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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
第1章 笑の恵
第2章 月の影
第3章 守衛の囁
第4章 滝の下
第5章 不眠症
第6章 山下り
第7章 山口の森
第2篇 月明清楓
第8章 光と熱
第9章 怪光
第10章 奇遇
第11章 腰ぬけ
第12章 大歓喜
第13章 山口の別
第14章 思ひ出の歌
第3篇 珍聞万怪
第15章 変化
第16章 怯風
第17章 罵狸鬼
第18章 一本橋
第19章 婆口露
第20章 脱線歌
第21章 小北山
余白歌
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第44巻(未の巻)
> 第3篇 珍聞万怪 > 第15章 変化
<<< 思ひ出の歌
(B)
(N)
怯風 >>>
第一五章
変化
(
へんげ
)
〔一一八四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第3篇 珍聞万怪
よみ(新仮名遣い):
ちんぶんばんかい
章:
第15章 変化
よみ(新仮名遣い):
へんげ
通し章番号:
1184
口述日:
1922(大正11)年12月08日(旧10月20日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
野中の森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一行が二十里ばかりも歩いてくると、傍らの森の中から騒々しい女の声が聞こえてきた。一行は何事かと息をひそめて近づいていく。
見れば森の中で五六人の荒男たちが、一人の女を捕えて打擲している。男たちはバラモン軍の手下であり、杢助の娘・初稚姫を捜索していた。女を尋問し、初稚姫に仕立てて捕えようとしていたのであった。
万公は助けだそうと歯ぎしりをしているが、どうしたことか治国別と松彦はこの様子を泰然として眺めている。
そうするうちに、女を尋問していた男たちはどうしたことか同士討ちを始めた。すると女は大きな白狐に変じて、森を後に逃げて行った。男たちはそのまま同士討ちを始めている。
この様子に万公たちはおかしさをこらえきれずに大声で笑いだした。この笑い声に驚いて、男たちは雲を霞と逃げて行った。
治国別はあれは白狐・月日明神であり、楓をバラモン教の捕り手たちから逃がすために身代わりとなってくれたのでだと説明した。一行はここで一夜を明かすことになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-14 16:21:35
OBC :
rm4415
愛善世界社版:
201頁
八幡書店版:
第8輯 209頁
修補版:
校定版:
211頁
普及版:
86頁
初版:
ページ備考:
001
治国別
(
はるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
は
山口
(
やまぐち
)
の
森
(
もり
)
を
後
(
あと
)
にして、
002
足
(
あし
)
を
速
(
はや
)
めて
二十
(
にじふ
)
里
(
り
)
ばかり
南進
(
なんしん
)
した。
003
二十
(
にじふ
)
里
(
り
)
といつても
極近
(
ごくちか
)
いものである。
004
一
(
いち
)
里
(
り
)
といへば
我
(
わが
)
国
(
くに
)
の
二百間
(
にひやくけん
)
位
(
ぐらゐ
)
なもの、
005
丁度
(
ちやうど
)
三丁
(
さんちやう
)
強
(
きやう
)
に
当
(
あた
)
るのである。
006
治国別
(
はるくにわけ
)
は
道
(
みち
)
の
傍
(
かたへ
)
の
細
(
ほそ
)
き
流
(
なが
)
れに
下
(
お
)
りて
喉
(
のど
)
をうるほし、
007
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
を
眺
(
なが
)
めて
暫
(
しば
)
し
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めてゐた。
008
二十間
(
にじつけん
)
ばかり
隔
(
へだ
)
つた
田圃
(
たんぼ
)
の
中
(
なか
)
にコンモリとした
森
(
もり
)
[
※
次の章で「野中の森」と呼ばれている
]
が、
009
巍然
(
ぎぜん
)
と
広
(
ひろ
)
き
原野
(
げんや
)
を
占領
(
せんりやう
)
して
吾物顔
(
わがものがほ
)
に
立
(
た
)
つてゐる。
010
其
(
その
)
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
より
騒々
(
さうざう
)
しき
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
011
万公
(
まんこう
)
は
早
(
はや
)
くも
聞
(
き
)
きとり、
012
万公
