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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第41巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 天空地平
第1章 入那の野辺
第2章 入那城
第3章 偽恋
第4章 右守館
第5章 急告
第6章 誤解
第7章 忍術使
第2篇 神機赫灼
第8章 無理往生
第9章 蓮の川辺
第10章 狼の岩窟
第11章 麓の邂逅
第12章 都入り
第3篇 北光神助
第13章 夜の駒
第14章 慈訓
第15章 難問題
第16章 三番叟
第4篇 神出鬼没
第17章 宵企み
第18章 替へ玉
第19章 当て飲み
第20章 誘惑
第21章 長舌
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第41巻(辰の巻)
> 第4篇 神出鬼没 > 第18章 替へ玉
<<< 宵企み
(B)
(N)
当て飲み >>>
第一八章
替
(
か
)
へ
玉
(
だま
)
〔一一二二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
篇:
第4篇 神出鬼没
よみ(新仮名遣い):
しんしゅつきぼつ
章:
第18章 替へ玉
よみ(新仮名遣い):
かえだま
通し章番号:
1122
口述日:
1922(大正11)年11月12日(旧09月24日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年6月15日
概要:
舞台:
イルナ城(入那城、セーラン王の館)
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
イルナ城の奥の間では、清照姫がヤスダラ姫への変装をしていた。黄金姫は、セーリス姫に三五教の教えの意味を説いて聞かせている。
その間に廊下に足音が聞こえてきた。黄金姫は王の間に姿を隠し、中から錠を下ろしてしまった。ヤスダラ姫に化けた清照姫とセーリス姫は、煙草盆を前に煙を吐いている。
やってきたのは、ユーフテスに先導されたカールチンとマンモスだった。清照姫は、ヤスダラ姫の声を作ってカールチンに声をかけた。
清照姫は、カールチンの妻テーナ姫がテルマン国にやってきて夫のシャールに讒言したことの怨みをぶちまけ、カールチンを非難した。そしてセーラン王との許嫁の仲を無理矢理割いたことについても非難し、怒鳴りつけた。
カールチンは怒って右守の権限でヤスダラ姫を捕縛しようとする。一方ヤスダラ姫(清照姫)は王の代行としてカールチンを捕縛せよと命令する。ユーフテス、マンモスは途方に暮れてしまう。
ヤスダラ姫(清照姫)は傲然として右守を威喝する。右守は怒ってヤスダラ姫(清照姫)をにらみつけている。そこへサマリー姫がやってきた。ヤスダラ姫(清照姫)は、これまでの怨みを晴らすはこのときと叫び、サマリー姫に襲い掛かろうとする。
右守は呼子を出して吹き、十数人の捕り手を呼び寄せたが、ヤスダラ姫(清照姫)は武者ぶりつく捕り手を振り払い、身構えして叱りつける。その権幕に捕り手たちも呆然として遠巻きにするのみであった。
黄金姫は、セーラン王の間から王のつくり声をして、一同に控えるように命じた。ヤスダラ姫(清照姫)はサマリー姫を離縁して自分を正妻にするようにとセーラン王(黄金姫)に頼み込んだ。
黄金姫はセーラン王の作り声で、バラモン教の大黒主にならって一夫多妻主義を取り、サマリー姫を正妻とし、ヤスダラ姫を第二夫人とすると言い渡した。そして右守に対し、改心すれば位を譲って自分は退位するつもりだから、自分の病気が回復したら改めて登城するようにと宣言した。
右守はこれを聞いて喜び勇み、マンモスとサマリー姫を連れて館に引き下がった。後に王の間から出てきた黄金姫は、清照姫、セーリス姫、ユーフテスらとともに笑い転げた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-16 14:18:50
OBC :
rm4118
愛善世界社版:
252頁
八幡書店版:
第7輯 623頁
修補版:
校定版:
264頁
普及版:
119頁
初版:
ページ備考:
001
イルナ
城
(
じやう
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
には
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
002
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
003
セーリス
姫
(
ひめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
首
(
くび
)
を
鳩
(
あつ
)
めて
姦
(
かしま
)
しく
喋々
(
てふてふ
)
喃々
(
なんなん
)
と
論戦
(
ろんせん
)
を
戦
(
たたか
)
はして
居
(
ゐ
)
る。
004
セーリス『あのまア、
005
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
のお
美
(
うつく
)
しい
事
(
こと
)
、
006
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
そつくりですわ。
007
ようまアお
顔
(
かほ
)
も
御覧
(
ごらん
)
になつたことがないのに、
008
それ
程
(
ほど
)
似
(
に
)
るやうに
造
(
つく
)
れましたねえ』
009
清照姫
『
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
でお
目
(
め
)
にかかつたのですよ。
010
其
(
その
)
時
(
とき
)
のお
顔
(
かほ
)
を
記憶
(
きおく
)
に
止
(
と
)
めて
居
(
ゐ
)
て
作
(
つく
)
つたのですから、
011
写真
(
しやしん
)
に
取
(
と
)
つたやうなものですわ。
012
何事
(
なにごと
)
も
新
(
あたら
)
しい
女
(
をんな
)
の
覇張
(
はば
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ですから、
013
清照姫
(
きよてるひめ
)
もどうやら
新
(
あたら
)
しいヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
になつて
仕舞
(
しま
)
ひました。
014
オホヽヽヽヽ』
015
セーリス姫
『
併
(
しか
)
し、
016
新
(
あたら
)
しい
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
建設
(
けんせつ
)
されるとか、
017
されたとか、
018
三五教
(
あななひけう
)
では
仰有
(
おつしや
)
るぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか』
019
黄金姫
(
わうごんひめ
)
はしたり
顔
(
がほ
)
にて
答
(
こた
)
ふ。
020
黄金姫
『
新
(
あたら
)
しき
天
(
てん
)
と
新
(
あたら
)
しき
地
(
ち
)
とが
今度
(
こんど
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
神力
(
しんりき
)
によつて
現
(
あら
)
はれるのですよ。
021
今迄
(
いままで
)
の
天
(
てん
)
と
今迄
(
いままで
)
の
地
(
ち
)
は
既
(
すで
)
に
過
(
す
)
ぎ
去
(
さ
)
つた
今日
(
こんにち
)
です。
022
是
(
これ
)
から
聖城
(
せいじやう
)
なる
新
(
あたら
)
しきヱルサレムが
地
(
ち
)
に
下
(
くだ
)
り、
023
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
が
降
(
くだ
)
り
給
(
たま
)
うて
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
も
亦
(
また
)
新
(
あたら
)
しく
生
(
い
)
き
返
