霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第五章 不眠症(ふみんしやう)〔一一七四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻 篇:第1篇 神示の合離 よみ(新仮名遣い):しんじのごうり
章:第5章 不眠症 よみ(新仮名遣い):ふみんしょう 通し章番号:1174
口述日:1922(大正11)年12月07日(旧10月19日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要: 舞台:祠の森 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
祠の前で見張りをしていた五十公は、イル、イク、サールたちがヨル、テル、ハルの新顔を連れてきたので治国別を起こした。治国別は早くも、バラモン教の落ち武者であろうと察している。
治国別は新客の三人に目通りするために、寝所を離れて祠の前にやってきた。ヨルは酔った勢いで調子に乗ってバラモン教を抜け出したいきさつを語り始める。テルとハルは治国別に投降と帰順を申し出た。治国別は三人の帰順を許した。
道公と伊太公は物音に目をさまし、祠の様子を見に行こうと掛け合いを始めた。純公、万公も目をさまし、治国別が行ったのだから大丈夫だと安眠を勧めた。五十子姫、玉国別も歌を歌い、ふたたび眠りについた。そうするうちに夜は明けてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-01-18 12:34:39 文字数:4511 OBC :rm4405
愛善世界社版:57頁 八幡書店版:第8輯 160頁 修補版: 校定版:58頁 普及版:28頁 初版: ページ備考:
001 治国別(はるくにわけ)、002玉国別(たまくにわけ)の一行(いつかう)は祠(ほこら)の前(まへ)を立出(たちい)で、003上方(じやうはう)の以前(いぜん)の森(もり)の蔭(かげ)に各(おのおの)蓑(みの)を敷(し)き野宿(のじゆく)なしゐる。004そこへ祠(ほこら)の前(まへ)へ見張(みは)りをさして置(お)いた五三公(いそこう)はいそいそとして走(はし)り来(きた)り、
005五三公『もしもし、006治国別(はるくにわけ)の先生(せんせい)、007俄(にはか)にお客(きやく)さまが見(み)えました。008どう致(いた)しませうか』
009 此(この)声(こゑ)に治国別(はるくにわけ)は不図(ふと)目(め)を覚(さ)まし、
010治国別『此(この)山(やま)の中(なか)でお客(きやく)さまを迎(むか)へた処(ところ)で仕方(しかた)がない。011然(しか)し乍(なが)ら其(その)客(きやく)と云(い)ふのは如何(いか)なる人(ひと)か。012大方(おほかた)バラモン教(けう)の落武者(おちむしや)であらうなア』
013五三公『ハイ、014お察(さつ)しの通(とほ)りバラモン教(けう)の先生(せんせい)が三(さん)人(にん)やつて来(き)ました。015さうして気(き)の利(き)いた奴(やつ)で沢山(たくさん)な葡萄酒(ぶだうしゆ)を山籠(やまかご)に一杯(いつぱい)つめ込(こ)み来(き)て居(を)りますぜ。016大方(おほかた)毒(どく)でも入(はい)つてゐるのかと思(おも)ひ、017詰(つめ)をとつて持(も)つて来(き)た男(をとこ)に毒味(どくみ)をさして見(み)ましたが大丈夫(だいぢやうぶ)です。018何(なん)でも一人(ひとり)は頭(あたま)の光(ひか)つた若年寄(わかどしより)見(み)た様(やう)なテルと云(い)ふ奴(やつ)、019一(ひと)つは扇(あふぎ)をパツと開(ひら)いた様(やう)な上(うへ)ほど頭(あたま)のハルと云(い)ふ奴(やつ)、020も一人(ひとり)は足(あし)のヨボヨボしたヨロとかヨルとか云(い)ふ奴(やつこ)さまで厶(ござ)いますわい。021それはそれは乙(おつ)な事(こと)を云(い)ひますぜ。022一(ひと)つ会(あ)つてやつて下(くだ)さいませな』
