霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 脱線歌(だつせんか)〔一一八九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻 篇:第3篇 珍聞万怪 よみ(新仮名遣い):ちんぶんばんかい
章:第20章 脱線歌 よみ(新仮名遣い):だっせんか 通し章番号:1189
口述日:1922(大正11)年12月09日(旧10月21日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
一同はお寅とお菊を見送りながらそれぞれ歌を歌った。万公、五三公、アク、タクは万公の過去話を元にして脱線歌を歌っている。
松彦は先に立って歩きだした。五三公は一足一足坂道を登りながら、ふたたびお寅から聞いた万公の過去の悪行を肴にして滑稽な宣伝歌を歌った。
万公は負けぬ気になって負け惜しみの宣伝歌を歌うが、歌い終わりにへばってしまって休憩を提案した。松彦も休息を認め、一同は石に腰を下ろした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-12-18 19:36:26 文字数:3847 OBC :rm4420
愛善世界社版:271頁 八幡書店版:第8輯 236頁 修補版: 校定版:284頁 普及版:121頁 初版: ページ備考:
001 松彦(まつひこ)はお寅(とら)、002お菊(きく)の後(あと)を見送(みおく)つて、
003松彦『万公(まんこう)がお寅(とら)婆(ば)さまに巡(めぐ)り会(あ)ひ
004恨(うら)みの数々(かずかず)お菊(きく)さま哉(かな)。
005万更(まんざら)に捨(す)てたものではあるまいと
006たかを括(くく)つた五三公(いそこう)の口(くち)。
007川(かは)の辺(べ)で昔(むかし)の垢(あか)を流(なが)しけり
008万公(まんこう)末代(まつだい)取(と)れぬ罪(つみ)とがを。
009荒波(あらなみ)の伊猛(いたけ)り狂(くる)ふ河鹿川(かじかがは)
010丸木(まるき)の橋(はし)を渡(わた)る危(あやふ)さ。
011猿(さる)叫(さけ)ぶ野中(のなか)の森(もり)を立出(たちい)でて
012婆(ば)さンとはまつた万公(まんこう)の破目(はめ)』
013万公(まんこう)『お寅(とら)さま、お菊(きく)をつれて河(かは)の辺(べ)に
014万公(まんこう)来(く)ると茲(ここ)に松彦(まつひこ)。
015あま相(さう)なお里(さと)の浮名(うきな)を永久(とこしへ)に
016流(なが)しける哉(かな)河鹿(かじか)川原(がはら)に』
017五三(いそ)『身(み)の油(あぶら)とられた上(うへ)に小言(こごと)をば
018菊子(きくこ)の姫(ひめ)の耳(みみ)の痛(いた)さよ。
019偉相(えらさう)に此(この)行先(ゆくさき)は言(い)はれまい
020お里(さと)の分(わか)つた万公(まんこう)の身(み)は』
021万公(まんこう)『コラ五三公(いそこう)、おればつかりぢやない程(ほど)に
022貴様(きさま)も尻(しり)の臭(くさ)い奴(やつ)だよ。
023吾(わが)尻(しり)の赤(あか)いを知(し)らぬ山猿(やまざる)が
024人(ひと)の事(こと)をばかきまはすなり』
025五三(いそ)『恥(はぢ)をかき頭(あたま)をかきてベソをかき
026お寅(とら)婆(ば)さまにかき毬(むし)られる。
027アハヽヽヽ開(あ)いた口(くち)さへ塞(ふさ)がらぬ
028ローマンスのロは口(くち)と申(まを)せば。
029大根畑(だいこんばた)荒(あら)す野鼠(のねずみ)土鼠(もぐらもち)[※「もぐらもち」はモグラの異称]
030お里(さと)の芋(いも)の穴(あな)までねらふか』
031万公(まんこう)『穴尊(あなたふ)と穴(あな)ない教(をしへ)の穴(あな)を見(み)よ
032宣伝使(せんでんし)にも妹(いも)が居(ゐ)るぞよ』
033五三(いそ)『芋(いも)をほり蕪(かぶら)をぬいてくらふ奴(やつ)
034三五教(あななひけう)の大根(だいこん)役者(やくしや)よ』
035万公(まんこう)『馬鹿(ばか)云(い)ふな蕪(かぶら)をぬいた其(その)跡(あと)に
036てまりの様(やう)な穴(あな)があるぞよ。
037三五(あななひ)の神(かみ)の教(をしへ)と誰(た)が言(い)うた
038貴様(きさま)の顔(かほ)にも抜穴(ぬけあな)がある。
039抜(ぬ)けた面口(つらくち)あンぐりとあけ乍(なが)ら
040三五教(あななひけう)とはよくぬかしたり。
