霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
01 笑の恵
〔1170〕
02 月の影
〔1171〕
03 守衛の囁
〔1172〕
04 滝の下
〔1173〕
05 不眠症
〔1174〕
06 山下り
〔1175〕
07 山口の森
〔1176〕
第2篇 月明清楓
08 光と熱
〔1177〕
09 怪光
〔1178〕
10 奇遇
〔1179〕
11 腰ぬけ
〔1180〕
12 大歓喜
〔1181〕
13 山口の別
〔1182〕
14 思ひ出の歌
〔1183〕
第3篇 珍聞万怪
15 変化
〔1184〕
16 怯風
〔1185〕
17 罵狸鬼
〔1186〕
18 一本橋
〔1187〕
19 婆口露
〔1188〕
20 脱線歌
〔1189〕
21 小北山
〔1190〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
霊界物語
>
第44巻
> 第3篇 珍聞万怪 > 第19章 婆口露
<<< 一本橋
(B)
(N)
脱線歌 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一九章
婆口露
(
ばくろ
)
〔一一八八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第3篇 珍聞万怪
よみ(新仮名遣い):
ちんぶんばんかい
章:
第19章 婆口露
よみ(新仮名遣い):
ばくろ
通し章番号:
1188
口述日:
1922(大正11)年12月09日(旧10月21日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
松彦は山道の傍らの大岩のそばに五人の従者を集めて話にふけっていた。そこへお寅とお菊がやってきた。お寅は万公が自分の長女をたぶらかして夫婦となり、子供を産ませたが母子は出産がもとで死んでしまった話を一同に話して聞かせた。
松彦は、万公は今は治国別という立派な先生の弟子だから、万公の改心については心配しないようにと諭した。お寅とお菊は帰って行った。
万公は一同にからかわれる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm4419
愛善世界社版:
256頁
八幡書店版:
第8輯 230頁
修補版:
校定版:
268頁
普及版:
113頁
初版:
ページ備考:
001
松彦
(
まつひこ
)
は
山道
(
やまみち
)
の
傍
(
かたはら
)
に
屹立
(
きつりつ
)
せる
大岩
(
おほいは
)
の
傍
(
そば
)
に、
002
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
従者
(
じゆうしや
)
を
集
(
あつ
)
め
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
003
『アクさま、
004
随分
(
ずゐぶん
)
危
(
あぶ
)
ない
事
(
こと
)
だつたな。
005
マア
結構
(
けつこう
)
だつたよ』
006
『
婆
(
ばば
)
におどかされて
走
(
はし
)
る
途端
(
とたん
)
に
足
(
あし
)
をふみ
外
(
はづ
)
し、
007
随分
(
ずゐぶん
)
冷
(
ひや
)
つ
こい
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
ひました。
008
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
水泳
(
すゐえい
)
に
得意
(
とくい
)
な
私
(
わたし
)
ですから
助
(
たす
)
かつたのですよ。
009
タク、
010
テクの
両人
(
りやうにん
)
だつたら、
011
サツパリ
駄目
(
だめ
)
ですわ』
012
『そらさうぢや。
013
マアよかつた。
014
万公
(
まんこう
)
さま、
015
お
前
(
まへ
)
は
偉
(
えら
)
う
親子
(
おやこ
)
の
女
(
をんな
)
にやられて
居
(
を
)
つたぢやないか。
016
随分
(
ずゐぶん
)
弱
(
よわ
)
い
男
(
をとこ
)
だなア』
017
『ヘーヘ、
018
悪
(
あく
)
に
弱
(
よわ
)
い、
019
善
(
ぜん
)
に
強
(
つよ
)
い
万公
(
まんこう
)
ですもの、
020
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
でなかつたら、
021
婆
(
ばば
)
を
河
(
かは
)
へほりこンで
了
(
しま
)
ふ
とこ
でしたけれども、
022
成
(
な
)
る
可
(
べ
)
く
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
して、
023
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
を
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
つてをつたのですよ。
024
さうしたところ
婆
(
ばば
)
と
娘
(
むすめ
)
とが
按摩
(
あんま
)
をしてくれました。
025
肩
(
かた
)
をうつやら
腰
(
こし
)
をもむやら、
026
足
(
あし
)
を
引
(
ひつ
)
ぱるやら、
027
おかげで
体
(
からだ
)
が
楽
(
らく
)
になりましたよ』
028
五三公
(
いそこう
)
はふき
出
(
だ
)
し、
029
『アハヽヽヽ
負惜
(
まけをし
)
みのつよい
男
(
をとこ
)
だな。
030
キヤアキヤア
云
(
い
)
つて
泣
(
な
)
いて
居
(
を
)
つたぢやないか』
031
『ナーニあれは
こそばいとこ
を
揉
(
も
)
むものだから
笑
(
わら
)
つてゐたのだよ。
032
貴様
(
きさま
)
には
泣
(
な
)
いた
様
(
やう
)
に
聞
(
きこ
)
えるか』
033
『それでも
人殺
(
ひとごろし
)
、
034
助
(
たす
)
けてくれと
云
(
い
)
つたぢやないか』
035
『ウン
一寸
(
ちよつと
)
テンゴに
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
たのだ。
036
その
証拠
(
しようこ
)
には
婆
(
ばあ
)
さまと
娘
(
むすめ
)
とが
泣
(
な
)
いてをつたぢやろ。
037
俺
(
おれ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
も
泣
(
な
)
きはせぬよ、
038
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
たるもの
女
(
をんな
)
位
(
ぐらゐ
)
に
泣
(
な
)
かされてたまるかい』
039
五三公
(
いそこう
)
は、
040
『モシモシ
松彦
(
まつひこ
)
さま、
041
此奴
(
こいつ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
探
(
さぐ
)
つて
来
(
き
)
ました。
042
仕方
(
しかた
)
のない
奴
(