023治国別『チツと静(しづ)かにものを言(い)はぬか。024皆(みな)さまがお寝(やす)みの邪魔(じやま)になるぢやないか。025さうして如何(いか)なる要件(えうけん)か、026それを聞(き)いたぢやらうな』
027五三公『まだ聞(き)いては居(を)りませぬが、028委細(ゐさい)はイル、029イク、030サールの三(さん)人(にん)が承知(しようち)してゐる筈(はず)です。031彼奴(あいつ)が引張(ひつぱ)つて来(き)たのですからな。032滅多(めつた)に裏返(うらかへ)る気遣(きづか)ひはありますまい、033先(ま)づイル、034イク、035サールの三(さん)人(にん)を信用(しんよう)してやつて下(くだ)さいませ』
036治国別『兎(と)も角(かく)もここで会(あ)ふと皆(みな)さまの安眠(あんみん)の妨害(ばうがい)になるから、037祠(ほこら)の前(まへ)迄(まで)出張(しゆつちやう)することにしようかな』
038五三公『ハイ、039御(ご)苦労(くらう)乍(なが)ら宜(よろ)しくお願(ねが)ひ致(いた)します』
040と云(い)ふより早(はや)く五三公(いそこう)は夜(よる)の山坂道(やまさかみち)を飛鳥(ひてう)の如(ごと)く跳(と)び下(くだ)り、041祠(ほこら)の前(まへ)に待(ま)つてゐる六(ろく)人(にん)に向(むか)ひ、042ハアハアと息(いき)を喘(はづ)ませ、
043五三公『おい、044イル、045イク、046サール、047テル、048ハル、049ヨル、050半打(はんダース)の人間(にんげん)さま、051五三公(いそこう)さまの交渉(かうせふ)委員(ゐゐん)は大成功(だいせいこう)だよ。052治国別(はるくにわけ)様(さま)が特別(とくべつ)を以(もつ)てお目(め)にブラ下(さが)つてやらうと仰有(おつしや)るのだ。053さア今(いま)にも此処(ここ)に御(ご)出張(しゆつちやう)になるのだから襟(えり)を正(ただ)し、054体(からだ)を直(なほ)して謹(つつし)みてお迎(むか)へをするが宜(よ)いぞ』
055ヨル『それは誠(まこと)に早速(さつそく)の御(ご)承知(しようち)、056有難(ありがた)い、057ヨルの如(や)うな者(もの)にも逢(あ)つて下(くだ)さいますか、058これと云(い)ふのも全(まつた)く神(かみ)様(さま)のお蔭(かげ)だ』
059五三公『之(これ)と云(い)ふのも幾分(いくぶん)かは五三公(いそこう)さまのお蔭(かげ)だと云(い)つた処(ところ)で、060あまり元(もと)のきれる話(はなし)ぢやないがな、061アハヽヽヽ』
062 斯(か)く笑(わら)ふ処(ところ)へ静々(しづしづ)と足許(あしもと)に気(き)をつけ乍(なが)ら七(しち)人(にん)の前(まへ)に現(あら)はれたのは治国別(はるくにわけ)である。
063治国別『バラモンからお出(いで)になつたお客(きやく)さまとは、064お前(まへ)さまのことかな』
065 ヨルは恐(おそ)る恐(おそ)る前(まへ)に進(すす)み、066頭(あたま)を二(ふた)つ三(み)つ撫(な)で乍(なが)ら、
067ヨル『ハイ、068私(わたし)はランチ将軍(しやうぐん)の恩顧(おんこ)を受(う)けてゐるヨルと申(まを)す者(もの)で厶(ござ)いますが、069実(じつ)の処(ところ)は、070大(おほい)に感(かん)ずる処(ところ)があつて三五教(あななひけう)の貴方(あなた)様(さま)にお願(ねが)ひの筋(すぢ)があつて遥々(はるばる)参(まゐ)りました』
071治国別『願(ねが)ひの筋(すぢ)とは何事(なにごと)で厶(ござ)るか』
