霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
第1章 笑の恵
第2章 月の影
第3章 守衛の囁
第4章 滝の下
第5章 不眠症
第6章 山下り
第7章 山口の森
第2篇 月明清楓
第8章 光と熱
第9章 怪光
第10章 奇遇
第11章 腰ぬけ
第12章 大歓喜
第13章 山口の別
第14章 思ひ出の歌
第3篇 珍聞万怪
第15章 変化
第16章 怯風
第17章 罵狸鬼
第18章 一本橋
第19章 婆口露
第20章 脱線歌
第21章 小北山
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスク完了しました
。どうもありがとうございます。
|
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第44巻(未の巻)
> 第3篇 珍聞万怪 > 第19章 婆口露
<<< 一本橋
(B)
(N)
脱線歌 >>>
第一九章
婆口露
(
ばくろ
)
〔一一八八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第3篇 珍聞万怪
よみ(新仮名遣い):
ちんぶんばんかい
章:
第19章 婆口露
よみ(新仮名遣い):
ばくろ
通し章番号:
1188
口述日:
1922(大正11)年12月09日(旧10月21日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
松彦は山道の傍らの大岩のそばに五人の従者を集めて話にふけっていた。そこへお寅とお菊がやってきた。お寅は万公が自分の長女をたぶらかして夫婦となり、子供を産ませたが母子は出産がもとで死んでしまった話を一同に話して聞かせた。
松彦は、万公は今は治国別という立派な先生の弟子だから、万公の改心については心配しないようにと諭した。お寅とお菊は帰って行った。
万公は一同にからかわれる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-17 19:39:57
OBC :
rm4419
愛善世界社版:
256頁
八幡書店版:
第8輯 230頁
修補版:
校定版:
268頁
普及版:
113頁
初版:
ページ備考:
001
松彦
(
まつひこ
)
は
山道
(
やまみち
)
の
傍
(
かたはら
)
に
屹立
(
きつりつ
)
せる
大岩
(
おほいは
)
の
傍
(
そば
)
に、
002
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
従者
(
じゆうしや
)
を
集
(
あつ
)
め
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
003
松彦
『アクさま、
004
随分
(
ずゐぶん
)
危
(
あぶ
)
ない
事
(
こと
)
だつたな。
005
マア
結構
(
けつこう
)
だつたよ』
006
アク
『
婆
(
ばば
)
におどかされて
走
(
はし
)
る
途端
(
とたん
)
に
足
(
あし
)
をふみ
外
(
はづ
)
し、
007
随分
(
ずゐぶん
)
冷
(
ひや
)
つ
こい
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
ひました。
008
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
水泳
(
すゐえい
)
に
得意
(
とくい
)
な
私
(
わたし
)
ですから
助
(
たす
)
かつたのですよ。
009
タク、
010
テクの
両人
(
りやうにん
)
だつたら、
011
サツパリ
駄目
(
だめ
)
ですわ』
012
松彦
『そらさうぢや。
013
マアよかつた。
014
万公
(
まんこう
)
さま、
015
お
前
(
まへ
)
は
偉
(
えら
)
う
親子
(
おやこ
)
の
女
(
をんな
)
にやられて
居
(
を
)
つたぢやないか。
016
随分
(
ずゐぶん
)
弱
(
よわ
)
い
男
(
をとこ
)
だなア』
017
万公
『ヘーヘ、
018
悪
(
あく
)
に
弱
(
よわ
)
い、
019
善
(
ぜん
)
に
強
(
つよ
)
い
万公
(
まんこう
)
ですもの、
020
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
でなかつたら、
021
婆
(
ばば
)
を
河
(
かは
)
へほりこンで
了
(
しま
)
ふ
とこ
でしたけれども、
022
成
(
な
)
る
可
(
べ
)
く
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
して、
023
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
を
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
つてをつたのですよ。
024
さうしたところ
婆
(
ばば
)
と
娘
(
むすめ
)
とが
按摩
(
あんま
)
をしてくれました。
025
肩
(
かた
)
をうつやら
腰
(
こし
)
をもむやら、
026
足
(
あし
)
を
引
(
ひつ
)
ぱるやら、
027
おかげで
体
(
からだ
)
が
楽
(
らく
)
になりましたよ』
028
五三公
(
いそこう
)
はふき
出
(
だ
)
し、
029
五三公
『アハヽヽヽ
負惜
(
まけをし
)
みのつよい
男
(
をとこ
)
だな。
030
キヤアキヤア
云
(
い
)
つて
泣
(
な
)
いて
居
(
を
)
つたぢやないか』
031
万公
『ナーニあれは
こそばいとこ
を
揉
(
も
)
むものだから
笑
(
わら
)
つてゐたのだよ。
032
貴様
(
きさま
)
には
泣
(
な
)
いた
様
(
やう
)
に
聞
(
きこ
)
えるか』
033
五三公
『それでも
人殺
(
ひとごろし
)
、
034
助
(
たす
)
けてくれと
云
(
い
)
つたぢやないか』
035
万公
『ウン
一寸
(
ちよつと
)
テンゴに
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
たのだ。
036
その
証拠
(
しようこ
)
には
婆
(
ばあ
)
さまと
娘
(
むすめ
)
とが
泣
(
な
)
いてをつたぢやろ。
037
俺
(
おれ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
も
泣
(
な
)
きはせぬよ、
038
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
たるもの
女
(
をんな
)
位
(
ぐらゐ
)
に
泣
(
な
)
かされてたまるかい』
039
五三公
(
いそこう
)
は、
040
五三公
『モシモシ
松彦
(
まつひこ
)
さま、
041
此奴
(
こいつ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
探
(
さぐ
)
つて
来
(
き
)
ました。
042
仕方
(
しかた
)
のない
奴
(
やつ
)
ですでー』
043
松彦
『ナニツ、