やつ
)
ですでー』
043
『ナニツ、
044
秘密
(
ひみつ
)
をさぐつたと、
045
そりや
面白
(
おもしろ
)
い。
046
どンな
事
(
こと
)
だ、
047
差支
(
さしつかへ
)
なくば
聞
(
き
)
かしてくれ』
048
『コリヤコリヤ
五三公
(
いそこう
)
、
049
他人
(
ひと
)
の
秘密
(
ひみつ
)
をあばくやうな
不道徳
(
ふだうとく
)
はないぞ、
050
慎
(
つつし
)
まぬかい』
051
『それなら
仕方
(
しかた
)
がない、
052
五三公
(
いそこう
)
も
沈黙
(
ちんもく
)
しようかな、
053
お
里
(
さと
)
がわかると
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だからなア』
054
『コリヤお
里
(
さと
)
の
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はぬやうにしてくれ。
055
さう
親友
(
しんいう
)
の
事
(
こと
)
を
公衆
(
こうしう
)
の
前
(
まへ
)
にさらけ
出
(
だ
)
すものぢやないわ』
056
『
松彦
(
まつひこ
)
さま、
057
あー
云
(
い
)
つて
頼
(
たの
)
みますから、
058
五三公
(
いそこう
)
も
友情
(
いうじやう
)
を
以
(
もつ
)
て、
059
或
(
ある
)
時期
(
じき
)
まで
保留
(
ほりう
)
しておきませう。
060
その
代
(
かは
)
りに、
061
万公
(
まんこう
)
が
私
(
わたし
)
の
命令
(
めいれい
)
を
奉
(
ほう
)
じない
時
(
とき
)
には、
062
さらけ
出
(
だ
)
します。
063
なア
万公
(
まんこう
)
、
064
その
条件附
(
でうけんつき
)
で
暫
(
しばら
)
く
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
ることにしようかい』
065
『どうぞ
頼
(
たの
)
む、
066
万公
(
まんこう
)
末代
(
まつだい
)
云
(
い
)
はぬやうに』
067
『ヨシヨシその
代
(
かは
)
りに
俺
(
おれ
)
の
尻
(
しり
)
を
拭
(
ふ
)
けといつても
拭
(
ふ
)
くのだぞ。
068
滅多
(
めつた
)
に
違背
(
ゐはい
)
はあるまいなア』
069
『ヘン
馬鹿
(
ばか
)
らしい。
070
誰
(
たれ
)
が
貴様
(
きさま
)
の
尻
(
けつ
)
をアタ
汚
(
きたな
)
い
拭
(
ふ
)
く
奴
(
やつ
)
があるかい。
071
体
(
からだ
)
ばかりか
心
(
こころ
)
迄
(
まで
)
汚
(
きたな
)
い
代物
(
しろもの
)
だからなア。
072
吝
(
けち
)
ン
坊
(
ばう
)
で
悪口
(
わるくち
)
言
(
い
)
ひで
穴
(
あな
)
さがしで、
073
奸黠
(
かんきつ
)
で、
074
狡猾
(
かうくわつ
)
で、
075
不道徳
(
ふだうとく
)
で、
076
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
家
(
か
)
で、
077
強欲
(
がうよく
)
で
丸
(
まる
)
で
旃陀羅
(
せんだら
)
の
けつ
に
醤油
(
しやうゆ
)
の
実
(
み
)
をつけて
甜
(
ねぶ
)
つてるやうな
奴
(
やつ
)
だ。
078
こンな
奴
(
やつ
)
に
秘密
(
ひみつ
)
を
握
(
にぎ
)
られて
居
(
ゐ
)
ると
一生
(
いつしやう
)
頭
(
あたま
)
が
上
(
あが
)
らぬから、
079
イツソの
事
(
こと
)
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
から
松彦
(
まつひこ
)
さまの
前
(
まへ
)
で
公開
(
こうかい
)
をするから
構
(
かま
)
うて
呉
(
く
)
れな。
080
オイ
五三公
(
いそこう
)
さま、
081
えらい
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をかけました。
082
別
(
べつ
)
に
人
(
ひと
)
のものをチヨロマカシたのでも
無
(
な
)
し、
083
聞
(
き
)
いたら
涎
(
よだれ
)
の
出
(
で
)
るよなボロイ
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
だから、
084
別
(
べつ
)
に
恥
(
はぢ
)
にもなるまい。
085
誰
(
たれ
)
だつて
多少
(
たせう
)
のローマンスはあるのだからなア。
086
女
(
をんな
)
なンか
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
いと
云
(
い
)
ふやうな
顔
(
かほ
)
をしてゐ
乍
(
なが
)
ら、
087
人
(
ひと
)
の
見
(
み
)
ぬところでは、
088
女
(
をんな
)
に
湯巻
(
ゆまき
)
の
紐
(
ひぼ
)
でしばかれて
涎
(
よだれ
)
を
繰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
が
多
(
おほ
)
いのだから、
089
多少
(
たせう
)
の
恋物語
(
こひものがたり
)
があるのは
寧
(
むし
)
ろ
誇
(
ほこ
)
りだ。
090
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
唐変木
(
たうへんぼく
)
では、
091
春
(
はる
)
が
来
(
き
)
ても
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
きはせぬぞ』
092
『
何
(
ど
)
うなと
勝手
(
かつて
)
にほざいたが
好
(
よ
)
いわい。
093
俺
(
おれ
)
やもう
干渉
(
かんせう
)
せぬわ。
094
その
代
(
かは
)
り
貴様
(
きさま
)
が
失敗
(
しつぱい
)
しても
五三公
(
いそこう
)
は
高見
(
たかみ
)
から
見物
(
けんぶつ
)
するから、
095
さう
思
(
おも
)
つたがよからう』
096
『なンだか
様子
(
やうす
)
ありげな
口振
(
くちぶり
)
だな。
097
そのローマンスとやらをアクも
聞
(
きき
)
たいものだよ』
098
万公
(
まんこう
)
は
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
り、
099
『きかしてやらう、
100
謹聴
(
きんちやう
)
せい』
101
と
今
(
いま
)
や
話
(
はなし
)
の
糸口
(
いとぐち
)
を
解
(
ほど
)
かむとしてゐる
所
(
ところ
)
へ、
102
以前
(
いぜん
)
のお
寅
(
とら
)
、
103
お
菊
(
きく
)
はスタスタとやつて
来
(
き
)
た。
104
『モシモシ、
105
万
(
まん
)
は
其処
(
そこ
)
に
居
(
を
)
りますかなア、
106
あの
悪
(
あく
)
たれ
男
