霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第41巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 天空地平
第1章 入那の野辺
第2章 入那城
第3章 偽恋
第4章 右守館
第5章 急告
第6章 誤解
第7章 忍術使
第2篇 神機赫灼
第8章 無理往生
第9章 蓮の川辺
第10章 狼の岩窟
第11章 麓の邂逅
第12章 都入り
第3篇 北光神助
第13章 夜の駒
第14章 慈訓
第15章 難問題
第16章 三番叟
第4篇 神出鬼没
第17章 宵企み
第18章 替へ玉
第19章 当て飲み
第20章 誘惑
第21章 長舌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
サイトをリニューアルしました(
従来バージョンはこちら
)【新着情報】
(
サブスク
のお知らせ)
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第41巻(辰の巻)
> 第4篇 神出鬼没 > 第17章 宵企み
<<< 三番叟
(B)
(N)
替へ玉 >>>
第一七章
宵企
(
よひだく
)
み〔一一二一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
篇:
第4篇 神出鬼没
よみ(新仮名遣い):
しんしゅつきぼつ
章:
第17章 宵企み
よみ(新仮名遣い):
よいだくみ
通し章番号:
1121
口述日:
1922(大正11)年11月12日(旧09月24日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
右守の館では、カールチンとテーナ姫がユーフテスとヤスダラ姫の行方について話し合っている。ユーフテスは、ヤスダラ姫が高照山の岩窟に逃れる手引きの一端を担いながら、カールチン夫妻には姫の行方をごまかしていた。
カールチンは、ユーフテスの恋女がヤスダラ姫の妹セーリス姫であることに懸念を示した。ユーフテスは、セーリス姫は自分との恋を優先していると答えてカールチンを安心させた。
そこへマンモスがやってきて、セーラン王がにわかに病気となり、二三人の男女を側において、それ以外の者の面会を謝絶していると報告した。怪しんだカールチンは、ユーフテスに城内の偵察を命じた。
ユーフテスが行ってしまうと、マンモスはユーフテスへの懸念をカールチンに示した。カールチンは、念のために密かに二重調査を行うようマンモスに命じた。
ユーフテスはセーリス姫の居間に行き、大黒主の軍隊が来るのが一か月ほど遅れるという情報をもたらした。セーリス姫は黄金姫と清照姫にこれからの策を相談するべく、ユーフテスと共に二人を訪ねた。
セーリス姫は、ユーフテスが右守の重臣でありながら、自分と恋に落ちて協力者となっていると黄金・清照姫に紹介した。ユーフテスはあくまでカールチンの悪行を糺すためだと言い訳をした。
セーリス姫は、清照姫に変装してもらい、ヤスダラ姫のふりをして右守相手に一芝居を打ったらどうかと提案した。黄金姫、清照姫もそれは面白かろうと賛成した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-16 13:12:40
OBC :
rm4117
愛善世界社版:
239頁
八幡書店版:
第7輯 618頁
修補版:
校定版:
251頁
普及版:
113頁
初版:
ページ備考:
001
イルナの
都
(
みやこ
)
の
右守
(
うもり
)
の
館
(
やかた
)
にはカールチン、
002
テーナ
姫
(
ひめ
)
、
003
ユーフテスの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が、
004
何事
(
なにごと
)
か
首
(
くび
)
を
鳩
(
あつ
)
めて
話
(
はな
)
し
合
(
あ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
005
カールチン『ユーフテス、
006
テルマン
国
(
ごく
)
のシヤールの
妻
(
つま
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は、
007
まだ
行方
(
ゆくへ
)
が
分
(
わか
)
らないか、
008
エーン』
009
ユーフテス『ハイ、
010
未
(
いま
)
だハツキリ
分
(
わか
)
りませぬ。
011
セーリス
姫
(
ひめ
)
をして
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかが
)
はしめし
所
(
ところ
)
、
012
テーナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がテルマン
国
(
ごく
)
へお
出
(
いで
)
になり、
013
毘舎
(
びしや
)
のシヤールをしてヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
監禁
(
かんきん
)
せしめられた
後
(
のち
)
、
014
十日
(
とをか
)
ほどした
所
(
ところ
)
で
暴風雨
(
ばうふうう
)
の
暗夜
(
あんや
)
を
窺
(
うかが
)
ひ、
015
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
仕
(
つか
)
へてゐた
僕
(
しもべ
)
のリーダーと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
が
牢獄
(
らうごく
)
を
叩
(
たた
)
き
破
(
やぶ
)
り、
016
何処
(
どこ
)
ともなく
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
です。
017
大方
(
おほかた
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
と
其
(
その
)
僕
(
しもべ
)
との
間
(
あひだ
)
に
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
関係
(
くわんけい
)
があつたのではなからうかとの
噂
(
うはさ
)
も
聞
(
き
)
きました。
018
