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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
第1章 笑の恵
第2章 月の影
第3章 守衛の囁
第4章 滝の下
第5章 不眠症
第6章 山下り
第7章 山口の森
第2篇 月明清楓
第8章 光と熱
第9章 怪光
第10章 奇遇
第11章 腰ぬけ
第12章 大歓喜
第13章 山口の別
第14章 思ひ出の歌
第3篇 珍聞万怪
第15章 変化
第16章 怯風
第17章 罵狸鬼
第18章 一本橋
第19章 婆口露
第20章 脱線歌
第21章 小北山
余白歌
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第44巻(未の巻)
> 第1篇 神示の合離 > 第4章 滝の下
<<< 守衛の囁
(B)
(N)
不眠症 >>>
第四章
滝
(
たき
)
の
下
(
した
)
〔一一七三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第1篇 神示の合離
よみ(新仮名遣い):
しんじのごうり
章:
第4章 滝の下
よみ(新仮名遣い):
たきのした
通し章番号:
1173
口述日:
1922(大正11)年12月07日(旧10月19日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
河鹿峠の谷間の滝(祠の森から3町ばかり下手)の前
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
河鹿峠の谷間の滝の前では、松公の部下であったイル、イク、サールの三人が雑談にふけっている。三人はくしくも松公が三五教の宣伝使治国別の弟であったことから三五教に投降した経緯を語り合っている。
そこへ武装した覆面の男が二人現れ、ランチ将軍の目付役だと名乗った。二人はイル、イク、サールを裏切り者として切りかかろうとしたが、そこへ谷道を登ってくる人声が聞こえてきた。
ヨル、テル、ハルの三人が、ランチ将軍の陣営を脱出して治国別に降参しようと駕籠をかついで登ってくる、その歌であった。ランチ将軍目付役のアリスとサムはこの歌を聞いて姿を隠してしまった。
やってきたヨル、テル、ハルを加えた六人は、祠の森の治国別のもとへ登って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-18 12:31:09
OBC :
rm4404
愛善世界社版:
45頁
八幡書店版:
第8輯 156頁
修補版:
校定版:
46頁
普及版:
22頁
初版:
ページ備考:
001
初冬
(
はつふゆ
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は、
002
河鹿川
(
かじかがは
)
の
谷間
(
たにま
)
を
落
(
お
)
つる
屏風
(
びやうぶ
)
の
様
(
やう
)
な
滝
(
たき
)
に
懸
(
かか
)
つて、
003
玉
(
たま
)
の
如
(
ごと
)
き
飛沫
(
ひまつ
)
をとばし、
004
其
(
その
)
飛沫
(
ひまつ
)
には
一々
(
いちいち
)
月
(
つき
)
が
宿
(
やど
)
つて、
005
星
(
ほし
)
の
飛
(
と
)
ぶ
様
(
やう
)
に
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
る、
006
ここは
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
から
三町
(
さんちやう
)
許
(
ばか
)
り
下手
(
しもて
)
である。
007
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
を
圧
(
あつ
)
して、
008
大声
(
おほごゑ
)
に
笑
(
わら
)
ひさざめいてゐる
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
ありける。
009
イル
『オイ、
010
イクにサール、
011
今晩
(
こんばん
)
は
怪体
(
けたい
)
な
晩
(
ばん
)
ぢやないか。
012
松公
(
まつこう
)
さまが
兄貴
(
あにき
)
に
会
(
あ
)
ひ、
013
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
から
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
して
了
(
しま
)
ひ、
014
俺
(
おれ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
巻込
(
まきこ
)
まれて
了
(
しま
)
つたが、
015
併
(
しか
)
し
考
(
かんが
)
へてみれば
危
(
あぶ
)
ないものだぞ。
016
何程
(
なにほど
)
三五教
(
あななひけう
)
が、
017
神力
(
しんりき
)
が
強
(
つよ
)
いと
云
(
い
)
つても、
018
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
019
治国別
(
はるくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
〆
(
しめ
)
て
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