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
013
あの
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
に
奇妙
(
きめう
)
奇天烈
(
きてれつ
)
な
活劇
(
くわつげき
)
が
演
(
えん
)
じられてゐるやうです。
014
どうです、
015
今晩
(
こんばん
)
は
活劇
(
くわつげき
)
見物
(
けんぶつ
)
がてら、
016
あの
森
(
もり
)
で
一宿
(
いつしゆく
)
致
(
いた
)
しませうか。
017
森林
(
しんりん
)
ホテルも
乙
(
おつ
)
なものですでー。
018
夜前
(
やぜん
)
も
森林
(
しんりん
)
ホテル、
019
今晩
(
こんばん
)
も
又
(
また
)
同
(
おな
)
じくと
云
(
い
)
ふのだから
日記帳
(
につきちやう
)
につけるのも
大変
(
たいへん
)
便利
(
べんり
)
がよろしからう。
020
アレアレ
御
(
お
)
聞
(
き
)
きなさいませ。
021
猿
(
さる
)
を
攻
(
せ
)
めるやうな
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
、
022
此奴
(
こいつ
)
は
何
(
なに
)
か
秘密
(
ひみつ
)
が
伏在
(
ふくざい
)
して
居
(
を
)
るでせう。
023
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
実地
(
じつち
)
探険
(
たんけん
)
に
参
(
まゐ
)
りませうか』
024
治国別
(
はるくにわけ
)
は、
025
治国別
『モウ
少
(
すこ
)
し
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
き
度
(
た
)
いのだが、
026
あの
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いては
宣伝使
(
せんでんし
)
として
見逃
(
みのが
)
して
通
(
とほ
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬ。
027
大変
(
たいへん
)
な
茂
(
しげ
)
つた
森
(
もり
)
だから、
028
ソツと
忍
(
しの
)
び
寄
(
よ
)
り、
029
何事
(
なにごと
)
か
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よう』
030
五三公
(
いそこう
)
は、
031
五三公
『オイ
万公
(
まんこう
)
、
032
又
(
また
)
ヒユードロドロだぞ。
033
肝
(
きも
)
をつぶすな』
034
万公
『ナアニ
昼
(
ひる
)
の
幽霊
(
いうれい
)
が
恐
(
こは
)
くて
怺
(
たま
)
るかい。
035
ドロドロでも
泥坊
(
どろばう
)
でもかまはぬぢやないか。
036
大方
(
おほかた
)
泥坊
(
どろばう
)
さまが
旅人
(
たびびと
)
を
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
ンで
衣類
(
いるゐ
)
を
剥
(
は
)
ぎ、
037
厭
(
いや
)
がる
女
(
をんな
)
を
無理
(
むり
)
無体
(
むたい
)
に
捻伏
(
ねぢふ
)
せて
念仏講
(
ねんぶつかう
)
でもやつて
居
(
ゐ
)
るのだらう』
038
五三公
『
念仏講
(
ねんぶつかう
)
て
何
(
なん
)
だい。
039
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
をいふぢやないか。
040
ハヽヽヽ
幽霊
(
いうれい
)
が
出
(
で
)
るので
成仏
(
じやうぶつ
)
する
様
(
やう
)
に
念仏
(
ねんぶつ
)
を
唱
(
とな
)
へてゐるのだな。
041
それにしては
根
(
ね
)
つから
詠歌
(
えいか
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えぬぢやないか。
042
薩張
(
さつぱり
)
金切声
(
きんきりごゑ
)
のチヤアチヤアだ。
043
一寸
(
ちよつと
)
聞
(
き
)
くと
狐々
(
こんこん
)
様
(
さま
)
のやうにもあるし、
044
猿
(
さる
)
のやうにもあるし、
045
女
(
をんな
)
の
様
(
やう
)
にも
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る。
046
何
(
なん
)
だか
怪体
(
けつたい
)
な
代物
(
しろもの
)
だ。
047
五三公
(
いそこう
)
は
研究
(
けんきう
)
の
価値
(
かち
)
が
十分
(
じふぶん
)
にあるやうに
思
(
おも
)
ひますがなア
先生
(
せんせい
)
』
048