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
時代
(
じだい
)
に
近
(
ちか
)
づいたのです。
024
ヱルサレムの
城
(
しろ
)
は
四方
(
しはう
)
になつて
居
(
ゐ
)
て
長
(
なが
)
さと
幅
(
はば
)
と
同一
(
どういつ
)
です。
025
木花姫
(
このはなひめの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
が
天教山
(
てんけうざん
)
より
出雲姫
(
いづもひめの
)
命
(
みこと
)
を
遣
(
つか
)
はし
給
(
たま
)
うて、
026
竿
(
さを
)
を
以
(
もつ
)
てエルサレムの
城
(
しろ
)
を
測量
(
そくりやう
)
させられた
所
(
ところ
)
が
一万
(
いちまん
)
二千
(
にせん
)
フアーロングあるといふことです。
027
城
(
しろ
)
の
長
(
なが
)
さも
広
(
ひろ
)
さも
高
(
たか
)
さも
皆
(
みな
)
相等
(
あひひと
)
しく、
028
其
(
その
)
石垣
(
いしがき
)
は
百
(
ひやく
)
四十四
(
しじふし
)
キユーピツトあつて、
029
碧玉
(
へきぎよく
)
にて
石垣
(
いしがき
)
を
築
(
きづ
)
き、
030
其
(
その
)
城
(
しろ
)
は
清
(
きよ
)
らかな
玻璃
(
はり
)
の
如
(
ごと
)
き
純金
(
じゆんきん
)
で
造
(
つく
)
り、
031
城
(
しろ
)
の
石垣
(
いしがき
)
の
礎
(
いしずゑ
)
は
各
(
かく
)
様々
(
さまざま
)
の
宝石
(
はうせき
)
で
飾
(
かざ
)
られてあります。
032
十二
(
じふに
)
の
門
(
もん
)
は
十二
(
じふに
)
の
真珠
(
しんじゆ
)
で
造
(
つく
)
られ、
033
透
(
す
)
き
徹
(
とほ
)
る
様
(
やう
)
な
黄金造
(
わうごんづく
)
りの
建物
(
たてもの
)
ばかりで
目
(
め
)
も
眩
(
まば
)
ゆきばかりであります』
034
セーリス
姫
(
ひめ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
035
セーリス姫
『
新
(
あたら
)
しい
天
(
てん
)
や
新
(
あたら
)
しい
地
(
ち
)
が
現
(
あら
)
はれるとはソリヤ
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
ぢやありませぬか。
036
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
も
爰
(
ここ
)
に
到
(
いた
)
つて
極
(
きは
)
まれりと
謂
(
い
)
ふべしですな』
037
黄金姫
『
新
(
あたら
)
しき
天地
(
てんち
)
とは
新
(
あたら
)
しき
教会
(
けうくわい
)
のことで、
038
要
(
えう
)
するに
埴安彦
(
はにやすひこ
)
、
039
埴安姫
(
はにやすひめ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
三五教
(
あななひけう
)
の
道場
(
だうぢやう
)
をお
開
(
ひら
)
き
遊
(
あそ
)
ばしたことを
指
(
さ
)
して
謂
(
い
)
ふのですワ』
040
セーリス姫
『
天
(
てん
)
より
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
るエルサレム
城
(
じやう
)
といふことは
全体
(
ぜんたい
)
何
(
なに
)
をいふのでせうか』
041
黄金姫
『
救世
(
きうせい
)
主神
(
しゆしん
)
埴安彦
(
はにやすひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
示
(
しめ
)
し
給
(
たま
)
ふ
所
(
ところ
)
の
天地
(
てんち
)
の
誠
(
まこと
)
、
042
三五教
(
あななひけう
)
の
教説
(
けうせつ
)
のことであります』
043
セーリス姫
『その
長
(
なが
)
さ
広
(
ひろ
)
さ
高
(
たか
)
さ
相
(
あひ
)
等
(
ひと
)
しくして
各
(
かく
)
一万
(
いちまん
)
二千
(
にせん
)
フアーロングあると
仰有
(
おつしや
)
つたのは、
044
如何
(
いか
)
なる
意味
(
いみ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
045
黄金姫
『
三五教
(
あななひけう
)
の
教説中
(
けうせつちう
)
の
真
(
しん
)
と
善
(
ぜん
)
と
美
(
び
)
とを
合一
(
がふいつ
)
して
言
(
い
)
つたのです。
046
又
(
また
)
城
(
しろ
)
の
石垣
(
いしがき
)
といふのは
此
(
この
)
教
(
をしへ
)
を
守護
(
しゆご
)
し
宣伝
(
せんでん
)
する
神司
(
かむつかさ
)
のことです。
047
百
(
ひやく
)
四十四
(
しじふし
)
キユーピツトあるとは
三五教
(
あななひけう
)
の
真
(
しん
)
と
善
(
ぜん
)
と
美
(
び
)
の
三相
(
さんさう
)
を
悉
(
ことごと
)
く
挙
(
あ
)
げて
称讃
(
しようさん
)
したもので、
048
宣伝使
(
せんでんし
)
たるものの
純良
(
じゆんりやう
)
なる
性相
(
せいさう
)
を
言
(
い
)
つたのです。
049
又
(
また
)
真珠
(
しんじゆ
)
より
成
(
な
)
つた
十二
(
じふに
)
の
門
(
もん
)
とは
能道
(
のうだう
)
の
真
(
しん
)
を
言
(
い
)
つたのです。
050
宝石
(
はうせき
)
より
成
(
な
)
れる
石垣
(
いしがき
)
の
礎
(
いしずゑ
)
といふのも
彼
(
かれ
)
の
説教
(
せつけう
)
を
聞
(
き
)
いて
立
(
た
)
つ
所
(
ところ
)
の
諸々
(
もろもろ
)
の
知識
(
ちしき
)
を
云
(
い
)
ふのであります。
051
城
(
しろ
)
を
造
(
つく
)
れる
清
(
きよ
)
く
透
(
とう
)
れる
玻璃
(
はり
)
に
似
(
に
)
たる
黄金
(
わうごん
)
とは
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
徳
(
とく
)
を
指
(
さ
)
して
言
(
い
)
つたのです。
052
教説
(
けうせつ
)
と
其
(
その
)
真
(
しん
)
と
善
(
ぜん
)
と
美
(
び
)
は
愛
(
あい
)
の
力
(
ちから
)
に
由
(
よ
)
つて
倍々
(
ますます
)
透明
(
とうめい
)
となるものですからなア』
053
セーリス姫
『さうすると「
天地
(
てんち
)
が
逆様
(
さかさま
)
になるぞよ」といふ
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
ご
)
神諭
(
しんゆ
)
も
矢張
(
やはり
)
右
(
みぎ
)
の
式
(
しき
)
で
解釈
(
かいしやく
)
すれば
宜
(
よ
)
いのですかなア』
054
黄金姫
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
や
幹部
(
かんぶ
)
の
中
(
なか
)
には
今
(
いま
)
でも
天
(
てん
)
と
地
(
ち
)
とが
現実
(
げんじつ
)
的
(
てき
)
に
顛覆
(
てんぷく
)
するやうに
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
る
人々
(
ひとびと
)
もあり、
055
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
の
霊地
(
れいち
)
に
真珠
(
しんじゆ
)
の
十二
(
じふに
)
の
門
(
もん
)
が
現実
(
げんじつ
)
的
(
てき
)
に
建
(
た
)
つ
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