041五三公(いそこう)のローマンスをば尋(たづ)ぬれば
042磯(いそ)の鮑(あわび)の片思(かたおも)ひかも。
043万公(まんこう)は何(なん)と云(い)うても色男(いろをとこ)
044お里(さと)の方(かた)に思(おも)はれたぞや。
045思(おも)はれて思(おも)ひ返(かへ)すは益良男(ますらを)の
046権威(けんゐ)と知(し)らぬ馬鹿者(ばかもの)もあり』
047アク『アク垂(た)れのババに悪(あく)垂(た)れ口(ぐち)いはれ
048へこ垂(た)れよつた万公(まんこう)の面(つら)』
049万公(まんこう)『こりやアク奴(め)、何(なに)も知(し)らずに喧(やか)ましう
050きさまが口(くち)をアク所(とこ)でない。
051山猿(やまざる)の様(やう)な面(つら)した其(その)方(はう)に
052恋(こひ)が分(わか)つてたまるものかい』
053アク『仕殺(しころ)したお里(さと)の事(こと)を思(おも)ひ出(だ)し
054ホヽヽヽとほほゑみをする。
055幾度(いくたび)もホヽヽヽヽと森(もり)の中(なか)
056暗(やみ)に紛(まぎ)れて死嬶(しにかか)が慕(した)ふ。
057おかし奴(やつ)、何程(なにほど)こがれ慕(した)うとも
058幽霊(いうれい)抱(だ)いては寝(ね)られまいぞや』
059万公(まんこう)『こらアクよ、貴様(きさま)は何(なに)を幽霊(いうれい)か
060無礼(ぶれい)を云(い)ふも程(ほど)があるぞや』
061タク『コレは又(また)面白(おもしろ)うなつて来(き)よつたぞ
062お里(さと)が墓(はか)からお出(い)でお出(い)でする』
063万公(まんこう)『タクの奴(やつ)何(なに)も知(し)らずに八釜(やかま)しい
064子供(こども)に恋(こひ)が分(わか)るものかい』
065タク『タクさまは、タク山(さん)に姫(ひめ)を持(も)つたぞよ
066天下(てんか)無双(むさう)のナイスばかりを』
067万公(まんこう)『何(なに)ぬかす蜥蜴(とかげ)のやうな面(つら)をして
068ナイスもクソもあつたものかい』
069テク『こりやタクよ慢心奴(まんしんやつこ)を捉(とら)まへて
070相手(あひて)にするな人(ひと)が笑(わら)ふぞ』
071タク『笑(わら)うてもかまふものかい笑(わら)はれて
072油(あぶら)取(と)られた万公(まんこう)ぢやもの』
073テク『三五(あななひ)の教(をしへ)の道(みち)の万公(まんこう)は
074婆(ばば)と娘(むすめ)にくはれける哉(かな)』
075万公(まんこう)『テク迄(まで)が何(なに)ゴテゴテと囀(さへづ)るか
076俺(おれ)の心(こころ)を知(し)つて居(ゐ)るかい。
077万公(まんこう)は今(いま)こそ負(まけ)て居(ゐ)るけれど
078お菊(きく)成人(せいじん)した時(とき)を見(み)よ』
079五三(いそ)『お菊(きく)さま大(おほ)きくなつたら又(また)やろと
080万(まん)が一(いち)をばあてにしてるのか』
081万公(まんこう)『コリヤ五三公(いそこう)、急(いそ)いで事(こと)はなるものか
082先(さき)を三年(みとせ)の春(はる)を見(み)て居(を)れ』
083五三(いそ)『又(また)してもそンな野心(やしん)を起(おこ)すなよ
084今度(こんど)は首(くび)と胴(どう)と別(わか)れる』
085万公(まんこう)『三(さん)年(ねん)の先(さき)になつたらお寅(とら)さま
086冥途(めいど)の旅(たび)に行(い)つたあとだよ。
087何事(なにごと)も万(まん)さまなればお菊(きく)ぢやと
088今(いま)から秋波(しうは)を送(おく)り居(ゐ)るらし』
089松彦(まつひこ)『腰折(こしを)れのみ歌(うた)ばかりをうたひ上(あ)げ
090うたてき事(こと)の限(かぎ)りつくせし。
091サア万公(まんこう)、五三公(いそこう)、アク、タク、テク五(ご)人(にん)
092もうボツボツと山(やま)に登(のぼ)ろか』
093万公(まんこう)『宜(よろ)しかろお寅(とら)婆(ば)さまはさておいて
094お菊(きく)の奴(やつ)が待(ま)つてゐるから』
095五三(いそ)『執着(しふちやく)の深(ふか)い奴(やつ)ぢやと思(おも)たけれど
096これ程(ほど)迄(まで)とは思(おも)はなかつた』
097万公(まんこう)『呆(あき)れたかオツたまげたか五三公(いそこう)よ
098人(ひと)は見(み)かけによらぬ者(もの)だよ。
099さり乍(なが)ら俺(おれ)も誠(まこと)の道(みち)をゆく
100万公(まんこう)なれば恋(こひ)は廃(はい)した。