治国別
『ウン
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
やう。
049
併
(
しか
)
し
篏口令
(
かんこうれい
)
を
布
(
し
)
いておくから、
050
号令
(
がうれい
)
が
下
(
くだ
)
る
迄
(
まで
)
、
051
何事
(
なにごと
)
があつても
発声
(
はつせい
)
する
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないぞ』
052
万公
『
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
053
囁
(
ささや
)
き
話
(
ばなし
)
も
出来
(
でき
)
ませんか、
054
万公
(
まんこう
)
も
一寸
(
ちよつと
)
困
(
こま
)
るナア』
055
治国別
『ウン
勿論
(
もちろん
)
だ』
056
万公
『
万公別
(
まんこうわけ
)
が、
057
五三公
(
いそこう
)
、
058
竜公
(
たつこう
)
に
対
(
たい
)
し
篏口令
(
かんこうれい
)
を
布
(
し
)
く。
059
堅
(
かた
)
く
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
るのだぞ』
060
五三公
『ハヽヽヽ
直
(
すぐ
)
に
受売
(
うけう
)
りをやつて
居
(
ゐ
)
よるナ。
061
そんな
小売
(
こう
)
りをしたつて
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
ア
買
(
か
)
ふ
気
(
き
)
づかひは
無
(
な
)
いぞ。
062
物価
(
ぶつか
)
調節令
(
てうせつれい
)
が
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
るのに、
063
それを
無視
(
むし
)
して
小商人
(
こあきんど
)
が
暴利
(
ばうり
)
を
貪
(
むさぼ
)
り、
064
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
にゴンベツたり、
065
ビヤクツたりするから
為政者
(
ゐせいしや
)
もこの
五三公
(
いそこう
)
さまもなかなか
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れる
事
(
こと
)
だワイ、
066
アハヽヽヽヽ』
067
治国別
(
はるくにわけ
)
は、
068
治国別
『サア
行
(
い
)
かう、
069
沈黙
(
ちんもく
)
だ』
070
と
厳命
(
げんめい
)
し
乍
(
なが
)
ら
草野
(
くさの
)
を
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
071
見
(
み
)
れば
欝蒼
(
うつさう
)
たる
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
に
五六
(
ごろく
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
、
072
一人
(
ひとり
)
の
美人
(
びじん
)
を
捕
(
とら
)
へ、
073
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
寄
(
よ
)
つてかかつて
打擲
(
ちやうちやく
)
を
始
(
はじ
)
めてゐる。
074
治国別
(
はるくにわけ
)
は
平然
(
へいぜん
)
として
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みより
眺
(
なが
)
めてゐる。
075
万公
(
まんこう
)
は
胸
(
むね
)
を
躍
(
をど
)
らせ、
076
口
(
くち
)
をパツと
開
(
あ
)
け、
077
両手
(
りやうて
)
をひらいて
中腰
(
ちうごし
)
になり、
078
今
(
いま
)
にも
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
さむとする
格好
(
かくかう
)
で
歯
(
は
)
がゆ
相
(
さう
)
に
片唾
(
かたづ
)
を
呑
(
の
)
ンで、
079
治国別
(
はるくにわけ
)
の
命令
(
めいれい
)
一下
(
いつか
)
すれば、
080
片端
(
かたつぱし
)
から
撲
(
なぐ
)
り
倒
(
たふ
)
し、
081
虐
(
さいな
)
まれてゐる
女
(
をんな
)
を
救
(
すく
)
ひやらむと
身構
(
みがま
)
へしてゐる。
082
五三公
(
いそこう
)
も
竜公
(
たつこう
)
もハラハラし
乍
(
なが
)
ら、
083
もどかし
げに
眺
(
なが
)
めてゐた。
084
治国別
(
はるくにわけ
)
、
085
松彦
(
まつひこ
)
は