る
人々
(
ひとびと
)
があるのだから、
056
それで
困
(
こま
)
るのですよ。
057
セーリス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
も
矢張
(
やつぱり
)
さう
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
られませうなア』
058
セーリス姫
『ヘイヘイ、
059
最
(
もつと
)
も
現実
(
げんじつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
宮
(
みや
)
が
建
(
た
)
つたり、
060
お
城
(
しろ
)
が
築造
(
ちくざう
)
されるものだと、
061
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたワ』
062
黄金姫
『
現実
(
げんじつ
)
的
(
てき
)
にソンナ
立派
(
りつぱ
)
な
宮
(
みや
)
を
建
(
た
)
てようものなら、
063
忽
(
たちま
)
ちウラルやバラモンから
睨
(
にら
)
まれて
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
されて
了
(
しま
)
ひますぞや。
064
オホヽヽヽ』
065
セーリス姫
『オホヽヽヽ』
066
清照姫
『
本当
(
ほんたう
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
といふものは
六ケ敷
(
むつかし
)
いもののやうな
易
(
やす
)
いものですなア。
067
何故
(
なぜ
)
コンナ
事
(
こと
)
が
肝腎
(
かんじん
)
の
幹部
(
かんぶ
)
の
連中
(
れんちう
)
さまに
解
(
わか
)
らなかつたのでせうかなア、
068
お
母
(
かあ
)
さま』
069
黄金姫
『
是
(
これ
)
も
時世
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
だから
仕方
(
しかた
)
がありませぬわ、
070
アーアー』
071
セーリス姫
『かうして、
072
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
のヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
出来上
(
できあが
)
りましたが、
073
右守
(
うもり
)
はもう
来
(
き
)
さうなものですなア。
074
ユーフテスも
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
るのでせうか』
075
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも
廊下
(
らうか
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
足音
(
あしおと
)
、
076
黄金姫
(
わうごんひめ
)
はツと
立
(
た
)
つて
王
(
わう
)
の
籠
(
こも
)
りし
室
(
しつ
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し、
077
中
(
なか
)
より
錠
(
ぢやう
)
を
下
(
おろ
)
して
了
(
しま
)
つた。
078
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
079
セーリス
姫
(
ひめ
)
は
煙草盆
(
たばこぼん
)
を
前
(
まへ
)
に
置
(
お
)
きスパスパと
煙
(
けむり
)
を
吐
(
は
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
080
そこへユーフテスの
案内
(
あんない
)
で
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
くやつて
来
(
き
)
たのは、
081
カールチン、
082
マンモスの
両人
(
りやうにん
)
である。
083
清照姫
(
きよてるひめ
)
は、
084
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
声
(
こゑ
)
を
一度
(
いちど
)
聞
(
き
)
き
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るのを
幸
(
さいは
)
ひ、
085
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
をして、
086
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『オヽ
其方
(
そなた
)
は
右守
(
うもり
)
の
司
(
つかさ
)
カールチン
殿
(
どの
)
、
087
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
重畳
(
ちようでふ
)
々々
(
ちようでふ
)
、
088
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
も
其方
(
そなた
)
の
壮健
(
さうけん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
したぞや』
089
カールチンは
周章
(
あわ
)
てて、
090
カールチン
『イヤ、
091
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
帰
(
かへ
)
りと
承
(
うけたま
)
はり
早速
(
さつそく
)
お
伺
(
うかが
)
ひに
参
(
まゐ
)
るところで
厶
(
ござ
)
いましたが、
092
あまり
突然
(
とつぜん
)
の
事
(
こと
)
で
信
(
しん
)
ずる
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
093
ユーフテスをして
実否
(
じつぴ
)
を
伺
(
うかが
)
はせました
処
(
ところ
)
、
094
正
(
まさ
)
しく
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
帰
(
かへ
)
りと
聞
(
き
)
き、
095
取
(
と
)
るものも
取敢
(
とりあ
)
へず
伺
(
うかが
)
ひました。
096
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
で
何
(
なに
)
よりお
目出度
(
めでた
)
う
厶
(
ござ
)
います』
097
と
気乗
(
きの
)
らぬ
声
(
こゑ
)
で
嫌
(
いや
)
さうな
挨拶
(
あいさつ
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
098
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『コレ
右守殿
(
うもりどの
)
、
099
其方
(
そなた
)
の
言葉
(
ことば
)
には
極
(
きは
)
めて
冷淡
(
れいたん
)
の
色
(
いろ
)
が
現
(
あら
)
はれて
居
(
ゐ
)
ますぞや。
100
御
(
ご
)
叮嚀
(
ていねい
)
にテーナ
姫
(
ひめ
)
を
遥々
(
はるばる
)
とテルマン
国
(
ごく
)
まで
使者
(
ししや
)
にお
立
(
た
)
て
下
(
くだ
)
さいまして、
101
罪
(
つみ
)
もない
妾
(
わらは
)
をシヤールに
牢獄
(
らうごく
)
を
作
(
つく
)
らして
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んで
下
(
くだ
)
さつた
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
決
(
けつ
)
して
忘
(
わす
)
れはしませぬぞや。
102
弱
(
よわ
)
い
女
(
をんな
)
と