044
秘密
(
ひみつ
)
をさぐつたと、
045
そりや
面白
(
おもしろ
)
い。
046
どンな
事
(
こと
)
だ、
047
差支
(
さしつかへ
)
なくば
聞
(
き
)
かしてくれ』
048
万公
『コリヤコリヤ
五三公
(
いそこう
)
、
049
他人
(
ひと
)
の
秘密
(
ひみつ
)
をあばくやうな
不道徳
(
ふだうとく
)
はないぞ、
050
慎
(
つつし
)
まぬかい』
051
五三公
『それなら
仕方
(
しかた
)
がない、
052
五三公
(
いそこう
)
も
沈黙
(
ちんもく
)
しようかな、
053
お
里
(
さと
)
がわかると
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だからなア』
054
万公
『コリヤお
里
(
さと
)
の
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はぬやうにしてくれ。
055
さう
親友
(
しんいう
)
の
事
(
こと
)
を
公衆
(
こうしう
)
の
前
(
まへ
)
にさらけ
出
(
だ
)
すものぢやないわ』
056
五三公
『
松彦
(
まつひこ
)
さま、
057
あー
云
(
い
)
つて
頼
(
たの
)
みますから、
058
五三公
(
いそこう
)
も
友情
(
いうじやう
)
を
以
(
もつ
)
て、
059
或
(
ある
)
時期
(
じき
)
まで
保留
(
ほりう
)
しておきませう。
060
その
代
(
かは
)
りに、
061
万公
(
まんこう
)
が
私
(
わたし
)
の
命令
(
めいれい
)
を
奉
(
ほう
)
じない
時
(
とき
)
には、
062
さらけ
出
(
だ
)
します。
063
なア
万公
(
まんこう
)
、
064
その
条件附
(
でうけんつき
)
で
暫
(
しばら
)
く
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
ることにしようかい』
065
万公
『どうぞ
頼
(
たの
)
む、
066
万公
(
まんこう
)
末代
(
まつだい
)
云
(
い
)
はぬやうに』
067
五三公
『ヨシヨシその
代
(
かは
)
りに
俺
(
おれ
)
の
尻
(
しり
)
を
拭
(
ふ
)
けといつても
拭
(
ふ
)
くのだぞ。
068
滅多
(
めつた
)
に
違背
(
ゐはい
)
はあるまいなア』
069
万公
『ヘン
馬鹿
(
ばか
)
らしい。
070
誰
(
たれ
)
が
貴様
(
きさま
)
の
尻
(
けつ
)
をアタ
汚
(
きたな
)
い
拭
(
ふ
)
く
奴
(
やつ
)
があるかい。
071
体
(
からだ
)
ばかりか
心
(
こころ
)
迄
(
まで
)
汚
(
きたな
)
い
代物
(
しろもの
)
だからなア。
072
吝
(
けち
)
ン
坊
(
ばう
)
で
悪口
(
わるくち
)
言
(
い
)
ひで
穴
(
あな
)
さがしで、
073
奸黠
(
かんきつ
)
で、
074
狡猾
(
かうくわつ
)
で、
075
不道徳
(
ふだうとく
)
で、
076
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
家
(
か
)
で、
077
強欲
(
がうよく
)
で
丸
(
まる
)
で
旃陀羅
(
せんだら
)
の
けつ
に
醤油
(
しやうゆ
)
の
実
(
み
)
をつけて
甜
(
ねぶ
)
つてるやうな
奴
(
やつ
)
だ。
078
こンな
奴
(
やつ
)
に
秘密
(
ひみつ
)
を
握
(
にぎ
)
られて
居
(
ゐ
)
ると
一生
(
いつしやう
)
頭
(
あたま
)
が
上
(
あが
)
らぬから、
079
イツソの
事
(
こと
)
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
から
松彦
(
まつひこ
)
さまの
前
(
まへ
)
で
公開
(
こうかい
)
をするから
構
(
かま
)
うて
呉
(
く
)
れな。
080
オイ
五三公
(
いそこう
)
さま、
081
えらい
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をかけました。
082
別
(
べつ
)
に
人
(
ひと
)
のものをチヨロマカシたのでも
無
(
な
)
し、
083
聞
(
き
)
いたら
涎
(
よだれ
)
の
出
(
で
)
るよなボロイ
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
だから、
084
別
(
べつ
)
に
恥
(
はぢ
)
にもなるまい。
085
誰
(
たれ
)
だつて
多少
(
たせう
)
のローマンスはあるのだからなア。
086
女
(
をんな
)
なンか
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
いと
云
(
い
)
ふやうな
顔
(
かほ
)
をしてゐ
乍
(
なが
)
ら、
087
人
(
ひと
)
の
見
(
み
)
ぬところでは、
088
女
(
をんな
)
に
湯巻
(
ゆまき
)
の
紐
(
ひぼ
)
でしばかれて
涎
(
よだれ
)
を
繰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
が
多
(
おほ
)
いのだから、
089
多少
(
たせう
)
の
恋物語
(
こひものがたり
)
があるのは
寧
(
むし
)
ろ
誇
(
ほこ
)
りだ。
090
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
唐変木
(
たうへんぼく
)
では、
091
春
(
はる
)
が
来
(
き
)
ても
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
きはせぬぞ』
092
五三公
『
何
(
ど
)
うなと
勝手
(
かつて
)
にほざいたが
好
(
よ
)
いわい。
093
俺
(
おれ
)
やもう
干渉
(
かんせう
)
せぬわ。
094
その
代
(
かは
)
り
貴様
(
きさま
)
が
失敗
(
しつぱい
)
しても
五三公
(
いそこう
)
は
高見
(
たかみ
)
から
見物
(
けんぶつ
)
するから、
095
さう
思
(
おも
)
つたがよからう』
096
アク
『なンだか
様子
(
やうす
)
ありげな
口振
(
くちぶり
)
だな。
097
そのローマンスとやらをアクも
聞
(
きき
)
たいものだよ』
098
万公
(
まんこう
)
は
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
り、
099
万公
『きかしてやらう、
100
謹聴
(
きんちやう
)
せい』
101
と
今
(
いま
)
や
話
(
はなし
)
の
糸口
(
いとぐち
)
を
解
(
ほど
)
かむとしてゐる
所
(
ところ
)
へ、
102
以前
(
いぜん
)
のお
寅
(
とら
)
、
103
お
菊
(
きく
)
はスタスタとやつて
来
(
き
)
た。
104
お寅
『モシモシ、
105
万
(
まん
)
は
其処
(
そこ
)
に
居
(
を
)