(
をとこ
)
は』
107
『そーれ、
108
やつて
来
(
き
)
たぞ。
109
万公
(
まんこう
)
、
110
喜
(
よろこ
)
べ、
111
モ
一遍
(
いつぺん
)
按摩
(
あんま
)
をして
貰
(
もら
)
つたら
何
(
ど
)
うだイ』
112
『お
婆
(
ばあ
)
さま、
113
モウ
沢山
(
たくさん
)
で
厶
(
ござ
)
います、
114
イヤもうズンと
万公
(
まんこう
)
も
改心
(
かいしん
)
いたしました。
115
何卒
(
どうぞ
)
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
116
『イヤイヤ
未
(
ま
)
だ
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
らぬ。
117
娘
(
むすめ
)
と
二人
(
ふたり
)
よつて
折檻
(
せつかん
)
をしてやるのに
結構
(
けつこう
)
な
按摩
(
あんま
)
で
肩
(
かた
)
の
凝
(
こり
)
が
下
(
さが
)
つたと
捨台詞
(
すてぜりふ
)
を
残
(
のこ
)
して
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
くよな
男
(
をとこ
)
だからな。
118
死
(
し
)
なねば
治
(
なを
)
らぬカク
病
(
やまひ
)
だ、
119
エーエ、
120
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れた
事
(
こと
)
だが
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
荒療治
(
あられうぢ
)
をしてやらう。
121
オイ
万
(
まん
)
、
122
此方
(
こつち
)
やへ
来
(
こ
)
い』
123
万公
(
まんこう
)
は
小
(
ちひ
)
さくなつて
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
いてゐる。
124
『アハヽヽヽ、
125
やつぱり
何処
(
どこ
)
か
心
(
こころ
)
に
光明
(
くわうみやう
)
があると
見
(
み
)
えて、
126
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
つて
顔
(
かほ
)
を
隠
(
かく
)
しよる。
127
マア
頼
(
たの
)
もしいものだ。
128
コレコレお
前
(
まへ
)
さまは
万
(
まん
)
の
親方
(
おやかた
)
と
見
(
み
)
えるが、
129
こンな
厄介物
(
やくかいもの
)
を
連
(
つ
)
れて
旅
(
たび
)
をなさるのは、
130
嘸
(
さぞ
)
お
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れる
事
(
こと
)
でせう。
131
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
が
物語
(
ものがたり
)
をするのを
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ。
132
此奴
(
こいつ
)
の
欠点
(
けつてん
)
をよく
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
ンでおいて
貰
(
もら
)
ひませぬと、
133
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になるといけませぬから、
134
後
(
あと
)
へ
引返
(
ひつかへ
)
して
参
(
まゐ
)
りました』
135
『
何事
(
なにごと
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが
承
(
うけたま
)
はりませう。
136
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
には
一
(
ひと
)
つの
秘密
(
ひみつ
)
があるさうですなア』
137
『お
寅
(
とら
)
さま、
138
殺生
(
せつしやう
)
な、
139
コレお
菊
(
きく
)
、
140
どうぞお
前
(
まへ
)
仲裁
(
ちうさい
)
して
止
(
と
)
めてくれぬか。
141
あンな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はれちや
顔
(
かほ
)
が
赤
(
あか
)
くなつて、
142
ついて
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬからなア』
143
『お
母
(
かあ
)
さま、
144
一
(
ひと
)
つか
二
(
ふた
)
つ
程
(
ほど
)
にして、
145
みんな
云
(
い
)
はないやうにして
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
146
押
(
おし
)
かけ
婿
(
むこ
)
に
入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
やら、
147
私
(
わたし
)
を
手込
(
てごめ
)
にしかけた
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はないやうにしてねー』
148
『コラお
菊
(
きく
)
、
149
そンな
秘密
(
ひみつ
)
が
何処
(
どこ
)
にあるか。
150
肝腎
(
かんじん
)
の
事
(
こと
)
を
皆
(
みな
)
云
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つたぢやないか、
151
万公
(
まんこう
)
さまを
馬鹿
(
ばか
)
にするない』
152
『
私
(
わたし
)
は
子供上
(
こどもあが
)
りだから
何
(
なに
)
云
(
い
)
ふかしれないよ。
153
気
(
き
)
にかけずに
許
(
ゆる
)
して
頂戴
(
ちやうだい
)
ね』
154
『アハヽヽヽ、
155
ウフヽヽヽ
到頭
(
たうとう
)
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
をむかれよるのか。
156
イヒヽヽヽ』
157
と
五三公
(
いそこう
)
、
158
アク、
159
タク、
160
テクの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち
踊
(
をど
)
り
上
(
あが
)
つて
喜
(
よろこ
)
ぶ。
161
『
松彦
(
まつひこ
)
の
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
162
此
(
こ
)
の
婆
(
ばば
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
一通
(
ひととほ
)
り
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
163