セーリス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
も
大変
(
たいへん
)
に
姉
(
あね
)
の
不始末
(
ふしまつ
)
を
悔
(
くや
)
んで
居
(
を
)
られます。
019
昨夜
(
ゆうべ
)
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
によつて
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
頂
(
いただき
)
まで
参
(
まゐ
)
りました
処
(
ところ
)
、
020
テルマン
国
(
ごく
)
よりシヤールの
家
(
いへ
)
の
者
(
もの
)
共
(
ども
)
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
021
五人
(
ごにん
)
連
(
づれ
)
にてやつて
参
(
まゐ
)
り「ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
、
022
リーダーに
会
(
あ
)
はなかつたか」と
尋
(
たづ
)
ねました。
023
が
併
(
しか
)
し、
024
ヒヨツとしたらセーラン
王
(
わう
)
の
廻
(
まは
)
し
者
(
もの
)
ではないかと
空惚
(
そらとぼ
)
けて
取
(
と
)
り
合
(
あ
)
はなかつた
所
(
ところ
)
、
025
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
は
照山峠
(
てるやまたうげ
)
を
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
きます。
026
私
(
わたし
)
はセーリス
姫
(
ひめ
)
の
意見
(
いけん
)
を
聞
(
き
)
き、
027
屹度
(
きつと
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は、
028
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
の
父
(
ちち
)
の
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
るものと
存
(
ぞん
)
じまして、
029
よくよく
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ましたが
女
(
をんな
)
らしいものは
一人
(
ひとり
)
も
来
(
き
)
ませず、
030
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
に
追
(
お
)
ひつき、
031
共々
(
ともども
)
に
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
都
(
みやこ
)
に
帰
(
かへ
)
り、
032
騎士
(
きし
)
を
一夜
(
ひとよ
)
さ
宿泊
(
しゆくはく
)
させ、
033
心当
(
こころあた
)
りを
捜索
(
そうさく
)
せよと
命
(
めい
)
じ
返
(
かへ
)
しまして
御座
(
ござ
)
ります』
034
カールチン
『
折角
(
せつかく
)
遠国
(
ゑんごく
)
からやつて
来
(
き
)
た
者
(
もの
)
を、
035
吾
(
われ
)
に
相談
(
さうだん
)
もなく
ぼつ
返
(
かへ
)
すとはチツと
僣越
(
せんえつ
)
ぢやないか。
036
なぜ
一目
(
ひとめ
)
会
(
あ
)
はしてくれなかつたのか、
037
エーン』
038
ユーフテス
『それは
済
(
す
)
まない
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
りますが、
039
併
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
は
左守
(
さもり
)
に
知
(
し
)
れてはならないと
気
(
き
)
を
いら
ち、
040
態
(
わざ
)
とおつ
返
(
かへ
)
したので
御座
(
ござ
)
ります。
041
屹度
(
きつと
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
照山峠
(
てるやまたうげ
)
を
越
(
こ
)
えて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るに
間違
(
まちがひ
)
は
御座
(
ござ
)
りませぬ。
042
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
左守
(
さもり
)
の
部下
(
ぶか
)
等
(
ら
)
にヤスダラ
姫
(
ひめ
)
を
捕
(
と
)
られようものなら
大変
(
たいへん
)
で
御座
(
ござ
)
りますからな。
043
左守
(
さもり
)
に
於
(
おい
)
てもヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
此方
(
こちら
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
略
(
ほぼ
)
承知
(
しようち
)
をしてゐるさうですから、
044
決
(
けつ
)
して
油断
(
ゆだん
)
はしてなりませぬ。
045
又
(
また
)
昨夜
(
さくや
)
参
(
まゐ
)
つた
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
はヤスダラ
姫
(
ひめ
)
のスタイルをよく
知
(
し
)
つてゐる
者
(
もの
)
ばかりですから、
046
丁度
(
ちやうど
)
都合
(
つがふ
)
が
好
(
よ
)
いと
存
(
ぞん
)
じまして
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
差出
(
さしだ
)
しまして
御座
(
ござ
)
ります』
047
テーナ姫
『それは
真
(
まこと
)
にいい
考
(
かんが
)
へだつた。
048
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