りますかなア、
106
あの
悪
(
あく
)
たれ
男
(
をとこ
)
は』
107
五三公
『そーれ、
108
やつて
来
(
き
)
たぞ。
109
万公
(
まんこう
)
、
110
喜
(
よろこ
)
べ、
111
モ
一遍
(
いつぺん
)
按摩
(
あんま
)
をして
貰
(
もら
)
つたら
何
(
ど
)
うだイ』
112
万公
『お
婆
(
ばあ
)
さま、
113
モウ
沢山
(
たくさん
)
で
厶
(
ござ
)
います、
114
イヤもうズンと
万公
(
まんこう
)
も
改心
(
かいしん
)
いたしました。
115
何卒
(
どうぞ
)
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
116
お寅
『イヤイヤ
未
(
ま
)
だ
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
らぬ。
117
娘
(
むすめ
)
と
二人
(
ふたり
)
よつて
折檻
(
せつかん
)
をしてやるのに
結構
(
けつこう
)
な
按摩
(
あんま
)
で
肩
(
かた
)
の
凝
(
こり
)
が
下
(
さが
)
つたと
捨台詞
(
すてぜりふ
)
を
残
(
のこ
)
して
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
くよな
男
(
をとこ
)
だからな。
118
死
(
し
)
なねば
治
(
なを
)
らぬカク
病
(
やまひ
)
だ、
119
エーエ、
120
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れた
事
(
こと
)
だが
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
荒療治
(
あられうぢ
)
をしてやらう。
121
オイ
万
(
まん
)
、
122
此方
(
こつち
)
やへ
来
(
こ
)
い』
123
万公
(
まんこう
)
は
小
(
ちひ
)
さくなつて
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
いてゐる。
124
お寅
『アハヽヽヽ、
125
やつぱり
何処
(
どこ
)
か
心
(
こころ
)
に
光明
(
くわうみやう
)
があると
見
(
み
)
えて、
126
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
つて
顔
(
かほ
)
を
隠
(
かく
)
しよる。
127
マア
頼
(
たの
)
もしいものだ。
128
コレコレお
前
(
まへ
)
さまは
万
(
まん
)
の
親方
(
おやかた
)
と
見
(
み
)
えるが、
129
こンな
厄介物
(
やくかいもの
)
を
連
(
つ
)
れて
旅
(
たび
)
をなさるのは、
130
嘸
(
さぞ
)
お
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れる
事
(
こと
)
でせう。
131
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
が
物語
(
ものがたり
)
をするのを
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ。
132
此奴
(
こいつ
)
の
欠点
(
けつてん
)
をよく
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
ンでおいて
貰
(
もら
)
ひませぬと、
133
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になるといけませぬから、
134
後
(
あと
)
へ
引返
(
ひつかへ
)
して
参
(
まゐ
)
りました』
135
松彦
『
何事
(
なにごと
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが
承
(
うけたま
)
はりませう。
136
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
には
一
(
ひと
)
つの
秘密
(
ひみつ
)
があるさうですなア』
137
万公
『お
寅
(
とら
)
さま、
138
殺生
(
せつしやう
)
な、
139
コレお
菊
(
きく
)
、
140
どうぞお
前
(
まへ
)
仲裁
(
ちうさい
)
して
止
(
と
)
めてくれぬか。
141
あンな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はれちや
顔
(
かほ
)
が
赤
(
あか
)
くなつて、
142
ついて
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬからなア』
143
お菊
『お
母
(
かあ
)
さま、
144
一
(
ひと
)
つか
二
(
ふた
)
つ
程
(
ほど
)
にして、
145
みんな
云
(
い
)
はないやうにして
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
146
押
(
おし
)
かけ
婿
(
むこ
)
に
入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
やら、
147
私
(
わたし
)
を
手込
(
てごめ
)
にしかけた
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はないやうにしてねー』
148
万公
『コラお
菊
(
きく
)
、
149
そンな
秘密
(
ひみつ
)
が
何処
(
どこ
)
にあるか。
150
肝腎
(
かんじん
)
の
事
(
こと
)
を
皆
(
みな
)
云
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つたぢやないか、
151
万公
(
まんこう
)
さまを
馬鹿
(
ばか
)
にするない』
152
お菊
『
私
(
わたし
)
は
子供上
(
こどもあが
)
りだから
何
(
なに
)
云
(
い
)
ふかしれないよ。
153
気
(
き
)
にかけずに
許
(
ゆる
)
して
頂戴
(
ちやうだい
)
ね』
154
五三公
『アハヽヽヽ、
155
ウフヽヽヽ
到頭
(
たうとう
)
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
をむかれよるのか。
156
イヒヽヽヽ』
157
と
五三公
(
いそこう
)
、
158
アク、
159
タク、
160
テクの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち
踊
(
をど
)
り
上
(
あが
)
つて
喜
(
よろこ
)
ぶ。
161
お寅
『
松彦
(
まつひこ
)
の
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
162
此
(
こ
)
の
婆
(
ばば
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