072ヨル『実(じつ)は私(わたし)は玉山峠(たまやまたうげ)に於(おい)て三五教(あななひけう)の言霊(ことたま)に敬服(けいふく)致(いた)し、073又(また)もやクルスの森(もり)に於(おい)ても言霊(ことたま)の威力(ゐりよく)に遁走(とんそう)し、074片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)の先鋒隊(せんぽうたい)亦(また)脆(もろ)くも打破(うちやぶ)られたと云(い)ふ事(こと)を聞(き)くより、075信仰(しんかう)の基礎(どだい)がぐらつき出(だ)し、076これやどうしても吾々(われわれ)の信(しん)ずる神(かみ)は宇宙(うちう)根本(こんぽん)の神(かみ)でない。077神(かみ)のために働(はたら)く戦争(いくさ)が之(これ)丈(だ)け負続(まけつづ)けては、078何(なに)かの原因(げんいん)がなくてはならぬ。079ここは大(おほ)いに考(かんが)ふべき処(ところ)だと沈思(ちんし)黙考(もくかう)の結果(けつくわ)、080三五教(あななひけう)に帰順(きじゆん)することに決(き)めたので厶(ござ)ります。081それについてバラモン教(けう)のランチ将軍(しやうぐん)の部下(ぶか)に、082最(もつと)もバラモンに熱心(ねつしん)にして且(か)つ頑固(ぐわんこ)の身霊(みたま)の聞(きこ)えあるテル、083ハルの両人(りやうにん)を帰順(きじゆん)させ、084之(これ)を私(わたし)のお土産(みやげ)として葡萄酒(ぶだうしゆ)に添(そ)へて引(ひ)き摺(ず)つて参(まゐ)りました。085何卒(どうぞ)この功(こう)に免(めん)じて今迄(いままで)三五教(あななひけう)に抵抗(ていかう)した罪(つみ)をお赦(ゆる)しの上(うへ)、086貴方(あなた)のお弟子(でし)に加(くは)へて貰(もら)ひ度(た)いもので厶(ござ)ります』
087治国別『三五教(あななひけう)が負(まけ)るのも勝(か)つのも、088バラモン教(けう)が負(まけ)るのも勝(か)つのも皆(みんな)神(かみ)様(さま)の御(ご)摂理(せつり)だ。089一度(いちど)や二度(にど)の軍(いくさ)の勝負(しようぶ)によつて神(かみ)の力(ちから)を試(ため)すと云(い)ふ事(こと)は僣越(せんえつ)の沙汰(さた)でせう。090それ位(くらゐ)薄弱(はくじやく)な基礎(きそ)の下(もと)に入信(にふしん)するやうの人(ひと)ならば、091此(この)先(さき)三五教(あななひけう)が不幸(ふかう)にして負(まけ)た時(とき)は矢張(やつぱり)バラモン教(けう)の神(かみ)の方(はう)が偉(えら)いと云(い)つて、092踵(くびす)を返(かへ)し逆転(ぎやくてん)せなくてはなりますまい。093そンなに気(き)の変(かは)るお方(かた)は三五教(あななひけう)には居(を)りませぬからな』
094ヨル『何(なん)とまア、095六(むつ)かしい教(をしへ)で厶(ござ)りますな。096決(けつ)してさう云(い)ふ軽佻(けいてう)浮薄(ふはく)な吾々(われわれ)では厶(ござ)りませぬ。097これにはいろいろの動機(どうき)が厶(ござ)ります。098只(ただ)戦争(せんそう)の話(はなし)をしたのは御(ご)参考(さんかう)のために、099一部分(いちぶぶん)の理由(りいう)を申上(まをしあ)げたに過(す)ぎませぬ。100第一(だいいち)テル、101ハルの如(ごと)き没暁漢(わからずや)を改心(かいしん)させたのを証拠(しようこ)に何卒(どうぞ)、102入信(にふしん)のお許(ゆる)しを願(ねが)ひます』
103治国別『ハア……』