見
(
み
)
えても
左守
(
さもり
)
の
血統
(
けつとう
)
を
享
(
う
)
けた
刹帝利
(
せつていり
)
の
女
(
むすめ
)
、
103
如何
(
いか
)
なる
鉄牢
(
てつらう
)
でも、
104
この
細腕
(
ほそうで
)
で
一
(
ひと
)
つ
押
(
お
)
せば、
105
何
(
なん
)
の
雑作
(
ざふさ
)
もありませぬ。
106
鼻糞
(
はなくそ
)
で
的
(
まと
)
をはつたやうな
牢獄
(
らうごく
)
に
繋
(
つな
)
がれて
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
るやうな
女
(
をんな
)
だつたら、
107
さつぱり
駄目
(
だめ
)
ですよ』
108
カールチン
『これは
異
(
い
)
なことを
承
(
うけたま
)
はります。
109
テーナ
姫
(
ひめ
)
は、
110
二三
(
にさん
)
ケ
月
(
げつ
)
の
間
(
あひだ
)
、
111
館
(
やかた
)
の
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
つたことはありませぬ。
112
そりや
何
(
なに
)
かの
間違
(
まちが
)
ひか、
113
但
(
ただし
)
は
何者
(
なにもの
)
かの
計画
(
けいくわく
)
で
厭
(
にせ
)
テーナ
姫
(
ひめ
)
が
貴女
(
あなた
)
を
苦
(
くる
)
しめるべく
参
(
まゐ
)
つたのでせう。
114
左様
(
さやう
)
なことを
仰
(
あふ
)
せらるるからは、
115
キツト
貴女
(
あなた
)
も
此
(
この
)
右守
(
うもり
)
がテーナと
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せ、
116
善
(
よ
)
からぬ
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
んで
居
(
ゐ
)
ると
思
(
おも
)
はれるでせう。
117
これはこれは
近頃
(
ちかごろ
)
大変
(
たいへん
)
な
迷惑
(
めいわく
)
、
118
どうぞ
神直日
(
かむなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し、
119
疑
(
うたがひ
)
を
晴
(
は
)
らして
下
(
くだ
)
さいませ』
120
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『あの
白々
(
しらじら
)
しい
右守殿
(
うもりどの
)
の
言葉
(
ことば
)
、
121
妾
(
わらは
)
はテーナ
殿
(
どの
)
の
顔
(
かほ
)
をよく
見知
(
みし
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
122
疑
(
うたがひ
)
が
晴
(
は
)
らしたくば
此処
(
ここ
)
へテーナ
殿
(
どの
)
を
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
なさい』
123
カールチン
『ハイ、
124
何時
(
なんどき
)
でも
連
(
つ
)
れて
参
(
まゐ
)
るのが
本意
(
ほんい
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
125
昨夜
(
さくや
)
より
急病
(
きふびやう
)
が
起
(
おこ
)
り
大変
(
たいへん
)
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
るから、
126
本復
(
ほんぷく
)
次第
(
しだい
)
お
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
らせませう』
127
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『
妾
(
わらは
)
は
其方
(
そなた
)
に
対
(
たい
)
し
厚
(
あつ
)
くお
礼
(
れい
)
を
申上
(
まをしあ
)
げねばならぬ
事
(
こと
)
がある。
128
右守殿
(
うもりどの
)
、
129
決
(
けつ
)
してお
忘
(
わす
)
れではありますまいなア』
130
カールチン
『これは
又
(
また
)
、
131
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬお
言葉
(
ことば
)
、
132
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
にお
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
うて
頂
(
いただ
)
くやうな
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
した
覚
(
おぼ
)
えは
厶
(
ござ
)
いませぬがなア』
133
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『オホヽヽヽ、
134
右守殿
(
うもりどの
)
も
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つたと
見
(
み
)
えて
健忘症
(
けんばうしやう
)
になられましたなア。
135
妾
(
わらは
)
は
親
(
おや
)
と
親
(
おや
)
との
許嫁
(
いひなづけ
)
でセーラン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
と
定
(
きま
)
つて
居
(
ゐ
)
たのを、
136
其方
(
そなた
)
は
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
にも
妾
(
わらは
)
をテルマン
国
(
ごく
)
の
毘舎
(
びしや
)
の
館
(
やかた
)
へ
無理
(
むり
)
に
追
(
お
)
ひやり、
137
吾
(
わが
)
娘
(
むすめ
)
サマリー
様
(
さま
)
を
王
(
わう
)
の
妃
(
きさき
)
に
押
(
お
)
しつけなさいましたでせう。
138
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
妾
(
わらは
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ、
139
否
(
いや
)
腹立
(
はらだた
)
しさ、
140
これがどうして
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても
忘
(
わす
)
れられませうぞいなア』
141
と
甲声
(
かんごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
142
カールチン
『
貴女
(
あなた
)
は、
143
一切
(
いつさい
)
の
経緯
(
いきさつ
)
を
御存
(
ごぞん
)
じないから、
144
左様
(
さやう
)
な
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
をなさいますが、
145
これには
深
(
ふか
)
い
様子
(
やうす
)
のあることで
厶
(
ござ
)
います。
146
セーラン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
や
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
クーリンスは
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
内々
(
ないない
)
反対
(
はんたい
)
なされ、
147
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
贔屓
(
ひいき
)
ばかり
遊
(
あそ
)
ばすと
云
(
い
)
ふことがハルナの
都
(
みやこ
)
に
知
(
し
)
れ
渡
(
わた
)
り、