101心配(しんぱい)をどうぞなさつて下(くだ)さるな
102メツタにお菊(きく)は思(おも)はないから』
103五三(いそ)『さうだらう、何程(なにほど)思(おも)うてみた所(とこ)が
104向(むか)ふが厭(いや)なら仕方(しかた)なからう』
105アク『コレは又(また)面白(おもしろ)うなつて来(き)たわやい
106旅(たび)の慰(なぐさ)め此(この)上(うへ)もなし』
107テク『テクついて川(かは)の畔(ほとり)に来(き)て見(み)れば
108婆(ば)さンに追(お)はれてバサンとはまる。
109アク運(うん)の強(つよ)いお方(かた)が助(たす)かつて
110世(よ)に珍(めづら)しき話(はなし)きく哉(かな)』
111万公(まんこう)『万(まん)さまがあつたらこされお前(まへ)等(ら)も
112歓喜(くわんき)の笑(ゑみ)に漂(ただよ)うたのだ。
113心霊(しんれい)の餌(ゑ)さは歓喜(くわんき)と云(い)ふぢやないか
114おれを命(いのち)の親(おや)と尊(たふと)め』
115 松彦(まつひこ)は先(さき)に立(た)つて歩(あゆ)み出(だ)せば、116五三公(いそこう)は一足(ひとあし)々々(ひとあし)坂道(さかみち)を登(のぼ)り乍(なが)ら笑(わら)ひ半分(はんぶん)に歌(うた)ひ始(はじ)むる。
117五三公『神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
118善(ぜん)と悪(あく)とを立分(たてわ)ける
119 ババが川辺(かはべ)に現(あら)はれて
120万公(まんこう)とアクを苦(くる)しめる
121此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
122心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
123 此(この)世(よ)の鬼(おに)に巡(めぐ)り会(あ)ひ
124心(こころ)もひどく悄気返(せうげかへ)り
125只(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
126直日(なほひ)に見直(みなほ)し宣直(のりなほ)し
127 只(ただ)何遍(なんべん)も人(ひと)の前(まへ)
128なぶられものに会(あ)はされて
129身(み)の過(あやま)ちは宣直(のりなほ)せ
130 身(み)の過(あやま)ちを述(の)べられて
131 万公(まんこう)の奴(やつ)がベソをかく
132旭(あさひ)は照(て)る共(とも)曇(くも)る共(とも)
133 アク公(こう)は川(かは)へはまる共(とも)
134月(つき)は盈(み)つ共(とも)虧(か)くる共(とも)
135 罪(つみ)のあり丈(だけ)さらす共(とも)
136仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)む共(とも)
137 譬(たとへ)方(かた)なき大痴呆(だいちほう)
138誠(まこと)の力(ちから)は世(よ)を救(すく)ふ
139 万公(まんこう)の畜生(ちくしやう)は夜這(よば)ひする
140三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
141 ウラルの教(をしへ)の穴捜(あなさが)し
142ウブスナ山(やま)を後(あと)にして
143河鹿(かじか)峠(たうげ)をよぢ登(のぼ)り
144 ウツカリ川辺(かはべ)に巡(めぐ)り会(あ)ひ
145 嬶(かか)の親(おや)になぐられる
146祠(ほこら)の森(もり)に来(き)て見(み)れば
147玉国別(たまくにわけ)の宣伝使(せんでんし)
148 野中(のなか)の森(もり)を立出(たちい)でて
149 たまたま会(あ)うた婆娘(ばばむすめ)
150猿(さる)に目玉(めだま)をかき取(と)られ
151気(き)の毒(どく)なりける次第(しだい)なり
152 皿(さら)のよな目玉(めだま)をむき出(だ)され
153 気(き)が気(き)でならぬ次第(しだい)なり
154険(けは)しき坂(さか)をエチエチと
155下(くだ)りて漸(やうや)く山口(やまぐち)の
156 険(けは)しき流(なが)れを打(うち)わたり
157 やうやう茲(ここ)に息(いき)休(やす)め
158魔性(ましやう)の女(をんな)に出会(でつく)はし
159荒肝(あらきも)とられし可笑(をか)しさよ
160 万公(まんこう)が婆(ばば)に追(お)ひつかれ
161 欠点(あら)さらされし可笑(をか)しさよ
162あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
163御霊(みたま)幸(さちは)ひましませよ
164 あゝ叶(かな)はぬから叶(かな)はぬから
165 目玉(めだま)飛出(とびだ)しましませよ
166アハヽヽツハ アハヽヽヽ
167イヒヽヽツヒ イヒヽヽヽ
168ウントコドツコイきつい坂(さか)
169万公(まんこう)は足(あし)がだるからう
170おれも一度(いちど)はお菊(きく)さまに
171何(なん)とか都合(つがふ)よく巡(めぐ)り会(あ)ひ
172マ一度(いちど)万公(まんこう)の臆病(おくびやう)振(ぶ)り
173一伍(いちぶ)一什(しじふ)を打明(うちあ)けて
174愛想(あいさう)をつかさせやらうかい
175それが万公(まんこう)の一生(いつしやう)の
176お為(ため)になるに違(ちがひ)ない
177これこれもうし松(まつ)さまへ
178私(わたし)の云(い)ふのが違(ちが)うたら
179どうぞ叱(しか)つて下(くだ)さンせ
180ウントコドツコイ小北山(こぎたやま)
181ウラナイ教(けう)の本山(ほんざん)に
182一寸(ちよつと)よう似(に)た名称(めいしよう)だ
183此奴(こいつ)ア大方(おほかた)高姫(たかひめ)や
184黒姫(くろひめ)さまの慢心(まんしん)の
185其(その)ほとばりが芽(め)をふいて
186怪体(けたい)な教(をしへ)を立(た)て通(とほ)し
187十曜(とえう)の紋(もん)を引(ひき)つけて
188世界(せかい)をごまかし居(ゐ)るのだろ
189何(なん)だか知(し)らぬが五三公(いそこう)は
190一寸(ちよつと)も気乗(きのり)がせないぞや
191お寅(とら)のよな皺苦茶(しわくちや)の
192婆(ば)さまばかりがウヨウヨと
193両手(りやうて)を合(あは)せ水鼻汁(みづばな)を
194啜(すす)りまはして八釜(やかま)しう
195下(くだ)らぬ事(こと)を囁(ささや)きつ
196曲津(まがつ)を拝(をが)みてゐるのだろ
197あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
198目玉(めだま)飛出(とびだ)しましませよ
199アハヽヽハツハ アハヽヽヽ
200最早(もはや)ここらでやめておこ
201これから万公(まんこう)の番(ばん)ぢやぞや
202あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
203息(いき)がつまつて出(で)て来(こ)ない』
204 万公(まんこう)は負(まけ)ぬ気(き)になつて歌(うた)ひ出(だ)した。
205万公『ウントコドツコイドツコイシヨ
206五三公(いそこう)の奴(やつ)めが悋気(りんき)して
207何(なん)ぢやかンぢやと誂(そし)りよる
208貴様(きさま)の事(こと)ぢやあるまいし
209かもうておくれなホツトイテ
210法界(ほふかい)悋気(りんき)も程(ほど)がある
211昔(むかし)におうた古疵(ふるきず)が
212一寸(ちよつと)物言(ものい)うたばつかりだ
213これも一(ひと)つの御(ご)愛嬌(あいけう)
214昔(むかし)はつまらぬ奴(やつ)なれど
215今(いま)は立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)
216治国別(はるくにわけ)の片腕(かたうで)だ
217ゴテゴテ言(い)うて貰(もら)うまい
218おれにはおれの権利(けんり)ある
219松彦(まつひこ)さンが偉(えら)うても
220ウブスナ山(やま)の神(かみ)様(さま)に
221許(ゆる)して貰(もら)うた事(こと)もなく
222ホンの内証(ないしよう)の宣伝使(せんでんし)
223治国別(はるくにわけ)の留守役(るすやく)だ
224本当(ほんたう)の事(こと)を云(い)うたなら
225万公(まんこう)さまが宣伝使(せんでんし)
226臨事(りんじ)代理(だいり)となる所(とこ)だ
227コラコラ五三公(いそこう)アク公(こう)よ
228タク、テク両人(りやうにん)よつく聞(き)け
229すべて此(この)世(よ)に大業(たいげふ)を
230なさうと思(おも)ふ人物(じんぶつ)は
231大(おほ)きな影(かげ)のあるものだ
232それをばおかげといふのだぞ
233冷血漢(れいけつかん)の五三公(いそこう)が
234どうして英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)の