一通
(
ひととほ
)
り
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
163
此
(
こ
)
の
万
(
まん
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は
酢
(
す
)
でも
菎蒻
(
こんにやく
)
でも
行
(
ゆ
)
かぬ
動物
(
どうぶつ
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ。
164
一昨年
(
おととし
)
の
冬
(
ふゆ
)
だつたか、
165
凩
(
こがらし
)
のピユーピユーと
吹
(
ふ
)
く
夕間
(
ゆふま
)
ぐれ、
166
家
(
うち
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
見
(
み
)
すぼらしい
乞食
(
こじき
)
が
ふるう
てゐると、
167
僕
(
しもべ
)
の
者
(
もの
)
が
奥
(
おく
)
へ
知
(
しら
)
しに
来
(
き
)
たものですから、
168
私
(
わたし
)
も
小北山
(
こぎたやま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信心
(
しんじん
)
して
居
(
ゐ
)
るのだから、
169
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けるのは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
だと
思
(
おも
)
ひ
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
を
一
(
ひと
)
つ
持
(
も
)
つて
門口
(
かどぐち
)
迄
(
まで
)
出
(
で
)
て
見
(
み
)
れば、
170
若布
(
わかめ
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
か、
171
シメシの
親分
(
おやぶん
)
と
云
(
い
)
ふよなツヅレの
錦
(
にしき
)
を
着
(
き
)
て、
172
蓆
(
むしろ
)
をかぶつて
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
る
奴乞食
(
どこじき
)
があるぢやありませぬか。
173
そこでアー
可愛相
(
かあいさう
)
に
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
息
(
いき
)
から
生
(
うま
)
れた
人間
(
にんげん
)
だ、
174
助
(
たす
)
けてやるのが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
への
孝行
(
かうかう
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
175
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
を
一
(
ひと
)
つお
盆
(
ぼん
)
にのせて、
176
アタ
汚
(
きたな
)
い
乞食
(
こじき
)
に
御
(
ご
)
叮嚀
(
ていねい
)
に、
177
さア
嘸
(
さぞ
)
おひもじう
厶
(
ござ
)
いませう。
178
さあ、
179
これでも
食
(
た
)
べて
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいと
云
(
い
)
ふと、
180
その
乞食
(
こじき
)
は
黒
(
くろ
)
い
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
から、
181
眼
(
め
)
をむき
出
(
だ
)
し、
182
吐
(
ぬか
)
すことには「アー
世界
(
せかい
)
に
鬼
(
おに
)
はない、
183
誠
(
まこと
)
に
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
184
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
は
忘
(
わす
)
れませぬ」と
米搗
(
こめつき
)
バツタの
様
(
やう
)
に
腰
(
こし
)
をペコペコ
百遍
(
ひやつぺん
)
計
(
ばか
)
りも
曲
(
ま
)
げて
拝
(
をが
)
むぢやありませぬか、
185
私
(
わたし
)
も
不愍
(
ふびん
)
が
重
(
かさ
)
なつて
何
(
なん
)
とかして
湯巻
(
ゆまき
)
の
古手
(
ふるて
)
でも
探
(
さが
)
して
被
(
かぶ
)
せてやりたいと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
りました。
186
お
盆
(
ぼん
)
に
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
をのせて
突出
(
つきだ
)
して
居
(
ゐ
)
るのに
取
(
と
)
らうともせず、
187
腰
(
こし
)
ばつかりペコペコさして
居
(
ゐ
)
る。
188
辛気
(
しんき
)
くさくて
仕方
(
しかた
)
がないから、
189
お
前
(
まへ
)
、
190
此
(
こ
)
の
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬのかいと
聞
(
き
)
くと、
191
その
乞食
(
こじき
)
の
云
(
い
)
ふには
今
(
いま
)
近所
(
きんじよ
)
で
葬式
(
さうれん
)
の
残
(
のこ
)
りの
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
鱈腹
(
たらふく
)
頂
(
いただ
)
いて
来
(
き
)
たところだから、
192
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
は
欲
(
ほ
)
しくはありませぬ、
193
暖
(
あたた
)
かいお
茶
(
ちや
)
が
一杯
(
いつぱい
)
頂
(
いただ
)
きたいと
云
(
い
)
ふので、
194
私
(
わたし
)
も
浮木
(
うきき
)
の
村
(
むら
)
のお
寅
(
とら
)
と
云
(
い
)
つて
仇名
(
あだな
)
を
取
(
と
)
つた
女侠客
(
をんなけふかく
)
だから
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けてやらぬ
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
195
苔
(
こけ
)
だらけの
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
つて
奥
(
おく
)
へつれて
行
(
ゆ
)
き、
196
たぎつて
居
(
を
)
つた
茶
(
ちや
)
を
出
(
だ
)
して、
197
サア
之
(
これ
)
をお
上
(
あが
)