049
お
前
(
まへ
)
の
恋女
(
こひをんな
)
セーリス
姫
(
ひめ
)
はヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
妹
(
いもうと
)
だから
滅多
(
めつた
)
な
事
(
こと
)
はあるまいな。
050
ウツカリした
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はれないぞや』
051
ユーフテス
『
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
います。
052
同
(
おな
)
じ
姉妹
(
きやうだい
)
でも
心
(
こころ
)
は
黒白
(
こくびやく
)
の
違
(
ちが
)
ひ、
053
セーリス
姫
(
ひめ
)
は
決
(
けつ
)
して
姉
(
あね
)
の
贔屓
(
ひいき
)
をしたり、
054
親
(
おや
)
の
贔屓
(
ひいき
)
をして
自分
(
じぶん
)
の
恋
(
こひ
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
にするやうな
悪人
(
あくにん
)
では
御座
(
ござ
)
りませぬ。
055
極
(
きは
)
めて
私
(
わたし
)
のためには
大善人
(
だいぜんにん
)
で
御座
(
ござ
)
りますから』
056
テーナ姫
『
大黒主
(
おほくろぬしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
により
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
が
刹帝利
(
せつていり
)
の
位
(
くらゐ
)
に
上
(
のぼ
)
られ、
057
セーラン
王
(
わう
)
を
退隠
(
たいいん
)
させて
安楽
(
あんらく
)
に
暮
(
くら
)
させよとの
思召
(
おぼしめ
)
し、
058
それも
全
(
まつた
)
く
吾
(
わが
)
娘
(
むすめ
)
のサマリー
姫
(
ひめ
)
が
妃
(
きさき
)
になつてゐる
余徳
(
よとく
)
によつて、
059
セーラン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
身
(
み
)
が
安全
(
あんぜん
)
なのだ。
060
サマリー
姫
(
ひめ
)
も
王
(
わう
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
しては
非常
(
ひじやう
)
に
恋慕
(
れんぼ
)
してゐるやうだから、
061
如何
(
どう
)
しても
末永
(
すえなが
)
く
添
(
そ
)
はしてやらねばなるまい。
062
そこへヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
ようものなら、
063
又
(
また
)
もや
王
(
わう
)
の
心
(
こころ
)
が
変
(
かは
)
りサマリー
姫
(
ひめ
)
は
恋
(
こひ
)
に
破
(
やぶ
)
れた
結果
(
けつくわ
)
どんな
無分別
(
むふんべつ
)
な
事
(
こと
)
をするか
分
(
わか
)
らず、
064
実
(
じつ
)
に
気
(
き
)
の
揉
(
も
)
める
事
(
こと
)
だよ。
065
一事
(
いちじ
)
も
早
(
はや
)
くヤスダラの
入城
(
にふじやう
)
を
遮
(
さへぎ
)
り、
066
之
(
これ
)
を
捉
(
とら
)
へて
人
(
ひと
)
の
知
(
し
)
らぬ
所
(
ところ
)
に
監禁
(
かんきん
)
し、
067
王
(
わう
)
との
接近
(
せつきん
)
を
妨
(
さまた
)
げねばなりませぬぞや。
068
ユーフテス、
069
合点
(
がつてん
)
かな』
070
ユーフテス
『ハイ、
071
万事
(
ばんじ
)
万端
(
ばんたん
)
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
に
御座
(
ござ
)
ります。
072
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ』
073
かかる
所
(
ところ
)
へ
息
(
いき
)
せき
切
(
き
)
つて
駆込
(
かけこ
)
んだのはマンモスである。
074
テーナ『ヤア、
075
そなたはマンモス、
076
城内
(
じやうない
)
の
様子
(
やうす
)
は
如何
(
どう
)
だつた』
077
マンモス
『ハイ、
078
王
(
わう
)
様
(
さま
)
は
俄
(
にはか
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
でお
引籠
(
ひきこも
)
りと
云
(
い
)
ふこと、
079
一切
(
いつさい
)
面会
(
めんくわい
)
を
禁
(
きん
)
じられてゐますから、
080
詳
(
くは
)
しい
事
(
こと
)
は
存
(
ぞん
)
じませぬ。
081
併
(
しか
)
し
夜前
(
やぜん
)
何
(
なん
)
でも
女
(
をんな
)
が
二人
(
ふたり
)
ばかり、
082
男
(
をとこ
)
が
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
大奥
(
おほおく
)
へ
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
んだと
云
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
きました』
083
テーナ
姫
(
ひめ
)
は
首
(
くび
)
をかしげて、
084
テーナ姫
『はてな、
085
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
、
086
そして
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
087
大方
(
おほかた
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
参
(
まゐ
)
つたのではあるまいかな』
088
カールチン『おい、
089