148
この
右守
(
うもり
)
に
対
(
たい
)
して
厳
(
きび
)
しい
御
(
ご
)
質問
(
しつもん
)
、
149
お
家
(
いへ
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
を
思
(
おも
)
ひ、
150
イルナの
国
(
くに
)
を
救
(
すく
)
ふべく、
151
また
王
(
わう
)
様
(
さま
)
を
安全
(
あんぜん
)
に
守
(
まも
)
るべく、
152
貴女
(
あなた
)
にはお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ながら、
153
あゝいふ
手段
(
しゆだん
)
を
取
(
と
)
つたのです。
154
さうして
吾
(
わが
)
娘
(
むすめ
)
サマリー
姫
(
ひめ
)
を
妃
(
きさき
)
に
差
(
さ
)
し
上
(
あ
)
げたのも、
155
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
に
安心
(
あんしん
)
させる
為
(
ため
)
の
安全弁
(
あんぜんべん
)
、
156
何卒
(
どうぞ
)
この
右守
(
うもり
)
の
胸中
(
きようちう
)
を
御
(
ご
)
推察
(
すゐさつ
)
あらむ
事
(
こと
)
を
希望
(
きばう
)
致
(
いた
)
します』
157
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『あゝさうだつたかなア。
158
右守司
(
うもりつかさ
)
の
六韜
(
りくたう
)
三略
(
さんりやく
)
の
兵法
(
へいはふ
)
をも
知
(
し
)
らず、
159
貴方
(
そなた
)
を
今迄
(
いままで
)
恨
(
うら
)
んで
居
(
ゐ
)
たのは
誠
(
まこと
)
にもつて
恥
(
はづ
)
かしい、
160
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
の
浅薄
(
あさはか
)
さ、
161
それでは
妾
(
わらは
)
も
是
(
これ
)
から
再
(
ふたた
)
び
此処
(
ここ
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
162
サマリー
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
邪魔
(
じやま
)
をしないやうに
致
(
いた
)
しますから、
163
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ』
164
カールチン
『
貴女
(
あなた
)
はこれからテルマン
国
(
ごく
)
のシヤールの
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいますか。
165
さう
願
(
ねが
)
へれば
大変
(
たいへん
)
結構
(
けつこう
)
で
厶
(
ござ
)
いますが』
166
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『そりや
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りませう。
167
又
(
また
)
してもギス
籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
へ
投込
(
なげこ
)
まれますと、
168
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
して
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ねばなりませぬからなア、
169
ホヽヽヽヽ』
170
カールチン
『キツト
此
(
この
)
右守
(
うもり
)
が
保護
(
ほご
)
致
(
いた
)
しまして
左様
(
さやう
)
な
不心得
(
ふこころえ
)
な
事
(
こと
)
は、
171
シヤールに
厳命
(
げんめい
)
して
致
(
いた
)
させませぬから、
172
どうぞお
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばして
下
(
くだ
)
さい。
173
さうして
貴女
(
あなた
)
は
王
(
わう
)
様
(
さま
)
にお
会
(
あ
)
ひになりましたか』
174
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『
折角
(
せつかく
)
お
目
(
め
)
にかからうと
思
(
おも
)
ひ、
175
遥々
(
はるばる
)
虎口
(
ここう
)
を
遁
(
のが
)
れ、
176
ここう
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
ました
所
(
ところ
)
、
177
拍子
(
ひやうし
)
の
悪
(
わる
)
い
時
(
とき
)
には
悪
(
わる
)
いものです。
178
王
(
わう
)
様
(
さま
)
は
俄
(
にはか
)
の
大病
(
たいびやう
)
でお
引
(
ひ
)
き
籠
(
こも
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
179
何人
(
なんぴと
)
にも
面会
(
めんくわい
)
せないとのこと、
180
妾
(
わらは
)
の
心
(
こころ
)
もちつとは
推量
(
すゐりやう
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
181
右守
(
うもり
)
殿
(
どの
)
』
182
と
態
(
わざ
)
とに
泣声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
芝居
(
しばゐ
)
をして
見
(
み
)
せた。
183
カールチンは
威丈高
(
ゐたけだか
)
になり、
184
カールチン
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
せぬと
仰有
(
おつしや
)
るのに、
185
貴女
(
あなた
)
は
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
に
背
(
そむ
)
き、
186
たつて
会
(
あ
)
はうと
遊
(
あそ
)
ばすのか、
187
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
不届
(
ふとど
)
きな
御
(
お
)
心
(
こころ
)
で
厶
(
ござ
)
る。
188
今日
(
けふ
)
は
右守
(
うもり
)
の
司
(
つかさ
)
、
189
王
(
わう
)
様
(
さま
)
に
代
(
かは
)
つてヤスダラ
姫
(
ひめ
)
を
放逐
(
はうちく
)
致
(
いた
)
すから、
190
サ
早
(
はや
)
くお
立
(
た
)
ち
召
(
め
)
され』
191
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『セーラン
王
(
わう
)
の
許嫁
(
いひなづけ
)
の
誠
(
まこと
)
の
妻
(
つま
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
、
192
今日
(
けふ
)
より
汝
(
なんぢ
)
右守
(
うもり
)
に
対
(
たい
)
して
退職
(
たいしよく
)
を
命
(
めい
)
ずる。
193
エヽ
汚
(
けが
)
らはしい、
194
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
退城
(
たいじやう
)
召
(
め
)
され』
195
カールチン
『これはしたり、
196
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
狂気
(
きやうき
)
召
(
め
)
されたなア。
197
狂人
(
きやうじん
)
をお
館
(
やかた
)
へ
置
(
お
)
くは
危険
(
きけん
)
千万
(
せんばん
)