りなさいと
茶椀
(
ちやわん
)
を
添
(
そ
)
へて
出
(
だ
)
しておきました。
198
而
(
さう
)
して
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
へ
入
(
はい
)
つて
障子
(
しやうじ
)
の
破
(
やぶ
)
れから
考
(
かんが
)
へてゐると
生
(
うま
)
れついての
乞食
(
こじき
)
だと
見
(
み
)
えて、
199
アタ
行儀
(
ぎやうぎ
)
がわるい。
200
土瓶
(
どびん
)
の
口
(
くち
)
から
煮
(
に
)
え
切
(
き
)
つた
茶
(
ちや
)
をグツと
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
み、
201
喉
(
のど
)
に
焼傷
(
やけど
)
をして
目
(
め
)
をクルクルとむき、
202
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き
七転
(
しちてん
)
八倒
(
ばつたう
)
してゐるぢやありませぬか。
203
エー
怪体
(
けたい
)
のわるい、
204
ド
乞食
(
こじき
)
を
引張
(
ひつぱり
)
込
(
こ
)
ンだものだと
思
(
おも
)
ひ、
205
慌
(
あわて
)
て
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
れば、
206
大切
(
だいじ
)
にしておいた
青土瓶
(
あをどびん
)
はポカツと
二
(
ふた
)
つに
破
(
わ
)
れ、
207
折角
(
せつかく
)
沸
(
わ
)
かした
茶
(
ちや
)
は
畳
(
たたみ
)
にこぼれ、
208
畳
(
たたみ
)
が
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
とも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はずに
けろり
となめて、
209
細
(
ほそ
)
い
目
(
め
)
を
沢山
(
たくさん
)
ならべて
睨
(
にら
)
ンでゐるぢやありませぬか。
210
ホヽヽヽヽ、
211
そのド
乞食
(
こじき
)
が
仰向
(
あふむけ
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐるとこを
見
(
み
)
れば、
212
煤
(
すす
)
で
煮〆
(
にしめ
)
たような
褌
(
ふんどし
)
を
垂
(
た
)
らし、
213
吊柿
(
つるしがき
)
のよな
真黒気
(
まつくろけ
)
のものを
出
(
だ
)
して
倒
(
たふ
)
れてゐる。
214
サア
大変
(
たいへん
)
だと
家内中
(
かないぢう
)
がよつてたかつて
水
(
みづ
)
をのませ、
215
いろいろと
介抱
(
かいほう
)
した
結果
(
けつくわ
)
、
216
ようよう
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
きかへした。
217
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
舌
(
した
)
を
やけど
したものだから、
218
舌
(
した
)
も
口
(
くち
)
も
腫
(
は
)
れ
上
(
あが
)
り、
219
国所
(
くにところ
)
を
尋
(
たづ
)
ねようにも
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
こうにも
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
へないので、
220
聞
(
き
)
く
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
221
筆紙
(
ひつし
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
名
(
な
)
を
書
(
か
)
けと
云
(
い
)
つても、
222
此奴
(
こいつ
)
は
明
(
あ
)
き
めくら
と
見
(
み
)
えて
一字
(
いちじ
)
もよう
書
(
か
)
かず、
223
仕方
(
しかた
)
なしに
藪医者
(
やぶいしや
)
を
頼
(
たの
)
ンで
来
(
き
)
て
裏門
(
うらもん
)
から
灌腸
(
くわんちやう
)
して
到頭
(
たうとう
)
物
(
もの
)
を
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
にしてやりました。
224
それから
虱
(
しらみ
)
だらけの
衣物
(
きもの
)
を
油
(
あぶら
)
をかけて、
225
焼
(
や
)
いて
了
(
しま
)
ひ、
226
亡
(
な
)
くなつた
爺
(
ぢい
)
さまの
一番
(
いちばん
)
古
(
ふる
)
い
衣物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
せてやつて、
227
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
もない
代物
(
しろもの
)
だと
云
(
い
)
ふから
下僕
(
しもべ
)
につかつて
野良
(
のら
)
仕事
(
しごと
)
に
使
(
つか
)
つて
居
(
を
)
りました』
228
五三公
(
いそこう
)
は
首
(
くび
)
をかたむけ
乍
(
なが
)
ら、
229
五三公
『そら
誰
(
たれ
)
の
事
(
こと
)
ですか、
230
よもや
万公
(
まんこう
)
さまでは
有
(
あ
)
りますまいナ』
231
お寅
『
云
(
い
)
はいでも
知
(
し
)
れたこつちや、
232
此
(
こ
)
の
万
(
まん
)
のことだよ』
233
五三公
『
何
(
なん
)
と
マン
のわるいとこに
出会
(
でつくは
)
したものだなア、
234
万公
(
まんこう
)
さま』
235
アク
『アハヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
236
お
婆
(
ばあ
)
さま、
237
しつかり
頼
(
たの
)
みますデ。
238
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
々々
(
せんりやう
)
アクアクするワ』
239
万公
『コリヤ、
240
アクの
奴
(
やつ
)
馬鹿
(
ばか
)
にすない、
241
俺
(
おれ
)
は
瑞
(
みづ
)
の
みたま
だ。
242
アクの
鏡
(
かがみ
)
が
映
(
うつ
)
つとるのだから、
243
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
ぢやない、
244
世間
(
せけん
)
の
奴
(
やつ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
が
奇麗
(
きれい
)
な
みたま
の
俺
(
おれ
)
にうつつたのだ。
245
其
(
そ
)
のつもりでお
婆
(