235心裡(しんり)が分(わか)つてたまらうか
236子供(こども)は子供(こども)のやうにして
237沈黙(ちんもく)してるが悧巧(りかう)だぞ
238モウ之(これ)からは万公(まんこう)も
239遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)はせぬ程(ほど)に
240正々(せいせい)堂々(だうだう)先(さき)に立(た)ち
241治国別(はるくにわけ)の代弁(だいべん)を
242努(つと)めて見(み)よう皆(みな)の奴(やつ)
243おれの命令(めいれい)に反(そむ)くのは
244治国別(はるくにわけ)の命令(めいれい)に
245つまり反(そむ)くといふものだ
246旭(あさひ)は照(て)る共(とも)曇(くも)る共(とも)
247五三公(いそこう)はこける共(とも)辷(すべ)る共(とも)
248月(つき)は盈(み)つ共(とも)虧(か)くる共(とも)
249狐(きつね)は啼(な)く共(とも)吼(ほ)えるとも
250仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)む共(とも)
251仮令(たとへ)五三公(いそこう)は平太(へた)る共(とも)
252誠(まこと)の力(ちから)は世(よ)を救(すく)ふ
253曲津(まがつ)の五三公(いそこう)は世(よ)を紊(みだ)す
254此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
255此(この)山(やま)登(のぼ)る神(かみ)の御子(みこ)
256心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
257乞食(こじき)上(あが)りの皆(みな)の奴(やつ)
258只(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
259高(たか)い山路(やまみち)シトシトと
260直日(なほひ)に見直(みなほ)せ聞直(ききなほ)せ
261並(なら)ンでドシドシ登(のぼ)りゆけ
262身(み)の過(あやま)ちは宣(の)り直(なほ)せ
263皆(みな)過(あやま)つてふン伸(の)びよ
264三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
265アブナイ教(けう)のセンチ虫(むし)
266治国別(はるくにわけ)に従(したが)ひて
267ハアハア山路(やまみち)分(わ)け登(のぼ)る
268悪魔(あくま)の征途(せいと)に上(のぼ)りゆく
269飽迄(あくまで)つづくセンチ虫(むし)
270あははツは アハヽヽヽ
271どうやら種(たね)が切(き)れて来(き)た
272小北(こぎた)の山(やま)の真中(まんなか)で
273ババを垂(た)れるかこきたない
274たうとう俺(おれ)もへこたれた
275ハーハー フーフー フースースー
276オイ皆(みな)の奴(やつ)、277ドウコイ、278皆(みな)の立派(りつぱ)なお方(かた)、279万々(まんまん)ここで御(ご)休息(きうそく)なさつたら何(ど)うですか。280歌(うた)のまづい松彦(まつひこ)さまに、281テクの下手(へた)なテク公(こう)、282ゴータクの上手(じやうづ)なタク公(こう)、283悪運(あくうん)の強(つよ)いアク公(こう)、284東海道(とうかいだう)の五十三(ごじふさん)次(つぎ)、285一(ひと)つここらで、286休(やす)まう……かい』
287 松彦(まつひこ)は吹(ふ)き出(だ)し、
288松彦『ハハー、289たうとう弱(よわ)りよつたなア、290川端(かはばた)ではいぢめられ、291森(もり)の中(なか)ではおどかされ、292又(また)山路(やまみち)で苦(くるし)められ、293よくよく万(まん)の悪(わる)い男(をとこ)だなア。294アハヽヽヽ、295併(しか)し何(なん)だか松彦(まつひこ)も足(あし)が変(へん)になつて来(き)た。296幸(さいはひ)ここにロハ台(だい)が並(なら)ンでゐる。297全体(ぜんたい)とまれツ』
298 此(この)声(こゑ)の終(をは)るか終(をは)らぬに万公(まんこう)はドスンと腰(こし)をおろす。299続(つづ)いて一同(いちどう)は嬉(うれ)し相(さう)に腰(こし)を下(お)ろし休息(きうそく)する。
300(大正一一・一二・九 旧一〇・二一 松村真澄録)
301(昭和九・一二・二九 王仁校正)
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