をすることになった。
ユーフテスは策を授けられ、右守の館に帰っていく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-17 00:07:35 OBC :rm4120
愛善世界社版:281頁 八幡書店版:第7輯 634頁 修補版: 校定版:294頁 普及版:134頁 初版: ページ備考:
001 セーリス(ひめ)はイルナ(じやう)(わが)居間(ゐま)一弦琴(いちげんきん)(だん)じて()た。
002セーリス姫(あめ)(つち)とを(つく)らしし
003国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)
004(もも)(かみ)(たち)人々(ひとびと)
005(まこと)(おや)にましまして
006仁慈(じんじ)無限(むげん)神徳(しんとく)
007(あまね)(くだ)(たま)ふなり
008イルナの(しろ)()(つき)
009八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
010曲鬼(まがおに)(ども)(はびこ)りて
011首陀(しゆだ)(せい)より(うま)れたる
012右守司(うもりつかさ)のカールチン
013鰻登(うなぎのぼ)りに(のぼ)りつめ
014(おご)(たか)ぶり(いま)ははや
015セーラン(わう)御位(みくらゐ)
016(ねら)()るこそうたてけれ
017イルナの(しろ)風前(ふうぜん)
018(いま)灯火(ともしび)となりし(とき)
019(すく)ひの(かみ)()れまして
020(かたむ)(しろ)立直(たてなほ)
021セーラン(わう)()(うへ)
022(やす)(まも)らせたまひつつ
023魔神(まがみ)頭上(づじやう)鉄鎚(てつつゐ)
024(くだ)させ(たま)(とき)()
025あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
026ヤスダラ(ひめ)(いもうと)
027(うま)れあひたる(われ)こそは
028イルナの(しろ)太柱(ふとばしら)
029非道(ひだう)(こと)とは()りながら
030魔神(まがみ)(したが)ふユーフテス
031言葉(ことば)(さき)(あやつ)りつ
032醜神(しこがみ)(ども)(たく)らみを
033()れなく()ちなく(さぐ)らせつ
034(かみ)(おん)(ため)(きみ)(ため)
035世人(よびと)のために村肝(むらきも)
036(こころ)(いた)むる(くる)しさよ
037さはさりながら天地(あめつち)
038(かみ)(われ)()真心(まごころ)
039(きよ)(おん)()(みそな)はし
040(かなら)(ゆる)したまふべし
041(いつは)られたるユーフテス
042(かれ)(こころ)(あは)れさを
043(わらは)()らぬにあらねども
044大事(だいじ)(まへ)一小事(いちせうじ)
045セーラン(わう)(みことのり)
046(そむ)かむ(よし)もないぢやくり
047(なみだ)()みて荒男(あらをとこ)
048(あやつ)(きた)(くる)しさよ
049あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
050(かみ)(おもて)(あら)はれて
051善神(ぜんしん)邪神(じやしん)()けたまふ
052(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
053(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
054(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
055直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
056()(あやま)ちは()(なほ)
057(たふと)(かみ)(おん)(をしへ)
058セーリス(ひめ)心根(こころね)
059(あは)れみ(たま)ひて逸早(いちはや)
060セーラン(わう)()(うへ)
061(まも)らせたまへ惟神(かむながら)
062(この)()(つく)りし大神(おほかみ)
063御前(みまへ)(かしこ)()ぎまつる
064御前(みまへ)(つつ)しみ()ぎまつる』
065(うた)(をは)り、066合掌(がつしやう)して(こゑ)(しづか)に「国治立(くにはるたちの)(みこと)067(まも)(たま)幸倍(さちはへ)たまへ」と(いの)(をり)しも、068足音(あしおと)(しの)ばせながら()(きた)るはユーフテスである。069セーリス(ひめ)はユーフテスの(あわただ)しく()(きた)りしを()て、070言葉(ことば)(せは)しく、
071セーリス姫『ヤア其方(そなた)はなつかしきユーフテス殿(どの)072(なに)(かは)つた(こと)(ござ)いますかなア』
073ユーフテス『ハイ、074(にはか)申上(まをしあ)げたき(こと)があつて右守(うもり)(かみ)(まへ)をつくろひ(まゐ)りました。075いよいよ大黒主(おほくろぬし)(かみ)五百騎(ごひやくき)軍隊(ぐんたい)派遣(はけん)し、076右守(うもり)(ちから)(あは)せ、077セーラン(わう)(さま)退隠(たいいん)させむとの計略(けいりやく)(ととの)ひました。078(なん)とか用意(ようい)(いた)さねばなりますまい』