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
で
微笑
(
ほほゑみ
)
をうかべ
乍
(
なが
)
ら
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
見
(
み
)
つめてゐる。
086
女
(
をんな
)
を
仰向
(
あふむけ
)
に
寝
(
ね
)
させ
胸倉
(
むなぐら
)
をグツと
取
(
と
)
り
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
が
蠑螺
(
さざえ
)
のやうな
拳骨
(
げんこつ
)
をふり
上
(
あ
)
げ、
087
キア キア
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
を
憎々
(
にくにく
)
し
気
(
げ
)
に
睨
(
にら
)
みつけ
乍
(
なが
)
ら、
088
甲
(
かふ
)
『コリア
尼
(
あま
)
ツちよ、
089
何
(
ど
)
うしても
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
さぬか。
090
しぶとい
奴
(
やつ
)
だなア。
091
貴様
(
きさま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
初稚姫
(
はつわかひめ
)
といふ
奴
(
やつ
)
だらう』
092
女
『イエイエ
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
してそんな
女
(
をんな
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
093
山
(
やま
)
住居
(
ずまゐ
)
をいたして
居
(
ゐ
)
るものの
娘
(
むすめ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
094
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
お
)
慈悲
(
じひ
)
に
御
(
お
)
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
095
甲
(
かふ
)
は、
096
甲
『エーしぶとい
女
(
をんな
)
奴
(
め
)
』
097
と
呶鳴
(
どな
)
りつけ、
098
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
前額部
(
ぜんがくぶ
)
をコツンと
擲
(
なぐ
)
る。
099
撲
(
なぐ
)
られて
娘
(
むすめ
)
はキヤアキヤアと
叫
(
さけ
)
ぶ。
100
万公
(
まんこう
)
は
今
(
いま
)
は
一矢
(
いつし
)
の
弦
(
ゆみづる
)
を
離
(
はな
)
れむとする
如
(
ごと
)
き
勢
(
いきほひ
)
で、
101
体
(
からだ
)
を
前方
(
ぜんぱう
)
に
反
(
そ
)
らせ
足
(
あし
)
をふン
張
(
ば
)
り、
102
マラソン
競争
(
きやうそう
)
の
合図
(
あひづ
)
の
太鼓
(
たいこ
)
が
鳴
(
な
)
るのを
待
(
ま
)
つやうな
構
(
かま
)
へで、
103
腕
(
うで
)
を
唸
(
うな
)
らしてゐる。
104
一方
(
いつぱう
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
は
又
(
また
)
もや
声
(
こゑ
)
を
荒
(
あら
)
らげ、
105
男
『エーしぶとい。
106
貴様
(
きさま
)
は
杢助
(
もくすけ
)
の
娘
(
むすめ
)
に
間違
(
まちが
)
ひなからう。
107
さあ
尋常
(
じんじやう
)
に
白状
(
はくじやう
)
して
了
(
しま
)
へ。
108
貴様
(
きさま
)
の
親
(
おや
)
の
杢助
(
もくすけ
)
や、
109
三五教
(
あななひけう
)
の
黒姫
(
くろひめ
)
はライオン
河
(
がは
)
の
畔
(
ほとり
)
でランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
部下
(
ぶか
)
に
捕
(
とら
)
へられ、
110
日夜
(
にちや
)
の
責苦
(
せめく
)
に
逢
(
あ
)
うて
苦
(
くる
)
しみてゐるのだ。
111
貴様
(
きさま
)
さへ
白状
(
はくじやう
)
すれば
二人
(
ふたり
)
の
罪
(
つみ
)
は
許
(
ゆる
)
され、
112
貴様
(
きさま
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
のお
妾
(
めかけ
)
と
抜擢
(
ばつてき
)
されて
出世
(
しゆつせ
)
をするのだ。
113
コリヤ
女
(
をんな
)
、
114
此処
(
ここ
)
で
殺
(
ころ
)
されるのがよいか、