以内
(
いない
)
だ。
020
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
率
(
ひき
)
ゆる、
021
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
に
進路
(
しんろ
)
を
遮
(
さへぎ
)
られ、
022
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねづみ
)
の
様
(
やう
)
に
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
近辺
(
きんぺん
)
に
退嬰
(
たいえい
)
して
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
で、
023
さう
兵糧
(
ひやうらう
)
は
続
(
つづ
)
くまいし、
024
今度
(
こんど
)
は
計画
(
けいくわく
)
をかへて、
025
捲土
(
けんど
)
重来
(
ぢうらい
)
と、
026
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
指揮
(
しき
)
の
下
(
もと
)
に
登
(
のぼ
)
つて
来
(
こ
)
ようものならそれこそ
大変
(
たいへん
)
だよ。
027
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
ア
敵
(
てき
)
に
帰順
(
きじゆん
)
したと
云
(
い
)
つて、
028
キツと
槍玉
(
やりだま
)
にあげられるに
違
(
ちがひ
)
ない。
029
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
すればバラモン
教
(
けう
)
から
睨
(
にら
)
まれる。
030
バラモン
教
(
けう
)
の
方
(
はう
)
へ
行
(
ゆ
)
けば
三五教
(
あななひけう
)
から
攻
(
せ
)
められるだらうし、
031
イクにも
行
(
ゆ
)
かれず、
032
逃
(
に
)
げるにも
逃
(
に
)
げられず、
033
エライ、
034
ヂレンマに
係
(
かか
)
つたものだ。
035
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
如何
(
どう
)
する
考
(
かんが
)
へだ』
036
イク
『
此
(
この
)
イクさまの
肚
(
はら
)
の
中
(
なか
)
にはイクラも
妙案
(
めうあん
)
奇策
(
きさく
)
が
包蔵
(
はうざう
)
してあるのだから、
037
さう
悲観
(
ひくわん
)
したものぢやない。
038
キツと
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
して
居
(
を
)
れば
活路
(
くわつろ
)
は
開
(
ひら
)
けるよ。
039
此
(
この
)
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
は
敵味方
(
てきみかた
)
勝敗
(
しようはい
)
の
分
(
わか
)
るる
所
(
ところ
)
だ、
040
が
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
041
此
(
この
)
喉首
(
のどくび
)
を
三五教
(
あななひけう
)
に
扼
(
やく
)
されて
了
(
しま
)
つたのだから、
042
仮令
(
たとへ
)
百万
(
ひやくまん
)
の
兵士
(
へいし
)
を
引
(
ひき
)
つれて、
043
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
で、
044
さう
一度
(
いちど
)
に
戦
(
たたか
)
へるものでなし、
045
小口
(
こぐち
)
から
将棋倒
(
しやうぎだふ
)
しにやられて
了
(
しま
)
ふのは
当然
(
たうぜん
)
だ。
046
それだから
身
(
み
)
の
安全
(
あんぜん
)
、
047
霊
(
みたま
)
の
健全
(
けんぜん
)
を
保
(
たも
)
つ
為
(
ため
)
に
三五教
(
あななひけう
)
にスーツパリと
帰順
(
きじゆん
)
したのだ。
048
貴様
(
きさま
)
はまだ
迷
(
まよ
)
うてイルのか、
049
信仰心
(
しんかうしん
)
の
足
(
た
)
らない
奴
(
やつ
)
だなア。
050
風呂
(
ふろ
)
の
蓋
(
ふた
)
でイル
時
(
とき
)
にイラン、
051
入
(
い
)
らぬ
時
(
とき
)
に
入
(
い
)
る
代物
(
しろもの
)
だよ』
052
イル
『それだと
云
(
い
)
つてヤツパリ
人
(
ひと
)
は
先
(
さき
)
の
事
(
こと
)
も
考
(
かんが
)
へておかねば、
053
サア
今
(
いま
)
となつて
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
した
所
(
ところ
)
が、
054
後
(
あと
)
の
祭
(
まつり
)
で
仕方
(
しかた
)
がないからのう』
055
サール
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
をお
疑
(
うたがひ
)
もなく、
056
そこらを
遊
(
あそ
)
ンで