079セーリス姫(その)軍隊(ぐんたい)何時(いつ)(ごろ)此処(ここ)()()せて(まゐ)りますか、080(わか)つて()りませうなア』
081ユーフテス『あまり(なが)くはありますまい。082カルマタ(こく)派遣(はけん)された大足別(おほだるわけ)(ところ)(まゐ)使者(ししや)()きがけに大黒主(おほくろぬし)(さま)信書(しんしよ)(たづさ)へ、083右守(うもり)(やかた)(はふ)()んで(まゐ)りました。084右守(うもり)もやや安心(あんしん)して、085もはや軍隊(ぐんたい)必要(ひつえう)がないから、086(ことわ)(まを)さうかと(まで)()つて()ました(ところ)へ、087五百騎(ごひやくき)応援軍(おうゑんぐん)(おく)るとの書面(しよめん)(いただ)き、088(にはか)鼻息(はないき)(あら)くなつて(まゐ)りました。089それ(ゆゑ)()るものも()りあへず貴女(あなた)(まで)報告(はうこく)にやつて()ました』
090 セーリス(ひめ)平然(へいぜん)として(ちつと)(さわ)がず微笑(びせう)(うか)べながら、
091セーリス姫『それは段々(だんだん)面白(おもしろ)くなつて()ましたなア。092どちらになつても、093(わたし)貴方(あなた)結婚(けつこん)さへ都合(つがふ)よく出来(でき)れば()いぢやありませぬか。094オホヽヽヽ』
095ユーフテス『そりやさうですが、096矢張(やつぱり)セーラン(わう)(さま)()()まれなさつては貴女(あなた)だつてあまり都合(つがふ)はよくありますまい。097(したが)つて(わたし)だつて羽振(はぶ)りが()きませぬからなア』
098セーリス姫()(かく)黄金姫(わうごんひめ)(さま)(ひと)申上(まをしあ)げて()ますから、099貴方(あなた)此処(ここ)()つて()(くだ)さい』
100とツと()つて黄金姫(わうごんひめ)居間(ゐま)(すす)()り、101ユーフテスが報告(はうこく)顛末(てんまつ)(のこ)らず物語(ものがた)つた。102(ここ)黄金姫(わうごんひめ)清照姫(きよてるひめ)103セーリス(ひめ)(さん)(にん)鼎坐(ていざ)して、104ひそひそ対抗策(たいかうさく)()(あは)(こと)となつた。
105黄金姫(おも)ひの(ほか)大黒主(おほくろぬし)軍勢(ぐんぜい)106(はや)()()()るさうだが、107(なん)とかこれを阻止(そし)する(かんが)へはあるまいかなア。108清照姫(きよてるひめ)
109()ひつつ清照姫(きよてるひめ)(かほ)(のぞ)()む。110清照姫(きよてるひめ)微笑(びせう)しながら、
111清照姫『お(かあ)さま、112そりや(なん)でもない(こと)ですわ。113(わたし)(その)五百騎(ごひやくき)()()めて()ませうか』
114黄金姫『それは(まこと)結構(けつこう)だが、115其方(そなた)一人(ひとり)でどうして()()める(かんが)へですか』
116清照姫()(かく)右守(うもり)此処(ここ)()んで(くだ)さい。117さうして(わたし)右守(うもり)(ただ)二人(ふたり)118一室(いつしつ)()つて密談(みつだん)()げ、119うまく右守(うもり)より()()めさして()せませう』
120 黄金姫(わうごんひめ)(うなづ)きながら、
121黄金姫『ホヽヽヽヽ(きよ)さま、122(まへ)美貌(びばう)弁舌(べんぜつ)とを応用(おうよう)すれば(なん)(こと)もありますまい。123どうぞ(しつか)りやつて(くだ)さいや』
124清照姫三寸(さんずん)舌鋒(ぜつぽう)をもつて、125五百(ごひやく)軍隊(ぐんたい)一人(ひとり)(のこ)らず()()らすのも(また)愉快(ゆくわい)でせう、126オホヽヽヽ』
127 セーリス(ひめ)(よろこ)ばしげに、
128セーリス姫『それならこれからユーフテスに(めい)じ、129右守(うもり)当城(たうじやう)()()せませうか』
130清照(きよてる)『どうぞ(はや)く、131(その)手続(てつづ)きをして(くだ)さい』
132黄金姫『こんな(とき)にはお転婆娘(てんばむすめ)(また)必要(ひつえう)だ。133(きよ)さまも随分(ずゐぶん)こんな(こと)には経験(けいけん)がつんで()るからなア。134オホヽヽヽ』
135清照姫『お(かあ)さま、136(ひや)かして(くだ)さいますな。137(なん)(あき)だと()つても(あんま)りですわ』
138黄金姫『セーリス(ひめ)(さま)139何卒(どうぞ)(はや)(たの)みますよ』
140 セーリス(ひめ)は「アイ」と(こた)へて(この)()(さが)り、141(わが)居間(ゐま)()たせて()いたユーフテスの(みみ)(くち)()何事(なにごと)をか(ささや)いた。142ユーフテスは一切(いつさい)万事(ばんじ)()()(がほ)で、143セーリス(ひめ)居間(ゐま)()()(おもて)()で、144大地(だいち)をどんどん威喝(ゐかつ)させながら、145木々(きぎ)(こずゑ)(わた)木枯(こがらし)(かぜ)146遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく(ふえ)()いて(とほ)(しろ)馬場(ばば)尻引(しりひつ)からげ、147()()(ごと)右守(うもり)(やかた)をさして韋駄天(ゐだてん)(ばし)りに(すす)()く。
148大正一一・一一・一二 旧九・二四 加藤明子録)
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