此
(
こ
)
の
万
(
まん
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は
酢
(
す
)
でも
菎蒻
(
こんにやく
)
でも
行
(
ゆ
)
かぬ
動物
(
どうぶつ
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ。
164
一昨年
(
おととし
)
の
冬
(
ふゆ
)
だつたか、
165
凩
(
こがらし
)
のピユーピユーと
吹
(
ふ
)
く
夕間
(
ゆふま
)
ぐれ、
166
家
(
うち
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
見
(
み
)
すぼらしい
乞食
(
こじき
)
が
ふるう
てゐると、
167
僕
(
しもべ
)
の
者
(
もの
)
が
奥
(
おく
)
へ
知
(
しら
)
しに
来
(
き
)
たものですから、
168
私
(
わたし
)
も
小北山
(
こぎたやま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信心
(
しんじん
)
して
居
(
ゐ
)
るのだから、
169
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けるのは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
だと
思
(
おも
)
ひ
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
を
一
(
ひと
)
つ
持
(
も
)
つて
門口
(
かどぐち
)
迄
(
まで
)
出
(
で
)
て
見
(
み
)
れば、
170
若布
(
わかめ
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
か、
171
シメシの
親分
(
おやぶん
)
と
云
(
い
)
ふよなツヅレの
錦
(
にしき
)
を
着
(
き
)
て、
172
蓆
(
むしろ
)
をかぶつて
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
る
奴乞食
(
どこじき
)
があるぢやありませぬか。
173
そこでアー
可愛相
(
かあいさう
)
に
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
息
(
いき
)
から
生
(
うま
)
れた
人間
(
にんげん
)
だ、
174
助
(
たす
)
けてやるのが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
への
孝行
(
かうかう
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
175
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
を
一
(
ひと
)
つお
盆
(
ぼん
)
にのせて、
176
アタ
汚
(
きたな
)
い
乞食
(
こじき
)
に
御
(
ご
)
叮嚀
(
ていねい
)
に、
177
さア
嘸
(
さぞ
)
おひもじう
厶
(
ござ
)
いませう。
178
さあ、
179
これでも
食
(
た
)
べて
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいと
云
(
い
)
ふと、
180
その
乞食
(
こじき
)
は
黒
(
くろ
)
い
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
から、
181
眼
(
め
)
をむき
出
(
だ
)
し、
182
吐
(
ぬか
)
すことには「アー
世界
(
せかい
)
に
鬼
(
おに
)
はない、
183
誠
(
まこと
)
に
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
184
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
は
忘
(
わす
)
れませぬ」と
米搗
(
こめつき
)
バツタの
様
(
やう
)
に
腰
(
こし
)
をペコペコ
百遍
(
ひやつぺん
)
計
(
ばか
)
りも
曲
(
ま
)
げて
拝
(
をが
)
むぢやありませぬか、
185
私
(
わたし
)
も
不愍
(
ふびん
)
が
重
(
かさ
)
なつて
何
(
なん
)
とかして
湯巻
(
ゆまき
)
の
古手
(
ふるて
)
でも
探
(
さが
)
して
被
(
かぶ
)
せてやりたいと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
りました。
186
お
盆
(
ぼん
)
に
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
をのせて
突出
(
つきだ
)
して
居
(
ゐ
)
るのに
取
(
と
)
らうともせず、
187
腰
(
こし
)
ばつかりペコペコさして
居
(
ゐ
)
る。
188
辛気
(
しんき
)
くさくて
仕方
(
しかた
)
がないから、
189
お
前
(
まへ
)
、
190
此
(
こ
)
の
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬのかいと
聞
(
き
)
くと、
191
その
乞食
(
こじき
)
の
云
(
い
)
ふには
今
(
いま
)
近所
(
きんじよ
)
で
葬式
(
さうれん
)
の
残
(
のこ
)
りの
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
鱈腹
(
たらふく
)
頂
(
いただ
)
いて
来
(
き
)
たところだから、
192
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
は
欲
(
ほ
)
しくはありませぬ、
193
暖
(
あたた
)
かいお
茶
(
ちや
)
が
一杯
(
いつぱい
)
頂
(
いただ
)
きたいと
云
(
い
)
ふので、
194
私
(
わたし
)
も
浮木
(
うきき
)
の
村
(
むら
)
のお
寅
(
とら
)
と
云
(
い
)
つて
仇名
(
あだな
)
を
取
(
と
)
つた
女侠客
(
をんなけふかく
)
だから
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けてやらぬ
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
195
苔
(
こけ
)
だらけの
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
つて
奥
(
おく
)
へつれて
行
(
ゆ
)
き、
196
たぎつて
居
(
を
)
つた
茶
(
ちや
)
を
出
(
だ
)
して、
197
サア
之
(
これ
)
をお
上
(
あが
)
りなさいと
茶椀
(
ちやわん
)
を
添
(
そ
)
へて
出
(
だ
)
しておきました。
198
而
(
さう
)
して