ユーフテス、
090
其方
(
そなた
)
の
考
(
かんが
)
へは
如何
(
どう
)
だ』
091
ユーフテス
『ハイ、
092
セーリス
姫
(
ひめ
)
に
聞
(
き
)
きましたら、
093
俄
(
にはか
)
に
王
(
わう
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
不快
(
ふくわい
)
なので、
094
バラモン
教
(
けう
)
の
修験者
(
しゆげんじや
)
を
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
ばかり、
095
お
招
(
まね
)
きになつたと
云
(
い
)
ふことで
御座
(
ござ
)
ります。
096
別
(
べつ
)
に
大
(
たい
)
したものぢや
御座
(
ござ
)
りますまい』
097
テーナ
姫
(
ひめ
)
は、
098
テーナ姫
『アヽ、
099
それだと
云
(
い
)
つて
警戒
(
けいかい
)
厳
(
きび
)
しき
城下
(
じやうか
)
を、
100
誰
(
たれ
)
の
目
(
め
)
にもあまり
触
(
ふ
)
れないやうにやつて
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふのが
怪
(
あや
)
しいぢやないか。
101
ユーフテス、
102
そなたは
一応
(
いちおう
)
城内
(
じやうない
)
の
様子
(
やうす
)
を
調
(
しら
)
べて
来
(
き
)
ては
呉
(
く
)
れまいかな』
103
ユーフテス
『ハイ、
104
畏
(
かしこ
)
まりました。
105
左様
(
さやう
)
ならば
之
(
これ
)
から
一足
(
ひとあし
)
、
106
何
(
なに
)
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
して
登城
(
とじやう
)
致
(
いた
)
し、
107
内部
(
ないぶ
)
の
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へて
来
(
き
)
ませう。
108
マンモス、
109
其方
(
そなた
)
も
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さるまいかな』
110
マンモス
『いや、
111
私
(
わたし
)
は
少
(
すこ
)
しく
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げたきことあれば、
112
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ながら
貴方
(
あなた
)
お
一人
(
ひとり
)
お
出
(
い
)
でを
願
(
ねが
)
ひます。
113
さうして
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
があれば、
114
直様
(
すぐさま
)
お
知
(
し
)
らせ
下
(
くだ
)
さいませ。
115
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
のお
供
(
とも
)
をして、
116
直様
(
すぐさま
)
登城
(
とじやう
)
致
(
いた
)
しますから』
117
ユーフテス
『
然
(
しか
)
らば
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
118
一応
(
いちおう
)
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へて
参
(
まゐ
)
ります』
119
と
云
(
い
)
ひながら
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めてイルナ
城
(
じやう
)
の
王
(
わう
)
が
館
(
やかた
)
へ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
120
ユーフテスの
姿
(
すがた
)
が
隠
(
かく
)
れるのを
見
(
み
)
すまし、
121
マンモスは
声
(
こゑ
)
を
潜
(
ひそ
)
めて、
122
マンモス
『
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
123
貴方
(
あなた
)
はユーフテスを
何処
(
どこ
)
までも
御
(
ご
)
信用
(
しんよう
)
なさいますか。
124
私
(
わたし
)
が
斯様
(
かやう
)
なことを
申上
(
まをしあ
)
げますのは、
125
何
(
なに
)
か
野心
(
やしん
)
があつて
彼
(
かれ
)
を
陥穽
(
かんせい
)
する
様
(
やう
)
に
思召
(
おぼしめ
)
すかも
知
(
し
)
れませぬが、
126
如何
(
どう
)
も
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
彼
(
かれ
)
の
挙動
(
きよどう
)
、
127
怪
(
あや
)
しき
点
(
てん
)
が
沢山
(
たくさん
)
御座
(
ござ
)
ります。
128
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
様
(
さま
)
、
129
どうお
考
(
かんが
)
へ
遊
(
あそ
)
ばしますか』
130
カールチン『
彼
(
かれ
)
に
限
(
かぎ
)
つてそんな
二心
(
ふたごころ
)
があらう
筈
(
はず
)
がない。
131
そりやマンモス、
132
お
前
(
まへ
)
の
僻目
(
ひがめ
)
ではないか。
133
人
(
ひと
)
の
噂
(
うはさ
)
や
表面
(
うはべ
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
見
(
み
)
て
直
(
すぐ
)
に
善悪
(
ぜんあく
)
の
批評
(
ひひやう
)
を
下
(
くだ
)
すものではない。
134
ユーフテスはセーリス
姫
(
ひめ
)
を
薬籠中
(
やくろうちう
)
のものとし、
135
左守
(
さもり
)
の
味方
(
みかた
)
と
見
(
み
)
せかけて、
136