来
(
こ
)
いと
云
(
い
)
つて
解放
(
かいはう
)
してくだサールような
寛大
(
くわんだい
)
な
度量
(
どりやう
)
のひろい
宣伝使
(
せんでんし
)
だから、
057
キツと
確信
(
かくしん
)
があるのだ。
058
モウそンな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
はいはずに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
任
(
まか
)
しておく
方
(
はう
)
が
何程
(
なにほど
)
安心
(
あんしん
)
だか
知
(
し
)
れないなア。
059
此
(
この
)
滝水
(
たきみづ
)
を
見
(
み
)
い、
060
実
(
じつ
)
に
綺麗
(
きれい
)
ぢやないか。
061
此
(
この
)
真白
(
まつしろ
)
に
光
(
ひか
)
つた
清
(
きよ
)
らかな
水
(
みづ
)
で
心
(
こころ
)
の
垢
(
あか
)
をサールと
洗
(
あら
)
ひきよめ、
062
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
されて、
063
自然
(
しぜん
)
の
境
(
きやう
)
に
逍遥
(
せうえう
)
し、
064
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
親友
(
しんいう
)
が
仮令
(
たとへ
)
半時
(
はんとき
)
でも、
065
かうしてゐられるのは
全
(
まつた
)
く
貴
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
だよ。
066
あゝ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い。
067
バラモン
教
(
けう
)
であつたならば、
068
何
(
ど
)
うして
今
(
いま
)
に
帰順
(
きじゆん
)
した
者
(
もの
)
に
対
(
たい
)
し、
069
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
をとらしてくれるものか、
070
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
ても
教
(
をしへ
)
の
大小
(
だいせう
)
が
分
(
わか
)
るぢやないか。
071
第一
(
だいいち
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
刃物
(
はもの
)
を
以
(
もつ
)
て
治
(
をさ
)
めようなぞとは
実
(
じつ
)
に
危険
(
きけん
)
千万
(
せんばん
)
だ。
072
おりや
最
(
も
)
う、
073
バラモンのバの
字
(
じ
)
を
聞
(
き
)
いても
厭
(
いや
)
になつたよ。
074
バのついたものに
碌
(
ろく
)
なものはありやしないよ。
075
ババアにババにバケモノ、
076
バクチにバンタ、
077
バリにバカと
云
(
い
)
ふよなもので、
078
穢
(
きたな
)
い
物
(
もの
)
計
(
ばか
)
りだ。
079
皆
(
みな
)
穴
(
あな
)
(
欠点
(
けつてん
)
)のある
奴
(
やつ
)
ばかりがかたまつて
居
(
を
)
るのだからなア、
080
俺
(
おれ
)
だつてバラモン
教
(
けう
)
へ
這入
(
はい
)
つてから、
081
世間
(
せけん
)
の
奴
(
やつ
)
や
友達
(
ともだち
)
に
大変
(
たいへん
)
に
擯斥
(
ひんせき
)
されたよ。
082
今
(
いま
)
ぢやバラモン
教
(
けう
)
以外
(
いぐわい
)
の
奴
(
やつ
)
ア サール
神
(
かみ
)
に
祟
(
たた
)
りありとか
云
(
い
)
つて、
083
交際
(
つきあ
)
つてくれないのだからなア』
084
イル
『バラモン
教
(
けう
)
へ
入信
(
はい
)
つてから
人
(
ひと
)
が
附合
(
つきあ
)
はぬようになつたのぢやない、
085
貴様
(
きさま
)
は
呑
(
の
)
んだくれのバクチ
打
(
うち
)
のババせせりのバカ
者
(
もの
)
だから、
086
世間
(
せけん
)
の
奴
(
やつ
)
から
排斥
(
はいせき
)
され、
087
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
がなくなつてバラモンへ
入信
(
はい
)
つたのだろ。
088
どうせ、
089
バラモンへ
入信
(
はい
)
るやうな
奴
(
やつ
)
ア、
090
皆
(
みな
)
行詰
(
ゆきつま
)
り
者
(
もの
)
だ。
091
行詰
(
ゆきつま
)
つて
約
(
つま
)
らぬようになつてから、
092
つまらぬとは
知
(
し
)
り
乍
(
なが
)
ら
入信
(
はい
)
るのだからなア』
093
サール
『さういへば、
094
幾分
(
いくぶん
)
かの
真理
(
しんり
)
がないでもないでごサールワイ。
095
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らイルだつて、
096
さうだろ、
097
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
からゲジゲジの
様
(
やう
)
に
厭
(
いや
)
がられ、