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
へ
入
(
はい
)
つて
障子
(
しやうじ
)
の
破
(
やぶ
)
れから
考
(
かんが
)
へてゐると
生
(
うま
)
れついての
乞食
(
こじき
)
だと
見
(
み
)
えて、
199
アタ
行儀
(
ぎやうぎ
)
がわるい。
200
土瓶
(
どびん
)
の
口
(
くち
)
から
煮
(
に
)
え
切
(
き
)
つた
茶
(
ちや
)
をグツと
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
み、
201
喉
(
のど
)
に
焼傷
(
やけど
)
をして
目
(
め
)
をクルクルとむき、
202
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き
七転
(
しちてん
)
八倒
(
はつたう
)
してゐるぢやありませぬか。
203
エー
怪体
(
けたい
)
のわるい、
204
ド
乞食
(
こじき
)
を
引張
(
ひつぱり
)
込
(
こ
)
ンだものだと
思
(
おも
)
ひ、
205
慌
(
あわて
)
て
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
れば、
206
大切
(
だいじ
)
にしておいた
青土瓶
(
あをどびん
)
はポカツと
二
(
ふた
)
つに
破
(
わ
)
れ、
207
折角
(
せつかく
)
沸
(
わ
)
かした
茶
(
ちや
)
は
畳
(
たたみ
)
にこぼれ、
208
畳
(
たたみ
)
が
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
とも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はずに
けろり
となめて、
209
細
(
ほそ
)
い
目
(
め
)
を
沢山
(
たくさん
)
ならべて
睨
(
にら
)
ンでゐるぢやありませぬか。
210
ホヽヽヽヽ、
211
そのド
乞食
(
こじき
)
が
仰向
(
あふむけ
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐるとこを
見
(
み
)
れば、
212
煤
(
すす
)
で
煮〆
(
にしめ
)
たような
褌
(
ふんどし
)
を
垂
(
た
)
らし、
213
吊柿
(
つるしがき
)
のよな
真黒気
(
まつくろけ
)
のものを
出
(
だ
)
して
倒
(
たふ
)
れてゐる。
214
サア
大変
(
たいへん
)
だと
家内中
(
かないぢう
)
がよつてたかつて
水
(
みづ
)
をのませ、
215
いろいろと
介抱
(
かいほう
)
した
結果
(
けつくわ
)
、
216
ようよう
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
きかへした。
217
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
舌
(
した
)
を
やけど
したものだから、
218
舌
(
した
)
も
口
(
くち
)
も
腫
(
は
)
れ
上
(
あが
)
り、
219
国所
(
くにところ
)
を
尋
(
たづ
)
ねようにも
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
こうにも
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
へないので、
220
聞
(
き
)
く
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
221
筆紙
(
ひつし
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
名
(
な
)
を
書
(
か
)
けと
云
(
い
)
つても、
222
此奴
(
こいつ
)
は
明
(
あ
)
き
めくら
と
見
(
み
)
えて
一字
(
いちじ
)
もよう
書
(
か
)
かず、
223
仕方
(
しかた
)
なしに
藪医者
(
やぶいしや
)
を
頼
(
たの
)
ンで
来
(
き
)
て
裏門
(
うらもん
)
から
灌腸
(
くわんちやう
)
して
到頭
(
たうとう
)
物
(
もの
)
を
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
にしてやりました。
224
それから
虱
(
しらみ
)
だらけの
衣物
(
きもの
)
を
油
(
あぶら
)
をかけて、
225
焼
(
や
)
いて
了
(
しま
)
ひ、
226
亡
(
な
)
くなつた
爺
(
ぢい
)
さまの
一番
(
いちばん
)
古
(
ふる
)
い
衣物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
せてやつて、
227
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
もない
代物
(
しろもの
)
だと
云
(
い
)
ふから
下僕
(
しもべ
)
につかつて
野良
(
のら
)
仕事
(
しごと
)
に
使
(
つか
)
つて
居
(
を
)
りました』
228
五三公
(
いそこう
)
は
首
(
くび
)
をかたむけ
乍
(
なが
)
ら、
229
『そら
誰
(
たれ
)
の
事
(
こと
)
ですか、
230
よもや
万公
(
まんこう
)
さまでは
有
(
あ
)
りますまいナ』
231
『
云
(
い
)
はいでも
知
(
し
)
れたこつちや、
232
此
(
こ
)
の
万
(
まん
)
のことだよ』
233
『
何
(
なん
)
と
マン
のわるいとこに
出会
(
でつくは
)
したものだなア、
234
万公
(
まんこう
)
さま』
235
『アハヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
236
お
婆
(
ばあ
)
さま、
237
しつかり
頼
(
たの
)
みますデ。
238
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
々々
(
せんりやう
)
アクアクするワ』
239
『コリヤ、
240
アクの
奴
(
やつ
)
馬鹿
(
ばか
)
にすない、
241
俺
(
おれ
)
は
瑞
(
みづ
)
の
みたま
だ。
242
アクの
鏡
(
かがみ
)
が
映
(
うつ
)
つとるのだから、
243
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
ぢやない、
244
世間
(
せけん
)
の
奴
(
やつ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
が
奇麗
(
きれい
)
な
みたま
の
俺
(
おれ
)
にうつつたのだ。
245
其
(
そ
)
のつもりでお
婆
(
ばあ
)
さまの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
けよ。
246
取違
(
とりちが
)
ひと
慢心
(
まんしん
)
は
大怪我
(