所在
(
あらゆる
)
神算
(
しんさん
)
鬼謀
(
きぼう
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
内外
(
ないぐわい
)
の
様子
(
やうす
)
を
隈
(
くま
)
なく
探
(
さぐ
)
り、
137
吾々
(
われわれ
)
に
報告
(
はうこく
)
する
探偵
(
たんてい
)
の
任
(
にん
)
に
当
(
あた
)
つてゐる
男
(
をとこ
)
だから、
138
お
前
(
まへ
)
の
目
(
め
)
から
見
(
み
)
れば
怪
(
あや
)
しく
見
(
み
)
えるだらう。
139
決
(
けつ
)
してそんな
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
らないよ』
140
マンモス
『それでも
貴方
(
あなた
)
、
141
どうも
怪
(
あや
)
しう
御座
(
ござ
)
ります。
142
決
(
けつ
)
して
気
(
き
)
を
許
(
ゆる
)
してはなりませぬ』
143
テーナ
姫
(
ひめ
)
は
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
ひら
)
いて、
144
テーナ姫
『ホヽヽヽヽ、
145
気
(
き
)
を
許
(
ゆる
)
されぬのはユーフテスだつてマンモスだつて
同
(
おな
)
じことぢやないか。
146
尊
(
たふと
)
き
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
措
(
お
)
いて、
147
人間
(
にんげん
)
の
中
(
なか
)
に
一人
(
ひとり
)
だつて
気
(
き
)
を
許
(
ゆる
)
して
使
(
つか
)
へるものがあるか。
148
皆
(
みんな
)
利己主義
(
われよし
)
の
集団
(
かたまり
)
ばかりだからな』
149
マンモス
『さう
図星
(
づぼし
)
をさされては、
150
返
(
かへ
)
す
辞
(
ことば
)
も
御座
(
ござ
)
りませぬが、
151
併
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
は、
152
決
(
けつ
)
して
敵
(
てき
)
に
欸
(
くわん
)
を
通
(
つう
)
ずる
様
(
やう
)
な
悪人
(
あくにん
)
では
御座
(
ござ
)
りませぬ。
153
併
(
しか
)
し
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
は
誠
(
まこと
)
に
立派
(
りつぱ
)
なお
方
(
かた
)
ですから、
154
屹度
(
きつと
)
天眼通
(
てんがんつう
)
も
開
(
ひら
)
けて
居
(
ゐ
)
るでせう。
155
よもや
裏返
(
うらがへ
)
り
者
(
もの
)
を
信用
(
しんよう
)
してお
使
(
つか
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばす
筈
(
はず
)
もありませぬから、
156
私
(
わたし
)
も
少
(
すこ
)
しばかり
安心
(
あんしん
)
して
居
(
ゐ
)
ますが、
157
何
(
なん
)
だかチツトばかり
気
(
き
)
にかかつてなりませぬ。
158
第一
(
だいいち
)
、
159
昨日
(
きのふ
)
迄
(
まで
)
ピチピチして
居
(
を
)
られたセーラン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
が
急病
(
きふびやう
)
ぢやと
云
(
い
)
つたり、
160
或
(
あるひ
)
は
修験者
(
しゆげんじや
)
が
夜中
(
やちう
)
に
招
(
まね
)
かれてお
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
るなどとは、
161
如何
(
どう
)
しても
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
節
(
ふし
)
が
御座
(
ござ
)
ります。
162
ここは
篤
(
とく
)
と
調
(
しら
)
べなさらねばなりますまい』
163
カールチン『それなら
其方
(
そなた
)
は
是
(
これ
)
から
登城
(
とじやう
)
してユーフテスに
内証
(
ないしよう
)
で
様子
(
やうす
)
を
調
(
しら
)
べて
来
(
き
)
てくれ』
164
マンモス
『ヤア
有難
(
ありがた
)
う、
165
待
(
ま
)
つてゐました……そのお
言葉
(
ことば
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ました』
166
とマンモスは、
167
いそいそとして
館
(
やかた
)
を
立出
(
たちい
)
で
城内
(
じやうない
)
さして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
168
イルナの
城内
(
じやうない
)
セーリス
姫
(
ひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
を
慌
(
あわただ
)
しく
訪
(
と
)
うたのは
例
(
れい
)
のユーフテスであつた。
169
ユーフテスは
四辺
(
あたり
)
をキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
しながら
人影
(
ひとかげ
)
なきに
安心
(
あんしん
)
の
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し、
170
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせながら
姫
(
ひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
171
耳許
(
みみもと
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せて、
172
ユーフテス
『
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