098
相手
(
あひて
)
がなくて、
099
バラモンへ
沈没
(
ちんぼつ
)
したのだから、
100
余
(
あま
)
り
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
人
(
ひと
)
の
批評
(
ひひやう
)
はせぬがよからうぞ。
101
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
用
(
よう
)
のない
人間
(
にんげん
)
はバラモンへでも
入信
(
はい
)
つて、
102
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
らねば
仕方
(
しかた
)
がないからなア』
103
イル
『
俺
(
おれ
)
だつて、
104
まだ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
必要
(
ひつえう
)
があるのだ。
105
イル
代物
(
しろもの
)
だ。
106
それだからイルと
名
(
な
)
がついてるのだよ。
107
弓
(
ゆみ
)
もイル、
108
風呂
(
ふろ
)
にもイル、
109
人
(
ひと
)
の
為
(
ため
)
には
肝
(
きも
)
もイル。
110
足
(
あし
)
の
裏
(
うら
)
に
豆
(
まめ
)
をイル。
111
……といふ
重宝
(
ちようほう
)
な
哥兄
(
にい
)
さまだ。
112
余
(
あま
)
りバカにして
貰
(
もら
)
うまいか、
113
こンな
事
(
こと
)
を
嬶
(
かか
)
が
聞
(
き
)
いたら
一遍
(
いつぺん
)
にお
暇
(
ひま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
しなくちやならないワ、
114
なア、
115
イク
公
(
こう
)
』
116
サール
『
貴様
(
きさま
)
偉相
(
えらさう
)
に
言
(
い
)
つてるが、
117
女房
(
にようばう
)
がそれでもあるのか、
118
サール
事実
(
じじつ
)
ありとは
根
(
ね
)
つから
噂
(
うはさ
)
にも
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がないぢやないか』
119
イル
『
女房
(
にようばう
)
が
内
(
うち
)
に
要
(
い
)
るからイルと
言
(
い
)
ふのだ。
120
嫁
(
よめ
)
がイル
婿
(
むこ
)
がイルといつて、
121
一軒
(
いつけん
)
の
内
(
うち
)
にはなくてならぬのだ。
122
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
俺
(
おれ
)
はまだ
年
(
とし
)
が
若
(
わか
)
いから、
123
女房
(
にようばう
)
の
候補者
(
こうほしや
)
はザツと
二打
(
にダース
)
ばかりあるのだが、
124
まだ
金勝要
(
きんかつかね
)
の
神
(
かみ
)
とやらが
決定
(
けつてい
)
を
与
(
あた
)
へてくれないので
待命中
(
たいめいちう
)
だ』
125
サール
『
待命中
(
たいめいちう
)
なら
月給
(
げつきふ
)
の
三分
(
さんぶ
)
の
二
(
に
)
はくれるだらう。
126
チツとサールにも
分配
(
ぶんぱい
)
したらどうだい』
127
イル
『イヅレ
金勝要
(
きんかつかねの
)
神
(
かみ
)
さまだから、
128
金
(
かね
)
は
沢山
(
たくさん
)
に
持
(
も
)
つて
厶
(
ござ
)
るよ。
129
俺
(
おれ
)
のは
一遍
(
いつぺん
)
にチヨビ チヨビ
貰
(
もら
)
ふのは
邪魔
(
じやま
)
臭
(
くさ
)
いから、
130
一時金
(
いちじきん
)
として
頂
(
いただ
)
くように、
131
天国
(
てんごく
)
の
倉庫
(
さうこ
)
に
預
(
あづ
)
けてあるのだ。
132
欲
(
ほ
)
しければ
貴様
(
きさま
)
勝手
(
かつて
)
に
働
(
はたら
)
いて
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
取
(
と
)
つたがよからう、
133
イルだけ
取
(
と
)
らしてやらう』
134
かく
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ
覆面
(
ふくめん
)
の
男
(
をとこ
)
二人
(
ふたり
)
、
135
手槍
(
てやり
)
を
杖
(
つゑ
)
につき
乍
(
なが
)
ら
木蔭
(
こかげ
)
よりノソリノソリ
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
たり、
136
黒頭巾
(
くろづきん
)
は
大喝
(
だいかつ
)
一声
(
いつせい
)
「コラツ」と
叫
(
さけ
)
ぶを、
137
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
思
(
おも
)
はず
声
(
こゑ
)
の
方
(
はう
)
に
視線
(
しせん
)
を
注
(
そそ
)
げば
二人
(
ふたり
)
の
大男
(
おほをとこ
)
が
立
(
た
)
つてゐる。
138
イル
『コレヤどこの
奴
(
やつ
)
か
知
(
し
)
らぬが、
139
イル
様
(
さま
)
が
機嫌
(
きげん
)
よく
夜遊
(
よあそ
)