おほけが
)
の
基
(
もと
)
だから、
247
お
婆
(
ばあ
)
さまの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をよく
味
(
あぢ
)
はうて
聞
(
き
)
くがよいぞよ。
248
人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
へば
皆
(
みな
)
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
事
(
こと
)
であるぞよ。
249
世界中
(
せかいぢう
)
がかうなつて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
身魂
(
みたま
)
にさして
見
(
み
)
せてあるぞよ。
250
…………と
云
(
い
)
ふ
教
(
をしへ
)
をきいて
居
(
ゐ
)
るだろ、
251
それが
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だからのう』
252
『フヽヽヽヽお
婆
(
ばあ
)
さま、
253
その
次
(
つぎ
)
を
松彦
(
まつひこ
)
にお
聞
(
き
)
かせ
願
(
ねが
)
ひます』
254
『
一寸
(
ちよつと
)
此処
(
ここ
)
で
中入
(
なかいり
)
といたしまして、
255
又
(
また
)
後
(
あと
)
はゆるゆると
御
(
ご
)
清聴
(
せいちやう
)
を
煩
(
わづら
)
はします。
256
オホヽヽ、
257
万公
(
まんこう
)
さま
随分
(
ずゐぶん
)
耳
(
みみ
)
が
痛
(
いた
)
からうなア』
258
『チヨツ、
259
万公
(
まんこう
)
も
万
(
まん
)
がわるいワイ』
260
『アーア、
261
こンな
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ひたい
事
(
こと
)
ないけれど、
262
これも
万公
(
まんこう
)
の
将来
(
しやうらい
)
の
為
(
ため
)
だから、
263
モウ
一息
(
ひといき
)
先生
(
せんせい
)
のお
耳
(
みみ
)
をわづらはしませうかなア。
264
コレ
万公
(
まんこう
)
さま、
265
お
前
(
まへ
)
が
決
(
けつ
)
して
憎
(
にく
)
うて
云
(
い
)
ふのぢやない、
266
たとへ
三日
(
みつか
)
でも
因縁
(
いんねん
)
があればこそだ。
267
お
前
(
まへ
)
の
為
(
ため
)
に
云
(
い
)
ふのだから、
268
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
269
どうせチツトは
耳
(
みみ
)
が
痛
(
いた
)
いのは
請合
(
うけあひ
)
だが、
270
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしだと
思
(
おも
)
つて
辛抱
(
しんばう
)
しなさい』
271
『ナント
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
なお
婆
(
ばあ
)
さまだなア、
272
五三公
(
いそこう
)
もこンな
親切
(
しんせつ
)
に
云
(
い
)
うて
呉
(
く
)
れるお
婆
(
ばあ
)
さまに
逢
(
あ
)
ひたいわ。
273
それからお
婆
(
ばあ
)
さま、
274
後
(
あと
)
は
何
(
ど
)
うなつたのだい』
275
『それからお
前
(
まへ
)
さま、
276
此
(
こ
)
の
万
(
まん
)
を
野良
(
のら
)
仕事
(
しごと
)
にやつて
置
(
お
)
いたところが、
277
鼠
(
ねづみ
)
かなンぞのよに
大根
(
だいこん
)
を
作
(
つく
)
つておけば
噛
(
か
)
ぢつて
食
(
く
)
ふ。
278
蕪
(
かぶら
)
をひいて
食
(
く
)
ふ、
279
サツマ
芋
(
いも
)
は
根
(
ね
)
からひいて
食
(
く
)
つて
了
(
しま
)
ふ。
280
まるで
土竜
(
もぐらもち
)
を
飼
(
か
)
うてをるよなものだ。
281
こンなものを
飼
(
か
)
うてゐちや
百姓
(
ひやくしやう
)
をせぬがましだと
思
(
おも
)
つて、
282
仕方
(
しかた
)
なしに
娘
(
むすめ
)
の
見守
(
みまも
)
り
役
(
やく
)
にしてやつた。
283
それがサツパリ
災
(
わざはひ
)
の
種
(
たね
)
となつたのだ。
284
此
(
こ
)
の
婆
(
ばば
)
が
熱病
(
ねつびやう
)
をわづらつて
今日
(
けふ
)
か
明日
(
あす
)
か
分
(
わか
)
らぬといふやうになつたので、
285
孝行
(
かうかう
)
な
娘
(
むすめ
)
のお
里
(
さと
)
が
此
(
この
)
万
(
まん
)
をつれて
氏神
(
うぢがみ
)
の
社
(
やしろ
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
をしたのだ。
286
ソーすると
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかお
里
(
さと
)
の
腹
(
はら
)
がポテレンと
太
(
ふと
)
つて
来
(
き
)
た。
287
婿
(
むこ
)
も
貰
(
もら
)
はぬのに
腹
(
はら
)
がふくれるといふのは、
288
コリヤ
屹度
(
きつと
)
脹満
(
ちやうまん
)
に
違
(
ちが
)
ひないと
藪医
(
やぶい
)
先生
(
せんせい
)
を
頼
(
たの
)
ンで
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
つたら、
289
娘
(
むすめ
)
の
氏神
(
うぢがみ
)
参
(
まゐ
)
りの
御
(
お
)
かげで
私
(
わたし
)
の
病気
(
びやうき
)
は
直
(
なほ
)
つて
了
(
しま
)
うたが
娘
(
むすめ
)
が
脹満
(
ちやうまん
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
290
医者
(
いしや
)
も
医者
(
いしや
)
だ。
291
脹満
(
ちやうまん
)
だ
脹満
(
ちやうまん
)
だといつて
矢鱈
(
やたら
)
に
苦
(
にが
)
いものを
飲
(
の
)
ます、
292
ソレでも
十月目
(
とつきめ
)
にターンクの
口
(
くち
)
が
開
(
あ
)
いてホギヤアと
一声
(
ひとこゑ
)
、
293
娘
(
むすめ
)
はビツクリして
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
気絶
(
きぜつ
)
して
了
(
しま
)
つたわいのー、
294
アンアン。
295
それから
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
へと
大騒動
(
おほさうどう
)
を
始
(
はじ
)
め、
296
朝鮮
(
てうせん
)
人蔘
(
にんじん
)
を
飲
(
の
)
ましたおかげで、
297