173
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
174
ハルナの
国
(
くに
)
から
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
援軍
(
ゑんぐん
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
来
(
く
)
る
所
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
りましたが、
175
近国
(
きんごく
)
に
一騒動
(
ひとさうどう
)
が
起
(
おこ
)
つたと
云
(
い
)
ふので
軍隊
(
ぐんたい
)
の
派遣
(
はけん
)
が
暫時
(
ざんじ
)
遅
(
おく
)
れる
事
(
こと
)
になりました。
176
此
(
この
)
分
(
ぶん
)
ならば
一
(
いつ
)
ケ
月
(
げつ
)
やそこらは
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。
177
併
(
しか
)
しながら
右守
(
うもり
)
は
大変
(
たいへん
)
に
力
(
ちから
)
を
落
(
おと
)
して
居
(
を
)
ります。
178
それに
又
(
また
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がテルマン
国
(
ごく
)
を
遁走
(
とんそう
)
遊
(
あそ
)
ばしたので、
179
やがて
都
(
みやこ
)
へお
帰
(
かへ
)
りになるだらう、
180
さうなれば
大変
(
たいへん
)
だと
非常
(
ひじやう
)
に
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んでゐますが、
181
そこも
私
(
わたし
)
がうまくチヨロまかして
置
(
お
)
きましたから
之
(
これ
)
も
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
182
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
急病
(
きふびやう
)
と
云
(
い
)
ひ、
183
女
(
をんな
)
の
修験者
(
しゆげんじや
)
が
入
(
い
)
りこんだと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
何
(
なに
)
かの
秘密
(
ひみつ
)
が
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
ゐ
)
るに
違
(
ちが
)
ひないから、
184
一寸
(
ちよつと
)
調
(
しら
)
べて
来
(
こ
)
いとカールチンが
申
(
まを
)
しましたので
様子
(
やうす
)
を
調
(
しら
)
べると
申
(
まを
)
してやつて
来
(
き
)
たのです。
185
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つて
返答
(
へんたふ
)
をしたら
宜
(
よろ
)
しいでせうかな』
186
セーリス姫
『
何
(
なん
)
と
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
になつて
来
(
き
)
ましたな。
187
一月
(
ひとつき
)
ばかり
軍隊
(
ぐんたい
)
が
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せて
来
(
く
)
るのが
遅
(
おく
)
れるとならば、
188
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に、
189
どんな
準備
(
じゆんび
)
も
出来
(
でき
)
ます。
190
これから
一
(
ひと
)
つ
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
、
191
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
申上
(
まをしあ
)
げ、
192
何
(
なん
)
とか
考
(
かんが
)
へをつけませう』
193
と
云
(
い
)
ひながらユーフテスを
伴
(
ともな
)
ひ
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
194
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
195
セーリス
姫
(
ひめ
)
は
襖
(
ふすま
)
の
外
(
そと
)
より
細
(
ほそ
)
き
声
(
こゑ
)
にて、
196
セーリス姫
『
私
(
わたし
)
はセーリスで
御座
(
ござ
)
ります。
197
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
、
198
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
、
199
お
邪魔
(
じやま
)
に
参
(
まゐ
)
りましたが
差支
(
さしつかへ
)
は
厶
(
ござ
)
りませぬか』
200
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は、
201
黄金姫
『いえいえ、
202
チツとも
差支
(
さしつかへ
)
は
御座
(
ござ
)
りませぬ。
203
サア
何卒
(
どうぞ
)
お
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
204
今朝
(
けさ
)
からお
目
(
め
)
にかからないので、
205
如何
(
どう
)
かとお
案
(
あん
)
じ
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
りました』
206
と
座蒲団
(
ざぶとん
)
を
手
(
て
)
づから
二
(
に
)
枚
(
まい
)
敷
(
し
)
いて、
207
黄金姫
『サアお
坐
(
すわ
)
りなさいませ』
208
とすすめる。
209
セーリス
姫
(