びをしてるのに、
140
コラとは
何
(
なん
)
だ、
141
一体
(
いつたい
)
貴様
(
きさま
)
は
誰
(
たれ
)
だい。
142
大方
(
おほかた
)
三五教
(
あななひけう
)
の
目付
(
めつけ
)
だろ、
143
俺
(
おれ
)
は
勿体
(
もつたい
)
なくも
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
子分
(
こぶん
)
だ。
144
清春山
(
きよはるやま
)
の
番
(
ばん
)
をしてゐる、
145
イル、
146
イク、
147
サールのお
三体
(
さんたい
)
様
(
さま
)
だぞ。
148
サア
是
(
これ
)
から
貴様
(
きさま
)
等
(
たち
)
両人
(
りやうにん
)
をふン
縛
(
しば
)
り、
149
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
前
(
まへ
)
へ
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
くから、
150
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
151
男(アリス又はサム)
『
今
(
いま
)
木蔭
(
こかげ
)
に
於
(
おい
)
て
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
けば、
152
最早
(
もはや
)
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
しよつた
反逆人
(
はんぎやくにん
)
、
153
そンな
言訳
(
いひわけ
)
を
致
(
いた
)
して、
154
あべこべに
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
三五教
(
あななひけう
)
の
捕手
(
とりて
)
呼
(
よ
)
ばはり
致
(
いた
)
すとは、
155
中々
(
なかなか
)
以
(
もつ
)
て
世智
(
せち
)
に
丈
(
た
)
けた
代物
(
しろもの
)
だ、
156
サアかうならば
最早
(
もはや
)
了見
(
れうけん
)
は
致
(
いた
)
さぬ。
157
此
(
この
)
方
(
はう
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
目付役
(
めつけやく
)
アリス、
158
サムの
両人
(
りやうにん
)
だ。
159
俺
(
おれ
)
の
武勇
(
ぶゆう
)
は
天下
(
てんか
)
に
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
るだろ。
160
一騎
(
いつき
)
当千
(
たうせん
)
の
英傑
(
えいけつ
)
はアリス、
161
サムの
事
(
こと
)
だ。
162
サア
覚悟
(
かくご
)
をせい』
163
イル
『アハヽヽヽ
吐
(
ぬか
)
したりな
吐
(
ぬか
)
したりな。
164
アリス、
165
サムの
野郎
(
やらう
)
、
166
グヅグヅぬかすと、
167
生言霊
(
いくことたま
)
の
発射
(
はつしや
)
をしてやらうか、
168
モウ
斯
(
か
)
うなつてイル
以上
(
いじやう
)
は
隠
(
かく
)
すに
及
(
およ
)
ばぬ、
169
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
三五教
(
あななひけう
)
宣伝使
(
せんでんし
)
治国別
(
はるくにわけ
)
の
三羽烏
(
さんばがらす
)
だ。
170
グヅグヅぬかすと
手
(
て
)
は
見
(
み
)
せぬぞ』
171
アリス
『
何
(
なん
)
と
俄
(
にはか
)
に
噪
(
はしや
)
ぎ
出
(
だ
)
したものだのう。
172
そして
貴様
(
きさま
)
等
(
たち
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
ばかりここにゐるのか。
173
何
(
なに
)
か
後押
(
あとおし
)
する
者
(
もの
)
がなくては、
174
貴様
(
きさま
)
の
口
(
くち
)
からそンな
強
(
つよ
)
い
事
(
こと
)
が
言
(
い
)
へる
筈
(
はず
)
がない。
175
サア
其
(
その
)
事情
(
じじやう
)
を、
176
ハツキリと
申上
(
まをしあ
)
げるのだぞ』
177
イル
『
大
(
おほい
)
に
後援者
(
こうゑんしや
)
がアリスだ。
178
イル
丈
(
だけ
)
イクらでも
加勢
(
かせい
)
をして
下
(
くだ
)
サールのだから、
179
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
180
貴様
(
きさま
)
のやうな
弱将
(
じやくしやう
)
の
下
(
もと
)
に
仕
(
つか
)
へてゐるイルさまぢやない、
181
サア
美事
(
みごと
)
生捕
(
いけどら
)
れるなら
生捕
(
いけど
)
つてみよ。
182
今
(
いま
)
俺
(
おれ
)
が
呼子
(
よびこ
)
の
笛
(
ふえ
)
を
一
(
ひと
)
つ
吹
(
ふ
)
いたが
最後
(
さいご
)
、
183
数百万
(
すうひやくまん
)
の
獅子
(
しし
)
は
唸
(
うな
)
りを
立
(
た
)
てて