ヤツトの
事
(
こと
)
で
気
(
き
)
がつき、
298
おかげで
娘
(
むすめ
)
の
生命
(
いのち
)
はとりとめたが、
299
肝腎
(
かんじん
)
の
乳
(
ちち
)
が
出
(
で
)
ぬものだから、
300
生
(
うま
)
れた
子
(
こ
)
は
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
とになり、
301
到頭
(
とうとう
)
死
(
し
)
ンで
了
(
しま
)
つた。
302
アーンアーン』
303
『ソリヤどうも
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
事
(
こと
)
だなア。
304
そしてその
子
(
こ
)
は
一体
(
いつたい
)
誰
(
たれ
)
の
子
(
こ
)
だい』
305
婆
(
ばば
)
は
ところまだら
に
残
(
のこ
)
つた
歯
(
は
)
をかみしめ、
306
イーンイーンと
頤
(
あご
)
をつき
出
(
だ
)
し、
307
妙
(
めう
)
な
手
(
て
)
つきで
万公
(
まんこう
)
の
肩
(
かた
)
をこづくやうな
手振
(
てぶ
)
りをして、
308
『
此奴
(
こいつ
)
だ
此奴
(
こいつ
)
だ、
309
此
(
こ
)
のガキだよ。
310
アーンアーン』
311
『オイ
万公
(
まんこう
)
さま、
312
まンざらでもないのー。
313
エー、
314
アクにも
一杯
(
いつぱい
)
おごつて
貰
(
もら
)
はうかい』
315
『ウン』
316
『それからいろいろと
詮議
(
せんぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
317
お
里
(
さと
)
が
言
(
い
)
ふには
万
(
まん
)
さまの
子
(
こ
)
だ。
318
こうなるのも
前生
(
ぜんしやう
)
の
因縁
(
いんねん
)
づくぢやから、
319
何卒
(
どうぞ
)
乞食
(
こじき
)
上
(
あが
)
りの
万
(
まん
)
さまでも
私
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
320
此
(
この
)
人
(
ひと
)
と
添
(
そ
)
はしてくれなければ
死
(
し
)
にます
死
(
し
)
にますと
駄々
(
だだ
)
をこねるのだ。
321
此
(
この
)
道
(
みち
)
ばかりは
親
(
おや
)
が
何
(
ど
)
うする
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つたが、
322
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
うても
肝腎
(
かんじん
)
の
娘
(
むすめ
)
がゾツコン
惚
(
ほれ
)
こンでゐるのだから、
323
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
も
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて
泣
(
な
)
き
寝入
(
ねい
)
りにしたのだ。
324
所
(
ところ
)
が
運
(
うん
)
の
悪
(
わる
)
いお
里
(
さと
)
は
産後
(
さんご
)
の
肥立
(
ひだ
)
ちが
悪
(
わる
)
うて、
325
帰
(
かへ
)
らぬ
旅
(
たび
)
に
行
(
ゆ
)
きました。
326
アーンアーン』
327
と
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ふ。
328
五三公
(
いそこう
)
はホツと
息
(
いき
)
をつぎ
乍
(
なが
)
ら、
329
『ナント
万公
(
まんこう
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
罪
(
つみ
)
な
事
(
こと
)
をしたものだなア。
330
刃物
(
はもの
)
持
(
も
)
たずに
二人
(
ふたり
)
も
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
しやがつたなア。
331
道理
(
だうり
)
で
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
で
暗
(
くら
)
うなるとビリビリふるひよると
思
(
おも
)
つた。
332
やつぱり
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
原因
(
げんいん
)
があるのだから、
333
怖
(
おそ
)
ろしがるのだワイ』
334
万公
(
まんこう
)
は、
335
『コリヤ
五三公
(
いそこう
)
、
336
批評
(
ひひやう
)
はやめてシツカリきけ。
337
これからが
性念場
(
しやうねんば
)
だぞ』
338
と
焼糞
(
やけくそ
)
になつて
怒鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
ててゐる。
339
お
寅
(
とら
)
は
言
(
ことば
)
を
次
(
つ
)
いで、
340
『それから
此
(
この
)
万
(
まん
)
の
恩
(
おん
)
知
(
し
)
らず
奴
(
め
)
、
341
増長
(
ぞうちよう
)
しよつて、
342
まだ
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
のお
菊
(
きく
)
を
手込
(
てご
)
めにし、
343
二代目
(
にだいめ
)
の
女房
(
にようばう
)
にしようと
企
(
たく
)
みをつたのだ。
344
流石
(
さすが
)
に
偉
(
えら
)
い
女
(
をんな
)
だからお
菊
(
きく
)
はポンと
肱鉄
(
ひぢてつ
)
をくはした。
345
すると
万公
(
まんこう
)
奴
(
め
)
、
346
妹
(
いもうと
)
に
肱鉄
(
ひぢてつ
)
をくはされて
逢
(
あ
)
はす
顔
(
かほ
)
がないと
遺書
(
おきがき
)
を
書
(
か
)
いて
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
出
(
で
)
た
切
(
き
)
り、
347
膿
(
う
)
んだ
鼻
(
はな
)
が、
348
つぶれたとも、
349
河童
(
かつぱ
)
の
屁
(
へ
)
がくさくないとも
云
(
い
)
つて
来
(
こ
)
ず、
350
本当
(
ほんたう
)
に
困
(
こま
)
つたガラクタ
男
(
をとこ
)
だ。
351
妾
(
わたし
)
は
今日
(
けふ
)
小北山
(
こぎたやま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に、
352
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
村
(
むら
)
に
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
軍人
(
いくさびと
)
が
居
(
を
)
らぬ
様
(