、
198
火
(
ひ
)
の
用心
(
ようじん
)
の
程
(
ほど
)
も
案
(
あん
)
ぜらるる。
199
イヤ、
200
マンモス、
201
ユーフテス、
202
速
(
すみやか
)
にヤスダラ
姫
(
ひめ
)
を
捕縛
(
ほばく
)
して
座敷牢
(
ざしきろう
)
にぶち
込
(
こ
)
み
御
(
ご
)
静養
(
せいやう
)
をさせ
奉
(
たてまつ
)
れ。
203
彼様
(
かやう
)
な
事
(
こと
)
が
外部
(
ぐわいぶ
)
に
洩
(
も
)
れては
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
信用
(
しんよう
)
に
関
(
くわん
)
する
一大事
(
いちだいじ
)
だから』
204
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『アイヤ、
205
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
命令
(
めいれい
)
する。
206
ユーフテス、
207
マンモス、
208
セーリス
姫
(
ひめ
)
、
209
速
(
すみやか
)
にカールチンを
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
め
牢獄
(
らうごく
)
に
投入
(
とうにふ
)
せよ。
210
主
(
しゆ
)
に
向
(
むか
)
つて
無礼
(
ぶれい
)
千万
(
せんばん
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
、
211
容赦
(
ようしや
)
はならぬぞ。
212
セーラン
王
(
わう
)
に
代
(
かは
)
り
固
(
かた
)
く
申
(
まを
)
しつくる』
213
マンモスは
途方
(
とはう
)
に
暮
(
く
)
れながら、
214
マンモス
『オイ、
215
ユーフテス、
216
どちらを
聞
(
き
)
いたらよいのだらうかなア』
217
セーリス
姫
(
ひめ
)
は、
218
セーリス姫
『オホヽヽヽ。
219
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
どちらも
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだらどうでせう。
220
喧嘩
(
けんくわ
)
両成敗
(
りやうせいばい
)
と
云
(
い
)
ふから、
221
まさか
片手
(
かたて
)
落
(
お
)
ちの
処置
(
しよち
)
も
取
(
と
)
れますまい』
222
カールチン
『マンモス、
223
ユーフテス、
224
主人
(
しゆじん
)
カールチンの
命令
(
めいれい
)
を
聞
(
き
)
かぬか』
225
マンモス
『ハイハイ、
226
聞
(
き
)
かぬ
訳
(
わけ
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ、
227
一寸
(
ちよつと
)
暫
(
しばら
)
くお
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいませ。
228
マンモスは
俄
(
にはか
)
に
便所
(
べんじよ
)
へ
行
(
ゆ
)
きたくなりましたから』
229
カールチン
『ユーフテス、
230
早
(
はや
)
く
捕縛
(
ほばく
)
せぬか』
231
ユーフテス
『ハイ、
232
捕縛
(
ほばく
)
致
(
いた
)
しませう、
233
併
(
しか
)
し
一
(
ひと
)
つ
考
(
かんが
)
へさして
下
(
くだ
)
さいませ。
234
セーリス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
篤
(
とく
)
と
相談
(
さうだん
)
を
致
(
いた
)
しますから』
235
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『オホヽヽヽ、
236
このヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
指一本
(
ゆびいつぽん
)
でも
触
(
さ
)
へるなら
触
(
さ
)
へて
御覧
(
ごらん
)
、
237
面白
(
おもしろ
)
い
活劇
(
くわつげき
)
が
演
(
えん
)
ぜられ、
238
手足
(
てあし
)
首
(
くび
)
胴
(
どう
)
所
(
ところ
)
を
異
(
こと
)
にし、
239
小児
(
こども
)
のお
玩具箱
(
おもちやばこ
)
の
人形
(
にんぎやう
)
のやうになりますよ。
240
それでも
構
(
かま
)
はねば
何人
(
なんぴと
)
に
限
(
かぎ
)
らず
手向
(
てむか
)
ひして
御覧
(
ごらん
)
』
241
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
は
眼
(
め
)
を
瞋
(
いか
)
らし、
242
清照姫
(
きよてるひめ
)
を
睨
(
ね
)
めつけて
居
(
ゐ
)
る。
243
マンモスはブルブルブルと
地震
(
ぢしん
)
の
孫
(
まご
)
宜
(
よろ
)
しく
慄
(
ふる
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
244
セーリス
姫
(
ひめ
)
、
245
ユーフテスは
平然
(
へいぜん
)
として
沈黙
(
ちんもく
)
を
続
(
つづ
)
けてゐる。
246
其処
(
そこ
)
へスタスタ
駆
(
かけ
)
つて
来
(
き
)
たのはサマリー
姫
(
ひめ
)
である。
247
カールチン
『ヤアお
前
(
まへ
)
はサマリー
姫
(
ひめ
)
、
248
こんな
処
(
ところ
)
へ
来
(
く
)
るものでない、
249
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
なさい。
250
何故
(
なぜ
)
家
(
うち
)
に
居
(
ゐ
)
ないのか、
251
誰人
(
だれ
)
に
聞
(
き
)
いてやつて
来
(
き
)
たのだ』
252
サマリー姫
『
父上
(
ちちうへ
)
、
253
そんな
気楽
(
きらく
)
なことが
云
(
い
)
うて
居
(
を
)
れますか。
254
王
(
わう
)
様
(
さま
)
は
御
(
ご
)
大病
(
たいびやう
)
、
255
妻
(
つま
)
の
私
(
わたし
)
として、
256
どうして
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
がして
居
(
を
)
られませう』
257
カールチン
『
其方
(
そなた
)
は
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
夫婦
(
ふうふ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
をおつ
始
(
ぱじ
)
め、
258
未
(
ま
)
だ
其
(
その
)
和解
(
わかい
)
も
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ないのだから、
259
話
(
はなし
)
のつく
迄
(
まで
)
早
(
はや
)
く
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るがよからうぞよ』
260
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『ヤア
珍
(
めづ
)
らしや
其方
(
そなた
)
はサマリー
姫
(
ひめ
)
殿
(
どの
)
、
261
妾
(
わらは
)
は
其方
(
そなた
)
の
為
(
ため
)
に
許嫁
(
いひなづけ
)
の
夫
(
をつと
)
に
添
(
そ
)
ふ
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ず、
262
テルマンの
国
(
くに
)
に
追
(
お
)
ひやられたヤスダラ
姫
(
ひめ
)
で
厶
(
ござ
)
いますぞ。
263
日頃
(
ひごろ
)
の
恨
(