104テル『モシ宣伝使(せんでんし)様(さま)、105此(この)ヨルの云(い)ふ事(こと)は当(あて)になりませぬよ。106実(じつ)の処(ところ)は此(この)ハルと私(わたし)と両人(りやうにん)守衛(しゆゑい)を勤(つと)めテルと、107あまり寒(さむ)うて退屈(たいくつ)なので職務(しよくむ)不忠実(ふちうじつ)とは思(おも)ひ乍(なが)ら一寸(ちよつと)一杯(いつぱい)聞召(きこしめ)して居(ゐ)る処(ところ)へ、108恐(こは)い顔(かほ)して此(この)ヨルさまが見廻(みまは)りにやつて来(き)て「こりやこりやその方(はう)等(たち)両人(りやうにん)は、109バラモン神(がみ)や大黒主(おほくろぬし)様(さま)の御(おん)事(こと)を悪(わる)く申(まを)し、110三五教(あななひけう)を褒(ほ)めて居(を)つたぢやないか。111怪(け)しからぬ代物(しろもの)だから、112これから両人(りやうにん)を面縛(めんばく)して片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)の面前(めんぜん)へ引立(ひきた)ててくれむ」と威猛高(ゐたけだか)になり、113それはそれは大変(たいへん)な睨(にら)み方(かた)で厶(ござ)りました。114そこを吾々(われわれ)両人(りやうにん)がうまく酒(さけ)で釣(つ)り込(こ)み、115泥(どろ)を吐(は)かして見(み)れば、116此奴(こいつ)も矢張(やつぱり)心(こころ)の底(そこ)に三五教(あななひけう)の天国(てんごく)が開(ひら)けて居(ゐ)ると見(み)え、117酔(よひ)がまはるにつけバラモン教(けう)をこき下(お)ろすので、118此奴(こいつ)ア大丈夫(だいぢやうぶ)だと、119ヘベレケに酔(よ)うたズブ六(ろく)さまを駕籠(かご)に乗(の)せて、120ここ迄(まで)上(あが)つて来(き)たので厶(ござ)ります。121このテルだつて決(けつ)してヨルの云(い)ふ様(やう)な悪(わる)い人間(にんげん)では厶(ござ)りませぬ。122又(また)、123それほどバラモンに熱心(ねつしん)なものでも厶(ござ)りませぬから、124御(ご)安心(あんしん)なすつて下(くだ)さいませ。125なア、126ハル、127それに間違(まちがひ)ないな』
128 ハルは跡(あと)を次(つ)いで、
129ハル『テル公(こう)の云(い)つた通(とほ)り一分(いちぶ)一厘(いちりん)の相違(さうゐ)も厶(ござ)りませぬ。130貴方(あなた)もヤンチヤの氏子(うぢこ)が殖(ふ)えたと思(おも)つて何卒(どうぞ)大目(おほめ)に見(み)て拾(ひろ)ひ上(あ)げて下(くだ)さいませえな』
131治国別(はるくにわけ)『敵味方(てきみかた)垣(かき)を造(つく)りて争(あらそ)ふは
132鳥(とり)獣(けだもの)の仕業(しわざ)なるらむ。
133天地(あめつち)を造(つく)り給(たま)ひし皇神(すめかみ)は
134宣(の)り直(なほ)すらむ醜(しこ)の枉事(まがこと)。
135三五(あななひ)の道(みち)を尋(たづ)ねて来(く)る人(ひと)を
136つれなくやらふ道(みち)しなければ。
137招(ま)ぎ来(きた)るテル、ハル、ヨルの三柱(みはしら)に
138生言霊(いくことたま)の宣(の)り伝(つた)へせむ。
139今(いま)よりは誠(まこと)の神(かみ)の氏(うぢ)の子(こ)と
140なりて尽(つく)せよ世人(よびと)の為(た)めに』
141ヨル『有難(ありがた)し心(こころ)の花(はな)も開(ひら)くなる
142治国別(はるくにわけ)の厳(いづ)の言霊(ことたま)。
143今日(けふ)よりは心(こころ)の垢(あか)を拭(ふ)き払(はら)ひ
144安(やす)く楽(たの)しく道(みち)に仕(つか)へむ』
145テル『限(かぎ)りなき恵(めぐ)みの露(つゆ)は四方(よも)の国(くに)に
146潤(うるほ)ひ渡(わた)るテルの神国(かみくに)。
147テルと云(い)ふは空(そら)に輝(かがや)く日月(じつげつ)の