115
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
のお
妾
(
めかけ
)
になつて
親
(
おや
)
の
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けるのがよいか。
116
よく
思案
(
しあん
)
をして
返答
(
へんたふ
)
いたせ』
117
女
『オホヽヽヽ、
118
彼
(
あ
)
のマア
瓢六玉
(
へうろくだま
)
わいのう。
119
何
(
ど
)
うなと
勝手
(
かつて
)
になさいませ。
120
杢助
(
もくすけ
)
などといふ
父親
(
てておや
)
は
持
(
も
)
つた
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬわ。
121
黒姫
(
くろひめ
)
なンて
出逢
(
であ
)
つた
事
(
こと
)
もありませぬわ。
122
さア、
123
殺
(
ころ
)
すなと
何
(
なん
)
なとして
下
(
くだ
)
さい』
124
男
(
をとこ
)
『ヤア
俄
(
にはか
)
に
強
(
つよ
)
くなりよつたな。
125
ハー、
126
あまりビツクリして
気
(
き
)
が
違
(
ちが
)
つたのだな。
127
こンな
気違
(
きちが
)
ひを
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つたとこで、
128
将軍
(
しやうぐん
)
さまの
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
つでも
無
(
な
)
し、
129
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
何処迄
(
どこまで
)
も
白状
(
はくじやう
)
さして
伴
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
らねば、
130
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
役目
(
やくめ
)
が
済
(
す
)
まぬ。
131
オイ
女
(
をんな
)
、
132
貴様
(
きさま
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
を
怨
(
うら
)
ンで
昼
(
ひる
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
窟
(
あな
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し、
133
夜
(
よる
)
は
鬼娘
(
おにむすめ
)
と
化
(
ば
)
けて
呪
(
のろ
)
ひの
五寸釘
(
ごすんくぎ
)
を
打
(
う
)
つてゐよつたのだらうがなア。
134
そンな
事
(
こと
)
はチヤンと
探索
(
たんさく
)
してあるのだから、
135
モウ
駄目
(
だめ
)
だ。
136
俺
(
おれ
)
が
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
の
夜
(
よさ
)
りだつた…
頭
(
あたま
)
に
蝋燭
(
らふそく
)
を
立
(
た
)
つて、
137
鏡
(
かがみ
)
を
下
(
さ
)
げ、
138
凄
(
すさま
)
じい
様子
(
やうす
)
をして
山口
(
やまぐち
)
の
森
(
もり
)
へ
行
(
ゆ
)
きよつた
時
(
とき
)
、
139
俺
(
おれ
)
も
一寸
(
ちよつと
)
気味
(
きみ
)
が
悪
(
わる
)
かつたけれど、
140
なアにバラモン
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
頼
(
たの
)
めば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
141
尾行
(
びかう
)
して
貴様
(
きさま
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
けば、
142
何卒
(
どうぞ
)
私
(
わたし
)
の
親
(
おや
)
の
仇
(
かたき
)
が
打
(
う
)
てますやうに、
143
さうして
無事
(
ぶじ
)
に
逃
(
のが
)
れますやう、
144
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が
亡
(
ほろ
)
びますやうと
言
(
い
)
つては
釘
(
くぎ
)
を
打
(
う
)
つてゐたではないか。
145
そこ
迄
(
まで
)
手証
(
てしよう
)
を
握
(
にぎ
)
つてゐるから、
146
モウ
隠
(
かく
)
しても
駄目
(
だめ
)
だぞ。
147
大
(
だい
)
それた
女
(
をんな
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