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
184
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
が
如
(
ごと
)
き
弱武者
(
よわむしや
)
を
木端
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
に
噛
(
か
)
み
砕
(
くだ
)
き、
185
谷川
(
たにがは
)
を
紅
(
くれなゐ
)
に
染
(
そめ
)
なす
迄
(
まで
)
の
事
(
こと
)
だ。
186
サア
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
指一本
(
ゆびいつぽん
)
でもさへられるものならさへてみよ』
187
と
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をし
乍
(
なが
)
ら
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
に
立
(
たち
)
はだかり、
188
槍
(
やり
)
の
切先
(
きつさき
)
も
恐
(
おそ
)
れず
頬桁
(
ほほげた
)
を
叩
(
たた
)
いてゐる。
189
谷道
(
たにみち
)
の
遥
(
はるか
)
下方
(
かほう
)
より
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
人声
(
ひとごゑ
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たるにぞ、
190
アリス、
191
サムを
始
(
はじ
)
め、
192
イル、
193
イク、
194
サールの
彼我
(
ひが
)
一行
(
いつかう
)
は
期
(
き
)
せずして、
195
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
に
耳
(
みみ
)
をすましける。
196
(ヨル、テル、ハル)
『
高天原
(
たかあまはら
)
の
大空
(
おほぞら
)
に
197
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
に
輝
(
かがや
)
ける
198
天王星
(
てんわうせい
)
の
御国
(
みくに
)
より
199
下
(
くだ
)
りましたる
神柱
(
かむばしら
)
200
梵天
(
ぼんてん
)
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
201
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
202
いつき
祭
(
まつ
)
つたバラモンの
203
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
204
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
神柱
(
かむばしら
)
205
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
御言
(
みこと
)
もて
206
逍
(
さまよ
)
ひ
巡
(
めぐ
)
る
軍人
(
いくさびと
)
207
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
現
(
あ
)
れませる
208
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
をば
209
屠
(
ほふ
)
らむものとハルナ
城
(
じやう
)
210
都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
に
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
211
大将軍
(
だいしやうぐん
)
を
始
(
はじ
)
めとし
212
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
213
表面
(
うはべ
)
ばかりは
錚々
(
さうさう
)
と
214
強
(
つよ
)
さうに
見
(
み
)
える
軍師
(
ぐんし
)
らが
215
猛虎
(
まうこ
)
の
如
(
ごと
)
き
勢
(
いきほひ
)
で
216
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
急坂
(
きふはん
)
を
217
上
(
のぼ
)
りてウブスナ
山脈
(
さんみやく
)
の
218
大高原
(
だうかうげん
)
の
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
219
占領
(
せんりやう
)
せむと
思
(
おも
)
ひ
立
(
た
)
ち
220
片彦
(
かたひこ
)
久米彦
(
くめひこ
)
二柱
(
ふたはしら
)
221
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
の
将軍
(
しやうぐん
)
と
222
選
(
えら
)
まれイソイソ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
223
モウ
一息
(
ひといき
)
といふ
所
(
とこ
)
で
224
治国別
(