148光(ひかり)ばかりか吾(わが)頭(かしら)もてる』
149ハル『ハル過(す)ぎて夏(なつ)去(さ)り秋(あき)も亦(また)過(す)ぎて
150みたまの冬(ふゆ)を蒙(かかぶ)りにける。
151皇神(すめかみ)の恩頼(みたまのふゆ)を受(う)けむとて
152露(つゆ)の生命(いのち)を存(なが)らへてけり』
153イル『大神(おほかみ)の救(すく)ひの道(みち)に進(すす)みイル
154吾(われ)は楽(たの)しき身魂(みたま)なりけり』
155サール『腹帯(はらおび)を今(いま)やしつかり締(し)め直(なほ)し
156世人(よびと)のために誠(まこと)を尽(つく)さむ。
157世(よ)を乱(みだ)す枉(まが)もサールの神言(かみごと)に
158言向和(ことむけやは)す君(きみ)ぞ尊(たふと)き。
159清春(きよはる)の山(やま)の砦(とりで)にさし籠(こも)り
160悟(さと)り得(え)たりし三五(あななひ)の道(みち)。
161松公(まつこう)や竜公(たつこう)さまの御教(みをしへ)に
162バラモン雲(ぐも)は晴(は)れ渡(わた)りける』
163治国別(はるくにわけ)『吾(われ)は今(いま)八岐(やまた)大蛇(をろち)の棲(すく)いたる
164ハルナに行(ゆ)かむ道(みち)の上(へ)にこそ。
165さり乍(なが)らハルナの国(くに)はいと遠(とほ)し
166百(もも)の山河(やまかは)横(よこ)たはりあれば』
167ヨル『夜昼(よるひる)に心(こころ)の限(かぎ)り身(み)の限(かぎ)り
168曲(まが)とは知(し)らず尽(つく)し来(き)にけり。
169今日(けふ)よりは心(こころ)の駒(こま)を立(た)て直(なほ)し
170皇(すめ)大神(おほかみ)の正道(まさみち)に入(い)る』
171 話(はなし)変(かは)つて森(もり)の木蔭(こかげ)に寝(やす)ンでゐた道公(みちこう)、172伊太公(いたこう)二人(ふたり)は目(め)を覚(さ)まし起(お)き上(あが)り、
173伊太公『オイ、174道公(みちこう)さま、175祠(ほこら)の前(まへ)には又(また)もや活劇(くわつげき)が悠々(いういう)と初(はじ)まつてるのぢやあるまいかな。176一(ひと)つそつと行(い)つて見(み)たらどうだらう』
177道公『さうだな伊太公(いたこう)、178何(なん)とはなしに騒(さわ)がしい様(やう)だ。179然(しか)し吾々(われわれ)に対(たい)し急用(きふよう)があれば先生(せんせい)は呼(よ)ンで下(くだ)さるだらうよ。180まアじつくりとしたが宜(よ)からう』
181伊太公『まづ俺(おれ)が偵察(ていさつ)に行(い)つて来(く)るから道公(みちこう)お前(まへ)はここに待(ま)つてゐてくれぬか』
182道公『そいつは御免(ごめん)だ。183又(また)此(この)間(あひだ)の様(やう)に清春山(きよはるやま)につれて行(ゆ)かれちや俺(おれ)達(たち)の迷惑(めいわく)だから……もし此(この)道公(みちこう)が、184怪(あや)しいものだつたら独特(どくとく)の哄笑器(こうせうき)を出(だ)して此(この)間(あひだ)のやうに笑(わら)ひ散(ち)らしてやるのだ。185まア待(ま)つてくれ。186俺(おれ)が行(い)つて来(く)る』
187伊太公『笑(わら)ひ散(ち)らしたと思(おも)へば宣伝使(せんでんし)様(さま)の弟(おとうと)ぢやなかつたか。188そンな他愛(たあい)もない事(こと)なら、189伊太公(いたこう)だつて一旦(いつたん)痛手(いたで)を負(お)うた上(うへ)は充分(じゆうぶん)の注意(ちうい)をして居(を)るから大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。190俺(おれ)でも笑(わら)ひ散(ち)らし位(くらゐ)は出来(でき)るよ』