やう
)
になります
様
(
やう
)
と
祈
(
いの
)
つて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ、
353
娘
(
むすめ
)
に
神憑
(
かむがかり
)
があり「
今
(
いま
)
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
けば
万公
(
まんこう
)
に
出逢
(
であ
)
ふ」との
御
(
お
)
指図
(
さしづ
)
で、
354
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
万公
(
まんこう
)
に
意見
(
いけん
)
をしてやらうと
思
(
おも
)
つて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのだ。
355
此
(
この
)
上
(
うへ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
には
沢山
(
たくさん
)
な
人
(
ひと
)
がこもつて
居
(
ゐ
)
るが、
356
まだ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
や
五
(
ご
)
人
(
にん
)
寝
(
ね
)
られぬ
筈
(
はず
)
はないが、
357
万公
(
まんこう
)
の
様子
(
やうす
)
を
探
(
さぐ
)
らうと
思
(
おも
)
つてあンな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
つたのだ。
358
……
松彦
(
まつひこ
)
の
先生
(
せんせい
)
さま、
359
私
(
わたし
)
の
家
(
うち
)
では
斯
(
か
)
ういふ
事
(
こと
)
をやつて
居
(
ゐ
)
ましたから、
360
嘸
(
さぞ
)
世間
(
せけん
)
でも
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をして
歩
(
ある
)
くでせう。
361
何卒
(
なにとぞ
)
気
(
き
)
をつけて
真人間
(
まにんげん
)
にして
下
(
くだ
)
さい。
362
因縁
(
いんねん
)
あればこそ
娘
(
むすめ
)
の
腹
(
はら
)
をふくらしたのですから、
363
娘
(
むすめ
)
の
惚
(
ほれ
)
て
居
(
を
)
つた
男
(
をとこ
)
を
憎
(
にく
)
いとは
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ませぬ、
364
何卒
(
どうぞ
)
一人前
(
いちにんまへ
)
の
人間
(
にんげん
)
にして
貰
(
もら
)
ひたいと
思
(
おも
)
つて
再
(
ふたた
)
び
引返
(
ひつかへ
)
して
来
(
き
)
ました』
365
と
涙
(
なみだ
)
乍
(
なが
)
らに
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
る。
366
『
何
(
なに
)
もかもわかりました。
367
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
368
私
(
わたし
)
ばかりか
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
といふ
立派
(
りつぱ
)
な
先生
(
せんせい
)
がついて
居
(
を
)
られますから、
369
万公
(
まんこう
)
の
事
(
こと
)
は
御
(
お
)
案
(
あん
)
じ
下
(
くだ
)
さいますな』
370
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
371
何卒
(
どうぞ
)
よろしう
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひいたします。
372
サアお
菊
(
きく
)
、
373
失礼
(
しつれい
)
して
一足
(
ひとあし
)
お
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
きませう。
374
お
竜
(
たつ
)
さまが
待
(
ま
)
つてゐられますから』
375
『
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
面倒
(
めんだう
)
いたしました。
376
菊
(
きく
)
はお
先
(
さき
)
へ
失礼
(
しつれい
)
いたします』
377
『
左様
(
さやう
)
ならば
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
よう』
378
五三
(
いそ
)
『アハヽヽヽ』
379
アク『オツホヽヽヽ』
380
タク、
381
テクは
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
つて、
382
『ワツハヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
いオツホヽヽヽ』
383
『アーア、
384
悪
(
わる
)
い
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たものだ。
385
薩張
(
さつぱ
)
り
俺
(
おれ
)
の
顔
(
かほ
)
は
台
(
だい
)
なしだ。
386
ドーレこれから
一
(
ひと
)
つ
花々
(
はなばな
)
しい
功名
(
こうみやう
)
をして
万公
(
まんこう
)
末代
(
まつだい
)
世界
(
せかい
)
に
名
(
な
)
を
残
(
のこ
)
し、
387
お
里
(
さと
)
の
霊
(
れい
)
を
慰
(
なぐさ
)
めてやらうかなア』
388
『アハヽヽヽ、
389
五三公
(
いそこう
)
にまで、
390
万公
(
まんこう
)
、
391
到頭
(
たうとう
)
お
里
(
さと
)
が
解
(
わか
)
つたぢやないか。
392
イヒヽヽヽ』
393
(
大正一一・一二・九
旧一〇・二一
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 一本橋
(B)
(N)
脱線歌 >>>
霊界物語
>
第44巻
> 第3篇 珍聞万怪 > 第19章 婆口露
Tweet
王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト
最新更新情報
8/6
【
王仁DB
】
王仁DBの「書誌リスト」は廃止しました。オニペディアの「書籍」カテゴリをご利用下さい。
8/2
【
霊界物語音読
】
第28~32巻の朗読をユーチューブにアップしました。
7/20
【
飯塚弘明.com
】
二年前にメルマガに連載した「
世界大家族制とベーシックインカム
」を加筆訂正してブログに掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。
oni_do@ybb.ne.jp
(飯塚弘明)
【19 婆口露|第44巻(未の巻)|霊界物語/rm4419】
合言葉「おに」を入力して下さい→