うらみ
)
を
晴
(
は
)
らすは
今
(
いま
)
此
(
この
)
時
(
とき
)
、
264
よい
処
(
ところ
)
へ
出
(
で
)
て
厶
(
ござ
)
つた。
265
サア
覚悟
(
かくご
)
なされ』
266
と
襷
(
たすき
)
十字
(
じふじ
)
に
綾取
(
あやど
)
つて
見
(
み
)
せた。
267
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
打
(
う
)
ち
驚
(
おどろ
)
き、
268
カールチンの
腰
(
こし
)
に
喰
(
くら
)
ひつき、
269
ぶるぶる
慄
(
ふる
)
へながら、
270
サマリー姫
『もしもしお
父
(
とう
)
様
(
さま
)
、
271
どうしませう、
272
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいませな』
273
カールチン
『ウン
今
(
いま
)
に
待
(
ま
)
て、
274
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
をふん
縛
(
じば
)
つて、
275
其方
(
そなた
)
の
邪魔
(
じやま
)
を
除
(
のぞ
)
いてやるから』
276
と
云
(
い
)
ひつつ、
277
懐中
(
ふところ
)
より
呼子
(
よびこ
)
の
笛
(
ふえ
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し、
278
ヒユウヒユウと
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
つれば、
279
忽
(
たちま
)
ち
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
捕手
(
とりて
)
、
280
バラバラバラと
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
281
清照姫
(
きよてるひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつくを、
282
清照姫
(
きよてるひめ
)
は
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
みしめながら、
283
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『イヤ
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し、
284
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
武勇
(
ぶゆう
)
の
現
(
あら
)
はし
時
(
どき
)
、
285
木端
(
こつぱ
)
武者
(
むしや
)
共
(
ども
)
、
286
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
懲
(
こら
)
してくれむ。
287
サア
来
(
こ
)
い
来
(
きた
)
れ』
288
と
身構
(
みがま
)
へする。
289
美人
(
びじん
)
の
雄々
(
をを
)
しき
権幕
(
けんまく
)
に
捕手
(
とりて
)
は
茫然
(
ばうぜん
)
として
手出
(
てだ
)
しもせず
遠巻
(
とほまき
)
に
巻
(
ま
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
290
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
より
戸
(
と
)
を
隔
(
へだ
)
ててセーラン
王
(
わう
)
の
声
(
こゑ
)
、
291
セーラン王(実は黄金姫)
『アイヤ
右守
(
うもり
)
の
司
(
つかさ
)
、
292
吾
(
われ
)
はセーラン
王
(
わう
)
なるぞ。
293
サマリー
姫
(
ひめ
)
静
(
しづ
)
かにせよ。
294
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
手向
(
てむか
)
ひ
致
(
いた
)
せば、
295
最早
(
もはや
)
吾
(
われ
)
は
許
(
ゆる
)
さぬぞよ。
296
サマリー
姫
(
ひめ
)
、
297
吾
(
わが
)
言
(
げん
)
を
用
(
もち
)
ひずば
唯今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
夫婦
(
ふうふ
)
の
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
る。
298
それでもよいか』
299
と
呶鳴
(
どな
)
つたのは、
300
云
(
い
)
ふまでもなく、
301
隣室
(
りんしつ
)
に
隠
(
かく
)
れて
居
(
ゐ
)
た
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
である。
302
カールチンは
王
(
わう
)
の
声
(
こゑ
)
としては
少
(
すこ
)
し
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうである。
303
併
(
しか
)
し
病気
(
びやうき
)
のため
体
(
からだ
)
が
弱
(
よわ
)
り
声
(
こゑ
)
が
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
るのであらうと
心
(
こころ
)
にきめて
了
(
しま
)
ひ、
304
俄
(
にはか
)
に
言葉
(
ことば
)
を
柔
(
やはら
)
げて、
305
カールチン
『
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
中
(
ちう
)
をお
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
ましまして
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
みませぬ。
306
何卒
(
どうぞ
)
お
許
(
ゆる
)
しを
願
(
ねが
)
ひます』
307
サマリー姫
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
308
どうぞ
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
309
とサマリー
姫
(
ひめ
)
は
泣
(
な
)
きすする。
310
ヤスダラ姫(実は清照姫)
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
311
妾
(
わらは
)
はテルマン
国
(
ごく
)
から
貴方
(
あなた
)
を
慕
(
した
)
ひ
申
(
まを
)
し
遥々
(
はるばる
)
参
(
まゐ
)
りました
許嫁
(
いひなづけ
)
の
妻
(
つま
)
、
312
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
313
何卒
(
どうぞ
)
サマリー
姫
(
ひめ
)
との
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
り、
314
私
(
わたし
)
を
貴方
(
あなた
)
の
妻
(
つま
)
として
下
(
くだ
)
さいませ。
315
さうしてどうぞ
一度
(
ひとたび
)
尊
(
たふと
)
きお
顔
(
かほ
)
を
拝
(
をが
)
まして
下
(
くだ
)
さいませ』
316
と
態
(
わざ
)
と
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
しさし
俯
(
うつむ
)
く。
317
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
より
又
(
また
)
もや
王
(
わう
)
の
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
にて、