191道公『そンなら道公(みちこう)が道案内(みちあんない)をしてやらう。192貴様(きさま)はどうしても捕虜(ほりよ)の身魂(みたま)が憑(つ)いて居(ゐ)るから駄目(だめ)だ。193三間(さんげん)ばかり後(あと)から俺(おれ)に踉(つ)いて来(こ)い。194もし怪(あや)しい事(こと)でもあつたら一生(いつしやう)懸命(けんめい)に走(はし)つて来(く)るのだ』
195伊太公『大変(たいへん)に信用(しんよう)を落(おと)したものだな。196併(しか)し神(かみ)様(さま)には信用(しんよう)を受(う)けて居(ゐ)るのだから安心(あんしん)だ。197一(ひと)つここから、198治国別(はるくにわけ)様(さま)に違(ちが)ひないから、199呶鳴(どな)つて見(み)たらどうだらう』
200道公『馬鹿(ばか)云(い)ふない。201大(おほ)きな声(こゑ)を出(だ)しちや皆(みな)が目(め)が覚(さ)めるぞ。202治国別(はるくにわけ)様(さま)が、203道公(みちこう)が目(め)を覚(さ)まして聞(き)いて居(を)れば俺(おれ)が寝(やす)ンで居(を)るものと思(おも)ひ、204五三公(いそこう)と一緒(いつしよ)にひそひそと話(はな)して居(を)られたが、205何(なん)でも何々(なになに)が何々(なになに)に来(き)て居(ゐ)るのかも知(し)れぬぞ』
206伊太公『さうすると道公(みちこう)は寝(やす)ンでゐる様(やう)な顔(かほ)して起(お)きて居(ゐ)たのだな』
207道公『俺(おれ)は此(この)頃(ごろ)流行(はや)る不眠症(ふみんしやう)とかに罹(かか)つてゐるのだが、208夜(よる)になると目(め)が冴(さ)えて神経(しんけい)が興奮(こうふん)して一寸(ちよつと)や、209そつとには寝(ねむ)られぬのだよ。210道公(みちこう)も実(じつ)にふびんなものだ。211アハヽヽヽ』
212純公『オイ両人(りやうにん)、213そつと行(ゆ)かぬといかないぞ。214純公(すみこう)さまが目(め)を覚(さ)ましちや気(き)の毒(どく)だからな』
215伊太公『アハヽヽヽ何(なに)を云(い)ふのだ。216目(め)を覚(さ)ましておりやこそ喋(しやべ)つて居(を)るのぢやないか』
217純公『純公(すみこう)の肉体(にくたい)は寝(ね)て居(ゐ)るが、218俺(おれ)や一寸(ちよつと)夢(ゆめ)を見(み)てゐるのだ』
219伊太公『夢(ゆめ)だか現(うつつ)だか、220馬鹿(ばか)だか、221悧巧(りかう)だか、222一寸(ちよつと)も測量(そくりやう)の出来(でき)ない代物(しろもの)だな』
223純公『国治立(くにはるたちの)尊(みこと)様(さま)ぢやないが、224スになりましてすみきり給(たま)ふと云(い)ふ立派(りつぱ)な身魂(みたま)だから、225人間(にんげん)位(ぐらゐ)の智慧(ちゑ)で純公(すみこう)さまの智慧(ちゑ)がどうして測量(そくりやう)する事(こと)が出来(でき)るものかい。226人間(にんげん)に測量(そくりやう)出来(でき)る様(やう)なものは最早(もはや)神(かみ)でも何(なん)でもない。227チヤンときまりきつた相場(さうば)がついてゐるのだ。228馬鹿(ばか)とも阿呆(あはう)とも分(わか)らぬ処(ところ)に、229純公(すみこう)さまの神格(しんかく)が縦横(じうわう)無尽(むじん)に活躍(くわつやく)してるのだよ。230それだから此(この)純公(すみこう)さまは隅(すみ)にも置(お)けないと、231何時(いつ)だつたかな、232五十子(いそこ)姫(ひめ)さまがお褒(ほ)め遊(あそ)ばした事(こと)があるよ』
233伊太公『それは大方(おほかた)夢(ゆめ)だつたらう。234なア道公(みちこう)、235こンな男(をとこ)を褒(ほ)めるとは、236五十子(いそこ)姫(ひめ)さまも一寸(ちよつと)如何(どう)かしてるぢやないか。237さうぢやなければ純公(すみこう)さまが夢(ゆめ)を見(み)たのかも知(し)れぬぜ』