ばあ
)
さまの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
けよ。
246
取違
(
とりちが
)
ひと
慢心
(
まんしん
)
は
大怪我
(
おほけが
)
の
基
(
もと
)
だから、
247
お
婆
(
ばあ
)
さまの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をよく
味
(
あぢ
)
はうて
聞
(
き
)
くがよいぞよ。
248
人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
へば
皆
(
みな
)
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
事
(
こと
)
であるぞよ。
249
世界中
(
せかいぢう
)
がかうなつて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
身魂
(
みたま
)
にさして
見
(
み
)
せてあるぞよ。
250
…………と
云
(
い
)
ふ
教
(
をしへ
)
をきいて
居
(
ゐ
)
るだろ、
251
それが
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だからのう』
252
松彦
『フヽヽヽヽお
婆
(
ばあ
)
さま、
253
その
次
(
つぎ
)
を
松彦
(
まつひこ
)
にお
聞
(
き
)
かせ
願
(
ねが
)
ひます』
254
お寅
『
一寸
(
ちよつと
)
此処
(
ここ
)
で
中入
(
なかいり
)
といたしまして、
255
又
(
また
)
後
(
あと
)
はゆるゆると
御
(
ご
)
清聴
(
せいちやう
)
を
煩
(
わづら
)
はします。
256
オホヽヽ、
257
万公
(
まんこう
)
さま
随分
(
ずゐぶん
)
耳
(
みみ
)
が
痛
(
いた
)
からうなア』
258
万公
『チヨツ、
259
万公
(
まんこう
)
も
万
(
まん
)
がわるいワイ』
260
お寅
『アーア、
261
こンな
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ひたい
事
(
こと
)
ないけれど、
262
これも
万公
(
まんこう
)
の
将来
(
しやうらい
)
の
為
(
ため
)
だから、
263
モウ
一息
(
ひといき
)
先生
(
せんせい
)
のお
耳
(
みみ
)
をわづらはしませうかなア。
264
コレ
万公
(
まんこう
)
さま、
265
お
前
(
まへ
)
が
決
(
けつ
)
して
憎
(
にく
)
うて
云
(
い
)
ふのぢやない、
266
たとへ
三日
(
みつか
)
でも
因縁
(
いんねん
)
があればこそだ。
267
お
前
(
まへ
)
の
為
(
ため
)
に
云
(
い
)
ふのだから、
268
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
269
どうせチツトは
耳
(
みみ
)
が
痛
(
いた
)
いのは
請合
(
うけあひ
)
だが、
270
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしだと
思
(
おも
)
つて
辛抱
(
しんばう
)
しなさい』
271
五三公
『ナント
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
なお
婆
(
ばあ
)
さまだなア、
272
五三公
(
いそこう
)
もこンな
親切
(
しんせつ
)
に
云
(
い
)
うて
呉
(
く
)
れるお
婆
(
ばあ
)
さまに
逢
(
あ
)
ひたいわ。
273
それからお
婆
(
ばあ
)
さま、
274
後
(
あと
)
は
何
(
ど
)
うなつたのだい』
275
お寅
『それからお
前
(
まへ
)
さま、
276
此
(
こ
)
の
万
(
まん
)
を
野良
(
のら
)
仕事
(
しごと
)
にやつて
置
(
お
)
いたところが、
277
鼠
(
ねづみ
)
かなンぞのよに
大根
(
だいこん
)
を
作
(
つく
)
つておけば
噛
(
か
)
ぢつて
食
(
く
)
ふ。
278
蕪
(
かぶら
)
をひいて
食
(
く
)
ふ、
279
サツマ
芋
(
いも
)
は
根
(
ね
)
からひいて
食
(
く
)
つて
了
(
しま
)
ふ。
280
まるで
土竜
(
もぐらもち
)
を
飼
(
か
)
うてをるよなものだ。
281
こンなものを
飼
(
か
)
うてゐちや
百姓
(
ひやくしやう
)
をせぬがましだと
思
(
おも
)
つて、
282
仕方
(
しかた
)
なしに
娘
(
むすめ
)
の
見守
(
みまも
)
り
役
(
やく
)
にしてやつた。
283
それがサツパリ
災
(
わざはひ
)
の
種
(
たね
)
となつたのだ。
284
此
(
こ
)
の
婆
(
ばば
)
が
熱病
(
ねつびやう
)
をわづらつて
今日
(
けふ
)
か
明日
(
あす
)
か
分
(
わか
)
らぬといふやうになつたので、
285
孝行
(
かうかう
)
な
娘
(
むすめ
)
のお
里
(
さと
)
が
此
(
この
)
万
(
まん
)
をつれて
氏神
(
うぢがみ
)
の
社
(
やしろ
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
をしたのだ。
286
ソーすると
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかお
里
(
さと
)
の
腹
(
はら
)
がポテレンと
太
(
ふと
)
つて
来
(
き
)
た。
287
婿
(
むこ
)
も
貰
(
もら
)
はぬのに
腹
(
はら
)
がふくれるといふのは、
288
コリヤ
屹度
(
きつと
)
脹満
(
ちやうまん
)
に
違
(
ちが
)
ひないと
藪医
(
やぶい
)
先生
(
せんせい
)
を
頼
(
たの
)
ンで
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
つたら、
289
娘
(
むすめ
)
の
氏神
(
うぢがみ
)
参
(
まゐ
)
りの
御
(
お
)
かげで
私
(
わたし
)
の
病気
(
びやうき
)
は
直
(
なほ
)
つて
了
(
しま
)
うたが
娘
(
むすめ
)
が
脹満
(
ちやうまん
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
290
医者
(
いしや
)
も
医者
(
いしや
)
だ。
291
脹満
(
ちやうまん
)
だ
脹満
(
ちやうまん
)
だといつて
矢鱈
(
やたら
)
に
苦
(
にが
)
いものを
飲
(
の
)
ます、
292
ソレでも
十月目
(
とつきめ
)
にターンクの
口
(
くち
)
が
開
(
あ
)
いてホギヤアと
一声
(
ひとこゑ
)
、
293
娘
(
むすめ
)
はビツクリして
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
気絶
(
きぜつ
)
して
了
(
しま
)
つたわいのー、
294
アンアン。
295
それから