318
セーラン王(実は黄金姫)
『バラモン
教
(
けう
)
の
大棟梁
(
だいとうりやう
)
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
は、
319
一夫
(
いつぷ
)
多妻
(
たさい
)
主義
(
しゆぎ
)
だ。
320
先
(
せん
)
の
妻
(
つま
)
を
逐出
(
おひだ
)
して
第二
(
だいに
)
の
石生能
(
いその
)
姫
(
ひめ
)
を
本妻
(
ほんさい
)
に
遊
(
あそ
)
ばし、
321
吾々
(
われわれ
)
に
手本
(
てほん
)
をお
示
(
しめ
)
し
下
(
くだ
)
さつた
以上
(
いじやう
)
は
何
(
なに
)
も
憚
(
はばか
)
る
事
(
こと
)
はない。
322
サマリー
姫
(
ひめ
)
を
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
本妻
(
ほんさい
)
と
致
(
いた
)
し、
323
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
第二
(
だいに
)
夫人
(
ふじん
)
として
上女中
(
かみぢよちう
)
の
取締
(
とりしま
)
りに
使
(
つか
)
うてやるから
安心
(
あんしん
)
を
致
(
いた
)
せ。
324
右守
(
うもり
)
の
司
(
つかさ
)
も、
325
これに
違背
(
ゐはい
)
はあるまいがなア』
326
カールチン
『ハイ、
327
理義
(
りぎ
)
明白
(
めいはく
)
なる
御
(
おん
)
仰
(
あふ
)
せ、
328
決
(
けつ
)
して
違背
(
ゐはい
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
329
サマリー
姫
(
ひめ
)
をどこ
迄
(
まで
)
も
本妻
(
ほんさい
)
として
愛
(
あい
)
してやつて
下
(
くだ
)
さいますか』
330
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
より
王
(
わう
)
の
声
(
こゑ
)
、
331
セーラン王(実は黄金姫)
『サマリー
姫
(
ひめ
)
の
心次第
(
こころしだい
)
だ。
332
次
(
つい
)
では
右守
(
うもり
)
の
司
(
つかさ
)
の
改心
(
かいしん
)
次第
(
しだい
)
だ。
333
最早
(
もはや
)
余
(
よ
)
も
刹帝利
(
せつていり
)
の
職
(
しよく
)
に
飽
(
あ
)
き
果
(
は
)
てたから、
334
ここ
一二
(
いちに
)
ケ
月
(
げつ
)
の
間
(
あひだ
)
に
吾
(
わが
)
位
(
くらゐ
)
を
汝
(
なんぢ
)
に
譲
(
ゆづ
)
る
程
(
ほど
)
に、
335
早
(
はや
)
くサマリー
姫
(
ひめ
)
を
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
336
余
(
よ
)
が
本復
(
ほんぷく
)
を
待
(
ま
)
つて
改
(
あらた
)
めて
登城
(
とじやう
)
致
(
いた
)
すがよからう。
337
又
(
また
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
も、
338
サマリー
姫
(
ひめ
)
に
余
(
よ
)
が
面会
(
めんくわい
)
するまでは
面会
(
めんくわい
)
は
許
(
ゆる
)
さぬぞ。
339
さう
心得
(
こころえ
)
たらよからう。
340
コンコンコン、
341
あゝ
苦
(
くる
)
しい、
342
余
(
よ
)
は
咳
(
せき
)
に
悩
(
なや
)
んで
居
(
を
)
るから、
343
病気
(
びやうき
)
本復
(
ほんぷく
)
する
迄
(
まで
)
神殿
(
しんでん
)
に
籠
(
こも
)
り
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らすによつて、
344
右守殿
(
うもりどの
)
、
345
余
(
よ
)
が
後
(
あと
)
を
継
(
つ
)
ぐ
用意
(
ようい
)
を
万事
(
ばんじ
)
万端
(
ばんたん
)
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
つて
整
(
ととの
)
へたがよからうぞ』
346
右守
(
うもり
)
は
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて
雀躍
(
こをどり
)
しながら、
347
カールチン
『ハイ
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
くお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
348
然
(
しか
)
らばサマリー
姫
(
ひめ
)
を
一先
(
ひとま
)
づ
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り
本復
(
ほんぷく
)
を
待
(
ま
)
つて
登城
(
とじやう
)
致
(
いた
)
させませう。
349
何卒
(
なにとぞ
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
御
(
ご
)
本復
(
ほんぷく
)
あらむ
事
(
こと
)
をお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
350
サア、
351
サマリー
姫
(
ひめ
)
、
352
マンモス、
353
是
(
これ
)
より
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
らう。
354
ヤア
者
(
もの
)
共
(
ども
)
、
355
余
(
よ
)
を
館
(
やかた
)
へ
送
(
おく
)
つて
参
(
まゐ
)
れ。
356
ユーフテス、
357
汝
(
なんぢ
)
はセーリス
姫
(
ひめ
)
と
共
(
とも
)
に
此処
(
ここ
)
に
止
(
とど
)
まり
万事
(
ばんじ
)
に
気
(
き
)
をつけ
召
(
め
)
され』
358
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と
己
(
おの
)
が
館
(
やかた
)
をさしてドヤドヤと
帰
(
かへ
)
り
往
(
ゆ
)
く。
359
其
(
その
)
後
(
あと
)
へ
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
戸
(
と
)
を
排
(
はい
)
して
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
360
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
361
セーリス
姫
(
ひめ
)
、
3611
ユーフテスと
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せ、
362
四人
『オホヽヽヽ、
363
ウフヽヽヽ、
364
エヘヽヽヽ、
365
アハヽヽヽ』
366
と
笑
(
わら
)
ひ
倒
(
こ
)
ける。
367
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
西天
(
せいてん
)
に
姿
(
すがた
)
を
没
(
ぼつ
)
し、
368
双樹
(
さうじゆ
)
の
枝
(
えだ
)
に
止
(
とま
)
つた
九官鳥
(
からす
)
は
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて、
369
阿呆
(
あはう
)
々々
(
あはう
)
と
鳴
(
な
)
き
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る。
370
(
大正一一・一一・一二
旧九・二四
加藤明子
録)
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