はるくにわけ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
225
打
(
う
)
たれて
脆
(
もろ
)
くも
潰走
(
くわいそう
)
し
226
今
(
いま
)
は
是非
(
ぜひ
)
なく
山口
(
やまぐち
)
の
227
浮木
(
うきき
)
ケ
原
(
はら
)
の
真中
(
まんなか
)
に
228
俄作
(
にはかづく
)
りの
陣営
(
ぢんえい
)
を
229
構
(
かま
)
へて
敵
(
てき
)
を
捉
(
とら
)
へむと
230
手具脛
(
てぐすね
)
引
(
ひ
)
いて
待
(
ま
)
ち
居
(
を
)
れり
231
吾
(
わ
)
れは
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
232
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へしテル、ハルよ
233
負
(
まけ
)
た
戦
(
いくさ
)
の
門番
(
もんばん
)
を
234
任
(
まか
)
され
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ
狂
(
くる
)
ひ
235
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
脱線
(
だつせん
)
し
236
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
237
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
誹謗
(
ひばう
)
する
238
其
(
その
)
場
(
ば
)
へヌツと
現
(
あら
)
はれた
239
大
(
だい
)
監督
(
かんとく
)
のヨル
司
(
つかさ
)
240
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を
怒
(
いか
)
らして
241
片彦
(
かたひこ
)
下
(
もと
)
へわれわれを
242
引立
(
ひきた
)
て
行
(
ゆ
)
かむと
威
(
おど
)
しよる
243
此奴
(
こいつ
)
ア
鰌
(
どぢやう
)
ぢやなけれ
共
(
ども
)
244
酒
(
さけ
)
でいためてくれむぞと
245
仁王
(
にわう
)
の
如
(
ごと
)
く
立
(
た
)
つてゐる
246
ヨルの
左右
(
さいう
)
に
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
の
247
瓶
(
びん
)
を
見
(
み
)
せつけつめよれば
248
流石
(
さすが
)
のヨルも
辟易
(
へきえき
)
し
249
コローツと
参
(
まゐ
)
つて
了
(
しま
)
ふたり
250
二打
(
にダース
)
ばかりの
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
を
251
瞬
(
またた
)
く
内
(
うち
)
に
平
(
たひ
)
らげて
252
足
(
あし
)
もよろよろヨルさまは
253
ヨル
辺
(
べ
)
渚
(
なぎさ
)
の
捨小舟
(
すてをぶね
)
254
殺
(
ころ
)
そと
生
(
い
)
かそとテル、ハルの
255
瞬
(
またた
)
く
内
(
うち
)
に
掌中
(
しやうちう
)
に
256
其
(
その
)
運命
(
うんめい
)
を
握
(
にぎ
)
られて
257
くたばり
返
(
かへ
)
つた
面白
(
おもしろ
)
さ
258
流石
(
さすが
)
のヨルもそろそろと
259
酒
(
さけ
)
に
誘
(
さそ
)
はれ
本音
(
ほんね
)
をば
260
吹出
(
ふきだ
)
し
心
(
こころ
)
の
奥底
(
おくそこ
)
を
261
物語
(
ものがた
)
りたる
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
262
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
驚
(
おどろ
)
きは
263
譬
(
たと
)
ふる
物
(
もの
)
もなかりけり
264
いよいよこれから
急坂
(
きふはん
)
だ
265
テルさまシツカリしておくれ
266
オイオイ、ヨルさま
気
(
き
)
をつけて
267
紐
(
ひも
)
にしつかり
取縋
(
とりすが
)
り
268
身
(
み
)
の
安定
(
あんてい
)
を
保
(
たも
)
てよや
269
づぶ
六
(
ろく
)
さまに
酔
(
よ
)
ひつぶれ
270
二人
(
ふたり
)
に
舁
(
かか
)
れて
山坂
(
やまさか
)
を
271
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
くとはこれは
又
(
また
)
272
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
の
大珍事
(
だいちんじ
)
273
アイタタタツタ
躓
(
つまづ
)
いた
274
オイオイ、テルさまモウここで
275
ヨルをおろしたらどうだろう
276
これから
先
(
さき
)
は
馬
(
うま
)
だとて
277
容易
(
ようい
)
に
登
(
のぼ
)
ることは
出来
(
でき
)
ぬ
278
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
279
御霊