大蛇
(
をろち
)
の
窟
(
あな
)
に
安閑
(
あんかん
)
として
高鼾
(
たかいびき
)
をかいて
寝
(
ね
)
てゐやがつた
所
(
ところ
)
をとつ
捉
(
つか
)
まへて
来
(
き
)
たのだ。
148
さア、
149
白状
(
はくじやう
)
せい。
150
昨日
(
きのふ
)
の
日暮
(
ひぐれ
)
から
殆
(
ほとん
)
ど
一日
(
いちにち
)
一夜
(
いちや
)
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
らしよつて、
151
ドシ
太
(
ぶと
)
い。
152
俺
(
おれ
)
だつて
腹
(
はら
)
が
減
(
へ
)
つて
怺
(
たま
)
らンぢやないか』
153
女
『オホヽヽヽ、
154
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
あ、
155
間抜
(
まぬ
)
けだい。
156
その
女
(
をんな
)
は
楓
(
かへで
)
といつて
夜前
(
やぜん
)
も
釘
(
くぎ
)
を
打
(
う
)
ちに
行
(
い
)
つたよ。
157
妾
(
わたし
)
と
間違
(
まちが
)
へられちや
大変
(
たいへん
)
だ。
158
偉
(
えら
)
い
災難
(
さいなん
)
だよ。
159
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
助
(
たす
)
けられ、
160
今頃
(
いまごろ
)
は
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
上
(
のぼ
)
つてゐる
最中
(
さいちう
)
だ。
161
余程
(
よつぽど
)
好
(
よ
)
い
頓馬
(
とんま
)
だこと。
162
ホヽヽヽヽ』
163
男
『コリヤ
尼
(
あま
)
ツちよ、
164
そンな
事
(
こと
)
をいつて
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
胡麻化
(
ごまか
)
さうとしても
駄目
(
だめ
)
だぞ。
165
チヤアンと
証拠
(
しようこ
)
が
握
(
にぎ
)
つてあるのだから、
166
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
さぬと
親
(
おや
)
の
為
(
ため
)
に
悪
(
わる
)
いぞ。
167
杢助
(
もくすけ
)
や、
168
黒姫
(
くろひめ
)
が
可愛相
(
かあいさう
)
とは
思
(
おも
)
はぬか』
169
女
『ホヽヽヽヽ
杢
(
もく
)
さまが
何
(
ど
)
うならうと、
170
此方
(
こつち
)
や
一寸
(
ちよつと
)
も
目算
(
もくさん
)
が
外
(
はづ
)
れぬのだから
構
(
かま
)
やせぬわ。
171
黒
(
くろ
)
さまが
何
(
ど
)
うならうとお
前
(
まへ
)
さまが
苦労
(
くらう
)
する
丈
(
だ
)
けの
事
(
こと
)
ぢや。
172
殺
(
ころ
)
しなつと
煮
(
たい
)
て
喰
(
く
)
はふと
勝手
(
かつて
)
になさいませ』
173
男
『コリヤ
女
(
をんな
)
、
174
貴様
(
きさま
)
は
親
(
おや
)
に
対
(
たい
)
し
孝行
(
かうかう
)
といふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
らぬのだなア。
175
丸
(
まる
)
で
狐狸
(
こり
)
のやうな
奴
(
やつ
)
だ。
176
不人情
(
ふにんじやう
)
者
(
もの
)
だなア。
177
こンな
優
(
やさ
)
しい
顔
(
かほ
)
をしよつて、
178
親不孝
(
おやふかう
)
の
魂
(
たましひ
)
見下
(
みさ
)
げはてた
女
(
をんな
)
だ』
179
女
『
妾
(
わたし
)
はコンコンさまだよ。
180
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
馬鹿
(
ばか
)
だからつままれてゐるのだ。
181
そンな
枯木杭
(
かれぼくくひ
)
をつかまへて
何
(
なに
)
をしてゐるのだイ。
182
よい
盲目
(
めくら
)
だなア、
183
ホヽヽヽヽ』
184
男
『
丸
(
まる
)
で
狐
(
きつね
)
のやうな
奴
(
やつ
)
だ。
185
ドシ
太
(
ふと
)
い
何
(
なん
)
ぼ
叩
(
たた
)
いても
叩
(
たた
)
いてもキア キア
吐
(
ぬか
)
すばつかりで
往生
(
わうじやう
)
しよらぬ。
186
此奴
(
こいつ
)
は
不死身
(
ふじみ
)
かもしれぬぞ。
187
俺
(
おれ
)
一人
(
ひとり
)
では
駄目
(
だめ
)
だ。
188
皆
(
みな
)
寄
(
よ
)
つてたかつて
叩
(
たた
)
き
延
(
の
)
ばしてやらうかい』
189
女
『ホヽヽヽ、