ひめ
)
は、
210
セーリス姫
『
御免
(
ごめん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
211
と
云
(
い
)
ひながら
黄金姫
(
わうごんひめ
)
と
向
(
むか
)
ひ
合
(
あは
)
せに
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
め、
212
セーリス姫
『
時
(
とき
)
に
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
、
213
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
になりました。
214
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
が
攻
(
せ
)
めて
来
(
く
)
るのは
近国
(
きんごく
)
に
騒擾
(
さうぜう
)
が
起
(
おこ
)
つたため
一月
(
ひとつき
)
ほど
遅
(
おく
)
れると
云
(
い
)
ふ
確報
(
かくはう
)
が
御座
(
ござ
)
りました。
215
さうして
此
(
この
)
ユーフテスは
右守
(
うもり
)
の
股肱
(
ここう
)
の
重臣
(
ぢうしん
)
で
厶
(
ござ
)
りますが、
216
妾
(
わたし
)
と
割
(
わ
)
りなき
恋
(
こひ
)
に
落
(
お
)
ち、
217
其
(
その
)
為
(
た
)
め
今
(
いま
)
は
妾
(
わたし
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
ならば、
218
どんな
事
(
こと
)
でも
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さる
善人
(
ぜんにん
)
で
御座
(
ござ
)
りますから
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ。
219
何
(
なに
)
をお
話
(
はな
)
し
下
(
くだ
)
さつても
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
ですから』
220
黄金
(
わうごん
)
『オホヽヽヽ、
221
セーリス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
222
随分
(
ずゐぶん
)
貴女
(
あなた
)
もお
転婆
(
てんば
)
ですな。
223
やあ、
224
ユーフテス
様
(
さま
)
とやら、
225
天下一
(
てんかいち
)
の
色男
(
いろをとこ
)
さま、
226
オホヽヽヽ、
227
此
(
この
)
黄金姫
(
わうごんひめ
)
も
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しました』
228
とポンと
背中
(
せなか
)
を
二
(
ふた
)
つ
三
(
みつ
)
つ
叩
(
たた
)
いた。
229
ユーフテスは
得意
(
とくい
)
になり
鼻
(
はな
)
をピコつかせながら、
230
ユーフテス
『ハイ、
231
カールチンは
私
(
わたし
)
の
主人
(
しゆじん
)
では
厶
(
ござ
)
いますれど、
232
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
に
反
(
はん
)
した
悪
(
あく
)
ばかりを
企
(
たく
)
む
奴
(
やつ
)
で
厶
(
ござ
)
りますから、
233
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
誠
(
まこと
)
の
方
(
かた
)
について
居
(
ゐ
)
るので
厶
(
ござ
)
ります。
234
別
(
べつ
)
にセーリス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
容色
(
ようしよく
)
に
心魂
(
しんこん
)
を
蘯
(
とろ
)
かして
主人
(
しゆじん
)
に
背
(
そむ
)
き
反対
(
はんたい
)
をする
様
(
やう
)
な
野呂馬
(
のろま
)
では
厶
(
ござ
)
りませぬ。
235
只
(
ただ
)
正義
(
せいぎ
)
のため
至誠
(
しせい
)
をささげて
活動
(
くわつどう
)
を
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
るので
厶
(
ござ
)
ります』
236
とうまく
心
(
こころ
)
の
生地
(
きぢ
)
を
隠
(
かく
)
さうとつとめてゐる。
237
セーリス姫
『
城内
(
じやうない
)
一般
(
いつぱん
)
に
姉
(
あね
)
のヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
つて、
238
城内
(
じやうない
)
に
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
ゐ
)
るとの
噂
(
うはさ
)
が
立
(
た
)
ちましたので、
239
右守
(
うもり
)
のカールチン
夫婦
(
ふうふ
)
が
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
み、
240
サマリー
姫
(
ひめ
)
の
迷惑
(
めいわく
)
になると
云
(
い
)
つて
非常
(
ひじやう
)
に
騒
(
さわ
)
いで
居
(
を
)
ります。
241
又
(
また
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たならば、
242
屹度
(
きつと
)
王
(
わう
)
様
(
さま
)
に
智慧
(
ちゑ
)
をつけて
左守
(
さもり
)
と
共
(
とも
)
に
何
(
なに
)
をするか
知
(
し
)
れない。
243
さうすれば
折角
(
せつかく
)
の
企
(
たく
)
みも
水泡
(
すゐほう
)
に
帰
(
き
)
すると
云
(
い
)
つて
騒
(
さわ
)
いでゐるさうですから、
244
一
(
ひと
)
つ