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
ひましませよ
280
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
281
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
282
大黒主
(
おほくろぬし
)
は
強
(
つよ
)
く
共
(
とも
)
283
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
道
(
みち
)
に
284
進
(
すす
)
みし
上
(
うへ
)
は
千万
(
せんまん
)
の
285
艱難
(
かんなん
)
苦労
(
くらう
)
が
迫
(
せま
)
る
共
(
とも
)
286
などや
恐
(
おそ
)
れむ
敷島
(
しきしま
)
の
287
清
(
きよ
)
き
涼
(
すず
)
しき
神心
(
かみごころ
)
288
滝
(
たき
)
の
流
(
なが
)
れに
身
(
み
)
を
洗
(
あら
)
ひ
289
霊
(
みたま
)
を
浄
(
きよ
)
めて
休息
(
きうそく
)
し
290
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
隠
(
かく
)
れます
291
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
292
進
(
すす
)
みて
行
(
ゆ
)
かむ
面白
(
おもしろ
)
や
293
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
祀
(
まつ
)
りたる
294
梵天
(
ぼんてん
)
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
295
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ
吾々
(
われわれ
)
の
296
清
(
きよ
)
き
願
(
ねがひ
)
を
一言
(
ひとこと
)
も
297
おとさず
洩
(
も
)
らさず
諾
(
うべな
)
ひて
298
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
進
(
すす
)
むべく
299
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
300
世
(
よ
)
の
大元
(
おほもと
)
の
皇神
(
すめかみ
)
の
301
御前
(
みまへ
)
に
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
302
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
303
御霊
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
ひましませよ』
304
ヨル、
305
テル、
306
ハルの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
し、
307
治国別
(
はるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
に
会
(
あ
)
ひ、
308
バラモン
教
(
けう
)
の
策戦
(
さくせん
)
計画
(
けいくわく
)
を
密告
(
みつこく
)
し、
309
自分
(
じぶん
)
も
亦
(
また
)
三五教
(
あななひけう
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
さむと、
310
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひつぶれた
監督
(
かんとく
)
のヨルを
山駕籠
(
やまかご
)
にて
舁
(
か
)
つぎ
乍
(
なが
)
らやうやう
滝
(
たき
)
の
下
(
した
)
まで
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た。
311
此
(
この
)
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
くや
否
(
いな
)
や、
312
アリス、
313
サムの
両人
(
りやうにん
)
は
道
(
みち
)
なき
山
(
やま
)
を
駆
(
か
)
け
上
(
のぼ
)
り、
314
何処
(
どこ
)
ともなく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
315
ここに
彼我
(
ひが
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
暫
(
しば
)
し
休息
(
きうそく
)
の
上
(
うへ
)
、
316
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
を
指
(
さ
)
して
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
317
(
大正一一・一二・七
旧一〇・一九
松村真澄
録)
318
(昭和九・一二・二二 王仁校正)
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