190
たかが
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
を
取
(
とり
)
まいて
大
(
だい
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
がよりかかり、
191
一昼夜
(
いつちうや
)
もかかつて
何
(
ど
)
うする
事
(
こと
)
もようせぬといふやうな
間抜
(
まぬ
)
けが
仮令
(
たとへ
)
何万
(
なんまん
)
人
(
にん
)
かかつたつて
烏合
(
うがふ
)
の
衆
(
しう
)
だから、
192
カラツキシ
駄目
(
だめ
)
だよ。
193
御
(
お
)
気
(
き
)
の
毒様
(
どくさま
)
、
194
お
前
(
まへ
)
さまの
手
(
て
)
を
御覧
(
ごらん
)
なさい。
195
木
(
き
)
の
欠杭
(
かつくひ
)
をたたいて
血
(
ち
)
だらけになつてますよ』
196
男
『
云
(
い
)
はしておけば
際限
(
さいげん
)
も
無
(
な
)
き
雑言
(
ざふごん
)
無礼
(
ぶれい
)
、
197
最早
(
もはや
)
勘忍袋
(
かんにんぶくろ
)
の
緒
(
を
)
が
切
(
き
)
れた。
198
さア
一同
(
いちどう
)
寄
(
よ
)
つてたかつて
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
へ』
199
『よし
合点
(
がつてん
)
だ』
200
と
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
は
棍棒
(
こんぼう
)
を
打振
(
うちふ
)
り
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
に
打
(
う
)
つてかかる。
201
何
(
ど
)
う
間違
(
まちが
)
つたか、
202
互
(
たがひ
)
に
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れて
同士討
(
どうしうち
)
をやつてゐる。
203
女
(
をんな
)
の
体
(
からだ
)
よりパツと
立
(
た
)
つた
白煙
(
しらけぶり
)
、
204
太
(
ふと
)
い
尾
(
を
)
を
下
(
さ
)
げた
白狐
(
びやくこ
)
が
一匹
(
いつぴき
)
、
205
ノソリノソリと
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
し、
206
コンコン クワイクワイと
吠
(
ほ
)
え
乍
(
なが
)
ら、
207
森
(
もり
)
を
見棄
(
みす
)
てて
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
208
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
は
女
(
をんな
)
が
狐
(
きつね
)
と
変
(
へん
)
じて
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せたるに
気
(
き
)
がつかず、
209
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
同士討
(
どうしう
)
ちをつづけてゐる。
210
可笑
(
をか
)
しさを
怺
(
こら
)
えてゐた
万公
(
まんこう
)
は
口
(
くち
)
が
破裂
(
はれつ
)
した
様
(
やう
)
に「グワツハヽヽヽ」と
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
を
噴出
(
ふんしゆつ
)
する。
211
治国別
(
はるくにわけ
)
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
もたまりかねて「アハヽヽヽ」と
体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆす
)
つて
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
した。
212
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
213
万公
(
まんこう
)
は、
214
万公
『グワツハヽヽヽ、
215
道公
(
みちこう
)
さまぢやないが、
216
到頭
(
たうとう
)
大勢
(
おほぜい
)
の
奴
(
やつ
)
を
笑
(
わら
)
ひ
散
(
ち
)
らしてやつた。
217
エヘヽヽヽ』
218
一同
(
いちどう
)
は、
219
「アハヽヽヽ」と
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
してゐる。
220
五三公
(
いそこう
)
は
呆
(
あき
)
れて、
221
五三公
『