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
へと
大騒動
(
おほさうどう
)
を
始
(
はじ
)
め、
296
朝鮮
(
てうせん
)
人蔘
(
にんじん
)
を
飲
(
の
)
ましたおかげで、
297
ヤツトの
事
(
こと
)
で
気
(
き
)
がつき、
298
おかげで
娘
(
むすめ
)
の
生命
(
いのち
)
はとりとめたが、
299
肝腎
(
かんじん
)
の
乳
(
ちち
)
が
出
(
で
)
ぬものだから、
300
生
(
うま
)
れた
子
(
こ
)
は
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
とになり、
301
到頭
(
とうとう
)
死
(
し
)
ンで
了
(
しま
)
つた。
302
アーンアーン』
303
五三公
『ソリヤどうも
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
事
(
こと
)
だなア。
304
そしてその
子
(
こ
)
は
一体
(
いつたい
)
誰
(
たれ
)
の
子
(
こ
)
だい』
305
婆
(
ばば
)
は
ところまだら
に
残
(
のこ
)
つた
歯
(
は
)
をかみしめ、
306
イーンイーンと
頤
(
あご
)
をつき
出
(
だ
)
し、
307
妙
(
めう
)
な
手
(
て
)
つきで
万公
(
まんこう
)
の
肩
(
かた
)
をこづくやうな
手振
(
てぶ
)
りをして、
308
お寅
『
此奴
(
こいつ
)
だ
此奴
(
こいつ
)
だ、
309
此
(
こ
)
のガキだよ。
310
アーンアーン』
311
アク
『オイ
万公
(
まんこう
)
さま、
312
まンざらでもないのー。
313
エー、
314
アクにも
一杯
(
いつぱい
)
おごつて
貰
(
もら
)
はうかい』
315
万公
『ウン』
316
お寅
『それからいろいろと
詮議
(
せんぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
317
お
里
(
さと
)
が
言
(
い
)
ふには
万
(
まん
)
さまの
子
(
こ
)
だ。
318
こうなるのも
前生
(
ぜんしやう
)
の
因縁
(
いんねん
)
づくぢやから、
319
何卒
(
どうぞ
)
乞食
(
こじき
)
上
(
あが
)
りの
万
(
まん
)
さまでも
私
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
320
此
(
この
)
人
(
ひと
)
と
添
(
そ
)
はしてくれなければ
死
(
し
)
にます
死
(
し
)
にますと
駄々
(
だだ
)
をこねるのだ。
321
此
(
この
)
道
(
みち
)
ばかりは
親
(
おや
)
が
何
(
ど
)
うする
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つたが、
322
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
うても
肝腎
(
かんじん
)
の
娘
(
むすめ
)
がゾツコン
惚
(
ほれ
)
こンでゐるのだから、
323
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
も
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて
泣
(
な
)
き
寝入
(
ねい
)
りにしたのだ。
324
所
(
ところ
)
が
運
(
うん
)
の
悪
(
わる
)
いお
里
(
さと
)
は
産後
(
さんご
)
の
肥立
(
ひだ
)
ちが
悪
(
わる
)
うて、
325
帰
(
かへ
)
らぬ
旅
(
たび
)
に
行
(
ゆ
)
きました。
326
アーンアーン』
327
と
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ふ。
328
五三公
(
いそこう
)
はホツと
息
(
いき
)
をつぎ
乍
(
なが
)
ら、
329
五三公
『ナント
万公
(
まんこう
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
罪
(
つみ
)
な
事
(
こと
)
をしたものだなア。
330
刃物
(
はもの
)
持
(
も
)
たずに
二人
(
ふたり
)
も
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
しやがつたなア。
331
道理
(
だうり
)
で
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
で
暗
(
くら
)
うなるとビリビリふるひよると
思
(
おも
)
つた。
332
やつぱり
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
原因
(
げんいん
)
があるのだから、
333
怖
(
おそ
)
ろしがるのだワイ』
334
万公
(
まんこう
)
は、
335
万公
『コリヤ
五三公
(
いそこう
)
、
336
批評
(
ひひやう
)
はやめてシツカリきけ。
337
これからが
性念場
(
しやうねんば
)
だぞ』
338
と
焼糞
(
やけくそ
)
になつて
怒鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
ててゐる。
339
お
寅
(
とら
)
は
言
(
ことば
)
を
次
(
つ
)
いで、
340
お寅
『それから
此
(
この
)
万
(
まん
)
の
恩
(
おん
)
知
(
し
)
らず
奴
(
め
)
、
341
増長
(
ぞうちよう
)
しよつて、
342
まだ
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
のお
菊
(
きく
)
を
手込
(
てご
)
めにし、
343
二代目
(
にだいめ
)
の
女房
(
にようばう
)
にしようと
企
(
たく
)
みをつたのだ。
344
流石
(
さすが
)
に
偉
(
えら
)
い
女
(
をんな
)
だからお
菊
(
きく
)
はポンと
肱鉄
(
ひぢてつ
)
をくはした。
345
すると
万公
(
まんこう
)
奴
(
め
)
、
346
妹
(
いもうと
)
に
肱鉄
(
ひぢてつ
)
をくはされて
逢
(
あ
)
はす
顔
(
かほ
)
がないと
遺書
(
おきがき
)
を
書
(
か
)
いて
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
出
(
で
)
た
切
(
き
)
り、
347
膿
(
う
)
んだ
鼻
(
はな
)
が、
348
つぶれたとも、
349
河童
(
かつぱ
)
の
屁
(
へ
)
がくさくないとも
云
(
い
)
つて
来
(
こ
)
ず、
350
本当
(
ほんたう
)
に
困
(
こま
)
つたガラクタ
男
(
をとこ
)
だ。
351
妾
(
わたし
)
は
今日
(
けふ
)
小北山
(
こぎたやま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に、