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
にお
世話
(
せわ
)
になつて、
245
姉
(
あね
)
のヤスダラ
姫
(
ひめ
)
と
化
(
ば
)
けて
貰
(
もら
)
つては
如何
(
どう
)
でせう。
246
うまいお
芝居
(
しばゐ
)
が
出来
(
でき
)
るでせう。
247
軍隊
(
ぐんたい
)
が
攻
(
せ
)
めて
来
(
く
)
るには
一
(
いつ
)
ケ
月
(
げつ
)
も
間
(
ま
)
があるのですから、
248
右守
(
うもり
)
をうまく
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せて
膏
(
あぶら
)
をとり、
249
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
へ
改心
(
かいしん
)
をさせたら
面白
(
おもしろ
)
からうと
存
(
ぞん
)
じまして、
250
実
(
じつ
)
は
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
に
参
(
まゐ
)
りました』
251
黄金姫
『オホヽヽヽヽ
随分
(
ずゐぶん
)
貴女
(
あなた
)
も
悪戯
(
いたづら
)
が
好
(
す
)
きですな。
252
こんな
上下
(
うへした
)
騒
(
さわ
)
がしい
時
(
とき
)
に、
253
そんな
気楽
(
きらく
)
な
事
(
こと
)
をよく
思
(
おも
)
ひついたものですな。
254
いや
感心
(
かんしん
)
々々
(
かんしん
)
、
255
綽々
(
しやくしやく
)
として
余裕
(
よゆう
)
の
存
(
ぞん
)
する
其
(
その
)
態度
(
たいど
)
、
256
それでなくては
大事
(
だいじ
)
は
遂
(
と
)
げられますまい。
257
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
258
お
前
(
まへ
)
暫
(
しばら
)
くヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
早変
(
はやがは
)
りして
見
(
み
)
たら
如何
(
どう
)
だらうな』
259
清照姫
『ホヽヽヽヽ、
260
至極
(
しごく
)
妙案
(
めうあん
)
ですな。
261
妾
(
わたし
)
はなりませう。
262
一
(
ひと
)
つ
辣腕
(
らつわん
)
を
揮
(
ふる
)
うて
右守
(
うもり
)
の
肝玉
(
きもだま
)
を
抜
(
ぬ
)
いてやりませう』
263
セーリス姫
『
早速
(
さつそく
)
の
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
、
264
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
265
これこれユーフテスさま、
266
早
(
はや
)
く
右守
(
うもり
)
の
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
つてヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がお
帰
(
かへ
)
りだと
報告
(
はうこく
)
して
下
(
くだ
)
さい。
267
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ますから』
268
ユーフテス
『それでもヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
は
長面
(
ながおも
)
、
269
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
は
少
(
すこ
)
し
円顔
(
まるおもて
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
270
右守
(
うもり
)
に
贋
(
にせ
)
ものだと
看破
(
かんぱ
)
される
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
りますまいかな』
271
清照姫
『
何
(
なに
)
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りますものか。
272
女
(
をんな
)
は
化物
(
ばけもの
)
と
申
(
まを
)
しまして
作
(
つく
)
り
次第
(
しだい
)
で
如何
(
どう
)
にも
化
(
ば
)
けられますよ。
273
これから
一
(
ひと
)
つ
化粧
(
けしやう
)
でもして
化
(
ば
)
けてやりませう。
274
明日
(
あす
)
早朝
(
さうてう
)
右守
(
うもり
)
を
連
(
つ
)
れてお
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
さいませ。
275
妾
(
わたし
)
の
腕前
(
うでまへ
)
を
一
(
ひと
)
つ
見
(
み
)
せて
上
(
あ
)
げますから、
276
オホヽヽヽヽ』
277
黄金姫
『
面白
(
おもしろ
)
からう』
278
と
黄金姫
(
わうごんひめ
)
はうなづく。
279
セーリス
姫
(
ひめ
)
は
得意気
(
とくいげ
)
に、
280
セーリス姫
『オホヽヽヽヽ』
281
と
笑
(
わら
)
ふ。
282
ユーフテスは、
283
ユーフテス
『エヘヽヽヽ、
284
此奴
(
こいつ
)
あ、
285
チツトばかり
面白
(
おもしろ
)
くなつておいでたわい』
286
(
大正一一・一一・一二
旧九・二四
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 三番叟
(B)
(N)
替へ玉 >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第41巻(辰の巻)
> 第4篇 神出鬼没 > 第17章 宵企み
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第17章 宵企み|第41巻|舎身活躍|霊界物語|/rm4117】
合言葉「みろく」を入力して下さい→