238純公『人間(にんげん)は夢(ゆめ)の中(なか)で夢(ゆめ)を見(み)てゐるのだよ。239そんな事(こと)を大体(だいたい)、240本当(ほんたう)に見(み)てゐるのが馬鹿(ばか)だ。241人(ひと)の正邪(せいじや)賢愚(けんぐ)が分(わか)るものかい。242况(ま)して落(お)ちた真珠(しんじゆ)に氷(こほり)が張(は)つた様(やう)な肉眼(にくがん)では外面(ぐわいめん)だけでも観察(くわんさつ)する事(こと)は不可能(ふかのう)だ。243况(いは)ンや身内(しんない)に於(お)ける清浄(せいじやう)無垢(むく)有為(いうゐ)の精神(せいしん)に於(おい)てをやだ』
244万公『オイ、245ガラクタ共(ども)、246何(なに)を八釜(やかま)しく云(い)ふのだい。247いい加減(かげん)に寝(やす)まないかい、248万公(まんこう)さまの俺(おれ)は第一(だいいち)、249晴公(はるこう)さまは申(まを)すに及(およ)ばず、250五十子(いそこ)姫(ひめ)様(さま)、251今子姫(いまこひめ)様(さま)、252玉国別(たまくにわけ)様(さま)の御(ご)迷惑(めいわく)だ。253さアさア寝(ね)たり寝(ね)たり。254治国別(はるくにわけ)さまが御(ご)出張(しゆつちやう)になつてゐるのだから大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。255吾々(われわれ)如(ごと)き小童子(こつば)武者(むしや)が起(お)きて居(を)つても何(なん)になるものか。256起床(きしやう)喇叭(ラツパ)が鳴(な)るまで神妙(しんめう)に就寝(しうしん)するのだな』
257伊太公『いや仕方(しかた)がない。258それもさうだ、259道公(みちこう)、260純公(すみこう)、261万公(まんこう)寝(ね)やうかい。262もう夜明(よあ)けに間(ま)もあるまいし、263只今(ただいま)と云(い)ふ此(この)時間(じかん)は万劫(まんご)末代(まつだい)取返(とりかへ)す事(こと)は出来(でき)ぬのだから、264思(おも)ひきつて寝(やす)まうぢやないか、265伊太公(いたこう)も眠(ねむ)いからのう』
266五十子(いそこ)姫(ひめ)『玉国別(たまくにわけ)神(かみ)の命(みこと)のいたづきも
267早(は)や鎮(しづ)まりて月(つき)は輝(かがや)く。
268皇神(すめかみ)の恵(めぐみ)の露(つゆ)を浴(あ)び乍(なが)ら
269風(かぜ)に吹(ふ)かれて寝(い)ぬる嬉(うれ)しさ』
270 玉国別(たまくにわけ)は目(め)を覚(さ)まし、
271玉国別『大空(おほぞら)に輝(かがや)き渡(わた)る月(つき)の玉(たま)を
272国別(くにわ)け渡(わた)らし進(すす)む尊(たふと)さ。
273治国別(はるくにわけ)神(かみ)の命(みこと)は雄々(をを)しくも
274醜(しこ)の司(つかさ)を教(をし)へ居(ゐ)ますか。
275吾(われ)も亦(また)神(かみ)の司(つかさ)と選(えら)まれて
276来(きた)りし上(うへ)は救(すく)はでおくべき。
277右(みぎ)の目(め)の吾(わが)いたづきも止(と)まりけり
278月(つき)の御神(みかみ)の光(かげ)浴(あ)びしより』
279 斯(か)く歌(うた)ふうちに十七夜(じふしちや)の月(つき)は西天(せいてん)に色褪(いろあ)せ、280鵲(かささぎ)の声(こゑ)はカアカアと清(きよ)く響(ひび)き、281百鳥(ももどり)は声(こゑ)を限(かぎ)りに囀(さへづ)り初(はじ)めた。
282(大正一一・一二・七 旧一〇・一九 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→