352
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
村
(
むら
)
に
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
軍人
(
いくさびと
)
が
居
(
を
)
らぬ
様
(
やう
)
になります
様
(
やう
)
と
祈
(
いの
)
つて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ、
353
娘
(
むすめ
)
に
神憑
(
かむがかり
)
があり「
今
(
いま
)
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
けば
万公
(
まんこう
)
に
出逢
(
であ
)
ふ」との
御
(
お
)
指図
(
さしづ
)
で、
354
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
万公
(
まんこう
)
に
意見
(
いけん
)
をしてやらうと
思
(
おも
)
つて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのだ。
355
此
(
この
)
上
(
うへ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
には
沢山
(
たくさん
)
な
人
(
ひと
)
がこもつて
居
(
ゐ
)
るが、
356
まだ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
や
五
(
ご
)
人
(
にん
)
寝
(
ね
)
られぬ
筈
(
はず
)
はないが、
357
万公
(
まんこう
)
の
様子
(
やうす
)
を
探
(
さぐ
)
らうと
思
(
おも
)
つてあンな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
つたのだ。
358
……
松彦
(
まつひこ
)
の
先生
(
せんせい
)
さま、
359
私
(
わたし
)
の
家
(
うち
)
では
斯
(
か
)
ういふ
事
(
こと
)
をやつて
居
(
ゐ
)
ましたから、
360
嘸
(
さぞ
)
世間
(
せけん
)
でも
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をして
歩
(
ある
)
くでせう。
361
何卒
(
なにとぞ
)
気
(
き
)
をつけて
真人間
(
まにんげん
)
にして
下
(
くだ
)
さい。
362
因縁
(
いんねん
)
あればこそ
娘
(
むすめ
)
の
腹
(
はら
)
をふくらしたのですから、
363
娘
(
むすめ
)
の
惚
(
ほれ
)
て
居
(
を
)
つた
男
(
をとこ
)
を
憎
(
にく
)
いとは
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ませぬ、
364
何卒
(
どうぞ
)
一人前
(
いちにんまへ
)
の
人間
(
にんげん
)
にして
貰
(
もら
)
ひたいと
思
(
おも
)
つて
再
(
ふたた
)
び
引返
(
ひつかへ
)
して
来
(
き
)
ました』
365
と
涙
(
なみだ
)
乍
(
なが
)
らに
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
る。
366
松彦
『
何
(
なに
)
もかもわかりました。
367
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
368
私
(
わたし
)
ばかりか
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
といふ
立派
(
りつぱ
)
な
先生
(
せんせい
)
がついて
居
(
を
)
られますから、
369
万公
(
まんこう
)
の
事
(
こと
)
は
御
(
お
)
案
(
あん
)
じ
下
(
くだ
)
さいますな』
370
お寅
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
371
何卒
(
どうぞ
)
よろしう
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひいたします。
372
サアお
菊
(
きく
)
、
373
失礼
(
しつれい
)
して
一足
(
ひとあし
)
お
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
きませう。
374
お
竜
(
たつ
)
さまが
待
(
ま
)
つてゐられますから』
375
お菊
『
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
面倒
(
めんだう
)
いたしました。
376
菊
(
きく
)
はお
先
(
さき
)
へ
失礼
(
しつれい
)
いたします』
377
松彦
『
左様
(
さやう
)
ならば
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
よう』
378
五三
(
いそ
)
『アハヽヽヽ』
379
アク『オツホヽヽヽ』
380
タク、
381
テクは
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
つて、
382
タク、テク
『ワツハヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
いオツホヽヽヽ』
383
万公
『アーア、
384
悪
(
わる
)
い
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たものだ。
385
薩張
(
さつぱ
)
り
俺
(
おれ
)
の
顔
(
かほ
)
は
台
(
だい
)
なしだ。
386
ドーレこれから
一
(
ひと
)
つ
花々
(
はなばな
)
しい
功名
(
こうみやう
)
をして
万公
(
まんこう
)
末代
(
まつだい
)
世界
(
せかい
)
に
名
(
な
)
を
残
(
のこ
)
し、
387
お
里
(
さと
)
の
霊
(
れい
)
を
慰
(
なぐさ
)
めてやらうかなア』
388
五三公
『アハヽヽヽ、
389
五三公
(
いそこう
)
にまで、
390
万公
(
まんこう
)
、
391
到頭
(
たうとう
)
お
里
(
さと
)
が
解
(
わか
)
つたぢやないか。
392
イヒヽヽヽ』
393
(
大正一一・一二・九
旧一〇・二一
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 一本橋
(B)
(N)
脱線歌 >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第44巻(未の巻)
> 第3篇 珍聞万怪 > 第19章 婆口露
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第19章 婆口露|第44巻|舎身活躍|霊界物語|/rm4419】
合言葉「みろく」を入力して下さい→