先生
(
せんせい
)
、
222
貴方
(
あなた
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
感心
(
かんしん
)
ですよ。
223
何故
(
なぜ
)
あンな
優
(
やさ
)
しい
女
(
をんな
)
が
虐待
(
ぎやくたい
)
されて
居
(
ゐ
)
るのに
平気
(
へいき
)
で
笑
(
わら
)
つて
厶
(
ござ
)
るのか、
224
無情
(
むじやう
)
冷酷
(
れいこく
)
な
御
(
お
)
方
(
かた
)
だと
内実
(
ないじつ
)
は
思
(
おも
)
つてゐました。
225
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
したいは
山々
(
やまやま
)
だつたが
命令
(
めいれい
)
が
下
(
くだ
)
らぬものだから、
226
差控
(
さしひか
)
へて
居
(
を
)
りましたが、
227
彼奴
(
あいつ
)
は
狐
(
きつね
)
になぶられてゐたのですなア』
228
治国別
『ウン、
229
あの
御
(
お
)
方
(
かた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
ご
)
守護神
(
しゆごじん
)
、
230
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
の
御
(
ご
)
眷族
(
けんぞく
)
、
231
月日
(
つきひ
)
明神
(
みやうじん
)
さまだよ。
232
バラモン
教
(
けう
)
の
捕手
(
とりて
)
が
山口
(
やまぐち
)
の
森
(
もり
)
に
隠
(
かく
)
れて
厶
(
ござ
)
つた
楓
(
かへで
)
さまを
召捕
(
めしと
)
らうと
大蛇
(
をろち
)
の
窟
(
いはや
)
迄
(
まで
)
覗
(
のぞ
)
きに
行
(
ゆ
)
き
居
(
を
)
つたのだから、
233
月日
(
つきひ
)
さまが
楓
(
かへで
)
さまの
親子
(
おやこ
)
対面
(
たいめん
)
が
出来
(
でき
)
る
迄
(
まで
)
、
234
あゝして
身代
(
みがは
)
りになつてゐて
下
(
くだ
)
さつたのだ。
235
而
(
しか
)
して
吾々
(
われわれ
)
に
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
あつた
事
(
こと
)
を
示
(
しめ
)
すために
今迄
(
いままで
)
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さつたのだよ。
236
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
目
(
め
)
に
娘
(
むすめ
)
と
見
(
み
)
えたのは
枯木杭
(
かれぼくくひ
)
だ。
237
可愛相
(
かあいさう
)
に
娘
(
むすめ
)
の
額
(
ひたひ
)
だと
思
(
おも
)
つてトゲだらけの
欠杭
(
かつくひ
)
を
撲
(
なぐ
)
りつけ、
238
血
(
ち
)
だらけの
拳
(
こぶし
)
になつて
居
(
を
)
つたぢやらう』
239
万公
(
まんこう
)
は、
240
万公
『ヘー
何
(
なん
)
だか
赤
(
あか
)
い
手袋
(
てぶくろ
)
をはめてゐると
思
(
おも
)
つてゐました。
241
月日
(
つきひ
)
さまといふ
明神
(
みやうじん
)
さまは
本当
(
ほんたう
)
に
偉
(
えら
)
い
方
(
かた
)
ですなア』
242
治国別
『サア
今晩
(
こんばん
)
は
此処
(
ここ
)
で
宿
(
とま
)
ることにしよう。
243
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
の
奏上
(
そうじやう
)
だ』
244
と
治国別
(
はるくにわけ
)
の
命令
(
めいれい
)
に
一同
(
いちどう
)
は、
245
一同
『ハイ
畏
(
かしこ
)
まりました』
246
と
辺
(
あた
)
りの
小溝
(
こみぞ
)
で
口
(
くち
)
を
嗽
(
そそ
)
ぎ、
247
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
248
型
(
かた
)
の
如
(
ごと
)
く
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
249
一夜
(
いちや
)
を
此処
(
ここ
)
に
明
(
あか
)
す
事
(
こと
)
とはなりける。
250
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
251
(
大正一一・一二・八
旧一〇・二〇
外山豊二
録)
252
(昭和九・一二・二九 王仁校正)
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